ヴォイドゲート攻略戦、蒼乱作戦。その裏側で、ゾンネンシュトラール帝国には暗雲が立ち込めていた。
　帝国が抱える広大な森林地帯に築かれた森の都、エルフハイム。
　森都と帝国の遺恨は遥か根深く、建国の時にまで遡る。それ以来両者は小競り合いを繰り返しながらも、不可侵条約により分かたれ共存の道を歩んでいる筈だった。
「帝国と森都、双方の不信感を煽る事で、互いを争わせようとしている者がいます」
　タングラム（kz0016）はそう言ってこれまでに報告されている事例を読み上げる。
「頻発する森都への襲撃、そして帝国の村や町での子供の誘拐事件。これが仲違いの原因です。双方の不理解を利用した策であると言えます」
　状況は複雑で、戦場は多岐にわたる。そして、帝国軍が動く事は森都の誤解を招く致命的な失態になりかねない。
「故に、各地の事件にはハンターの力が要求されているです。私たちだけが中立者として動き、双方を牽制できます」
　今回の事件には帝国やエルフハイムだけではなく、歪虚の関与も疑われている。
　であるならば、これは三つの勢力の情報戦となるだろう。
「エルフハイムは否定するでしょうが、これはエルフハイムが始めた戦いです。故に、これ以上の被害を防ぐため、まずはエルフの動きを封じましょう」
　帝国各地で起きている子供の誘拐・失踪事件。そして人間を襲うエルフたち……。
「襲撃者を撃破し、彼らの所属を明らかにする証拠品を回収してください」
　証拠品を集めれば、もしかしたらこの戦いを対話で終了できるかもしれない。
　何よりも今は、各地で多発する事件への対応が必要であった。

　――その村に現れたのは、黒衣の暗殺者達。
　フード付きの外套を纏い、夜の闇に紛れて人々を襲う。そして村の子供たちを誘拐していくのだ。
　彼らは人々の寝込みを襲い、一方的に刃を血で染めていく。
　何の諍いも抱えず、帝国軍の駐屯しない村の人々が虐殺に抵抗する事は不可能である。
　故に、ターゲットになりそうな村にはハンターを潜ませておく。それがソサエティの対策であった。
　本来であれば一方的に蹂躙されるだけであったこの村の運命は変わった。襲撃者たちは得物を構え、たちはだかるハンターを睨みつける。
　しかし、村に現れたのはエルフだけではない。
　帝国軍の格好に偽装した歪虚らは、機械化されたゾンビ――帝国では剣機と呼ばれるモノたちだ。
　それらが同時に現れるという事は、エルフと歪虚が内通している事実を示唆しているという証拠であった。
　まずは村を守り、そして可能であれば目の前の証拠を回収する。それがこの戦いの目的である――。

※当シナリオはハントシステムとなります。ＧＭによるリプレイの執筆は行われません。
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