ゲスト
(ka0000)
疑惑を暴く闇夜の使者となれ
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/08/25 15:00
- リプレイ完成予定
- 2014/09/03 15:00
オープニング
「クリームヒルト様、失礼しますぞ」
普段は自分から動くことの少ないアウグストがそう声をかけたのは朝方のことだった。身支度を整えていたクリームヒルトであったが、アウグストの切羽詰まった声色に、スイッチが入ったかのように、クリームヒルトは気を張り詰めて警戒しながらの応答した。
「どうしたの?」
「怪我をした男が、ここに助けに求めてやってきております。こんな時間に申し訳ございませんが、ただならぬ様子ゆえ、ご報告をい」
アウグストの冗長な言葉を遮るようにしてクリームヒルトは扉を開けると、髪をざっくばらんに整えつつ廊下を走り、階段を三段飛ばしで降りると、メイドに介抱される男の姿を見ることができた。肌の見える部分はあちらこちらにアザが浮かび、ところどころに走る裂傷はムチであることを想像させた。思わず恐怖の感情が沸き起こるが、クリームヒルトは息を軽く飲んだ後、静かに歩み寄った。
「もう、大丈夫ですよ……」
どんな言葉をかけたらいいのか迷うところはあったが、意外にもその言葉は自然と出てくることができた。男は痛みに堪えて何かを伝えようとしていたが、クリームヒルトの言葉と真っ直ぐな瞳を前にして安息のため息をついた。意志が伝わったのだ、とクリームヒルトは感じ取っていた。そしてそれをしっかり聴きいれるのがこれからの自分の役目なのだと。
医者の手当を受けた男が話した内容はまるで別の国、王国や同盟領や辺境などではなく、少なくともクリームヒルトが知っている場所の話ではないような気がした。
「ですが事実なのです。12年前の革命以後、生活が立ち行かなくなって借金を抱えた人間はゴマンといます。家も財産もむしりとられた上、鉱山で奴隷のような働きを強いられる。アドランケン鉱山で働くのはそんな人間ばかりです。休みもなく働き続けて、少しでもへたり込もうとしたら拳かムチが飛んできます。死んだらその辺に捨てられて新しい犠牲者が補充される。私は……逃げ出してきました。家族や仲間が傷つけられより酷い運命になるかもしれないけれど……!」
「……大丈夫。あなたは生きてここにたどり着いたよね? それはきっと他の人たちの思いがそうさせたんだと思うの。その思いを失わせることはわたしはしない」
震える男にクリームヒルトは静かにそう言った。
意志は人に受け継がれるものだ。意志は遺志となり、また意志に生まれ変わる。そうして関わった人すべてに波及していく。それはクリームヒルト自身がよく分かっていた。
12年前、帝国の革命が起きた時、クリームヒルトは6歳だった。帝国皇帝の子女としてバルトアンデルスの城に多くの臣民にかしずかれるような生活はもうあまり記憶に残っていないが、革命の戦士と戦う騎士の顔や声はいまだに思い出す。彼らの後ろ姿が語る意志は、いまだにクリームヒルトの中で息づいていた。
今度は自分が助けるのだ。剣を持つ腕もなければ、奔流のような知恵もなくとも、できることはあるはずだ。
横で話を聞いていたアウグストはクリームヒルトと男の会話に間ができたのを確認して、ぼそりと呟いた。
「ふむ。アドランケン鉱山といえば小さいながらも国有鉱山でしたな。帝国がそのようなことをしているとは……」
「国有鉱山? いいえ、帝国の役人なんてみたことありません。帝国のシンボルですら見たことありません」
男の言葉に、一同は顔を見合わせた。
「アドランケンに複数の鉱山があるとか?」
「そんなことしたら採掘権の問題が起きます。考えられるのは、鉱山の所有権を何らかの手法で今のオーナーが手に入れたということですが、恩賞で鉱山を与えられるなど聞いたことはありません。国から買い取るなどとなれば莫大な金が動きます。それならこちらの耳にも入るはず。残る手法は……無断で私物化したということくらいしかありませんな」
「私物化!?」
「革命の際に、かなりの書類などが失われました。大事な物は回収に人手を割いたり、文官が再作成をするなどしてカバーをしているという話ですが、小さなものなら私物化し、関係者に金品を与えて口封じするなどすれば、歪虚との戦いに明け暮れる今の帝国なら隠し通せるかもしれません。今の帝国は首都と前線には詳しいが、その間にある各地方のことにはとんと疎いと聞き及んでおりますぞ」
アウグストの推察に、クリームヒルトはしばらく開いた口がふさがらなかった。普段は食べることしかしていないあの口から、そんな鋭い推理が出てくることにも驚きだが、政治腐敗を一掃するために革命の狼煙をあげた現帝国においても腐敗が消えてなどいないという事実に唖然とするのだ。
「ということは鉱山のオーナーを懲らしめる方法があるの?」
「鉱山の所有権に関する書類はオーナーが必ず持っているでしょう。無いと万が一の時に言い逃れできませんからな。しかし、同時にそれがアキレス腱にもなりうるでしょう。もし白日の下に晒された場合、オーナーは即監獄行きですな。正当な理由なら書類もちゃんとしているはずですが、人を死ぬまで働かせるようなやり方をするような人間には見込みはありませんな」
アウグストの答えは明確にクリームヒルトにやる事を示唆しているのは間違いなかった。クリームヒルトは窺うようにアウグストに話しかける。
人と人をつなぐ。今の出来事においてそれは自分にしかできないことだろう。
「わかった、ハンターにお願いしてみる」
クリームヒルトは男にもう一度、安心して、と声をかけると早速ハンターソサエティに向かって走り出した。
普段は自分から動くことの少ないアウグストがそう声をかけたのは朝方のことだった。身支度を整えていたクリームヒルトであったが、アウグストの切羽詰まった声色に、スイッチが入ったかのように、クリームヒルトは気を張り詰めて警戒しながらの応答した。
「どうしたの?」
「怪我をした男が、ここに助けに求めてやってきております。こんな時間に申し訳ございませんが、ただならぬ様子ゆえ、ご報告をい」
アウグストの冗長な言葉を遮るようにしてクリームヒルトは扉を開けると、髪をざっくばらんに整えつつ廊下を走り、階段を三段飛ばしで降りると、メイドに介抱される男の姿を見ることができた。肌の見える部分はあちらこちらにアザが浮かび、ところどころに走る裂傷はムチであることを想像させた。思わず恐怖の感情が沸き起こるが、クリームヒルトは息を軽く飲んだ後、静かに歩み寄った。
「もう、大丈夫ですよ……」
どんな言葉をかけたらいいのか迷うところはあったが、意外にもその言葉は自然と出てくることができた。男は痛みに堪えて何かを伝えようとしていたが、クリームヒルトの言葉と真っ直ぐな瞳を前にして安息のため息をついた。意志が伝わったのだ、とクリームヒルトは感じ取っていた。そしてそれをしっかり聴きいれるのがこれからの自分の役目なのだと。
医者の手当を受けた男が話した内容はまるで別の国、王国や同盟領や辺境などではなく、少なくともクリームヒルトが知っている場所の話ではないような気がした。
「ですが事実なのです。12年前の革命以後、生活が立ち行かなくなって借金を抱えた人間はゴマンといます。家も財産もむしりとられた上、鉱山で奴隷のような働きを強いられる。アドランケン鉱山で働くのはそんな人間ばかりです。休みもなく働き続けて、少しでもへたり込もうとしたら拳かムチが飛んできます。死んだらその辺に捨てられて新しい犠牲者が補充される。私は……逃げ出してきました。家族や仲間が傷つけられより酷い運命になるかもしれないけれど……!」
「……大丈夫。あなたは生きてここにたどり着いたよね? それはきっと他の人たちの思いがそうさせたんだと思うの。その思いを失わせることはわたしはしない」
震える男にクリームヒルトは静かにそう言った。
意志は人に受け継がれるものだ。意志は遺志となり、また意志に生まれ変わる。そうして関わった人すべてに波及していく。それはクリームヒルト自身がよく分かっていた。
12年前、帝国の革命が起きた時、クリームヒルトは6歳だった。帝国皇帝の子女としてバルトアンデルスの城に多くの臣民にかしずかれるような生活はもうあまり記憶に残っていないが、革命の戦士と戦う騎士の顔や声はいまだに思い出す。彼らの後ろ姿が語る意志は、いまだにクリームヒルトの中で息づいていた。
今度は自分が助けるのだ。剣を持つ腕もなければ、奔流のような知恵もなくとも、できることはあるはずだ。
横で話を聞いていたアウグストはクリームヒルトと男の会話に間ができたのを確認して、ぼそりと呟いた。
「ふむ。アドランケン鉱山といえば小さいながらも国有鉱山でしたな。帝国がそのようなことをしているとは……」
「国有鉱山? いいえ、帝国の役人なんてみたことありません。帝国のシンボルですら見たことありません」
男の言葉に、一同は顔を見合わせた。
「アドランケンに複数の鉱山があるとか?」
「そんなことしたら採掘権の問題が起きます。考えられるのは、鉱山の所有権を何らかの手法で今のオーナーが手に入れたということですが、恩賞で鉱山を与えられるなど聞いたことはありません。国から買い取るなどとなれば莫大な金が動きます。それならこちらの耳にも入るはず。残る手法は……無断で私物化したということくらいしかありませんな」
「私物化!?」
「革命の際に、かなりの書類などが失われました。大事な物は回収に人手を割いたり、文官が再作成をするなどしてカバーをしているという話ですが、小さなものなら私物化し、関係者に金品を与えて口封じするなどすれば、歪虚との戦いに明け暮れる今の帝国なら隠し通せるかもしれません。今の帝国は首都と前線には詳しいが、その間にある各地方のことにはとんと疎いと聞き及んでおりますぞ」
アウグストの推察に、クリームヒルトはしばらく開いた口がふさがらなかった。普段は食べることしかしていないあの口から、そんな鋭い推理が出てくることにも驚きだが、政治腐敗を一掃するために革命の狼煙をあげた現帝国においても腐敗が消えてなどいないという事実に唖然とするのだ。
「ということは鉱山のオーナーを懲らしめる方法があるの?」
「鉱山の所有権に関する書類はオーナーが必ず持っているでしょう。無いと万が一の時に言い逃れできませんからな。しかし、同時にそれがアキレス腱にもなりうるでしょう。もし白日の下に晒された場合、オーナーは即監獄行きですな。正当な理由なら書類もちゃんとしているはずですが、人を死ぬまで働かせるようなやり方をするような人間には見込みはありませんな」
アウグストの答えは明確にクリームヒルトにやる事を示唆しているのは間違いなかった。クリームヒルトは窺うようにアウグストに話しかける。
人と人をつなぐ。今の出来事においてそれは自分にしかできないことだろう。
「わかった、ハンターにお願いしてみる」
クリームヒルトは男にもう一度、安心して、と声をかけると早速ハンターソサエティに向かって走り出した。
解説
アドランケン鉱山のオーナー事務所にある鉱山に関する書類の確認、および押収が目的となります。
鉱山の入り口あたりに石作りの二階建ての建物が事務所になります。警備は物々しく、昼夜問わず5名が警備にあたっています。もし見つかった場合は少しの時間をおいて、援軍が到着することになります。ただし警備員は援軍も含めて非覚醒者です。
部屋はロビー、応接、事務所、執務室、台所、寝室があります。警備員はロビーに2名、執務室に1名、後2人は巡回しています。
絶対条件として、見つからないこと。が挙げられます。皆様の活動が終局に向かうまでにオーナー側に気付かれると書類は根回しによって意味のないものにされてしまいます。従って、見つかった時点でシナリオは失敗扱いになりますので十分ご注意ください。
ただし皆様の(社会的な)身の保証はアウグストが裏から根回ししていますので、問題が起こりません。よほどの事をしていなければ、の話ですが。
書類はアウグストか帝国の政府窓口に提出してください。
クリームヒルトやアウグストは、怪我をした男などは鉱山の近くの家にいることとします。必要なら呼んでも大丈夫です。
NPCとしてクリームヒルトが同行します。よろしくお願いいたします。
鉱山の入り口あたりに石作りの二階建ての建物が事務所になります。警備は物々しく、昼夜問わず5名が警備にあたっています。もし見つかった場合は少しの時間をおいて、援軍が到着することになります。ただし警備員は援軍も含めて非覚醒者です。
部屋はロビー、応接、事務所、執務室、台所、寝室があります。警備員はロビーに2名、執務室に1名、後2人は巡回しています。
絶対条件として、見つからないこと。が挙げられます。皆様の活動が終局に向かうまでにオーナー側に気付かれると書類は根回しによって意味のないものにされてしまいます。従って、見つかった時点でシナリオは失敗扱いになりますので十分ご注意ください。
ただし皆様の(社会的な)身の保証はアウグストが裏から根回ししていますので、問題が起こりません。よほどの事をしていなければ、の話ですが。
書類はアウグストか帝国の政府窓口に提出してください。
クリームヒルトやアウグストは、怪我をした男などは鉱山の近くの家にいることとします。必要なら呼んでも大丈夫です。
NPCとしてクリームヒルトが同行します。よろしくお願いいたします。
マスターより
闇夜に乗じて悪を斬る~ってなイメージです。
忍び込む系が得意な方は大活躍のチャンスかも。
あ、忍び込むだけでなく、誘い出すとか色仕掛けとかの方法もありですので、自分がやれそうなことを思いついた人はドンドンやっちゃってください。
それでは良い隠密を。
忍び込む系が得意な方は大活躍のチャンスかも。
あ、忍び込むだけでなく、誘い出すとか色仕掛けとかの方法もありですので、自分がやれそうなことを思いついた人はドンドンやっちゃってください。
それでは良い隠密を。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/31 22:43
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 上杉浩一(ka0969) 人間(リアルブルー)|45才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/08/24 22:36:34 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/24 21:00:17 |
|
![]() |
相談卓 ヒース・R・ウォーカー(ka0145) 人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/08/25 14:48:33 |