私は、欲する。

『僕は、自分自身を捨てた』

　さよなら。

『さよなら』

　私は、望む。

『この世界は、誰も僕のことは知らないから』

　安心なさい。

『どういうこと？』

　貴方の願いは、きっと叶うわ。

『願いなんて、無いよ』

　なら、私が見つけてあげる。

　だから、貴方は何もしなくても良いの……。


●
　港湾都市「ポルトワール」。
　その近郊に、小さな漁村があった。
「奴らめ、また出て来たな」
　村人たちは漁師道具を片手に、海からやってくる海賊たちを待ち構えていた。
　波の音が響く中、船がゆっくりと漁村に近づいてくる。
　緊張しながら、身構える村人達。
　海賊たちは何やら叫んでいたが、波の音でかき消された。
　突如、轟音のような水飛沫が上り、海の底から巨大なタコ…グレート・オクトパスが２匹、姿を現した。水撃砲を放ったかと思うと、瞬く間に海賊船を破壊し、波に揉まれるがごとく沈めていく。
　大タコはさらに水撃砲で村を襲撃し始めた。
「あれは……ただのタコではない。雑魔だ！」
　海賊が相手ならばまだしも、さすがに雑魔では一般人の村人たちでは倒せない。
　ふと気が付けば、水面から青黒い鱗で覆われた半漁人が数匹ほど現れ、村人たちに狙いを定めて、弓矢を放つ。
　悲鳴があちらこちらから響き、我が子を助けるために身体を張って庇う母親がいた。
「お母さん！」
　子供の呼び声も空しく、母親は子供が無事だと分かると、安堵したような優しい表情で息絶えた。
「おのれっ」
　村の男たちも弓で応戦するが、不気味な形相をした半漁人たちは、追い打ちをかけるように弓矢で攻撃をしかけてきた。
　敵の攻撃で、数名の村人が犠牲になり、船に乗っていた海賊たちは全滅。
　グレート・オクトパスは水中にいる限り、水撃砲を無制限に使うことができるのだ。
　２匹の大タコは巨大な頭部が日の光で生々しく照らされ、複数の脚は海中でユラユラと蠢いていた。
　海に近い家々は、大タコの攻撃で破壊され、生き残った村人は陸の方へと避難することにした。
　だが、半漁人たちは陸に上がり、村人たちを追いかけて、本能的に弓矢を引く。
　恐怖のあまり、泣き叫ぶ子供たちの手を引きながら、父母たちは避難所への道を急いだ。
　このままでは、村人たちは全滅してしまうだろう。
　母を亡くした子供は必死に立ち上がり、助けを求めた。
「誰か……誰か、助けて！」
　その叫びに気がついた者は、果たして……？

場所は港湾都市「ポルトワール」の近くにある小さな漁村。
敵が雑魔ということで、ハンター・オフィスの依頼となった。

■依頼の趣旨
『漁村に出没したグレート・オクトパスと半漁人を全て倒して、村人たちを救出する』

村から北へ１キロ辺りに「避難所」があり、村人はそこへ向っている。
逃げ遅れた者は１１名、避難所に辿り着いた者は５６名。
半漁人は村人を追いかけて、避難所へ移動中。

達成の度合いによって、報酬が変動します。


■漁村に現れた敵
『グレート・オクトパス』２匹
大タコの姿をした雑魔。頭部のサイズが4ｍ程度。８本足。
漁村の海岸が定位置。水撃砲で攻撃。射程２～１０。水中にいる限り無制限だが、陸に上がると使用回数が減る。
４回攻撃が可能。陸上でも、ある程度は戦える。


『雑魔の半漁人』１２匹
全身が青黒い鱗に覆われた雑魔。
２足歩行で、弓矢で攻撃をしかけてくる。射程５～６０。
人語は理解できないが、ゴブリン程度の社会性を持つ。
水中でも陸上と同じ移動力。

暑中お見舞い申し上げます。
大林です。

今回は「海」が舞台ですが、敵を陸上に誘き寄せる方法があれば、なんとかなるかも。
半漁人は弓矢で攻撃してきますが、射程が長いです。
ご注意ください。

プレイングには「目的」「動機」「具体的な行動」「補足」を明記して頂けると助かります。