• 戦闘

穢れなき者

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/08/24 15:00
リプレイ完成予定
2014/09/02 15:00

オープニング

●二つのエルフ
 ハイデマリー・アルムホルムのフィールドワークは主に汚染植物の観察とサンプル採取である。
 帝国にある森の多くは何らかの汚染を抱えている。その程度は極僅かな物から人の立ち入りを拒絶するような物まで様々だが、これが結構ちょくちょく状況変化している事があるのだ。
「この森も以前より明らかにマテリアルが正常化しつつある……」
 採取した植物を手に目を細めるハイデマリー。少なくともこの森に帝国軍や錬魔院の手が入ったと言う話は聞いた事がなかった。
 前回たまたまハンターを同行させてからというもの、今日の様に時折ハンターに声をかけ調査に同行させてきた。
 一人でこの研究を続ける為に覚醒者として腕を磨いてきたのだが、そんな努力をするのが全て馬鹿げて思えてくる。自分が調査に没頭してる間、ハンターに護衛なりなんなりさせておけばいいのだ。
 そして今日も快適な調査の途中だからこそこうして考察する余裕もある。この森で今何が起きているのか。
「……ああ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたから」
 ハンターの呼び声に振り返るハイデマリー。そしてしおれた白い花を差し出し。
「森の汚染が明らかに浄化されているの。それも、森の汚染を物理的に取り除いたとかそういうレベルじゃなく、根本的に」
 APVのリーダー、タングラムが個人的に森の汚染を取り除く為にあちこちで奮闘している事をハイデマリーは知っている。実際、森に出現した雑魔等を殲滅すれば、かなり遠回りだが森の浄化に繋がっていると言えるだろう。
 だが、これはそんな単純な物ではない。短期間で広範囲の汚染を取り除く浄化……。そんな技術、今の帝国にはない筈だ。
「だとしたら、エルフのお蔭かしらね。エルフハイムにはこういう汚染を取り除く技術があるらしいから……。そうね。確かに帝国が嫌いなエルフも多いわ。だけど彼らにとってここは帝国領である以前に、自分たちの住処の近くにある森なのよ」
 そんな話をしているうちに仲間たちも集まってきた。この近辺に危険はない事が確認されると、ハイデマリーはついでに講釈を始める。
「エルフハイムのエルフは“維新派”と“恭順派”と、大きく二種類に分類する事が出来るわ。この中でも色々とあるらしいけど、要は“今のままでいいと思っているのかどうか”なの」
 歪虚の接近やエルフハイムを脅かす様々な脅威、これを何とか解決しようと言うのが維新派のエルフ。そしてこれまで通り、古くから伝わる風習に従って生活を続け、滅びさえも受け入れようというのが恭順派である。
「維新派の中にはエルフハイムの一部を人間に解放しようなんて考える者もいるそうね。実際、帝国と交流を持っているエルフもいるわ。だけど恭順派のエルフは森の奥に閉じこもって外に出てこない。不幸な事に、エルフにとって重要な技術や文化は殆どこの恭順派が占有しているの。そういう意味で、維新派は若いエルフ、恭順派は年老いたエルフとも言えるかしら」
 別に誰が訊いたわけでもないが、説明を終えて満足そうなハイデマリー。それからふと首を傾げ。
「そういえばさっきから全然敵が襲ってこないわね?」
 言われてみるとその通りで、警戒は続けているが雑魔の一匹にも遭遇していない。
 こんな事もあるのかと自分に問いかけながら移動を開始するハンター達。すると遠くから物音が聞こえてくるのがわかった。
「これは……誰かが戦ってる?」
 顔を見合わせるハンター達。ハイデマリーが頷き、一斉に駆け出した。


●逃走
「ジエルデ様、こちらへ!」
 若い男のエルフが手招きする方へ、女はゆっくりと歩いていく。今は急ぎであったが、彼女には走れない理由があった。
 ジエルデと呼ばれた杖を手にした女のエルフは外見上は年若く見える物の、その落ち着いた様子や豪華な刺繍の施されたローブからそれなりの地位、年齢と推測出来る。彼女の背後には戦闘能力を持たない三人の“従者”が、そしてその三人に囲まれるようにして歩く白いドレス姿の少女が続いていた。
「後続の部隊はどうなっていますか?」
「ゴブリンと交戦中ですが……雑魔が出現し、混戦状態となっているようで……」
 ジエルデは唇に手を当て思案する。今活用できる戦力は自分と二名の護衛のみ。従者とドレスの少女は戦力には数えられない。
「この戦力だけでエルフハイムへ帰還する事は不可能です。せめて“器”を抱えて移動する事は出来ませんか?」
「器は決して穢れのあってはならぬ身です。巫女以外が触れる事は許されません」
 だからこの少女はドレスの上から幾重にもヴェールをかけられ、そのヴェールを持ち支え、雑事をこなす為の巫女が三人もついているのだ。
 もしもこの器と呼ばれる少女を抱えて移動するなりできれば離脱は可能かもしれない。そもそもこんなヴェールがなければ移動は何倍も速くなるのだが……。
「器を外界と隔絶する為の封印具は取り外せません。そんな事になれば、器としての精度に支障をきたします」
 敵の足止めと殲滅に残った戦力は精鋭揃い、ゴブリンや雑魔如きにどうにかされるとは思えない。彼らが戦いを終えて追いついて来るまでの間、どこかに身を潜める必要があった。
「こんな形で儀式を中断されるのは不本意ですが、致し方ありませんね……」
「しかしジエルデ様、何故このような襲撃が? これではまるで我々の行動を誰かに予測されていたような……」
 男の言葉を片手で制すると、ジエルデは振り返って器の前に腰を落とす。
「必ず御身は守り抜いて見せます。どうかご安心を、“姫”」
 少女は言葉を返さずただ小さく頷き返した。その時護衛の一人が腰から短剣を抜き構える。
「ジエルデ様、敵です!」
 怯える従者達。ジエルデは立ち上がり杖を向ける。現れたのはゴブリンで、剣を手に飛びかかろうとした……その時だ。
 ゴブリンの横から飛び出してきたハイデマリーがガンケースでゴブリンを殴り飛ばした。続けハンター達が駆けつけ、二つの集団が邂逅する。
「人間……? なぜこんな所に……?」
「エルフ……の……何? 何の集まり?」
 ジエルデは杖に光を集め、ハイデマリーはガンケースから魔導銃を取り出す。色々と不思議な事はあるのだが……。
「囲まれています!」
 護衛の声に眉を潜めるジエルデ。ハイデマリーは銃をゴブリンに向け、僅かに首を擡げる。
「手助けが必要?」
「……甚だ不本意ですが……信用してもよろしいのですか、人間?」
「こう見えても、それなりに善人だって自負してるわ」
 ぞろぞろと姿を見せたゴブリンと雑魔達。幾重にも遮られたヴェールの向こう、少女はいたいけな瞳でハンター達を見つめていた。

解説

●目的
護衛対象の護衛、及び敵勢力の殲滅。


●概要
ハイデマリーの依頼で森の中を調査中、エルフの集団と遭遇した。
エルフの集団は見慣れない装備であり、中には高い地位が予想される者も混じっている。
突発的な依頼更新の為、わかっている情報は余り多くないが、推測出来る情報を記しておく。
エルフ達は“器”と呼ばれる少女を護衛しているようで、しばらくすれば他の仲間が駆けつける。それまでの間少女を守りきれば良いらしい。
器はヴェールでその身を覆われており姿を確認する事は出来ない。またヴェールが豪華すぎる為、移動には三人の従者の補助が必要で、なおかつ移動力はかなり低い。
器や従者は戦闘能力がなく、攻撃された場合回避も防御も出来ない。従者が一人でも移動不能になった時点で器も移動が不可能になる。
また、器への直接的な接触は禁止されている。近づくだけでもエルフには警戒される為、絶対に接触してはならない。
森の中は見通しが悪く、周囲に逃げ込めそうな洞窟等はない。


●敵情報
『ゴブリン』
さほど強くないいつもの奴。
剣や棍棒で武装。器を狙っている。

『スライム』
これもいつもの奴。
直接飛びついて来たり、液を飛ばしたりする。
居合わせただけなので別に何も狙っていない。


●???
『ジエルデ』
杖を持った女。歴戦の覚醒者。

『護衛エルフ』
短剣を持った男。二人。覚醒者。
腕はそこそこ。

『従者』
器に付き従う一般人。三名、女。

『器』
異常に豪華なドレスで包装された少女。詳細不明。


●特筆
依頼人のハイデマリー・アルムホルムが同行。
魔導銃使いの機導師。遠距離戦、補助が得意。

マスターより

お世話になっております、神宮寺です。

こういう物もあるんだよっていう顔見せシナリオです。
器と接触が許されているのは三名の従者だけなので、ハンターが接触した時点で失敗となります。
ゴブリンやらスライムやらの攻撃が器に命中してもやっぱり失敗です。
ジエルデと護衛している二人のエルフが結構強いので、それなりにアテになります。
しかし人間は信用していないようで、多分言う事はあんまり聞きません。

それでは宜しくお願い致します。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/08/28 07:12

参加者一覧


  • ゼル・アーガイア(ka0373
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 大樹の樹皮
    サンカ・アルフヴァーク(ka0720
    エルフ|18才|男性|闘狩人

  • メイリアス=フロストフォール(ka0869
    人間(紅)|20才|女性|猟撃士
  • 森の守人
    セレナイト・アインツヴァイア(ka0900
    エルフ|25才|男性|猟撃士
  • ライフ・ゴーズ・オン
    ジルボ(ka1732
    人間(紅)|16才|男性|猟撃士

  • 紅鬼 姫乃(ka2472
    人間(紅)|17才|女性|霊闘士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談用卓
サンカ・アルフヴァーク(ka0720
エルフ|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/08/24 13:03:00
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/08/19 23:09:04