「なんだなんだぁ！？　海中に何か……でっけぇのがいるぞォ！！」
　船を大きく揺らす荒波は、自然に発生したものではない。
　海中をうごめく巨大な影を感じ取れたのは、熟達の海の男たちではなく、覚醒者であるハンター達が先だった。
　迸る負のマテリアルは目視できずとも巨大な敵の存在を強く訴えかけている。
　船を取り囲むように噴き出した無数の水柱から出現したのは、得体の知れない巨大な触手たちだ。
　それらは船を捉えようと襲い掛かり、絡みついてくる。
「くそっ、すげえ力だ……船が持たねぇ！　なんとかしてくれ！」
　ハンターが触手に攻撃すると、船にかかる負担が和らぐ。だが、そう長くは持たないだろう。
「聖ナル門、奪ッタ怪物……！」
「ウウ……ヨンデル……オレタチヲ……！」
　突然、魚人族の様子がおかしくなる。その影響は船乗りたちにも及んでいるようだ。
　海中から聞こえてくるのは“声”だろうか？　意識の外側から、肉体を操作しようとする声……。
　この感覚を覚えているハンターもいるだろう。そう、これは狂気の浸食だ。
　暗黒海域に住まう魚人や人魚を歪虚へと変え、船乗りを海に引きずり込む狂気の呼び声である。
「くそ、早くなんとかしてくれ！　このままじゃまともに舵も切れねぇ！」
　この状況下で動けるのは覚醒者であるハンターだけ。
　戦闘が長引けば、船乗りや魚人族の精神がもたないだろう。
　海中に飛び込めば敵の思う壺。今は船に取りついた触手を攻撃し、ダメージを与えるしかないのだ……！

※当シナリオはハントシステムとなります。ＧＭによるリプレイの執筆は行われません。
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