お前がヒーローになるんだよ!!

マスター:白藤

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
8~12人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/05/05 19:00
完成日
2018/05/14 06:11

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●ヒーロー達も病には勝てぬ
「何だって!? レッドとブルーとイエローとピンクが高熱で動けない!?」
 ある日の早朝。虹色アフロにサングラスという衝撃的な出で立ちの男は部下から緊急事態の伝令を受け、カタカタと身体を震わせていた。
「嘘だろう……ただでさえザツマトテップ幹部勢が病に伏している状態だってのに……」
 サングラスのブリッジに指を乗せ、アフロマンは声を震わせる。何とか来させますか、と慌てる部下に対し、彼は「バカヤロウ!」と声を荒らげた。
「風邪引いて寝込んでる奴を働かせられるかよ!!」
「し、しかし! このままでは『ハンタスティック・ファイブ』二周年と半年イベントに間に合いません!!」
「く……っ」
 一体何の話をしているんだ、と思われるかもしれないが、彼らはとある劇団を率いる団長とその補佐を務める役員だったりする。つまり所属する劇団の演目及び役者の話を大真面目にしているのである。

 この劇団が売りにしているのは、ハンター大ファンなアフロマンもとい団長が手掛ける戦隊ヒーロー劇『ハンタスティック・ファイブ』。
 ハンタスティック・ファイブはちびっ子を始めとした多くの人々から応援され、もうすぐ二周年……と、半年という記念日を迎える。この事を祝し、劇団は『ハンタスティック・ファイブ二周年と半年イベント』を企画した。
 しかし、ここ数日の間に劇団員の間で高熱を伴う風邪が大流行。裏方達は勿論、役者達にも風邪菌が猛威を振るってしまい、その結果、舞台に上がる筈だった主役級がほぼ全滅という緊急事態となってしまったのだ。
「ぐ、グリーンは!? そういえばグリーンはどうした! マダムに大人気なハンサムグリーンは生きているのだろう!?」
「生きてます。ですが、その……っ」
 ハンタスティック・ファイブ唯一の生き残り(?)の存在に気付いた団長は辺りを見回し、絶句する。彼の視線の先には、辛そうに壁にもたれ掛かっている褐色のイケメンお兄さん、ハンタスティック・グリーンの姿があった。
「グリーン! 無理をして来るんじゃない! 悪化するだろう!?」
 団長に喝を浴びせられ、グリーンはゆるゆると首を横に振るう。そして彼は何故か手にしていたスケッチブックにペンを走らせ、書いた文章を団長に見せた。その文章というのが、「大丈夫、少しだるいだけで、熱はありません」というもの。
 何故口頭で伝えないのか、と言いたげな団長を静止し、グリーンは再び文字を綴る。そして綴られたのは「でも声が全く出ません。どうしましょう!!」という絶望的事実。団長はわなわなと身体を震わせ、手を叩いて下っ端達を呼び、即座にグリーンを拘束した。
「救護室に連行しろ!!」

●ハンターの皆さん助けて下さい
「……というわけで、本物のハンターによるイベントを二周年と半年イベントとして開催したいそうです。いかがでしょうか?」
 受付嬢は「何で二年と半年でイベントするんでしょうね?」と苦笑しつつ、ハンタスティック・ファイブ通常公演のパンフレットを見せてくれた。

 パンフレットには、
「世界征服を目論む悪の組織『ザツマトテップ』から人々を守るのは冷静沈着頭脳派リーダーのレッド、厨二系男装ガールなブルー、熱血お転婆おネエのイエロー、ヒロイン系男の娘のピンク、無口な褐色イケメン王子のグリーンという個性豊か過ぎる五人組『ファンタスティック・ファイブ』――彼らは今日も平和のために、ハンタスティック・パワーを使うのだ!!」
……と、記されている。色々ツッコミどころが多い気がする。

 受付嬢の調査によると、どうやら笑えて泣けて、そして熱い展開が話題の演目らしい。困ったことに全く想像が出来ない。
 しかし今回の依頼は『ハンター達に代理で演者をやって欲しい』というもので、ハンタスティック・ファイブの世界観そのものを理解していないと厳しいように思える。依頼内容を聞いていたハンターが「大丈夫なのか」と受付嬢に問えば、彼女は困ったような笑みを浮かべてみせた。
「一応ハンタスティック・ファイブのイベントなので、ハンタスティック・ファイブ役の方は欲しいそうです。しかしいきなり代役というのも無茶なので『瀕死のグリーンの呼びかけに応えて助けに来た、普段は平行世界で戦っているハンタスティック・ファイブ』という何かもうハチャメチャな設定で行くそうです。だから全然違うキャラでも問題ないし、こっちで辻褄合わせるからどうぞご自由に、だそうですよ」
 つまりハンタスティック・レッドが頭脳派ではなく熱血系になっていたり、女性が演じていたりしても全く問題無いとのこと。
 少々のはっちゃけ設定や展開は団長演じる司令官と声が出ないグリーンがそれっぽくアドリブしてフォローするから、ハンター達は敵対組織ザツマトテップ相手に戦う様子を見せてくれたらそれで大丈夫なのだとか。
「敵対勢力のザツマトテップ役も欲しいそうです。皆さんに演じて頂くのは『弱ったハンタスティック・ファイブを一網打尽にするために緊急結成された強敵勢』という設定の特殊部隊だそうです。最後負けてくれさえすればもう何でも良いよ、とのことだったのである意味ハンタスティック・ファイブより自由度高いですね」
 要するにちょっとした演技を挟みつつ、ハンター対ハンターの模擬戦みたいなものをイベントとしてやって欲しい、という依頼である。
「『お客様に怪我をさせない』、『一応子ども向けイベントなのでドロドロ恋愛劇場とかハンタスティック・ファイブメンバーが死ぬとか残酷すぎる展開にしない』、『死者を出さない』辺りの事を守ってくれさえすれば、何したって良いそうです。何なら魔法を格好良く演出するためにステージ吹っ飛ばしても良いそうです」
 このためだけに団長は会場をいつものホールから開けた空き地へ移す手配をしたんだとか。ド派手な演出で子ども達や保護者を魅了させてくれればそれで良い、とのことらしい。団長太っ腹である。
「とりあえず、参加者の皆さんが役者としてやりたいことを考えて、思い思いに演じてみて下さい。後はハンターの皆様を愛してやまない団長が何とかしてくれます」
 どうか団長が悲しまない設定を心掛けて下さいね、と受付嬢はハンター達に会場までの地図を手渡した。

リプレイ本文

●作戦会議
 受付嬢が提示した『寸劇の代役募集』に関する依頼書を受け取り、エメラルド・シルフィユ(ka4678)は軽く首を傾げる。
「むむ……ひーろーしょーか……」
 普通の寸劇ではないらしい。しかし、変わった依頼である。それ故、偶然受付嬢が説明する場面に居合わせたハンター達が興味を持ち、少しずつエメラルドの周りに集まり始めた。
「活劇か、悪くないね」
「面白そうですね、私にも見せて下さい」
 依頼書を覗き込んだのは、紅咬 暮刃(ka6298)とエルバッハ・リオン(ka2434)。集まった三人は誰からということもなく、依頼について話し合い始めた。その様子を眺めていた神紅=アルザード(ka6134)にエルバッハが気付く。
「こんにちは。あなたもどうですか? まだまだ人手が足りないので、結局依頼自体受けられないかもしれませんが」
 エルバッハの言葉に、神紅は集まった面々を一瞥する。人が足りないという問題についてしばし考え、神紅は笑った。
「それなら、私も一肌脱いじゃうわよ!」
 神紅は一度エルバッハ達の前から姿を消した後、三人を引き連れ戻って来た。一人は「やれやれ」とでも言いたげな表情の雲雀(ka6084)、いまいち状況が分かっていなさそうなエステル・ソル(ka3983)、最後に彼女の妹、紅媛=アルザード(ka6122)。
「あ、あの!? ち、ちょっと待って! 寸劇なんて私無理! 無理ですから! 姉様ぁ!」
 諦めの境地に達している雲雀と特に動揺することなく依頼書を読み始めるエステルに対し、紅媛は可哀想な程に狼狽えてしまっていた。
「何かあったのか?」
 紅媛の悲痛な叫びに呼び寄せられたのはレイア・アローネ(ka4082)。友人である紅媛を心配してやって来たらしい彼女だが、事の顛末を聞いて「なるほど」とおもむろに頷く。
(寸劇……それも、戦う様子を見せれば良いのか。殺陣のようなものか……?)
 微妙に依頼内容を勘違いしたまま「協力しよう」と申し出たレイアを加え、ソサエティ内で話し合いは続く。ひとまず配役とざっくりした設定は決めておこうという話になった――エメラルドが何故かイエローを拒んでホワイトという新しい色を入れ込んだり、神紅がヒーロー役をやりたいと駄々をこねたりエルバッハの愛称が『エルちゃん』に決まったりとまあ、色々あったが、ある程度内容は固まったのであった。


●本番直前
 数日後、ハンター達は劇団の団長の元を訪ねていた。本番前の打ち合わせ及び準備を行うためだ。
「いやはや、本当に助かる……」
 渡された配役表を見た団長はハンター達と配役表を交互に見て首を傾げる。
「ホワイト? イエローではなくて?」
「平行世界なら違う色になっててもおかしくないだろう?」
「そうだな、大丈夫だ。期待しているよ!」
「ああ」
 ハンタスティック・ホワイト。平行世界における司令の娘で、チームのお助けキャラポジション。元の舞台でいうレッドに近いポジションだ。
「そして、レッドがあなたかな?」
「はい! 燃えるファイアーな心で悪を討つのです!」
 名乗りを挙げたのは雲雀。子ども向けショーを好むだけあって、大変子ども受け良さそうなキャラを演じてくれそうだ。
「賑やかで楽しそうだ。私も楽しみだよ……おや?」
 彼は数名のハンターが舞台向けの衣服を用意していることに気付き、嬉しそうに頭を下げた。
「衣装も色々考えてくれたんだね、助かるよ」
「いえいえ、私は男装しますね。元のブルーさんとそこは同じなのです」
「私は着ぐるみを着ます。悪役っぽく黒に染めたいので、場所借りますね」
 ウィッグの調整を始めるエステル、持ってきたうさぎの着ぐるみを黒く染めるエルバッハの様子を眺め、レイアは「自分はどうしようか」と悩み始める。そんな彼女の肩を叩き、神紅は楽しそうに微笑んだ。その手には、露出過多な黒と赤の衣装。
「こういうのはどう?」
「ふむ……普段の格好とそんなに変わらないが、なんか禍々しさが増してるな」
「私は幹部シンク=ソトースとしておっぱいの魅力を人々に伝えるの! おっぱいの力で世界を征服するのよ!」
「は?」
 神紅は自分用のトゲトゲした露出多めの衣装を纏い、困惑するレイアの前で恰好良くポーズを決める。これには、他のヒーロー達の傍でほのぼのしていた団長と雲雀もすっ飛んできた。
「それは駄目だ!! 子ども達の教育に悪いじゃないか!!」
「神紅!! 団長を困らせないで下さいって受付嬢さんも言っていたでしょう!? そんな設定、認められません!!」
「えーっ」
 こうして衣装はともかく神紅作の設定は団長と雲雀の連携プレーにより没となった。

 空き時間、エステルと暮刃は元の台本の読み合せを始め、エルバッハは魔法の使用許可等の打ち合わせを行っていた。随分と手際が良い。表情を見る限り彼女、どうやら演劇慣れしているらしい。そんなエルバッハの横顔を、紅媛がチラチラと見ている。
(どうしよう……)
 エルバッハとは対照的に、彼女はやはり自信が無さそうな様子だ。それでも子ども達に悲しい顔をさせるわけにはいかないと台本に視線を落とすのだった。
「あれ?」
 紅媛同様に台本に集中していたエステルと暮刃。元の台本を弄り、展開を考えているうちに二人はあることに気付いた。
「エステル、僕らキャラ被ってない?」
「あっ!」
 ここで痛恨の『キャラ被り』――エステルの役はハンタスティック・ブルー。長い髪をウィッグで隠し、薔薇を武器に戦う男装のイケメンである。
 対する暮刃はハンタスティック・グリーンを演じる。元のグリーンとは対照的な白い肌を持つイケメン設定で行くつもりのようで、雰囲気が丸被りしているのだ。
 不幸中の幸い、暮刃が何かを思い付けたらしく、晴れやかな表情で顔を上げた。
「ライバル設定にしよう! それなら行けるよ!」
「そうですね! それに、普通にやるより面白そうです!」
 準備や打ち合わせ、リハーサルを終え――そして当日、舞台の幕は上がる。


●ハンタスティック・ファイブ ―特別編―
 ハンタスティック・ファイブを倒すべく結成されたザツマトテップ新勢力――幹部シンク=ソトース(演:神紅)と配下のレイアルホテップ(演:レイア)とブラックウサピョン(演:エルバッハ)。
 レッド、ブルー、イエロー、ピンクは新勢力を前に呆気なく倒され、たったひとりで戦っていたグリーンも、もはや限界でした。

「グリーン!」
 基地前で倒れたグリーンの元に駆け寄ったのは司令官(演:団長)です。司令官は悔しげに顔を歪め、目を伏せるのでした。
「我々の力ではここまでか……ッ、グリーン……?」
 司令官に支えられながらも、グリーンは震える手を掲げました。天へ向けられたその手は、何かを掴もうと、決して諦めはしないと言わんばかりにまっすぐに伸ばされています。司令官はおもむろに頷き、そして叫ぶのです。
「ハンタスティック・パワーよ! どうか、グリーンの声に応えてくれ!」
 ハンタスティック・パワーの源は、未来ある子ども達の願いの力。いつも以上に多く集ったその力は、ハンタスティック・ファイブに奇跡をもたらしたのです!

「っ、何だ!?」
 その時、皆の視界が真っ白になりました。強く、煌く光。それが落ち着いた頃に聞こえてきたのは、若い少女の声。
「いかなる悪がはびころうとも、正義は必ず裁きを下す!」
 何ということでしょう。基地の上に、陽光を浴びて輝く人物が五人もいるではありませんか。先頭に立つメイド少女(演:雲雀)は、司令官とグリーンを見下ろして叫びます。
「我ら、正義の使徒! ハンタスティックぅぅ、ファイブ! ここに見参!」
 基地から飛び降り、絶望の淵に立たされていた司令官とグリーンを三人の女性が取り囲みます。
 ちなみに薔薇の香りを纏った青髪の少年(演:エステル)は盛大に着地に失敗し、それを不満そうな顔をしつつ待っている緑の着物を纏う少年(演:暮刃)は少し離れた場所にいます。
「ハンタスティック、ファイブ……!」
 驚くふたりに手を差し伸べ、艶やかな金の髪を風に靡かせる仮面の娘(演:エメラルド)は柔らかな笑みを浮かべました。
「私達はこことは違う世界……『平行世界』とでも言おうか? まあ、そんな感じの場所からやってきた。私はハンタスティック・ホワイト。よろしく頼む」
「わ、私はハンタスティック・ピンク! あっ、あっちのふたりはブルーとグリーン!」
「そして! 私がハンタスティック・レッド! 私がリーダーです!」
 ホワイト、ピンク、ブルー、グリーン、レッドを名乗る五人組。姿形はいつものハンタスティック・ファイブとは全く違います。ですが、司令官にもグリーンも、彼女らが本当に『ハンタスティック・ファイブ』であると感じ取っていました。

「やれやれ、ブルーはどんくさい。やっぱり、ボクの方が上だね!」
「そ、そんなことないよ! わたくしも負けてないのです……!」
 不満げなブルーと共にやってきたグリーンは「当然だろう」と言わんばかりに肩を竦めてみせます。このふたり、一体何を争っているのでしょうか?
 グリーンは司令官に支えられた、この世界の自分に手を差し伸べました。
「もう一人のボク……力を振り絞った伝言は受け取ったよ……さあ、今こそ二つに分かれた力を一つに戻す時だ!」
「……!」
「キミとボクが融合すればその力は何倍にもなる!」
 この世界のグリーンは目を見開き、微かに視線を泳がせた後、『もうひとりの自分』と熱い握手を交わしました。力の譲渡が行われたのです。もうひとりの自分に力を与え、グリーンは気を失ってしまいました。
「ありがとう……これなら、勝てる!」
 力を受け取った、平行世界のグリーン。彼は自分の手のひらを見つめ、拳をぐっと握り締めます。
「ブルーに!」
「えっ」
 平行世界のグリーンとブルー、やはり何か争っているようです。唖然とする司令の肩をポンと叩き、レッドは静かに首を横に振るいました。
「後は私達にお任せ下さい」
 あくまでも平行世界ハンタスティック・ファイブのまとめ役として、レッドは司令に微笑みかけます。そして彼女は、自身の仲間達に向かって声を張り上げます。
「皆さん! 力を合わせて倒すのですよー!」
 レッドの呼び掛けに「おおーっ!」と答える者、黙って頷く者、反応はそれぞれですが、統率は取れています。これなら、きっと大丈夫でしょう。
 そして平行世界のハンタスティック・ファイブは司令官に別れを告げ、この世界の彼らに代わって戦地に赴くのでした。


 司令の指示に従い、ハンタスティック・ファイブは隣町へと向かいました。そこでは既に、ザツマトテップ幹部による略奪行為が行われていたのです!
「かわいいもの大好きシンクは世の中のかわいいものをひとりじめするのよー! ふははははー!」
 少女達(演:モブ役の皆様)を捕らえ、ひとりで高笑いしていた幹部、シンクはハンタスティック・ファイブの存在に気付き、口元に弧を描きます。レッドは心底嫌そうに顔を歪めました。ホワイトもレッドと共に前に出ます。
「あらー、可愛らしい子達が来たじゃない!」
「ッ、あなたがシンク=ソトースですね!!」
「こちらの世界でも暴れているのか! ザツマトテップ!」
 曰く、シンクは可愛いものをこよなく愛する性癖も新手な幹部で、困った事に平行世界のハンタスティック・ファイブは愛らしい容姿を持つ者ばかり。変な意味で戦闘態勢に入ったシンクに対抗する為、五人も闘志を高めます。
「い、いくぞ、姉ぇ……じゃなくて、ザツマトテップ!」
「うふふ、可愛い……さあ、二人共! やっておしまいなさい!」
 ピンクに対しても笑みを浮かべた後、シンクは配下の二人を召喚して後ろに下がってしまいました。現れたのは、ブラックウサピョンとレイアルホテップです。
「私は黒ウサギ怪人ブラックウサピョンだピョン。こう見えても強いんだピョン。それを今から見せてやるピョン」
「ぜ、絶望の淵に沈むがいい……ハンタスティック・ファイブよ……!」
 彼女らは命じられるがまま、ハンタスティック・ファイブに襲い掛かります!
「くらえだピョーン!」
 先手を取ったのはブラックウサピョン。彼女は炎と雷撃を放ちました。仮面の下で目を細め、ホワイトは勇敢に駆け抜けていきます。
「確かに強い……だが、甘い!」
 その手には、ホワイトの名に相応しい白い光を纏う剣。同じく剣を手にしたグリーンも参戦します。
「さあ、いくぞ! 秘剣・翠玉鳳麟斬!」
 魔法と剣が交差し、派手に火花が飛び散ります。ホワイトとグリーンの特攻に押されるブラックウサピョン。
「さ……させるか!」
「!」
 彼女を援護するため、ホワイトの背後から剣を手にしたレイアルホテップが襲いかかります。気付くのが遅れ、ホワイトは剣で攻撃を受け止めるも、衝撃で地面を転がりました。
「く……っ」
「とどめだ!」
 体勢を崩したホワイトに振り下ろされる剣。しかしその刃は、間に滑り込んだピンクの刀によって阻まれるのでした。
「手出しはさせない!」
「ふっ、やるな!」
 おどおどしていたピンクの、力強い眼差し。それを見たレイアルホテップは愉しげに笑います。その後ろを、レッドとシンクが駆けていきました。
「ほらほら逃がさないわよレッドー!」
「しつこい!」
 レッドは素早い身のこなしで瓦礫の山を駆け上がり、シンクを撹乱します。彼女の背後から、武器を手に上空を舞うブルーが飛び出しました。
「可愛い子は微笑んでこそ愛らしさが引き立つのです。可愛い子に怖い思いをさせてはいけないのですーーー!!」
 叫び、彼女が繰り出したのは猛吹雪。それは幹部達の視界を遮り、身動きを封じます。ハンタスティック・ファイブ達は互いに顔を見合わせ、頷きました。
「みんな、今こそ友情パワーを見せるのです!」
 叫び、レッドは巨大な狐の幻影を纏います。他の四人もそれに合わせ、武器を構えて身動きの取れないザツマトテップ達に向かって駆け出しました!
 見た目も性格もバラバラな五人。そんな彼女らが一致団結した刃となって、悪を切り裂きます。薄れていく幻影の中心で、レッドは大きな声で叫びました。
「ヴィークトリーー!!」
 ザツマトテップ幹部達は慌てて逃げて行き、ふと、“演者”達は視線を前に移しました。
 ステージ上の演者達へ送られるのは、子ども達の満足げな歓声。付き添いの大人達も、穏やかな顔で我が子の様子を見ています。

 そうして訪れる、劇のクライマックス。最後の締めは、リーダーであるレッドの仕事。
「私達は平行世界に帰ります。これからもお互い、頑張りましょうね!」
 全てが予定通りには進まなかった。しかしお客様が喜んでくれたのならば、『成功』と言えるのではないだろうか――拍手喝采の中、ハンター達はステージを降りるのであった。

依頼結果

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  • 笑顔を守る小鳥
    雲雀ka6084

重体一覧

参加者一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 部族なき部族
    エステル・ソル(ka3983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 悲劇のビキニアーマー
    エメラルド・シルフィユ(ka4678
    人間(紅)|22才|女性|聖導士
  • 笑顔を守る小鳥
    雲雀(ka6084
    エルフ|10才|女性|霊闘士
  • パティシエ
    紅媛=アルザード(ka6122
    人間(紅)|14才|女性|舞刀士
  • 背後にお姉さん
    神紅=アルザード(ka6134
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • 憂う友の道標
    紅咬 暮刃(ka6298
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/05/04 23:44:06
アイコン 質問卓
エメラルド・シルフィユ(ka4678
人間(クリムゾンウェスト)|22才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/05/03 21:31:58
アイコン 楽屋(相談卓)
エメラルド・シルフィユ(ka4678
人間(クリムゾンウェスト)|22才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/05/05 12:38:27