ゲスト
(ka0000)
羊の婿入り
マスター:旅硝子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/11 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/09/20 07:30
オープニング
ゾンネンシュトラール帝国の主要産業と言えば、羊の放牧である。
そして、秋と言えば羊の交配の季節である。
普段は放牧されて自由に草を食べている羊達も、この時ばかりは厳重に管理されることが多い。この冬や春に生まれたばかりの若い羊は、まだ仔を為すには早すぎるからと雌雄別に隔離され、特に美味しい肉を、もしくは品質のいい毛を産出する血統の羊は、やはり優れた性質を持つ羊と掛け合わされる。
そして、時には優れた形質を持つ羊同士が、離れた村まで『嫁入り』もしくは『婿入り』することもある。
「いやぁ、以前も思ったけれど、やっぱりいい毛じゃなあ!」
3日ほど離れたミレーの村から、このレベルクの村までやって来た老人は、嬉しそうに目を細めた。
「毛織物も見せてもらったが、いいものだった。温かさも染色の具合も、軍用のコートに……いや、師団長のコートにしたって恥ずかしくないだろうさ」
「そりゃあ光栄だ。それに、この村にいてもやっぱり、帝套(テイトウ)のせっかくの素晴らしい毛を生かしきれないからな……」
少し寂しげに言ったのは、レベルクの村の村長であり、帝套と呼ばれた羊の飼い主だ。
皇帝の外套、そう名付けられた羊は、確かに他の羊より一回り、いや二回りほども大きかった。一回りは体の大きさだが、もう一回りは毛の豊富さだ。
放牧によって少し汚れているが、それでもつやのある質の良い羊毛だと、羊飼いが見ればわかる。しかも密度が高くてとても温かく、染めれば綺麗な色となって、目をも楽しませてくれる。
先祖から何十代にも渡って掛け合わせてきた良き毛の血が、ついに今代にて大きな実を結んだ、そんな努力の結晶たる名羊。
しかし、このレベルクの村には、その素晴らしい毛を生かすだけの環境が足りない。羊毛の加工の規模も小さく、また今の代の雌羊には、この帝套と掛け合わせることができるだけの品質の毛を生み出せる者はいないのだ。
レベルクよりも大きいミレーの村ならば、もっと大々的に羊毛の生産を行っている。帝套と掛け合わせられるほどに素晴らしい雌羊もいるようだし、羊毛の毛織物への加工も大規模に行っているし、その品質を買われて高級洋服店や、あるいは帝国軍への出荷も行われていた。
「せっかくこれだけ素晴らしい毛を作ってくれるんだ。ミレーの村に行った方が、幸せってもんさ」
そう老人――ミレーの村長に言うレベルクの村長の顔は寂しげだが、その表情に悲痛なものはない。
帝套がミレーの村でも大切にされるだろうとはわかっている。ミレーの村長は羊を愛する温厚な人間だ。
そして、毛織物産業によって、彼の家もミレーの村も、非常に豊かでもある。帝套の『婿入り』の礼として、かなりの額の金貨がレベルクの村に渡されていた。これがあれば、毛織物を作るための織り機や糸紡ぎ車を増やすこともできるし、羊以外の家畜を飼うこともできるだろう。それに今年の冬は、レベルクの村では全ての家が、全ての村人が、凍えも飢えもせずに暮らすことができるだろう。
さらに、帝套が仔を為せる限りは1年に1頭、帝套の仔を譲ってくれるという。1頭の羊の代価としては、この上ない条件であった。
「向こうでも元気でな、ミレーの村でもみんな大切にしてくれるからな」
「おう、よろしくの。仲間と別れるのは辛いかもしれんが、またうちの村でも仲間ができるさ」
レベルクの村長が名残惜しげに、ミレーの村長が親しげに帝套の頭を撫でれば、まるで言葉を解したかのようにメェと人懐っこく帝套が鳴いた。
「さて、明日の朝には護衛してくれるハンター達も到着するな。今日はうちに泊まって、ゆっくりして行ってくれ」
「おお、嬉しいのう。お前さんとこの塩漬けマトン、レシピはもらったんじゃがやっぱりお前さんの作ったのが一番じゃ」
「ははは、うちは肉の美味い羊も育ててるからね」
なんとも和やかな、愛羊の婿入り前夜の風景であった。
翌朝、到着したハンター達を迎え、幌馬車に帝套を乗せたレベルクの村長は、ぽんぽん、と二度その毛並みを軽く叩いて。
「達者でな」
僅かに潤んだ瞳をけれど笑みの形に細め、そしてハンター達に深く頭を下げ、帝套の旅を守ってくれるよう頼み込んだのだった。
そして、秋と言えば羊の交配の季節である。
普段は放牧されて自由に草を食べている羊達も、この時ばかりは厳重に管理されることが多い。この冬や春に生まれたばかりの若い羊は、まだ仔を為すには早すぎるからと雌雄別に隔離され、特に美味しい肉を、もしくは品質のいい毛を産出する血統の羊は、やはり優れた性質を持つ羊と掛け合わされる。
そして、時には優れた形質を持つ羊同士が、離れた村まで『嫁入り』もしくは『婿入り』することもある。
「いやぁ、以前も思ったけれど、やっぱりいい毛じゃなあ!」
3日ほど離れたミレーの村から、このレベルクの村までやって来た老人は、嬉しそうに目を細めた。
「毛織物も見せてもらったが、いいものだった。温かさも染色の具合も、軍用のコートに……いや、師団長のコートにしたって恥ずかしくないだろうさ」
「そりゃあ光栄だ。それに、この村にいてもやっぱり、帝套(テイトウ)のせっかくの素晴らしい毛を生かしきれないからな……」
少し寂しげに言ったのは、レベルクの村の村長であり、帝套と呼ばれた羊の飼い主だ。
皇帝の外套、そう名付けられた羊は、確かに他の羊より一回り、いや二回りほども大きかった。一回りは体の大きさだが、もう一回りは毛の豊富さだ。
放牧によって少し汚れているが、それでもつやのある質の良い羊毛だと、羊飼いが見ればわかる。しかも密度が高くてとても温かく、染めれば綺麗な色となって、目をも楽しませてくれる。
先祖から何十代にも渡って掛け合わせてきた良き毛の血が、ついに今代にて大きな実を結んだ、そんな努力の結晶たる名羊。
しかし、このレベルクの村には、その素晴らしい毛を生かすだけの環境が足りない。羊毛の加工の規模も小さく、また今の代の雌羊には、この帝套と掛け合わせることができるだけの品質の毛を生み出せる者はいないのだ。
レベルクよりも大きいミレーの村ならば、もっと大々的に羊毛の生産を行っている。帝套と掛け合わせられるほどに素晴らしい雌羊もいるようだし、羊毛の毛織物への加工も大規模に行っているし、その品質を買われて高級洋服店や、あるいは帝国軍への出荷も行われていた。
「せっかくこれだけ素晴らしい毛を作ってくれるんだ。ミレーの村に行った方が、幸せってもんさ」
そう老人――ミレーの村長に言うレベルクの村長の顔は寂しげだが、その表情に悲痛なものはない。
帝套がミレーの村でも大切にされるだろうとはわかっている。ミレーの村長は羊を愛する温厚な人間だ。
そして、毛織物産業によって、彼の家もミレーの村も、非常に豊かでもある。帝套の『婿入り』の礼として、かなりの額の金貨がレベルクの村に渡されていた。これがあれば、毛織物を作るための織り機や糸紡ぎ車を増やすこともできるし、羊以外の家畜を飼うこともできるだろう。それに今年の冬は、レベルクの村では全ての家が、全ての村人が、凍えも飢えもせずに暮らすことができるだろう。
さらに、帝套が仔を為せる限りは1年に1頭、帝套の仔を譲ってくれるという。1頭の羊の代価としては、この上ない条件であった。
「向こうでも元気でな、ミレーの村でもみんな大切にしてくれるからな」
「おう、よろしくの。仲間と別れるのは辛いかもしれんが、またうちの村でも仲間ができるさ」
レベルクの村長が名残惜しげに、ミレーの村長が親しげに帝套の頭を撫でれば、まるで言葉を解したかのようにメェと人懐っこく帝套が鳴いた。
「さて、明日の朝には護衛してくれるハンター達も到着するな。今日はうちに泊まって、ゆっくりして行ってくれ」
「おお、嬉しいのう。お前さんとこの塩漬けマトン、レシピはもらったんじゃがやっぱりお前さんの作ったのが一番じゃ」
「ははは、うちは肉の美味い羊も育ててるからね」
なんとも和やかな、愛羊の婿入り前夜の風景であった。
翌朝、到着したハンター達を迎え、幌馬車に帝套を乗せたレベルクの村長は、ぽんぽん、と二度その毛並みを軽く叩いて。
「達者でな」
僅かに潤んだ瞳をけれど笑みの形に細め、そしてハンター達に深く頭を下げ、帝套の旅を守ってくれるよう頼み込んだのだった。
解説
●目的
羊『帝套』と村長を無事にミレー村まで送り届けること
●注意事項
・村長は一般人、帝套は素晴らしい毛並みの一般羊です。
・御者は誰かが申し出なければ、村長が務めます。幌馬車なので、明かり取りの小さな窓はありますが、外から羊は見えません。
・羊は敏感な生き物です。あまり早い速度で荷馬車を走らせると、多大なストレスが溜まります。
・スタートのレベルク村からミレー村までは、羊が安心していられる速度で荷馬車を動かして3日間です。朝出発して翌々日の夜に到着です。
・途中(順調に行けば2日目昼~3日目朝)で通る森では、雑魔の目撃証言があります。
狼型の雑魔で、鋭い爪を持っているとのこと。
3~4匹程度の群れを作っていることが多いそうです。
火を恐れることはないようだとのこと。
・なお、旅程を早くするのは羊が繊細なので難しいですが、遅くする分にはある程度ならば余裕があります。
・レベルクの村長から、お土産に全員の2食分くらいの塩漬けマトンをもらっています。
アイテムとして発行される訳ではありませんが、旅の途中に食べて良し持って帰って良し。
薄切りにして野菜と食べたり、いくらか塩抜きして塊で焼いたりすると美味しいです。
日持ちします。
・ちなみに帝套は割と大人しく人懐っこい羊です。毛並みは本当にふっかふかです。
●どのようなシーンが描写されるのか
3日間あるのでダイジェストになります。
皆さんのプレイングでももちろん変わりますが、旅や野営を楽しんだり村長や羊の帝套と、もしくはハンター同士で交流するシーンと、警戒・戦闘シーンが半々程度になると思われます。
羊『帝套』と村長を無事にミレー村まで送り届けること
●注意事項
・村長は一般人、帝套は素晴らしい毛並みの一般羊です。
・御者は誰かが申し出なければ、村長が務めます。幌馬車なので、明かり取りの小さな窓はありますが、外から羊は見えません。
・羊は敏感な生き物です。あまり早い速度で荷馬車を走らせると、多大なストレスが溜まります。
・スタートのレベルク村からミレー村までは、羊が安心していられる速度で荷馬車を動かして3日間です。朝出発して翌々日の夜に到着です。
・途中(順調に行けば2日目昼~3日目朝)で通る森では、雑魔の目撃証言があります。
狼型の雑魔で、鋭い爪を持っているとのこと。
3~4匹程度の群れを作っていることが多いそうです。
火を恐れることはないようだとのこと。
・なお、旅程を早くするのは羊が繊細なので難しいですが、遅くする分にはある程度ならば余裕があります。
・レベルクの村長から、お土産に全員の2食分くらいの塩漬けマトンをもらっています。
アイテムとして発行される訳ではありませんが、旅の途中に食べて良し持って帰って良し。
薄切りにして野菜と食べたり、いくらか塩抜きして塊で焼いたりすると美味しいです。
日持ちします。
・ちなみに帝套は割と大人しく人懐っこい羊です。毛並みは本当にふっかふかです。
●どのようなシーンが描写されるのか
3日間あるのでダイジェストになります。
皆さんのプレイングでももちろん変わりますが、旅や野営を楽しんだり村長や羊の帝套と、もしくはハンター同士で交流するシーンと、警戒・戦闘シーンが半々程度になると思われます。
マスターより
こんにちは。旅硝子です。
秋と言えば羊の交配の季節だそうです。これをどうやってシナリオにしようか悩みましたが、無事にシナリオに出来たのは、アイディアをくれた友人のおかげです。
ありがとう友人!
というわけで羊の帝套くんの護衛をお願いします。おっきくてもふもふです。つぶらな瞳がチャーミングです。
秋に入った帝国の風景や涼しい野営をのんびり楽しんだり、雑魔を警戒したり戦闘したり、楽しんでいただければ幸いです!
どうぞよろしくお願いいたします。
秋と言えば羊の交配の季節だそうです。これをどうやってシナリオにしようか悩みましたが、無事にシナリオに出来たのは、アイディアをくれた友人のおかげです。
ありがとう友人!
というわけで羊の帝套くんの護衛をお願いします。おっきくてもふもふです。つぶらな瞳がチャーミングです。
秋に入った帝国の風景や涼しい野営をのんびり楽しんだり、雑魔を警戒したり戦闘したり、楽しんでいただければ幸いです!
どうぞよろしくお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/09/16 08:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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羊を届けに エルティア・ホープナー(ka0727) エルフ|21才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/09/11 01:39:13 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/06 23:45:19 |