●地中より這い出す脅威
　王国領内、とある山村。
　山を切り崩し、農耕地を増やす中その脅威は姿を現していた。
「やれやれ、やっと目標の半分か……けど、これが終われば少しは生活が楽になるかね」
「そうだな……早いところ済ませて、来年からは楽したいもんだ」
　汗を拭い、積み上げられた残土をとりのけ、整地する。
　切り開き作り上げるという作業はとても困難ではあったが、それらを乗り越えれば耕地の増加、それに伴い生産される穀物は増大し、余剰分を販売する事で生活も楽になる事は確実。
　将来的にも開墾は必要な事であり、村民達は子の、孫の代を楽にさせようと奮闘していたのだがそれを邪魔する存在が湧き出してきた。
「おい、大変だ！　雑魔がでたぞーっ！」
「どこからだ！？　怪我人はいるのかっ！？」
「こっちだ、早く逃げろー！　土の中から沸いて来てる！」
　切り崩された土の中、這い出す影は多量の雑魔。
　個々の大きさはまばらだが、全て同じ形状、土中の生物でる蟻をベースにしたものだが……その前半分が異形である。
「な、なんだよ、蟻からライオンが生えてやがる……！？」
「うわぁっ、噛み付かれたぞ！　前足もヤバイ威力だ、逃げろっ！」
　ライオンの半身、そして蟻の半身。
　胸部までがライオンの強靭な身体であり、そこから下が蟻という異形の雑魔は次々と土中より出現し、その膂力をもってして人々を追い回し、開墾の成果を破壊していく。
　数分後、残されたのは破壊された農具と散らばる残骸、そして我が物顔で土中から仲間を掘り出す雑魔の姿が残るのみである。


●
「ミッションの概要を説明します。今回の依頼は、とある山村に出現した雑魔の退治となっています」
　いつもは妙なハイテンション、わけのわからぬ妄言を言うはずの受付嬢が妙に真面目に、ハンター達に説明を行っていた。
　今回、彼女が紹介する依頼は単純な雑魔退治、ただし数がやや多いという代物である。
「ターゲットは、斜面を切り崩し開墾していた土地から出現した雑魔となります。
　外見は、リアルブルーの伝承にある想像上の生物、ミルメコレオに酷似していますが性質、能力は別格……自然死するような脆弱性はなく強靭な膂力と数を活かした攻撃を行う物と推測されます」
　ライオンの上半身、蟻の下半身という伝承上の生物。
　だが、伝承とは違い今回出現したものはかなりの戦闘力を持つことが接触時点の報告で分かっており、遠巻きに監視する村人からの報告では山から下りた猪を弄り殺した事が分かっている。
　それに加え羽根持つ個体が数体存在、これらの戦闘力は通常の個体に比べて高い上、単純な格闘以外の攻撃手段も持つという。
「依頼の概要は以上です。今回は、細かなミッションプランはありません。皆様に全て任せます。あらゆる障害を排除して、目的を達成してください。
　ハンターズソサエティは、皆様を高く評価しています。良いお返事を期待していますね」
　胡散臭い満面の笑み、それを浮かべ受付嬢は説明を完了。
　訝しげに見つめるハンターを他所に、取りまとめた資料を押し付け雑魔退治へと送り出すのであった。

●
作戦目標：雑魔・ミルメコレオの殲滅

敵情報
雑魔・ミルメコレオ×１１
ライオンの半身と蟻の半身が合わさった形状の雑魔
大きさは１．５ｍ～２ｍまでの間でばらつきがある
全ての個体は移動力が高めであり注意が必要
３体は透明な羽根を生やしており、他のものに比べ能力が高い模様
ライオン＞蟻＞結合部分
の順に防御が低くなっていくが、脆い部分を的確にガードする（受け防御が高い）
工夫がなければ脆弱な部位への攻撃は中々命中させられないだろう

サブアクション
羽音
羽根を擦り合わせ奇妙な音を立てる
戦場全域のミルメコレオの戦闘力を微増させる
増加するのは攻撃、防御、命中のいずれかで使用する毎に効果が上書きされる
羽根付きの個体のみ使用可能

メインアクション
格闘
ライオンの上半身での格闘
時折、ノックバックが発生し命中した対象を１ｓｑ後退させることがある


戦場情報
開墾途中の畑
山の斜面を切り崩しつつ開墾している為、一方向が崩れやすい切り立った崖になり工夫無ければ昇るのは難しい
大まかに８ｍほどの高さがある
なだらかな斜面を昇る大回りをする事で崖の上には移動可能
雑魔は移動に専念することで昇ることが確認されている
それ以外は多少足場が悪い程度の平地であり、遮蔽物は無い

　こんにちは、四方　鴉です。
　説明段階でとっても胡散臭い受付嬢ではありますが「騙して悪いが、仕事なんでな……消えてもらう」という展開はありません、どうぞ安心してミルメコレオな形状の雑魔退治に集中してください。
　
　内容としてはいたってシンプル、地形も一部を除いてさほど特徴的ではありません。
　少々数が多いので複数体から攻撃される懸念があります、その点だけはご注意を。
　それでは、縁がありましたら宜しくお願いします。