ゲスト
(ka0000)
【王臨】狂騒は遠く、酒都まで響きて
マスター:ムジカ・トラス

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- ユニット参加人数
- 現在4 / 0~7
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/02/01 07:30
- リプレイ完成予定
- 2017/02/13 07:30
オープニング
●
「帰って、来ませんでしたね」
「……っ」
静かな言葉だった。なのに、騒々しい中でもいやに大きく響いて、レヴィンは我に返った心地がした。
見れば、長い黒髪を結い上げた東方人のメイド――アプリが憂鬱の染み込んだ瞳で中庭を眺めている。そちらでは、緊急出撃の準備のために奔走している隊員が駆け回っている。
デュニクス騎士団はいま、火急の事態の対応に追われているのだ。出撃に次ぐ出撃に、装備や人員の休養の調整が間に合っていない。
デュニクス騎士団は――こう呼ぶと些か紛らわしくはあるのだが、王国騎士団から派遣された3人の騎士が、現地徴用した騎士団である。その名の通り、デュニクスを自衛するための騎士団であるのだが、領主不在と歪虚被害によって疎開が進み退廃した農業を、更に周辺地域の寒村からの疎開を受け容れることでの立て直し、刻令ゴーレムの研究及びそれにともなう交易の双方を担保して、斜陽にあったデュニクスを支えた組織だ。
いまでは、百を超える戦闘員を抱えるこの組織も、最初は幾人かの有志から始まった。
鍛冶、渉外、教練、秘書、メイドと、戦闘要員。
その中の一人が欠けただけで、レヴィンは過労死が見える程のデスクワークに追われる事になった。
他の幹部である騎士二人をレヴィンの代わりに前線にあてた。結果として彼の前に積み上がった仕事は、資材の補填や、装備類の調整、各報告など、多岐に渡る。以前は出すアテのなかった直属の上司――ゲオルギウス“現”騎士団長への手紙も、度々送ることになった。
肉体的な疲労は、もちろん色濃い。
だが、それ以上に、心の奥でくすぶるものがある。
それは。
――“失敗した”かもしれないという、畏れ。
そのことも、痛いくらいに自認できていた。
任務の失敗そのものが、苦しいのではないことも、また。
彼女は――マリーベルは、いまだ、帰って来ない。
「…………い、いまは、待ちましょう」
何とかそれだけを言って、アプリが淹れたヒカヤ紅茶を啜る。
今は、リベルタース地方の騒乱を、乗り切らなくてはいけない。
●
「――――――――これは、これは」
嫌なものを見た、とでも言うように、デュニクス騎士団の幹部であるポチョムは吐き捨てた。その瞳には、苦悩が滲む。
現在、デュニクス近辺には2つの問題がある。
1つは歪虚達の強襲である。平時みられたような散発的な被害ではなく、集団戦になるほどの大掛かりな襲撃が頻発していた。
もう一つが、亜人たちだ。“異種族混合”であることは珍しくはないが、歪虚達の襲撃の合間を縫うように、デュニクス近辺で荷馬を襲ったり、農地を襲撃したり、と、こちらは被害――人的被害は然程多くはない――や脅威度は軽いものの、無視できない程に数が多い。
デュニクス騎士団としては当然歪虚への対応を最優先としているが、そちらの規模が増すほどに、デュニクスの農地や郊外の警らが手薄になってしまうのが、現状だった。
だから、というわけではないが、デスクワークで動けないレヴィンの代わりに、幹部二人――ポチョムとヴィサンは、隊を指揮しない側が周囲の探索にあたっている。
今はヴィサンが羊型歪虚の一団の対応に隊員50名を連れて北上中。ポチョムはデュニクス周辺地域の探索を行っていた。歪虚の浸透具合や、亜人達の分布を確認するためだ。
ところで、探索範囲によっては、ハンターを付けることもある。ヴィサンとポチョムは、現状のデュニクス騎士団で欠けてはならない両輪だ。故に、遠方の探索には手勢をつけるよう、レヴィンが徹底している。
「………………」
今回が、そうだった。“故にこそ”、ポチョムの表情は、苦い。厚い脂肪に覆われた皮膚は独特の弛みによる皺が刻まれている。
眼前。一台の馬車が疾駆していた。豪奢な作りの馬車だ。特に、植物の蔦を象った造形は、美しい。熟練の職人が彫り仕上げたことは、想像に難くない。
しかし、その馬車は遠目に見ても傷だらけであった。
その原因はすぐに知れる。馬車を追走する敵影。さらには、包囲せんとするものも居る。
「………………」
苦悩は続く。ポチョムには、“それ”が何者の馬車か解っていた。
事態は彼にとっても青天の霹靂。それでも、その馬車だけは見間違える筈がない。
それが、騎士団を始めとしたデュニクス関係者に連絡も無く来たことは想像に難くない。騎士団でないとしても、デュニクスの重鎮らに一報あれば、間違いなくポチョムの耳に入った筈だ。
それを踏まえれば、これが、通常用いられる街道ではないことの理由も手に取るように分かる。
「……………………ッ」
諸々を飲み下して、ポチョムは、ただ、此れだけを言った。
「……あれは、デュニクス領を治める貴族の馬車です」
「ヒィィィァアアアアア……ッ!」
その頃には、遠くから男の悲鳴が届くようになっていた。
「帰って、来ませんでしたね」
「……っ」
静かな言葉だった。なのに、騒々しい中でもいやに大きく響いて、レヴィンは我に返った心地がした。
見れば、長い黒髪を結い上げた東方人のメイド――アプリが憂鬱の染み込んだ瞳で中庭を眺めている。そちらでは、緊急出撃の準備のために奔走している隊員が駆け回っている。
デュニクス騎士団はいま、火急の事態の対応に追われているのだ。出撃に次ぐ出撃に、装備や人員の休養の調整が間に合っていない。
デュニクス騎士団は――こう呼ぶと些か紛らわしくはあるのだが、王国騎士団から派遣された3人の騎士が、現地徴用した騎士団である。その名の通り、デュニクスを自衛するための騎士団であるのだが、領主不在と歪虚被害によって疎開が進み退廃した農業を、更に周辺地域の寒村からの疎開を受け容れることでの立て直し、刻令ゴーレムの研究及びそれにともなう交易の双方を担保して、斜陽にあったデュニクスを支えた組織だ。
いまでは、百を超える戦闘員を抱えるこの組織も、最初は幾人かの有志から始まった。
鍛冶、渉外、教練、秘書、メイドと、戦闘要員。
その中の一人が欠けただけで、レヴィンは過労死が見える程のデスクワークに追われる事になった。
他の幹部である騎士二人をレヴィンの代わりに前線にあてた。結果として彼の前に積み上がった仕事は、資材の補填や、装備類の調整、各報告など、多岐に渡る。以前は出すアテのなかった直属の上司――ゲオルギウス“現”騎士団長への手紙も、度々送ることになった。
肉体的な疲労は、もちろん色濃い。
だが、それ以上に、心の奥でくすぶるものがある。
それは。
――“失敗した”かもしれないという、畏れ。
そのことも、痛いくらいに自認できていた。
任務の失敗そのものが、苦しいのではないことも、また。
彼女は――マリーベルは、いまだ、帰って来ない。
「…………い、いまは、待ちましょう」
何とかそれだけを言って、アプリが淹れたヒカヤ紅茶を啜る。
今は、リベルタース地方の騒乱を、乗り切らなくてはいけない。
●
「――――――――これは、これは」
嫌なものを見た、とでも言うように、デュニクス騎士団の幹部であるポチョムは吐き捨てた。その瞳には、苦悩が滲む。
現在、デュニクス近辺には2つの問題がある。
1つは歪虚達の強襲である。平時みられたような散発的な被害ではなく、集団戦になるほどの大掛かりな襲撃が頻発していた。
もう一つが、亜人たちだ。“異種族混合”であることは珍しくはないが、歪虚達の襲撃の合間を縫うように、デュニクス近辺で荷馬を襲ったり、農地を襲撃したり、と、こちらは被害――人的被害は然程多くはない――や脅威度は軽いものの、無視できない程に数が多い。
デュニクス騎士団としては当然歪虚への対応を最優先としているが、そちらの規模が増すほどに、デュニクスの農地や郊外の警らが手薄になってしまうのが、現状だった。
だから、というわけではないが、デスクワークで動けないレヴィンの代わりに、幹部二人――ポチョムとヴィサンは、隊を指揮しない側が周囲の探索にあたっている。
今はヴィサンが羊型歪虚の一団の対応に隊員50名を連れて北上中。ポチョムはデュニクス周辺地域の探索を行っていた。歪虚の浸透具合や、亜人達の分布を確認するためだ。
ところで、探索範囲によっては、ハンターを付けることもある。ヴィサンとポチョムは、現状のデュニクス騎士団で欠けてはならない両輪だ。故に、遠方の探索には手勢をつけるよう、レヴィンが徹底している。
「………………」
今回が、そうだった。“故にこそ”、ポチョムの表情は、苦い。厚い脂肪に覆われた皮膚は独特の弛みによる皺が刻まれている。
眼前。一台の馬車が疾駆していた。豪奢な作りの馬車だ。特に、植物の蔦を象った造形は、美しい。熟練の職人が彫り仕上げたことは、想像に難くない。
しかし、その馬車は遠目に見ても傷だらけであった。
その原因はすぐに知れる。馬車を追走する敵影。さらには、包囲せんとするものも居る。
「………………」
苦悩は続く。ポチョムには、“それ”が何者の馬車か解っていた。
事態は彼にとっても青天の霹靂。それでも、その馬車だけは見間違える筈がない。
それが、騎士団を始めとしたデュニクス関係者に連絡も無く来たことは想像に難くない。騎士団でないとしても、デュニクスの重鎮らに一報あれば、間違いなくポチョムの耳に入った筈だ。
それを踏まえれば、これが、通常用いられる街道ではないことの理由も手に取るように分かる。
「……………………ッ」
諸々を飲み下して、ポチョムは、ただ、此れだけを言った。
「……あれは、デュニクス領を治める貴族の馬車です」
「ヒィィィァアアアアア……ッ!」
その頃には、遠くから男の悲鳴が届くようになっていた。
解説
※※※※ご注意ください※※※※
偵察任務に向かないユニット(特に、大型な機体関係)の動向にはマイナス判定が付きます。
『該当ユニットは置いていく』などのプレイングがあれば判定には関わりませんが、ご了承ください。
●目的
馬車を追撃する敵の掃討。および、デュニクス貴族の救助。
●状況
デュニクス貴族が載っていると思われる馬車が、歪虚の進軍域からやや離れた境界線域にて歪虚集団から逃走中。
そこにポチョムと共にその領域に偵察にでていたハンター達が遭遇。
速やかに敵の殲滅および威力偵察と、貴族の救出を達成してください。
●解説
▽地理情報
なだらかな高低差のある街道が貫く、丘陵地域です。道の先はデュニクスにつながっていますが、距離は数十キロ離れています。
ハンターの皆様は馬車から500メートルデュニクス寄りに位置しています。
馬車が居る地点から高低をつけながら道が続くため、皆様の位置は高度を利用して隠密をとることが可能です。
いかが簡易のマップです。
ハ|■■■■■■
ン|■■■■■■←歪虚
□□□□□□□馬車 ←歪虚
タ|■■■■■■←歪虚
||■■■■■■
●味方情報
ポチョム:朱槍を扱う高位かつ凄腕の疾影士。元密偵であることを暴露された、現青の隊の騎士。(体型が)たーる。
馬車:護衛戦力不在。ただ逃げ惑うだけ。移動力5。貴族が乗っていると思われる。残耐久度不明。
●敵情報
黒鎧を纏った大型羊*8:黒鎧羊。高防御、高火力、単体で高移動3拍子揃った敵。武器は大斧で、間合いは2。闘狩人系の強敵。
赤色羊*4:知能派系羊型歪虚。朱い鎧を身にまとい、手には矢弓と小盾で武装。騎乗中。
騎羊*8:騎乗用の羊型歪虚。メェメェと哀れっぽい声を上げながら移動力6で走る。乗られている間は攻撃不能だが、回避行動に専念する。通常の攻撃は猛突撃による角撃。
偵察任務に向かないユニット(特に、大型な機体関係)の動向にはマイナス判定が付きます。
『該当ユニットは置いていく』などのプレイングがあれば判定には関わりませんが、ご了承ください。
●目的
馬車を追撃する敵の掃討。および、デュニクス貴族の救助。
●状況
デュニクス貴族が載っていると思われる馬車が、歪虚の進軍域からやや離れた境界線域にて歪虚集団から逃走中。
そこにポチョムと共にその領域に偵察にでていたハンター達が遭遇。
速やかに敵の殲滅および威力偵察と、貴族の救出を達成してください。
●解説
▽地理情報
なだらかな高低差のある街道が貫く、丘陵地域です。道の先はデュニクスにつながっていますが、距離は数十キロ離れています。
ハンターの皆様は馬車から500メートルデュニクス寄りに位置しています。
馬車が居る地点から高低をつけながら道が続くため、皆様の位置は高度を利用して隠密をとることが可能です。
いかが簡易のマップです。
ハ|■■■■■■
ン|■■■■■■←歪虚
□□□□□□□馬車 ←歪虚
タ|■■■■■■←歪虚
||■■■■■■
●味方情報
ポチョム:朱槍を扱う高位かつ凄腕の疾影士。元密偵であることを暴露された、現青の隊の騎士。(体型が)たーる。
馬車:護衛戦力不在。ただ逃げ惑うだけ。移動力5。貴族が乗っていると思われる。残耐久度不明。
●敵情報
黒鎧を纏った大型羊*8:黒鎧羊。高防御、高火力、単体で高移動3拍子揃った敵。武器は大斧で、間合いは2。闘狩人系の強敵。
赤色羊*4:知能派系羊型歪虚。朱い鎧を身にまとい、手には矢弓と小盾で武装。騎乗中。
騎羊*8:騎乗用の羊型歪虚。メェメェと哀れっぽい声を上げながら移動力6で走る。乗られている間は攻撃不能だが、回避行動に専念する。通常の攻撃は猛突撃による角撃。
マスターより
【王臨】でございます。現在リベルタース地方は火の車!
歪虚勢がなんだかピリピリしている目の前を突っ切ってきた男気あるアイツが――デュニクスに、帰ってきた!
という本依頼のニセ予告は脇においておいて、【王臨】でございます。
本連動は、なんだか盛大にネタバレが各所から滲んでいるような気がしますが、そういう舞台をお楽しみいただく連動になっています。
盛り目の展開を用意しておりますので、お楽しみいただけたら幸いです!
この依頼では、歪虚を殴って貴族を救おう、というとてもシンプルな依頼です。
なお、馬車には亡国の姫とか、貴族の庶子の美女とかそういうのはおらず、オッサンらだけ乗ってます。
よろしくお願いします。
歪虚勢がなんだかピリピリしている目の前を突っ切ってきた男気あるアイツが――デュニクスに、帰ってきた!
という本依頼のニセ予告は脇においておいて、【王臨】でございます。
本連動は、なんだか盛大にネタバレが各所から滲んでいるような気がしますが、そういう舞台をお楽しみいただく連動になっています。
盛り目の展開を用意しておりますので、お楽しみいただけたら幸いです!
この依頼では、歪虚を殴って貴族を救おう、というとてもシンプルな依頼です。
なお、馬車には亡国の姫とか、貴族の庶子の美女とかそういうのはおらず、オッサンらだけ乗ってます。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/02/13 19:50
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/28 22:49:21 |
|
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馬車を救いましょう! 閏(ka5673) 鬼|34才|男性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2017/02/01 06:06:55 |