ゲスト
(ka0000)
【界冥】触手戦車が墓標を砕く
マスター:馬車猪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- ユニット参加人数
- 現在8 / 0~8
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/04/28 09:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/07 09:00
オープニング
灰色の墓標が無数に立ち並んでいる。
どれも同サイズの長方形。
間隔はミリ単位で同じ。
前後左右に延々と並び、遠くにある壁まで続いている。
その中に数カ所、墓標がなぎ倒された場所があった。
戦車だ。
とにかく分厚い装甲と太くて長い主砲を積んだだけの、ずんぐりとした戦車だ。
リアルブルーの戦車なら無限軌道があるはずの箇所から、表面が乾いた触手が無数に伸びて広がっている。
大都市を守備部隊ごと破壊した歪虚戦車部隊は、自身も滅ぶときまでただこの場にいるはずだった。
●オートマトン起動実験
寝台に眠る少女を柔らかな光が照らす。
肌には艶がある。
薄い唇はしっとりとして男と一部女性の視線を引きつける。
しかしそれだけだ。
生きているようにしか見えない、美しい人形でしかなかった。
●おにいちゃん先生
科学者がモニターを凝視している。
眼鏡の上からでも目脂が見える。
シャワーを浴びる暇もないため体臭がきつく、ぼさぼさの髪には大量のふけが浮いていた。
眉間にしわが寄る。
眼球が高速で動いて別のモニター複数を確認。
対象内に変化がないことを改めて確かめ、眉間のしわをさらに深くした。
「実験を終了します。お疲れ様でした」
複数のため息がもれる。
起動実験もこれで三度目だ。
成果が皆無なので士気がそろそろ危険だった。
ずいっ。
熱過ぎるお茶が雑な動作で差し出された。
それまでの仏頂面が嘘のように、科学者はやにさがった顔で受け取る。
「ありがとう。おにいちゃんがんばるよ」
お茶を差し出しのは、表情に乏しい、10代に入ったばかりに見えるメイド少女だ。
なお、この科学者はとっくに三十路を越えている。
「まだ時間がかかるのか?」
精悍な顔立ちの初老クルセイダーが、こちらは温すぎるお茶を飲み干し科学者にたずねた。
彼の担当は儀式によるマテリアル供給。
本来なら重要施設に詰めているはずの高位覚醒者だった。
「いくらかかるか分からない、というのが現状でして、えぇ」
「オートマトンか」
可憐な造形と雑な動作を兼ね備えた少女へ、困惑に限りなく近い視線を向けて腕を組む。
「彼女が成功例ではないのか」
「厳密にはオートマンですね。基本的な構造はハントで刈られているのっぺらぼうな機械と変わりません」
慈愛に満ちた目を向けたまま口から出るのは、現実を冷徹に見つめた言葉だった。
「これで?」
「はい、これで」
近づけばよい香りがして、触れれば美容に極限まで気を遣った肌と安らぎをもたらす体温。
彼女を人間以外と認識できる者は少ないはずだ。
「魂や人間の定義については聖職者や哲学の連中に任せます。確実にいえるのは、この子は地球とクリムゾンウェストの技術で再現と複製が可能だということです」
予算が無制限ならですけどねと付け足してから、優しい言葉遣いでお茶のおかわりを頼む。
「ハンターがエバーグリーンで遭遇した個体には、明らかに知性と気配がありました。私は覚醒者ではないですけどね、覚醒者の知覚力の高さは実験を繰り返して確信しています」
実験室の奥、厳重に封印された区画に目をやる。
そこには、極一部の機械部分を除けば人間にしか見えないオートマトンが何人も眠りについていた。
「正直今でも信じられませんが……」
若い、メイド少女の見た目とあまり変わらない歳の霊闘士が、困惑を隠せない顔で発言する。
「その子からは使用されている物資以外のマテリアルは感じません。奥の人達は……すみません。僕では分かりません。微かに感じる気もしますが気のせいかもしれないレベルで気配が希薄です」
うーむ。
3人がほぼ同時にうなって、運ばれてきた水に近いお茶を受け取りそれぞれ口をつけた。
「トマーゾ・アルキミアに頼るのも選択肢の1つだと思う」
「このままではそうなりそうですけど、個人的にはちょっと」
科学者は、かつてない真面目な顔になり言葉を続ける。
「私は、あの方ほど科学者らしい科学者を見たことがありません」
知的好奇心を満たすためであれば倫理など投げ捨てる。
投げ捨てていない振りをするのも大得意。
証拠隠滅だっておてのもの。
「地球はあの方に助けられました。だから思うのです。あの方に全てを任せるのは自殺に等しいと」
トマーゾが残酷とは思わない。人類を滅ぼすつもりだとも思わない。
あれほどの高みに上れる科学者なら暗黒面も巨大だと確信しているだけだ。
「それにですね。私自身が成果をあげないと、この子をお迎えできるほどお金を稼げませんからね。次は成功させますよ!」
「フン、何を言っている。妹よ、聖堂教会での用意が整うまでしばし待て」
「ちちちがいます! この子は僕の妹になるんです!」
3人とも、性癖の面でも同志であった。
●回収依頼
「というわけでエバーグリーンから略奪してきてください。今ならオートマトン系の物資が高値買い取りですよ」
金銭欲に目をぎらつかせたオフィス職員が、いきなりそんなことを言い出した。
「ルビーさん復活の試みがされているのはご存じですよね? だいたいその一環です」
後ろにいるパルムが、ちがうちがうと小さな手でジェスチャーしている。
「今回の目標は倉庫区画になります。一番手数料が高……」
ごまかすための咳払い。
「一番高値で売れる技術書籍は多分望み薄です。有望なのは」
3Dディスプレイが複数立ち上がりそれぞれ別の姿を映す。
人間に近いオートマトンの素体。
オートマトン用の服。
オートマトン用の武器。
オートマンの内部に使われていると思われるパーツ群。
「こんな感じですね。コンテナに目印はありませんが、20メートルまで近づくとこれに反応があります」
ハンターの人数分のPDAを取り出す。
大急ぎで改造されたらしく、繊細なつくりの部品がいくつも飛び出している。
軍用品として扱うとすぐ壊れてしまいそうだ。
「コンテナとコンテナの隙間はかなりあって、CAMでも自由に通り抜け可能で……あ、はい、大きな武器を使うときは気をつけた方がいいかもしれません」
ハンターからの質問により手際よく情報の受け渡しが進む。
「2人いればコンテナ1つを確実にこちらに持ってこれると思えます」
魔導トラック等を使えば効率良くできるかもしれない。が、事前に実験する余裕はないので実際にやってみるしかない。
「現地には確実に歪虚がいます。残念ながら種類も能力も分かりません。安全第一で、お金はがっぽりで頑張ってください」
一瞬だけハンターを案じるように見えたのは、気のせいかもしれない。
どれも同サイズの長方形。
間隔はミリ単位で同じ。
前後左右に延々と並び、遠くにある壁まで続いている。
その中に数カ所、墓標がなぎ倒された場所があった。
戦車だ。
とにかく分厚い装甲と太くて長い主砲を積んだだけの、ずんぐりとした戦車だ。
リアルブルーの戦車なら無限軌道があるはずの箇所から、表面が乾いた触手が無数に伸びて広がっている。
大都市を守備部隊ごと破壊した歪虚戦車部隊は、自身も滅ぶときまでただこの場にいるはずだった。
●オートマトン起動実験
寝台に眠る少女を柔らかな光が照らす。
肌には艶がある。
薄い唇はしっとりとして男と一部女性の視線を引きつける。
しかしそれだけだ。
生きているようにしか見えない、美しい人形でしかなかった。
●おにいちゃん先生
科学者がモニターを凝視している。
眼鏡の上からでも目脂が見える。
シャワーを浴びる暇もないため体臭がきつく、ぼさぼさの髪には大量のふけが浮いていた。
眉間にしわが寄る。
眼球が高速で動いて別のモニター複数を確認。
対象内に変化がないことを改めて確かめ、眉間のしわをさらに深くした。
「実験を終了します。お疲れ様でした」
複数のため息がもれる。
起動実験もこれで三度目だ。
成果が皆無なので士気がそろそろ危険だった。
ずいっ。
熱過ぎるお茶が雑な動作で差し出された。
それまでの仏頂面が嘘のように、科学者はやにさがった顔で受け取る。
「ありがとう。おにいちゃんがんばるよ」
お茶を差し出しのは、表情に乏しい、10代に入ったばかりに見えるメイド少女だ。
なお、この科学者はとっくに三十路を越えている。
「まだ時間がかかるのか?」
精悍な顔立ちの初老クルセイダーが、こちらは温すぎるお茶を飲み干し科学者にたずねた。
彼の担当は儀式によるマテリアル供給。
本来なら重要施設に詰めているはずの高位覚醒者だった。
「いくらかかるか分からない、というのが現状でして、えぇ」
「オートマトンか」
可憐な造形と雑な動作を兼ね備えた少女へ、困惑に限りなく近い視線を向けて腕を組む。
「彼女が成功例ではないのか」
「厳密にはオートマンですね。基本的な構造はハントで刈られているのっぺらぼうな機械と変わりません」
慈愛に満ちた目を向けたまま口から出るのは、現実を冷徹に見つめた言葉だった。
「これで?」
「はい、これで」
近づけばよい香りがして、触れれば美容に極限まで気を遣った肌と安らぎをもたらす体温。
彼女を人間以外と認識できる者は少ないはずだ。
「魂や人間の定義については聖職者や哲学の連中に任せます。確実にいえるのは、この子は地球とクリムゾンウェストの技術で再現と複製が可能だということです」
予算が無制限ならですけどねと付け足してから、優しい言葉遣いでお茶のおかわりを頼む。
「ハンターがエバーグリーンで遭遇した個体には、明らかに知性と気配がありました。私は覚醒者ではないですけどね、覚醒者の知覚力の高さは実験を繰り返して確信しています」
実験室の奥、厳重に封印された区画に目をやる。
そこには、極一部の機械部分を除けば人間にしか見えないオートマトンが何人も眠りについていた。
「正直今でも信じられませんが……」
若い、メイド少女の見た目とあまり変わらない歳の霊闘士が、困惑を隠せない顔で発言する。
「その子からは使用されている物資以外のマテリアルは感じません。奥の人達は……すみません。僕では分かりません。微かに感じる気もしますが気のせいかもしれないレベルで気配が希薄です」
うーむ。
3人がほぼ同時にうなって、運ばれてきた水に近いお茶を受け取りそれぞれ口をつけた。
「トマーゾ・アルキミアに頼るのも選択肢の1つだと思う」
「このままではそうなりそうですけど、個人的にはちょっと」
科学者は、かつてない真面目な顔になり言葉を続ける。
「私は、あの方ほど科学者らしい科学者を見たことがありません」
知的好奇心を満たすためであれば倫理など投げ捨てる。
投げ捨てていない振りをするのも大得意。
証拠隠滅だっておてのもの。
「地球はあの方に助けられました。だから思うのです。あの方に全てを任せるのは自殺に等しいと」
トマーゾが残酷とは思わない。人類を滅ぼすつもりだとも思わない。
あれほどの高みに上れる科学者なら暗黒面も巨大だと確信しているだけだ。
「それにですね。私自身が成果をあげないと、この子をお迎えできるほどお金を稼げませんからね。次は成功させますよ!」
「フン、何を言っている。妹よ、聖堂教会での用意が整うまでしばし待て」
「ちちちがいます! この子は僕の妹になるんです!」
3人とも、性癖の面でも同志であった。
●回収依頼
「というわけでエバーグリーンから略奪してきてください。今ならオートマトン系の物資が高値買い取りですよ」
金銭欲に目をぎらつかせたオフィス職員が、いきなりそんなことを言い出した。
「ルビーさん復活の試みがされているのはご存じですよね? だいたいその一環です」
後ろにいるパルムが、ちがうちがうと小さな手でジェスチャーしている。
「今回の目標は倉庫区画になります。一番手数料が高……」
ごまかすための咳払い。
「一番高値で売れる技術書籍は多分望み薄です。有望なのは」
3Dディスプレイが複数立ち上がりそれぞれ別の姿を映す。
人間に近いオートマトンの素体。
オートマトン用の服。
オートマトン用の武器。
オートマンの内部に使われていると思われるパーツ群。
「こんな感じですね。コンテナに目印はありませんが、20メートルまで近づくとこれに反応があります」
ハンターの人数分のPDAを取り出す。
大急ぎで改造されたらしく、繊細なつくりの部品がいくつも飛び出している。
軍用品として扱うとすぐ壊れてしまいそうだ。
「コンテナとコンテナの隙間はかなりあって、CAMでも自由に通り抜け可能で……あ、はい、大きな武器を使うときは気をつけた方がいいかもしれません」
ハンターからの質問により手際よく情報の受け渡しが進む。
「2人いればコンテナ1つを確実にこちらに持ってこれると思えます」
魔導トラック等を使えば効率良くできるかもしれない。が、事前に実験する余裕はないので実際にやってみるしかない。
「現地には確実に歪虚がいます。残念ながら種類も能力も分かりません。安全第一で、お金はがっぽりで頑張ってください」
一瞬だけハンターを案じるように見えたのは、気のせいかもしれない。
解説
【界冥】美○○フィギュア捕獲作戦inEGとふんわり連続した依頼です
・敵
歪虚戦車。サイズ3。
だいたい戦車な見た目の割に、命中率はかなり低く50メートル離れるとまず当たりません
ただ、威力は極めて高く、再装填が即座に行えるので、近距離での戦いには注意が必要かもしれません
5メートルまで近づくと砲には当たらなくなりますが、今度は大質量体当たりに注意する必要があります
動きは気味が悪いほど速く正確です。移動力は5
剥き出しの触手は破壊され易く、破壊されるたびに移動力が低下します
ハンターを狙います
コンテナを狙いはしませんが、巻き込んで破壊することもあるので気を付けて下さい。コンテナ間通り抜け可能です
200メートルまで近づくか、攻撃されると行動を開始します
倉庫の外にある歪虚戦車は、倉庫内の歪虚が全滅したときも行動を開始します
・地図(1文字縦横100m
abcdefgh
1□□□□□□□□ □=平地。舗装済み。所々に、高さ5メートルの枯れた木があります
2□倉倉C倉倉A□ 倉=倉庫。1階建。床から天上まで15メートル。コンテナ多数有り
3□倉C倉倉倉倉□ A=倉庫。オートマトンのパーツが格納されたコンテナが1つ有り。歪虚戦車3両
4□倉倉倉倉倉倉□ B=倉庫。オートマトンが格納されたコンテナが合計2つ有り。歪虚戦車2両
5ハ□壊倉倉B倉□ C=倉庫。オートマトン用服・武器コンテナが合計3つ有り。歪虚戦車1両
6□□倉倉倉倉A□ 壊=倉庫。破壊された入り口有り。CAMも戦車も進入可能
7□□□□□□□戦 戦=平地。歪虚戦車4両
8□□□□□□□戦 ハ=平地。ハンター初期位置
・コンテナ
2×2×5メートル
2×2の正方形の箇所が床に接しています
特に固定はされていません
・倉庫
とても大きいです
壁を壊すのは大変そう
・敵
歪虚戦車。サイズ3。
だいたい戦車な見た目の割に、命中率はかなり低く50メートル離れるとまず当たりません
ただ、威力は極めて高く、再装填が即座に行えるので、近距離での戦いには注意が必要かもしれません
5メートルまで近づくと砲には当たらなくなりますが、今度は大質量体当たりに注意する必要があります
動きは気味が悪いほど速く正確です。移動力は5
剥き出しの触手は破壊され易く、破壊されるたびに移動力が低下します
ハンターを狙います
コンテナを狙いはしませんが、巻き込んで破壊することもあるので気を付けて下さい。コンテナ間通り抜け可能です
200メートルまで近づくか、攻撃されると行動を開始します
倉庫の外にある歪虚戦車は、倉庫内の歪虚が全滅したときも行動を開始します
・地図(1文字縦横100m
abcdefgh
1□□□□□□□□ □=平地。舗装済み。所々に、高さ5メートルの枯れた木があります
2□倉倉C倉倉A□ 倉=倉庫。1階建。床から天上まで15メートル。コンテナ多数有り
3□倉C倉倉倉倉□ A=倉庫。オートマトンのパーツが格納されたコンテナが1つ有り。歪虚戦車3両
4□倉倉倉倉倉倉□ B=倉庫。オートマトンが格納されたコンテナが合計2つ有り。歪虚戦車2両
5ハ□壊倉倉B倉□ C=倉庫。オートマトン用服・武器コンテナが合計3つ有り。歪虚戦車1両
6□□倉倉倉倉A□ 壊=倉庫。破壊された入り口有り。CAMも戦車も進入可能
7□□□□□□□戦 戦=平地。歪虚戦車4両
8□□□□□□□戦 ハ=平地。ハンター初期位置
・コンテナ
2×2×5メートル
2×2の正方形の箇所が床に接しています
特に固定はされていません
・倉庫
とても大きいです
壁を壊すのは大変そう
マスターより
今回の結果次第で、オートマトン関連イベントが加速したり減速したりするかもです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/05/04 23:16
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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【相談卓】柔能く剛を制す コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561) 人間(リアルブルー)|25才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/04/28 05:55:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/24 22:42:51 |