• 詩天
  • 戦闘

【詩天】水の戯れ

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/08/05 19:00
リプレイ完成予定
2016/08/14 19:00

オープニング


 詩天の警備を任せられている大川真次郎匡彦は目の前にいる楠木家が当主、楠木香の出現に困惑していた。
 大川はかねてから交流のある楠木家に兵を出してほしいと打診していたものの、楠木家が統治する千早城でも歪虚の攻撃を受けており、兵の支援は半ば諦めていた。
 言葉を切り出したのは香からだ。
「大川殿。申し訳ないが、今の千早城には兵は出せぬ」
「わざわざそれを言いに詩天まで……?」
 断るのであれば、手紙で十分だ。香一人が詩天に現れる現状に意味を見いだせない。
「私もまた、民を守る立場の者。このような状態を放っておくわけにはいかぬ。微力ながら、私も手伝わせてもらえないだろうか」
 思いがけない香の言葉に大川は目を見張った。
「先日、私は詩天に到着したところ、商家の丁稚少年が使いで渡すための薬を浪人に奪われたところを遭遇した。町の人と、即疾隊で取り戻したが、複数の浪人の一人が歪虚に身体を侵されていた」
 香が告げた言葉は大川も聞いたばかりだ。
 即疾隊の局長達より、隊士が街の者と楠木香と名乗った剣士と共に歪虚化した浪人を討伐した報告を受けた。
 隊士より本物だと進言はあれど、情報の真贋を正すようにと指示をだしたところ。
「現在は風待という渡世人の家に身を寄せております。彼らのところにいれば、何かと情報が入ってきますゆえ」
 渡世人の風待の名は知っている。
 復興中の詩天で悪行が行われないために目を光らせている渡世人一家と大川は聞いていた。
 渡世人のところに他州の一城の主が身を寄せるのは少々抵抗はあれど、幕府への警戒を持つ者がいるここよりはマシだろうと大川は思案する。
 それよりも、大川には香に頼みたいことがあった。
「楠木殿に頼みが……」
 身を屈める大川に香は自然と上体を前に屈ませる。

 大川との対面を終えた香は逗留先の風待一家へと戻る。
 途中、甘味屋で菓子を買って帰った。
「遅かったな。心配してたぞ」
 風待が家の前で香を心配してうろうろ歩いていたが、女房に「香ちゃんは子供じゃないんだよ」と怒られているところに香が帰宅した。
「姐さん、お土産だ。皆で食べよう」
「ありがとうね。お茶入れるよ」
 姐さんが勝手の方へと向かうと、香は風待に話があると言った。
「なんでぇ、改まって」
 居間で子分達も交えておやつを食べていると、香が口にしたのは即疾隊の事。
 詩天警備隊の名を冠する即疾隊は名ばかりの荒くれ者達であり、仕事にあぶれた浪人や田舎剣士の集まりである。
 最初の印象は警備隊の威を借りる粗暴者という最悪のものであり、今はそこそこ印象はよくなってきている。
「あいつ、壬生和彦!」
 子分の一人が思い出したように手を打つ。
「あー、どんな顔だっけ」
 名前は出てくるが、顔は思い出せない模様の子分たち。
「有名なのか?」
 香の問いに子分たちはこくこく頷く。
「滅法強い奴っす」
「この間も歪虚を倒しやしたね」
 歪虚を倒せるとなれば、覚醒者だろうかと香は話を聞きつつ思案する。
「髪で顔を隠しているからあまり印象にないんだろうね。かなり控えめなお人と聞いているよ。」
 姐さんの言葉に風待はため息を吐く。
「実力があるやつは何かと気を大きく持つ奴はいるが、奴はそうでねぇんだ。あんな所にいるんだから、色々とあるんだろうよ」
「……そう、ですね」
 茶を啜る香に子分が思い出したように顔を上げる。
「香さんはなんで即疾隊の事を知りたがるんで?」
「ああ、彼らに実戦指南を依頼された故、知りたかったのです」
 しれっと答える香に一家の皆はなるほどと素直に頷く。
「大変っすね」
「頑張るんだよ」
 などと返して一呼吸置いた後、全員が一斉に香の方を向く。
「なんだってーーーーーー!」
 風待一家に大きな声が響き、近隣まで聞こえていた。

 即疾隊の屯所の一角で顔を突き合わせた局長と副局長は肩を落としていた。
「これであの調査が出来るな……」
 ぽつりと呟いたのは局長の江邨。
「受けて下さってよかったですね」
 安堵のため息をつく、副局長の前沢だ。
 この二人が頭を悩ましたのは隊士達の事。
 実を言うと、即疾隊である問題がひっそりと浮上していた。
 一部隊士の実戦経験だ。
 即疾隊は浪人や田舎剣士の集まり。その中で、入隊したものの、刀を持って実戦したことはないという隊士が数名現れた。
 先日街中で隊士達が退治した歪虚がとれた場所の調査があった。
 普段は人の出入りがない川辺で魚や海老を取ったら、歪虚が中に入っていたという。
 運搬していた桶の中で歪虚は魚やエビを捕食し、肥大化したようだった。
 ちょうどよくいた隊士の壬生和彦が仕事帰りのハンター達と一緒に討伐したとのこと。
 その後、ハンター達が聞き取りを行って、即疾隊の隊士が後日いったところ、歪虚がいたが、隊士は逃げ出してしまって、実戦したことがないと告白を受けた。
 稽古と喧嘩くらいしか経験がなく、刀を持つこともなかったとのこと。
 正直、そんなんじゃ話にならないので、実戦経験を積むべく、その教官になれそうな頼れる者は忙しく、どうしたものかと大川に相談していたのだ。
 そんな折に現れたのが楠木家の当主、香が詩天に現れたという話。
 若き当主の実力は噂であるが、かねてより聞いている。
 一城の主たる武将にこのようなことは申し訳なくも思えるが、今はそれどころではない。
 溺れる者は藁にもつかむ勢いである。
 そんな時に現れた香姫は正にうってつけの人材だ。
 兵を連れ、実戦訓練と称して周辺の雑魔狩りをするような武将がどのような人物が楽しみでもある。

解説

依頼内容
実戦経験のない隊士達の実戦サポート

皆様は即疾隊仮隊士となり、その周辺の調査及び、歪虚討伐のお手伝いです。
隊士が危険と判断しましたらお助け下さい。
とどめを刺すことも大事な訓練というのもお忘れなく。

場所:人気のない川辺
シナリオ『【詩天】食みれぬ魚』にて、街の者が人の出入りがない川辺で魚を取りに行った所、魚と一緒に歪虚も混じって捕獲していたことに気づいていなかったようです。
獲りに行った人は一般人です。
普段、魚を取るときは、浅瀬で転んでも足を取られない所で取っていました。
該当するところは川の流れも速めで、浅いところがあれば深いところもあります。
危険なので漁師さんは近寄りません。

敵:
魚型歪虚四体
今回は普通の魚型です足はありませんが、大きいです。身自体は一m前後ですが、ヒレは全て二mはあります。
水面より浮かび上がり、ヒレを鞭のようにしならせて殴ったり、絡めとっては水中に引きずります。
おびき寄せは、釣りをしようと香が竿や餌を用意してます。
浅瀬と深瀬の中間くらいに歪虚の卵みたいなのがあります。
網で獲って、最後に燃やしましょう。

隊士について:
全員非覚醒者です。
諏訪(すわ):十六歳。地方の豪農の息子。刀使い。大柄だが、気が小さい事を隠すために横柄に接する。
箕郷(みさと):二十歳。武家の次男。槍使い。
秋間(あきま)十七歳。地方の農家の息子。刀を使うが、徒手空拳も腕に自信ある。
大宮(おおみや):十八歳。詩天郊外に居を構える職人の息子。刀使い。背が低く、すばしっこい。

同行NPC
楠木香:武家四十八家門の二十位に位置する。楠木家の姫。通称、香姫。即疾隊隊士の実践指南役として同行します。

マスターより

お世話になります。
鷹羽柊架です。
今回は即疾隊で実戦経験のない隊士の訓練です。

横柄にしていたのは、そういった理由もあった者もいたようです。
手がかかる連中ですが、よろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/08/11 17:53

参加者一覧

  • 銀紫の蜘蛛
    守原 由有(ka2577
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 三千世界の鴉を殺し
    連城 壮介(ka4765
    人間(紅)|18才|男性|舞刀士
  • 招雷鬼
    閏(ka5673
    鬼|34才|男性|符術師

  • 如月樹(ka5926
    人間(蒼)|20才|女性|符術師
  • 即疾隊仮隊士
    優夜(ka6215
    人間(紅)|21才|女性|符術師
  • 戦場に疾る銀黒
    ルイトガルト・レーデル(ka6356
    人間(紅)|21才|女性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/03 23:54:18
アイコン 相談場所
閏(ka5673
鬼|34才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/08/05 18:24:21