ゲスト
(ka0000)
【深棲】狂気の海魔と禁断の果実
マスター:稲田和夫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/03 19:00
オープニング
異例の声明と共に戦闘警戒に入った自由都市同盟は、多数の軍船を海上封鎖のために送り込んだ。
名高い同盟海軍であっても、この広大な海を守るにはやはり数に頼るしかない部分もある。かくして海上封鎖に送られた船の何隻かは、リゼリオその他から急遽集まったハンターたちを乗せて、初夏の海へ漕ぎ出すことになった。
その船もまた、複数のハンターを戦闘員として乗船させていたが、その中に同盟の兵士たちと他のハンターの眼を一際ひきつける少女の姿があった。
一目でそれとわかる長い耳に、様々な国の人間の基準に当てはめても見目麗しいといえる外見。
いかにも、エルフらしい独特な雰囲気の衣装の上半身と、対照的に人間用と思しき下半身はいわゆるショートパンツ。
だが、何より目を引くのは知っている者ならリアルブルーのものと解るであろう巨大なリュックサックだった。
「これが海なんですね……」
いつ現れるかも解らない狂気の歪虚に神経を尖らせている同盟兵やハンターたちとは対照的に、少女は初めてみるらしい大海原に顔を強調させ、瞳を輝かせていた。
「……お前、エルフの癖に船が平気なのか?」
と、そんな少女に話しかけたのは、それなりにハンターの経験が長そうな中年の男性だった。
その顔色は今にも吐きそうな土気色である。
「お加減、悪いのですか?」
「ああ、昔から船は苦手でな……おえっ……自由都市同盟は俺の故郷でな……今回ばかりはと依頼を受けてみたが、やはり駄目だ……」
すると、少女はリュックに手を入れてごそごそやっていたかと思うと、何かを取り出し男に差し出した。
「はいっ、どうぞ! きっと気分が良くなるはずですっ♪」
それは、真っ赤に熟した大粒の林檎であった。
「こりゃあ……エルヴィンバルト界隈でもこんな見事なのは滅多にお目にかかれんぞ……」
エルヴィンバルトとは、帝国の南部にあるエルフハイムの帝国側の呼称である。
正確にはニーダーエルヴィンバルト、ミッダーエルヴィンバルト、オーバーエルヴィンバルトの三つの州に跨ってエルフハイムが広がっているのだ。
そして、ハンターとしてその界隈を訪れた男性は知っていた。
エルフにとって、林檎は森の恵みの象徴であり特にエルフハイムで産されるそれは生食は勿論、シードルやカルヴァドスなどの酒、あるいはジャムなどの材料としてその味が良く知られている事。
そして、保守的なエルフたちはエルフハイムの林檎を人間が消費することを嫌い、果樹園での栽培すら、単一の作物で大地を占有するのは自然に反する行為として蔑視している事。
一方で一部のエルフたちはこれを積極的に交易品として扱う道を模索している事。
「はい、お母さんは私がハンターになって外の世界を見て回ることに凄く怒りました。だけど、お爺ちゃんは選別代わりに持って行けって、こっそり庭で作っていたものを持たせてくれたんですっ」
「成る程……エルフも色々あるようだな」
男性は正直何かを食べたいという気分ではない。だが、林檎の甘酸っぱさは少しは気分を爽快にしてくれるかもしれないという期待もあった、何より、少女の行為をむげにするのも申し訳ない。
「かたじけない」
そんな訳で、男性が手を伸ばした瞬間――船が大きく揺れた。
「何だ!?」
「きゃあっ!」
直後、海中から巨大な影が跳躍し、甲板に着地した。
それは、巨大な蛸、ただしその足の半分が丁度人間の手足をそのまま巨大化させたような悍ましい物になっている歪虚であった。
「出やがった!」
「総員、戦闘準備!」
兵士や、ハンターの怒声が飛び交う。どうやら歪虚は一匹では無いらしく、小型の歪虚が船腹を這い上がって来ていた。
咄嗟に戦闘に備える男性。だが、エルフの方は悲鳴を上げた。
「あっ! お爺ちゃんの林檎が!」
船が揺れた拍子に転んだ少女のリュックから林檎が零れ甲板中に広がって行く。
あるいは、それを得物だと勘違いしたのか。蛸の歪虚は触手、あるいは手足を伸ばし、それを掴む。
そして、それを食べようと持ち上げた伝説のメドゥーサの頭の様に触手と手足に囲まれた体の下には――何と巨大な人間の顔があり、それが吐き気を催すほど人間に似た構造の口を開いて林檎を齧った。
「……!」
涙目にななった少女は素早く短剣を抜いた。旅先で出会った人間に林檎を振る舞うのは良くても、生きる者の敵である歪虚に奪われるのは耐え難かったようだ。
「落ち着け! 弓使いが突っ込んでどうする!」
男性は怒鳴って少女を制止すると、それぞれに戦闘態勢に入っているであろうあなたたちの方を振り向いた。
「兵隊さんたちは、雑魚の相手で精一杯だ。こいつは俺たちで何とかするしかないな……頼むぞ!」
海を守るための戦いが始まった。
名高い同盟海軍であっても、この広大な海を守るにはやはり数に頼るしかない部分もある。かくして海上封鎖に送られた船の何隻かは、リゼリオその他から急遽集まったハンターたちを乗せて、初夏の海へ漕ぎ出すことになった。
その船もまた、複数のハンターを戦闘員として乗船させていたが、その中に同盟の兵士たちと他のハンターの眼を一際ひきつける少女の姿があった。
一目でそれとわかる長い耳に、様々な国の人間の基準に当てはめても見目麗しいといえる外見。
いかにも、エルフらしい独特な雰囲気の衣装の上半身と、対照的に人間用と思しき下半身はいわゆるショートパンツ。
だが、何より目を引くのは知っている者ならリアルブルーのものと解るであろう巨大なリュックサックだった。
「これが海なんですね……」
いつ現れるかも解らない狂気の歪虚に神経を尖らせている同盟兵やハンターたちとは対照的に、少女は初めてみるらしい大海原に顔を強調させ、瞳を輝かせていた。
「……お前、エルフの癖に船が平気なのか?」
と、そんな少女に話しかけたのは、それなりにハンターの経験が長そうな中年の男性だった。
その顔色は今にも吐きそうな土気色である。
「お加減、悪いのですか?」
「ああ、昔から船は苦手でな……おえっ……自由都市同盟は俺の故郷でな……今回ばかりはと依頼を受けてみたが、やはり駄目だ……」
すると、少女はリュックに手を入れてごそごそやっていたかと思うと、何かを取り出し男に差し出した。
「はいっ、どうぞ! きっと気分が良くなるはずですっ♪」
それは、真っ赤に熟した大粒の林檎であった。
「こりゃあ……エルヴィンバルト界隈でもこんな見事なのは滅多にお目にかかれんぞ……」
エルヴィンバルトとは、帝国の南部にあるエルフハイムの帝国側の呼称である。
正確にはニーダーエルヴィンバルト、ミッダーエルヴィンバルト、オーバーエルヴィンバルトの三つの州に跨ってエルフハイムが広がっているのだ。
そして、ハンターとしてその界隈を訪れた男性は知っていた。
エルフにとって、林檎は森の恵みの象徴であり特にエルフハイムで産されるそれは生食は勿論、シードルやカルヴァドスなどの酒、あるいはジャムなどの材料としてその味が良く知られている事。
そして、保守的なエルフたちはエルフハイムの林檎を人間が消費することを嫌い、果樹園での栽培すら、単一の作物で大地を占有するのは自然に反する行為として蔑視している事。
一方で一部のエルフたちはこれを積極的に交易品として扱う道を模索している事。
「はい、お母さんは私がハンターになって外の世界を見て回ることに凄く怒りました。だけど、お爺ちゃんは選別代わりに持って行けって、こっそり庭で作っていたものを持たせてくれたんですっ」
「成る程……エルフも色々あるようだな」
男性は正直何かを食べたいという気分ではない。だが、林檎の甘酸っぱさは少しは気分を爽快にしてくれるかもしれないという期待もあった、何より、少女の行為をむげにするのも申し訳ない。
「かたじけない」
そんな訳で、男性が手を伸ばした瞬間――船が大きく揺れた。
「何だ!?」
「きゃあっ!」
直後、海中から巨大な影が跳躍し、甲板に着地した。
それは、巨大な蛸、ただしその足の半分が丁度人間の手足をそのまま巨大化させたような悍ましい物になっている歪虚であった。
「出やがった!」
「総員、戦闘準備!」
兵士や、ハンターの怒声が飛び交う。どうやら歪虚は一匹では無いらしく、小型の歪虚が船腹を這い上がって来ていた。
咄嗟に戦闘に備える男性。だが、エルフの方は悲鳴を上げた。
「あっ! お爺ちゃんの林檎が!」
船が揺れた拍子に転んだ少女のリュックから林檎が零れ甲板中に広がって行く。
あるいは、それを得物だと勘違いしたのか。蛸の歪虚は触手、あるいは手足を伸ばし、それを掴む。
そして、それを食べようと持ち上げた伝説のメドゥーサの頭の様に触手と手足に囲まれた体の下には――何と巨大な人間の顔があり、それが吐き気を催すほど人間に似た構造の口を開いて林檎を齧った。
「……!」
涙目にななった少女は素早く短剣を抜いた。旅先で出会った人間に林檎を振る舞うのは良くても、生きる者の敵である歪虚に奪われるのは耐え難かったようだ。
「落ち着け! 弓使いが突っ込んでどうする!」
男性は怒鳴って少女を制止すると、それぞれに戦闘態勢に入っているであろうあなたたちの方を振り向いた。
「兵隊さんたちは、雑魚の相手で精一杯だ。こいつは俺たちで何とかするしかないな……頼むぞ!」
海を守るための戦いが始まった。
解説
★目的
軍船を襲う下級ワァーシンの撃破
★戦場
自由都市同盟海軍が所持する軍艦の一隻。PCや敵の行動によっては海に落ちる事もありうる。
★味方NPC
エルフの少女
基本的にはOP通りの子。駆け出しレベルのイェーガー。
中年男性のエンフォーサー
エルフの少女よりは少し強い程度。装備もまあまあ。
これ以外に当然自由都市同盟の海軍兵士も少数乗り込んでいるが、他の敵と交戦しているため戦闘には参加せず判定にも影響しない。
★敵戦力
狂気(ワァーシン)「ディープメドゥーサ」
一見、足の半分が人間の手足のようになっているだけの大ダコだが、実は本来タコの口がある部分が巨大な人間の顔になっている。ここを使って墨を吐き、噛みついてくる。
なお、歪虚なので普通に人間を襲って来るが、何故かエルフの少女が落とした林檎にも強い興味を示し、隙あらば触手で食べようとする。
理由は不明。
なお、狂気の特性として絶対に退却はしない。
軍船を襲う下級ワァーシンの撃破
★戦場
自由都市同盟海軍が所持する軍艦の一隻。PCや敵の行動によっては海に落ちる事もありうる。
★味方NPC
エルフの少女
基本的にはOP通りの子。駆け出しレベルのイェーガー。
中年男性のエンフォーサー
エルフの少女よりは少し強い程度。装備もまあまあ。
これ以外に当然自由都市同盟の海軍兵士も少数乗り込んでいるが、他の敵と交戦しているため戦闘には参加せず判定にも影響しない。
★敵戦力
狂気(ワァーシン)「ディープメドゥーサ」
一見、足の半分が人間の手足のようになっているだけの大ダコだが、実は本来タコの口がある部分が巨大な人間の顔になっている。ここを使って墨を吐き、噛みついてくる。
なお、歪虚なので普通に人間を襲って来るが、何故かエルフの少女が落とした林檎にも強い興味を示し、隙あらば触手で食べようとする。
理由は不明。
なお、狂気の特性として絶対に退却はしない。
マスターより
お世話になっております。稲田和夫です。
連動と聞いては黙っていられない! という訳で【深棲】で早速一本お届けいたします。
NPCと言っても様々な立場の者が居ますが、今回のゲストは駆け出しのハンターというある意味では皆様に近い立場の少女の冒険の一幕となります。
帝国のエルフたちにとって林檎は少なからぬ思い入れのあるもののようです。
出来れば無事に守って食い物の恨みは恐ろしい事を教えてやりましょう。
では、興味を持っていただければ幸いです。
連動と聞いては黙っていられない! という訳で【深棲】で早速一本お届けいたします。
NPCと言っても様々な立場の者が居ますが、今回のゲストは駆け出しのハンターというある意味では皆様に近い立場の少女の冒険の一幕となります。
帝国のエルフたちにとって林檎は少なからぬ思い入れのあるもののようです。
出来れば無事に守って食い物の恨みは恐ろしい事を教えてやりましょう。
では、興味を持っていただければ幸いです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/02 17:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 デュプロ(ka0046) ドワーフ|14才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/07/25 22:00:01 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/20 20:29:10 |