狼さんは赤色がお好み?

マスター:一縷

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/12/16 19:00
完成日
2014/12/23 22:31

みんなの思い出

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オープニング

●冬の訪れ
「今日は一段と冷えるのぅ……」
 老婆は皺だらけの手を擦り合わせながら呟く。
 つい最近まで紅葉が空を占めていたというのに、いつの間にか次の季節が訪れていた。
 吐く息は白く、吸い込むと体の芯まで冷えてしまいそうになるくらいの冬の始まり。
 そろそろ暖を取る為の薪を集めなければいけない。
 その為には森に入らなくてはならないのだが、一つ困ったことがあった。
 以前までその森は安全な場所だった。
 森を進めば少し開けた場所では子供たちが走り回って遊ぶことが出来るし、茸や木の実が豊富で村人の生活面にとっても欠かせない場所になっていた。

●森の危機
 ある日、森で遊んでいたはずの子供が息を切らしながら慌てて帰って来た。
「おばあちゃん! おばあちゃん……!!」
「おやおや、そんなに慌ててどうしたんじゃ?」
「森に! 森にね……!」
 肩を大きく揺らしながら少年は言葉を続ける。
「森に、大きな、犬みたいなの、が……っ」
 こーんな、こーんな、と腕をぶんぶんと振りながら、小さな体で見て来たものの大きさを表現する。
「それは、本当かい?」
「本当だよ! 僕、おばあちゃんに貰ったマフラー落としちゃって探しててねっ。見つけたと思ったら、その大きな犬がいて、僕のマフラーを咥えようとしてたのっ。それでねっ、隠れて見てたら大きな犬に見つかって、追いかけられそうになったから頑張って走ったんだもん……っ!」
 息もつかず一気に言い切る少年に、老婆は眉根を寄せながら水の入ったコップを手渡す。
 嘘とも取れない言葉に、老婆は報告として村長に伝えておこうと心に決める。
「後ね! その大きな犬、お怪我してるのかな? 体にね、他にも赤いのが見えたんだ」
「……怪我かい?」
「あ……!! 僕、マフラー取り返しに行かなきゃっ」
「何を言っておるんじゃ!」
 今にも駆け出しそうな勢いの少年を老婆は慌てながら引き留める。
 普段なら行かせたかもしれない。一緒にマフラーを取りに行こうと提案も出来たかもしれない。
 だが、今回に限ってはそれを許すことは出来なかった。
「大きな犬がおったんじゃろう? 行ってはならん」
「だって……、だって……! あのマフラーお気に入りなんだもんっ!」
 うっすらと涙目になる少年に、老婆は微笑みながら頭を撫でる。
「なぁに、それくらいなら、また編んでやるから。の?」

●村長の決断
 それ以来、その森は万が一を考え、出入りを制限されるようになった。
 調査の為と森に入った猟師の情報によると、姿を確認することは出来なかったが、確かに普段は見慣れない大きな獣の足跡があったとの事だ。
 さらに、木には大きな引っ掻き傷や、森に生る木の実を喰い荒らした跡が見つかったと。
「……犬と言っていたな……多分、狼か何かだろう」
「しかも、足跡からすると相当の大きさだ。普通の獣じゃない。後は、マフラーの事だが……」
「……ああ」
 猟師の言葉に村長が頷く。
 実は、森で物が無くなったのは初めてではなかった。
 大きな犬の情報を得てから、村長は村人に何か情報はないかと聞きまわっていた。
 時折出てくる『森で物を無くしている』『無くした物は赤色』という言葉が妙に引っかかる。
 いずれも目を離した内に無くなっていた為、どこかにやってしまったのだろうかと深く気に留める者は少なかったのだ。
「少年も赤いマフラーを無くしたそうじゃないか……」
 村長と猟師がしかめっ面のまま相談をしていると、コンコンと戸をノックする音が小さな部屋に響く。
「村長さん!!」
 戸を開けて入ってきたのは、あの少年だった。
「あの森に入るんだよねっ? 僕の! 僕のマフラーも一緒に探してっ! きっとあの大きな犬が持ってるんだっ!」
 必死に訴える少年に、絶対は約束できないよ、と村長は言いながら頷く。
 森は村人が生活して行く為に大切な場所だ。それに、もしその獣が森を降り、村を襲うことがあれば犠牲者が出てしまうかもしれない。
 村長は急いで筆を取り、ハンターオフィスへと手紙を書く。

『どうか、私たちの村を救ってはくれないだろうか。 村長』

リプレイ本文

●狼退治は確実に
 吐く息は白く、少しでも温もりを得ようと擦る手は悴む。
 今は時間的に言えば午前。しかし、陽は射しているものの、ここ数日で一番寒い日にも感じられるくらいだ。

「なあ、少年よ。大きな犬に会った時の事を教えてくれないか?」
 神門 聖十郎(ka3602)は狼を目撃したという少年がいる老婆の家を訪れいていた。
「……お兄ちゃんは、ハンターさんなの?」
 少年は首を傾げる。初めて見る相手だ。どこか警戒しているのかもしれない。
「ああ、ハンターだ。大きな犬を退治しに来た」
 神門は少年と目線を合わせる様に地に膝をつく。
「もう一度聞こう。大きな犬は森のどの辺にいたか覚えているか?」
 小さく頷いた少年から、『大きな犬の情報』を聞き出していく。
 一通り聞き出した神門は立ち上がり、少年の頭に手を乗せた。
「無くしたマフラー、大事なものなんだろ? 兄さんが取り返してやるよ……男の約束だ」
 くしゃくしゃと手を動かして髪の毛を混ぜ、老婆に微笑みながら軽くお辞儀をする。
「約束だよ! 絶対だよ!!」
 少年の言葉を背に軽く手を挙げて格好良くその場を後に――しようとしたはずが、小さな石に躓く。
 転びはしなかったものの、なんとも締まらない。神門は咳払いをしながら、今度こそ、その場を後にした。

「猟師さん、あのね、森の地図とかってあるのかな……?」
 村長宅を訪れていたファリス(ka2853)は森を調査したという猟師に問いかける。
「村全体の地図はあるんだがね、森だけってなると……」
 申し訳なさそうな表情で猟師は首を横に振った。
「……そうなの。じゃあ、森の中のことを教えて欲しいの」
 ファリスはペンと紙を手に取る。
 猟師から森の中のことや、爪痕、足跡があった位置など可能な限り細かく情報聞きだし、大まかな地図を作成する。
 森の中で雑魔を捜索する際に皆で情報を共有しやすいようにと配慮しての行動だ。
「出来れば、わたし達より土地勘のある、あなた方に同行をお願いしたいんだけど……」
 スーズリー・アイアンアックス(ka1687)は、その場にいたもう一人の猟師に声をかけた。
 ハンターよりも森の内情に詳しい彼らが一緒に居れば、案内等を任せられると考えたからだ。
 もちろん、雑魔からは必ず護り切る、と言葉を付け加えるが……。
「……いや、それは……」
 眉根を寄せながら猟師よりも先に村長が口を開き、言葉を濁す。
 村長の言いたいことは、その表情を見れば、全てを言わずとも分かった。
「あなた方を信頼してないわけではありませんが、……やはり……」
 森の中には雑魔が居るのだ。木々に深々と残された爪痕は見逃せない。
 ハンターが傍に居て護ると言っても、やはり心配なのだろう。猟師たちも護るべき村人には違いないのだから。
 スーズリーは何も言わず頷く。代わりに『赤いモノ』を用意してほしいと村長に告げた。


●狼の居る森へ
 ライナス・ブラッドリー(ka0360)は、仲間から少し離れた場所で紫煙を吐いた。
 愛煙家の彼は戦闘前の一本の煙草を咥えながら森の方を見つめる。彼の腕には赤いバンダナが巻かれていた。
「村長に赤い物をいくつか用意してもらいました」
 スーズリーは村長から受け取ったバンダナや毛糸玉等をハンター達に手渡す。
「いえ、わたくしは……囮や罠の設置はあなた方にお任せします」
 ガーベラ・M・ベッドフォード(ka2401)はフードを被り直しながら受け取りを拒否する。
 全員が同じ行動をすれば、戦闘には隙が出来る。赤い物に惹かれているのなら尚更だ。
 赤い物を所持した仲間に気を取られている間に死角から敵を攻撃することも出来る。
 胸の内は分からないが、彼女なりの考えがあるのだろう。
「森のどこに罠を設置するかは行ってから決めようぜ」
 鳴神 真吾(ka2626)は自らの手首にバンダナを付け、いくつかの赤い物を手に取る。
 ファリスが作成してくれた地図を確認しつつ、ハンター達は森へと歩みを進めた。


 ハンター達は森へ入り、小さな広場へと進む。狼が目撃されたのはもう少し奥の方だ。
「……この辺で確認されたそうだな」
 ライナスは視線だけで辺りを見渡す。今のところは見当たらない。
 入り口付近では確認できなかったが、奥に進めば進むほど狼が居るという痕跡が多く残っていた。
「とりあえず、この辺に仕掛けようぜ」
 鳴神を先頭にハンター達は近場にあった木にバンダナを括り付けたり、適当な場所に毛糸玉等を幅広く置いて行く。
 これは狼の雑魔を誘き出すための罠となる。
 設置し終えたハンター達は罠から距離を取り、身を潜めて周囲の警戒を開始した。


 しかし、数分経っても狼らしき姿は見えない。小さな溜め息を吐きつつ、神門が動こうとしたその瞬間……。

 ―――グルルルルッ

 静かな森に地を這うようにして小さな声が響き渡る。
 途端に緊迫感が空気を支配する。全員が声のした方へと視線を凝らした。
 遠くに見えるあれは……。

 狼だ。

 木に括り付けられている赤いバンダナに惹かれ、夢中になっている。
 全員が息を殺す。狼に気づかれて逃げられてしまっては意味がない。
「……あれ」
 誰が呟いたのかは分からない。でも、全員が気づいたことがある。
 一目瞭然だった。
 狼の首付近に巻かれている赤い布のような物。あれは間違いなく少年が無くしたというマフラーだろう。
 視線だけで合図を送り、小さく頷いた鳴神は一歩踏み出した。
「おい、貴様!!」
 鳴神は良く通るであろう声で腹から叫んだ。
 ぴくりと狼の耳が揺れる。ゆっくりとした動作で狼が鳴神を視界に捉えた。
 左腕を高々と上げ、手首に巻いている赤いバンダナを見せつける。
 狼の目の色が変わった気がした。どうやら標的を変えたらしい。真っ直ぐと鳴神を見据えて姿勢を低くする。
「貴様にとっては数ある戦利品でも、あの子にとってはたった一つの大切な物だ!」
 腰に差していたサーベルを抜き、狼に鋭い剣先を突きつける。

「返してもらうぞ! 絶対に!!」

 残ったハンター達は各々攻撃の隙を窺いつつ、静かに動き出していた。
 狼は鳴神に気を取られている。今だ、と判断した神門はメリケンサックを握り締め、地を蹴る。
 腕を大きく振りかぶりながら狼の背に向けてその拳を振り下ろそう、とした。
 しかし、拳は空を切り地面を叩きつける。この狼は素早さに特化しているらしい。

 ―――ガルルルルルルッ

 狼を挑発してしまったみたいだ。
 毛に覆われているとはいえ、分かりやすく眉間に皺を寄せ、鋭い眼光のまま唸っている。
「戦うのはちょっと怖いけど、兄様姉様達の脚を引っ張らないように、ファリスも頑張るの!」
 少し怯えた様子のファリスがワンドを握り絞める。青い瞳の様な宝石が、陽に反射してキラリと光る。
 その瞬間、狼の足元にマジックアローが降り注ぐ。狼は身を翻して矢をかわすも、衝撃でふらついた。
 しかし、すぐに態勢を立て直した狼はファリスに向かって走り出す。
「……!」
 慌ててマジックアローを放つが、素早さには追い付かない。
 鋭い爪が鈍く光る。ファリスに振り下ろされようとしたその瞬間―――


 ―――バンッ


 破裂音よりも早く、狼の鼻先を弾丸が掠る。
「他にも居るということを覚えておくんだな」
 ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、猟銃を構えたライナスが姿を見せる。
 そう、ハンター達は一人ではない。例え敵が素早くとも、連携すれば倒せない相手ではない。
「……なんとでもなるでしょう」
 ぽつりと呟きながらガーベラは前衛で戦うであろう鳴神と神門にプロテクションを使用すると、淡い光が二人を包み込む。
「さあ、追い詰めよう!」
 スーズリーがアサルトライフルを構える。
 少し照準が揺れている気がするのは、突撃を主とした攻撃を得意とする彼女だからかもしれない。

 しかし、狼も簡単に撃たれるほど馬鹿ではない。
 態勢を立て直した狼は、ハンター達に向かって大きな口を開け、牙を見せつけながら威嚇するように吠える。
 スーズリーは咆哮に圧されつつも、駆け回る狼に向けてアサルトライフルの引き金を引く。
 狙いは正確だった。しかし、狼の素早さの方が上回る。
 弾丸の多くは狼の胴体を掠るだけで致命傷を与えることはなかった。
「狙うなら首以外だ!」
 赤い物で気を惹く。作戦のうち一つは成功だ。次の作戦に移るべくハンター達は動き出す。
 鳴神は狼に向かって走り出した。……そう。もう一度、狼の気を惹くためだ。
「そうだ、こっちを見ろ!!」
 今はトドメをさす必要はない。触れるだけでもいい。掠めるだけでもいい。 
 サーベルが狼の足首を捉えたその瞬間、小さな光が弾け、電撃が走ったかのように見えた。
 エレクトリックショックによる麻痺が狼を襲ったのだ。
 ふらりとよろけつつも狼は地を蹴り、木々をバネにし再び走り出そうとする。
「逃がさない、なの!」
「動き回られては困りますので」
 ファリスが強くワンドを握り絞め、ガーベラがウィップを打つ。
 ウォーターシュートが狼の目に当たり視界を奪う。
 追撃のようにシャドウブリットが放たれ、鞭が狼の足首に絡みつく。


 今だ。


 スーズリーが神経を集中させる。動かずに狼の動きを見据え、再び引き金を強く引いた。
 銃口から発射した弾丸はマテリアルの込められたシャープシューティング。見事、狼の足に命中。
 それでも逃げようとする狼を更なる弾丸が襲う。
 ライナスの銃から放たれた威嚇射撃により逃げ場を失った狼が狼狽える。
「どうした狼、襲わないのか? ……いや、俺の髪はやめろ。絶対だぞ!」
 目深に帽子を被った神門が身を屈めつつ、懐に滑り込む。隙を与えず、土手っ腹に拳をうち込んだ。
 バランスを崩した狼の隙を狙い、首に巻かれたマフラーを抜き取り即座に離脱。
 さあ、容赦は必要なくなった。
「終わりだ!!」
 鳴神がサーベルを構える。

「マテリアルセイバー! ガイアンバルスッ!!」

 マテリアルを纏った剣を大段上に構え、一刀両断。彼の必殺技だ。
 狼の大きな体が地面に打ち付けられる。グルル……、と弱々しい呻き声を上げながら狼は姿を消した。


「終わりましたね」
 ガーベラが鞭を片しながら言う。森には再び静寂が訪れていた。
「おい」
 ライナスが全員に声をかける。視線と顎だけで示された場所には、罠として設置したものとは異なる赤い物が見える。
「もしかして、狼が奪った赤い物、なの?」
「そうみたいだね」
 首を傾げたファリスの横でスーズリーが頷きながら歩み出す。
 近づけば遠くからでは分からない、奥まった洞穴のような場所を発見した。
 中にはパッと見ただけでもチラホラと赤い物が散乱している。
「持って帰ろう。状態の良い物は持ち主に返した方がいいだろう」
 鳴神は散乱した赤い物を丁寧に拾い上げ、こういう時の為にと猟師から借りていた大き目の袋に詰めていく。
「……少年のマフラーは取り返したが……」
 神門は思っていた以上に解れていたマフラーを手に小さな溜め息を吐く。
 しかし、狼の雑魔を倒し、少年のマフラーを取り返すという目的は果たされた。
 ハンター達は互いに目配せをし、どことなく満足そうに頷き合った。


●少年のもとへ
 狼の雑魔を討伐し終えたハンター達は、マフラーの他にいくつか発見した物を手に、村に戻ってきた。

「村長、物を無くした人達のこと、教えてもらってもいいか?」
 鳴神は持って帰って来た物の状態の良い物だけでも、持ち主の元に返却しようと考えた。
 村長は、その場に居た猟師たちに声をかけ、持ち主への声掛けを依頼する。
「そのうち来るはずだから、ちょっと待っておくれ」
 鳴神は頷き、状態の良い物と悪い物の選別を始める。
「本当にあなた方にはなんとお礼をしていいか……ありがとうございました」
 村長が頭を下げる。鳴神は、顔を上げてくれと村長の肩に手を乗せた。
「雑魔を倒して、困ってる人を助けたり護るのが俺達の仕事だぜ?」
 ぐ、と親指を立て、にかっと笑って見せる。村長も釣られるかのように小さく微笑んだ。

「仕事も終わったし、俺と一緒にレストランで食事でもどうだい?」
 神門は帽子を取り、いわゆる、スマイルを浮かべつつガーベラに声をかける。
 女性が居れば声をかけられずにはいられない性格のようだ。
 しかし、ガーベラは神門の顔をちらりと見るだけで口を開こうとはしない。
 その時、神門の後ろに居たスーズリーと目が合う。どうやら食事という言葉に反応したらしい。
「レストランでしたら、そちらに興味のある女性がいらっしゃるようですよ」
 にこり、と笑って見せる。心からの笑みに感じなかったのは気のせいだろうか。
 そいつは残念、と呟きながら神門は振り返り、スーズリーに声をかけた。
「……フッ、そこの空のように青い美しい髪と瞳のお嬢さんはどうだい? 俺とこの後、食事でも」
「本当? 喜んでついて行きます!」
 少々食い気味に目を輝かせてスーズリーは頷く。
 承諾を得た神門は喜びつつも、少し複雑そうな表情をしたことにスーズリーが気づくことはなかった。

「……少しだけ、汚れちゃったの……ごめんなさい、なの」
 ファリスは所々解れてしまった赤いマフラーを手渡す。
 受け取った少年は赤いマフラーをぎゅっと抱きしめてからハンター達を見上げた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、取り返してくれて本当にありがとうっ!!」
 少年はとても嬉しそうに満面の笑顔で答えてくれた。
 その表情を見たライナスは何も言わずに少年の頭を軽く撫でる。そして煙草を取り出し、その場を後にした。
「あ! お姉ちゃん、これ、僕からのお礼!」
 思い出したように少年が大きな袋を取り出す。中身は袋いっぱいのクッキーだ。
「ファリス達にくれるの?」
「うん!!」
「ありがとうなの!」
 ファリスは少年から袋を受け取り、仲間の元へ駆け寄った。

 外に出たライナスは煙草を咥えながら、適当な場所に腰を下ろす。
 仕事終わりの一服。紫煙を吐きながら空を仰ぎ、他人が見ても絶対に分からない程度に口角を上げた。
 彼にも愛する家族がいた。厳つい容姿で不愛想に見られがちだがとても家族思いの男だ。
 少年の笑顔を見れたことになんとなく喜ばしい想いを抱きながら、彼は再び煙草を咥えた。


 こうして、ハンター達のおかげで村に再び平和が取り戻され、今日も森の広場では子供たちが元気に駆け回っているそうだ。

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重体一覧

参加者一覧

  • いつか、本当の親子に。
    ライナス・ブラッドリー(ka0360
    人間(蒼)|37才|男性|猟撃士
  • 金剛不壊
    スーズリー・アイアンアックス(ka1687
    ドワーフ|20才|女性|猟撃士

  • ガーベラ・M・ベッドフォード(ka2401
    人間(紅)|28才|女性|聖導士
  • ヒーローを目指す者
    鳴神 真吾(ka2626
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 新航路開発寄与者
    ファリス(ka2853
    人間(紅)|13才|女性|魔術師

  • 神門 聖十郎(ka3602
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼相談
神門 聖十郎(ka3602
人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/12/15 01:03:22
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/12/11 02:07:33