ゲスト
(ka0000)
少年、カツアゲに遭う
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/09/23 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/10/02 07:30
オープニング
●やっぱり王国が好き
そよぐ空気の軽さに、プエル(kz0127)はマントをなびかせスキップする。
町に入るところで、フードを目深にかぶり門をすり抜ける。両肩またがるように乗っている毛玉が目立つが、意外と問題なかった。
レチタティーヴォと一緒なら、どこにでも行くが、やはりグラズヘイム王国が良かった。
「余の故郷?」
「きゅ?」
「レチタティーヴォ様に会う前、僕はどこにいたんだろう?」
胸の中がざわついた。先日、ハンターから問いかけられた言葉であった。
「……ま、いいや。僕は今がいい。レチタティーヴォ様も何も言わないし」
「きゅ」
プエルは店の前に立った。きれいなハンカチや布でできたアクセサリーが売っている。
眺めるだけで、買わずに場を後にした。
トコトコと歩いて、ガラの悪い地域に足を踏み入れた。
昔はこんなところに入ることはなかった。危険だから入ってはいけないと言い含められているから。
(誰に?)
良くわからないことは考えないことにして、プエルは不穏な空気に心を躍らせる。
いかつい青年たちが「いいカモが来た」とプエルを見て思っているだろうことは想像できた。
青年たちによって行く手はふさがれる。細い路地にも入れない、おろおろとプエルはわざと動く。
「なあ、坊や、ここを通りたければ、財布の中身を全部おいていきな」
「……なんで?」
怯えた声を出しておくと、後でプエルが抵抗した時の相手の反応は面白くなる。
男たちは唾を飲み互いに顔を見合わせた。
「フード外しな」
「……でも、町の中では外してはいけないって言われているし、人間に命令されたくはない」
一人がフードをはぎ取る。
フードを取った男はプエルの顎を掴んで上を向かせる。違和感はあったはずだが、気付くのは遅かった。薄暗いために、これまでのイメージにより。
「へえ、可愛いじゃねぇか。お兄さんたちと遊ぼうか?」
「かわっ……余は、遊ぶとしても下賤なお前らとはない」
プエルが引き抜いた剣は男の心臓を貫く。
「やっちまえ」
恐怖に駆られた青年たちは突撃を選んでしまった。
全員が殺されて横たわるのをプエルは見つめる。モフリが人間の死体の周りを楽しそうに動き回る。
「ああ、服が汚れちゃったから帰ろう」
歩き始めたプエルはエクラの教会からオルガンと子どもたちの声が響くのに気付いた。
●市場の取引
商人のデリクは行商として扱うものを広げたいと辺境に行ったが、歪虚の襲撃によりすべてが台無しになった。集落一つ消えるのに立ち会う羽目になり、仲良くなった子も死んだ。もう少し冷静に行動をとっていればと悔やんでも悔やみきれなかった。
彼が声を上げたために一人の少年の命が失われた。それまでに生きていた希望もあった。
美しい少年の姿の人形。レチタティーヴォ配下であることは本人が名乗っているので間違いはない。
商人はできれば倒したいと願うが、彼は商人であり、戦士ではない。商人でも豪商でもない、お金すらない。悶々とした日々を過ごす。
町の中で店を広げる。香辛料を中心に運びやすいものだ。
フードをかぶった青年が通った。
座っていた彼には見えた、フードの中が。顔立ちは十人並だが、髪は銀、目が金の目立つ色合いの青年。
「あ、ああ、あいつはっ! エクエスッ」
青年は足を止めた。
デリクは冷や汗が湧き上がった。夕食前の買い出しの時間で人が多く集まっている市場で、以前やった過ちを再び繰り返したのだ。
「ああ……辺境ではどうも」
青年の人形は礼儀正しくお辞儀をする、まるで旧知に会ったように。
人々が動き出す。知り合いを見つけて商人は声を掛けたのだ、と認識して。切羽詰まっていたのは、なかなか会える相手ではなかったからだろう、と。
エクエスが常識を持ち合わせているわけではないし、歪虚である相手に望むものではなかった。
「どうしたんですか? ああ、うちの若君を見つける手伝いをしてくれるんですか?」
あの人形も来ている? デリクは喉がひり付いた。ハンターズソサエティの支部がない町を選んでいるのか?
エクエスが喉の奥で笑う。
「まあ、あなたの勝手ですが、プエル様がどこにいるかなど私は知りませんよ? あの方、大人しく人間ごっこしているかもしれませんが、不興を買うようなことをする人がいれば……」
「……」
「あの方、魔法も使えますし……」
「はったりだろう?」
「そうですね、はったりかも知れません。ですが、ここは町中。鍛えられた兵士でもハンターでもありませんよ、犠牲になるのは」
デリクは息をのんだ。
「でもまあ、あの方は分別あるので、この町を襲撃しようとは考えないですよ、ええ、可愛らしいのでうちの若君は」
数で押せば行けるのではないかとデリクは思わなくはない。何も備えをしていない町を戦場にするわけにはいかない。
「どうです、取引しませんか? 私達を町の外に無傷で出すということ。そうすればここで私は剣を抜きません」
商人はうなずくしかなかった。自分の不用意な発言で死人が出ることは望まないから。
●教会
「いいですか、次はこの音ですよ?」
司祭がオルガンを鳴らすと、子どもたちは声を出す。
「では……」
がちゃりと礼拝堂の扉が開いた。
「余も歌いたい!」
飛びこんで来た少年は小走りにやってくる。
羽織っているマントも服も、貴族が身に付けるような立派な物であるが、このあたりで見ない少年。
かすかな血臭が漂う。少年のマントには血の跡があり、はねあげたフードの下から現れた美しい顔は、陶器めいたつやを持つ。
「ねえ、オルガン弾いてよ」
司祭は理解した、この少年は人間ではないと。
「ねえ、なんで黙っているの? ああ、余が独りじゃないから? じゃあ、そこの子たちを殺そう」
にこりと愛らしい笑顔でぞっとする提案をする。
突然のことで黙っていた子らが騒ぎ出す。司祭は子どもたちとの間に割って入った。
冷や汗が流れる。
「では弾きましょう? 何の楽曲がよろしいのですか? 知っていないモノもあると思いますが……」
司祭は子どもたちを逃がすタイミングを探す。
「いいかい、大人しくしているんだよ? 合図をしたら裏から……」
大きい子に話しかけてから司祭はオルガンの椅子に座る。
要求が通って喜ぶ歪虚の少年が上げたタイトルは、どれもここの子らに教えているようなモノであった。
そよぐ空気の軽さに、プエル(kz0127)はマントをなびかせスキップする。
町に入るところで、フードを目深にかぶり門をすり抜ける。両肩またがるように乗っている毛玉が目立つが、意外と問題なかった。
レチタティーヴォと一緒なら、どこにでも行くが、やはりグラズヘイム王国が良かった。
「余の故郷?」
「きゅ?」
「レチタティーヴォ様に会う前、僕はどこにいたんだろう?」
胸の中がざわついた。先日、ハンターから問いかけられた言葉であった。
「……ま、いいや。僕は今がいい。レチタティーヴォ様も何も言わないし」
「きゅ」
プエルは店の前に立った。きれいなハンカチや布でできたアクセサリーが売っている。
眺めるだけで、買わずに場を後にした。
トコトコと歩いて、ガラの悪い地域に足を踏み入れた。
昔はこんなところに入ることはなかった。危険だから入ってはいけないと言い含められているから。
(誰に?)
良くわからないことは考えないことにして、プエルは不穏な空気に心を躍らせる。
いかつい青年たちが「いいカモが来た」とプエルを見て思っているだろうことは想像できた。
青年たちによって行く手はふさがれる。細い路地にも入れない、おろおろとプエルはわざと動く。
「なあ、坊や、ここを通りたければ、財布の中身を全部おいていきな」
「……なんで?」
怯えた声を出しておくと、後でプエルが抵抗した時の相手の反応は面白くなる。
男たちは唾を飲み互いに顔を見合わせた。
「フード外しな」
「……でも、町の中では外してはいけないって言われているし、人間に命令されたくはない」
一人がフードをはぎ取る。
フードを取った男はプエルの顎を掴んで上を向かせる。違和感はあったはずだが、気付くのは遅かった。薄暗いために、これまでのイメージにより。
「へえ、可愛いじゃねぇか。お兄さんたちと遊ぼうか?」
「かわっ……余は、遊ぶとしても下賤なお前らとはない」
プエルが引き抜いた剣は男の心臓を貫く。
「やっちまえ」
恐怖に駆られた青年たちは突撃を選んでしまった。
全員が殺されて横たわるのをプエルは見つめる。モフリが人間の死体の周りを楽しそうに動き回る。
「ああ、服が汚れちゃったから帰ろう」
歩き始めたプエルはエクラの教会からオルガンと子どもたちの声が響くのに気付いた。
●市場の取引
商人のデリクは行商として扱うものを広げたいと辺境に行ったが、歪虚の襲撃によりすべてが台無しになった。集落一つ消えるのに立ち会う羽目になり、仲良くなった子も死んだ。もう少し冷静に行動をとっていればと悔やんでも悔やみきれなかった。
彼が声を上げたために一人の少年の命が失われた。それまでに生きていた希望もあった。
美しい少年の姿の人形。レチタティーヴォ配下であることは本人が名乗っているので間違いはない。
商人はできれば倒したいと願うが、彼は商人であり、戦士ではない。商人でも豪商でもない、お金すらない。悶々とした日々を過ごす。
町の中で店を広げる。香辛料を中心に運びやすいものだ。
フードをかぶった青年が通った。
座っていた彼には見えた、フードの中が。顔立ちは十人並だが、髪は銀、目が金の目立つ色合いの青年。
「あ、ああ、あいつはっ! エクエスッ」
青年は足を止めた。
デリクは冷や汗が湧き上がった。夕食前の買い出しの時間で人が多く集まっている市場で、以前やった過ちを再び繰り返したのだ。
「ああ……辺境ではどうも」
青年の人形は礼儀正しくお辞儀をする、まるで旧知に会ったように。
人々が動き出す。知り合いを見つけて商人は声を掛けたのだ、と認識して。切羽詰まっていたのは、なかなか会える相手ではなかったからだろう、と。
エクエスが常識を持ち合わせているわけではないし、歪虚である相手に望むものではなかった。
「どうしたんですか? ああ、うちの若君を見つける手伝いをしてくれるんですか?」
あの人形も来ている? デリクは喉がひり付いた。ハンターズソサエティの支部がない町を選んでいるのか?
エクエスが喉の奥で笑う。
「まあ、あなたの勝手ですが、プエル様がどこにいるかなど私は知りませんよ? あの方、大人しく人間ごっこしているかもしれませんが、不興を買うようなことをする人がいれば……」
「……」
「あの方、魔法も使えますし……」
「はったりだろう?」
「そうですね、はったりかも知れません。ですが、ここは町中。鍛えられた兵士でもハンターでもありませんよ、犠牲になるのは」
デリクは息をのんだ。
「でもまあ、あの方は分別あるので、この町を襲撃しようとは考えないですよ、ええ、可愛らしいのでうちの若君は」
数で押せば行けるのではないかとデリクは思わなくはない。何も備えをしていない町を戦場にするわけにはいかない。
「どうです、取引しませんか? 私達を町の外に無傷で出すということ。そうすればここで私は剣を抜きません」
商人はうなずくしかなかった。自分の不用意な発言で死人が出ることは望まないから。
●教会
「いいですか、次はこの音ですよ?」
司祭がオルガンを鳴らすと、子どもたちは声を出す。
「では……」
がちゃりと礼拝堂の扉が開いた。
「余も歌いたい!」
飛びこんで来た少年は小走りにやってくる。
羽織っているマントも服も、貴族が身に付けるような立派な物であるが、このあたりで見ない少年。
かすかな血臭が漂う。少年のマントには血の跡があり、はねあげたフードの下から現れた美しい顔は、陶器めいたつやを持つ。
「ねえ、オルガン弾いてよ」
司祭は理解した、この少年は人間ではないと。
「ねえ、なんで黙っているの? ああ、余が独りじゃないから? じゃあ、そこの子たちを殺そう」
にこりと愛らしい笑顔でぞっとする提案をする。
突然のことで黙っていた子らが騒ぎ出す。司祭は子どもたちとの間に割って入った。
冷や汗が流れる。
「では弾きましょう? 何の楽曲がよろしいのですか? 知っていないモノもあると思いますが……」
司祭は子どもたちを逃がすタイミングを探す。
「いいかい、大人しくしているんだよ? 合図をしたら裏から……」
大きい子に話しかけてから司祭はオルガンの椅子に座る。
要求が通って喜ぶ歪虚の少年が上げたタイトルは、どれもここの子らに教えているようなモノであった。
解説
皆さんは市場での騒ぎにたまたまいたハンターで、デリクの依頼を受けた形です。
●デリクに突き付けた条件
プエルとエクエスを無傷で町の外に出すこと。
市場で約束をした時、「条件を守ればここで私は剣を抜かない」とエクエスは言いました。
エクエスによるプエルのいそうなところは「市場」「教会」「劇場」「路地裏」。なお、この町には「劇場」はありません。
●歪虚NPC
・エクエス
嫉妬の歪虚。プエルを探しに来てます。銀髪に金目という派手な色合いの青年。
・プエル
嫉妬の歪虚。歌うの大好き。
大剣を背負うことが多かったのですが、こっそりと言う言葉を理解して腰に履ける程度の剣のみ持参。魔法使えますが、剣を抜く方が確率は高いです。
なお、毛玉はプエルのペットで妖怪で名前はモフリ。怒ると一回り大きくなり炎を噴き上げます。
●依頼人
デリク 行商人。辺境に出向いたとき、二人の歪虚が虐殺するところに出会ってしまいました(参考、狐野径「【不動】少年、艶やかに微笑む」)。
●教会の状況
オルガン弾ける司祭が、地域の子らに歌を教えている最中でした。子らは男女6~12歳、7人います。
祭壇の脇の扉から居住用の建物に出入り可能です、居住用の建物からは外に出ることもできます。
オルガンは祭壇の近くです。
なお、プエルから下りたモフリはうろうろしています。
●デリクに突き付けた条件
プエルとエクエスを無傷で町の外に出すこと。
市場で約束をした時、「条件を守ればここで私は剣を抜かない」とエクエスは言いました。
エクエスによるプエルのいそうなところは「市場」「教会」「劇場」「路地裏」。なお、この町には「劇場」はありません。
●歪虚NPC
・エクエス
嫉妬の歪虚。プエルを探しに来てます。銀髪に金目という派手な色合いの青年。
・プエル
嫉妬の歪虚。歌うの大好き。
大剣を背負うことが多かったのですが、こっそりと言う言葉を理解して腰に履ける程度の剣のみ持参。魔法使えますが、剣を抜く方が確率は高いです。
なお、毛玉はプエルのペットで妖怪で名前はモフリ。怒ると一回り大きくなり炎を噴き上げます。
●依頼人
デリク 行商人。辺境に出向いたとき、二人の歪虚が虐殺するところに出会ってしまいました(参考、狐野径「【不動】少年、艶やかに微笑む」)。
●教会の状況
オルガン弾ける司祭が、地域の子らに歌を教えている最中でした。子らは男女6~12歳、7人います。
祭壇の脇の扉から居住用の建物に出入り可能です、居住用の建物からは外に出ることもできます。
オルガンは祭壇の近くです。
なお、プエルから下りたモフリはうろうろしています。
マスターより
こんにちは。愛しのグラズヘイムよ! と言うには歪虚なんでどうなんでしょう……。
プエルはおとなしく人間ごっこしている間は経済活動も行います。犯罪に巻き込まれたり、巻き込んだり。
ハンター見た瞬間、プエルは臨戦態勢になると思っていただいて構いません。司祭と子どもたちを殺すことに罪悪感はありません、歪虚なので。
教会から追い出せば、プエルは町の外に向かいます、基本的には。
よろしくお願いします。
プエルはおとなしく人間ごっこしている間は経済活動も行います。犯罪に巻き込まれたり、巻き込んだり。
ハンター見た瞬間、プエルは臨戦態勢になると思っていただいて構いません。司祭と子どもたちを殺すことに罪悪感はありません、歪虚なので。
教会から追い出せば、プエルは町の外に向かいます、基本的には。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/09/28 06:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 ステラ・レッドキャップ(ka5434) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/09/23 06:34:09 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/22 08:36:22 |