ゲスト
(ka0000)
夏を迎える、その為に
マスター:風華弓弦

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/07/19 07:30
- リプレイ完成予定
- 2017/08/02 07:30
オープニング
●時代遅れの街角で
「……ふぅ」
ランプが照らす質素な工房で、大きな息がひとつ落ちた。
華奢な肩が力を抜き、ヤスリをブラシに持ち替えるとそっと手元を払い、小さな『作品』へ注意深く目を凝らす。
淡い光を反射する、細い銀の曲線。
小さな薄茶の丸い貴石の周りには、細長い黄色の貴石が放射状に並んでいる。
仕上がり具合を隅々まで丁寧に確認してから、ドワーフの宝飾細工師は小さく頷き。
出来上がった品を保護用のケースに収めたプレシウ・フレーシュは、急ぎ足で質素な工房を後にした。
ちりちりと、暑い日差しが肌を刺す。
海の上を渡ってきた風はいくらか涼を帯びてはいるが、それでも生ぬるく。
運河岸の日陰に寄せられたゴンドラで、一匹の灰色猫が大きなあくびをした。
「おや、お前さんの御主人は食事休憩かね? それとも、荷届け中かな?」
近くの宝飾店から出てきた初老の男が声をかけると、荷物の上に伏したまま猫は尻尾を気だるげに揺らす。
だが不意に顔を上げ、恰幅の良い店主の後ろへ視線を投げた。
「運び物か、旦那」
視線の行方を辿るまでもなく、聞き慣れた声が要件を問う。
振り返ると、ゴンドラの猫に負けず劣らず気だるそうな配達屋が麦わら帽子で顔を扇いでいた。
見た目、胡散臭そう(うさんくさそう)な長身の男はゴンドラを操り、この周辺一帯で何でも運ぶ仕事をしている。
「ああ、ちょうどよかった。なぁに、大した事じゃあない……大した事ではないが、どうしようかと少しばかり困っておってな」
ぼやきながら初老の店主が手招きをし、宝飾店の裏手に消えた。
後に続いて店に入った配達屋は、すぐに脱力感を覚えながら「やれやれ」と頭を振り、溜め息を一つ。
「なるほど? こいつは『困りごと』だな」
商談用のスペースにあるソファには、ただひたすらプレシウが眠りこけていた。
「朝早く、頼んでいた商品を届けに来てくれたんだがね」
事情を説明する店主は、ちらとテーブルの上を見やる。
そこには小ぶりのブローチやペンダントが数個、並んでいた。いずれもヒマワリを模したそれらは、数日後に迫った『夏迎え』用の商品だろう。
「検品をしている間に眠ってしまってから、もう半日以上こうでなぁ」
「プレシウの嬢ちゃんのことだ。まーた、寝ずに没頭してたんだろ」
作業へ集中するあまり、彼女が寝食を忘れるのは珍しい事ではない……というか、むしろ良くあるというか。
その辺は店主も察しているのか、苦笑交じりに同意する。
「声をかけても起きんし、かといって放っておく訳にもいかん。すまんが、家まで運んでやってくれるか?」
「請け負った」
舟で運べるモノなら、荷物でも動物でも人でも配達屋は運ぶ。
軽々とドワーフ女性を抱え上げる男のために宝飾店の店主はドアを開け、配達用のゴンドラまで付き添った。
岸を離れるゴンドラを見送り、ほっと安堵の息を吐く。
「今年も、いい夏迎えになるといいが……ともあれ仕事仕事、と」
そして暑い日差しを避けるように、初老の店主は早足に店の中へ戻っていった。
●来るべき夏の迎え方
――本格的な夏を前に、美味い物を食べて備えよう。
それが、この付近の住人に根付いた習慣の一つ『夏迎えの祭宴』だ。
盛大な祭ではなく、運河岸の広場で焚き火を囲んで酒を飲み、持ち寄ったご馳走を食べる程度。
町内の宴会といった規模だが住人達は毎年それを楽しみにし、来る者も拒まない。
そのせいか、あるいは街の誰かが気を回したのか、今年はハンターオフィスに小さく宴の告示が掲示された。
もちろん、手ぶらだろうが手土産持参だろうが、参加は自由だという――ハメを外し過ぎない限りは。
「……ふぅ」
ランプが照らす質素な工房で、大きな息がひとつ落ちた。
華奢な肩が力を抜き、ヤスリをブラシに持ち替えるとそっと手元を払い、小さな『作品』へ注意深く目を凝らす。
淡い光を反射する、細い銀の曲線。
小さな薄茶の丸い貴石の周りには、細長い黄色の貴石が放射状に並んでいる。
仕上がり具合を隅々まで丁寧に確認してから、ドワーフの宝飾細工師は小さく頷き。
出来上がった品を保護用のケースに収めたプレシウ・フレーシュは、急ぎ足で質素な工房を後にした。
ちりちりと、暑い日差しが肌を刺す。
海の上を渡ってきた風はいくらか涼を帯びてはいるが、それでも生ぬるく。
運河岸の日陰に寄せられたゴンドラで、一匹の灰色猫が大きなあくびをした。
「おや、お前さんの御主人は食事休憩かね? それとも、荷届け中かな?」
近くの宝飾店から出てきた初老の男が声をかけると、荷物の上に伏したまま猫は尻尾を気だるげに揺らす。
だが不意に顔を上げ、恰幅の良い店主の後ろへ視線を投げた。
「運び物か、旦那」
視線の行方を辿るまでもなく、聞き慣れた声が要件を問う。
振り返ると、ゴンドラの猫に負けず劣らず気だるそうな配達屋が麦わら帽子で顔を扇いでいた。
見た目、胡散臭そう(うさんくさそう)な長身の男はゴンドラを操り、この周辺一帯で何でも運ぶ仕事をしている。
「ああ、ちょうどよかった。なぁに、大した事じゃあない……大した事ではないが、どうしようかと少しばかり困っておってな」
ぼやきながら初老の店主が手招きをし、宝飾店の裏手に消えた。
後に続いて店に入った配達屋は、すぐに脱力感を覚えながら「やれやれ」と頭を振り、溜め息を一つ。
「なるほど? こいつは『困りごと』だな」
商談用のスペースにあるソファには、ただひたすらプレシウが眠りこけていた。
「朝早く、頼んでいた商品を届けに来てくれたんだがね」
事情を説明する店主は、ちらとテーブルの上を見やる。
そこには小ぶりのブローチやペンダントが数個、並んでいた。いずれもヒマワリを模したそれらは、数日後に迫った『夏迎え』用の商品だろう。
「検品をしている間に眠ってしまってから、もう半日以上こうでなぁ」
「プレシウの嬢ちゃんのことだ。まーた、寝ずに没頭してたんだろ」
作業へ集中するあまり、彼女が寝食を忘れるのは珍しい事ではない……というか、むしろ良くあるというか。
その辺は店主も察しているのか、苦笑交じりに同意する。
「声をかけても起きんし、かといって放っておく訳にもいかん。すまんが、家まで運んでやってくれるか?」
「請け負った」
舟で運べるモノなら、荷物でも動物でも人でも配達屋は運ぶ。
軽々とドワーフ女性を抱え上げる男のために宝飾店の店主はドアを開け、配達用のゴンドラまで付き添った。
岸を離れるゴンドラを見送り、ほっと安堵の息を吐く。
「今年も、いい夏迎えになるといいが……ともあれ仕事仕事、と」
そして暑い日差しを避けるように、初老の店主は早足に店の中へ戻っていった。
●来るべき夏の迎え方
――本格的な夏を前に、美味い物を食べて備えよう。
それが、この付近の住人に根付いた習慣の一つ『夏迎えの祭宴』だ。
盛大な祭ではなく、運河岸の広場で焚き火を囲んで酒を飲み、持ち寄ったご馳走を食べる程度。
町内の宴会といった規模だが住人達は毎年それを楽しみにし、来る者も拒まない。
そのせいか、あるいは街の誰かが気を回したのか、今年はハンターオフィスに小さく宴の告示が掲示された。
もちろん、手ぶらだろうが手土産持参だろうが、参加は自由だという――ハメを外し過ぎない限りは。
解説
【夏迎えの祭宴】
海に面した広場で、焚き火を囲んで飲み食いするというシンプルな宴。
「美味いモノを飲み食いして、本格的な夏に備えよう」という分かりやすい趣旨で始まったものが、いつしか地区の小さな祭りとなった。
広場は石畳の舗装がされているが、宴では焚き火の周囲に焼き串を立てる支柱が置かれる。
準備は朝から始まり、夕方から広場の焚き火に火が点けられ、夜に終わる。
また人々は木や布で作ったヒマワリの飾りやヒマワリそのものを身につけ、宴が終わったら海へ投げる習慣がある。
【リゼリオの一角】
リゼリオの南側にある島で、海に面した古い街並み。
主に二階建ての建物がひしめき、その間を抜ける路地は細く、迷路さながら。ところどころに小広場が作られ、共同の井戸がある。
先祖の代から住む人が多く、また覚醒者の資質を持つ者は少ない。
中心は海に面した広場(カンポ)で、祭などがあると住人が集まって騒ぐ。
【ご注意】
・スキルのセット
プレイングに使用するスキルを書いていても、セットしないと使えません。
・○○参照は不可
プレイングに「詳細は○○参照(リプレイ/OMC/相談卓、など)」と指定しても、マスタリングでは基本的に反映されません。
海に面した広場で、焚き火を囲んで飲み食いするというシンプルな宴。
「美味いモノを飲み食いして、本格的な夏に備えよう」という分かりやすい趣旨で始まったものが、いつしか地区の小さな祭りとなった。
広場は石畳の舗装がされているが、宴では焚き火の周囲に焼き串を立てる支柱が置かれる。
準備は朝から始まり、夕方から広場の焚き火に火が点けられ、夜に終わる。
また人々は木や布で作ったヒマワリの飾りやヒマワリそのものを身につけ、宴が終わったら海へ投げる習慣がある。
【リゼリオの一角】
リゼリオの南側にある島で、海に面した古い街並み。
主に二階建ての建物がひしめき、その間を抜ける路地は細く、迷路さながら。ところどころに小広場が作られ、共同の井戸がある。
先祖の代から住む人が多く、また覚醒者の資質を持つ者は少ない。
中心は海に面した広場(カンポ)で、祭などがあると住人が集まって騒ぐ。
【ご注意】
・スキルのセット
プレイングに使用するスキルを書いていても、セットしないと使えません。
・○○参照は不可
プレイングに「詳細は○○参照(リプレイ/OMC/相談卓、など)」と指定しても、マスタリングでは基本的に反映されません。
マスターより
お久しぶりの依頼となります。そういえば、FNBでの最初の依頼がこの時期だったなぁと懐かしく思い出しての、盛夏を迎えるお祭り依頼です。
料理の腕をふるうもよし、ひたすら飲んで食べるもよし(未成年PCの飲酒行為はお控え下さい。場の雰囲気で酔った風になるのはOKです)。
暑さ対策にパラソルや足湯(足水?)を用意するもよし、運河に飛び込む……のは水深があるのでオススメしません。不本意なぽろりや剥いたりもありませんので、御了承下さい。
では夏の到来直前のひと時を、のんびりお楽しみ下さい。
なおスローペースで活動中のため、執筆期間を多めにいただいております。
料理の腕をふるうもよし、ひたすら飲んで食べるもよし(未成年PCの飲酒行為はお控え下さい。場の雰囲気で酔った風になるのはOKです)。
暑さ対策にパラソルや足湯(足水?)を用意するもよし、運河に飛び込む……のは水深があるのでオススメしません。不本意なぽろりや剥いたりもありませんので、御了承下さい。
では夏の到来直前のひと時を、のんびりお楽しみ下さい。
なおスローペースで活動中のため、執筆期間を多めにいただいております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/15 11:55
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【夏迎えの祭宴】相談(雑談)卓 天王寺茜(ka4080) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/07/19 01:09:40 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/07/18 23:32:46 |