●紅葉は盛り、紅葉狩りも盛り
「助けてくれぇぇぇぇ！！」
　紅葉の紅が鮮やかな帝国領の観光名所の一角。渓谷の辺りでそんな悲鳴が頻発するようになったのはいつからだっただろうか。
　このままでは観光名所が閑古鳥の鳴くただの景色のいい場所になってしまう、ということでハンターオフィスに依頼が寄せられた。
　斡旋を担当した青年は相変わらず怪しげな煙を立てる【何か】を傍らに置いている。今回は定義的には飲み物に分類されるようで珈琲カップに注がれているが異臭の強さと湯気の怪しげな色合いは健在のようだった。
「なんだかねぇ、変な雑魔が沸いたみたいだよ」
　いわく。筋肉質な男性に少女趣味なフリルたっぷり、レースもたっぷり、色は白やピンク、パステルカラー。そんな服を着せる雑魔に精悍な体つきの男性が被害にあっているという。
　狙われるのは精悍な男性、またはロマンスグレーな紳士、狙われないのは女性や女性として通用する容姿の男性、子供。
　要は筋骨隆々としていたりエスコートの上手そうな紳士だったりちょっと髪の毛の危機だったり――そんな「男臭さ」を感じる相手が局地的に狙われているのだとか。
「ロックオンされると目にもとまらぬ早業で着替えと……アクセサリー？　ヘッドドレスとかそういうのね。つけられるから。化粧もいつの間にか施されてるらしいから。元の服は倒さないと戻ってこないみたいで被害にあった男性陣は観光地から自宅までフリフリの格好で帰る羽目になってあちこちから苦情がきたっぽい。……で、一応雑魔の仕業と分かったんで君らの出番」
　雑魔は普段隠れてるから囮役に一人は男っぽい人がいないと大変かな。けど捕捉しちゃえば連携とメンバーによってはすぐ解決できるレベルの敵だし向こうは攻撃より着飾らせるの重視に動いてくるから誘き出せれば初心者でも人数揃えば苦労はしないよ。
「囮役の人はちょっと面白……気の毒な姿を晒すことになりそうだけど頑張って退治してきてくれる？　帝国が変態認識される前に、ね」
　ひらりと手を振った青年は完全に面白がっている顔つきだった。

雑魔一体の退治。
基本的に着替えさせるだけの無害（ある意味とても有害）な雑魔です。
人型ですが自然の歪曲から生まれたものと推測されます。
攻撃などは仕掛けてこないうえ防御も脆いのであっというまに倒せるレベルですが参加者様によっては誘き出しの方法、または囮役としてとても大変な思いをされるかもしれませんという意味での「難易度：普通」です。
ネタ描写が中心となりますので純粋な戦闘を楽しみたい方には不向きな依頼となっております。
キャラ崩壊どんと来い、位の心づもりで参加していただいたほうがよろしいかと。

タイトルからシリアス依頼を連想された方、申し訳ありません。
不発弾が多いギャグシナリオが好きなMS秋月です。
ナイスミドルな方やロマンスグレーのおじ様、筋骨隆々のお兄さん、そんな方々がファンシーな服装に身を包んで戦う姿を今から全力で妄想しております。
弄り目的で参加される方ももちろん歓迎です。
楽しい依頼となるよう無駄に張り切りすぎた結果斜め上に行かないことを願いつつ参加、お待ちしております。