このクリムゾンウェストには、異世界とのつながりが強い場所がある。
　中でも特に地脈に恵まれ、豊富なマテリアルで魔法的な儀式を施した場所には、“世界と世界をつなぐ門”が存在した。
「我々はこれを“ゲート”と呼んでおる。これまでの調査で、世界にはいくつかのゲートが存在する事が判明したのじゃ」
　北方王国リグ・サンガマの青龍に力を借り、ハンターズソサエティは世界各地に散らばるゲートにあたりをつけた。
　大渓谷、暗黒海域、竜の巣、憤怒本陣……。
　この四か所に本当にゲートが存在するのか。そして歪虚に制圧され“ヴォイドゲート”となっていないか。
　龍奏作戦で異世界の歪虚の攻撃を受けたソサエティが次に目標に掲げたのは、このゲートの探索であった。
「どの場所も人類が長年足を踏み入れておらぬ、未踏の地。どのような危険が待っておるかもわからぬのじゃ。くれぐれも注意して、ゲートの探索に当たってほしい！」


　ゲート探索作戦には、北方王国リグ・サンガマも参戦するという。
　未だ“星の傷跡”に強欲王メイルストロムの半身を抱えた龍の国は、正式にはクリムゾンウェスト連合軍に参加していない。
　西方諸国ないし東方との国交は正常に繋がっておらず、彼らは静かな孤独を保っていた。
「僕ら北方人は、人間が持つ闇……野蛮な愚かしさを排除したいと考えている。祈りと静寂がお国柄なんだ。他国との関わりに慎重になる者も多いし、青龍様はそれを尊重してくださっている」
　北方とハンターズソサエティを結ぶのは、北の大神官であるアズラエル・ドラゴネッティ。
　ソサエティ総長ナディアの兄である彼は、未だ孤立する北方とソサエティを結ぶ貴重なコネクションだ。
「とはいえ、君たちの戦いに加勢する事が、結局は龍の安寧に繋がる。世界の守護は青龍様の使命でもあるしね。ゲート探索戦には、我々も協力するつもりだ。まあ、リザードマン隊やワイバーン隊を送り込んで協調できるのは、結局ハンターくらいだろうけどね」
　男はそう言って笑い、肩をすくめる。
「代わりにと言っては何だけど、僕らも君たちに依頼をしたい。北の守りのことだ」
　北方の戦力は現状維持が精一杯で、ハンターらが介入するまで北の戦況は芳しくなかった。
　各地のゲート探索戦に兵力を派遣したり、様々な調査に人手を取られれば、当然北の守りは薄くなる。
「知っての通り、未だ強欲王は健在だ。奴の目覚めを遠ざける為に、僕らは引き続き封印を続ける必要がある。強欲の眷属は、それを邪魔しようと活動を再開しているんだ」
　北の戦いは完全に決着したわけではない。
　主力部隊を失ったとはいえ、強欲の眷属もまだ残っている。彼らは機を見て、再び攻め込んでくるだろう。
「君たちには引き続き、強欲との戦いに参加してほしいんだ。勿論、報酬は支払うよ。特に“龍鉱石”は、まだまだ必要だろう？」
　新エネルギー資源である龍鉱石は、これからのハンターの戦いを支える鍵だ。
　西方世界のテクノロジーを発展させる起爆剤にもなるだろうそれは、今のところ北方でしか確認されていない。
「ほら、あちこちの汚染領域に攻めこむにはイニシャライザーが必要だろう？　あれの原材料としても龍鉱石が必要なんだ」
　龍鉱石は、力ある龍がその生命を終えた時、“世界”へ還る事を拒んで残されるもの。
　つまりは龍の意志、そして命そのものだ。消費を躊躇う者もいる。しかし、アズラエルは首を横に振る。
「なに、遠慮はいらない。彼らもまだまだ戦いたいんだ。だから残った……そうだろう？　ほうっておかれたら、いつか自然に還るか歪虚に食われるか、だ。それなら、“迎えに行って”やってほしいんだ。彼らの命を、未来へ繋ぐ為にね」
　龍奏作戦で、龍たちから託された“世界の守護者”としての使命。
　それを成し遂げる為に、きっと龍たちも力を貸したいのだと、アズラエルは考える。
「邪魔な強欲を蹴散らし、龍鉱石を回収してほしい。なに、君たちならば楽勝だろう？　これから世界を救う、英雄たちなのだからね」
　片目を瞑り挑発的に放たれた言葉にハンターは頷く。
　戦場まで送り届けるという青のワイバーンの背に乗り、ハンターらは凍える空へと飛び立つのであった。

※当シナリオはハントシステムとなります。ＧＭによるリプレイの執筆は行われません。
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