ゲスト
(ka0000)
隣人憎けりゃ雑魔も隣人
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/04/28 22:00
- 完成日
- 2018/05/01 03:49
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●ファーゴ家の畑
カルロ・ファーゴは自分の畑を見て激怒した。またしても作物が荒らされている! これは隣のアマート家の者の仕業に間違いない!
そこで彼は鍬を持って畑に張り込んだ。そうしたら見ろ! 隣の家のものに違いない、骸骨のように貧相で醜悪な奴が、作物を枯らしているではないか! その足下にいるのは何だ? ウサギやネコ、イヌに見える。おのれ、動物まで引き連れるとは卑怯な!
「やい! アマートの貧弱野郎! 死にたくなきゃあ今すぐここから出て行きやがれ!」
カルロはそう怒鳴ると、鍬を高々と掲げて大声で怒鳴った。動物たちはその声に驚いて逃げて行く。骸骨のような奴だけは、落ちくぼんだ眼窩をこちらに向けて、様子を窺っているように見える。二目と見たくもない、おぞましい顔だ。灰色っぽい白さの肌は浮いた肋骨を通して向こう側が見えるようだ。いや見えている。剥き出しの肋骨だ。
どう見ても剥き出しの肋骨、紛れもなく骸骨、火を見るよりも明らかに化け物、つまり雑魔なのだが、隣の家憎しのカルロは隣の家の者にしか見えていない。
「やい! お前の主に伝えろ! お前が貧弱だから、手下も貧弱になるんだってな!」
こちらの言ったことが通じたのだろうか、骸骨は、やがてがしゃんがしゃんと関節を鳴らしながら去って行った。
「へ、へへっ……ざまぁ見やがれ……しかしそうそう来られちゃたまったもんじゃねぇ……そうだ、ハンターオフィスに相談してみよう……」
彼はそうひとりごちると、鍬を担いで自分の家に戻っていった。
●ハンターオフィスにて
「憎い奴は犬まで憎いっていうけど、なんだかなぁ」
職員は苦笑しながら資料を配る。
「隣の家の奴が畑を荒らしてるから退治してくれ! って言うんだけど、どうも歪虚みたいなんだよ、うん。骸骨っぽいのを見てるらしいからね。それを、あんな貧相なやつは隣の家の者に違いない! って言うんだぜ……信じられる?」
げんなりとしたように彼は言った。
「最悪死ぬかも知れないのに呑気だよな。今、別の職員が、危ないから絶対手を出さないようにって連絡してるよ。これで聞けば良いんだけど」
やれやれ、と言わんばかりに職員は首を横に振った。それから少し、真面目な顔になって集まったハンターたちを見渡した。
「一番納得いかないのは、当事者の反応がこんなにふざけてるのに、命の危機は確かにあるってことだ。いつもの討伐依頼と変わらない。依頼人の呑気さに流されないで、気を引き締めてほしい。前線に立つのは君たちだ」
ハンターたちが頷くと、彼はまた資料をめくる。
「目撃されてるのは推定骸骨、ウサギ、ネコ、イヌ。ファンシーなんだかおっかないんだかわかんないね? 少なくとも骸骨は雑魔だ。動物たちは本物か雑魔かは目撃証言だけでははっきりしない。生きてる動物なら逃がしてやってくれ。雑魔なら容赦するな。言うまでもないだろうけど」
それから、彼はじっと依頼書を見て考え込んだ。これで解散ではないらしい。ハンターたちが様子を窺っていると、彼はため息を吐いた。
「……こんなことずっとやってると、いずれ人死にが出ると思うんだよね。この土地にこいつしかいないなら良いんだけど、子どもとかがうっかり歪虚に出くわしたりしたら、その子が殺されちゃうかもしれないでしょう? そういうの、未然に防いだ方が良いと思うんだよ」
なんとなく、彼の言うことがわかった。
「可能であれば、依頼主を説得して。化け物はちゃんと見極めろって。お前の孫がどうなっても知らねぇぞってさ」
カルロ・ファーゴは自分の畑を見て激怒した。またしても作物が荒らされている! これは隣のアマート家の者の仕業に間違いない!
そこで彼は鍬を持って畑に張り込んだ。そうしたら見ろ! 隣の家のものに違いない、骸骨のように貧相で醜悪な奴が、作物を枯らしているではないか! その足下にいるのは何だ? ウサギやネコ、イヌに見える。おのれ、動物まで引き連れるとは卑怯な!
「やい! アマートの貧弱野郎! 死にたくなきゃあ今すぐここから出て行きやがれ!」
カルロはそう怒鳴ると、鍬を高々と掲げて大声で怒鳴った。動物たちはその声に驚いて逃げて行く。骸骨のような奴だけは、落ちくぼんだ眼窩をこちらに向けて、様子を窺っているように見える。二目と見たくもない、おぞましい顔だ。灰色っぽい白さの肌は浮いた肋骨を通して向こう側が見えるようだ。いや見えている。剥き出しの肋骨だ。
どう見ても剥き出しの肋骨、紛れもなく骸骨、火を見るよりも明らかに化け物、つまり雑魔なのだが、隣の家憎しのカルロは隣の家の者にしか見えていない。
「やい! お前の主に伝えろ! お前が貧弱だから、手下も貧弱になるんだってな!」
こちらの言ったことが通じたのだろうか、骸骨は、やがてがしゃんがしゃんと関節を鳴らしながら去って行った。
「へ、へへっ……ざまぁ見やがれ……しかしそうそう来られちゃたまったもんじゃねぇ……そうだ、ハンターオフィスに相談してみよう……」
彼はそうひとりごちると、鍬を担いで自分の家に戻っていった。
●ハンターオフィスにて
「憎い奴は犬まで憎いっていうけど、なんだかなぁ」
職員は苦笑しながら資料を配る。
「隣の家の奴が畑を荒らしてるから退治してくれ! って言うんだけど、どうも歪虚みたいなんだよ、うん。骸骨っぽいのを見てるらしいからね。それを、あんな貧相なやつは隣の家の者に違いない! って言うんだぜ……信じられる?」
げんなりとしたように彼は言った。
「最悪死ぬかも知れないのに呑気だよな。今、別の職員が、危ないから絶対手を出さないようにって連絡してるよ。これで聞けば良いんだけど」
やれやれ、と言わんばかりに職員は首を横に振った。それから少し、真面目な顔になって集まったハンターたちを見渡した。
「一番納得いかないのは、当事者の反応がこんなにふざけてるのに、命の危機は確かにあるってことだ。いつもの討伐依頼と変わらない。依頼人の呑気さに流されないで、気を引き締めてほしい。前線に立つのは君たちだ」
ハンターたちが頷くと、彼はまた資料をめくる。
「目撃されてるのは推定骸骨、ウサギ、ネコ、イヌ。ファンシーなんだかおっかないんだかわかんないね? 少なくとも骸骨は雑魔だ。動物たちは本物か雑魔かは目撃証言だけでははっきりしない。生きてる動物なら逃がしてやってくれ。雑魔なら容赦するな。言うまでもないだろうけど」
それから、彼はじっと依頼書を見て考え込んだ。これで解散ではないらしい。ハンターたちが様子を窺っていると、彼はため息を吐いた。
「……こんなことずっとやってると、いずれ人死にが出ると思うんだよね。この土地にこいつしかいないなら良いんだけど、子どもとかがうっかり歪虚に出くわしたりしたら、その子が殺されちゃうかもしれないでしょう? そういうの、未然に防いだ方が良いと思うんだよ」
なんとなく、彼の言うことがわかった。
「可能であれば、依頼主を説得して。化け物はちゃんと見極めろって。お前の孫がどうなっても知らねぇぞってさ」
リプレイ本文
●隣人トラブルは
「あれはねぇ……隣同士なのに仲が悪いって言うか、隣同士だから仲が悪いんだよねぇ」
聞き込みに訪れたエラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)の問いに、近隣住民はそう答えた。言わんとしていることは、全員なんとなくわかる。
「結婚した途端、こんな人だとは思わなかった! ってあるだろ? ああいう感じさ。隣だから嫌なところがわかってしまうと言うか……」
「うーん、わかるような気もしますぅ」
星野 ハナ(ka5852)が少し渋い顔で頷く。しかし、このままでは人死にが出る。
「では、特に何か事件があって、と言うことではないのですね?」
エラが尋ねると、住民は頷いた。
「洗濯物の干し方が気に入らないとかそう言うちょっとしたことから始まってるよ、あれは。ここいらであの二つの家の事件と言えばいちゃもんつけて大喧嘩してるってだけ。多分お互いに気に入らないことが積もっていったタイプだね」
エラとハナは顔を見合わせた。オフィス職員の苦笑いが思い起こされる。確かに、これが原因で人死にが出た日には馬鹿馬鹿しいどころの話ではない。
一行はひとまず依頼主のカルロ・ファーゴの家を訪ねるが、カルロはハンターオフィスに依頼した内容を、もう少し口汚く繰り返すだけだった。ルカ(ka0962)がその大声に縮こまるのを見て、ややばつの悪そうな顔を作るあたり、根っからの無神経というわけでもないようだ。
その後、エラの提案で隣家にも挨拶の名目で探りを入れたが、隣人はカルロとまるで鏡映しで、ハンターたちが見たところ、この家が依頼主の畑の歪虚出没に関わっているようには見えない。
「隣家に関しては、後でオフィスに調査を依頼するとして、まずはファーゴ家の麦畑に出没する歪虚討伐を優先しましょう」
エラが言うと、ロニ・カルディス(ka0551)が頷いた。
「そうだな。しかし、隣人トラブルはよくある事だろうが、ここまで拗れるのは珍しいな」
「そうだね。これは実際に見てもらった方がいいかな?」
八島 陽(ka1442)が、ファーゴ家の二階を見上げながら言った。
●そこで見ていて
エメラルド・シルフィユ(ka4678)は、依頼人の孫であるカーラとすぐに仲良くなった。見慣れないハンターたちに対する彼女の好奇心を満たしたからだ。
「おねえさんたちは、じじのおきゃくさん?」
「少し違うな。私たちは、おじいさんに頼まれて、麦畑に出る悪者を退治しにきたんだ」
「わるものでるの?」
「そうなんだよ。それを退治するから、応援してほしいな」
「する! おねえさんたちおうえんする!」
「ありがとう」
「……そういうわけでね、カルロさんとカーラちゃんにはちゃんと俺たちが戦ってるところを見て欲しいんだ!」
陽が、名前に相応しい明るい笑顔で言うと、好青年のお願いを依頼主は承諾した。
「孫もあんたたちのこと気に入ったようだしな……まあ構わんが」
「麦畑に出るものが逃げないかどうかの監視もお願いしたいです……」
ルカが静かに申し添える。
「ただ、決して家からは出ないで欲しい。危険だからな。お孫さんを守って二階にいて欲しい」
ロニが肩に手を置きながら言う。エラからも双眼鏡を渡されて、カルロは少々戸惑ったようだった。
「危険と言ってもなぁ……どうせ隣だろ?」
「それも含めて、だ。私たちが何と戦っているかどうかも含めて見て欲しい。どうやら、お孫さんもハンターの仕事に興味があるようだから」
エメラルドがそう言って目配せすると、カーラは目をきらきらさせて頷いた。彼女は、エラに渡された双眼鏡を覗いて、窓の向こうを見ると、ぱっとそこから目を離して祖父を見上げた。
「じじ! これすごい! はたけのむしさんも見えるよ!」
「ちょっとくらいなら落っことしても大丈夫ですよ」
「ほんとう!? しゅごいね!」
「こ、こらカーラ! 借り物をそんなふうにしちゃいかん!」
エラが言うと、カーラはそれをぽいと床に投げた。慌ててカルロが拾い上げる。
「悪い人じゃないんだよなぁ」
「ああ」
陽がロニに耳打ちすると、彼も同意した。
●枯れた畑でぶっ飛ばせ
「カルロさーん! カーラちゃーん! 見えてるー?」
枯れてしまって歯抜けになった麦畑の一角に、陽が立って居宅二階の二人に手を振った。
「みえてるー!」
カーラが無邪気に手を振りかえす。落ちそうになった双眼鏡を祖父が支えた。
「じじ! おにいちゃんとんでた!」
「おうおう、すごかったなぁ」
陽は、枯れた辺りに行くに当たって、ジェットブーツを使用したのである。その周辺の麦の中には、ベージュのインナーを着たロニを筆頭に仲間たちが潜んでいる。ハナは地縛符を陽の周辺に仕掛け、ルカは証拠の写真撮影のために魔導スマートフォンで写真撮影の準備をしている。これから、陽がソウルトーチで雑魔をおびき寄せる手筈になっている。
枯れていて、麦のないところは、二階からでもよく見える。ここで派手に戦えば、歪虚が雲散霧消する様も見えるだろう。
「よーし始めるぞー」
陽は宣言すると、ソウルトーチを発動した。体内のマテリアルが燃える。既にジェットブーツで派手に登場していたから、雑魔たちは彼に狙いを付けていた。骨を鳴らして、骸骨が彼の前に現れる。続いて、ウサギ、ネコ、イヌが、彼を囲むように麦の間から出てくる。毛先が陽炎のように揺らめくそれらは、明らかに雑魔であった。その雑魔たちは、更に大きな輪を作ったハンターたちに囲まれている。
骸骨はぽっかりと空いた眼窩を、陽に向けている。陽も燐光を放つ盾を構えながら見返している。そのにらみ合いはしばし続いた。
ルカがその様子を撮影した。シャッター音が響き、その音にウサギが振り返る。ルカは身構えた。仲間の動きに、他の雑魔たちも一斉に動いた。骸骨は陽に向かって手を振り上げる。一歩前進したその瞬間、出した右足を取られて転倒した。地縛符にかかったのだ。
毛を逆立てるネコに向かって、エラが牽制射撃を行なった。足下に着弾し、ネコの動きが止まる。ロニのレクイエムが麦畑に響き渡ると、他の雑魔たちも動きが鈍くなった。
陽は目の前の骸骨に、機導剣を叩き込む。膝の関節を貫通して、左足が取れた。軸足を失って、骸骨は完全に移動を阻害される。
「陽、下がれ! ルカ、ハナ!」
エメラルドが剣を上げて合図すると、雷光錫を掲げたルカと、天光符を取り出したハナがそれに応じた。聖導士の二人はセイクリッドフラッシュを、ハナは五色光陣符を発動して、雑魔を光で打ち据える。
元々、統制は取れていたのだろうが、逆に囲まれてしまうことによって、雑魔たちは完全に混乱に陥っていた。ネコが頭を振って逃げだそうとするのを、ロニのジャッジメントが許さない。エラが機導砲で腹を貫く。ネコ型の雑魔はそれで消滅した。
「じじ! ねこちゃんがきえた! きえちゃったよ!」
カーラが興奮して祖父に語りかけるのが聞こえるが、肝心の祖父の声は聞こえない。絶句しているのだろう。なんせ、ずっと隣人のネコだと思っていたのだから。それが、ハンターの攻撃で消滅してしまったのだ。
ウサギがルカを狙って駆け出した。後ろ足の脚力を使ってぶつかってくる。回避が難しいと判断した彼女は、茶色の盾を構えて受け流した。盾で受けた大型ウサギの体当たりは、重くはあったがダメージにはならない。
「ルカ、大丈夫か?」
「回復はいるか?」
「大丈夫です……ありがとうございます」
ロニとエメラルドの気遣いに、ルカは丁寧に返す。ウサギは聖導士たちをにらみつけて、苛立たしげに後ろ足で地面を叩いた。ルカはセイクリッドフラッシュを使った。余波が、イヌと骸骨にも波及する。ウサギ雑魔が塵と化した。
イヌはエラの方に向かって行った。突破したいようだ。エラはイヌの体当たりを回避すると、付きすぎた勢いで頭から麦の中に突っ込むイヌの背中に機導砲を撃ち込んだ。セイクリッドフラッシュと五色光陣符の大盤振る舞いのおかげで、大分弱っていたようだ。追撃の構えを見せたエラの前で、イヌは消えた。
「じじ! うさちゃんもわんちゃんもきえちゃったよ!」
「き、消えちゃったな……」
呆然とした老人の声が、ハンターたちのところにも聞こえてくる。彼らは顔を見合わせた。手応えを感じている。この後の説得は難航せずに済みそうだ。
最後に、地縛符に足を突っ込んだまま動けない骸骨にロニがシャドウブリットを浴びせた。それまでの範囲攻撃を受け続けた骸骨は虫の息で、影の塊に打たれて消滅した。
●隣人憎けりゃ雑魔も隣人
「カルロさーん、やっつけたら消えちゃったよー!」
全ての敵を片付けると、陽は拡声器で二階のカルロに向かって呼びかける。他のハンターたちも、そこを見上げて老人の様子を窺った。カルロは黙り込んでいる。カーラは反対にはしゃいでいる。
「しゅごい! しゅごいよじじ!」
「しゅ、しゅごいな……」
「じじ?」
「うん……」
「かなり堪えてるぞ」
ロニがその様子を見て言うと、エメラルドも頷いた。
「さすがに、ハンターに蛸殴りにされて消えるのを隣人とは言えないだろう。いくら嫌いでも」
「では戻りましょうかぁ。おじぃちゃんにはぁ、ちゃんとお話聞いてもらわないといけませんしぃ」
ハナの言葉にハンターたちはうなずき、各々はファーゴ家に戻った。カルロは硬い表情でハンターたちを出迎える。
「おねえちゃん、みえるのありがとう」
カーラが嬉しそうにエラに双眼鏡を返す。カルロも、ぎくしゃくとした動きで双眼鏡を返した。エラはしゃがみ込んで、カーラに尋ねる。
「よく見えたかな?」
「みえた! ね! じじ!」
「うん。見えた。よーく見えた」
「うさちゃんたち消えちゃったね?」
「きえちゃった! ね! じじ!」
「うん。消えた。よーく消えた」
「そういうことだよ、カルロさん。まだ隣の人だって言う?」
陽が言うと、カルロはだんまりを決め込んだ。認めざるを得ないが、認めたくない。その様子を見て、ハナがそっと前に出た。
「えーとぉ……カルロさんはもう少し現実見た方が良いと思いますぅ。歪虚を歪虚と認識できずに殺されてぇ、ついでにカルロさんが歪虚になった場合ぃ、二番目に殺されるのはほぼお孫さんになりますのでぇ」
「ま、孫が……? どうして……?」
「歪虚が殺すのは憎い相手じゃないんですぅ。自分が最も執着する相手を殺して仲間に引き込もうとするんですよぅ。殺したいほどの執着って憎悪の場合が殆どですからぁ、最初に殺すのは憎い相手である場合が大抵ですしぃ、人を殺せばハンターズソサエティに通報されて討伐依頼の対象にされますからそこまで進むことがあんまりないだけでぇ……そういう愛する人間を殺して仲間に引き込もうとする事例はそこそこあるんですぅ」
話を聞いて、カルロの顔がみるみる青ざめる。難しい話に、カーラの頭に疑問符が浮いているが、祖父の様子がおかしいことはわかるらしい。
「じじ?」
「それと、カルロさん、今回現れた雑魔は長年の双方のいがみ合う心……負のマテリアルに引き寄せられたのではないかと……」
ルカが写真を見せながら静かに告げる。
「ご家族……お孫さんの安全の為にも関係改善を勧めます……それに諍いや怒っている様はお孫さんの情緒を不安定にし、心も歪めますよ……」
「ぐぬぬ……」
「素直で優しい子に育って欲しいですよね……」
「オレたちも一緒に行くからさ! お隣さんとちょっとずつでもお話できない?」
「今すぐ仲良くしろというのは無理だろうが、今後のことを考えるならルカやハナの言うとおりだと思う」
陽とロニが取りなすように言う。カルロは二人を見て、ハナを見て、エメラルドを見て、エラを見て、最後に孫の顔を見て頷いた。
●隣人を愛するが如く
「いやぁお騒がせしてすみません。実は歪虚が出まして」
隣のアマート家を訪問すると、先方はカルロの顔を見るや怒鳴りつけようと息を吸い込んだ。しかし、陽が前に出てそれを押しとどめる。歪虚の言葉に、向こうも驚いたように一同とカルロの顔を見た。
「歪虚だって!? カルロてめぇ自分の畑でそんなもん飼ってやがっ……」
「でも!」
陽が声を張り上げる。
「『カルロさんの素早い通報のおかげ』で被害も最小限で駆除できました」
アマートはそれで口をつぐんだ。カルロを見る。カルロはばつが悪そうな顔をして、ぼそぼそと話す。
「わしはお前のところの輩かと思ってたよ……だけど、このハンターさんたちが、わしと孫に双眼鏡を貸してくれて、見ててくれと。馬鹿馬鹿しい。お前のところの若造が泣いて逃げ出すだけかと思ってたよ」
隣人はカルロの話の続きを待った。
「はっきり言って、わしはお前が嫌いだよ。鼻持ちならない自信家だし、窓を開ける音はでかいし、ゴミの出し方もなっとらん」
「そっくり返すぞこの野郎」
「ああん?」
「まあまあ、二人とも落ち着け」
ロニが双方の肩に手を置いた。落ち着かせるように肩を叩く。その後ろではルカが手を組み合わせて祈りを捧げていた。慈愛の祈りだ。
「彼は、このままではまずいと思って今日ここに来たんだ。それは汲んで貰いたい。歪虚が出現したときには、住民同士の連携も大事だからな」
エメラルドが申し添える。
この後、和解とまではいかなかったが、ひとまず隣人同士は関係改善の努力をハンターたちに約束した。見届けたハンターたちは、挨拶をしてオフィスに帰還した。
●調査結果
「やあ、エラ。君が気にしていた結果が出た」
後日、ハンターオフィスにやって来たエラは、麦畑事件の担当者に声を掛けられた。歪虚討伐と、隣人間の仲介を終えた後、オフィスに農地のマテリアル濃度と、アマート家の歪虚接触の調査を依頼していたのだ。
「おや、思ったより早かったですね。ありがとうございます」
「まあね。調査したのは僕じゃないけど。まず、カルロ・ファーゴの隣人は潔白だ。両家ともただの馬鹿だったってこと」
彼は肩を竦めた。それに関しては、恐らくそうだろうという予測はハンターたちの間でされていた。
「それと農地のマテリアルなんだけど、両方とも若干の汚染が見られた。普通に生活してれば浄化される程度だけど。多分、ファーゴの方に来たのは偶然で、もしかしたら先にアマートの方に行っていたかも。ルカの言うとおり、いがみ合いのせいかもしれないね。これから良い方の連鎖になると良いけど」
「そうですね。双方、相手の嫌いなところを挙げていましたが、ゴミの出し方とか窓の開け方とか、そういうことに文句言ってましたね。決定的な何かがあって嫌っていたわけではなさそうです」
「いるんだよなぁ、そういうの。ま、そう言うこと。しかし君も律儀だね。僕も見習おう。じゃ、また」
「あれはねぇ……隣同士なのに仲が悪いって言うか、隣同士だから仲が悪いんだよねぇ」
聞き込みに訪れたエラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)の問いに、近隣住民はそう答えた。言わんとしていることは、全員なんとなくわかる。
「結婚した途端、こんな人だとは思わなかった! ってあるだろ? ああいう感じさ。隣だから嫌なところがわかってしまうと言うか……」
「うーん、わかるような気もしますぅ」
星野 ハナ(ka5852)が少し渋い顔で頷く。しかし、このままでは人死にが出る。
「では、特に何か事件があって、と言うことではないのですね?」
エラが尋ねると、住民は頷いた。
「洗濯物の干し方が気に入らないとかそう言うちょっとしたことから始まってるよ、あれは。ここいらであの二つの家の事件と言えばいちゃもんつけて大喧嘩してるってだけ。多分お互いに気に入らないことが積もっていったタイプだね」
エラとハナは顔を見合わせた。オフィス職員の苦笑いが思い起こされる。確かに、これが原因で人死にが出た日には馬鹿馬鹿しいどころの話ではない。
一行はひとまず依頼主のカルロ・ファーゴの家を訪ねるが、カルロはハンターオフィスに依頼した内容を、もう少し口汚く繰り返すだけだった。ルカ(ka0962)がその大声に縮こまるのを見て、ややばつの悪そうな顔を作るあたり、根っからの無神経というわけでもないようだ。
その後、エラの提案で隣家にも挨拶の名目で探りを入れたが、隣人はカルロとまるで鏡映しで、ハンターたちが見たところ、この家が依頼主の畑の歪虚出没に関わっているようには見えない。
「隣家に関しては、後でオフィスに調査を依頼するとして、まずはファーゴ家の麦畑に出没する歪虚討伐を優先しましょう」
エラが言うと、ロニ・カルディス(ka0551)が頷いた。
「そうだな。しかし、隣人トラブルはよくある事だろうが、ここまで拗れるのは珍しいな」
「そうだね。これは実際に見てもらった方がいいかな?」
八島 陽(ka1442)が、ファーゴ家の二階を見上げながら言った。
●そこで見ていて
エメラルド・シルフィユ(ka4678)は、依頼人の孫であるカーラとすぐに仲良くなった。見慣れないハンターたちに対する彼女の好奇心を満たしたからだ。
「おねえさんたちは、じじのおきゃくさん?」
「少し違うな。私たちは、おじいさんに頼まれて、麦畑に出る悪者を退治しにきたんだ」
「わるものでるの?」
「そうなんだよ。それを退治するから、応援してほしいな」
「する! おねえさんたちおうえんする!」
「ありがとう」
「……そういうわけでね、カルロさんとカーラちゃんにはちゃんと俺たちが戦ってるところを見て欲しいんだ!」
陽が、名前に相応しい明るい笑顔で言うと、好青年のお願いを依頼主は承諾した。
「孫もあんたたちのこと気に入ったようだしな……まあ構わんが」
「麦畑に出るものが逃げないかどうかの監視もお願いしたいです……」
ルカが静かに申し添える。
「ただ、決して家からは出ないで欲しい。危険だからな。お孫さんを守って二階にいて欲しい」
ロニが肩に手を置きながら言う。エラからも双眼鏡を渡されて、カルロは少々戸惑ったようだった。
「危険と言ってもなぁ……どうせ隣だろ?」
「それも含めて、だ。私たちが何と戦っているかどうかも含めて見て欲しい。どうやら、お孫さんもハンターの仕事に興味があるようだから」
エメラルドがそう言って目配せすると、カーラは目をきらきらさせて頷いた。彼女は、エラに渡された双眼鏡を覗いて、窓の向こうを見ると、ぱっとそこから目を離して祖父を見上げた。
「じじ! これすごい! はたけのむしさんも見えるよ!」
「ちょっとくらいなら落っことしても大丈夫ですよ」
「ほんとう!? しゅごいね!」
「こ、こらカーラ! 借り物をそんなふうにしちゃいかん!」
エラが言うと、カーラはそれをぽいと床に投げた。慌ててカルロが拾い上げる。
「悪い人じゃないんだよなぁ」
「ああ」
陽がロニに耳打ちすると、彼も同意した。
●枯れた畑でぶっ飛ばせ
「カルロさーん! カーラちゃーん! 見えてるー?」
枯れてしまって歯抜けになった麦畑の一角に、陽が立って居宅二階の二人に手を振った。
「みえてるー!」
カーラが無邪気に手を振りかえす。落ちそうになった双眼鏡を祖父が支えた。
「じじ! おにいちゃんとんでた!」
「おうおう、すごかったなぁ」
陽は、枯れた辺りに行くに当たって、ジェットブーツを使用したのである。その周辺の麦の中には、ベージュのインナーを着たロニを筆頭に仲間たちが潜んでいる。ハナは地縛符を陽の周辺に仕掛け、ルカは証拠の写真撮影のために魔導スマートフォンで写真撮影の準備をしている。これから、陽がソウルトーチで雑魔をおびき寄せる手筈になっている。
枯れていて、麦のないところは、二階からでもよく見える。ここで派手に戦えば、歪虚が雲散霧消する様も見えるだろう。
「よーし始めるぞー」
陽は宣言すると、ソウルトーチを発動した。体内のマテリアルが燃える。既にジェットブーツで派手に登場していたから、雑魔たちは彼に狙いを付けていた。骨を鳴らして、骸骨が彼の前に現れる。続いて、ウサギ、ネコ、イヌが、彼を囲むように麦の間から出てくる。毛先が陽炎のように揺らめくそれらは、明らかに雑魔であった。その雑魔たちは、更に大きな輪を作ったハンターたちに囲まれている。
骸骨はぽっかりと空いた眼窩を、陽に向けている。陽も燐光を放つ盾を構えながら見返している。そのにらみ合いはしばし続いた。
ルカがその様子を撮影した。シャッター音が響き、その音にウサギが振り返る。ルカは身構えた。仲間の動きに、他の雑魔たちも一斉に動いた。骸骨は陽に向かって手を振り上げる。一歩前進したその瞬間、出した右足を取られて転倒した。地縛符にかかったのだ。
毛を逆立てるネコに向かって、エラが牽制射撃を行なった。足下に着弾し、ネコの動きが止まる。ロニのレクイエムが麦畑に響き渡ると、他の雑魔たちも動きが鈍くなった。
陽は目の前の骸骨に、機導剣を叩き込む。膝の関節を貫通して、左足が取れた。軸足を失って、骸骨は完全に移動を阻害される。
「陽、下がれ! ルカ、ハナ!」
エメラルドが剣を上げて合図すると、雷光錫を掲げたルカと、天光符を取り出したハナがそれに応じた。聖導士の二人はセイクリッドフラッシュを、ハナは五色光陣符を発動して、雑魔を光で打ち据える。
元々、統制は取れていたのだろうが、逆に囲まれてしまうことによって、雑魔たちは完全に混乱に陥っていた。ネコが頭を振って逃げだそうとするのを、ロニのジャッジメントが許さない。エラが機導砲で腹を貫く。ネコ型の雑魔はそれで消滅した。
「じじ! ねこちゃんがきえた! きえちゃったよ!」
カーラが興奮して祖父に語りかけるのが聞こえるが、肝心の祖父の声は聞こえない。絶句しているのだろう。なんせ、ずっと隣人のネコだと思っていたのだから。それが、ハンターの攻撃で消滅してしまったのだ。
ウサギがルカを狙って駆け出した。後ろ足の脚力を使ってぶつかってくる。回避が難しいと判断した彼女は、茶色の盾を構えて受け流した。盾で受けた大型ウサギの体当たりは、重くはあったがダメージにはならない。
「ルカ、大丈夫か?」
「回復はいるか?」
「大丈夫です……ありがとうございます」
ロニとエメラルドの気遣いに、ルカは丁寧に返す。ウサギは聖導士たちをにらみつけて、苛立たしげに後ろ足で地面を叩いた。ルカはセイクリッドフラッシュを使った。余波が、イヌと骸骨にも波及する。ウサギ雑魔が塵と化した。
イヌはエラの方に向かって行った。突破したいようだ。エラはイヌの体当たりを回避すると、付きすぎた勢いで頭から麦の中に突っ込むイヌの背中に機導砲を撃ち込んだ。セイクリッドフラッシュと五色光陣符の大盤振る舞いのおかげで、大分弱っていたようだ。追撃の構えを見せたエラの前で、イヌは消えた。
「じじ! うさちゃんもわんちゃんもきえちゃったよ!」
「き、消えちゃったな……」
呆然とした老人の声が、ハンターたちのところにも聞こえてくる。彼らは顔を見合わせた。手応えを感じている。この後の説得は難航せずに済みそうだ。
最後に、地縛符に足を突っ込んだまま動けない骸骨にロニがシャドウブリットを浴びせた。それまでの範囲攻撃を受け続けた骸骨は虫の息で、影の塊に打たれて消滅した。
●隣人憎けりゃ雑魔も隣人
「カルロさーん、やっつけたら消えちゃったよー!」
全ての敵を片付けると、陽は拡声器で二階のカルロに向かって呼びかける。他のハンターたちも、そこを見上げて老人の様子を窺った。カルロは黙り込んでいる。カーラは反対にはしゃいでいる。
「しゅごい! しゅごいよじじ!」
「しゅ、しゅごいな……」
「じじ?」
「うん……」
「かなり堪えてるぞ」
ロニがその様子を見て言うと、エメラルドも頷いた。
「さすがに、ハンターに蛸殴りにされて消えるのを隣人とは言えないだろう。いくら嫌いでも」
「では戻りましょうかぁ。おじぃちゃんにはぁ、ちゃんとお話聞いてもらわないといけませんしぃ」
ハナの言葉にハンターたちはうなずき、各々はファーゴ家に戻った。カルロは硬い表情でハンターたちを出迎える。
「おねえちゃん、みえるのありがとう」
カーラが嬉しそうにエラに双眼鏡を返す。カルロも、ぎくしゃくとした動きで双眼鏡を返した。エラはしゃがみ込んで、カーラに尋ねる。
「よく見えたかな?」
「みえた! ね! じじ!」
「うん。見えた。よーく見えた」
「うさちゃんたち消えちゃったね?」
「きえちゃった! ね! じじ!」
「うん。消えた。よーく消えた」
「そういうことだよ、カルロさん。まだ隣の人だって言う?」
陽が言うと、カルロはだんまりを決め込んだ。認めざるを得ないが、認めたくない。その様子を見て、ハナがそっと前に出た。
「えーとぉ……カルロさんはもう少し現実見た方が良いと思いますぅ。歪虚を歪虚と認識できずに殺されてぇ、ついでにカルロさんが歪虚になった場合ぃ、二番目に殺されるのはほぼお孫さんになりますのでぇ」
「ま、孫が……? どうして……?」
「歪虚が殺すのは憎い相手じゃないんですぅ。自分が最も執着する相手を殺して仲間に引き込もうとするんですよぅ。殺したいほどの執着って憎悪の場合が殆どですからぁ、最初に殺すのは憎い相手である場合が大抵ですしぃ、人を殺せばハンターズソサエティに通報されて討伐依頼の対象にされますからそこまで進むことがあんまりないだけでぇ……そういう愛する人間を殺して仲間に引き込もうとする事例はそこそこあるんですぅ」
話を聞いて、カルロの顔がみるみる青ざめる。難しい話に、カーラの頭に疑問符が浮いているが、祖父の様子がおかしいことはわかるらしい。
「じじ?」
「それと、カルロさん、今回現れた雑魔は長年の双方のいがみ合う心……負のマテリアルに引き寄せられたのではないかと……」
ルカが写真を見せながら静かに告げる。
「ご家族……お孫さんの安全の為にも関係改善を勧めます……それに諍いや怒っている様はお孫さんの情緒を不安定にし、心も歪めますよ……」
「ぐぬぬ……」
「素直で優しい子に育って欲しいですよね……」
「オレたちも一緒に行くからさ! お隣さんとちょっとずつでもお話できない?」
「今すぐ仲良くしろというのは無理だろうが、今後のことを考えるならルカやハナの言うとおりだと思う」
陽とロニが取りなすように言う。カルロは二人を見て、ハナを見て、エメラルドを見て、エラを見て、最後に孫の顔を見て頷いた。
●隣人を愛するが如く
「いやぁお騒がせしてすみません。実は歪虚が出まして」
隣のアマート家を訪問すると、先方はカルロの顔を見るや怒鳴りつけようと息を吸い込んだ。しかし、陽が前に出てそれを押しとどめる。歪虚の言葉に、向こうも驚いたように一同とカルロの顔を見た。
「歪虚だって!? カルロてめぇ自分の畑でそんなもん飼ってやがっ……」
「でも!」
陽が声を張り上げる。
「『カルロさんの素早い通報のおかげ』で被害も最小限で駆除できました」
アマートはそれで口をつぐんだ。カルロを見る。カルロはばつが悪そうな顔をして、ぼそぼそと話す。
「わしはお前のところの輩かと思ってたよ……だけど、このハンターさんたちが、わしと孫に双眼鏡を貸してくれて、見ててくれと。馬鹿馬鹿しい。お前のところの若造が泣いて逃げ出すだけかと思ってたよ」
隣人はカルロの話の続きを待った。
「はっきり言って、わしはお前が嫌いだよ。鼻持ちならない自信家だし、窓を開ける音はでかいし、ゴミの出し方もなっとらん」
「そっくり返すぞこの野郎」
「ああん?」
「まあまあ、二人とも落ち着け」
ロニが双方の肩に手を置いた。落ち着かせるように肩を叩く。その後ろではルカが手を組み合わせて祈りを捧げていた。慈愛の祈りだ。
「彼は、このままではまずいと思って今日ここに来たんだ。それは汲んで貰いたい。歪虚が出現したときには、住民同士の連携も大事だからな」
エメラルドが申し添える。
この後、和解とまではいかなかったが、ひとまず隣人同士は関係改善の努力をハンターたちに約束した。見届けたハンターたちは、挨拶をしてオフィスに帰還した。
●調査結果
「やあ、エラ。君が気にしていた結果が出た」
後日、ハンターオフィスにやって来たエラは、麦畑事件の担当者に声を掛けられた。歪虚討伐と、隣人間の仲介を終えた後、オフィスに農地のマテリアル濃度と、アマート家の歪虚接触の調査を依頼していたのだ。
「おや、思ったより早かったですね。ありがとうございます」
「まあね。調査したのは僕じゃないけど。まず、カルロ・ファーゴの隣人は潔白だ。両家ともただの馬鹿だったってこと」
彼は肩を竦めた。それに関しては、恐らくそうだろうという予測はハンターたちの間でされていた。
「それと農地のマテリアルなんだけど、両方とも若干の汚染が見られた。普通に生活してれば浄化される程度だけど。多分、ファーゴの方に来たのは偶然で、もしかしたら先にアマートの方に行っていたかも。ルカの言うとおり、いがみ合いのせいかもしれないね。これから良い方の連鎖になると良いけど」
「そうですね。双方、相手の嫌いなところを挙げていましたが、ゴミの出し方とか窓の開け方とか、そういうことに文句言ってましたね。決定的な何かがあって嫌っていたわけではなさそうです」
「いるんだよなぁ、そういうの。ま、そう言うこと。しかし君も律儀だね。僕も見習おう。じゃ、また」
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/28 00:26:17 |
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新しいメガネに代わるモノ? 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/04/28 20:16:58 |