「あ～……！　空って、こんなに青かったんだなぁ……」
　伸びをしながら、１人の兵士が呟く。見上げた空は青く、どこまでも高い。雲１つない快晴が、見渡す限り広がっている。
　思えば、空をゆっくりと見るのは久しぶりの事かもしれない。カム・ラディ遺跡の発掘に始まった、龍を巡る攻防……激戦の連続に、空を見上げる余裕は微塵も無かった。
　メイルストロムを撃破して『一応』の決着は迎えたが、安心するのは若干早い。問題が全て解決したワケではないし、今後の課題も残っている。北伐の犠牲になった者も少なくないし、素直に喜べない一般人も多いだろう。
　とは言え、今回の大規模作戦は『歴史に残る偉業』と表現しても過言ではない。歪虚から領地を奪還した上、青龍との和解を実現させたのだから、上出来以上の結果である。
　可能なら両手を上げて喜びたいトコロだが……兵士は大きく溜息を吐いた。北方には未だに、歪虚の雑兵が残っている。『強欲の王』と指揮官を倒され、統率は完全に失っているが、歪虚そのものが消えたワケではないのだ。
　雑兵達に作戦を立てるような知能は無いが、野放しにしたら危険が募る。加えて、雑魔の目撃情報が多数届いたため、兵士に偵察の任務が与えられた。
　情報を纏めると、残党の目撃件数が多いのは２ヶ所。カム・ラディ遺跡から十数km南下した地点と、遺跡から数km北東に移動した位置である。両方、ゴツゴツした岩場で人目につかない場所ではあるが……。
「さてさて。こっちには何が居るかな？」
　南部に来ている兵士が、呟きながら周囲を見渡す。北東部に行った同僚からは、『雑魔の集団を発見した』という連絡が入った。こっちにも残党が居る可能性は高いだろう。
　緊張感が高まる中、兵士は一瞬だけ驚きの表情を浮かべ、素早く岩陰に身を隠した。早鐘を打つ心臓を抑えつつ、慎重に岩場の奥を覗き込む。
「マジ……かよ……」
　無意識のうちに、兵士の口から言葉が漏れていた。
　彼が見つけてしまったのは、巨大な蛇。いや……蛇人間、と表現した方が正しいだろう。上半身は人間に近いが、腰から下は完全に蛇。頭部は蛇よりも龍種に近い。
　こんな異形のバケモノは、歪虚以外に存在しない。外見の特徴から推測するに、強欲に属する雑魔だろう。
　予想外の状況と歪虚の姿に、兵士の思考が一時的に止まった。それでも10秒もしないうちに正気を取り戻し、状況を報告するために走り出した。

　落ち着きを取り戻しつつある極北の地に、不穏な影を落とす雑魔達。知能は低い上に統率者が居ないため、何かの前触れや作戦があって行動している可能性はゼロです。
　とは言え、雑魔を野放しには出来ません。発見された敵の撃破をお願いします。

　雑魔が目撃されたのは、カム・ラディ遺跡から十数km南下した場所と、遺跡から数km北東に移動した地点。地形的に、巨大な岩が点在している場所です。
　地面は荒れていますが、馬やバイクでの移動は不可能ではありません。ですが、岩や小さな地割れが多いので、操縦にはご注意を。

　北東部には、リザードマンタイプの雑魔が群がっています。数は10体前後。剣や槍による近接攻撃がメインとなります。中には、盾を持っている個体も居ます。
　『強欲』の中では最下級の雑魔なので、経験の浅いハンターでも充分に戦えます。ザコ故に、逃走や増援にはご注意を。

　南部に居る敵は、北東部の雑魔よりも格上の歪虚です。能力的には中級眷属なので、油断は大敵かもしれません。
　全長は4m程度。長く太い尾を使った薙ぎ払いと、口から毒液を吐き出して攻撃してきます。
　尾の薙ぎ払いは、前方180度の範囲内を同時に攻撃します。命中や威力は若干高いですが、射程は2m程度です。
　毒液は単体攻撃ですが、15m近く飛びます。命中したら毒の効果を受けますが、抵抗の値次第では無効化できます。

　蛇人間を撃破し、リザードマンを半数以上倒せれば、依頼は成功となります。無論、敵を全滅させても構いません。

　この依頼に目を通して下さった方、参加して下さった方、過去に参加して下さった方に感謝を。
　香月丈流です。

　リザードマンを逃がしても即失敗にはなりませんが、半数以上を逃がしてしまった場合は失敗となりますので、ご注意を。
　質問等があれば克牙が答えますので、遠慮なく聞いて下さい。
　テンプレートを気にせず、プレイングは自由に書いて構いません。
　基本的に、香月はPL様を名前で表記しますが、『リプレイは苗字で書いて欲しい』という方はプレイングに明記して下さい。