ゲスト
(ka0000)
トゲトゲの脅威
マスター:玖田蘭

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/22 15:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/01 15:00
オープニング
くすんだ水回りをきれいに磨き上げて、店の女主人は満足げに汗をぬぐった。普段は温かい灯りがともり賑やかな笑い声が響く酒屋は、この度新装開店の為に三月の休みに入っていた。
「姐さん、この荷物どこに置きましょう?」
古ぼけた荷物を持った男が尋ねる。強面だが頼れる右腕の男に、彼女は階段を指して指示を飛ばした。あの階段の向こう側、二階は彼女の私室や大部屋が存在している。使えるものはそちらに移動してしまおう。
「そうだねェ、私の物は二階に上げてくれて構わないが、デカくて要らないもんは全部処分しちまおうかね。使えそうなもんは地下にしまっておいておくれ」
店の用心棒も兼ねる若い男に指示を出しながら、女主人はまた水回りを磨き始めた。隠居した父から譲り受けたこの酒場は、街の憩いの場である。老朽化が進んだ店を建て替えると言った時、街の若者たちは皆彼女の為に力を貸してくれた。
「姐さん、食い物は皆地下に運んでおきますぜ!」
「あァ、頼むよ。大体どこに置いておいたかだけは教えておくれよ」
ガタイのいい男たちが、しまいこんであった食べ物や酒をエッサホイサと地下に運んでいく。空っぽになっていく店の中を眺めながら、女主人は感慨深げに息を吐いた。両親が切り盛りしていた酒場も、彼女の代になってかなり賑やかになった。これから新しく生まれ変わる店がまた皆に愛される場所になればいい――豪快な笑みを浮かべて、彼女は声を張り上げた。
「昼間の内にここを片付けちまったら、みんなで夕飯にするよ! 美味いもんが食いたきゃァ、さっさと片付けるこった!」
彼女の激励に、男たちは野太い歓声を上げた。そうと決まれば早々に荷物を片付けるだけである。両肩に食量の入った袋を抱え上げた若い衆は、薄暗い階段を下りてぞろぞろと地下へ向かっていく。
何かが崩れ落ちる物音が聞こえたのは、その時のことだった。
「あああ、姐さんっ!」
やや野太い悲鳴が、音から少し遅れて聞こえてきた。
「何があったんだい騒々しい……そこをお退きよ。見えないじゃないか」
、女主人は柳眉を寄せながら階段を下りていく。荷物を運ぶために一列に並んでいた男たちのうち何人かは、体の一部を押さえてうずくまっている。
「なんだいこりゃァ――」
一時的に倉庫として使用していた地下の広い空間は、無残に荒らされてしまっている。暗がりの中で何か動いた気配を感じた女主人は、手に持った灯りでそれを照らそうとした。
暗がりを照らす灯りの端に、なんだか見たことのない包みが転がっていた。あんな荷物、あの場所にはなかったはずだ。不審に思い女主人が一歩足を踏み出そうとした矢先、彼女の視界に何かが飛び込んでくる。
「あ、危ねぇ姐さん!」
咄嗟に男のうちの一人が彼女の手を引かなければ、一体どうなっていただろうか。
今まで彼女が立っていた正にその場所に飛んできたのは、丸い物体だ。否、丸いだけではない。立派なトゲが生えた、丸くて小さな生き物。
「ハ、ハリネズミ……?」
一匹二匹の話ではない。薄暗闇の中で幾数もの目が、ころころと転がりながらこちらを睨んでいた。
●
「……と、まあこのような依頼が届いております。その女主人さんが、店が立ち入り禁止になり酷くご立腹でして……えー、非常におっかな……いえ、気丈な方ではあったのですが……恐かったです……」
おどおどとしたハンターオフィス職員が、視線を彷徨わせながら依頼内容を読み上げた。依頼書を持つ手がどことなく震えているのは、気のせいではないだろう。なんでも店に立ち入ることが出来ないと、凄まじい剣幕で女主人にまくしたてられたらしい。
「そ、それでですね。依頼内容の詳細というのが、このハリネズミ型の雑魔の討伐ですね。えぇっと、正確な数は分かりませんが、小型とはいえ屋内での発生ということもありそう多くはないでしょう……依頼者様のお話によりますと、非常にすばしっこく動きが捉えにくいとのことでした。また、発生源はおそらくその……妙な小包らしいんです、はい……」
こほん、と咳払いを一つして、職員はなお話を続ける。
「また、この店の構造がですね、地下一階地上二階……ハリネズミがどこに出てきても、お、おかしくはないです」
ハンターオフィス職員は必要な情報を述べながらも、なお視線の位置が定まらない。
「それと、ど、どうやら回転攻撃が得意なようですね……針が飛んでくるとかの話も出ていますので、どうかお気を付けて――」
可哀想なほど顔を青くした職員は、深く頭を下げた。そして、何かを思い出したように付け加える。
「そ、それとですね。依頼者様から一点皆さんにご注意が――ひ、非常に恐ろしい勢いで、店の中だけは傷つけるなと、仰っておられました」
「姐さん、この荷物どこに置きましょう?」
古ぼけた荷物を持った男が尋ねる。強面だが頼れる右腕の男に、彼女は階段を指して指示を飛ばした。あの階段の向こう側、二階は彼女の私室や大部屋が存在している。使えるものはそちらに移動してしまおう。
「そうだねェ、私の物は二階に上げてくれて構わないが、デカくて要らないもんは全部処分しちまおうかね。使えそうなもんは地下にしまっておいておくれ」
店の用心棒も兼ねる若い男に指示を出しながら、女主人はまた水回りを磨き始めた。隠居した父から譲り受けたこの酒場は、街の憩いの場である。老朽化が進んだ店を建て替えると言った時、街の若者たちは皆彼女の為に力を貸してくれた。
「姐さん、食い物は皆地下に運んでおきますぜ!」
「あァ、頼むよ。大体どこに置いておいたかだけは教えておくれよ」
ガタイのいい男たちが、しまいこんであった食べ物や酒をエッサホイサと地下に運んでいく。空っぽになっていく店の中を眺めながら、女主人は感慨深げに息を吐いた。両親が切り盛りしていた酒場も、彼女の代になってかなり賑やかになった。これから新しく生まれ変わる店がまた皆に愛される場所になればいい――豪快な笑みを浮かべて、彼女は声を張り上げた。
「昼間の内にここを片付けちまったら、みんなで夕飯にするよ! 美味いもんが食いたきゃァ、さっさと片付けるこった!」
彼女の激励に、男たちは野太い歓声を上げた。そうと決まれば早々に荷物を片付けるだけである。両肩に食量の入った袋を抱え上げた若い衆は、薄暗い階段を下りてぞろぞろと地下へ向かっていく。
何かが崩れ落ちる物音が聞こえたのは、その時のことだった。
「あああ、姐さんっ!」
やや野太い悲鳴が、音から少し遅れて聞こえてきた。
「何があったんだい騒々しい……そこをお退きよ。見えないじゃないか」
、女主人は柳眉を寄せながら階段を下りていく。荷物を運ぶために一列に並んでいた男たちのうち何人かは、体の一部を押さえてうずくまっている。
「なんだいこりゃァ――」
一時的に倉庫として使用していた地下の広い空間は、無残に荒らされてしまっている。暗がりの中で何か動いた気配を感じた女主人は、手に持った灯りでそれを照らそうとした。
暗がりを照らす灯りの端に、なんだか見たことのない包みが転がっていた。あんな荷物、あの場所にはなかったはずだ。不審に思い女主人が一歩足を踏み出そうとした矢先、彼女の視界に何かが飛び込んでくる。
「あ、危ねぇ姐さん!」
咄嗟に男のうちの一人が彼女の手を引かなければ、一体どうなっていただろうか。
今まで彼女が立っていた正にその場所に飛んできたのは、丸い物体だ。否、丸いだけではない。立派なトゲが生えた、丸くて小さな生き物。
「ハ、ハリネズミ……?」
一匹二匹の話ではない。薄暗闇の中で幾数もの目が、ころころと転がりながらこちらを睨んでいた。
●
「……と、まあこのような依頼が届いております。その女主人さんが、店が立ち入り禁止になり酷くご立腹でして……えー、非常におっかな……いえ、気丈な方ではあったのですが……恐かったです……」
おどおどとしたハンターオフィス職員が、視線を彷徨わせながら依頼内容を読み上げた。依頼書を持つ手がどことなく震えているのは、気のせいではないだろう。なんでも店に立ち入ることが出来ないと、凄まじい剣幕で女主人にまくしたてられたらしい。
「そ、それでですね。依頼内容の詳細というのが、このハリネズミ型の雑魔の討伐ですね。えぇっと、正確な数は分かりませんが、小型とはいえ屋内での発生ということもありそう多くはないでしょう……依頼者様のお話によりますと、非常にすばしっこく動きが捉えにくいとのことでした。また、発生源はおそらくその……妙な小包らしいんです、はい……」
こほん、と咳払いを一つして、職員はなお話を続ける。
「また、この店の構造がですね、地下一階地上二階……ハリネズミがどこに出てきても、お、おかしくはないです」
ハンターオフィス職員は必要な情報を述べながらも、なお視線の位置が定まらない。
「それと、ど、どうやら回転攻撃が得意なようですね……針が飛んでくるとかの話も出ていますので、どうかお気を付けて――」
可哀想なほど顔を青くした職員は、深く頭を下げた。そして、何かを思い出したように付け加える。
「そ、それとですね。依頼者様から一点皆さんにご注意が――ひ、非常に恐ろしい勢いで、店の中だけは傷つけるなと、仰っておられました」
解説
・店に発生したハリネズミ型の雑魔を討伐するのが今回の依頼内容です。ハリネズミたちは、地下室にある謎の包みの影響で発生したようです。
・場所は店の地下倉庫。障害物はほとんどありませんが、暗くて狭いです。ハリネズミたちは小さくてすばしっこいため、捕まえるのに苦労するかもしれません。
・また、店の構造は地上二階、地下一階となっております。ハリネズミは店の外に出ることはありませんが、建物の中を階を問わず縦横無尽に駆け回っている様です。
・地上一階は酒場となっておりますが、改装途中だったため現在は大きなカウンターが一つあるのみとなっております。また、二階は女主人の私室と、旅人やハンター達の為に用意された雑魚寝用の大きな部屋があります。大部屋には荷物がほとんど置かれていませんが、女主人の部屋には彼女の私物が多く置かれているので、あまり大立ち回りは出来ないと思われます。同様に地下も不要なものをまとめておいてあるので、大きな荷物などがそこかしこに見られます。
・ハリネズミたちの数は多くて十五匹ほどです。ボールのように跳ねて移動したり、丸まって攻撃してきたりします。一匹の攻撃力はそれほど高くはありませんが、数が多いので注意してください。
・現在酒場は、一般人の立ち入りが全面禁止になっています。ハリネズミたちは店の外には出ないようなので、主人や店の若い衆も店内に入ってくることはありません。
・場所は店の地下倉庫。障害物はほとんどありませんが、暗くて狭いです。ハリネズミたちは小さくてすばしっこいため、捕まえるのに苦労するかもしれません。
・また、店の構造は地上二階、地下一階となっております。ハリネズミは店の外に出ることはありませんが、建物の中を階を問わず縦横無尽に駆け回っている様です。
・地上一階は酒場となっておりますが、改装途中だったため現在は大きなカウンターが一つあるのみとなっております。また、二階は女主人の私室と、旅人やハンター達の為に用意された雑魚寝用の大きな部屋があります。大部屋には荷物がほとんど置かれていませんが、女主人の部屋には彼女の私物が多く置かれているので、あまり大立ち回りは出来ないと思われます。同様に地下も不要なものをまとめておいてあるので、大きな荷物などがそこかしこに見られます。
・ハリネズミたちの数は多くて十五匹ほどです。ボールのように跳ねて移動したり、丸まって攻撃してきたりします。一匹の攻撃力はそれほど高くはありませんが、数が多いので注意してください。
・現在酒場は、一般人の立ち入りが全面禁止になっています。ハリネズミたちは店の外には出ないようなので、主人や店の若い衆も店内に入ってくることはありません。
マスターより
こんにちは、玖田です。
今回は雑魔を倒す戦闘シナリオとなっております。
ハリネズミはそんなに強くありませんが、数が多く店のどこにでも出没します。
その点に注意していただければ、大きな問題はないと思われます。
皆様のご参加をお待ちしております。
今回は雑魔を倒す戦闘シナリオとなっております。
ハリネズミはそんなに強くありませんが、数が多く店のどこにでも出没します。
その点に注意していただければ、大きな問題はないと思われます。
皆様のご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/30 01:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 フラヴィ・ボー(ka0698) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/11/22 12:10:48 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/18 01:52:07 |