ゲスト
(ka0000)
我が望よ、響け
マスター:朝臣あむ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/10/08 12:00
- リプレイ完成予定
- 2017/10/22 12:00
オープニング
昔、精霊の行く末を気に掛け、彼らのために何か出来ないかと動いた者がいた。
彼女は自らの知識を広げ、自らの足で精霊の住まう地を巡り、自らの言葉で彼らを救うべく語った。
その成果は徐々に生まれ、1人の精霊が彼女が歩みを止めるその時まで傍にいたと言う。
そんな功績を残した錬金術師の名は『フロイデ・カロッサ』――ゾンネンシュトラール帝国・ワルプルギス錬魔院院長であった女性だ。
●
錬金術師組合組合長室のデスクに重ねられたおびただしい量の本。その本に囲まれながら黙々と手と目を動かすのは部屋の主リーゼロッテ・クリューガー(kz0037)だ。
数か月前、前錬魔院院長の墓参りの際に遭遇した前院長「フロイデ」を名乗る歪虚を目にした日から、リーゼロッテは何かに憑りつかれた様に調べ物を続けていた。そしてその手がようやく止まる時が来た。
「出来ました……これで、これでようやく動き出せます……!」
出来上がったのは読み漁った資料を簡潔にまとめたレポートと、何かの装置らしきもの。
彼女はそれらを鞄に詰めると、デスクの傍らに置いておいた杖を取った。
「バンデさん、お待たせしました。これであそこに行けますよ!」
『ふぁあ~……おはよーリーゼちゃん……むにゃ』
バンデ。とはリーゼロッテが愛用していた杖の宝石に宿る精霊のことだ。
彼女は前錬魔院長が宝石に封じた精霊で、四大精霊が顕現して以降に突然リーゼロッテに声をかけて来た。
このバンデがいなければ前院長に遭遇することもなかったのだが、リーゼロッテはそんなことに気付きもしない。むしろ今はやるべきことを見付けて前向きになっている――そんな印象を受ける。
『もう大丈夫なのー?』
「はい。やるべきことは決まってますから」
頷く彼女に迷いは見えない。
そんな彼女に「何を決めたの」とは聞けないが、大方の予想はつく。
『そう言えば、フロイデは何でいまさら姿を見せたですかねー?』
「たぶん歪虚としての力が充分になった。というのもあると思いますが、一番の理由は四大精霊の顕現による精霊と英霊の活性化だと思います」
四大精霊の影響で精霊や英霊が活性化したことで、人も歪虚もその存在の確保に動き出している。
「前院長は元々精霊を研究していましたし、こちらの可能性の方が動き出した理由には近いと思います。だからこその、今回の旅ですよ!」
リーゼロッテはそう言うと、少しパンパンになった鞄を背負った。
これからハンターに依頼をかけてある場所まで同行してもらうことになっている。そこは前院長との所縁も強い場所で――
「バンデさん。道案内をお願いできますか?」
『もちろんですー! 元気に出発するですよー!』
バンデにとっても関係の深い場所だった。
●
ハンターに護衛をしてもらいながらリーゼロッテが向かったのは、帝国領とエルフハイムの狭間に近い鉱山だった。
「この辺りの精霊は皆いなくなってますね……」
『昔からこんな感じですよー。でももう少し行くといるですよ!』
リーゼロッテは出発前、ハンターに「精霊に会いに行く」と言った。
だがこの鉱山はバンデの言葉を裏切るように、ゴツゴツの岩と水気を失った砂が延々と続いている。
しかも歩きはじめて既に1時間。リーゼロッテの筋肉皆無の体も限界を超えている。と、その時だ。
『あったですー! あそこが入口ですよー!』
宝石から出た淡い光が指示したのは、岩と岩の間に生まれた隙間で、ちょうど人が1人通れるくらいの大きさの穴があった。
「あの先に精霊が……!」
力を振り絞るように歩き進めたリーゼロッテが隙間を抜けると、彼女の口から「わぁ」と歓声が漏れた。
そこにあったのは外にあった乾いた岩ではなく、キラキラと輝くクリスタルの様な鉱石たちだった。
『ここにいるのはクリスタって言う鉱石の精霊ですねー。フロイデはクリスタにお願いしてあーしを宝石に封じたですー』
バンデは元々宝石の精霊ではない。
彼女自身も自分が何の精霊だったか忘れてしまっているらしいが、とりあえずフロイデが宝石に封じたことは覚えているようだ。
『おやおや、久しいヒトの気配につられてみれば……そこにいるのはバンデかな?』
『あ、クリスタ! 久ぶりですねー!』
洞窟内に響く不思議な音色が言葉を紡ぐ。
どうやらこの声がバンデの言うクリスタのもらしい。
リーゼロッテたちは声に導かれる様に洞窟の最深に達すると、何色とも言えない鉱石の前に佇む青年の姿をした妖精を見付けた。
「お初にお目にかかります。私はゾンネンシュトラール帝国錬金術師組合組合長のリーゼロッテと言います。この度こちらに参りましたのは」
『だが断る!』
『えーー!! まだ何も言ってないですしー、フロイデの時は力を貸してくれたですよー!』
『えー! ではない!』
要件を口にする間もなく断られたことに固まるリーゼロッテを他所に、クリスタは「ふんっ」と鼻を鳴らして言う。
『我はあの小娘に騙されたのだ! 精霊を守りたい。その為に力を貸して欲しい……あの真剣な眼差しに負けて力を貸した。だが実際にはどうだ? 小娘は我の力を使うだけ使って会いにも来ぬ。しかも精霊は減る一方。我はもう信じぬ。ヒトはー信じぬー!!』
ぷいっとそっぽを向いたクリスタにリーゼロッテの表情が曇った。しかし諦める訳にはいかない。
「お義母さん……前院長は精霊との調和を望んでいました。それは間違いなく事実です。だからクリスタさんに言った言葉も嘘ではないと思うんです。でも、歪虚になった彼女が行おうとしていることは、生前の彼女の考えとは真逆なことです」
『む……あの小娘、歪虚になったのか?』
「残念ながら……」
小さく頷くリーゼロッテにクリスタの顔が傾く。
「生前の彼女の研究は本当に素晴らしくて……中でも一時的に精霊を鉱石に封じ込める方法が本当に素晴らしかった……」
この方法を使えば、精霊を一時的に鉱石に移した状態で別の場所へ移動させることも出来るのだ。
『それが何だと言うのかね』
「つまりこう言うことです。前院長は精霊を得るために姿を現すでしょう。でもそこに精霊がいなかったら彼女はどうすると思いますか?」
『バンデちゃんわかるー! フロイデは別の場所にいくー!』
「そう。そしてそこにも精霊がいなかったら?」
『次の場所にいくー!』
バンデの大きな声にクリスタの口から溜息のような吐息が漏れる。
『……成程。お主の考えはわかったが、我は力を貸さぬ。お主の考えが上手くいく保証はない。そもそもその行動が我等精霊に何の得がある……正直、利用されるのはもう御免だ』
わかったら帰れ。
クリスタはそう呟くと、緩く頭を振って姿を消した。
残されたのはリーゼロッテは戸惑うように後ろに立つハンターを振り返ってこう言った。
「もう1度――いえ、何度でも説得します! お願いします、説得に協力してください!!」
彼女は自らの知識を広げ、自らの足で精霊の住まう地を巡り、自らの言葉で彼らを救うべく語った。
その成果は徐々に生まれ、1人の精霊が彼女が歩みを止めるその時まで傍にいたと言う。
そんな功績を残した錬金術師の名は『フロイデ・カロッサ』――ゾンネンシュトラール帝国・ワルプルギス錬魔院院長であった女性だ。
●
錬金術師組合組合長室のデスクに重ねられたおびただしい量の本。その本に囲まれながら黙々と手と目を動かすのは部屋の主リーゼロッテ・クリューガー(kz0037)だ。
数か月前、前錬魔院院長の墓参りの際に遭遇した前院長「フロイデ」を名乗る歪虚を目にした日から、リーゼロッテは何かに憑りつかれた様に調べ物を続けていた。そしてその手がようやく止まる時が来た。
「出来ました……これで、これでようやく動き出せます……!」
出来上がったのは読み漁った資料を簡潔にまとめたレポートと、何かの装置らしきもの。
彼女はそれらを鞄に詰めると、デスクの傍らに置いておいた杖を取った。
「バンデさん、お待たせしました。これであそこに行けますよ!」
『ふぁあ~……おはよーリーゼちゃん……むにゃ』
バンデ。とはリーゼロッテが愛用していた杖の宝石に宿る精霊のことだ。
彼女は前錬魔院長が宝石に封じた精霊で、四大精霊が顕現して以降に突然リーゼロッテに声をかけて来た。
このバンデがいなければ前院長に遭遇することもなかったのだが、リーゼロッテはそんなことに気付きもしない。むしろ今はやるべきことを見付けて前向きになっている――そんな印象を受ける。
『もう大丈夫なのー?』
「はい。やるべきことは決まってますから」
頷く彼女に迷いは見えない。
そんな彼女に「何を決めたの」とは聞けないが、大方の予想はつく。
『そう言えば、フロイデは何でいまさら姿を見せたですかねー?』
「たぶん歪虚としての力が充分になった。というのもあると思いますが、一番の理由は四大精霊の顕現による精霊と英霊の活性化だと思います」
四大精霊の影響で精霊や英霊が活性化したことで、人も歪虚もその存在の確保に動き出している。
「前院長は元々精霊を研究していましたし、こちらの可能性の方が動き出した理由には近いと思います。だからこその、今回の旅ですよ!」
リーゼロッテはそう言うと、少しパンパンになった鞄を背負った。
これからハンターに依頼をかけてある場所まで同行してもらうことになっている。そこは前院長との所縁も強い場所で――
「バンデさん。道案内をお願いできますか?」
『もちろんですー! 元気に出発するですよー!』
バンデにとっても関係の深い場所だった。
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ハンターに護衛をしてもらいながらリーゼロッテが向かったのは、帝国領とエルフハイムの狭間に近い鉱山だった。
「この辺りの精霊は皆いなくなってますね……」
『昔からこんな感じですよー。でももう少し行くといるですよ!』
リーゼロッテは出発前、ハンターに「精霊に会いに行く」と言った。
だがこの鉱山はバンデの言葉を裏切るように、ゴツゴツの岩と水気を失った砂が延々と続いている。
しかも歩きはじめて既に1時間。リーゼロッテの筋肉皆無の体も限界を超えている。と、その時だ。
『あったですー! あそこが入口ですよー!』
宝石から出た淡い光が指示したのは、岩と岩の間に生まれた隙間で、ちょうど人が1人通れるくらいの大きさの穴があった。
「あの先に精霊が……!」
力を振り絞るように歩き進めたリーゼロッテが隙間を抜けると、彼女の口から「わぁ」と歓声が漏れた。
そこにあったのは外にあった乾いた岩ではなく、キラキラと輝くクリスタルの様な鉱石たちだった。
『ここにいるのはクリスタって言う鉱石の精霊ですねー。フロイデはクリスタにお願いしてあーしを宝石に封じたですー』
バンデは元々宝石の精霊ではない。
彼女自身も自分が何の精霊だったか忘れてしまっているらしいが、とりあえずフロイデが宝石に封じたことは覚えているようだ。
『おやおや、久しいヒトの気配につられてみれば……そこにいるのはバンデかな?』
『あ、クリスタ! 久ぶりですねー!』
洞窟内に響く不思議な音色が言葉を紡ぐ。
どうやらこの声がバンデの言うクリスタのもらしい。
リーゼロッテたちは声に導かれる様に洞窟の最深に達すると、何色とも言えない鉱石の前に佇む青年の姿をした妖精を見付けた。
「お初にお目にかかります。私はゾンネンシュトラール帝国錬金術師組合組合長のリーゼロッテと言います。この度こちらに参りましたのは」
『だが断る!』
『えーー!! まだ何も言ってないですしー、フロイデの時は力を貸してくれたですよー!』
『えー! ではない!』
要件を口にする間もなく断られたことに固まるリーゼロッテを他所に、クリスタは「ふんっ」と鼻を鳴らして言う。
『我はあの小娘に騙されたのだ! 精霊を守りたい。その為に力を貸して欲しい……あの真剣な眼差しに負けて力を貸した。だが実際にはどうだ? 小娘は我の力を使うだけ使って会いにも来ぬ。しかも精霊は減る一方。我はもう信じぬ。ヒトはー信じぬー!!』
ぷいっとそっぽを向いたクリスタにリーゼロッテの表情が曇った。しかし諦める訳にはいかない。
「お義母さん……前院長は精霊との調和を望んでいました。それは間違いなく事実です。だからクリスタさんに言った言葉も嘘ではないと思うんです。でも、歪虚になった彼女が行おうとしていることは、生前の彼女の考えとは真逆なことです」
『む……あの小娘、歪虚になったのか?』
「残念ながら……」
小さく頷くリーゼロッテにクリスタの顔が傾く。
「生前の彼女の研究は本当に素晴らしくて……中でも一時的に精霊を鉱石に封じ込める方法が本当に素晴らしかった……」
この方法を使えば、精霊を一時的に鉱石に移した状態で別の場所へ移動させることも出来るのだ。
『それが何だと言うのかね』
「つまりこう言うことです。前院長は精霊を得るために姿を現すでしょう。でもそこに精霊がいなかったら彼女はどうすると思いますか?」
『バンデちゃんわかるー! フロイデは別の場所にいくー!』
「そう。そしてそこにも精霊がいなかったら?」
『次の場所にいくー!』
バンデの大きな声にクリスタの口から溜息のような吐息が漏れる。
『……成程。お主の考えはわかったが、我は力を貸さぬ。お主の考えが上手くいく保証はない。そもそもその行動が我等精霊に何の得がある……正直、利用されるのはもう御免だ』
わかったら帰れ。
クリスタはそう呟くと、緩く頭を振って姿を消した。
残されたのはリーゼロッテは戸惑うように後ろに立つハンターを振り返ってこう言った。
「もう1度――いえ、何度でも説得します! お願いします、説得に協力してください!!」
解説
●目的
鉱石の精霊「クリスタ」を説得する
●概要
フロイデがかつて行っていた研究に、鉱石へ精霊を一時的に移して移動させるというものがあった。
リーゼロッテはこの研究を使ってフロイデとの接触を図ろうとしている。
そしてそのためには鉱石の精霊『クリスタ』の力が必要であり、どうにか説得をしたいと考えている。
彼女はこの行動が「自分自身の目的のための手段でしかない」と思っているが本当にそうだろうか。
その辺りも含めて考え、クリスタの説得に当たってほしい。
●鉱石の精霊『クリスタ』
過去に前錬魔院院長であるフロイデに力を貸したが、良いように使われるだけ使われ捨てられたと思っている。
姿を消しても最深のクリスタルにいるため、その前で話していれば大体の話は聞こえてる。
姿形は青年のように見えるが実際にはかなりおじいさん。
●NPC情報
『リーゼロッテ』
錬金術師組合組合長。
いろいろ複雑な心情を持ちつつ前を向く覚悟を決めたようです。
『バンデ』
リーゼロッテが所持していた杖が喋りだしたもの。もとい、謎の精霊。
前錬魔院院長が宝石に封じた精霊で記憶があいまい。
鉱石の精霊「クリスタ」を説得する
●概要
フロイデがかつて行っていた研究に、鉱石へ精霊を一時的に移して移動させるというものがあった。
リーゼロッテはこの研究を使ってフロイデとの接触を図ろうとしている。
そしてそのためには鉱石の精霊『クリスタ』の力が必要であり、どうにか説得をしたいと考えている。
彼女はこの行動が「自分自身の目的のための手段でしかない」と思っているが本当にそうだろうか。
その辺りも含めて考え、クリスタの説得に当たってほしい。
●鉱石の精霊『クリスタ』
過去に前錬魔院院長であるフロイデに力を貸したが、良いように使われるだけ使われ捨てられたと思っている。
姿を消しても最深のクリスタルにいるため、その前で話していれば大体の話は聞こえてる。
姿形は青年のように見えるが実際にはかなりおじいさん。
●NPC情報
『リーゼロッテ』
錬金術師組合組合長。
いろいろ複雑な心情を持ちつつ前を向く覚悟を決めたようです。
『バンデ』
リーゼロッテが所持していた杖が喋りだしたもの。もとい、謎の精霊。
前錬魔院院長が宝石に封じた精霊で記憶があいまい。
マスターより
こんにちは、朝臣あむです。
だいぶお久しぶりのシナリオとなってしまいましたが、今回は精霊関連のシナリオをお届けします。
脂肪オンリーのリーゼロッテがだいぶ頑張って山道を登りました。
きっと次の日は筋肉痛です――が、その前に精霊を説得させないといけません!
どうか皆様のお力をお貸しください。
ちなみにご質問には答えられる範囲でリーゼロッテがお答えいたします。
出発24時間を切った場合は答えられない事もありますのでご了承ください。
では、皆さまのご参加とプレイングを心よりお待ちしております!
だいぶお久しぶりのシナリオとなってしまいましたが、今回は精霊関連のシナリオをお届けします。
脂肪オンリーのリーゼロッテがだいぶ頑張って山道を登りました。
きっと次の日は筋肉痛です――が、その前に精霊を説得させないといけません!
どうか皆様のお力をお貸しください。
ちなみにご質問には答えられる範囲でリーゼロッテがお答えいたします。
出発24時間を切った場合は答えられない事もありますのでご了承ください。
では、皆さまのご参加とプレイングを心よりお待ちしております!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/10/18 22:35
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/10/06 18:33:24 |
|
![]() |
交渉に当たっての質問所 守原 有希遥(ka4729) 人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2017/10/04 23:00:39 |
|
![]() |
交渉相談室 守原 有希遥(ka4729) 人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2017/10/08 07:11:58 |