※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

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「かき氷が食べたい」
　誰が言い出したかは、今となっては忘れてしまった。
　偶然集まった数人でなにとはなしに話をしていると、ちょうどそういう流れになった。
　夏。つまりかき氷だ。
　それだけなら、街に繰り出して店を練り歩くだけで済んだかも知れない。
「とある氷山で美味しい氷が取れるらしいぞ」
　誰かがそんなことを言ったせいで、話は大きく飛躍した。
　夏だろうと雪の降る氷山、その麓の洞窟の奥深く。そこでは各国の上流階級がこぞって買い集める氷菓子の原料、宝石のごとく澄み渡る氷が取れるという。
「西で取れる青い果実なんだけど、果汁を絞ってシロップに混ぜると甘くなるんだってさ」
　誰かがそんなことを言ったせいで。
「東で小豆っぽい穀物が」
「南の乳製品がリアルブルーのあれによく似て」
「かき氷製造機は中央だな！」
　話は拡大しながらもトントン拍子に進んでいき。
「おいおいなんだよ俺も混ぜろよ」
「かき氷って何？」
　噂は噂を呼び、人数は気がつけば二桁になり――。

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「それで、地域の祭事に匹敵する規模になったと」
「はい」
「広場でやるわけにはいかず、施設が必要になったと」
「はい」
「それをハンターズオフィスで借りたいと」
「はい」
「却下です」
　受付嬢はピシャリと言い切った。
「ハンターズオフィスは依頼斡旋の場であり、公共施設の貸与を行う場ではございません。ソサエティの施設を貸し出すことも、勿論不可です」
　ぐうの根もでない。正論である。
　鉄の受付嬢は眼鏡の似合うクールな美貌を一分足りとも歪めることなく、話を続けた。
「ところで、皆様に一つお任せしたい依頼がございます」
　嗚呼悲しきかな今日も仕事だ。美味しいかき氷を食べまくる夢は溶けて露と消えてしまった。
　項垂れる一同に提示されたのは、とある村の資料だった。夏が非常に暑い地域だ。
「海に近い観光村なのですが、例の狂気のヴォイドの出没を原因に、今年の観光収入が極めて落ち込んでいるそうです」
　こんな所にまで波及するヴォイドの影響。世知辛い問題だ。
「そこで、何かの催し物を行って一時的にでも収入を増やしたいとのことなのですが」
　妙な話の流れになって、ハンターたちは顔を見合わせた。
「村を一つ丸ごと使っていいそうです。皆様が何らかのアイデアを持っていると言うのならば、先方は快く協力してくださると思いますが」
　受付嬢は口元をほんの少しだけ緩めて、契約書類を机上に並べた。
「依頼にご参加なされる方は、どうぞサインをお願い致します」

●目的
　かき氷祭りを成功させる

●準備
　皆様で手分けをする必要があります。
　かき氷がメインですが、サブに何か用意してもいいでしょう。

・氷の入手
　氷山洞窟の深部、おおよそ高さ三メートル底面直径一メートルの円錐柱として点在しています。
　敵対的な亜人、ヴォイドは存在しません。準備を整えたハンターならば難しくはないでしょう。
　村側が輸送手段と人員を確保しますので、その点の考慮は不要です。皆様はどうにかして氷を切り出し、洞窟から運び出しましょう。
　柱二本がノルマで、二分割すれば運搬可能です。四人ほどいればノルマ分は達成できそうです。
　尚、村まではどうにか日帰り可能な距離です。

・買い出し
　資金は村から出資してもらえます。高額ないし無駄でなければ概ね入手出来ます。
　シロップになりうるものやかき氷の添え物などを集めましょう。
　装飾用資材、かき氷のカップとスプーン、他頼まれた物を忘れないようにしましょう。

・村の準備
　今回は人を集めて村にお金を落とさせるのが目的です。ですので準備が要ります。
　最低限として以下の項目が必須です。

１．業務用冷蔵魔導機械の設置
　機械自体は村側が借りてきますし、錬金術師組合員が設置指示を行うために同行しますが、手伝いは必要です。
２．村の装飾
　看板、説明書き、メニュー等々準備するべき事柄は多いです。思いつく限り飾り付けましょう。
　足りなければ買い出し班に頼むべきです。
３．情報の周知
　人を集めるためには知らせなければなりません。何か手段を講じて多くの人を集めましょう。
　人は多いほうがいいです。余るよりもなくしてしまうべきです。

●当日
　楽しみましょう。ここが本番です。盛り上がり如何で村の存亡が決まります。
　皆様が率先して楽しんで盛り上げるべきです。突発的に何か芸をやらかしてもいいですね。
　氷が更に欲しければ、新たに取ってきてもいいでしょうし、買ってきてもいいでしょう。

　えーてるです。ブルーハワイとメロンが好きです。
　相談卓は総合と班ごとで分けるといいかもしれません。

　皆様の知力と活力の限りを尽くしたプレイングをお待ちしています。