ゲスト
(ka0000)
百年旅~草原の井戸
マスター:深夜真世

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/12/29 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/01/12 22:00
オープニング
●極彩色の街のフラ
ここは同盟領。極彩色の街「ヴァリオス」の一角。
「うわあ……」
フラ・キャンディ(kz0121)が馬車の中で目を見張っていた。
「どうかの、フラ。同盟領一番の都会を見た感想は」
隣に座るフラの後見人、ジル・コバルトが破願しつつ聞いた。
「建物がぎゅっと詰まってて人がたくさん……しかもみんな綺麗……」
立ち並ぶ二階建てや三階建ての住居が壁のようにそそり立ち、その間をすらりとした服装の紳士やふんわりと花のように揺らぐドレスを着た淑女が行き交う。
「なんて高い建物なんだろう、何となく争い事がないような……白は真っ白で赤は真っ赤……美味しそうなものも売ってる。飾りも素敵だし、人もたくさん……」
あれもこれも、と目移りしてうわごとのように呟いているのでどれの何を言っているのか判然としない状態だ。
「人ばかりで息苦しくはないかの?」
「ううん……ジェオルジのお祭りとかで慣れた……すごい。みんな生活してる……みんな生きてる……。ここの生活って、森に食べ物を取りに行くんじゃなくて、畑で雑草抜きをするんじゃなくて……何をしてるんだろう」
ジルに聞かれても振り向きもしない。
「主には物を売ったり、作ったり、運んだり、じゃの。人から人に託すことで生活が成り立っておる」
「人から人に、託す……」
フラはこの言葉をいたく気に入った様子だった。
今回、ジルがジェオルジに来たのはフラの社会見学のためではなかった。
「どこかの森の中に隠れ住んでたと聞いてたが、息災で何よりだ」
「災いを避けて森の中に隠れ住んでたわけだから、息災でないとおかしかろう」
ジル、どこかの酒場で知人と会っていた。フラは同席していない。クリスマスで出掛けているのだ。
「そりゃそうだが、ならばなぜ危険を冒してここに来る?」
「資金の現状は?」
逆に問いつつ身を乗り出すジル。
「緩やかに減少してるな。あんたへの仕送りは安心してくれ。十年は大丈夫だ」
「新たに娘を養っておる。資金運用計画は白紙じゃ。緩やかに増えるようにするんじゃ」
「何?」
壮年の知人は機嫌を傾けた。
「あんた、信用していた家族に裏切られて今の立場になったのに……それなのに養子か?」
「純真無垢なエルフの娘じゃ。彼女には後ろ盾が必要なんじゃ」
必死に訴えるジルを見て、知人はため息をついて諦めた。
「もともとあんたの金だし、こっちゃ金に困ってないから別にいいが……確実な投資先はないぞ?」
「テニス道具販売組合『テニスラボ』に出資するが良い。後は……困った時の『ベンド商会』じゃが……」
「テラボ? ……ああ、あそこか。悪くない。……が、ベンドはあんたが失脚した理由の一つだろ?」
「華やかな立場であれば闇の商人との取引はマイナスじゃが……いまは同じ穴の狢じゃろ?」
「つくづく恐ろしい爺さんだ」
知人は顔をしかめて納得した。今の立場であればまたとない妙手ということか。
と、ここで何かを思い出したように身をただした。
「そうだ。もう一つ有力なところがあるんだが、一つ恩を売る必要があってね」
「ふむ?」
聞けば、田舎での怪奇現象の解決依頼だった。
★
とある田舎村の近くの草原で、ある日突然煉瓦で囲まれた井戸が出現したという。
面妖な、と村人が近付くと、井戸から触手が出てきて引きずり込まれた。もちろん、井戸の底からは断末魔の悲鳴しか響かなかった。もっとも、叫びは痙攣したように途中でぴたっと止まったらしいが。
雑魔であろう、と判断し誰も近寄らなくなった。
今ではたまに不審に思った動物が近寄り犠牲になっているという。
一度、埋めてしまおうと戸板をかぶせ石を置いたこともあった。
すると、井戸から離れた全周の地面から紫の濃霧が噴き出し視界がなくなり、逃げ遅れた数人がいなくなっていた。井戸とは別の場所に新たな穴が開いていたともいう。もっとも、そこは数日すると塞がり、井戸の石と戸板は吹き飛ばされていたが。
大ミミズなど、ワーム状の姿を毒霧の中に見たという話もある。
★
「ハンターオフィスに取り次いで稼ごうとしたが、村からはかなり離れていて用心しさえすれば人畜無害なので首を縦に振らんらしい。とはいえ、不安は不安。……だから、荷馬車の護衛として雇ったハンターに、ついでに倒してもらうという筋書きで信用を押し付けたいわけ」
「いいじゃろう。その娘はちょうどハンターじゃ」
というわけで、井戸の中の怪物退治をしてくれる人、求ム。
ここは同盟領。極彩色の街「ヴァリオス」の一角。
「うわあ……」
フラ・キャンディ(kz0121)が馬車の中で目を見張っていた。
「どうかの、フラ。同盟領一番の都会を見た感想は」
隣に座るフラの後見人、ジル・コバルトが破願しつつ聞いた。
「建物がぎゅっと詰まってて人がたくさん……しかもみんな綺麗……」
立ち並ぶ二階建てや三階建ての住居が壁のようにそそり立ち、その間をすらりとした服装の紳士やふんわりと花のように揺らぐドレスを着た淑女が行き交う。
「なんて高い建物なんだろう、何となく争い事がないような……白は真っ白で赤は真っ赤……美味しそうなものも売ってる。飾りも素敵だし、人もたくさん……」
あれもこれも、と目移りしてうわごとのように呟いているのでどれの何を言っているのか判然としない状態だ。
「人ばかりで息苦しくはないかの?」
「ううん……ジェオルジのお祭りとかで慣れた……すごい。みんな生活してる……みんな生きてる……。ここの生活って、森に食べ物を取りに行くんじゃなくて、畑で雑草抜きをするんじゃなくて……何をしてるんだろう」
ジルに聞かれても振り向きもしない。
「主には物を売ったり、作ったり、運んだり、じゃの。人から人に託すことで生活が成り立っておる」
「人から人に、託す……」
フラはこの言葉をいたく気に入った様子だった。
今回、ジルがジェオルジに来たのはフラの社会見学のためではなかった。
「どこかの森の中に隠れ住んでたと聞いてたが、息災で何よりだ」
「災いを避けて森の中に隠れ住んでたわけだから、息災でないとおかしかろう」
ジル、どこかの酒場で知人と会っていた。フラは同席していない。クリスマスで出掛けているのだ。
「そりゃそうだが、ならばなぜ危険を冒してここに来る?」
「資金の現状は?」
逆に問いつつ身を乗り出すジル。
「緩やかに減少してるな。あんたへの仕送りは安心してくれ。十年は大丈夫だ」
「新たに娘を養っておる。資金運用計画は白紙じゃ。緩やかに増えるようにするんじゃ」
「何?」
壮年の知人は機嫌を傾けた。
「あんた、信用していた家族に裏切られて今の立場になったのに……それなのに養子か?」
「純真無垢なエルフの娘じゃ。彼女には後ろ盾が必要なんじゃ」
必死に訴えるジルを見て、知人はため息をついて諦めた。
「もともとあんたの金だし、こっちゃ金に困ってないから別にいいが……確実な投資先はないぞ?」
「テニス道具販売組合『テニスラボ』に出資するが良い。後は……困った時の『ベンド商会』じゃが……」
「テラボ? ……ああ、あそこか。悪くない。……が、ベンドはあんたが失脚した理由の一つだろ?」
「華やかな立場であれば闇の商人との取引はマイナスじゃが……いまは同じ穴の狢じゃろ?」
「つくづく恐ろしい爺さんだ」
知人は顔をしかめて納得した。今の立場であればまたとない妙手ということか。
と、ここで何かを思い出したように身をただした。
「そうだ。もう一つ有力なところがあるんだが、一つ恩を売る必要があってね」
「ふむ?」
聞けば、田舎での怪奇現象の解決依頼だった。
★
とある田舎村の近くの草原で、ある日突然煉瓦で囲まれた井戸が出現したという。
面妖な、と村人が近付くと、井戸から触手が出てきて引きずり込まれた。もちろん、井戸の底からは断末魔の悲鳴しか響かなかった。もっとも、叫びは痙攣したように途中でぴたっと止まったらしいが。
雑魔であろう、と判断し誰も近寄らなくなった。
今ではたまに不審に思った動物が近寄り犠牲になっているという。
一度、埋めてしまおうと戸板をかぶせ石を置いたこともあった。
すると、井戸から離れた全周の地面から紫の濃霧が噴き出し視界がなくなり、逃げ遅れた数人がいなくなっていた。井戸とは別の場所に新たな穴が開いていたともいう。もっとも、そこは数日すると塞がり、井戸の石と戸板は吹き飛ばされていたが。
大ミミズなど、ワーム状の姿を毒霧の中に見たという話もある。
★
「ハンターオフィスに取り次いで稼ごうとしたが、村からはかなり離れていて用心しさえすれば人畜無害なので首を縦に振らんらしい。とはいえ、不安は不安。……だから、荷馬車の護衛として雇ったハンターに、ついでに倒してもらうという筋書きで信用を押し付けたいわけ」
「いいじゃろう。その娘はちょうどハンターじゃ」
というわけで、井戸の中の怪物退治をしてくれる人、求ム。
解説
●解説
草原に突然出現した井戸の底に潜む雑魔を退治してください。
敵の正体は不明ですが、ワーム系であることは確定です。
住処の入り口をわざわざ煉瓦状のもので組んで人工的にするとか、結構芸が細かいですがあまり気にしないでください。ワームとすれば不運にも立ち寄った獲物を引きずり込むより、遠くから見て疑問に思って近寄り中を覗いてもらう方が捕食率が高いと判断しているのでしょう。
敵の攻撃は情報不足ですが、
・穴を覗いた者を触手でからめて引きずり込む(ワームの触手の一つの先は人面状の模様があり、覗くと不気味な顔と対面することになるでしょう)
・穴を塞いだりすると周囲の地面から濃霧を出す
・井戸以外からも穴をあけて姿を現し襲い掛かる
・捕食のため口に長い毒針がある
あたりが類推されます。
なお、触手はいくらからめても人一人以上の抵抗があれば引きずり込んだり動かしたりすることはできないようです。
雨が降った場合は自ら顔を出してたまった雨水を吐き出しているようですね。
今回はフラも戦いに赴きますが、事前にジルから「慎重に。絶対無理するでないぞ」と激しく言い聞かされた影響から、皆を護る動きをすることになりそうです。
戦場は、隠れるところのない平原です。井戸の直径は便宜上、1メートル。
草原に突然出現した井戸の底に潜む雑魔を退治してください。
敵の正体は不明ですが、ワーム系であることは確定です。
住処の入り口をわざわざ煉瓦状のもので組んで人工的にするとか、結構芸が細かいですがあまり気にしないでください。ワームとすれば不運にも立ち寄った獲物を引きずり込むより、遠くから見て疑問に思って近寄り中を覗いてもらう方が捕食率が高いと判断しているのでしょう。
敵の攻撃は情報不足ですが、
・穴を覗いた者を触手でからめて引きずり込む(ワームの触手の一つの先は人面状の模様があり、覗くと不気味な顔と対面することになるでしょう)
・穴を塞いだりすると周囲の地面から濃霧を出す
・井戸以外からも穴をあけて姿を現し襲い掛かる
・捕食のため口に長い毒針がある
あたりが類推されます。
なお、触手はいくらからめても人一人以上の抵抗があれば引きずり込んだり動かしたりすることはできないようです。
雨が降った場合は自ら顔を出してたまった雨水を吐き出しているようですね。
今回はフラも戦いに赴きますが、事前にジルから「慎重に。絶対無理するでないぞ」と激しく言い聞かされた影響から、皆を護る動きをすることになりそうです。
戦場は、隠れるところのない平原です。井戸の直径は便宜上、1メートル。
マスターより
まだ寝ないならこんばんは、深夜真世です。
フラの百年目のエルフ旅、別名「クリムゾン・ウエストの車窓から」の続きです。
ちょっと前は巨大アリジゴクでしたが、今回は巨大ワームとの駆け引き。無視しても別にいいのでしょうが、今回は倒して村からの信用を得たいところです(長いオープニングはこの状況の説明とも言えます)。
では、よろしくお願いします。
フラの百年目のエルフ旅、別名「クリムゾン・ウエストの車窓から」の続きです。
ちょっと前は巨大アリジゴクでしたが、今回は巨大ワームとの駆け引き。無視しても別にいいのでしょうが、今回は倒して村からの信用を得たいところです(長いオープニングはこの状況の説明とも言えます)。
では、よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/01/11 18:34
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/28 09:03:42 |
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相談卓 神奈 碧(ka5994) 人間(リアルブルー)|16才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2015/12/29 18:36:16 |