• 反影

【反影】黒蜥蜴ダンジョン攻略隊

マスター:馬車猪

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
3日
締切
2018/04/19 19:00
完成日
2018/04/25 06:11

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●迷宮世界
 無限の瘴気が噴き出す大迷宮。
 滅びに瀕した世界を救うため、20を超える大国が精鋭を送り出した。
 そして今。
 たった5人の生き残りが迷宮最下層に辿り着いた。
「大きい、な」
 黄金竜がこちらを見ている。
 輝く鱗には傷一つ無く、その巨体からは圧倒されるほどの生気を感じる。
 ひび割れた剣、ぼろぼろの鎧、疲れ果てた体しか残っていない5人に勝ち目などない。
「それでも」
 諦められる訳がない。
 5人の男女が覚悟を決めて一歩を踏み出す丁度そのタイミングで、背後の階段から何かが降りてきた。
『ハンター……じゃねェのか』
 黒いドラゴンだ。
 黄金竜よりずっと小さい。
 鱗はひび割れだらけで片足を引きずっている。
 外見は迷宮中層のモブでしかないのに、肌が粟立ち息が苦しくなるほどに、怖い。
『やる気がねェなら見物してろ』
 黒竜が歩き出す。
 慌てる5人の間をするりと避けて、見上げるほど大きな黄金竜へ近づく。
『何者だ』
 黄金竜が身を起こす。
 瘴気が押し寄せ5人の苦鳴が響く中、災厄の十三魔と呼ばれた竜が好戦的な笑みを浮かべる。
『食いに来た』
 黒竜が加速する。
 黄金竜が吼え、瘴気……負のマテリアルで出来た炎が襲いかかる。
『ハンター個人の術より弱いとはな』
 ブレスの薄い箇所を見つけて頭から飛び込む。
 少し焼けるが致命傷には遠い。
 止めのつもりの金爪を蹴りつけ宙で向きを変え、ハンターと比べると無防備も同然の喉に食いついた。

●クリムゾンウェスト
 ハンターズソサエティーから派遣された偵察班が、緊張からくる汗を流していた。
 見張っているのは異界の入り口だ。
 中には強力な歪虚が潜んでいて、滅んだ世界の断片に滅びの1日を繰り返させることでマテリアルを搾り取っているはずだった。
「シェオル型歪虚の集団が入り口と接触します。大型中心、数は20……23」
 黒い歪虚達が唐突に消えた。
「歪虚全ての消滅を確認」
『異界の入り口は』
「えぐい気配がびんびん来てます」
『健在のようですね。安全第一で偵察を継続して下さい。……もしもし?』
「シェオル型の別集団が接近中。念のため一旦距離をとります」
 通信を切って移動する。
 ソードオブジェクトから出現後放置されたらしいムカデ型のシェオル・ブリッツが、馬並みの速さで無人の土地を走る。
「異界は24時間で巻き戻しらしいけど」
 軍用の腕時計で時刻を確認する。
 最初にシェオル型の侵入を確認してからそろそろ24時間だ。
 異界が巻き戻されると同時に侵入者は元の場所に戻されるはずなのだが、入り口に全く変化がない。
「ブリッツの群れが入り口で消えました。……24時間経過を確認」
 録音を続けながら通信を再開すると、先程までとは打って変わって焦った声が聞こえた。
『無事ですか!』
「あ、はい」
『竜型歪虚ガルドブルムがその付近に潜伏している可能性があります』
「えっ? あれって人類に味方したのでは」
『同じ歪虚にも噛みつく戦好きです! あなた結構強いんですから襲われて殺されますよ』
「りょ、了解です」
 ぺこぺこ頭を下げながら視線を動かすと、また別のシェオル型が近づいてきていた。

●破綻したループ
 喉を押さえた黄金竜は、ブレスを豪雨の如く連発して黒竜の接近を防ごうとする。
 金の鱗が地面に吐き捨てられた。
 ガルドブルムは口内の血と肉を飲み下し、呆れたように鼻を鳴らす。
「少しは鍛えろよ」
 同じ竜種とは思いたくないほどに弱い。
 ブレスにしてもサルバトーレ・ロッソほどの威力もなくハンターほどの技量もない。
 体も緩んでいて躱す動きも防ぐ動きも鈍すぎる。
『不味ィマテリアルだ』
 息を吸う。
 ダイダロスとの戦闘ですり減った負マテリアルを集め、ハンターの術を参考に集束する。
『とっとと潰れて外に出せ』
 青白い光の束が黄金竜の眉間へ迫る。
 鱗が消し飛び頭蓋が焼かれた時点で異界の主としての力が発動。
 しかし核である黄金竜が傷ついていたため、巻き戻しは不完全であった。
『ホゥ』
 黒竜がにやりとする。
 ここは迷宮の地下1階。
 見慣れたシェオル型歪虚が、どこにも繋がっていないはずの階段から降りてくるところだった。
 4つ足の大型歪虚群が魔法弾の豪雨を発生させる。
 ムカデ型の歪虚が地下1階に到達した後、飛ぶような速度で突っ込んでくる。
 複雑な地形を活かして忍び寄る小型の4つ足も見た目より歯ごたえがありそうだ。
『無関係の雑魚を巻き込んだか。頭を使える竜で安心したぞ!』
 翼を広げ馬鹿馬鹿しいほど広大な階層を飛び回る。
『ここかァ!』
 表面だけ古びた扉を破壊し地下2階への階段を下る。
 今度こそ、不出来な同属を食らいクリムゾンウェストへ戻るつもりだった。

●攻略隊
「異界を破壊する必要はありません。情報を持ち帰ることを優先して下さい」
 転送装置の前で、オフィス職員が真剣な顔で説明を終えた。
 装置が稼働を開始する。
 行く先は最前線。
 その近くの異界が目標だ。
 最悪の場合、高位歪虚2体を相手にする必要が有る。

リプレイ本文

●ラストダンジョン
 圧倒的な質量差によりエルフが無残に砕け散る。
 そう確信したまま、シェオル型十数体が微塵に切り刻まれた。
「これは……相当面倒な事になったわね」
 二十歳前後に見えるエルフが冷たくつぶやいた。
 細い体に蓄えられたマテリアルは膨大で、青白い雷を思わせるオーラとなって白い肌を彩っている。
 タンクの群れが無数の魔法弾を放つ。
 消滅したシェオル型と同数のブリッツがユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)1人を狙って押し寄せる。
 ユーリよりも速く、ユーリよりずっと動きが雑だった。
「高位歪虚は2つ。異界の主である歪虚と、ガルドブルム」
 わずかな安全圏を見抜いて平然と歩く。
 シェオル型の群れはユーリに触れることもできずその周囲を巡ることしかできない。
 身の丈を超えるサイズの刀身が青い光を纏う。
 緩やかにも見える予備動作から、暴風の如き威力と雷を思わせる速度で白銀の刃が黒へ突き刺さる。
 ムカデ型の頭部が回転しながら飛ぶ。
 歪みきった甲虫の重装甲が綺麗に切断されて中身がこぼれる。
 技と知性すら保った4足のノドが1回打ち合うこともできず止めを刺された。
「まぁ、高位の歪虚達が割と自由気ままに動いてるのは今更な感じもするけど」
 CAM複数機が援護もせずに駆けている。
 目指すのは分厚い扉が砕かれたままの、下に通じる巨人サイズの階段。
 見捨てられた訳ではない。
 この程度、ユーリ1人で対処可能と分かっている故の行動だ。
「一先ずやる事はここの元凶を潰す事ね」
 人間が通った痕跡のある、人間サイズの下り階段に向かって走り出す。
 タンクの群れが膨大な数の魔法弾を撃ち出すが既にこの階層にユーリの姿はない。
 ユーリが階段を駆け下る。
 ノドが階段に殺到して入り口で詰まり、数体が圧殺され薄れて消えていく。
「右、右、20メートル直進した所にある落とし途中に下り階段なのじゃ!」
 トランシーバーからの声に従い階段を降りきると、神殿を思わせる迷路が姿を現す。
「ぬっ、ゴブリンかや」
 鋼糸が宙を走る音と血が噴出する音が数度繰り返されていた。
「別世界じゃのー」
 先行し情報を送ってくる星輝 Amhran(ka0724)は落ち着き払っている。
「また行き止まりか」
 錆びた鉄格子が上がりオーガ風の歪虚が突っ込んでくる。
 上がった鉄格子は3つでオーガは9。
 支援を優先した装備の星輝では、負けはしないが消耗を強いられる相手だ。
「ふむ、竜の彫像、金箔が剥がされたあとから見て金竜モチーフかの」
 幻を司る精霊の力を顕現させる。
 オーガは視界内にいるはずの星輝をほとんど認識できなくなり、紛れ当たり狙いの攻撃を無意味に繰り返す。
 星輝は豪華な広間から迷宮についての情報を拾い上げ、術が切れる前に三叉路へ戻って別の道を試す。
「古いの」
 真新しい壊れたピッケルを見つけて観察する。
 鉄の質が低く形も素人じみている。
 200百年前なら最新式だったのしれないが、今なら売り物にならないほど質が低い。
「追い詰められて技術力と生産力が下がった世界かのー」
 落とし穴に見える穴の垂直の壁を、道具も使わずするすると降りる。
 底には途中で切断されたロープが血にまみれて転がっていた。
「1時間というところか」
 形の良い鼻を微かに動かし軽くうなずく。
 後続の皆にルートを伝え、横に小さく開いた穴を通って奥へと進む。
 それからいくつ階段を下っただろうか。
 さすがに一息入れたくなって来た頃で、濃い血の臭いと剣と剣を打ち合わせる音が聞こえてきた。
『諦めるな!』
『何を諦めるなって言うのよ。もう全部終わっ』
 剣が胸を刺し肺が血で満たされ声が濁る。
「精霊の加護が効いているのは不幸中の幸いか」
 星輝がこっそり顔を出すと、ベースキャンプを守る集団が武装スケルトンの群れに攻め立てられているのが見えた。
 後方から足音が聞こえる。
 星輝に正解の進路を教えられた分効率よく動けたユーリと黒の夢(ka0187)が追いついてきたのだ。
「どうする?」
 1人だけなら気づかれずに突破可能だが、他のメンバーがいるなら別の手が打てる。
「5つ減らすのな」
 金の鐘が美しくも禍々しく鳴って、5本のマジックアローが武装スケルトンを貫き打ち倒す。
 ハンター3人に気づいた歪虚が振り返る。
 血でまみれた刃を大きく振りかぶり、息も絶え絶えな人間を無視して黒の夢へ突進。
 ユーリが迎撃しても数がとにかく多く、2つの軽装スケルトンがダガーを構えて黒の夢へ突きかかった。
 黒の夢は、幼子の駄駄を見る目をしていた。
 半歩横に動くだけで鋭利な刃を回避。
 薄手のグローブで覆われた拳で反撃を浴びせさえする。
 スケルトン2体の反撃が始まる。
 薄い防御しかない黒の夢に当たれば浅くないダメージになっただろうが、そもそも当たらないので意味が無い。
 残るスケルトンを片づけたユーリと星輝が背後から襲い、最後の2体があっさりと片づけられた。
 生き延びたはずの男女は、力尽きたように座り込んでいた。
 誰もが一国を代表する精鋭であり、負のマテリアルで再現さた今も十分に強い。
 だが既に母国がないことに気づいても耐えられるほどには強くなかった。
『放っておいてくれ』
 そこはに敵意も反感も無く、折れた心だけがあった。
 黒の夢が静かに近づく。
 同胞の遺体も目を閉じさせた男が、何の感情もない目で黒の夢を見る。
「既に夢となってしまった生命であっても、我輩は汝達と一緒に帰るわ」
 虚ろな目に微かな敵意が灯る。
 石弩を構えようとした女を手で制し、立ち去れと目だけで主張する。
 狙い通り、気力が最低限回復したようだ。
「迷宮の主……」
「たぶん金ぴか竜じゃ」
「金竜は我輩達が倒すのな。だから」
 生者である自分を恨み妬み呪ってもいいから、どうか今だけは導いて欲しい。
 回避のそぶりも見せずに乞う黒の夢に、歪虚に分類されてしまう男が奥歯を噛みしめ重い息を吐く。
『あの通路の先にいるはずだ』
 幼少時からの鍛錬の跡が見える指で、他の通路と見分けのつかない通路を示す。
「ありがとう」
 黒の夢が、静かに頭を下げた。

●ショートカット
 階段は一段で成人男性の背丈ほどもある。
 最も狭い通路でもCAMが複数並んで通れるそこは、迷宮の最深部への直通路だ。
 広い故に大型の歪虚が配置されている。
 銀色の竜も、赤い蛇竜も、最精鋭の攻略者でも犠牲を覚悟するしかない強敵のはずだった。
「キララ姉さまからも応答なし」
 Uisca Amhran(ka0754)の声から、微量の気落ちが感じられる。
 主がそうしている間も白のワイバーンは安定した飛行を続け、一度上の階に上がってから2階層を貫く斜め下向き通路を通過した。
『お』
「また後で」
 ガルドブルムが振り返る前に巨大広間を行き過ぎる。
 しぎゃぁ、という知性を感じさせない威嚇音とガルドブルムの怒鳴り声が混じって聞こえてすぐに威嚇音だけ聞こえなくなった。
「もしもし」
 同じ入り口を選んだメンバーへ魔導スマートフォンで通話を試みる。
 前回と比べて雑音が酷い。
 つまり、敵の本陣が近いということだ。
 ガルドブルム発見の情報と、ここが正解らしいという情報をなんとか伝えてから飛行に集中する。
 ある程度節約はしてきたが飛翔の翼が残り少ない。
 次に戦うときは、ワイバーンから降りて戦うことになるかもしれない。
「追いつかれましたか」
 イスカの頭上70メートルの地点で、ヴァルナ=エリゴス(ka2651)が魔剣を鞘から引き抜いた。
 光の属性のマテリアルと火の属性のマテリアルが刃を取り巻き拮抗する。
 時に柄から手に侵食しようとするそれを見事に御した上で、突進してきたムカデ型ブリッツを躱しながら切り捨てる。
「CAM班は……まあ、この程度で倒される人達ではありませんね」
 高速で背後に回り込まれても後ろが見えているかのように回避。
 淡々とムカデ型の歪虚を破壊し第一波を全滅させる。
 休憩を終えたワイバーンの背中に登り、魔剣を収めて代わりにマッピングセットを取り出した。
「ここがこうですから」
 方眼紙上の情報を三次元の迷路に脳内で翻訳する。
「あら」
 方眼紙をしまう。
 温存していた飛翔の翼を使わせた上で曲がり角の向こうへ加速する。計算が正しければそこに首があるはずだ。
 自身のマテリアルを魔剣に注ぎ込む。
 光と炎がますます強まり、太陽を思わせる熱と光が刃へ宿る。
 ヴァルナは両手で構えて得物内のマテリアルを切っ先から解放する。
 光と炎が真っ直ぐに伸び、黒い竜鱗を焼いて大きくひび割れさせた。
『元気そうだな』
 災厄の十三魔が口を開く。
 首を噛みつかれていた銀竜が這這の体で距離をとる。
 黒竜は喉の一部まで焼かれて非常に痛そうで、それ以上に機嫌が良さそうだ。
「あなたほどではありません。ところで、最近各地で埋まったり、迷子になるのがマイブームなんでしょうか?」
『俺の失敗だ。罠をしかけてもいいんだぞ?』
 白い牙がきらりと光る。
 尻尾が体ごと大きく振るわれ、ブレスで奇襲しようとした銀竜の顎を跳ね上げた。
「そこまで暇ではありません」
 挑発の意図無く言い切る。
「ここについて何か知っているなら教えてくれませんか?」
『人間が歪虚に聞くのかよ』
「はい。反応を見えれば分かります」
 黒竜の性格は以前と変わらない。
 戦いとその手段を求める性格と異界の性質を組み合わせると、容易に推測できた。
『言ってみろ』
 尻尾だけで銀竜を追い詰め、熱の籠もった視線を向ける。
「マテリアルの横取りと強敵がいれば戦闘。……いつもそれですよね?」
『ああ』
 にやりと笑って一切の容赦なく高収束ブレスを放った。
 一定以上の練度があるなら範囲攻撃でも連続攻撃でもない一撃を食らうことはほとんどない。
 ワイバーン【シエル】は難なく避けて、ヴァルナの指示に従い迷宮の最奥を目指す。
 そのタイミングで銀竜が決死の反撃を仕掛ける。
 止めを刺しはしたがヴァルナがどこに行ったか見逃してしまった。
『チッ、雑魚の分際で邪魔を』
 この異界の主をハンターが討てばガルドブルムの勝利はなくなる。
 シエルとその主は戦略的勝利のため先を急ぐのだった。

●巨人と私
 剣1本に予備の拳銃しか装備していないオファニムが、超巨大生物の内臓じみた通路を行く。
 崖の前で立ち止まる。
 強烈な酸が立ち上り、HMDに表面塗装への軽微なダメージが表示された。
「話には聞いていたが」
 ここは異界だ。
 歪虚に滅ぼされた世界の一部であり、立方キロメートル単位のものすらあるとう。
「非常識な規模だ。歪虚が全て自由に操れる訳ではないのは不幸中の幸いか」
 死角から迫っているつもりだったスライム……粘液状の馬サイズ歪虚に銃弾を浴びせて処理をする。
 改めて安全を確認した上でフライトパックを始動。
 不気味な上昇気流に気をつけながら酸の谷を越える途中で、崖の途中に引っかかった人影に気づいた。
「やれやれだ」
 見捨てても非難はされない。
 彼等は人の心を持っていたとしても歪虚であり、クリムゾンウェストには歪虚によってもたらされた被害が無数に存在するからだ。
「掴まれ。……無理ならじっとしてろ。安全な場所まで運ぶ」
 重武装の歪虚人間をオファニムの両の掌で抱え、可能な限り静かに浮上する。
 谷から離れて地面に下ろし、溶けかけのマントや兜を外すと幼さの残る顔が現れた。
 感謝と不審が4:6で、手元の剣を離そうとはしない。
「敵意はない」
 ソレル・ユークレース(ka1693)が機体から降りる。
 生身でも強いとはいえ、限界近くまで調整した高性能機と比べると戦力は低い。
「ここのボスを潰すつもりだ。道順やこの場所の特性……というか何だ、どんな物があったかとかも聞けるかね?」
 少年にも青年にも見える歪虚人間が、一瞬泣きそうな顔になる。
『強敵ばかりの……』
 破壊されたスライムの痕跡を見て目を見張る。
 隊で戦っても戦死者が出かねない敵なのに、目の前に立つ巨人は傷一つ無い。
『敵がいる、迷宮だ』
 罠についても知っている全てを口にする。
 ソレルは何度もうなずきながら、トランシーバーを取り出し通信圏内にいるメンバーへ伝達した。
「一緒に来るか?」
 かつて人類の希望の一人だった男が、力なく首を振る。
『足手まといになるだけだ』
 彼は己の現状に気づいている。
 故郷がどうなったかも推測できている。
 もう、戦う気力は残っていなかった。
「そうか」
 この相手を慰められるような都合のよい言葉はない。
 ソレルはコクピットに戻り、最深部への道を探して進み始めた。

●因縁
「しぃ」
 エクスシアが限界以上の力を引き出される。
 ブースターで無理矢理飛んでいるはずなのに地上並に滑らかかつ繊細な動きで、壮絶な重量の斧を軽々振り上げる。
「ねぇ!」
 その殺意は黒竜を驚愕させるほど強烈かつ膨大だ。
 生存本能に突き動かされ横へ飛ぶ。
 土が剥き出しの床で泥まみれになりつつ回避と受け身を実行。
 好機と見て突進してきたシェオル・タンクを3体まとめて尻尾で打ち倒す。
『気配に覚えはあるが』
 黒竜の目に困惑が浮かぶ。
 肉親を無残に殺された上で心が折れなければあり得るかも、という質と量の殺意であった。
『俺が何かしたか? アァ、お前等が殺そうとするのは』
 黒竜の言葉が怒声でかき消された。
「よりにもよってそれを!」
 星野 ハナ(ka5852)の瞳が深淵を思わせる蒼に光る。
 命を削って注がれる力が、エクスシアのパーツ全てを限界まで酷使する。
 ただの斬撃を黒竜が脅威を感じる一撃に押し上げた。
「アンタが、聞きますかぁっ!」
 竜が大きく後ろへ跳び難を逃れる。
 逃げ腰とすら見える姿勢から、CAM単機に向けるには過剰すぎる円錐形ブレスを発射した。
「おらぁっ」
 怒っていてもハナの判断はいつも以上に冷静だ。
 半死半生の巨大赤蛇で盾にしつつマテリアルカーテンを展開。
 その上で巨大斧で受けてダメージを最小限にする。
「アンタのせいで乙女の尊厳が瀕死寸前ですぅ! 絶対ミンチにしてやりますぅ!」
 人機一体の連続使用で顔色が酷いが闘志は益々燃えさかる。
 その態度が本音であると同時にフェイントであることに、ガルドブルムは次の瞬間まで気づけなかった。
 首への衝撃の直後、紫月・海斗(ka0788)の陽気な声が耳に届く。
「ひーさしぶりー!」
 ヴァルナの一撃を浴びた場所の至近に当たった。
 威力が数割増しあるか、部位狙いが正確に出来ていたら、この時点で勝負がついていたはずだ。
『お前か!』
「そうだよ俺だよ俺」
 紫のエクスシアが複数の大型スラスターを吹かす。
 連続攻撃でもない、ただ鋭く重いだけの爪撃が空を切る。
「旦那がこっちについたってなマジかよ。オジサンが迷子になってる間に面白ぇ事になってんな!」
 重機関銃が大量の弾をまき散らす。
 全力で走り回る装甲車を破壊できるはずの威力と精度があっても黒竜の動きに追いつけない。
『味方? アァなら武器を置いて出迎えたらどうだ』
 海斗がこっそり入って来た通路から、黒々としたシェオル型が現れる。
 真っ直ぐに突っ込んできたシェオル・ブリッツ群をを尻尾で蹴散らしながらでは、エクスシア【月海】に届く攻撃を繰り出せない。
 ぷふっ、と海斗が噴き出す音がスピーカから響く。
「いやぁ、ほら、お互い愉しく殺し合う仲だったのが味方になったってもそうそう本質は変わらないじゃん?」
 タンクの群れまで現れた。
 角からの魔法弾連射を防ぐほどには月海の回避能力は高くない。
 10秒あたり10近く被弾するものの、全て剣で受けダメージを軽減。もともと頑丈なエクスシアにとってはかすり傷にしかならない。
「ほら、首獲るって宣言しちゃってるし?」
 ガルドブルムの意識がハナを向いた瞬間攻勢をかける。
 躱されはしたものの、黒い翼の付け根にねっとりとした体液が滲むのが見えた。
「相変わらずボロボロで大丈夫? 油断してない?」
『そっちこそ油断してねェか? 単独で俺をやれるほど強くねェだろうが』
 ハナのR7が絶対殺すという意味のハンドサインをした後、迷宮最下層に続く通路へ消えた。
 最下層で罠を張って確実に仕留めるつもりなのかもしれない。
「はっはっは……やべぇ」
『案外長い付き合いだったな!』
 黒竜が大きく息を吸う。
 生命の危機を感じたシェオル型が集中攻撃するが空も飛べず遠くまで届く刃を持たない彼等では足止めもできない。
 にやりと笑って白いブレスを解放する丁度1秒前、月海が大きく跳んでシェオル・タンク群の背後に着地した。
「ぷーくすくす」
 擬音語を口に出す。
 融け落ちるタンクから紫の機体が離れて行く。
「近接戦闘のエキスパートでもなんでもないオジサンの攻撃程度マトモに対処できねーの? かー、オジサン落胆ー」
『相変わらず舌もよく動く』
 おどけていても目だけは冷たい海斗がスラスターを使う。
 溶けかけのタンクが弾け、寸前まで月海がいた場所をレーザーじみた収束ブレスが通過した。
『飛べるのは残り何回だ?』
「ガルドの旦那が落ちか逃げるかするまではもつんじゃねーの?」
 互いの隙を伺い、どちらもシェオル型もあしらいながら、軽口が止まる気配はない。
 上階層に続く通路からシェオル型がさらに吐き出される。
 どれも人間を優先して襲うはずだが今はガルドブルムも同程度に狙われている。
 歪虚なのに歪虚の重量戦力であるダモクレスを襲ったので当然の結果だ。
「っと」
 足に取り付こうとしたノドの群れをファイアスローワーで焼く。
 黒竜はシェオル型の4分の3を相手に圧倒しているが海斗を邪魔する余裕はない。
「しっかしここ頑丈だな」
 ハナが通った巨大通路に侵入。
 三叉路の手間でフライトシステムを使い、手がかりを残さず奥へと進んでいく。
『……こに……』
 密度の高い負マテリアルの気配が近づき、しかし明らかに迷った動きで離れていった。
 振り返る。
 重機関銃で曲がり角を狙うと、斥候でもあるシェオル・ブリッツが頭を砕かれ地面に転がった。
「ここなら建物壊して生き埋めとかも無いらしいし気楽だわー」
 10発中1発が外れて通路の表面を削って粉塵が発生。
 ブリッツが次々現れて黒い表面が土色に汚れた。
 ラワーユリッヒNG5は威力はあっても大型歪虚複数を一度で射貫く貫通力は無い。
 何体倒されてもムカデ型歪虚の増援は途切れず、月海の間近まで通路にみっしりと詰まった。
「迷宮って直線的な道有ると貫通系の武器で纏めて射ち抜けるから気分良いよな!」
 紫の光が床から1メートルを水平に貫いた。
 重機関銃と比べると弱い。
 が、20を超える大型歪虚に与えたダメージの合計は、桁が1つ以上上だった。
 先頭の2体の牙を躱しながら第2射。
 小さめのブリッツが全滅し、第3射で大型のほとんどが息の根を止められる。
「うっし」
 ポレモスSGSを剣として扱い止めを刺し、海斗は月海を駆り決戦予定地へ向かった。

●最下層へ
 方位磁針は一点を指しているが指しているのは北ではない。
 上層では下を指し、降りていくと上を指すようになったのだから巨大な磁石が迷宮内にあるのだろう。
 それを理解して使うなら十分役に立つ。
 異界突入から45分の時点で、アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は神殿じみた内装の巨大広間に到達していた。
 金に近い銀色の龍が大きく口を開いた。
 喉奥から感じられる熱はガルドブルムを上回り、使用されるエネルギーとしては竜種最高峰だ。
「戦いに慣れていないようだな」
 グリフォンに高度を下げさせ翼ではなく四肢で床を駆けさせる。
 巨大広間の温度が数度下がった直後、強すぎる光が全てを黒と白に染め上げる。
 アルトが気配だけで指示を出す。
 扇状に伸びてくる炎をひょいと跳び越え、グリフォンは攻撃を考えずに一気に距離を詰める。
「隙しかない」
 身の丈ほどもある剛刀を横に構える。
 グリフォンが竜の周囲を走るのにあわせて、すれ違いざまに3つの亀裂を刻む。
 竜は悲鳴すらあげられない。
 グリフォンが離れて数秒後、全ての傷口が大量の血飛沫を発生させた。
「終わりました?」
 アルトが入って来た通路とは別の通路から、漆黒のワイバーンに乗るリリティアが現れる。
「リリティアさんか。奥に気配がある。異界の主だろう」
「承知しました。ガルドブルムも来ていないですし」
 飛行幻獣よりCAMの方が遅いし、徒歩移動組は特に複雑な迷宮を突破する必要が有るためさらに時間がかかる。
「休憩しましょう」
 茶を用意する余裕はないので清潔な水と、カロリー補給に向いた高熱量食料を取り出す。
 2頭と2人が水分をとり適量を摘まんでいると、最下層に通じる階段から見慣れる男女が姿を現した。
『敵!?』
 驚き慌てる彼等の練度は十分に高い。
 特に5人は頭抜けていて、だからこそリリティア・オルベール(ka3054)とアルトの実力に気づいてしまう。
『待て』
『剣を抜いちゃ駄目』
 リーダー格が必死に抑えている。
 戦闘になれば絶対に勝てない。
 立ち姿を見るだけでも達人以上の体術が分かるし、何より鞘に収まったままの剣が恐ろしい気配を発している。
 心技体が人間の限界に達してようやく扱える可能性がうまれるような、伝説の武器じみた存在だ。
 CAMの最初の1機が到着する。
 ハナが操縦席から降り伸びをすると、滞っていた血の流れが正された感覚があった。
「その装備で黄金龍に挑むんですぅ?」
 一言目がこれである。
 実力と実績を兼ね備えたダンジョン攻略者が激高し、最も実力のある5人は同調できずに仲間を抑える。
 前衛系ハンターの2人と比べると体術面では明らかに劣る。
 しかし感じる迫力は2人と堂々レベルで、大賢者と言われても納得せざるを得ない気配がある。
 それになによりあの巨人だ。
 あれを自由に動かす者を低く見ることはできない。
「失礼かもしれませんけどぉ、かなり蛮勇の部類じゃないでしょぉかぁ?」
 これでも精一杯発言には気をつけている。
 現在のクリムゾンウェストの技術水準は、リアルブルーの技術やトマーゾ博士経由のエバーグリーン技術が流入した結果かつてないほど高まっている。
 その技術で生産あるいは改造された装備と比べると彼等の装備は玩具同然だ。
『だが、俺は』
 黄金竜を倒す。
 おそらく全てに気づいている5人は、その点だけは完全に一致している。
「んー」
 両手を胸の前で組んで重い息を吐く。
 最精鋭の5人でも死にに行くようなものだ。
「私もハンターなのでぇ、一矢報いたいって言う想いは痛いほどわかりますし止められないですぅ」
 腕をほどいて真正面から向き合う。
「問題はバラムツですねぇ」
 ぽつりとこぼれた言葉に気づき、バラムツとは何かと聞いてしまった歪虚人間に殺気が向けられる。
「ドラゴンです。多分黄金竜とかいうドラゴンより強いですよ?」
『まさか』
「弱けりゃとっくに挽肉にしてるんですけどねー」
 R7が持ったままの、凄まじく分厚い斧を片手だけで上下に動かしながらため息をつく。
「狭い道を行った人もいらっしゃいますしぃ、ある程度足並みそろえてから……丁度いいところに」
 これまで人の気配がなかった道から、3人分の足音が近づいて来た。
 黒の夢が歪虚人間の様子を見て状況を察する。
 指を組んで祈り、祈りを癒やしの力に変え大きく広げる。
 普通の歪虚と比べると人間要素が大きかったようで、深刻な火傷も粉砕された骨も30秒で元に戻った。
 黒い飛龍が足早で黒の夢の隣まで来る。
 額と胸に古傷がある、普段は沈着冷静なワイバーンなのだが今は安堵に近い雰囲気だ。
 1時間以上主と離れて危険地帯を飛ぶのは思った以上に過酷だった。
「行く?」
「ああ」
「早めに済ませよう」
 ハンター達に気負いはない。
 1つの世界を滅ぼし、その上で異界の主としての性質まで得た歪虚とはいえ、歪虚王や邪神と比べれば雑魚同然だ。
 胸に強い寂寥を感じながら、ダンジョン攻略者5人がその後を追った。

●竜
 迷宮の主は怒り狂っていた。
 そして、それ以上に怯えていた。
 力は当程度なのに異様に強い黒竜に襲われ、無理矢理異界を巻き戻して追い出すといつもより多い攻略者が最下層に現れた。
 もちろん軽く撃退してやったが鱗が何枚か壊されている。
 唐突に、口内に唾が溢れた。
 自意識を持ってから始めて感じる薫りが鼻を刺激している。
「キララ姉さま!」
「主旋律は任せるのじゃ」
 小さな耳長人間が力強いステップで踊っている。
 攻略者共よりはるかに気配が強いだけでなく、あの黒竜を思わせる精密かつ予測できない動きで何かを語る。
 語りかけられ動くのは、既に人格を失ったはずの精霊達だ。
 厚さだけなら黒竜の倍を超える竜鱗が本来の強靱さを失い、攻略者の鎧にも劣る防御に成り下がる。
 一曲歌い終えたイスカがキッと金竜を睨み付ける。
「私たちが支援します。黄金竜撃破の想いをとげてくださいっ」
『感謝する!』
 ハンターと比べると弱すぎる5人が、人生最後の突撃を開始した。
 負のマテリアルが銀の槍となり竜鱗に突き刺さる。
 イスカは攻撃に加わらない。
 たとえ幻でも、この者達の黄金竜討伐の想いは遂げさせてあげたい。
 だから支援に徹して歪虚の力を引きずり下ろす。
「よくよく考えたら、色んな意味で竜と縁があると言えばあるわね」
 別方向から1人駆けるユーリはCAMも幻獣も伴っていない。
 時折太いブレスが飛んでくるが、だいたいは避けられるし最近の高位歪虚と比べると練りが甘く威力が弱い。
 偶然に辺りかかった炎を、薄手の革で包まれた手で払う。
 たったそれだけで勢いが弱まり、ユーリは全く速度を緩めず黄金竜の足下へたどり着いた。
「でもコイツは、遠慮なく倒して良さそうかな」
 90度方向転換して右脚を見る。
 残像が見える速度の刺突。
 くるぶし近くを貫くが、金色竜が大きすぎるため左足までは届かない。
「少なくとも、この迷宮に囚われている人達を解放する為には……それしか道がないんだからっ」
 欠伸が出るほど鈍い足払いを、助走無しの跳躍で回避。
 蒼白く輝きだした刃を両手で構え、着地と同時に嵐の如き攻めで右脚先を削る。
「やっぱり竜でもピンキリですね」
 黒いワイバーンが金竜の背を掠めて通過した直後、2メートルを超える傷口が開いて骨片混じりの体液が噴き出した。
「連撃無しで当たるなんて久々です」
 リリティアの発言はあくまで強敵限定での話だ。
 ここに来るまでの道中では、弱点部位を狙わなくてもスキル無しで一太刀浴びせるだけでシェオル型もモブ歪虚も絶命させている。
 右、後ろと来て左側からはアルトが攻める。
 何もないはずの宙を踏み締めて金竜の頭上数メートルまで駆け上がる。
「格上……いや、己より大きなものと戦った経験がないのだな」
 刃を振り下ろす。
 左のこめかみがぱっくりと割れ、灰色の何かがわずかに混じった血がこぼれる。
「順調なんですけどねー」
 正面から攻略者5人を見守る位置に、ハナのエクスシアが立ってる。
 防ぎきれずに被弾することも多いが、金竜が追撃しようとするタイミングで術をぶつけ牽制する。
 魔法弾が機体の肩に当たる。
 常会から進入してきたシェオル型が、タンクの壁を戦闘に距離を詰めてくる。
「あの無能ドラゴン、いつまで迷っているんですか」
 CAM用の符を惜しまず使って結界を継続展開。
 シェオル・タンクだけでなくブリッツや大量のノドまで焼き尽くす。
 ハナの援護もあり攻略者の攻勢は順調だ。
 ハンターの援護があって始めて成り立つ攻勢ではあるが、彼等が奮闘しているのは紛れもない事実だ。
「うぅん」
 黒の夢が困惑している。
 自身の魔法攻撃力の一部を貸し与えるという、極めて繊細な術を行使しているせいではない。
 この程度無意識に維持出来る
「ビックリするほど美味しくなさそうなのな」
 遠目に金竜を見てため息をつく。
 男女の意味での食指は最初から動かない。
 しかし食欲的にも食指が動かないのは予想外だった。
 再生の祈りに切り替える。
 広大な効果範囲内の攻略者の傷だけで無く、幻獣についた細かな傷も癒えていく。
「いっそのこと脂身ばかりなら」
 野生との獣として落第、食肉用としても論外。
 唯一の取り柄は負のマテリアルの保有量だけだ。
 負要素が少しあるとはいえ正マテリアルが基本の黒の夢が食べて美味しい肉ではない。
 突然、黒の夢の動きが止まる。
 化粧の上からでも分かるほど顔を赤らめ、甘く切ない息を吐く。
「ダーリン!」
 アルトのグリフォンがいきなり高度を上げた。
 ダウンバーストで吹き飛ばれるシェオル型の間を、黒い影が瞬く間に飛んで抜けた。
『派手にやってるなァ!』
 黒竜は徹底的に上機嫌だ。
 対照的に黒の夢の機嫌は急降下する。
 他の女ばかりに意識を向けられるのは正直腹が立つというか無意識に魔力の矢を放っていた。
『グ』
 ガルドブルムの意識に反して悲鳴が漏れる。
 マーキスソングの効果範囲に入ってしまったので、鱗の防御が弱まり衝撃が内臓にまで届く。
「ダーリーン」
 いつもと変わらぬ声でも籠もった情念は1桁違う。
 黒竜は金竜の首を狙うのは止め、ハンターと金竜と等距離な位置に浮遊する。
 均衡を崩したのは大きい方の竜だった。
 ハンターに圧倒され、黒竜から食い物に向ける目を向けられ、逃げ場の無い奥へじりじりと下がる。
「皆の者、悲願果たす時じゃ! 行け! 黒い竜は我らが抑えるっ」
 星輝が5人を叱咤する。
 黄金竜よりずっとぼろぼろな5人が、闘志を剥き出しにして世界の仇を追う。
『一皮剥けたか』
 ほとんどスキップするような歩調で歩き出した黒竜の前に、星輝がたった1人で立ち塞がった。
「ガルド、この者達に譲ってやって欲しいのじゃが」
 身長は約7倍、重量は千倍はありそうな相手を静かに見上げる。
「いや譲って」
 鼻から上を隠す小町能面が、底の知れぬ笑みを浮かべているようだ。
「もらう」
 青みを帯びた銀が黒竜の真横から突っ込む。
「龍よ!」
 イスカのマテリアルが膨れあがり、限界を超えたそれから闇色の牙や爪が姿を現しガルドブルムを狙う。
 黒い爪で弾いて斜めに滑って躱しはするが、3本目の牙が脇腹を抉って黒い体を痙攣させる。
「がの。これでどうじゃ!」
 最後の認識阻害術を使って星輝が黒い鱗に取り付く。
 たまたま手の届く範囲にあった竜眼に拳を突き込むが、潰せた感覚がない。
『俺を相手にするには軽すぎ……そうか、お前がハンターの目で斥候か』
 身震いして星輝を吹き飛ばす。
 星輝は手足四本を使って受け身をして深刻なダメージは回避する。
 炎の色をしたブレスが広大な空間を横切った。
 金竜がブレスの向きを変えていくが、ハンターにも攻略者にも当たらない。
 狙いも速度も遅すぎるのだ。
 天井ぎりぎりを飛んでいたワイバーンが、ブレスをわずかに避ける進路で金竜へ迫る。
 当たりそうに見えるため、黄金龍は爪や牙での攻撃に切り替えずにブレスに集中している。
 ヴァルナが超々重鞘から魔剣を抜き放つ。
 練りに練ったマテリアルと高度な錬金術の産物が組み合わされて、全長20数メートルの斬撃を生み出した。
 全長30メートルを超える巨体が斬撃全てを受け止め、金の鱗の破片が大量に舞う。
 ワイバーンが高速で横回転。
 異様に集束されたブレスがヴァルナとワイバーンの10センチ下を通過する。
「漁夫の利狙いですか」
『口先も剣や術並に使いやがるな』
 黒竜は嫌そうな顔で翼を振るう。
 黄金龍の雑なブレスとは異なり、ハンターの刃も魔力の矢も全力で避けないと翼どころか命を取られかねない。
『強くならねェと人数出し惜しみしたお前等にも勝てねェからな。漁夫の利でもなんでも』
 ドラゴンの悲鳴が最下層の空気を揺らす。
 ガルドブルムが、苦虫を大量の噛みつぶした顔で金色龍を睨み付ける。
『俺も夢も見すぎかね』
 最近は己より格上の歪虚に会うことが多かったため忘れかけていたが、平均的な歪虚はこんなものだ。
「ダーリーン!」
 黒の夢が明るい笑みを浮かべている。
 両手で抱えているのは、真新しい切断面がある金竜の尻尾の先だ。
「ダーリンのご褒美は闘う事。我輩なんて闘ってもなーんにもご褒美貰えないのな闘い損! だから」
 健康的な白い歯が淡い色の肉を囓る。
 大量の負マテリアルが黒の夢の体を冒そうと活発化して、しかし高位覚醒者の気力と体力に勝てずに無力化されて極少量が吸収される。
「今回からダーリンの食べ物ひと口奪う事にしたのなっ」
『一口どころじゃねェんだがなァ』
 遠い過去に世界を構成していたマテリアルが、黒の夢を通じてどこかに逃げ出し始めた。
 放って置けば黄金龍が倒れる前にこの異界が消えかねない。
 黒い右脚が、ブレスでも破壊が難しい床をえぐり取る。
 急加速する黒竜にヴァルナ追いいて突く。
 魔剣が翼の皮膜に切れ目を入れ、反撃の爪撃が2発躱され1発が大きな鞘で受け流された。
『飛びながらじゃ躱しきれねェぞ?』
「そうかもしれませんね。まあ、異界の主を倒すなら飛びながらで十分ですから」
 ヴァルナが金色龍のもとへ向かう。
 入れ替わりに現れたハンターを見て、黒竜の纏う気配が一瞬で引き締まった。
「久方ぶりに見た気がするわね。マギア砦の時以来かな……といっても、私の事は知らないだろうけど」
 繰り返されるブレスによって気流が発生し、ユーリの輝く髪を激しく揺らす。
 対照的に上半身は完全に安定していて、重く大きく扱いにくいはずの蒼姫刀は完全に静止している。
 濃いマテリアルが黒竜の口から漏れて空気が歪む。
 竜眼はユーリの体だけでなく魂を覗き込んでいるようにも感じられ、正直気持ち悪い。
 食欲と戦闘欲が渾然一体となった視線は、セクハラ扱いされても反論できない。
『全くハンターって奴ァ』
 容赦のないマジックミサイルの間をすり抜けユーリに襲いかかる。
 右の爪はフェイント。
 鞭のようにしなる尻尾はブーツに包まれた爪先を狙い。
 左の爪は心臓と脊椎を貫く軌道でユーリに迫る。
『最高だ!』
 百年単位で望んでも得られなかった強敵が次々に現れている。
 闘争好きにとっては今の状況こそが楽園だ。
 ユーリの意識は加速している。
 全ては回避しきれないと判断して、意識よりは遅い足で尻尾を飛び越え体を捻って左爪を躱し、フェイントから横薙ぎの殺人技に変わった右爪を受け流す。
 体を衝撃が突き抜け視界の一部が赤く染まるがまだ動ける。
 刃から溢れる花びらで黒い鱗と鱗の繋がりを弱め、あまりに速すぎ十数にも見える刃でもって黒竜の腹を耕した。
「でもこんな所に乗り込んでくるなんて、余程の物好きね」
『その甲斐はあったぞ』
 爆発的な踏み込みによる加速でガルドブルムが消える。
「いくらでも逃げるがいいです。立ち止まったときがバラムツの最期ですよー」
 高位歪虚である金竜よりも黒竜よりも魔王に相応しい笑い声あげているのは、CAM用ライフルをぶっ放しているハナである。
 最下層のどこにいようが高速大型弾が確実に届く。
「ブレスは撃たないんですか? 泣き言を言ってもいいですよ。右から左に聞き流してあげますけどねぇ!」
 人類版ブレスといえないこともない紫の光が金竜を貫通する。
「この質の鱗じゃ儲からねぇなぁ」
 ガルドブルムが破顔する。
 その動きは、ゆっくりと鋭さを増していた。

●迷宮の崩壊
 無数の絶望をうみだし、とある世界の墓となった迷宮が薄れていく。
 心折れた攻略者が無念のまま光に飲み込まれ、迷宮も中層までが光に消えた。
 最下層に逃げ込んだシェオル型が5体まとめて剛刀で斬り飛ばされる。
 刃を元に位置に戻す前の絶妙に嫌らしいタイミングで、無色に近いブレスが3つ、アルト目がけて横から伸びてくる。
 アルトを覆うオーラが濃く激しくなる。
 ひたすら速く正確な動きでブレス全てを躱す様は、紅き花弁が舞い散るかの如くだ。
「直接相対するのは東方の時以来か」
 金竜の悲鳴とブレス、崩壊を始めた迷宮からの落石を目も向けずに躱しながらアルトがつぶやいた。
 ガルドブルムはひたすら動いてブレスを撃ってを繰り返し視線も向けていない。
 だが欲望の気配はアルトに向いている。
 黒竜にとり理想に近い肉とマテリアル、そして何より戦いがあるのだ。
「今の私でも十分食いでがありそうだな」
 遊ぶか?
 と目だけで言うと、ガルドブルムの口から涎とも炎ともつかないマテリアルがこぼれた。
『攻めが』
 ガルドブルムは飛行を止めている。
 高性能砲の攻撃を飛んで躱せる黒竜でも、ハンター達も攻撃は飛びながらでは躱せない。
『甘いぞ』
 CAMサイズの巨体がアルトに駆ける。
 ハンターという最高のお手本があるため、数段飛ばしで体術も攻撃の技も冴えを増している。
「戦いのみに集中できる立場ではないからな」
 アルトより練度は下とはいえ巨体の頑丈さと重量があれば極めて危険な攻撃になる。
 アルトがどれだけ鍛えても、体格に恵まれた竜を力で超えることは不可能に近い。
 しかし技と心は別だ。
 強敵と戦い創意工夫を得て強くなる竜を、心技体の総合で上回る。
「怠けていたのか」
『お前が……お前等が俺を追い抜いたのよ。野生で戦っては追いつけぬほどになァ!』
 ガルドブルムが攻撃に失敗し続けるとと同じく、アルトの斬撃も黒竜に届かない。
 移動力に勝る相手をすれ違い様に連続で斬るのは難しいのだ。
 地面に巨大な亀裂が入る。
 文字通りの無が遠くに見え、空間が歪んで竜と人の体勢が微かに崩れる。
 剛刀が右胸を裂き、ブレスの余波がアルトの肩を焼いた。
「順調とは言い難いな」
 オファニムが全長5メートルの刃を斜め上へ突き出した。
 白銀の刃が金の鱗を破壊し竜の顎から舌まで貫く。
 刃を鮮血が伝い、黄金の鍔を紅が彩った。
「グロリオサを……俺の鎧を盾にしろ」
 重い傷を負った攻略者2人が、半死半生の3人をオファニムの影に隠す。
 これでは本来の戦い方である回避中心の戦闘はできない。
「この程度なら問題ない」
 五感で機剣とその先にある黄金竜を感じ取る。
 重さと力を受け流し、ときに刃を押し込んで上顎を破壊し舌を切断する。
 ヴァルナの剣が竜の膝を砕く。
 彼女はガルドブルムのブレスに巻き込まない位置を選ぶ余裕と実力がある。
 しかし攻略者はその力も余裕も全く無い。
「黄金竜のマテリアル吸収は防げたか」
 ガルドブルムはハンターとの戦いに夢中になり、異界のボスは全身ぼろぼろ。
 おそらく、後1押しで倒せる。
『氷槍を』
『貴様だけは』
 攻略者を構成する負のマテリアルが薄くなる。
 這ってグロリオサの陰から顔を出し、我が身を削って槍状の攻撃術を金の鱗に撃ち込み続ける。
 ソレルは口を開きかけ、何も言わずにきつく閉じる。
 暴れる金竜を剣で防ぐ。
 刀身へのダメージが限界に近いことをHMDが知らせるが、慎重かつ丁寧に扱い受けて払って攻略者へ伸びる前脚を防ぐ。
『攻撃を優先してくれ』
『俺達はもう終わっている。こいつは、こいつだけは倒さないと気が済まない』
「……ああ」
 重いものを飲み込んだときの表情で、ソレルは最後の攻勢に移る。
 自らを構成するマテリアルを燃やして竜がブレスを吐く。
 避けきれなかった攻略者が1人、限界を超え光に変わる。
 ソレスは機動用スラスターを使って躱すだけでなく、プラズマ弾を竜の口に投げ入れ炸裂させる。
 黄金の竜が痛みに耐えかね身をよじり、無防備な腹をソレルへ見せた。
「分かった」
 両手で機剣を構える。
 突き立ったままの氷槍に添えるように切っ先を当て、無事な地面で踏ん張り銀の刃を押し込む。
 鱗を砕くのも、筋を貫くのも、攻略者がダメージを与えていなければ手こずっていたかもしれない。
「終わりだ」
 心臓を貫く感触が届いた直後、黄金竜の眼球が裏返り、迷宮全体にひびが入った。

●終幕
 全てが崩れていく。
 既に床と呼べるものはなく、狂った重量を持つ石材が気ままな方向へ飛んでいる。
「疲れが出ていますよ」
『適度なハンデだろう』
 黒い翼の女と黒い竜が一度も触れ合わずにダンスを踊る。
 女はマテリアルで出来た紐と頼りない足場だけを頼りに跳び、竜は翼を活かした滑空と跳躍を繰り返す。
 背後を取るため、死角から攻撃を送り込むため、両者とも五感と脳を酷使し読みあいと移動を続けている。
 十数度目の2連続斬撃が黒い鱗へ届く。
 負傷と治癒を繰り返して恐るべき強靱さを持つはずの鱗が、熱せられたバターの如く長い刀身を受け入れる。
『ッ』
 激痛が神経をおかして黒竜の足が乱れる。
 しかしその乱れさえ計算にいれた向きに翼が動き、単純に速い竜爪が3連続でリリティアを襲う。
 真紅に染まった瞳が黒竜を含む全てを凝視する。
 幻のはずの黒翼がマテリアルの流れを捉え、針の穴を通すような精密さで3連攻撃を躱す。
「躱しましたよ」
『躱したな』
 一方的にやられているガルドブルムは落ち着いている。
 極小のブレスを当てて傷口を焼き固め、筋肉と負マテリアルを操作して戦闘能力の維持をする。
「やっぱり」
 リリティアが小さく笑う。
 移動力に勝る竜が背後をとったと同時に振り返り、壮絶な切れ味と十分な頑丈さを兼ね備えた刀で受け流す。
「歯ごたえがありますね」
『フン、試し切りの相手程度には俺を認めたか?』
「それよりは評価していますよ。遠距離戦に持ち込まれると苦しいですし」
 ワイバーン【倶利伽羅】は高度な回避術を心得ているだけでなく、対大型歪虚用の防御まで身につけている。
 しかしそれでもガルドブルムと近~中距離でやりあうには足りない。
「見つけた」
 細く絞り込まれた殺意が黒竜に届いた瞬間、竜を分解して殺意に沿って並べ直した激流が斜め後ろから迫る。
『飛んでいるときならともかく、足を使っているときには当たらねェぞ』
 黒竜がちらりと見ると、白い雌ワイバーンを駆るイスカが軽く俯いていた。
「そうですか」
 強く多すぎるマテリアルが錬金杖に向かい、持ち手部分の高純度の龍鉱石が軋む。
 癒やしの力が一瞬弾け、リリティアの複数の骨からひびが全て消えた。
「本気の戦いは次の機会に預けておくつもりでした」
 顔をあげる。
 怒りを湛えた瞳が、崩壊する異界で跳ぶ竜を不気味に映す。
「キララ姉さまの痛みの分、削れなさい」
 柱じみた光がガルドブルムの進路を遮る。
 【ウイヴル】が急降下して距離を保ち、イスカの本命の術が黒竜に向かう。
『俺の首まで後1歩だなァ!』
 恐怖と怒りと喜びが戦狂いを駆り立てる。
 ウイブルを落とすのに最低限必要なブレスを3回分溜めて、イスカには当たらない角度で撃ち込んだ。
 イスカがとっさに身を乗り出して強力な盾で防ぐ。
 防御には成功したものの、それがぎりぎりであったことはイスカ自身が最もよく分かっていた。
「惜しいな」
 天頂方向から包囲を狭めながらアルトがこぼす。
 崩壊途中のここは巨大な石材が飛び交っている。
 ガルドブルムは飛翔能力を活かせず非常に逃げづらい。
「あと一歩だったのだが」
 剣の間合いに届く前に、全ての石材が当時に消えてクリムゾンウェストの大地が姿を現した。
「このタイミングでっ」
 イスカの精神状態がもとに戻る。
 内なる龍の力を呼び覚まし、地表にたむろするシェオル型の群れを微塵に砕く。
「シェオル型です。みなさん防戦を!」
 異界より過酷な環境だが、異界とは違い頼りになる味方もいる。
「こちらハンターズソサエティー偵察班です。状況を教えてください」
「異界崩壊、ガルドブルムはここにいます」
 シェオル型はまだ100近くいる。
 他のメンバーが迎撃してくれているが黒竜に向ける攻撃は薄くなる。
 星輝の無事も確認し、攻撃術を連打して包囲の一角を崩した時点でスキルが空になる。
「……次回会うときを楽しみにしていてくださいね」
 黒竜を最後に見下ろしたとき、大気に満ちる負のマテリアルが殺気で塗りつぶされたようにも感じられた。
「倶利伽羅!」
 わずかでもずれれば地面にすり下ろされる進路で、ワイバーンがリリティアへ向かい飛んでくる。
 リリティアが鞍に飛び乗る。
 彼女ですら危ない速度だったがガルドブルムに一撃浴びせるなら今しかない。
「吸収しましたね」
 名刀妖刀の域を遙かに超えた刀と共に龍へと迫る。
『食べかすですらねェ量だぞ?』
 ガルドブルムはハンター10人だけでなく、潜伏し情報を後方へ送る偵察班も意識している。
 増援が送り込まれたとき負けるのは彼だ。
 やりがいのある戦ならともかく、ただ負けるだけの戦いに突っ込む趣味はない。
 リリティアの刃が黒竜の背に触れる。
 強度だけを考えればそのまま真っ二つになるはずなのに、黒竜が体を捻ると鱗の表面を滑って宙を切る。
 刃が向きを変える。
 鱗に垂直に当たりかけたところで、ガルドブルムの体が一瞬だけ加速した。
「アクセルオーバーを身につけました」
『どいつか思いついてどう磨いたのかは知らんがイィ技だな』
 リリティアの全身を竜眼が映す。
『あれを目にしたら手に入れたくなる』
「盗むのは恥ずかしくない?」
『強者からは掠め取るもんだろ』
 双方不意打ち気味に攻撃を繰り出し、どちらも空振りした。
 竜も飛龍も息が乱れ、リリティアも疲労を感じ始める。
 空の風が強くなり、剣の間合いからブレスや銃の間合いに変化する。
『品切れだな』
「そっちもブレスを吐く余裕はないようですね」
 リリティアはスキルを使い尽くし、精鋭ハンター10人と戦ったガルドブルムは疲れ果てている。
 黒い竜翼が大きく広げられる。
 竜は何も残さずに遠ざかる。
 彼女は追わず、数分前まで異界があった場所を静かに見下ろす。
「あなた達がいたことは、私が覚えています」
 迷宮は消え、攻略者の痕跡はハンターの記憶にだけ残っていた。

 シェオル型の討伐は短時間で完了し、ハンターは新たの歪虚が現れる前にオフィスへ帰還した。

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MVP一覧

  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhranka0724
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhranka0754
  • The Fragarach
    リリティア・オルベールka3054
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニka3109

重体一覧

参加者一覧

  • 黒竜との冥契
    黒の夢(ka0187
    エルフ|26才|女性|魔術師
  • ユニットアイコン
    ペイン
    ペイン(ka0187unit004
    ユニット|幻獣
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • ユニットアイコン
    ウイヴル
    ウイヴル(ka0754unit003
    ユニット|幻獣
  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    ツキウミ
    月海(ka0788unit003
    ユニット|CAM
  • White Wolf
    ソレル・ユークレース(ka1693
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    グロリオサ
    グロリオサ(ka1693unit003
    ユニット|CAM
  • 誓槍の騎士
    ヴァルナ=エリゴス(ka2651
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    シエル
    シエル(ka2651unit004
    ユニット|幻獣
  • The Fragarach
    リリティア・オルベール(ka3054
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士
  • ユニットアイコン
    クリカラ
    倶利伽羅(ka3054unit001
    ユニット|幻獣
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • ユニットアイコン
    ジュリア
    ジュリア(ka3109unit003
    ユニット|幻獣
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • ユニットアイコン
    アールセブンエクスシア
    R7エクスシア(ka5852unit003
    ユニット|CAM

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【質問エリア】
黒の夢(ka0187
エルフ|26才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/04/18 22:28:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/17 02:44:46
アイコン 【相談卓】黒蜥蜴とダンジョン
Uisca=S=Amhran(ka0754
エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/04/19 18:18:34