ゲスト
(ka0000)
絶望に至る『未来』
マスター:赤山優牙

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/20 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/12/04 09:00
オープニング
●ズールの悪事
王国北西部ブルダズルダの街に程近い小さい村が地獄と化していた。
「おらぁ! 酒も女も足りねぇぞ!」
一人の人間――ではなく、一体の歪虚によって。
その歪虚の名は、ズール。大柄の体躯を持つ、傲慢――アイテルカイト――に属する歪虚だ。
角や尾、翼を持って、人間と言う下等な生物との違うという容貌が多い中であって、ズールは角でも翼でもなく、巨躯であった。
「それにしても、しけた村だな。領主にでも搾り取られているのか?」
ズールは集めた金目の物やマテリアルを含む宝石等が入った袋を手に取った。
全部ではない。大半は、主である歪虚に送ったのだ。ズールはしばらくの間、『稼ぎ』を上納しなければならなかった。
それでも、手元に残る分は、人間をやっていた頃を思えば、彼の心を満たすものだった。あるモノを除けば……。
「上玉がいねぇぞ!」
王国北部のある村を支配していた時にやってきたハンターは、いずれも美女、美少女ばかりだった。
一人か二人、無茶してでも持って帰れば良かったと後悔していたのだ。
その時である。
「貴様が村を支配しているという歪虚だな!」
凛々しい女性の声がした。
振り返ると、王国の女性騎士と数名の兵士が武器を構えていた。
「なんだ、てめぇらは?」
「第10独立小隊国内潜伏歪虚追跡調査隊だ。歪虚め! 覚悟しろ!」
小隊長らしき女性騎士は、普通にしていれば美しいだろうが、その顔は怒りで歪んでいる。
それがズールには残念だった。
「俺様を倒そうというのか」
ニヤリと笑って両手を広げる。
「その慢心こそ、傲慢だな!」
女性騎士は抜剣しながら鋭い突きをズールの腹に突き刺した。
――騎士の剣は、確かに、歪虚の身体を貫通する。
同時に、女性騎士は腹部を抑え、叫び声を上げながら、その場で崩れた。
鎧の隙間から真っ赤な血が流れる。
「な、なにが……」
頭が真っ白になった女性騎士。
「隊長を掩護しろ!」
数人の兵士が一斉に槍を構えて突撃する。
だが、ズールがいつの間に持った巨大な両手剣が一閃すると、兵士達は薙ぎ払われた。
ぐちゃぐちゃと不気味な音を立てて粉砕される兵士。半狂乱になる兵士。様々だった。
「脆いな! 人間はよ!」
まるで蟻を踏み潰すように、ズールは兵士達を、『処理』していく。
「お、おのれ、歪虚め!」
痛みに耐えながら立ち上がる女性騎士。
立っているのも限界だ。
「安心しろ。貴様はすぐに殺さないぞ」
「ど、どういう事だ?」
「しばらく、楽しませてもらうからな」
ガッと、腕を振って、騎士が持つ剣が吹き飛ぶ。
次に首根っこを掴まれ、持ち上げられた。鎧を着ているというのにだ。
「や、やめろ!」
ズールはニタニタと笑いながら、もう片方の手で鎧を無造作に剥ぎとっていく。
女性は再度、大きな悲鳴を上げた――。
●絶望に至る『未来』
王国の女性騎士シャルは暗い地下室に閉じ込められていた。
歪虚によって尊厳を踏み躙られ、地下室に僅かに差し込んでくる光を、生気がない眼差しで見つめていた。
(なん……で、こんな……ことに……)
功を焦ったというのだろうか。充分に勝てると見込んでいた。
だが、結果は一方的な敗北。今はただ、動けず、糞尿を垂れ流しながら地下室で死を待つだけだ。
食べ物や飲み物を歪虚が持ってくるはずない。怪我も治療できず、そのままだ。
(もう、助からない……もう……)
これが『死』なのか。
仮に、今助かったとしても、どうなるのだろうか。
作戦の失敗だけではない。多くを失ってしまった……あぁ……兵士の家族になんて言えば……。
そんな事が頭の中をぐるぐると駆けまわる。
「……私に、力があったら、こんな事には……」
そもそも歪虚に負ける事は無かっただろう。
兵士達を死なせる事も、自分がこんな目に遭う事も、そして――輝かしい『未来』があったはずだ。
生気を失くした目から涙が流れる。
「貴方の願い、叶える事、できますよ」
そんな声がして、視線を向けると、そこには緑髪の少女が佇んでいた。
いつから、居たのか……。
「……強く、強くなりたい……私には、もう、『未来』がない……」
「未来の先が、もし、絶望だったとしても?」
確認するように訊ねてきた少女にシャルは叫んだ。
「だとしても、私は、ここで終わりたくないの! お願い! 叶えてぇ!」
呪いを吐くような言い方に少女は一瞬、悲しい顔をした。
そして、闇に向かって振り返る。そこには、幾何学模様の角を持つ歪虚がいた。
「叶えようではないか。気高き騎士よ」
歪虚の口元は、確かに笑っていた。
●歪虚騎士
「強く、美しくないと『未来』は遠ざかってしまう。輝かしい『未来』の為には、強くならなければいけない!」
村の一室に集まっていた村人らに、まるで演説するようなシャルの言葉。
しかし、村人から返事はない。当然だ――彼らは、既に死んでいるのだから。
「強くなる為には、まずは鍛錬! そして、勤勉だ!」
周りから見れば滑稽な状況だが、笑っている者はいない。
そんな死の村に、生きている人間が二人いた。
「オキナ、どこに行くのですか?」
緑髪の少女が、老人に話しかけた。
オキナと呼ばれた老人は、魔導冷蔵を備えた特殊な馬車に乗ろうとしている。
「……なに、ちょっと北の方にな。ここでは、欲しいのがあっても、使えんしの。ノゾミ嬢ちゃんは、残るのじゃろ」
「ブルダズルダの街で活動する予定なので」
「ふむ……まぁ、ズールには気を付けるのじゃぞ」
オキナの言葉にノゾミは頷く。
あの歪虚と化した堕落者は油断ならない。
今回、シャルという王国騎士を堕落者にさせた切っ掛けを作った例もある。
北へと出発したオキナを見送り、ノゾミはフードを深く被った。
「この村はシャル様に任せて、私はブルダズルダの街に行かないと……」
少女は街へと向かって歩き出した。
●募集
王国のとある小隊が壊滅し、更に、小隊長が歪虚と化して村で死んだ人間達に戦闘訓練を施しているという事実は、公にはできない事であった。
「で、こんな片田舎のハンターオフィスにこっそり依頼が来るわけ!?」
受付嬢兼報告官のミノリがげんなりとしていた。
幸いにも、たまたま通りかかるハンターもいるので、目につく事はあるかもしれない。
「内容が内容だとは分かるけど……」
人が集まらなかったら、最悪、自分が行くしかないからだ。
さすがに、雑魚であればミノリでも退治に行けるが、相手は歪虚である。
しかも、元王国騎士だ。基礎能力も高そうである。
「おまけに……情報を引き出せなんて、無茶な……」
今回の依頼は歪虚を倒す事だけではない。
可能な限り、持っている情報を聞き出すのも、依頼の中に入っているのだ。
「だれかー! 受ける人いませんかー!」
内密の依頼にも関わらず、ミノリが大声で宣言していた。
王国北西部ブルダズルダの街に程近い小さい村が地獄と化していた。
「おらぁ! 酒も女も足りねぇぞ!」
一人の人間――ではなく、一体の歪虚によって。
その歪虚の名は、ズール。大柄の体躯を持つ、傲慢――アイテルカイト――に属する歪虚だ。
角や尾、翼を持って、人間と言う下等な生物との違うという容貌が多い中であって、ズールは角でも翼でもなく、巨躯であった。
「それにしても、しけた村だな。領主にでも搾り取られているのか?」
ズールは集めた金目の物やマテリアルを含む宝石等が入った袋を手に取った。
全部ではない。大半は、主である歪虚に送ったのだ。ズールはしばらくの間、『稼ぎ』を上納しなければならなかった。
それでも、手元に残る分は、人間をやっていた頃を思えば、彼の心を満たすものだった。あるモノを除けば……。
「上玉がいねぇぞ!」
王国北部のある村を支配していた時にやってきたハンターは、いずれも美女、美少女ばかりだった。
一人か二人、無茶してでも持って帰れば良かったと後悔していたのだ。
その時である。
「貴様が村を支配しているという歪虚だな!」
凛々しい女性の声がした。
振り返ると、王国の女性騎士と数名の兵士が武器を構えていた。
「なんだ、てめぇらは?」
「第10独立小隊国内潜伏歪虚追跡調査隊だ。歪虚め! 覚悟しろ!」
小隊長らしき女性騎士は、普通にしていれば美しいだろうが、その顔は怒りで歪んでいる。
それがズールには残念だった。
「俺様を倒そうというのか」
ニヤリと笑って両手を広げる。
「その慢心こそ、傲慢だな!」
女性騎士は抜剣しながら鋭い突きをズールの腹に突き刺した。
――騎士の剣は、確かに、歪虚の身体を貫通する。
同時に、女性騎士は腹部を抑え、叫び声を上げながら、その場で崩れた。
鎧の隙間から真っ赤な血が流れる。
「な、なにが……」
頭が真っ白になった女性騎士。
「隊長を掩護しろ!」
数人の兵士が一斉に槍を構えて突撃する。
だが、ズールがいつの間に持った巨大な両手剣が一閃すると、兵士達は薙ぎ払われた。
ぐちゃぐちゃと不気味な音を立てて粉砕される兵士。半狂乱になる兵士。様々だった。
「脆いな! 人間はよ!」
まるで蟻を踏み潰すように、ズールは兵士達を、『処理』していく。
「お、おのれ、歪虚め!」
痛みに耐えながら立ち上がる女性騎士。
立っているのも限界だ。
「安心しろ。貴様はすぐに殺さないぞ」
「ど、どういう事だ?」
「しばらく、楽しませてもらうからな」
ガッと、腕を振って、騎士が持つ剣が吹き飛ぶ。
次に首根っこを掴まれ、持ち上げられた。鎧を着ているというのにだ。
「や、やめろ!」
ズールはニタニタと笑いながら、もう片方の手で鎧を無造作に剥ぎとっていく。
女性は再度、大きな悲鳴を上げた――。
●絶望に至る『未来』
王国の女性騎士シャルは暗い地下室に閉じ込められていた。
歪虚によって尊厳を踏み躙られ、地下室に僅かに差し込んでくる光を、生気がない眼差しで見つめていた。
(なん……で、こんな……ことに……)
功を焦ったというのだろうか。充分に勝てると見込んでいた。
だが、結果は一方的な敗北。今はただ、動けず、糞尿を垂れ流しながら地下室で死を待つだけだ。
食べ物や飲み物を歪虚が持ってくるはずない。怪我も治療できず、そのままだ。
(もう、助からない……もう……)
これが『死』なのか。
仮に、今助かったとしても、どうなるのだろうか。
作戦の失敗だけではない。多くを失ってしまった……あぁ……兵士の家族になんて言えば……。
そんな事が頭の中をぐるぐると駆けまわる。
「……私に、力があったら、こんな事には……」
そもそも歪虚に負ける事は無かっただろう。
兵士達を死なせる事も、自分がこんな目に遭う事も、そして――輝かしい『未来』があったはずだ。
生気を失くした目から涙が流れる。
「貴方の願い、叶える事、できますよ」
そんな声がして、視線を向けると、そこには緑髪の少女が佇んでいた。
いつから、居たのか……。
「……強く、強くなりたい……私には、もう、『未来』がない……」
「未来の先が、もし、絶望だったとしても?」
確認するように訊ねてきた少女にシャルは叫んだ。
「だとしても、私は、ここで終わりたくないの! お願い! 叶えてぇ!」
呪いを吐くような言い方に少女は一瞬、悲しい顔をした。
そして、闇に向かって振り返る。そこには、幾何学模様の角を持つ歪虚がいた。
「叶えようではないか。気高き騎士よ」
歪虚の口元は、確かに笑っていた。
●歪虚騎士
「強く、美しくないと『未来』は遠ざかってしまう。輝かしい『未来』の為には、強くならなければいけない!」
村の一室に集まっていた村人らに、まるで演説するようなシャルの言葉。
しかし、村人から返事はない。当然だ――彼らは、既に死んでいるのだから。
「強くなる為には、まずは鍛錬! そして、勤勉だ!」
周りから見れば滑稽な状況だが、笑っている者はいない。
そんな死の村に、生きている人間が二人いた。
「オキナ、どこに行くのですか?」
緑髪の少女が、老人に話しかけた。
オキナと呼ばれた老人は、魔導冷蔵を備えた特殊な馬車に乗ろうとしている。
「……なに、ちょっと北の方にな。ここでは、欲しいのがあっても、使えんしの。ノゾミ嬢ちゃんは、残るのじゃろ」
「ブルダズルダの街で活動する予定なので」
「ふむ……まぁ、ズールには気を付けるのじゃぞ」
オキナの言葉にノゾミは頷く。
あの歪虚と化した堕落者は油断ならない。
今回、シャルという王国騎士を堕落者にさせた切っ掛けを作った例もある。
北へと出発したオキナを見送り、ノゾミはフードを深く被った。
「この村はシャル様に任せて、私はブルダズルダの街に行かないと……」
少女は街へと向かって歩き出した。
●募集
王国のとある小隊が壊滅し、更に、小隊長が歪虚と化して村で死んだ人間達に戦闘訓練を施しているという事実は、公にはできない事であった。
「で、こんな片田舎のハンターオフィスにこっそり依頼が来るわけ!?」
受付嬢兼報告官のミノリがげんなりとしていた。
幸いにも、たまたま通りかかるハンターもいるので、目につく事はあるかもしれない。
「内容が内容だとは分かるけど……」
人が集まらなかったら、最悪、自分が行くしかないからだ。
さすがに、雑魚であればミノリでも退治に行けるが、相手は歪虚である。
しかも、元王国騎士だ。基礎能力も高そうである。
「おまけに……情報を引き出せなんて、無茶な……」
今回の依頼は歪虚を倒す事だけではない。
可能な限り、持っている情報を聞き出すのも、依頼の中に入っているのだ。
「だれかー! 受ける人いませんかー!」
内密の依頼にも関わらず、ミノリが大声で宣言していた。
解説
●目的
歪虚シャルの討伐及び情報の聞き出し
●内容
歪虚とゾンビを討伐する
歪虚の持っている情報を聞き出す
●状況
歪虚シャルはハンター達が来るのを、ゾンビの群れを率いて待っています。
ある程度の会話は可能です。情報を聞き出すタイミングや方法はハンター達に一任されています。
●地形
小さい村の出入り口は裸地となっています。
●敵
歪虚シャル
王国の女性騎士。剣と盾、鎧で武装している。生前は闘狩人だったが、スキルが使えるかどうかは不明。歪虚としての特殊能力は持っていそうな感じがします。
見た目、キツい感じの美女。
ゾンビ(10体)
元村人らのゾンビ。槍や剣を持っているが、武器として正しく使えない。……戦闘訓練の効果はない。
●その他
オープニングに出て来た他の登場人物と、リプレイ内では絡む事ができません。
ご理解の程、よろしくお願いします。
歪虚シャルの討伐及び情報の聞き出し
●内容
歪虚とゾンビを討伐する
歪虚の持っている情報を聞き出す
●状況
歪虚シャルはハンター達が来るのを、ゾンビの群れを率いて待っています。
ある程度の会話は可能です。情報を聞き出すタイミングや方法はハンター達に一任されています。
●地形
小さい村の出入り口は裸地となっています。
●敵
歪虚シャル
王国の女性騎士。剣と盾、鎧で武装している。生前は闘狩人だったが、スキルが使えるかどうかは不明。歪虚としての特殊能力は持っていそうな感じがします。
見た目、キツい感じの美女。
ゾンビ(10体)
元村人らのゾンビ。槍や剣を持っているが、武器として正しく使えない。……戦闘訓練の効果はない。
●その他
オープニングに出て来た他の登場人物と、リプレイ内では絡む事ができません。
ご理解の程、よろしくお願いします。
マスターより
●ご挨拶
皆さん、おはようございます。堕ちた騎士って、なんだか、エ(魔導銃音
【ノゾミの大冒険 第10歩(話)】になります。
●攻略のヒント
情報をどんなタイミングで引き出すのか。どんな情報を得るのか。
ちなみに、堕落者は既に死んでいるので、人間に戻ったりする事はありません。
皆さん、おはようございます。堕ちた騎士って、なんだか、エ(魔導銃音
【ノゾミの大冒険 第10歩(話)】になります。
●攻略のヒント
情報をどんなタイミングで引き出すのか。どんな情報を得るのか。
ちなみに、堕落者は既に死んでいるので、人間に戻ったりする事はありません。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/11/23 01:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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絶望と向き合う為に リュー・グランフェスト(ka2419) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/11/19 18:27:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/14 19:48:38 |