ゲスト
(ka0000)
大きな少女と行商団
マスター:春野紅葉

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- プレイング締切
- 2017/05/06 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/20 22:00
オープニング
●何気ない日常の中で
ユリアはその日もいつものように仕事をすべく知り合いの老人の元へと訪れていた。
「えっ? お休み……ですか?」
「ほほっ。ユリアちゃんはいつもがんばってくれとるしの。たまにはの。休んでいいと思うんじゃ」
好々爺然とした老人は、いつものようにたっぷりとした髭を撫で笑う。
「でも……」
「実はその日、行商団が来るんじゃ」
「行商さんですか?」
「うむ、それもただの行商じゃなくての。自由都市同盟に向かう人らなんじゃよ。帝都の方から来る珍しく大きな行商なんじゃ」
「そんな人達がこの町に!?」
この町は言ってしまえばかなり平凡な町だ。移民を行なって過疎化した町に人を戻す政策の対象になっているのだから、さもありなんという話でもある。
ユリアはこの町に来てからなんとか町に活気をと努力してきてはいるものの、帝都から立派な行商団が通るというには些か辺鄙に過ぎる。
「ユリアちゃんが着てから色々としてくれたことで試しに、ということらしいのう」
「お爺さんはどうしてそんなことを知っておられるんです?」
「ほっほっ、なに、ただの噂じゃて。行商団が来ることは事実みたいじゃがの」
髭を触りながら、茶目っ気たっぷりにちらりとこちらを見てウインクする老人にユリアはきょとんとしながらも声を漏らす。
「それなりに大きな行商じゃから色々と見てみるといいと思うぞい」
「ありがとうございます! でもまずは今日のお仕事に行ってきますね」
そう言って笑みを返したユリアは老人の元を後にした。
●冒険の入り口は突然に
それから数日が経って、ユリアは町長屋敷に呼び出されていた。老人が言っていた行商というのはすでに到着し、町中が珍しい大規模な行商の集団に湧いて以前に合った祭りにも劣らぬ喧騒が広がっていた。
そのことに思わず心が疼いて、町に繰り出そうとしたユリアの元へ、まるでそれを遮るかのように町長からの使者が来たのは、今朝も速くだった。
呼び出されたというのに通された応接間で待つように言われてからはや1時間ほど。
最後に訪れたのは、試しにと開いた牧場体験会のあとでの報告だったなと思いだして暇をつぶすにも少々長い。
何となく落ち着かないままにぼうっとしていると、応接間の扉が開き、三人組が入ってきた。一人は新しくこの町の町長になった女性だ。一度は反乱の火種が燻った町だからか、直前まで軍の少々お偉い人だったという話だった。
話してみれば気さくでこれが歪虚を屠るような仕事をしている人かと驚いたのを覚えている。それ以外の二人は見たことが無い。片方は豪奢な衣装をまとう男性で、もう一人は軽装備だが鎧を纏った男性だ。
「ユリアちゃん。遅くなってごめんなさいね。いま町に行商が来てるのは知ってるわね?」
「い、いえ!」
男性二人をユリアと対面に座らせながら、自身はユリアの隣に座る。思わず立ち上がろうとするユリアを制した彼女は、そのまま二人の方を掌を見せるように指し示す。
「こちらの方は今回の行商の団長を務めておられる方と、その護衛の方なの」
行商の団長。そう言われて、豪奢な衣装をまとう理由を理解する。
「お二人とも、こちらが先程の話に出てきたユリアちゃんです」
「ふむ。まだ若いな……町長様から伺った年齢よりは大人びて見えるが……ふふ、先程の反応、まこと愛らしい子だと分かります」
行商の男性が気持ちよさそうに頷いて見せる。
「町長さん……あの、話が見えないんです」
「ああ、ごめんなさいね。ユリアちゃん……次の町にこの人達を護送して貰えないかしら?」
「ユリアちゃん、君が以前に歪虚の狼をハンターの方々と共に倒したという話は聞きました。ですから恐らくはその森は安全でしょう」
行商の男性が身を乗り出すようにしながら語り始めた。
「ですが――その先の町にはまだ、歪虚がいるかもしれないのです」
「ふえ……で、でも。それでしたらそちらの護衛の方で充分では?」
「ええ。もちろん、この先も彼には着いて来ていただくのですが、それだけでは足りない可能性があるのです」
「足りない……ですか?」
「あなたが討った歪虚が住まう森の向こう、川を超えた先に林檎の鳴る森があるのですが、その付近で亜人を見たという目撃情報があります。もしものために護衛を強化したいのですよ。もちろん、これからハンターの方々にも応援を願うのですが」
「それで私に? でも、何で私に?」
「ねえ、ユリアちゃん。あなた言ってたわよね? 特産物があるのにそれをどうすればいいか分からないって」
それまで静かだった町長がふと声を上げる。突然な話に理解が及ばずきょとんとしていると、行商の男性がくつくつと楽しそうに笑う。
「もし受け入れていただけるなら、その代わり、我々がこの町の特産物を、より多く届けましょう」
「それって」
「そう、商談なのこれは。ユリアちゃんを対価にこの町の特産物を多くの町に届けて知ってもらうための」
優しく、町長がいう。ユリアは思わず目を見開いて驚いた。その後、ごくりと唾を飲む。
「ちなみに出来る限り安全な道を行けるようにりんごのなる森の方の町から移住してきた人を案内に付けるわ」
「分かりました。行きます! いや、行かせてください!」
「ええ、そう言ってくださると嬉しいです」
男性が満面の笑みを浮かべた。舞い上がりそうになる心を必死に抑えながら、差し伸べられた男性の手を握り返した。
●同時刻ごろ
川を挟んだ南方にある森林部を突っ切る街道沿いのある地点にひょっこりと醜悪な顔をした10人の小人たちが姿を現わす。人ならぬ人らは何かを語らい、そそくさと森の中へと消えた。
そのすぐ後、ギャという声とともに再び小人たちは街道沿いへと現れ、逃げるように反対側の森へと走り逃げていく。その後を続くように、ぬっとソイツは姿を現わす。
どこで見つけたのか、騎士のような胸甲に身を包み、人よりも僅かながら大きなソイツは、欠伸のような動作を示すと木々を踏み散らしながら、小人たちの消えた方へと歩みを進めていく。
ユリアはその日もいつものように仕事をすべく知り合いの老人の元へと訪れていた。
「えっ? お休み……ですか?」
「ほほっ。ユリアちゃんはいつもがんばってくれとるしの。たまにはの。休んでいいと思うんじゃ」
好々爺然とした老人は、いつものようにたっぷりとした髭を撫で笑う。
「でも……」
「実はその日、行商団が来るんじゃ」
「行商さんですか?」
「うむ、それもただの行商じゃなくての。自由都市同盟に向かう人らなんじゃよ。帝都の方から来る珍しく大きな行商なんじゃ」
「そんな人達がこの町に!?」
この町は言ってしまえばかなり平凡な町だ。移民を行なって過疎化した町に人を戻す政策の対象になっているのだから、さもありなんという話でもある。
ユリアはこの町に来てからなんとか町に活気をと努力してきてはいるものの、帝都から立派な行商団が通るというには些か辺鄙に過ぎる。
「ユリアちゃんが着てから色々としてくれたことで試しに、ということらしいのう」
「お爺さんはどうしてそんなことを知っておられるんです?」
「ほっほっ、なに、ただの噂じゃて。行商団が来ることは事実みたいじゃがの」
髭を触りながら、茶目っ気たっぷりにちらりとこちらを見てウインクする老人にユリアはきょとんとしながらも声を漏らす。
「それなりに大きな行商じゃから色々と見てみるといいと思うぞい」
「ありがとうございます! でもまずは今日のお仕事に行ってきますね」
そう言って笑みを返したユリアは老人の元を後にした。
●冒険の入り口は突然に
それから数日が経って、ユリアは町長屋敷に呼び出されていた。老人が言っていた行商というのはすでに到着し、町中が珍しい大規模な行商の集団に湧いて以前に合った祭りにも劣らぬ喧騒が広がっていた。
そのことに思わず心が疼いて、町に繰り出そうとしたユリアの元へ、まるでそれを遮るかのように町長からの使者が来たのは、今朝も速くだった。
呼び出されたというのに通された応接間で待つように言われてからはや1時間ほど。
最後に訪れたのは、試しにと開いた牧場体験会のあとでの報告だったなと思いだして暇をつぶすにも少々長い。
何となく落ち着かないままにぼうっとしていると、応接間の扉が開き、三人組が入ってきた。一人は新しくこの町の町長になった女性だ。一度は反乱の火種が燻った町だからか、直前まで軍の少々お偉い人だったという話だった。
話してみれば気さくでこれが歪虚を屠るような仕事をしている人かと驚いたのを覚えている。それ以外の二人は見たことが無い。片方は豪奢な衣装をまとう男性で、もう一人は軽装備だが鎧を纏った男性だ。
「ユリアちゃん。遅くなってごめんなさいね。いま町に行商が来てるのは知ってるわね?」
「い、いえ!」
男性二人をユリアと対面に座らせながら、自身はユリアの隣に座る。思わず立ち上がろうとするユリアを制した彼女は、そのまま二人の方を掌を見せるように指し示す。
「こちらの方は今回の行商の団長を務めておられる方と、その護衛の方なの」
行商の団長。そう言われて、豪奢な衣装をまとう理由を理解する。
「お二人とも、こちらが先程の話に出てきたユリアちゃんです」
「ふむ。まだ若いな……町長様から伺った年齢よりは大人びて見えるが……ふふ、先程の反応、まこと愛らしい子だと分かります」
行商の男性が気持ちよさそうに頷いて見せる。
「町長さん……あの、話が見えないんです」
「ああ、ごめんなさいね。ユリアちゃん……次の町にこの人達を護送して貰えないかしら?」
「ユリアちゃん、君が以前に歪虚の狼をハンターの方々と共に倒したという話は聞きました。ですから恐らくはその森は安全でしょう」
行商の男性が身を乗り出すようにしながら語り始めた。
「ですが――その先の町にはまだ、歪虚がいるかもしれないのです」
「ふえ……で、でも。それでしたらそちらの護衛の方で充分では?」
「ええ。もちろん、この先も彼には着いて来ていただくのですが、それだけでは足りない可能性があるのです」
「足りない……ですか?」
「あなたが討った歪虚が住まう森の向こう、川を超えた先に林檎の鳴る森があるのですが、その付近で亜人を見たという目撃情報があります。もしものために護衛を強化したいのですよ。もちろん、これからハンターの方々にも応援を願うのですが」
「それで私に? でも、何で私に?」
「ねえ、ユリアちゃん。あなた言ってたわよね? 特産物があるのにそれをどうすればいいか分からないって」
それまで静かだった町長がふと声を上げる。突然な話に理解が及ばずきょとんとしていると、行商の男性がくつくつと楽しそうに笑う。
「もし受け入れていただけるなら、その代わり、我々がこの町の特産物を、より多く届けましょう」
「それって」
「そう、商談なのこれは。ユリアちゃんを対価にこの町の特産物を多くの町に届けて知ってもらうための」
優しく、町長がいう。ユリアは思わず目を見開いて驚いた。その後、ごくりと唾を飲む。
「ちなみに出来る限り安全な道を行けるようにりんごのなる森の方の町から移住してきた人を案内に付けるわ」
「分かりました。行きます! いや、行かせてください!」
「ええ、そう言ってくださると嬉しいです」
男性が満面の笑みを浮かべた。舞い上がりそうになる心を必死に抑えながら、差し伸べられた男性の手を握り返した。
●同時刻ごろ
川を挟んだ南方にある森林部を突っ切る街道沿いのある地点にひょっこりと醜悪な顔をした10人の小人たちが姿を現わす。人ならぬ人らは何かを語らい、そそくさと森の中へと消えた。
そのすぐ後、ギャという声とともに再び小人たちは街道沿いへと現れ、逃げるように反対側の森へと走り逃げていく。その後を続くように、ぬっとソイツは姿を現わす。
どこで見つけたのか、騎士のような胸甲に身を包み、人よりも僅かながら大きなソイツは、欠伸のような動作を示すと木々を踏み散らしながら、小人たちの消えた方へと歩みを進めていく。
解説
よろしくお願いします。春野紅葉です。
今回は皆さんに行商団を護衛して頂きたいと思います。
朝早くに出発すれば、目的地には夜には着くと思われます。
遭遇する可能性があるのは10体のゴブリン達と、彼らを追っていると思しきそれよりも大きなゴブリンらしき存在になります。
以下PL情報
大きなゴブリンらしき存在はざっとゴブリン3体分ほどの力量を持ちます。
今回は皆さんに行商団を護衛して頂きたいと思います。
朝早くに出発すれば、目的地には夜には着くと思われます。
遭遇する可能性があるのは10体のゴブリン達と、彼らを追っていると思しきそれよりも大きなゴブリンらしき存在になります。
以下PL情報
大きなゴブリンらしき存在はざっとゴブリン3体分ほどの力量を持ちます。
マスターより
初めまして、あるいはお久しぶりでしょうか。
春野紅葉です。
オーソドックスな依頼になると思われます。よろしくお願いします。
春野紅葉です。
オーソドックスな依頼になると思われます。よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/05/23 22:34
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/04 20:07:02 |
|
![]() |
夜営は必要? ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/05/06 18:37:24 |