ゲスト
(ka0000)
悪意を喰らう『悪意』
マスター:香月丈流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/09/30 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/10/09 12:00
オープニング
●
最初は、単なるミスかと思っていた。『それ』が後々になって大事になるとは、誰も想像しなかっただろう。
(あれ……? この木箱、カラだ。間違って搬入されたのかな?)
荷物の確認をしながら、男性は軽く小首を傾げた。西方から大量に送られてくる、救援物資の数々。彼は東方に届いた物資の中身を確かめ、仕分けする作業を担当していた。
各国からの協力は厚く、復興は想像よりも早く進んでいる。そんな情勢もあり、空箱を疑問に思う者は1人も居なかった。むしろ『中身が入っていないなら、荷物の運搬に使える』と、前向きな解釈をしたのである。
だが……。
1度や2度ならまだしも、空箱の輸送は何度も続いた。それだけでなく、箱の中に石を詰め込んで重さを誤魔化したり、『木箱の中から木箱、その中から更に木箱』という事も起きた。
「またかよ……ったく、西方サンは何を考えていやがるんだか!」
荷物チェックをしていた男性が、不機嫌な表情で声を荒げる。こんなイヤガラセ行為を何度も受けたら、怒るのは当然ではあるが。我慢の限界に達したのか、男性は抗議の連絡を西方に送った。
●
「そんな馬鹿な!?」
連絡を受けた集荷場は、軽くパニック状態である。空箱も、『木箱を入れた木箱』も、送った記憶が無い。そもそも、そんなイヤガラセをする理由もない。原因究明のため、緊急の調査が行われた。
その結果、導き出された答えは……運搬中の『荷物スリ替え』。集荷場は人の目が多いため、荷物に細工をするのは難しい。それに、荷物の積み下ろしをした時点でバレてしまうだろう。
だとしたら、問題が起きているのは『その前』。物資の運搬中しかない。
無論、証拠も見付かった。荷物から空箱が見付かった時、運搬には『とある人物』が関わっている。書面や記録には残っていないが、彼が周囲に内緒で運搬を代行する事もあったらしい。
同僚達にとっては、『仕事が減って助かる』程度の認識だったようだ。しかし……事件に発展した今となっては、不自然な行動だとしか思えない。
これで、犯人は特定できた。あとは、その人物を捕まえれば事件は終わる。
ハズだった。
月の無い静かな夜……集荷場の職員達は犯人を捕まえるため、憲兵と協力して荷馬車を追跡していた。相手に気付かれないよう、木陰や物陰に隠れてコッソリと。
犯人が出発してから数時間。倉庫らしき建物の近くで、馬車が不意に停まった。その扉が開き、数人の男性が庫内から木箱を運び出す。
恐らく、彼らも共犯者なのだろう。物資の一部を横領し、国内で転売。元手はゼロに等しいが……人々の好意を踏みにじる、卑劣な行為である。
「そこまでだ! お前達、全員そこを動くな!」
「ヤベェ、憲兵だ!」
憲兵の叫びに反応し、犯人達が一斉に駆け出す。このまま、長い追い駆けっこが始まるかと思った瞬間……その場に居た全員が『異変』に気付いた。
闇の奥から肌を叩く、圧倒的過ぎる威圧感。
鼻を貫くような獣臭に、吐き気を催すような腐臭。
そして……低い唸り声。
背骨に氷柱を突っ込まれたような寒気が、全身を一気に駆け抜ける。全員の動きが凍りつく中、異形が静かに姿を現した。
闇の中で蠢く巨体に、真紅の眼。照明が映し出したのは……3つの首を持つ犬だった。全身の肉は腐れ、死臭と腐臭が絶妙なバランスで混ざり合い、不快感を加速させている。
「あ……あぁ……!」
声にならない悲鳴。人智を超えた存在を目の当りにすると、人は無力な存在と化す。それを知ってか知らずか、三つ首の犬は地面を蹴って跳び掛かった。
巨体が宙を舞い、血飛沫が派手に舞い散る。犬の3つの口は、犯人達を一撃で噛み砕いていた。状態は説明するまでもなく……即死。
更に、犬の口から炎が噴き出した。赤々と燃える炎が死体を焦がし、馬車を燃やし、周囲に燃え移っていく。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
恐怖が限界を超え、狂ったように叫び出す憲兵と職員達。そのまま、彼らは無我夢中で逃げ出した。
どこをどう走ったのか、覚えている者は1人も居ない。ただ……翌朝に発見された惨殺死体が、雑魔出現の証拠となっていた。
最初は、単なるミスかと思っていた。『それ』が後々になって大事になるとは、誰も想像しなかっただろう。
(あれ……? この木箱、カラだ。間違って搬入されたのかな?)
荷物の確認をしながら、男性は軽く小首を傾げた。西方から大量に送られてくる、救援物資の数々。彼は東方に届いた物資の中身を確かめ、仕分けする作業を担当していた。
各国からの協力は厚く、復興は想像よりも早く進んでいる。そんな情勢もあり、空箱を疑問に思う者は1人も居なかった。むしろ『中身が入っていないなら、荷物の運搬に使える』と、前向きな解釈をしたのである。
だが……。
1度や2度ならまだしも、空箱の輸送は何度も続いた。それだけでなく、箱の中に石を詰め込んで重さを誤魔化したり、『木箱の中から木箱、その中から更に木箱』という事も起きた。
「またかよ……ったく、西方サンは何を考えていやがるんだか!」
荷物チェックをしていた男性が、不機嫌な表情で声を荒げる。こんなイヤガラセ行為を何度も受けたら、怒るのは当然ではあるが。我慢の限界に達したのか、男性は抗議の連絡を西方に送った。
●
「そんな馬鹿な!?」
連絡を受けた集荷場は、軽くパニック状態である。空箱も、『木箱を入れた木箱』も、送った記憶が無い。そもそも、そんなイヤガラセをする理由もない。原因究明のため、緊急の調査が行われた。
その結果、導き出された答えは……運搬中の『荷物スリ替え』。集荷場は人の目が多いため、荷物に細工をするのは難しい。それに、荷物の積み下ろしをした時点でバレてしまうだろう。
だとしたら、問題が起きているのは『その前』。物資の運搬中しかない。
無論、証拠も見付かった。荷物から空箱が見付かった時、運搬には『とある人物』が関わっている。書面や記録には残っていないが、彼が周囲に内緒で運搬を代行する事もあったらしい。
同僚達にとっては、『仕事が減って助かる』程度の認識だったようだ。しかし……事件に発展した今となっては、不自然な行動だとしか思えない。
これで、犯人は特定できた。あとは、その人物を捕まえれば事件は終わる。
ハズだった。
月の無い静かな夜……集荷場の職員達は犯人を捕まえるため、憲兵と協力して荷馬車を追跡していた。相手に気付かれないよう、木陰や物陰に隠れてコッソリと。
犯人が出発してから数時間。倉庫らしき建物の近くで、馬車が不意に停まった。その扉が開き、数人の男性が庫内から木箱を運び出す。
恐らく、彼らも共犯者なのだろう。物資の一部を横領し、国内で転売。元手はゼロに等しいが……人々の好意を踏みにじる、卑劣な行為である。
「そこまでだ! お前達、全員そこを動くな!」
「ヤベェ、憲兵だ!」
憲兵の叫びに反応し、犯人達が一斉に駆け出す。このまま、長い追い駆けっこが始まるかと思った瞬間……その場に居た全員が『異変』に気付いた。
闇の奥から肌を叩く、圧倒的過ぎる威圧感。
鼻を貫くような獣臭に、吐き気を催すような腐臭。
そして……低い唸り声。
背骨に氷柱を突っ込まれたような寒気が、全身を一気に駆け抜ける。全員の動きが凍りつく中、異形が静かに姿を現した。
闇の中で蠢く巨体に、真紅の眼。照明が映し出したのは……3つの首を持つ犬だった。全身の肉は腐れ、死臭と腐臭が絶妙なバランスで混ざり合い、不快感を加速させている。
「あ……あぁ……!」
声にならない悲鳴。人智を超えた存在を目の当りにすると、人は無力な存在と化す。それを知ってか知らずか、三つ首の犬は地面を蹴って跳び掛かった。
巨体が宙を舞い、血飛沫が派手に舞い散る。犬の3つの口は、犯人達を一撃で噛み砕いていた。状態は説明するまでもなく……即死。
更に、犬の口から炎が噴き出した。赤々と燃える炎が死体を焦がし、馬車を燃やし、周囲に燃え移っていく。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
恐怖が限界を超え、狂ったように叫び出す憲兵と職員達。そのまま、彼らは無我夢中で逃げ出した。
どこをどう走ったのか、覚えている者は1人も居ない。ただ……翌朝に発見された惨殺死体が、雑魔出現の証拠となっていた。
解説
救援物資を横領し、運悪く雑魔の犠牲となった男達。彼らの行動は『自業自得』と言えるかもしれませんが、雑魔を放置したら犠牲者が増えてしまいます。事件解決のためにも、協力をお願いします。
雑魔が現れたのは、帝国南西部の街道。現場の数km圏内に森や川がありますが、倉庫以外の建造物はありません。
故に人通りは少なく、半ば物資輸送専用の道となっています。ですので、一般市民が戦闘に巻き込まれる可能性はゼロに等しいです。
街道自体は整備され、石畳の道が続いています。道幅は10m前後。両側には原野が広がっているので、行動を阻害する物はありません。
今回の殲滅対象は、3つ首の犬。体長は3m程度で、死体型の雑魔です。爪や牙で攻撃してくる他に、炎を操る能力を備えています。
爪牙は至近距離専用ですが、炎は10m前後まで一直線に伸び、射線上の対象を同時に攻撃します。
戦闘能力は、下級歪虚よりも若干上。駆け出しのハンターが1体1で戦ったら、勝つのは厳しいかもしれません。
犬なので嗅覚に優れているため、現場付近で『覚醒者の匂い』を感じたら、姿を現して襲ってくるでしょう。この雑魔を倒せなければ、依頼は失敗となります。
雑魔が現れたのは、帝国南西部の街道。現場の数km圏内に森や川がありますが、倉庫以外の建造物はありません。
故に人通りは少なく、半ば物資輸送専用の道となっています。ですので、一般市民が戦闘に巻き込まれる可能性はゼロに等しいです。
街道自体は整備され、石畳の道が続いています。道幅は10m前後。両側には原野が広がっているので、行動を阻害する物はありません。
今回の殲滅対象は、3つ首の犬。体長は3m程度で、死体型の雑魔です。爪や牙で攻撃してくる他に、炎を操る能力を備えています。
爪牙は至近距離専用ですが、炎は10m前後まで一直線に伸び、射線上の対象を同時に攻撃します。
戦闘能力は、下級歪虚よりも若干上。駆け出しのハンターが1体1で戦ったら、勝つのは厳しいかもしれません。
犬なので嗅覚に優れているため、現場付近で『覚醒者の匂い』を感じたら、姿を現して襲ってくるでしょう。この雑魔を倒せなければ、依頼は失敗となります。
マスターより
この依頼に目を通して下さった方、参加して下さった方、過去に参加して下さった方に感謝を。
香月丈流です。
被害者は夜に襲われましたが、他の時間帯でも出現します。
『夜間の方が出現率が高い』という事はありません。
プレイングはテンプレートに拘らず、自由に書いてOKです。
香月丈流です。
被害者は夜に襲われましたが、他の時間帯でも出現します。
『夜間の方が出現率が高い』という事はありません。
プレイングはテンプレートに拘らず、自由に書いてOKです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/10/08 13:24
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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VS犬犬犬 水流崎トミヲ(ka4852) 人間(リアルブルー)|27才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/09/30 02:37:23 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/29 13:25:38 |