• 陶曲

【陶曲】夜の校舎で遭いましょう

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/05/05 07:30
完成日
2018/05/12 02:20

みんなの思い出

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オープニング

●居残り先生
 小学校教師ジェレミアは、ようやく終わった事務仕事を前にして思い切り伸びをした。既に日は沈んでおり、灯りを消してしまえば、この職員室も闇に沈んでしまうだろう。
「あー、やっと終わった。最近ばたばたしていたからなぁ」
 ここのところ、同盟は歪虚からの侵攻によって揺らいでいる。動乱。そう呼ぶに相応しい混乱は、長いこと続いている。ハンターや軍の活躍で、少しずつ混乱は収まっているが、依然、歪虚による被害は方々で勃発していた。
 奇跡的に、ジェレミアが務めるこの学校がある町は、未だに歪虚からの襲撃を受けたことはない。いつ起きるのか。ひやひやしながら、町中がいざと言うときの手順を確認していた。それでも、この町に歪虚は何故か来ず……いつしかジェレミアはその危機感を薄れさせていく。

 しかし、同盟を揺るがす嫉妬の歪虚は気まぐれだ。ずっと手を出さなくても、ある日突然目を付けることもある。

 こん、こん。

 背後の窓が叩かれたような音がして、ジェレミアは振り返る。小さな学校の、小さな校庭が見えるだけだ。
「聞き間違いかな?」
 それか風の音かもしれない。こんな音に引っかかるなんて、疲れてるんだ。もう帰ろう。彼は机を片付けると、鞄を持って職員室を出た。

 こん、こん。

 再び、窓を叩く音がした。けれど、もうジェレミアは振り返らない。その窓から、顔のない人形がこちらを見ていることにも気付かない。

●待ち伏せ人形
 職員玄関に向かって歩いていると、その先に、ぽつんと何かが立っていることに気付く。ジェレミアの膝くらいまでの高さの人形に見えた。
(おや。忘れ物かな? ずいぶんときちんと立っているようだけど)
 ジェレミアはそれに近づいた。黒を基調とした、ゴシック調のワンピースをまとい、同じく黒いボンネットをかぶった人形の様だった。
「かわいい」
 生徒の忘れものにしては豪奢な服だ。そして、測ったようにぴったりと真ん中に立っていることが、ジェレミアに違和感をもたらす。
(かわいいんだが……これではまるで、たった今ここまで自分で歩いてきたみたいじゃないか……)
 ジェレミアが、よく調べようとその人形にかがみ込んだその時、その人形が上を向いた。
「う、うわああ!!!!」
 その顔はつるりとして何もない。ただ、丸い輪郭があどけなさを感じさせる。尻餅をついたジェレミアに、人形はゆっくりと近づいて行った。
「こ、来ないでくれ! 来るな!」
 職員室に立てこもろう。そう判断した次の瞬間だった。その職員室から、窓ガラスの割れるけたたましい音がする。先ほど聞いた、窓をノックする音が思い出された。やはり外に何かいたのだ!
「うわああああ!!!!」
 ジェレミアは、迫ってくる人形を蹴り飛ばすと、慌てて立ち上がる。階段から、上階に向かって駆け上がった。
 教師が去って、少ししてから、職員室のドアが内側から大きな音を立てて開いた。鍵の部分はひしゃげて、もう使えないだろう。そこからは、同じようなゴシックのワンピースを着た、同じようにのっぺらぼうの人形が出てくる。ジェレミアに蹴り飛ばされた人形も起き上がった。
 学校の玄関から、続々と、人形たちが入ってくる。登校する子どもたちのようだ。そうして、それらは階段の下に集まった。
 人形たちは、揃って階段の方に顔を向けている。
 それから、その小さな体で一段ずつ上り始めた。

●ハンターオフィスにて
「学校の窓が割れる音と、人形の行列が目撃されたから、近隣の住民が泡を食って通報した。どうも、この町は最近の歪虚襲撃の被害がまるでなかったらしくてね……やや危機感が薄れていたらしいが、緊急マニュアルは生きてた。立派だよ」
 ハンターオフィスの職員はそう言いながら資料をめくる。
「人形の行列については、少なくとも二十以上はいたそうだ。雑魔クラスだとは思うけど……数の暴力って言葉があるからね。できるだけ注意して。また、夜の学校だ。灯りもあった方が良いだろう。屋内の灯りが使える保証はない」
 そして、彼は渋い顔を作った。
「校長が言うんだけど、一人連絡が取れない教員がいるらしい。ジェレミアって言うんだ。残って仕事を片付けてたらしいんだけど……学校の玄関は鍵が開いているようだから……多分残ってたんだと思う。彼が生きてれば助け出してくれ」

リプレイ本文

●救出作戦
「気の緩み、と言ってしまうのは少し酷か。早急の危険が無ければ、いつまでも警戒し続けるのは難しいしな」
 ロニ・カルディス(ka0551)が資料を見ながら呟いた。マリィア・バルデス(ka5848)もその言葉に頷く。
「そうね。人間そう毎日毎日緊張してもいられないわ。緊張というのが、そもそも生物にとって異常な状態であるわけだし。さて、それで、どう行く?」
「下から敵がくるなら、先生は上の階で良く知っている部屋か階段から遠い部屋に隠れていらっしゃるのではないでしょうか」
 穂積 智里(ka6819)が思案しながら提案した。
「それもそうね。とはいえ、一階をおざなりもできないわ」
「可能性は低いと思うけど俺は一階を探してみよう」
 マリィアが思案すると、兜をかぶりながら、無道(ka7139)が申し出た。
「もしかしたら脱出寸前で足止め喰らってるかもしれない」
「可能性はゼロじゃないわね。私も一階に行く」
 アティア・ディレン(ka6918)が申し出る。
「問題は二階と三階ね……私とロニと智里……どう別れる?」
「一度三人で三階に行き、ジェレミア氏を探して、いれば智里はそのまま一階の無道たちと合流、俺たちは二階の雑魔を掃討と言う形で良いんじゃないか」
「そうね。とにかく、先生の救出が優先だわ。それで行きましょう」

●夜の校舎で遭いましょう
 夜の校舎はしん、と静まり返っている……筈だが、今夜の校舎は中から断続的に小さく物音が聞こえる。人形じみていると言う、雑魔の足音だろうか。人間の切羽詰まった悲鳴は聞こえてこない。ジェレミアは無事なのか、あるいは……。
「……怪談の季節にはまだ早い、のかな?」
「おい、あれを見てくれ」
 首を傾げる無道の鎧を軽く叩いてロニが指した方には、割れた窓ガラスがあった。覗いてみると、どうやら職員室らしい。
「内側に向かって割れてるわね……外から割っているわ。職員室で残業中の先生を見付けて、襲いかかったと言うところかしら」
「無事だと良いんだけど」
 マリィアとアティアが物憂げに言う。マリィアは、拡声器を取り出した。校舎に向かって呼びかける。
「先生、校長先生の依頼を受けて救助に来ました。各階にハンターが向かいますので、それまでもう暫く隠れていて下さい。慌てて外に飛び出したり攻撃したりしないようにして下さい。私達が各部屋に到達するまで隠れていて下さい」
 この音量なら、教師がどこに隠れていても聞こえることだろう。意識があればの話だが。
「それじゃ行きましょうか」
 マリィアが振り返る。

●一階の露払い
 上に行くには、玄関から正面突破しなくてはならない。一階に残る無道とアティアが露払いを引き受けた。他の三人も、いざと言うときの為にスキルの準備はぬかりない。
「行くぞ」
 シャインで盾を輝かせた無道が、空いた玄関から入ると、階段の前にいた、一体の人形が、くるりと振り返った。
「ふっ!」
 気合いの呼気と共に、強打の一撃を見舞う。手応えはあった。廊下の向こうに吹き飛ばされる。廊下の、少し離れたところにいる別の一体が無道を凝視するのを見て、彼は更に確実に引きつけるために、ソウルトーチを燃やした。振り返って、二階を担当する三人に呼びかける。
「今だ! 残りが来る前に行け!」
「感謝する! 後で会おう!」
「お前たちも気をつけろ!」
「ありがとうございます」
 マリィア、ロニ、智里が声を掛けながら、無道の傍を駆け抜けた。アティアは無道の背後に背中合わせになるように立ち、手近な一体をジャッジメントで床に縫い付けた。
「俺が止める。アティアは攻撃を優先してくれ」
「今のうちに無道さん」
 同時に相方へ声を掛けて、二人は「え?」とばかりにお互いの顔を見る。それから吹き出した。
「ふふっ」
「ははっ、どうやら俺たちは似たような戦法をとるタイプらしいな」
「そのようね。良いわ、無道さんは自分に向かってきたのを叩きのめして。遠くにいるのは私が引き受けるわ」
「それが良さそう、だっ!」
 無道は、先ほど吹き飛ばした一体が突進してくるのを見て、峰打ちの要領で刀身を叩き込んだ。それがぶつかった瞬間、陶器の隅々に、一瞬でヒビが広がる硬い音が響く。そのまま振り抜くと、人形は砕け、そのまま服ごと雑魔は塵に返った。
「見た目より頑丈だが思ったほどではないな」
「それは安心したわ。あんまり強すぎると先生が危険だし、片付けも大変だもの」
 ジャッジメントで動けないままの一体に、アティアがホーリーライトを撃ち込んだ、一条の光が、まっすぐに伸びる。聖杖を掲げる右腕の肘から先を鱗が覆い、背中に翼が現れていた。
「こちらバルデス。三階に到着した。視認範囲に敵を確認。まずは討伐する」
 アティアの無線がマリィアからの声を受信した。
「こちらディレン。こっちは視認範囲の敵をひとまず片付けたわ」
「了解した。引き続き捜索を頼む」
 ロニの歌声をバックにしたマリィアの声がして、通信は切れた。
「じゃあ、部屋を探すか」
「そうね」
「ジェレミアさん、助けに来た。いるならそこを動かないでくれ」
 無道が声を張り上げた。アティアも、教室に入る前には声を掛けてから開ける。
「学校ってこんな感じなのね、私の故郷にはこんな施設なんてなかったし興味があるわ。それに、部屋がいっぱいあるのね。こんなに子供が集まるの?」
「そうみたいだ」
 二人が昼の学校を想像しながらジェレミを探していると、机の陰からひょっこりとボンネットをかぶった人形が現れた。人形は、輝く無道の盾とソウルトーチにいたく興味を引かれているようだ。
「アティア、撃て」
「ええ、任せて」
 アティアが杖を掲げる。机の脚の間を縫って、その光は人形の胸を貫いた。突き飛ばされるように、人形は後ろに吹き飛びながら割れた。
 無道は自分の背後に迫っていた人形に気付くと、盾で攻撃をしのいだ後に、村雨丸を叩きつけた。

●三階の救出
 無道の露払いにより三階への道を確保したロニ、マリィア、智里は、階段を上がりきったところで足を止めた。三人とも、灯火の水晶球を従わせているから、廊下はよく見えた。マリィアと智里は右を、ロニは左を見る。それぞれ、視線の先には一体ずつ人形がいた。
「合わせて二体ですね」
「先にこちらを片付けなくてはな」
「その通りだ。こちらバルデス。三階に到着した。視認範囲に敵を確認。まずは討伐する」
 無線で他の二チームに連絡を入れると、それぞれからも状況の報告が届く。
「こちらディレン。こっちは視認範囲の敵をひとまず片付けたわ」
「了解した。引き続き捜索を頼む」
 マリィアたちに気付いてこちらに寄ってくる人形を、ロニのレクイエムが止めた。マリィアと智里は、ロニが止めてくれている人形に向かって、それぞれ機導砲とハウンドバレットで撃破する。陶器の破損する高い音が廊下に響いた。その時、三人は聞いた。美術室か、音楽室の方からする人の裏返った声を。
「先生?」
 智里がエグリゴリを油断なく構えながらそちらの方に近寄って行く。マリィアとロニも、周囲を警戒しながら続いた。
 気配がするのは音楽室からだった。智里は、迷わずそこをノックする。
「ジェレミア先生、いらっしゃいますか? 今からドアを開けますね」
 そう言ってドアを開けようとするが、開かない。どうやら、中からドアを押さえているようだ。
「待って! 今開けるよ!」
 どうやらジェレミアの様だ。智里たちは互いの顔を見合わせて、ほっと安堵の息を吐く。生死は確認できていなかったから、当然死亡している可能性はあった。向こうでがたがたと音が続いて、やがてドアが開いた。汗をびっしょりとかいた青年が肩で息をして立っている。バリケードを張っていた様だった。
「ジェレミア先生で間違いありませんか?」
 マリィアが尋ねると、彼はこくこくと頷いた。
「ああ、そうだよ。助けに来てくれてありがとう。校長先生にも感謝しなくちゃ」
「お怪我はありませんでしたか?」
 智里の問いに、ジェレミアは両手を広げて見せた。出血した様子はない。
「大丈夫だよ。でも、喉が渇いたよ……調理室に寄っても……」
「いえ、水をお持ちしました。どうぞ」
 そう言って、智里がミネラルウォーターを渡すと、ジェレミアは一気にそれを半分ほど飲んだ。智里は、トランシーバーで無道に連絡を取る。
「こちら穂積。先生を発見しました。見たところ怪我はないようです。どうぞ」
「こちら無道。良かった。じゃあ俺たちは、すぐに脱出できるように一階の掃討に切り替える。下で会おう」
 通信を切ると、智里はジェレミアに尋ねる。
「良ければ教えて下さい。他に校内に人は居ましたか? 歪虚について、何か気がついたことはありましたか?」
「僕以外に居残りはいないはずだよ。僕が残るのも皆心配したくらいだから。歪虚については、すまないが陶製の人形らしいということしかわからない」
「いえ、ありがとうございます。ご無事で何より」
「廊下で最初の一体を見付けて、最初は職員室に立てこもろうと思ったんだけど、そしたら職員室から窓が割れる音がしたものだから、慌てて上がってきたんだ。連中の足が遅くて幸いだったよ。でも、もう三階まで上がってきてるんだろう……?」
「それに関してはご安心ください。私たちが守ります」
 マリィアが請け負うと、ジェレミアはほっとしたような顔をした。彼女が抱えているアルコルがものを言ったのかも知れない。
 ジェレミアの息が整うと、一行は彼を後ろにして教室から出る。智里が顔を出したところで、向こうの教室からとことこと歩いてくる人形が見えた。彼女は、機動砲でそれを撃破する。マリィアのハウンドバレットが援護した。
 他に人形が出てこないうちに、一同は移動を開始した。前から、智里、ロニ、ジェレミア、マリィアの順で列を作り、教師を守るようにして、一行は階段を降りていく。
「無事か!」
 階下からは、無道とアティアが上がってきていた。
「お前たちも無事だったか」
 ロニが言うと、二人はこっくりと頷いて見せた。お互いに、仲間がそんな簡単にやられるとも思っていないが、歪虚討伐には常に危険がつきまとう。無事な顔を見られればやはり安心した。
「一階の敵は掃討完了よ。安心して良いわ」
 アティアの言葉に、ジェレミアがほっとした様子を見せた。二階は手つかずだ。後衛に無道とアティアを加えて、ジェレミアを一階まで降ろす。校庭まで見て、ようやくジェレミアは人心地ついたようだった。
「皆さん、まだ残りの敵の殲滅に戻りますよね? 私、ここで先生と残りますね。他に潜んでいる可能性もありますし」
 智里の申し出を、全員が承諾した。

●二階の掃除
 三階の残りは無道とアティアに頼むことにした。既に一階の敵を全て片付けて、それなりに消耗しているであろう二人に、手つかずの二階を任せることはできない。マリィアとロニは二階まで上がると、水晶球で辺りを照らした。見える範囲に四体いる。
「少し眩しくしても構わないかな?」
「ああ、構わない。やってくれ」
 マリィアが頷いて下がると、ロニは目を閉じて集中した後に、錬金杖を掲げた。彼を中心に、光の波動が広がる。すでに二人に向かってきていた四体は、セイクリッドフラッシュの衝撃を受けて破損した。陶器の割れる高い音が、立て続けに四つ。撃ち漏らしに備えて魔導銃を構えていたマリィアは、四体全てが崩れ去るのを見て、頷いた。
「では、手近な教室から見ていくか」
「そうだな」
 もうジェレミアは見つかっているから、声を掛ける必要はない。マリィアは直感視を用いて、扉を素早く開けた。見付けた。窓側の席の椅子に、ちょこんと立っている人形を。
「人形を発見」
 ロニに声を掛ける。
「銃で対応してみる。背後を頼む」
「ああ」
 依然、静まり返った校舎の中では、陶器人形の足音が小さく響いている。しかし、姿は見えない。
 アルコルでは近すぎた。マリィアは、黄金拳銃に持ち帰ると、椅子から降りてこちらに駆けてくる人形に狙いを付けた。別の部屋のドアが開く音がする。だが、後ろはロニに任せてある。マリィアは目の前の歪虚に集中して、引き金を引いた。銃声とほぼ同時に、衝撃で陶器が割れる音が高く響いた。人形は尻餅をつくが、まだ形を保っている。
 背後で、ロニがプルガトリオを発動する気配を感じた。どうやら、先ほどの音はやはり他の教室から雑魔が現れた音だったらしい。
「マリィア、誘い出してくれ」
「わかった」
 ロニに言われて、マリィアは狙いを付けながら、後ずさって教室を出る。人形も、彼女を追い掛けて廊下に出た。
「これだけ同じ人形が襲い掛かってくるのは、ちょっとした悪夢だな」
 マリィアがロニのすぐ傍に戻ると、聖導士は独りごちて杖を掲げた。魔法の刃が現れる。それは、既にロニが串刺しにしていた廊下の人形と、マリィアに誘い出された人形を突き刺した。陶器が完膚なきまでに砕かれる音がする。すぐに、人形は崩れて消えた。

●夜の校舎を見上げて
「君は、リアルブルーの人?」
 ジェレミアに問われて、智里は頷いた。
「転生でもないのに異世界に来れちゃったんですよ」
「生きたまま来れたなら良いじゃない」
 教師はそう言って笑った。
「生きたまま帰れるよ。僕はその方が良いな。生きたまま、色んなところに行って、生きてまた会えたら素敵じゃない?」
「そうですね」
 智里は頷いて見せた。教師は、断続的に陶器が割れる音が響く校舎を見上げながら続けた。
「僕は生きてこの校舎をまた見上げることができて嬉しい。正直もう駄目だと思ったよ。正気を失いかけていたから、このまま餓死するまで隠れてないといけないのかな、とか、そう言う素っ頓狂なことを考えていた」
「仕方ありませんよ」
「ありがとう。君がお水を持ってきてくれて本当にありがたかった。助け出してくれたこと、守ると言ってくれたこと、実際に守ってここまで連れてきてくれたこと、それと同じくらい、お水はありがたかった」
 救出した時、教師はかなり汗をかいていた。冗談でも何でもなく、このまま救出が延びていれば、脱水症状を起こしていたかもしれない。
「ご無事で何よりです。お水、持ってきて良かったです」
「今度学校で、今日のことを話すよ。誰かを助けに行くときは、お水を持って行くように生徒たちに聞かせよう」
 ジェレミアが冗談めかして言ったところで、討伐に向かった四人が戻ってきた。もともと、一階は掃討が完了していたが、それを差し引いてもかなり早い。
「ありがとう。助かったよ」
 ジェレミアがハンターたちに改めて謝意を伝える。
「お疲れさまでした、先生」
「これからは、残業はほどほどにしてお体大事にして下さいね」
 マリィアと智里が口々に言うと、ジェレミアはばつが悪そうに苦笑しながら頭を掻いた。

依頼結果

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参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 無垢なる守護者
    ユウ(ka6891
    ドラグーン|21才|女性|疾影士
  • 青龍の小刀
    アティア・ディレン(ka6918
    ドラグーン|22才|女性|聖導士
  • 優しき孤高の騎士
    無道(ka7139
    鬼|23才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
穂積 智里(ka6819
人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/05/05 00:10:48
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/05/03 11:30:11