• 戦闘

一念発起の用心棒

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/09/06 12:00
リプレイ完成予定
2014/09/15 12:00

オープニング

「ダンチョー! シュシュを帝国軍に入れてくんろ!」
 面会希望にやってきたシュシュ・アルミラ。色々内密に忙しいオズワルドであったが、縁あって応じてみれば第一声がこれであった。
 バルトアンデルス城では今日もあまり変わり映えのない日常が過ぎ去っていく。だが変化がないわけではない。これもそんな事件の一つだと言えるだろう。
 シュシュは嘗て帝国軍の軍事作戦を故意に妨害した罪で第一師団の下働きをしていたハンターだ。その出自は辺境部族の物で、帝国に移民してきてからという物、帝国嫌いを頑なに通してきた少女なのだが……。
「この類の唐突な展開には悲しい事に慣れっこだが……そいつはどういう心変わりだ?」
「シュシュ、こないだ開拓地に行って思っただよ。不平不満をただ溜め込んでくさっていてもなんも良い事なんかない。だからあの人たちは自ら行動して、現実を変えようと努力していただ。シュシュはただ文句を言ってるだけで、自分ではなんにもしてなかっただよ……」
 しょぼくれた様子を腕組み見下ろすオズワルド。それとなく椅子にかけるように促すと、いつものように茶と菓子を出してやる。
 オズワルドのお茶は美味しい、シュシュはそれを知っていた。それに毒なんか入っている筈もない、この老人は決して悪人ではない。そういった信頼がるからこそ、安心してお菓子に飛びつく事が出来る。口の周りを焼き菓子の粉で汚しながらシュシュは神妙な面持ちで告げた。
「多分、この世の中にはいろんな不幸があるだ。辛い事、悲しい事、我慢している人がいっぱいいるだよ。そしてそれを変えようと頑張っている人がいる」
 開拓地の仕事は決して容易くはない。とても辛くて苦しい日々が続く。しかし彼らはそれに望んで挑んでいく。
 誰かにやれと言われたから、それもあるだろう。だが本質はそうではない。自分自身の意志で何かを変えようと願うからこそ、困難な道を切り開く事が出来る。
「帝国軍は志願さえすれば誰でも兵士になれると聞いただ。なら、シュシュだって兵士になれるべ?」
「兵士になってどーすンだ。ハンターの方が自由気ままでおまえさんには合ってると思うがね」
「武勲さえあげれば、帝国では誰でも偉くなるチャンスがあると聞いただよ。なら、シュシュもダンチョーみたいに偉くなれる筈だべ」
「偉くなってどーすンだ」
「シュシュ、偉くなって、ダンチョーになる。ダンチョーになって、自分の町欲しい。シダンチョーになれば自分の町もらえるんだべ? そしたらシュシュ、移民してきた人達が仲良く暮らせる、新しい故郷を作りたい」
 不安を押し殺すようにぐっと拳を握り締め、少女は顔を上げた。オズワルドはその幼い眼差しを険しい表情で見つめ返す。
「本気で言ってんのか? ただのガキに叶えられる程小さい夢じゃねェぞ」
「嫌な事や苦しい事をただ我慢して嘆いていても何も変わらないだよ。どうせ同じように苦しむのなら、何かを変える為に苦しみたいから……」
 へにょっと眉毛を垂らし、困ったような様子で少女は首を傾げる。
「……ダンチョー、むりか? シュシュじゃむりか?」
「あー、まあ無理だな」
 一刀両断され唖然とするシュシュ。細かく振動しながら落ち込んでいると、オズワルドは葉巻を取り出し低く笑う。
「今のままじゃ無理だ。兵士ってのは辛ェぞ? 望まない仕事をしなきゃならん時もある。ちっとも立派でもなんでもねェ。皆生身の人間で、そのままで組織を作る。どいつもこいつも一癖も二癖もある、体温のある人間だ。そいつらの中で自分を通し、尊重し、成長し、理想を叶える……とても生半可な覚悟でやれる事じゃねェよ」
「やっぱり難しいか……シュシュじゃだめか……」
「だがまあ……そうだな。何かを変えようと、帝国を変えようと、帝国軍の中で上を目指す奴らは確かに居る。うちの副師団長のシグルドとかな。そして良くも悪くもヴィルヘルミナはそういうアホに寛容だ。おまえさんにも、チャンスはあるかもしれねェな?」
 ニっと笑い、オズワルドは机から羊皮紙を持ってくる。古びた形式の契約書類で、第一師団の門を叩く者に手渡される物だ。
「兵士、やってみるか?」
「ダンチョー……」
「なんだ?」
「これ、どうやって書けばいいのかさっぱりわかんないだよ……」
 苦笑を浮かべ、冷や汗を流すシュシュの頭をポンポンと撫でるオズワルド。こうしてシュシュは帝国兵に――。


 ――なっていなかった。数日後、シュシュは帝国軍の下級兵士が着用する黒い軍服を纏い、バルトアンデルス城下町を歩いていた。
「えーと、帝国軍の兵士は四種類。威力偵察を得意とする“猟兵”、重鎧で防御と突破の要となる“突撃兵”……銃の扱いに特化した“銃衛兵”、魔導デバイスを使う“錬魔兵”……」
 オズワルドから貰った基本的な教練本を読みつつ、シュシュはふらふらと道端を歩いていた。その装備は猟兵と呼ばれるタイプの兵士に支給されるもので、軽装で首回りや上着の裾などに毛皮があしらってある、辺境部族らしさを残した軍服だ。これは結構違和感なく着られたのだが、実はまだ正式に兵士になったわけではなかった。
 帝国軍は十の師団の統合体。そして一つ一つの師団が別個の個性を持つ。兵士の採用方法に至っても師団ごとに基準は異なる。
 第一師団は帝都防衛と首都機能の維持を主任務とする、言わば治安維持部隊だ。その採用には幾つかの試験がある。
 まず筆記試験。これはあっさり落ちた。だが戦闘能力さえ示せれば、下っ端からでも入団の希望は残されている。アホでも腕っぷしが強ければいいのだ。
 そんなシュシュに与えられた試験は、ハンターと協力して歪虚を倒すという物だった。オズワルドが何を考えて部外者であるハンターを巻き込んだのかシュシュにはよくわからなかったが、ハンターとはこれまでも結構仲良くやってきたので異論はない。
「そういえばダンチョー、なんで盾をくれたんだべ?」
 シュシュの右腕には小型の盾、バックラーが装備されていた。
 帝国軍の兵士は皆盾を持つ文化がある。例え機導師だろうがなんだろうが盾は必須だ。これは兵士に生き延びて欲しいという願いが籠っているのだが、シュシュにはちょっと邪魔だった。
「まあいいべ、ちゃちゃっと任務に当たるべ! えっと、待ち合わせ場所は地図通りに行けばいいからぁ……んっとぉ……」
 そうやって地図を見ている間にふらふらと進路変更し、街頭に頭をぶつける。どうせならヘルメットを支給してくれればいいのにと、早速不満を漏らすシュシュであった。

解説

●目的
街道警邏、及び歪虚の殲滅。


●概要
帝都バルトアンデルスからノアーラ・クンタウまで続く街道付近で歪虚の存在が確認された。
といっても大した数ではなく、脅威度も低い。街道そのものは各地に第一師団の兵が立っている為往来に支障は来していない。
今回は第一師団の依頼でバルトアンデルスを出発、街道を進んで目標を発見次第これを殲滅してもらいたい。
尚、今回の依頼は帝国兵の採用試験も兼ねている。特別な手助けは依頼内容には入っていないが、了承しておく事。
その為任務には兵士候補生が同行する。また移動には第一師団から馬車の貸し出しがある。
魔導トラックでも貸してくれればいいのだが、馬車である。色々と察して欲しい。
馬車は全員乗れる兵員輸送用の装備なので、往復共に足の心配は要らない。


●敵情報
『狼ゾンビ』
犬、或いは狼が歪虚化した雑魔。
帝国では割とその辺で見かける弱い敵。素早いが覚醒者に捉えられない程でもない。
爪や牙で攻撃するほか、若干連携行動がとれるが、特別脅威に感じる事もないだろう。
目撃情報では四体だが、恐らくそれ以上出現するのであてにしないように。


●特筆
霊闘士のシュシュ・アルミラが同行。
今回から新コスチューム。片手斧と盾を装備。
帝国嫌いの帝国志願兵(見習い)。そこそこ強いが、アホ。
性格や言動が元で第一師団の兵達には全く認められていない。

マスターより

お世話になっております、神宮寺でございます。

既にもう用心棒でもなんでもなくなってる気がします。
敵はさほど強くもないですので、順当に戦えば倒せると思います。
依頼内容にシュシュの事は含まれていませんが、シュシュが兵士になる上でのアドバイス、或いはなるべきかならないべきかなんて話が有意義だったらボーナスが入ります。
目的に書いてないけど、オズワルド的にはそういう要素を期待しているようですね。
道端には警備の兵隊がちょくちょく立ってますが、シュシュの事は良く思ってません。

それでは宜しくお願い致します。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/13 07:26

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人

  • エステラ・クルース(ka1104
    人間(紅)|17才|女性|疾影士

  • ルイ・シュヴァリエ(ka1106
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 答の継承者
    オキクルミ(ka1947
    エルフ|16才|女性|霊闘士
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 豊楽の詩人
    エルダナール・ヘルヤンウェ(ka2517
    エルフ|31才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 街道警邏相談卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/09/02 22:16:19
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/01 23:18:17