ゲスト
(ka0000)
闇の中の糸
マスター:まれのぞみ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/01/25 09:00
- リプレイ完成予定
- 2018/02/03 09:00
オープニング
鐘の音がした。
村の中央にあり、村のシンボルである鐘楼がきょうも夕刻と――集いの終わりを告げる。
木でできた重い扉が開き、青ざめた顔をした村人たちが中から出てきた。
いずれの足取りも重く、まるで何か見えぬ糸に足を引っ張られているようにも見える。
それも故あってのこと。
「あの奇妙な病が――」
まるでうわごとにように、村人たちの声が震えている。
身体は、雪すら舞う風の冷気に震える。
教会の主が、身を寄り添いながら、各々の家に消えていく村人たちの背中を見送る。
やがて、村人たちがすべて去り、がらんとした。
目の色の消えたその男が、扉を閉めると、かすかに何かが動く音が天井からした。とたん、男は、まるで糸の切れた人形のように床の上に倒れていた。
●
風が冬の旋律を奏で、鐘が唄う。
夕べがきたのだという。
さきほど戸の開く音がして、帰宅を告げる夫の声がした。
そろそろ、暖炉のスープの具合を見てこよう。
夜は、硬いパンを、それにつけて食べればいいだろう。
それに、この子にも――
豊かな胸をした女の眼に、柔らかな笑みが浮かぶ。
駕籠に寝かせた、赤子の顔をのぞきこんだ、母の目はしかし、しだいに変わっていく。
胸騒ぎ――驚き……そして、なにより恐怖……――!?
はっとして異変に気がつくと、女は隣の部屋にいるはずの夫を必死に呼んでいた。
「あなた! ねぇ、あなた、来て!? 子供が、起きないの!? この子も眠りの病にかかってしまったみたいなの!?」
●
「話を要約してくれ」
ハンターズソサエティの一室で声がした。
「あい」
ぶかぶかの服をきた少女が、異世界の軍人のするように手を頭のあたりでそろえる。
「ある村の子供たちが、眠りについたまま起きないという事件が発生しているわけですね」
「それだったら医者の仕事ではないか?」
「ところが、薬師も医者も調べてみてもまるで原因が不明」
「ならば、あの船の連中ならばわかる類の流行病かな?」
「そちらの方面もすであたっていますが見当違いとのことです」
ふむ――なにを言いたいのかと、その鋭いまなざしが問う。
「まあ、直接の関係は不明なんですけどね、しばらく前、村のそばの森で蜘蛛みたいなヴォイドがあらわれて、ハンターを派遣したことがあるんですよ」
「倒したか?」
残滓による呪いの可能性かと聞く。
否――
「それが仕留め損じてしまいましてね、しかもそのまま化け物さんは、すたこらさっさ。そのまま、行方不明になったわけですね」
「行方知らずの手負いのヴォイドと、原因のわからぬ子供たちの眠り――か」
目に見えぬ糸を感じずにいられない誘いだ。
「いろいろと都合のいい話ですね」
さて、誰にとって都合のいいかと考えながら男は依頼書に裁定のサインをした。
うれしそうに書類を受け取ると、スキップをするように部屋を出て行く部下の背中に、一言。
「そういえば、いま思い出したのだが、その失敗した依頼を指揮したのは君ではなかったかな?」
●
(イタい、イタい――)
どこともしれぬ闇の中、化け物はうめく。
人間どもによってつけられた傷は深く、もはや己の能力の半分もだすことはできぬだろう。だが、幸い生き残ることはできた。
ならばその咎は、人間の血によって償われなくてはならぬ。
人であらざるモノの眼に、複雑な色がきらめく。
身体から生み出され、村中に張り巡らされた、人間の目には見えぬ糸からは、透明な液体がしたたり、それの傷と飢えを、幾らばかりでも満たしていく。
(この冬は、休み、力を取り戻そう――)
それは心に決める。
都合のいいことに、ここならば風雪も耐えるだろう。
飯に困ることもない。
ならば――
あたりの闇の中では、巨大な歯車が回る音がしていた。
壁越しに鐘の音がした――
村の中央にあり、村のシンボルである鐘楼がきょうも夕刻と――集いの終わりを告げる。
木でできた重い扉が開き、青ざめた顔をした村人たちが中から出てきた。
いずれの足取りも重く、まるで何か見えぬ糸に足を引っ張られているようにも見える。
それも故あってのこと。
「あの奇妙な病が――」
まるでうわごとにように、村人たちの声が震えている。
身体は、雪すら舞う風の冷気に震える。
教会の主が、身を寄り添いながら、各々の家に消えていく村人たちの背中を見送る。
やがて、村人たちがすべて去り、がらんとした。
目の色の消えたその男が、扉を閉めると、かすかに何かが動く音が天井からした。とたん、男は、まるで糸の切れた人形のように床の上に倒れていた。
●
風が冬の旋律を奏で、鐘が唄う。
夕べがきたのだという。
さきほど戸の開く音がして、帰宅を告げる夫の声がした。
そろそろ、暖炉のスープの具合を見てこよう。
夜は、硬いパンを、それにつけて食べればいいだろう。
それに、この子にも――
豊かな胸をした女の眼に、柔らかな笑みが浮かぶ。
駕籠に寝かせた、赤子の顔をのぞきこんだ、母の目はしかし、しだいに変わっていく。
胸騒ぎ――驚き……そして、なにより恐怖……――!?
はっとして異変に気がつくと、女は隣の部屋にいるはずの夫を必死に呼んでいた。
「あなた! ねぇ、あなた、来て!? 子供が、起きないの!? この子も眠りの病にかかってしまったみたいなの!?」
●
「話を要約してくれ」
ハンターズソサエティの一室で声がした。
「あい」
ぶかぶかの服をきた少女が、異世界の軍人のするように手を頭のあたりでそろえる。
「ある村の子供たちが、眠りについたまま起きないという事件が発生しているわけですね」
「それだったら医者の仕事ではないか?」
「ところが、薬師も医者も調べてみてもまるで原因が不明」
「ならば、あの船の連中ならばわかる類の流行病かな?」
「そちらの方面もすであたっていますが見当違いとのことです」
ふむ――なにを言いたいのかと、その鋭いまなざしが問う。
「まあ、直接の関係は不明なんですけどね、しばらく前、村のそばの森で蜘蛛みたいなヴォイドがあらわれて、ハンターを派遣したことがあるんですよ」
「倒したか?」
残滓による呪いの可能性かと聞く。
否――
「それが仕留め損じてしまいましてね、しかもそのまま化け物さんは、すたこらさっさ。そのまま、行方不明になったわけですね」
「行方知らずの手負いのヴォイドと、原因のわからぬ子供たちの眠り――か」
目に見えぬ糸を感じずにいられない誘いだ。
「いろいろと都合のいい話ですね」
さて、誰にとって都合のいいかと考えながら男は依頼書に裁定のサインをした。
うれしそうに書類を受け取ると、スキップをするように部屋を出て行く部下の背中に、一言。
「そういえば、いま思い出したのだが、その失敗した依頼を指揮したのは君ではなかったかな?」
●
(イタい、イタい――)
どこともしれぬ闇の中、化け物はうめく。
人間どもによってつけられた傷は深く、もはや己の能力の半分もだすことはできぬだろう。だが、幸い生き残ることはできた。
ならばその咎は、人間の血によって償われなくてはならぬ。
人であらざるモノの眼に、複雑な色がきらめく。
身体から生み出され、村中に張り巡らされた、人間の目には見えぬ糸からは、透明な液体がしたたり、それの傷と飢えを、幾らばかりでも満たしていく。
(この冬は、休み、力を取り戻そう――)
それは心に決める。
都合のいいことに、ここならば風雪も耐えるだろう。
飯に困ることもない。
ならば――
あたりの闇の中では、巨大な歯車が回る音がしていた。
壁越しに鐘の音がした――
解説
村に潜むヴォイドを探し出して退治してこいというシンプルなシナリオとなります。
なお、森での戦いの記録については、蜘蛛の見た目は大きな牛ほどのサイズだが、見た目とは違って俊敏に動き――だから逃亡を許したわけですが――糸をよく使い、子蜘蛛も兵隊のように使ったとあります。また、森の中で、目に見えないようなか細い糸をさまざまに張り巡らせて、さまざまなトラップを仕掛けていたようです。報告書には「まるでトラップを使いこなすゲリラの名人と森の中で戦っていたようだった」という記載もあります。
なお、森での戦いの記録については、蜘蛛の見た目は大きな牛ほどのサイズだが、見た目とは違って俊敏に動き――だから逃亡を許したわけですが――糸をよく使い、子蜘蛛も兵隊のように使ったとあります。また、森の中で、目に見えないようなか細い糸をさまざまに張り巡らせて、さまざまなトラップを仕掛けていたようです。報告書には「まるでトラップを使いこなすゲリラの名人と森の中で戦っていたようだった」という記載もあります。
マスターより
シンプルな戦闘シナリオとなっております。
手負いの化物を退治するシナリオですが、手負いであるからこそお気をつけください。
手負いの化物を退治するシナリオですが、手負いであるからこそお気をつけください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/02/03 03:02
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/01/21 10:58:59 |
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【相談卓】かくれんぼ 白樺(ka4596) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/01/25 21:08:11 |