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　ユキウサギが住まう『おばけクルミの里』は、歪虚の襲撃を受け孤立状態となっていた。
　その報を聞きつけたハンター達は、救援に向かうべく森の中へと足を踏み入れるが、なぜか歩けど歩けど一向に目的地に辿り着かない。
「どういう事だ……」
「里はどこにあるの……？」
　戸惑い立ち止ったハンター達の周りを、ゆっくりと白い霧が覆っていく。
　徐々に視界を塞ぐ白い霧に、ハンター達が身構える中、それはどこからともなく聞こえてきた。

『いらっしゃい。僕のゲーム盤へようこそ』

「こ、この声……コーリアスか！」
「ゲームって何なの！？」
　霧に向かって叫ぶハンター達。それに嘲笑うかのように、コーリアスの楽しげな声が響く。

『このゲームに於ける君たちの勝利条件は……僕から追加で出される『条件』をクリアして、この霧の迷宮を脱出する事にある』

「どこにいる、姿を見せろ！」
「……まって、様子がおかしいわ。もしかしたらこれ、声を再生しているだけなのかも」

『このゲームに君たちが勝利すれば、僕の兵器がいくつか減ることになる。ツキウサギ達を助けやすくなるんじゃないかな？　勿論、ゲームを受けない選択肢もあるよ。……君たちは、何を選ぶんだろうね』

　仕組みに気付いたハンター達が周囲を探る間も、遠くから近くから聞こえるコーリアスの声は続く。
　そんな時、ふと霧が晴れ、二股の分かれ道が現れた。
「あからさますぎる罠だな、ここを進めってか……」
「でも、行くしかないわ。里はこの先よ」
　頷き合うハンター達。左右に分かれた2本の道。
　さあ、どちらに進もうか――。

●左の道
　昼間の霧は世界を白一色に染める。
　ただ奥まで続く一本道をゆっくりとゆっくりと歩んでいた。
「一体どこまで続いているんだ……」
　頬を伝う汗は、暑さからか、それとも。
　永遠に続くとも思える一本道を、只管歩き続ける。
　そして、それほどの時間歩いただろうか。ふと異変に気づいた。
「み、皆！」
　あたりに人の気配がない。
　振り向けば歩いてきた一本道がずっと続いている。
　再び振り向けば、里に続くであろう道が同じく続いていた。
「いない……！　くっ……くそぉくそぉ！」
　錯乱状態に陥る一歩寸前。再びあの声が聞こえた。

『待たせたね』

「コ、コーリアスっ！！　仲間をどこへやった！！」

『これより、僕のゲームの開幕だ。絶望と希望と、全てが入り混じる世界の』

　ハンターの叫びに答えないのはやはり自動音声だからか。

『果たして、手を掛けられるのかな？　貴公の一番大切なものに――』

「な、何の事だ！」
　再び叫ぶも、それから先の声は一切聞こえなかった。
「く、くそっ！」
　再び無音となった白の世界を、ゆっくりと見渡すと、ある一点に白い霧が集まりだした。
「……そ、そんな、お前は」
　白の霧が集まり、結んだ像は――。
「ま、待て！　なんでお前がこんな所にいる！！」
　大きく目を見開き、ハンターは二歩三歩と後ずさった。
　――それは、一番見知り、一番心を許した顔。
　突然目の前に現れた人影を、ハンターは呆然と見つめていた。

●目的
霧の結界を突破し、コーリアス側の兵器設備を破壊することです。

●幻影結界
濃い霧が立ち込める結界。
既に結界内へ足を踏み入れている為、撤退は出来ません。
結界の中をしばらく歩き、精神的に疲弊している状態です。

●対象
霧の中で幻影は像を結び、あなたの一番大切なもの（人や物、ペットなど）へと姿を変えます。
映し出された像は、問答無用であなたを襲います。
幻影は非常に弱いです。覚醒せずとも倒せるでしょう。ただし、命を奪う行為又は完全に破壊する行為を行わなければ消えません。

●補足
・あなたの一番大切なものを指定してください。それを敵として描写します。ただし、対象がＰＣ様の場合、そのＰＣ様にサポート参加をしていただかなければ名前を出しての描写ができません。
・また、サポート参加していただく場合、倒される描写が入る可能性があります。ご容赦ください。
・幻影さえ突破してしまえば、兵器設備を破壊する事は容易です。幻影突破に全力を尽くしてください。
・もちろん、あえて突破しない葛藤プレイングもかけていただくことも可能です。

＜　マスターより ＞
お世話になっております。真柄　葉（まがら　よう）と申します。
今回、リリースさせていただくシナリオは、『月機』。
なんと、あの猫又ＭＳと同時リリースのミニ連動になります！

散々霧の中を歩かされた挙句に、最も大切な人が襲ってくる。
とってもいやらしいですね。ほんとコーリアス許すまじ。

右へ行けば過去との決別。左へ行けば最も大切なものとの対峙。
どちらを選んでも、激しい葛藤が待っています。
さて、右か左か。あなたはどちらの道を選びますか？


【すぺしゃるさんくす】剣崎ＭＳ