ゲスト
(ka0000)
【深棲】タングラムの憂鬱
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/25 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/08/03 07:30
オープニング
●皇帝の思惑
「……私はてっきりまた、帝国軍をリゼリオに派兵する物と思っていましたよ」
リゼリオにある帝国ユニオンAPV。タングラム(kz0016)はそこでヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)と対峙していた。
表ではハンター達の賑やかな声が響いているが、タングラムの表情は硬い。ヴィルヘルミナは壁に背を預け、腕を組んだまま笑みを浮かべている。
「帝国は人類の守護者、それがあなたの言い分でしょう? どういうお考えですか?」
海から出現した狂気の歪虚に晒された同盟の受難に対し、ヴィルヘルミナは帝国の意志決定装置である騎士議会を開廷した。
騎士議会とは軍事国家である帝国における権力者、即ち皇帝と一部首脳陣、そして“十師団”と呼ばれる十名の師団長により開かれる会議の事だ。
そこでヴィルヘルミナは、まさかの戦闘介入に消極的な姿勢を示した。それはタングラムにとって納得のいかない事だった。
「全ての国、全ての人類を歪虚から守護する、それが帝国の方針の筈です。国民も兵もそのつもりであなたの後ろにいます。それが弱腰な方針を打ち出せば、反政府組織に付け入る隙を与えているようなものです」
「だろうな」
「この時の為に兵達も鍛錬を重ねて来た筈です。納得しない師団長も多かったのでは?」
「うちは変わり者が多いからな。ま、五分五分って所だろうか」
「あなたはこの国をけん引する存在です。その支持率が50%では足りないでしょう」
「……今回の事件への対応は師団長単位の判断に任せてある。無論、同盟からの支援要請には応じる。が、こちらからの積極的介入は行わない」
これが普通の国ならば当たり前の対応だが、帝国はワケが違う。
帝国は全ての国に軍事介入する事を望んでいた筈だ。この女はあのサルヴァトーレ・ロッソですら、本気で自分の物にしようとしていたのに。
「また何か悪巧みですか?」
ニヤリと口元を緩ませ皇帝は目を細める。その視線は恐ろしく冷たく、一切の感情を感じさせない。
「タングラム。新米ハンターはもう使い物になるかい?」
「え?」
「君が大事に育てているハンター達にとって、今回の事件は丁度良い経験になるだろう?」
「彼らは水中戦闘に慣れていません。それにどれも低級とは言え眷属です。新米が相手をするには荷が重く……」
「今の彼らに足りないのは経験、ただそれだけだ。今回の事件は彼らにこそ相応しい。タングラムのやり方に異論はないが……君は彼らに優しすぎるよ」
ごくりと生唾を飲み込む。ヴィルヘルミナの声はとても優しく穏やかなのだが、何故か背筋を冷たくさせた。
時折この女から感じる違和感。純粋で、真っ直ぐで、それが一回りして狡猾になったような瞬間がタングラムは苦手だった。
「大丈夫だよ。彼らは強い。きっと君が思っている以上に、ね」
ポンとタングラムの頭を帽子の上から撫で、女はまたにこりと笑う。そうして大きく体を伸ばすと首をコキコキ鳴らしながら歩き出す。
「では、また近いうちにな。せっかくここまで来たのだ、ハンター達の様子でも伺って帰るとしよう……フフフ」
裏口から出て行った皇帝を見送りタングラムは仮面を外す。その瞳は憂いを湛え、闇の中からハンター達を見つめていた。
●戦場へ
「……今回の事件発生に伴い、APVは帝国軍に成り代わり、各地の歪虚事件への対処を行います。これは帝国政府からの正式な協力要請です」
APVにて指令書を片手にハンター達に語り掛けるタングラム。帝国軍はジェオルジやヴァリオスに派兵する事を決定しているが、これはあくまで同盟軍の留守を守る程度の防衛部隊であり、歪虚に対する積極的なカウンターにはAPVが起用される事になるだろう。
「敵は水中でも万全に活動出来る狂気の眷属なのですね。海から出現する性質上、水中戦や船上戦も想定されます。詳しくは各依頼書に目を通してほしいのですよ」
帝国軍関係の依頼はAPVに協力要請がかかる可能性が高い。これは帝国の師団とユニオンのハンターが大々的に協同を張る、最初の戦場になるだろう。
「相手は下級も下級ですが、狂気の眷属です。中には強力な個体も混じっているでしょうし、不慣れな状況下での戦闘を強要される可能性もあります。いいですか? くれぐれも自身の実力と相談し、決して無理な戦いには挑まない事。必ず仲間と協力する事。生き残る為にこの二つを忘れないで下さい」
ハンター達を眺め、一度目を伏せるタングラム。昨晩のヴィルヘルミナの様子が引っかかっているが、その真意がわからない以上、今は戦うしかない。
「――今回の依頼には私も同行します。皆、気合を入れてしっかりいくですよ! APVの実力を帝国軍に見せつけてやるのです!」
発破をかける言葉は自分自身にも向けられていた。もしかしたらこの中から未帰還者が出るかもしれない。それを思うと戦いが嫌になってしまう。
だから出来る限り自分が共に行こうと思う。彼らの傍にいて、彼らがいつか自分を超えるその時まで、友として戦場に立とう。
「……それが今の私の生き方です、“陛下”」
“もう仲間は見捨てない”。そんな事はずっと前に、“彼”と出会った時から決めていた事だから……。
「……私はてっきりまた、帝国軍をリゼリオに派兵する物と思っていましたよ」
リゼリオにある帝国ユニオンAPV。タングラム(kz0016)はそこでヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)と対峙していた。
表ではハンター達の賑やかな声が響いているが、タングラムの表情は硬い。ヴィルヘルミナは壁に背を預け、腕を組んだまま笑みを浮かべている。
「帝国は人類の守護者、それがあなたの言い分でしょう? どういうお考えですか?」
海から出現した狂気の歪虚に晒された同盟の受難に対し、ヴィルヘルミナは帝国の意志決定装置である騎士議会を開廷した。
騎士議会とは軍事国家である帝国における権力者、即ち皇帝と一部首脳陣、そして“十師団”と呼ばれる十名の師団長により開かれる会議の事だ。
そこでヴィルヘルミナは、まさかの戦闘介入に消極的な姿勢を示した。それはタングラムにとって納得のいかない事だった。
「全ての国、全ての人類を歪虚から守護する、それが帝国の方針の筈です。国民も兵もそのつもりであなたの後ろにいます。それが弱腰な方針を打ち出せば、反政府組織に付け入る隙を与えているようなものです」
「だろうな」
「この時の為に兵達も鍛錬を重ねて来た筈です。納得しない師団長も多かったのでは?」
「うちは変わり者が多いからな。ま、五分五分って所だろうか」
「あなたはこの国をけん引する存在です。その支持率が50%では足りないでしょう」
「……今回の事件への対応は師団長単位の判断に任せてある。無論、同盟からの支援要請には応じる。が、こちらからの積極的介入は行わない」
これが普通の国ならば当たり前の対応だが、帝国はワケが違う。
帝国は全ての国に軍事介入する事を望んでいた筈だ。この女はあのサルヴァトーレ・ロッソですら、本気で自分の物にしようとしていたのに。
「また何か悪巧みですか?」
ニヤリと口元を緩ませ皇帝は目を細める。その視線は恐ろしく冷たく、一切の感情を感じさせない。
「タングラム。新米ハンターはもう使い物になるかい?」
「え?」
「君が大事に育てているハンター達にとって、今回の事件は丁度良い経験になるだろう?」
「彼らは水中戦闘に慣れていません。それにどれも低級とは言え眷属です。新米が相手をするには荷が重く……」
「今の彼らに足りないのは経験、ただそれだけだ。今回の事件は彼らにこそ相応しい。タングラムのやり方に異論はないが……君は彼らに優しすぎるよ」
ごくりと生唾を飲み込む。ヴィルヘルミナの声はとても優しく穏やかなのだが、何故か背筋を冷たくさせた。
時折この女から感じる違和感。純粋で、真っ直ぐで、それが一回りして狡猾になったような瞬間がタングラムは苦手だった。
「大丈夫だよ。彼らは強い。きっと君が思っている以上に、ね」
ポンとタングラムの頭を帽子の上から撫で、女はまたにこりと笑う。そうして大きく体を伸ばすと首をコキコキ鳴らしながら歩き出す。
「では、また近いうちにな。せっかくここまで来たのだ、ハンター達の様子でも伺って帰るとしよう……フフフ」
裏口から出て行った皇帝を見送りタングラムは仮面を外す。その瞳は憂いを湛え、闇の中からハンター達を見つめていた。
●戦場へ
「……今回の事件発生に伴い、APVは帝国軍に成り代わり、各地の歪虚事件への対処を行います。これは帝国政府からの正式な協力要請です」
APVにて指令書を片手にハンター達に語り掛けるタングラム。帝国軍はジェオルジやヴァリオスに派兵する事を決定しているが、これはあくまで同盟軍の留守を守る程度の防衛部隊であり、歪虚に対する積極的なカウンターにはAPVが起用される事になるだろう。
「敵は水中でも万全に活動出来る狂気の眷属なのですね。海から出現する性質上、水中戦や船上戦も想定されます。詳しくは各依頼書に目を通してほしいのですよ」
帝国軍関係の依頼はAPVに協力要請がかかる可能性が高い。これは帝国の師団とユニオンのハンターが大々的に協同を張る、最初の戦場になるだろう。
「相手は下級も下級ですが、狂気の眷属です。中には強力な個体も混じっているでしょうし、不慣れな状況下での戦闘を強要される可能性もあります。いいですか? くれぐれも自身の実力と相談し、決して無理な戦いには挑まない事。必ず仲間と協力する事。生き残る為にこの二つを忘れないで下さい」
ハンター達を眺め、一度目を伏せるタングラム。昨晩のヴィルヘルミナの様子が引っかかっているが、その真意がわからない以上、今は戦うしかない。
「――今回の依頼には私も同行します。皆、気合を入れてしっかりいくですよ! APVの実力を帝国軍に見せつけてやるのです!」
発破をかける言葉は自分自身にも向けられていた。もしかしたらこの中から未帰還者が出るかもしれない。それを思うと戦いが嫌になってしまう。
だから出来る限り自分が共に行こうと思う。彼らの傍にいて、彼らがいつか自分を超えるその時まで、友として戦場に立とう。
「……それが今の私の生き方です、“陛下”」
“もう仲間は見捨てない”。そんな事はずっと前に、“彼”と出会った時から決めていた事だから……。
解説
●目的
歪虚の殲滅。
●概要
同盟領に出現した狂気の歪虚に対する迎撃、防衛作戦が各地で展開されている。
APVも例にもれずこの作戦展開に参戦する。ハンター諸君は現地に急行し、歪虚を殲滅せよ。
目的地は同盟領のとある自由都市の海辺。砂浜より複数の歪虚が上陸しており、都市部に向かっている。
現在は同盟軍と帝国軍の混成部隊が迎撃に当たっているが、非覚醒者のみの防衛部隊であり、敵の完全な撃破は難しい。
敵には強力な個体も混じっている為、防衛部隊の壊滅は時間の問題だ。
可能な限り防衛部隊の被害を押さえ、歪虚を殲滅してほしい。
また、敵の増援が出現する可能性が高い。安全が確保されるまで油断しない事。
尚、戦場は砂浜なので水中戦闘は発生しない。自分から入りに行かなければ、だが。
●敵戦力
『半魚人』
さほど強くない人型の魚。銛のような尖った武器を持っている。
全ての個体の顔が違う個性的な敵。初期で六体配置。
『大ヤドカリ』
大型のヤドカリのような歪虚。武器は鋭い鋏。
貝殻のような装甲を持ち見た目通り頑丈で、かつ意外と素早い。初期は二体配置。
●友軍戦力
防衛部隊が八名戦闘中。
剣と盾を装備した兵士と魔導銃を装備した兵士が半々の混成。覚醒者はいない。
声をかければ連携可能だが、帝国兵はあまりハンターの言う事を聞かない。
APVより疾影士のタングラムが同行。短剣使い。強いのでやばかったら多分助けてくれる。
歪虚の殲滅。
●概要
同盟領に出現した狂気の歪虚に対する迎撃、防衛作戦が各地で展開されている。
APVも例にもれずこの作戦展開に参戦する。ハンター諸君は現地に急行し、歪虚を殲滅せよ。
目的地は同盟領のとある自由都市の海辺。砂浜より複数の歪虚が上陸しており、都市部に向かっている。
現在は同盟軍と帝国軍の混成部隊が迎撃に当たっているが、非覚醒者のみの防衛部隊であり、敵の完全な撃破は難しい。
敵には強力な個体も混じっている為、防衛部隊の壊滅は時間の問題だ。
可能な限り防衛部隊の被害を押さえ、歪虚を殲滅してほしい。
また、敵の増援が出現する可能性が高い。安全が確保されるまで油断しない事。
尚、戦場は砂浜なので水中戦闘は発生しない。自分から入りに行かなければ、だが。
●敵戦力
『半魚人』
さほど強くない人型の魚。銛のような尖った武器を持っている。
全ての個体の顔が違う個性的な敵。初期で六体配置。
『大ヤドカリ』
大型のヤドカリのような歪虚。武器は鋭い鋏。
貝殻のような装甲を持ち見た目通り頑丈で、かつ意外と素早い。初期は二体配置。
●友軍戦力
防衛部隊が八名戦闘中。
剣と盾を装備した兵士と魔導銃を装備した兵士が半々の混成。覚醒者はいない。
声をかければ連携可能だが、帝国兵はあまりハンターの言う事を聞かない。
APVより疾影士のタングラムが同行。短剣使い。強いのでやばかったら多分助けてくれる。
マスターより
お世話になっております、神宮寺でございます。
というわけで初の大規模作戦、そして関連依頼です。
出来る限り頑張ってシナリオ出して盛り上げますので、お付き合いの方宜しくお願い致します。
友軍が結構いるのでわかると思いますが、結構な数が増援で出てくると思います。
それとハンター嫌いな兵士がいるでしょうから、連携をうまく行かせるには工夫が必要です。
それでは宜しくお願い致します。
というわけで初の大規模作戦、そして関連依頼です。
出来る限り頑張ってシナリオ出して盛り上げますので、お付き合いの方宜しくお願い致します。
友軍が結構いるのでわかると思いますが、結構な数が増援で出てくると思います。
それとハンター嫌いな兵士がいるでしょうから、連携をうまく行かせるには工夫が必要です。
それでは宜しくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/07/25 11:40
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ゼル・アーガイア(ka0373) 人間(リアルブルー)|19才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/07/25 03:53:30 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/24 00:19:45 |