• 戦闘

落花繚乱、朱の花散る

マスター:尾仲ヒエル

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/12/06 19:00
リプレイ完成予定
2016/12/20 19:00

オープニング

 ざくり。ざくり。
 ササノハが鋏を入れるたび、黒い髪が束になって床に落ちていく。
 先ほど、お付きのゴウが出て行き、部屋にはササノハしか残っていない。

「僕のために死ねますか」
「もちろんです」
 ゴウは、ササノハの問いに何のためらいもなく答えた。
「ありがとう……本当にありがとう」
 ふわりと微笑んだササノハが、厳重に封をした手紙を差し出す。
「この手紙をハンターオフィスに届けてください。大切な手紙です。危険かもしれませんが、わざと遠回りをして、絶対に誰にも奪われないように」
 勢い込んで出かけたゴウは、言われた通りに遠回りし、しばらくは帰ってこないだろう。
 服を着こみ、顔を隠したササノハはそっと宿を抜け出した。

『ハンターの皆さまへ
 勝手な行動をお許しください。
 本部に1人で来なければ、人質を1人ずつ殺していくと叔父から連絡がありました。
 叔父は言ったことは必ずやる人間です』

●朱花の教団本部
「いくらお優しい教主さまでも、人質……見知らぬ人間のために、のこのこ捕まりに来るほどお人好しかしら?」
 顔をベールで隠し、黒づくめの服を着た女が、地面に転がった赤毛の男を覗き込む。
 呼吸と共にがっしりした胸が上下しているところから見ると、赤毛の男は意識を失っているだけのようだ。
「来る」
 女の近くに立った、どこかササノハに似た端正な顔立ちの男が言い切った。
 ササノハの叔父のイリフネだ。
「あらまあ、本当。のこのこ来たわ」
 顔を上げた女は、歩いてくるササノハに気付いて唇の端を上げた。

『皆さんと行くべきなのは分かっているのですが、きっと気付かれて人質に犠牲が出てしまうでしょう。
 でも僕はもう、誰かが傷つくことに耐えられません』

「約束通り1人で来ました。人質を解放してください」
「こちらにゆっくり歩いてこい」
 言われた通り近付いて行きながら、ササノハが問いかける。
「叔父さん。叔父さんは僕が怪我をしたとき、いつも心配してくれましたよね。あれは僕を心配してくれていたんですか? それとも」
 ササノハが上着を脱ぎ捨て、するりと襟巻を取ると、まるで普通の少年のように短く刈られた髪があらわになる。
「……なんてことを!」
 イリフネの顔色が変わる。
「シラギクに似ていないお前になど、何の価値があるんだ! おい、モルガナ!」
「え? ああ、髪ならどうにかなると思うわよ?」
 声を掛けられた女が頷いたとき、ササノハが急に足を速めた。
 そのまま、とん、と、イリフネの胸に飛び込む。
「もう全て終わりにしましょう。叔父さん」
 目を見開いたイリフネの口元から、こぽりと血の塊が吐き出され、ササノハの白い着物に赤く、花のような染みを作りだす。
「この……!」
 片手の一振り。人間とは思えない威力を持ったイリフネの一撃で、小刀を手にしたササノハの体は人形のように吹き飛んだ。
「お前のせいで何もかも無茶苦茶だ! お前の、お前とハンターどものせいで、俺までモルガナと契約するはめに……!」
「ずいぶんな言われ方ねえ」
 気にもしていない様子で微笑みながら、モルガナが倒れたササノハに近付く。
「叔父さん……もう……ああ、僕にもっと……力があれば……」
 切れ切れの呟きを聞き取ったモルガナが、にぃ、と唇を吊り上げる。
「じゃあ私はこの子を作り変えておくから、先に行くわね。前にも言ったけど、貴方はまだ安定していないから、あまり興奮しすぎると――」
 振り返ったモルガナが言葉を切る。
「そういう風に暴走しちゃうから気を付けてねって言ったのに」
 そこにはイリフネの姿はなく、巨大な黒いトカゲが出現していた。
 短い4本の足と、ぬるぬるした皮膚。
 生き物に詳しい者なら、サンショウウオに似た姿だと思うかもしれない。

 と、モルガナの背中に向かって、何か光る物が風を切って飛んだ。
 すかさず地面から伸びた蔓が、それをはたき落とす。
 地面に落ちたのは、銀色のナイフだ。
「ねずみが一匹いたみたいね」
 モルガナの言葉と共にナイフを拾い上げた蔓が、飛んできた方角にそれを投げ返す。
 教団の敷地を囲む壁の向こうから、何かの落ちる、どさり、という音が聞こえた。
「ハンターが来ちゃうかしら。せっかく貴方の注文通り頑張るんだから、ちゃんと生き延びてもらわないと。そうね……人質と繋いでダメージを共有させておけばそうそう攻撃もされないでしょう」
 その言葉と共に、トカゲの尻尾がにゅうっと伸び、人質の体に巻き付いた。
「じゃあ私は行くけど、貴方も落ち着いたらさっさと逃げて頂戴ね」
 モルガナが体の前で手を動かすと、目の前の空間がぐにゃりと歪み、穴のようなものが出現する。
 ササノハの体を抱えたモルガナが入ると、その穴はすっと消え失せた。

●ハンターオフィス
『きっとゴウは僕を守って傷ついてしまうでしょうから、この手紙を持って行かせます。
 皆さんのことが大好きでした。
 ありがとう。
 さようなら』

「そんな……ササノハさま」
 ハンターたちと一緒に手紙を読んでいたゴウの体が細かく震え出す。
 そこに、肩にナイフの刺さったままの男が飛び込んできた。
 先日の事件からハンターたちに協力していた眼帯の男だ。
「すまない。ササノハさまが連れ去られた」

解説

◆成功条件
・人質の男性1名の救出
・イリフネを倒す
(前回のシナリオで「本部の地下の鍵」を手にしているため、イリフネを倒すと自動的に他の人質たちの救出が行われます)

◆情報(※眼帯の男による情報)

■場所
高い壁(約2m、登ることは可能)に囲まれた朱花の教団本部の敷地(50×50スクエア)。

■略図

    ←壁→
    本部
↑         ↑
壁         壁
↓   人質    ↓
   イリフネ

  ←壁 門 壁→



■人質
普通の人間の男性。気絶中。
特徴的な赤毛と体格の良さから、「ササノハ生誕祭」で情報が得られたケイの夫、スオウの可能性が高い。
トカゲの尻尾が巻き付き、イリフネと繋がれている状態。
イリフネがダメージを受けると、同じ量のダメージを受けるため、繋がったままイリフネを攻撃し続けると死亡してしまう。

■敵(イリフネ)
ササノハの叔父で、モルガナの契約者になったらしい。
現在暴走し、4足歩行タイプの巨大なトカゲのような姿になっている。
尻尾を入れて体長8m(サイズ3)。
5ターン続けてダメージが無い場合、人間の姿に戻って逃げ出す模様。

□攻撃(※戦闘が始まるとPCにも分かるPL情報)
噛みつく、打撃といった物理攻撃が基本。攻撃力は高いものの、ローリング以外の動きはそれほど機敏ではない。

・土の壁
咆哮と共に2m×2mの壁を近くに作り出す。壁はダメージが無い場合6ターン持続し、同時に2つまでしか存在できない。
(※まだ壁が2つ残っている場合、3つ目は作れない様子です)

・ローリング
体力が4分の1になると、体を回転させて暴れまわり、ハンターたちを押しつぶそうとする。


□モルガナ(不在)
イリフネと契約し、ササノハを連れ去った女。

□ササノハ(不在)
朱花の教団の教主の少年。モルガナに連れ去られた。

□眼帯の男(不在)
教団を見張っていて今回の事件を目撃し、ハンターたちに情報を伝えた。現在ハンターオフィスで治療中。

マスターより

ササノハの物語はもう少し続きますが、朱花の教団としては最後のシナリオになります。
初めての方向けに凄く短く要約すると「黒幕っぽい悪い奴(巨大トカゲ)を倒す」です。
ローリング攻撃に気を付けつつ、人質を救出してあげてください。

(私事ですが体調を崩し前回から期間が空いてしまいました。ごめんなさい(尾仲))
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/12/19 20:30

参加者一覧

  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • 豪放なる慈鬼
    文挟 ニレ(ka5696
    鬼|23才|女性|符術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 舞い護る、金炎の蝶
    鬼塚 小毬(ka5959
    人間(紅)|20才|女性|符術師
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ウーナ(ka1439
人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/12/06 10:27:32
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/03 20:54:13