ゲスト
(ka0000)
迷える子羊ちゃんのRHAPSODY
マスター:冬野泉水

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 5~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/02 15:00
- リプレイ完成予定
- 2014/09/11 15:00
オープニング
「司教! 見つけましたよ、ジェラルド司教!」
たまたま立ち寄った先が王都イルダーナであったことをジルは心底後悔した。子供の頃からの癖か、考え事をしながら歩くと大体気づけば教会――つまり、同業者が集う場所に来てしまう。
やっちまった……と頭を抱えるジルに、走り寄ってきたのは聖堂戦士団員だった。まだ真面目に働いていた頃からの付き合いで、人生で最も迷惑をかけているであろう一人である。
二十歳前だろうか、溌剌とした顔の少年は、エミリオという。幼少の頃から聖堂教会に使える助祭で、ジルに日頃から仕事をなすりつけられている少年だ。
「十三日と五時間ぶりの帰還ですね」
「Wait、なんで数えてんだよ」
「嫌味を通りこして、趣味です」
「その趣味、やめとかないとモテないぜ……」
さっさとずらかろう。そう決めて踵を返したジルの後を少年は当然のようについてくる。
「司教に仕事の指示が来ています。もうすぐここに戻るだろうと」
「誰の指示だ?」
「副団長です」
「……No kidding」
天を仰いだジルだった。
●
聖堂戦士団の活動範囲は西方一帯に及ぶ。その広大な土地に住む戦士達を束ねるのは聖堂戦士団長だが、なにも一人で動かしているわけではない。
それぞれの土地に、それぞれの使命に応じて、聖堂戦士団は流動的に組織を改める。
複数の副団長が存在するのも、戦場に最も近い戦士団を即座に束ねられるようにするためだ。
グラズヘイム王国内を管轄する副団長は事実上のナンバー2であるが、小柄な少年のような男性である。だが、三十路を超え、経歴はベテランそのものである。勿論、偉大なる王立学校神学科の先輩でもある。
同時に、ジルが最も関わりたくない男の一人でもあった。
僕の統計が正しければ、そろそろあの不良が姿を見せるはずです。
溜まっている仕事をがっつり与えてください。
刃向かったら? 愚の骨頂のような質問ですね。
あの男が、この僕に逆らえると?
それに、これは聖女の願いでもあるのですよ。
裏切ったら――エクラの光に誓って、あの男の血が絶えるまで絶対に許さない。
「あいつの聖女病、末期じゃねえのか……」
副団長のありがたい話を助祭から聞いたジルは溜息をつき、歩きながら酒瓶をあおった。直後に、何故かついてきたその助祭――エミリオにそれを取り上げられる。
「つべこべ言わず、仕事して下さい。でないと私が副団長に殺されます」
「大丈夫だって。あいつ、俺以外にはまともだからよ」
などと言うジルが無理矢理受けることになったのは、とある村々の教会に出向き、葬式の進行を行うというものだ。
常勤の司祭がいないために生じる仕事なのだが、その数、実に二十近く。分刻みで動くことが前提の、地獄の仕事群である。しかも、そもそも司教位を持つジルの仕事ではない。
「マジ酒でも飲まねえとやってらんねぇ……聖女の下僕のテメーと一緒にすんな!」
悪態をつきながらも言われるままに行動してしまうジルである。何と言っても相手は副団長だ。個人的にも公的にも逆らいたくはない。
いくつかの教会を渡り歩き、イスルダ島を望む小さな漁村に辿り着いたジルは、既にへとへとであった。
「あー……Hey、お嬢ちゃん。聖堂教会から派遣された司教だ。聖言(ことば)を伝えにきたぜ」
ぐったりとした司教の姿にも動じることなく、少女は踵を返して家の中に飛び込んだ。
●
「聖光(しゅ)よ。かの魂を導き給え。その道、再び茨に閉ざされ、暗澹の中を征こうとも、その輝光を授け給え」
軽く十字を切り、教会は静寂に包まれた。
教典をぱたりと閉じたジルは無性に欠伸したくなるのを必死で堪えていた。脇腹をエミリオにどつかれながら、最後のありがたいはずの言葉を口にする。
――はずだった。
「Wait……エミリオ。教会から皆を出すなよ」
「ジル司教?」
「Everybody! 悪ぃが、しばらくここで待っていてくれ。世話は全部こいつがやるからよ」
ざわつく教会内を静めて、ジルはエミリオに目配せした。
それだけで、聖堂戦士団員の彼らには通じる。
「お一人で大丈夫ですか?」
「Why? この俺様だぜ?」
不敵に笑って、ジルは説教壇を降りた。
もそもそ蠢くのは、小さな羊の群れだった。
形は羊そのものだが、背中は硬質で、妙に発達した角を逆立てている。
「オーライ。迷える子羊ちゃん達ィ。懺悔の準備はできてっか?」
雑魔を挑発するように、ジルはいつもどおり背負っている大きな杖を手にしようとして――そして気づいた。背中が軽い。
「げ……」
戦いが前提の仕事でもない限り、放浪時以外は持ち歩いていないのである。
とはいえ、彼も聖堂戦士団の一員。有事に備えて武器くらいは持っている。
そう、通常の聖堂戦士団員ならばだ。
「Oh……shit!」
ジェラルド・ロックハート、彼はあまり荷物を持たない主義だ。
すなわち、エクラの聖光より遣わされた唯一の武器は、今まさに使っていた教典のみである。
「マジ……?」
一応、これも法具の一つだ。無いよりはマシではあるが。
「くっそ……あんのクソ野郎! 聖光の天罰でも喰らいやがれっ!」
どこかでふんぞり返っている副団長を呪って、ジルは教典を掌に打ち付けた。
たまたま立ち寄った先が王都イルダーナであったことをジルは心底後悔した。子供の頃からの癖か、考え事をしながら歩くと大体気づけば教会――つまり、同業者が集う場所に来てしまう。
やっちまった……と頭を抱えるジルに、走り寄ってきたのは聖堂戦士団員だった。まだ真面目に働いていた頃からの付き合いで、人生で最も迷惑をかけているであろう一人である。
二十歳前だろうか、溌剌とした顔の少年は、エミリオという。幼少の頃から聖堂教会に使える助祭で、ジルに日頃から仕事をなすりつけられている少年だ。
「十三日と五時間ぶりの帰還ですね」
「Wait、なんで数えてんだよ」
「嫌味を通りこして、趣味です」
「その趣味、やめとかないとモテないぜ……」
さっさとずらかろう。そう決めて踵を返したジルの後を少年は当然のようについてくる。
「司教に仕事の指示が来ています。もうすぐここに戻るだろうと」
「誰の指示だ?」
「副団長です」
「……No kidding」
天を仰いだジルだった。
●
聖堂戦士団の活動範囲は西方一帯に及ぶ。その広大な土地に住む戦士達を束ねるのは聖堂戦士団長だが、なにも一人で動かしているわけではない。
それぞれの土地に、それぞれの使命に応じて、聖堂戦士団は流動的に組織を改める。
複数の副団長が存在するのも、戦場に最も近い戦士団を即座に束ねられるようにするためだ。
グラズヘイム王国内を管轄する副団長は事実上のナンバー2であるが、小柄な少年のような男性である。だが、三十路を超え、経歴はベテランそのものである。勿論、偉大なる王立学校神学科の先輩でもある。
同時に、ジルが最も関わりたくない男の一人でもあった。
僕の統計が正しければ、そろそろあの不良が姿を見せるはずです。
溜まっている仕事をがっつり与えてください。
刃向かったら? 愚の骨頂のような質問ですね。
あの男が、この僕に逆らえると?
それに、これは聖女の願いでもあるのですよ。
裏切ったら――エクラの光に誓って、あの男の血が絶えるまで絶対に許さない。
「あいつの聖女病、末期じゃねえのか……」
副団長のありがたい話を助祭から聞いたジルは溜息をつき、歩きながら酒瓶をあおった。直後に、何故かついてきたその助祭――エミリオにそれを取り上げられる。
「つべこべ言わず、仕事して下さい。でないと私が副団長に殺されます」
「大丈夫だって。あいつ、俺以外にはまともだからよ」
などと言うジルが無理矢理受けることになったのは、とある村々の教会に出向き、葬式の進行を行うというものだ。
常勤の司祭がいないために生じる仕事なのだが、その数、実に二十近く。分刻みで動くことが前提の、地獄の仕事群である。しかも、そもそも司教位を持つジルの仕事ではない。
「マジ酒でも飲まねえとやってらんねぇ……聖女の下僕のテメーと一緒にすんな!」
悪態をつきながらも言われるままに行動してしまうジルである。何と言っても相手は副団長だ。個人的にも公的にも逆らいたくはない。
いくつかの教会を渡り歩き、イスルダ島を望む小さな漁村に辿り着いたジルは、既にへとへとであった。
「あー……Hey、お嬢ちゃん。聖堂教会から派遣された司教だ。聖言(ことば)を伝えにきたぜ」
ぐったりとした司教の姿にも動じることなく、少女は踵を返して家の中に飛び込んだ。
●
「聖光(しゅ)よ。かの魂を導き給え。その道、再び茨に閉ざされ、暗澹の中を征こうとも、その輝光を授け給え」
軽く十字を切り、教会は静寂に包まれた。
教典をぱたりと閉じたジルは無性に欠伸したくなるのを必死で堪えていた。脇腹をエミリオにどつかれながら、最後のありがたいはずの言葉を口にする。
――はずだった。
「Wait……エミリオ。教会から皆を出すなよ」
「ジル司教?」
「Everybody! 悪ぃが、しばらくここで待っていてくれ。世話は全部こいつがやるからよ」
ざわつく教会内を静めて、ジルはエミリオに目配せした。
それだけで、聖堂戦士団員の彼らには通じる。
「お一人で大丈夫ですか?」
「Why? この俺様だぜ?」
不敵に笑って、ジルは説教壇を降りた。
もそもそ蠢くのは、小さな羊の群れだった。
形は羊そのものだが、背中は硬質で、妙に発達した角を逆立てている。
「オーライ。迷える子羊ちゃん達ィ。懺悔の準備はできてっか?」
雑魔を挑発するように、ジルはいつもどおり背負っている大きな杖を手にしようとして――そして気づいた。背中が軽い。
「げ……」
戦いが前提の仕事でもない限り、放浪時以外は持ち歩いていないのである。
とはいえ、彼も聖堂戦士団の一員。有事に備えて武器くらいは持っている。
そう、通常の聖堂戦士団員ならばだ。
「Oh……shit!」
ジェラルド・ロックハート、彼はあまり荷物を持たない主義だ。
すなわち、エクラの聖光より遣わされた唯一の武器は、今まさに使っていた教典のみである。
「マジ……?」
一応、これも法具の一つだ。無いよりはマシではあるが。
「くっそ……あんのクソ野郎! 聖光の天罰でも喰らいやがれっ!」
どこかでふんぞり返っている副団長を呪って、ジルは教典を掌に打ち付けた。
解説
教会付近に現れた羊の群れを倒してください。
【状況】
イスルダ島を望む小さな漁村です。
村人は総出で教会の葬式に出席しているため、住居には誰もいません。
村に戦闘の邪魔になるような障害物はありません。
【歪虚】
小さな羊×30
体長80cm程度の羊で、背中以外はもこもこです。弱そう。
硬質の背中、尖った角が特徴的です。
顔はつぶらな瞳でちょっとかわいい。
現在は大人しく群れで戯れていますが、去っていく気配はありません。
なお、ジルのことは視界に入っていますが、遊んでくれる人間くらいの感覚です。
【友軍】
ジェラルド・ロックハート。聖導士。
聖堂戦士団員で聖堂教会の司教。
FOOOOOOOO!とか言いながら突撃するなまぐさ神父。
手にする武器は全て鈍器だと思っている系男子。割りと強い。
ストレスでテンションが上がっている模様。
【その他】
・白紙プレイングは描写できません。ご注意ください。
・口調や性格把握のため、相談卓での発言や設定文をご活用ください。
【状況】
イスルダ島を望む小さな漁村です。
村人は総出で教会の葬式に出席しているため、住居には誰もいません。
村に戦闘の邪魔になるような障害物はありません。
【歪虚】
小さな羊×30
体長80cm程度の羊で、背中以外はもこもこです。弱そう。
硬質の背中、尖った角が特徴的です。
顔はつぶらな瞳でちょっとかわいい。
現在は大人しく群れで戯れていますが、去っていく気配はありません。
なお、ジルのことは視界に入っていますが、遊んでくれる人間くらいの感覚です。
【友軍】
ジェラルド・ロックハート。聖導士。
聖堂戦士団員で聖堂教会の司教。
FOOOOOOOO!とか言いながら突撃するなまぐさ神父。
手にする武器は全て鈍器だと思っている系男子。割りと強い。
ストレスでテンションが上がっている模様。
【その他】
・白紙プレイングは描写できません。ご注意ください。
・口調や性格把握のため、相談卓での発言や設定文をご活用ください。
マスターより
羊をフルボッコにするだけの簡単なお仕事です。
ただし、手段と方法の選択を大切に。
ただし、手段と方法の選択を大切に。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/09/08 23:54
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談卓 フラヴィ・ボー(ka0698) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/09/02 07:37:57 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/28 20:59:43 |