ゲスト
(ka0000)
穴ぐら娘に光明を
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/10 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/19 12:00
オープニング
歯車の廻る音、金属と油の匂い、計算式の美しさ。
それに愛猫のあたたかな背筋。
これだけが、幸福のすべてであった。
けれどそれは、ある日突然失われることとなる。
大切なものを失った娘の前で、彼らは勝利を祝った。
よかった誰も傷つかなかった。よかった悪しきモノは消えてなくなった。
消えてなくなったのは、悪しきモノだけではないことに、誰も気がついていなかった。
少女が「穴ぐら娘」とよばれるようになる、三年前のことである。
「穴ぐら娘を、穴から出して欲しいんですわ」
禿げ頭の町長が、汗を拭き拭き、ハンターたちにそう話し出した。
「三年ほど前のことですわ。いきなり、町のはずれの山とも呼べない斜面に穴を掘ってそこへこもるようになったのは。ええ、三年です。以来ずーっと、あの穴ぐらで、ひとりで暮しておるんですわ。別に誰も、迷惑なんぞしとりませんのですが、ここのところ、あの斜面周辺の地盤が緩んでおりまして、穴ぐら娘のすみかも崩れてしまう可能性があるんですわ。それをわかってるのに、見殺しにはできませんでしょ。……でもねえ、私らがどんなに言葉を尽くしても、出てきてくれないんですわ」
町長は、はあ、とため息をついた。
「機械いじりの好きな子でね、親元を離れてこの町で時計の修理なんかをしてましたわ。ちょっと変わってはいましたが、明るい良い子なんですわ。……三年前のことが、そんなにショックだったんでしょうかねえ。雑魔がこの町に出たんですわ。スライムのようなやつでしたなあ。すぐに、あなた方のようなハンターに来てもらいましたから、町民は誰も怪我することなかったんですがね、あの穴ぐら娘が大事にしていた猫がやられましたんですわ。脚が悪かったようですな、逃げ遅れたんでしょう。そら、もう、ひどい悲しみようでねえ、ダイチ、ダイチ、って泣き続けて……、ああ、ダイチってのは猫の名前ですわ」
おしゃべりな町長からその「穴ぐら」の場所を聞き出したところで、ハンターたちは早速、問題の穴ぐらへ向かった。
「お話はわかりました。穴を出ましょう」
暗闇から、澄んだ声がした。
辿り着いた穴の前で、ハンターたちが事情を説明すると、町長が言葉を尽くしても穴を出ることを了承しなかったという穴ぐら娘は、あっさりとそう言った。姿は、まだ見せぬままに。当然、どんな表情をしているかはおろか、どんな髪色であるのかということすら、知ることはできないでいる。
「けれども、私はここに三年暮らしておりました。それなりに荷物がありますので、それを片付けたいのです。申し訳ありませんが、中へ入って手伝っていただけませんでしょうか」
ハンターたちはその頼みを了承した。穴の前で話をするだけで報酬をもらってはきまりが悪いような気がしていたからだ。
暗い、目の前の者の背中すら見えないほど暗い穴の中へ入り込んだそのとき。
ハンターたちの横を、何かが走り抜けた、と思ったら。
ガチャン
穴の入り口に、重い仕掛け扉が下された。
穴全体に振動が走り、小石や土くれがパラパラと落ちてきた。地盤が緩んできているというのは確かであるようだった。
「お望みどおり、穴から出て差し上げたわ! 今度は、あなたたちが穴に閉じこもるがいい! そこで、私の思いをよく考えればいいわ!!」
穴ぐら娘の甲高い声が、扉の向こうから聞こえた。
ハンターたちはあまりに驚いて呆然とした。行く手を遮る重い扉は、剣などではとても破れそうになかったが、スキルの組み合わせ次第では突破できそうであった。
どうやって、この穴を出たらよいか。
闇に満たされた穴の中であったが、穴ぐら娘がこの中で生活していた痕跡はそこここに見受けられ、着替えなどの他に工具やノート、それに作りかけの義手のようなものが見つかった。その中に。謎の文字が書きつけられた紙片がわざとらしく作業机に置いてあったのも、見つけた。
「いなご めいさんちだ」
その紙片には、そう書かれていた。
穴の中の空気が、急にしん、と静まった。
何かかすかに得体の知れない音が、カタカタと鳴っているようだった。
ここに、穴ぐら娘は、三年もこもっていたのである。
それに愛猫のあたたかな背筋。
これだけが、幸福のすべてであった。
けれどそれは、ある日突然失われることとなる。
大切なものを失った娘の前で、彼らは勝利を祝った。
よかった誰も傷つかなかった。よかった悪しきモノは消えてなくなった。
消えてなくなったのは、悪しきモノだけではないことに、誰も気がついていなかった。
少女が「穴ぐら娘」とよばれるようになる、三年前のことである。
「穴ぐら娘を、穴から出して欲しいんですわ」
禿げ頭の町長が、汗を拭き拭き、ハンターたちにそう話し出した。
「三年ほど前のことですわ。いきなり、町のはずれの山とも呼べない斜面に穴を掘ってそこへこもるようになったのは。ええ、三年です。以来ずーっと、あの穴ぐらで、ひとりで暮しておるんですわ。別に誰も、迷惑なんぞしとりませんのですが、ここのところ、あの斜面周辺の地盤が緩んでおりまして、穴ぐら娘のすみかも崩れてしまう可能性があるんですわ。それをわかってるのに、見殺しにはできませんでしょ。……でもねえ、私らがどんなに言葉を尽くしても、出てきてくれないんですわ」
町長は、はあ、とため息をついた。
「機械いじりの好きな子でね、親元を離れてこの町で時計の修理なんかをしてましたわ。ちょっと変わってはいましたが、明るい良い子なんですわ。……三年前のことが、そんなにショックだったんでしょうかねえ。雑魔がこの町に出たんですわ。スライムのようなやつでしたなあ。すぐに、あなた方のようなハンターに来てもらいましたから、町民は誰も怪我することなかったんですがね、あの穴ぐら娘が大事にしていた猫がやられましたんですわ。脚が悪かったようですな、逃げ遅れたんでしょう。そら、もう、ひどい悲しみようでねえ、ダイチ、ダイチ、って泣き続けて……、ああ、ダイチってのは猫の名前ですわ」
おしゃべりな町長からその「穴ぐら」の場所を聞き出したところで、ハンターたちは早速、問題の穴ぐらへ向かった。
「お話はわかりました。穴を出ましょう」
暗闇から、澄んだ声がした。
辿り着いた穴の前で、ハンターたちが事情を説明すると、町長が言葉を尽くしても穴を出ることを了承しなかったという穴ぐら娘は、あっさりとそう言った。姿は、まだ見せぬままに。当然、どんな表情をしているかはおろか、どんな髪色であるのかということすら、知ることはできないでいる。
「けれども、私はここに三年暮らしておりました。それなりに荷物がありますので、それを片付けたいのです。申し訳ありませんが、中へ入って手伝っていただけませんでしょうか」
ハンターたちはその頼みを了承した。穴の前で話をするだけで報酬をもらってはきまりが悪いような気がしていたからだ。
暗い、目の前の者の背中すら見えないほど暗い穴の中へ入り込んだそのとき。
ハンターたちの横を、何かが走り抜けた、と思ったら。
ガチャン
穴の入り口に、重い仕掛け扉が下された。
穴全体に振動が走り、小石や土くれがパラパラと落ちてきた。地盤が緩んできているというのは確かであるようだった。
「お望みどおり、穴から出て差し上げたわ! 今度は、あなたたちが穴に閉じこもるがいい! そこで、私の思いをよく考えればいいわ!!」
穴ぐら娘の甲高い声が、扉の向こうから聞こえた。
ハンターたちはあまりに驚いて呆然とした。行く手を遮る重い扉は、剣などではとても破れそうになかったが、スキルの組み合わせ次第では突破できそうであった。
どうやって、この穴を出たらよいか。
闇に満たされた穴の中であったが、穴ぐら娘がこの中で生活していた痕跡はそこここに見受けられ、着替えなどの他に工具やノート、それに作りかけの義手のようなものが見つかった。その中に。謎の文字が書きつけられた紙片がわざとらしく作業机に置いてあったのも、見つけた。
「いなご めいさんちだ」
その紙片には、そう書かれていた。
穴の中の空気が、急にしん、と静まった。
何かかすかに得体の知れない音が、カタカタと鳴っているようだった。
ここに、穴ぐら娘は、三年もこもっていたのである。
解説
□成功条件
穴からの脱出と、穴ぐら娘を納得させた上で町へ連れ帰ること。
扉をどのように開けるか、その方法(プロセス)がポイント。
□扉
穴ぐら娘が作った機械仕掛けの扉。重く頑丈で、押したり引いたりで開けることはできない。開閉ボタンのようなものも扉にはついていない。
□穴ぐら
ひとりで暮らすために掘られた穴であるため、充分な広さはなく、閉塞感を感じる。穴ぐら娘の私物であふれかえっており、その大部分を作りかけなのか完成しているのかわからない機械や部品が占める。(依頼成功の際にはこれらの片付け・引っ越しを手伝っていただくこととする)
ときおり不気味なカタカタという物音がする。自動的に動く機械が奥にあるのだと思われるが、定かではない。
□いなご めいさんちだ
見つけた紙片に書かれていた。穴ぐら娘が書いたものと思われる。暗号、のようにも思えるが……。
なお、穴の内部に、この文字の他にヒントとなるような図柄や文字はないものとする。
□穴ぐら娘
機械いじりの好きな、好奇心旺盛の娘。親元を離れ、町で時計やオルゴールなどの修理の仕事をしながら機械の仕組みを勉強していた。穴ぐらへこもるようになってからも、機械の勉強は続けていた。
町へきてから拾った、脚の悪い捨て猫を大事にしていた。猫の名前はダイチ。
穴からの脱出と、穴ぐら娘を納得させた上で町へ連れ帰ること。
扉をどのように開けるか、その方法(プロセス)がポイント。
□扉
穴ぐら娘が作った機械仕掛けの扉。重く頑丈で、押したり引いたりで開けることはできない。開閉ボタンのようなものも扉にはついていない。
□穴ぐら
ひとりで暮らすために掘られた穴であるため、充分な広さはなく、閉塞感を感じる。穴ぐら娘の私物であふれかえっており、その大部分を作りかけなのか完成しているのかわからない機械や部品が占める。(依頼成功の際にはこれらの片付け・引っ越しを手伝っていただくこととする)
ときおり不気味なカタカタという物音がする。自動的に動く機械が奥にあるのだと思われるが、定かではない。
□いなご めいさんちだ
見つけた紙片に書かれていた。穴ぐら娘が書いたものと思われる。暗号、のようにも思えるが……。
なお、穴の内部に、この文字の他にヒントとなるような図柄や文字はないものとする。
□穴ぐら娘
機械いじりの好きな、好奇心旺盛の娘。親元を離れ、町で時計やオルゴールなどの修理の仕事をしながら機械の仕組みを勉強していた。穴ぐらへこもるようになってからも、機械の勉強は続けていた。
町へきてから拾った、脚の悪い捨て猫を大事にしていた。猫の名前はダイチ。
マスターより
こんにちは。紺堂カヤでございます。皆さま、パズルはお好きでございますでしょうか。私はクロスワードパズルが大好きです。
さて。
穴ぐら娘が本当はどんな名前なのか、知る余地がございませんが、その穴ぐら娘という呼び名こそが、この冒険の鍵になるような気が致します。
穴ぐら娘。あなぐらむすめ。あなぐらむ、すめ……。
さて。
穴ぐら娘が本当はどんな名前なのか、知る余地がございませんが、その穴ぐら娘という呼び名こそが、この冒険の鍵になるような気が致します。
穴ぐら娘。あなぐらむすめ。あなぐらむ、すめ……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/15 01:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
穴ぐら脱出大作戦!(相談) 時音 ざくろ(ka1250) 人間(リアルブルー)|18才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/08/09 15:21:13 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/07 00:34:26 |