ゲスト
(ka0000)
春山に迫る影
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2018/05/12 19:00
- 完成日
- 2018/05/18 21:31
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●幕の裏側
西方のとある場所。
薄暗い建物の中で賑やかに談笑している声が響いていた。
隠し扉の入り口が動く。誰も意識を向けていたが、警戒する者はいない。
入ってきた男は久しぶりに見た顔であり、
「おお、遅かったな」
「冬もあったし、色々と見て回ってきた」
どこかがっかりしたようなそぶりを見せる男は頭を掻く。
「ははーん、お目当てがゲットできなかったんだな」
入ってきた男へ仲間が酒を手渡し、彼の心情をくみ取ってにまにま笑う。
「まぁな。けど、歪虚の汚染があった商品なんざ、浄化してもケチついた日にゃ目も当てられねぇ」
「なんだよ、曰くつきか」
「二束三文で売るには勿体ねぇ業物だった」
男の言葉に仲間の視線が向けられる。
「まだロクに使われていねぇ東方の刀だ。けど、一緒に押し入った盗賊の頭が魅入られちまったあと、歪虚が後ろからついてきやがってなぁ。そのまま帰ってきた」
「はは、美人だったか?」
「……面倒な美人だ。まぁ、暫くは別の方でも行くさ。お前らはどうしてた?」
酒を飲んだ男の首には炎のような赤色の羽根をあしらった首飾りがしてあった。
●
テトをリーダーとした部族なき部族は再出発をして一年近く経つ。
その頃に加入した滅ぼされた部族エーノス族出身のルックスも部族が信仰していた朱鷺をコードネームに貰い、訓練を重ねていた。
今も自身と幼馴染の分である二本の炎のような赤色の羽根が彼の首元で揺れている。
リーダーを支える山羊の下で任務をこなすこともあり、着実に成長している。
「ルックスの成長は目を見張るものだねぇ」
部族なき部族の女戦士である花豹が言えば、皆も頷いて同意した。
彼女らの視線の先にはルックスとテトが組んで山羊と稽古をしている。
ルックスの剣技は入った当初から格段に向上しており、身体的成長も伴い、力も速さも増していた。
「俺たちのリーダーは……」
一方、部族なき部族のリーダーであるテトはというと……。
「あーーーにゃーーー」
真っ向から突貫し、山羊に投げ飛ばされており、全員の目が死んでいた。
腕っぷしだけで先代リーダーであったシバに指名されていたわけではないので、仕方ない。
一番成長したのは精神面であり、元から得意な斥候を今でも率先として行い、的確な指示が出来るようになっていた。
その翌日、部族なき部族のメンバーが集まり、リーダーであるテトはルックスに告げる。
「ルックスも偵察の仕事をするのにゃ」
「何度かしてるんだけど」
口答えするルックスにテトは「違うのにゃ」と返す。
「今回は単独偵察にゃ」
辺境西部の歪虚の動きを確認しろというもの。
「そんなに構えることはないのにゃ」
現状は歪虚の動きも激しくない場所なので、訓練がてら行ってこいというもの。
「わかったよ」
気を抜くことはないが、ルックスはあまり気にせず承諾した。
歩いて数日、ルックスは辺境西部へ入っていた。
目的の調査場所は山の探索。
この時期になると、雪はすっかり融けており、山間を流れる川は雪解け水を含んでいるのか水位があがっているような気がする。
もう少し水位が上がっていると、氾濫しそうだった。
川を渡る為、ルックスは手近な木を探す。
錘付きの縄を木の枝に投げてしっかり引っかける。
「よし」
跳躍の反動で渡ろうとしたが、川の上流で悲鳴が聞こえた。
「エーリ!!」
上から聞こえる男の絶叫。ルックスは縄の先端を自身の腰に巻き付け、跳躍をすぐできるように構える。
急流の早さの中、小さな手だけが出していた。
死なせるわけにはいかない。
それしか考えられなかったルックスは跳躍し、何故か生きていると判断した手を目がけて腕を伸ばす。
「返してもらうよ」
山を守る精霊へ告げるようにルックスは呟く。
腕を組むように川から引っ張り出し、反対側へと降りる。
川に流されたのは辺境部族の民族衣装を着た幼女。水から上がった途端、幼女は咽て水を吐き出す。安心したルックスは大声を上げて呼びかけた。
幸い、ルックスの声が聞こえた男は駆けつけてくる。
幼女の姿を見た男は安心したのか、幼女を抱きしめた。
「エーリ! よかった……」
まだぐったりしていたが、意識はあるようだ。
「旅のお方……ありがとうございます」
男はダノスという名で、山の上で生活している辺境部族だった。
娘のエーリを見失い、探していたら川辺で足を滑らせ、流されたとのこと。
「運が良かったと思うよ。僕はルックス、丁度助けられてよかった」
「せめて、馳走をさせてください」
そう言われ、ルックスは部族にお世話になりに行った。
ダノスとエーリが属している部族はアケルという部族であり、周期によって移動をしており、つい先日この地に着いたそうだ。
お茶と焼き菓子を馳走になったルックスはこの辺の様子を尋ねる。
部族の人達の話によると、獣とは思えない獣の姿を下流の方で確認しているという。住居にはまだ気づかれていないので、いつ気づかれるかわからないとの事。
「ハンターに頼むしかない」
そう呟く老人にルックスがハンターの単語に反応する。
「善は急げです。僕も一緒に頼みます」
にっこりとルックスが言えば、部族の人達は「お願いします」と頷いた。
西方のとある場所。
薄暗い建物の中で賑やかに談笑している声が響いていた。
隠し扉の入り口が動く。誰も意識を向けていたが、警戒する者はいない。
入ってきた男は久しぶりに見た顔であり、
「おお、遅かったな」
「冬もあったし、色々と見て回ってきた」
どこかがっかりしたようなそぶりを見せる男は頭を掻く。
「ははーん、お目当てがゲットできなかったんだな」
入ってきた男へ仲間が酒を手渡し、彼の心情をくみ取ってにまにま笑う。
「まぁな。けど、歪虚の汚染があった商品なんざ、浄化してもケチついた日にゃ目も当てられねぇ」
「なんだよ、曰くつきか」
「二束三文で売るには勿体ねぇ業物だった」
男の言葉に仲間の視線が向けられる。
「まだロクに使われていねぇ東方の刀だ。けど、一緒に押し入った盗賊の頭が魅入られちまったあと、歪虚が後ろからついてきやがってなぁ。そのまま帰ってきた」
「はは、美人だったか?」
「……面倒な美人だ。まぁ、暫くは別の方でも行くさ。お前らはどうしてた?」
酒を飲んだ男の首には炎のような赤色の羽根をあしらった首飾りがしてあった。
●
テトをリーダーとした部族なき部族は再出発をして一年近く経つ。
その頃に加入した滅ぼされた部族エーノス族出身のルックスも部族が信仰していた朱鷺をコードネームに貰い、訓練を重ねていた。
今も自身と幼馴染の分である二本の炎のような赤色の羽根が彼の首元で揺れている。
リーダーを支える山羊の下で任務をこなすこともあり、着実に成長している。
「ルックスの成長は目を見張るものだねぇ」
部族なき部族の女戦士である花豹が言えば、皆も頷いて同意した。
彼女らの視線の先にはルックスとテトが組んで山羊と稽古をしている。
ルックスの剣技は入った当初から格段に向上しており、身体的成長も伴い、力も速さも増していた。
「俺たちのリーダーは……」
一方、部族なき部族のリーダーであるテトはというと……。
「あーーーにゃーーー」
真っ向から突貫し、山羊に投げ飛ばされており、全員の目が死んでいた。
腕っぷしだけで先代リーダーであったシバに指名されていたわけではないので、仕方ない。
一番成長したのは精神面であり、元から得意な斥候を今でも率先として行い、的確な指示が出来るようになっていた。
その翌日、部族なき部族のメンバーが集まり、リーダーであるテトはルックスに告げる。
「ルックスも偵察の仕事をするのにゃ」
「何度かしてるんだけど」
口答えするルックスにテトは「違うのにゃ」と返す。
「今回は単独偵察にゃ」
辺境西部の歪虚の動きを確認しろというもの。
「そんなに構えることはないのにゃ」
現状は歪虚の動きも激しくない場所なので、訓練がてら行ってこいというもの。
「わかったよ」
気を抜くことはないが、ルックスはあまり気にせず承諾した。
歩いて数日、ルックスは辺境西部へ入っていた。
目的の調査場所は山の探索。
この時期になると、雪はすっかり融けており、山間を流れる川は雪解け水を含んでいるのか水位があがっているような気がする。
もう少し水位が上がっていると、氾濫しそうだった。
川を渡る為、ルックスは手近な木を探す。
錘付きの縄を木の枝に投げてしっかり引っかける。
「よし」
跳躍の反動で渡ろうとしたが、川の上流で悲鳴が聞こえた。
「エーリ!!」
上から聞こえる男の絶叫。ルックスは縄の先端を自身の腰に巻き付け、跳躍をすぐできるように構える。
急流の早さの中、小さな手だけが出していた。
死なせるわけにはいかない。
それしか考えられなかったルックスは跳躍し、何故か生きていると判断した手を目がけて腕を伸ばす。
「返してもらうよ」
山を守る精霊へ告げるようにルックスは呟く。
腕を組むように川から引っ張り出し、反対側へと降りる。
川に流されたのは辺境部族の民族衣装を着た幼女。水から上がった途端、幼女は咽て水を吐き出す。安心したルックスは大声を上げて呼びかけた。
幸い、ルックスの声が聞こえた男は駆けつけてくる。
幼女の姿を見た男は安心したのか、幼女を抱きしめた。
「エーリ! よかった……」
まだぐったりしていたが、意識はあるようだ。
「旅のお方……ありがとうございます」
男はダノスという名で、山の上で生活している辺境部族だった。
娘のエーリを見失い、探していたら川辺で足を滑らせ、流されたとのこと。
「運が良かったと思うよ。僕はルックス、丁度助けられてよかった」
「せめて、馳走をさせてください」
そう言われ、ルックスは部族にお世話になりに行った。
ダノスとエーリが属している部族はアケルという部族であり、周期によって移動をしており、つい先日この地に着いたそうだ。
お茶と焼き菓子を馳走になったルックスはこの辺の様子を尋ねる。
部族の人達の話によると、獣とは思えない獣の姿を下流の方で確認しているという。住居にはまだ気づかれていないので、いつ気づかれるかわからないとの事。
「ハンターに頼むしかない」
そう呟く老人にルックスがハンターの単語に反応する。
「善は急げです。僕も一緒に頼みます」
にっこりとルックスが言えば、部族の人達は「お願いします」と頷いた。
リプレイ本文
道なき道を歩き、ハンターオフィスより提供された地図を頼りに周囲を探りつつハンターは山の上を目指す。
初夏の時期に入りそうな現在であるが、葉が茂りつつある林では地面まで光があまり届いていないようだった。
顔を上げた愛梨(ka5827)は息を吐く。
故郷を思い出す感覚になりつつも、足場の悪さに気を張ってしまう。
何時泥濘に足をとられるかわからないからだ。隣を歩いていた皐月=A=カヤマ(ka3534)も一度足を止めてため息を吐いた。
「もう少しかな」
「多分……」
視界に入ったのは木綿花(ka6927)が向いている方角。
「何かあった?」
アーク・フォーサイス(ka6568)が尋ねると、木綿花は「よそ見をしてすみません」と謝った。
「謝ることはないよ」
「青い花が咲いていまして」
そう言う木綿花は花が咲いている方向を仲間に伝える。クローディア(ka3392)もその方向を見れば、離れた所に小さな青い花が少し頼りなさげに揺れていた。
「春は心躍るものが芽吹きますが、危険もあるもの……と思いまして」
余計な危険を排除するためにハンターは存在する。
中間地点を越えようとした頃、林の奥……山の上から斜面を滑る音が聞こえる。
ルイトガルト・レーデル(ka6356)とアークが先頭に立って警戒する。
暫くすると、木々の合間からすり抜けていく影を前衛二人は見た。
近づくにつれて、その影が人型であり、斜面を滑っており、蜂蜜色の髪が揺れている。
「ハンターの方々ですか?」
遠くから聞こえる声は高く、まだ少年のようだ。
「貴様の名は」
静かに告げたのはルイトガルトだ。
「僕はルックスです! 以前お世話になった方と見受けます」
そう言ったと同時にルックスと名乗った声が姿を現す。蜂蜜色の髪に赤い瞳の少年は溌溂とした印象を受ける。
「以前、黒犬とアクベンスの時に」
当時のルックスは実力不足の為、後ろに控えるしかなかったが、ルイトガルトの事は覚えていたようだ。
「そうか、また頼む」
「はいっ」
笑顔で挨拶をしているルックスの首元にある二枚の赤い羽根の首飾りを見ていた木綿花は琥珀の双眸をそっと細めた。
アケル族の居住区に到着すると、部族の者達より、ささやかな持成しを受ける。
ハンターオフィスからの情報だけではなく、現地の話も聞かせてくれた。
「歪虚はアケル族の居住区にはまだ気づいてない」
ルックスが一応偵察をしてくれていたようであり、状況は変わっていないようだった。
「なら、すぐに実行する方がいいな」
皐月が立ち上がると、それぞれも動き出す。
ルックスの道案内で目的の場所へと向かう。
山を登っている時に川は確認したが、アケル族の住居付近の川は細く緩やかであり、簡易な橋がかけられていた。
傾斜を下っていくと、川幅は広くなっていっている。
「歪虚は川の付近には近づいた様子はなかったんだ。食料となる獣は下流にいるってアケル族の人達が言ってた」
ルックスは後ろにいる木綿花に「大丈夫?」と尋ねると、彼女は「ありがとうございます。平気です」と返した。
「まぁ、食うために降りても、食われたら元も子もないよな」
滑りすぎないように気を付けつつ、皐月が軽口を呟く。
「確かにね」
愛梨が皐月の言葉を返すと、超聴覚を発動していたルックスが静かにというジェスチャーをする。
「向こうで人間じゃない足音が聞こえる」
「どちらの方向からですか?」
小さく呟いたルックスの警告に木綿花が音の方向を尋ねる。
ルックスは二つの方向から来ていること、片方はオーガ一体に熊が二体、残る方角よりオーガ一体に熊二体だと説明した。
「でも、距離があまりつかめなくて」
「了解致しました。偵察に行って参ります」
歩き出す彼女を守るように丸くなっていた龍の幻影がすぐに飛び立っていく。
「え、だい……」
ルックスが大丈夫ですかと、言おうとしたが、アークが「問題ないよ」と声をかける。
「気をつけてね」
覚醒が完了した木綿花は愛梨の気遣いを受け、何一つ問題なくジェットブーツを使って軽やかに跳躍した。
「なるほど」
無意識に呟いたルックスは納得した。
残ったハンター達は偵察からの帰りを待ち、地形の確認を行う。
木綿花は頬に張り付く横髪を払い、音に配慮しつつ、周囲を見回す。
アルケミックフライトに体力消耗がつきものの為、あまり無理が出来ない。動く範囲を設けるならば、ルックスの助言を確認するのがよいと木綿花は判断した。
ルックスの言うとおり、二手で動いていた。方向を見れば、川近くで合流するようだった。
歪虚は討伐者が来ていることに気づいているとは思えなかった。気づかない内に先制攻撃をするのが最善と彼女は思う。
ゆっくりと、木綿花は自身を落ち着かせるように息を吐く。
尋ねたいことは終ってからと、彼女は踵を返して仲間の方へと戻った。
偵察から戻った木綿花の話を聞いて、まずは合流地点だろう場所で迎撃という話になった。
「地形悪いし、俺はあんま打たれ強くねーし、近づかれるまでは距離置いて戦いたいなー」
素直な要望を出したのは皐月だ。
他のハンターやルックスも同意見であり、足場の悪い場所で戦ってドジを踏んだり、余計な泥に塗れたくない。
「とりあえず、射撃で迎撃しましょ。オーガは撃たれただけで死ぬかはわからないけど」
愛梨が纏めると、皆が了承してそれぞれの配置につく。
ハンター達は少し下り、歪虚の合流地点だろうと思われる場所へ向かう。
「緊張しているのか」
ルックスの様子を気にしていたルイトガルトが声をかける。
「実戦は初めてじゃないけど、緊張する」
腰に差した剣の柄を忙しなく握ったり離しているルックスは落ち着かない様子だ。
「例え、歪虚でも命を奪うってことは、自分の命も奪われるかもしれないってことだから……」
落ち着かない手は胸元で揺れる赤い羽根の飾りを握りしめる。
ルックスの近くにいたアークがそれを見つめた。
「それでも、歪虚を倒すよ」
真っすぐ見据えたルックスの言葉をルイトガルトは和やかに受け止めた。
「頑張ろうね」
「うん!」
愛梨が声をかけると、ルックスは頷く。
「ルックス。音は今どのあたりかわかるかい?」
会話の様子を聞いていたアークがルックスに問う。
「うん、とても近いよ。両方とも」
「りょーかい。援護よろしく」
軽い口調で頷く皐月が構えるのは、黒い大きな銃身と茶色の銃把を持つ魔導銃「狂乱せしアルコル」だ。
呼吸を整える皐月は息を吐くと同時に右肩より白い片翼の翼が幻影となった顕となる。
気だるげな様子を見せていた皐月だが、好戦的に笑み、緑がかった茶の瞳は鮮やかな緑へと変化していた。
「左側の方がより近い」
ルックスの助言通り、左側よりオーガと熊一体が視界で確認できる。
今、敵がいる場所は木や岩比較的ない場所だ。これ以上近寄られると、木や岩が遮蔽物となって弾丸が当たりにくい。場合によっては弾が岩に当たって跳ね返る可能性があると判断した皐月はトリガーを引いた。
牽制射撃で足元を打たれた歪虚は進む足を一度止め、熊型歪虚が吠える。
「仲間を呼んだかな」
アークが遮蔽物となる木の影で呟いた。
「気づいたようだよ。走る音がする」
ルックスの声は強張り、警戒を促す。
「熊の速度はバカに出来ないからな、すぐ来るぞ」
クローディアが言えば、木綿花が皐月に声をかける。
「こちらの方は私が。これから向かう歪虚に備えてください」
木綿花の言葉に皐月は「頼むで」と返して、これから向かってくるだろう歪虚の方角を狙っている。
先に現れた方の熊が走って向かってきた。
「愛梨様、宜しいですか」
「任せて」
近くにいる愛梨に声をかけた木綿花は熊の動向を見て、射程内に敵が入ろうとしていることを確信すると、岩の上に飛び乗った。
岩の上から敵の標準を定め、光の三角形を発現させた。熊型歪虚は三角形の頂点一つ一つから伸びる光に気づかない。
光が熊の身体を貫いたが、致命傷にはならなかったが、それを補うのは愛梨だ。
愛梨が発動した地縛符がハンター目がけて地を走る熊の足を泥で固めて行動を阻害する。
固まりゆく足元に熊は為す術もなく、その場で身悶えていた。
「処刑の時間だ」
厳かに宣言したルイトガルトの髪は金の髪から銀の髪へ変化し、白皙の肌に漆黒の化粧がのせられていた。
強く踏み込み、抜刀したルイトガルトの剣は黒い刀身のバスターソードであり、黒のオーラと雷が微かに刀身を包む。
彼女が狙うのは最早動くことが出来ない熊。
その空間に定めてルイトガルトは次元斬を繰り出した。斬撃は熊の身体を割り、重力に従ってそのまま崩れ落ちる。
二手に分かれていた方の歪虚が向かってきており、皐月の威嚇射撃に阻まれていた。
「さぁ、ここで変わり弾や」
口角を上げて笑む皐月は次に撃つ弾丸にマテリアルを込める。
トリガーを引くと、弾丸が放たれる銃口より冷気が漂う。弾丸が射出されて熊の足に着弾すると、冷気が熊を捉え、行動を阻害していった。
「ここからよ」
そう告げた愛梨が距離を取って放ったのは五色光符陣。結界の中であふれんばかりの光が歪虚を焼く。
巻き込まれた二体の熊は視界を奪われ、光でダメージを受けた腕を頼りなく振り回すばかり。
剣を下段に構えたクローディアが片方の熊を斬り倒し、ルックスが熊の視界が戻らないうちにワイルドラッシュで連撃をしていった。
アークは二人が戦っている隙を狙って熊型歪虚の向こうにいるオーガへと瞬脚で一気に距離を詰める。
熊より知能の高いオーガは武器を持つことが出来るため、先に倒してしまおうというのがアークの考えだ。
大きく息を吸い込み、マテリアルを丹田から全身に巡らせていく。
半身の姿勢をとったアークは黒い刀身の大太刀を一気に抜き、水平にオーガの腕を目がけて振り切った。
オーガの腕ごと斬り、握られたままの棍棒は回転しながら地へ落ちる。
片腕を斬り落とされたオーガは怒りを訴えるかのように吠えた。
「アーク様!」
後方からの木綿花の声にアークは一度間合いを取るように離れると、木綿花がジェットブーツでオーガへと跳躍し、エレクトリックショックを放つ。
雷撃を受けたオーガは麻痺の効力で動けなくなった。
木綿花が離れた瞬間、アークは瞬脚で距離を詰め、次元斬で両断する。
最後の一体となったオーガだが、棍棒を振り回してハンターの方へと向かう。
「往生際が悪いで!」
皐月がレイターコールドショットで狙ったのはオーガの腕だ。冷気で動けなくなったところで愛梨の五色光符陣に視界を奪われてしまう。
「終わりだ」
そう呟いたルイトガルトの一撃でオーガは倒れた。
討伐が完了すると、きちんと倒されているかの確認をする。
「火種はもってないようだな」
まだ覚醒状態のアークが立ち上がってオーガより離れた。
獣より知能あるオーガが火種を持っているかどうかを気にしていた。引火した場合、山火事の恐れがあるからだ。
実際は持っておらず、一安心する。
他に歪虚がいないかの確認をしていったが、こちらも依頼通りの歪虚だけだった。
無事に歪虚は倒したという報告をする為にアケル族へ報告しに行こうと、ハンター達が山を登ろうとした時だ。
「ルックス様」
そう呼び止めたのは木綿花。
「何?」
きょとんと、ルックスが木綿花へと振り向く。
「私は、昨年の秋頃、東方の依頼を受けておりました」
静かに呟く木綿花は言葉を続ける。
「とある集落に巣食う物盗りが、家族の形見となる簪を奪ったのです。その物盗りと結託した者の風貌は西方の衣類で、赤い羽根の首飾りをしていたそうです」
木綿花が一度言葉を切ると、二人に沈黙が落ちる代わりに甲高い風の音が周囲に響く。
告げられたルックスの表情がみるみると変わっていき、その表情は驚愕だった。
すぐに、木綿花の懸念は消えた。
ルックスは木綿花に掴みかかろうとするが、彼女を驚かせまいと両手をぎこちなくおしとどめた。
「僕は……辺境部族、エーノス族の出身だ……エーノス族は赤い鳥の祖霊を信仰していた。部族に赤ん坊が生まれると、必ず、赤い羽根の首飾りが贈られる」
震えるルックスは自分の胸元を揺らしている二枚の羽根を握りしめる。
「ある日、部族に賊が襲ってきて……若い女たちと、ストルを攫って、残った者を斬り殺していったんだ……賊の何人かは、戦利品だと首飾りを付けている奴がいるって……」
ハンターとの行動でそれを知ったと告げたルックスは俯く。
「そいつは、僕の仇だ……! そいつと、そいつの仲間も、ストルを殺した歪虚アクベンスを殺すために部族なき部族に入ったんだ……!」
血を吐くようなルックスの独白に木綿花は目を見張る。
「教えてくれないか! あいつらはどこにいるんだ……!」
落ち着けと、皐月がルックスの肩を掴む。
「私も……探しているのです」
素直に告げる木綿花にルックスはがっくりと肩を落とした。
「赤い羽根……この間捕まえた鬼哭組にも尋ねていたね」
当時、同じ依頼に参加していたアークが呟けば、木綿花は言葉なく頷く。
「なんだか、根が深そうね……」
様子を見守っていた愛梨がそう呟いた。
「私達に分かっているのは、アクベンスという歪虚は倒すべき相手であることだ」
静かに呟くルイトガルトの言葉にハンター達は沈黙を以て肯定するしかなかった。
初夏の時期に入りそうな現在であるが、葉が茂りつつある林では地面まで光があまり届いていないようだった。
顔を上げた愛梨(ka5827)は息を吐く。
故郷を思い出す感覚になりつつも、足場の悪さに気を張ってしまう。
何時泥濘に足をとられるかわからないからだ。隣を歩いていた皐月=A=カヤマ(ka3534)も一度足を止めてため息を吐いた。
「もう少しかな」
「多分……」
視界に入ったのは木綿花(ka6927)が向いている方角。
「何かあった?」
アーク・フォーサイス(ka6568)が尋ねると、木綿花は「よそ見をしてすみません」と謝った。
「謝ることはないよ」
「青い花が咲いていまして」
そう言う木綿花は花が咲いている方向を仲間に伝える。クローディア(ka3392)もその方向を見れば、離れた所に小さな青い花が少し頼りなさげに揺れていた。
「春は心躍るものが芽吹きますが、危険もあるもの……と思いまして」
余計な危険を排除するためにハンターは存在する。
中間地点を越えようとした頃、林の奥……山の上から斜面を滑る音が聞こえる。
ルイトガルト・レーデル(ka6356)とアークが先頭に立って警戒する。
暫くすると、木々の合間からすり抜けていく影を前衛二人は見た。
近づくにつれて、その影が人型であり、斜面を滑っており、蜂蜜色の髪が揺れている。
「ハンターの方々ですか?」
遠くから聞こえる声は高く、まだ少年のようだ。
「貴様の名は」
静かに告げたのはルイトガルトだ。
「僕はルックスです! 以前お世話になった方と見受けます」
そう言ったと同時にルックスと名乗った声が姿を現す。蜂蜜色の髪に赤い瞳の少年は溌溂とした印象を受ける。
「以前、黒犬とアクベンスの時に」
当時のルックスは実力不足の為、後ろに控えるしかなかったが、ルイトガルトの事は覚えていたようだ。
「そうか、また頼む」
「はいっ」
笑顔で挨拶をしているルックスの首元にある二枚の赤い羽根の首飾りを見ていた木綿花は琥珀の双眸をそっと細めた。
アケル族の居住区に到着すると、部族の者達より、ささやかな持成しを受ける。
ハンターオフィスからの情報だけではなく、現地の話も聞かせてくれた。
「歪虚はアケル族の居住区にはまだ気づいてない」
ルックスが一応偵察をしてくれていたようであり、状況は変わっていないようだった。
「なら、すぐに実行する方がいいな」
皐月が立ち上がると、それぞれも動き出す。
ルックスの道案内で目的の場所へと向かう。
山を登っている時に川は確認したが、アケル族の住居付近の川は細く緩やかであり、簡易な橋がかけられていた。
傾斜を下っていくと、川幅は広くなっていっている。
「歪虚は川の付近には近づいた様子はなかったんだ。食料となる獣は下流にいるってアケル族の人達が言ってた」
ルックスは後ろにいる木綿花に「大丈夫?」と尋ねると、彼女は「ありがとうございます。平気です」と返した。
「まぁ、食うために降りても、食われたら元も子もないよな」
滑りすぎないように気を付けつつ、皐月が軽口を呟く。
「確かにね」
愛梨が皐月の言葉を返すと、超聴覚を発動していたルックスが静かにというジェスチャーをする。
「向こうで人間じゃない足音が聞こえる」
「どちらの方向からですか?」
小さく呟いたルックスの警告に木綿花が音の方向を尋ねる。
ルックスは二つの方向から来ていること、片方はオーガ一体に熊が二体、残る方角よりオーガ一体に熊二体だと説明した。
「でも、距離があまりつかめなくて」
「了解致しました。偵察に行って参ります」
歩き出す彼女を守るように丸くなっていた龍の幻影がすぐに飛び立っていく。
「え、だい……」
ルックスが大丈夫ですかと、言おうとしたが、アークが「問題ないよ」と声をかける。
「気をつけてね」
覚醒が完了した木綿花は愛梨の気遣いを受け、何一つ問題なくジェットブーツを使って軽やかに跳躍した。
「なるほど」
無意識に呟いたルックスは納得した。
残ったハンター達は偵察からの帰りを待ち、地形の確認を行う。
木綿花は頬に張り付く横髪を払い、音に配慮しつつ、周囲を見回す。
アルケミックフライトに体力消耗がつきものの為、あまり無理が出来ない。動く範囲を設けるならば、ルックスの助言を確認するのがよいと木綿花は判断した。
ルックスの言うとおり、二手で動いていた。方向を見れば、川近くで合流するようだった。
歪虚は討伐者が来ていることに気づいているとは思えなかった。気づかない内に先制攻撃をするのが最善と彼女は思う。
ゆっくりと、木綿花は自身を落ち着かせるように息を吐く。
尋ねたいことは終ってからと、彼女は踵を返して仲間の方へと戻った。
偵察から戻った木綿花の話を聞いて、まずは合流地点だろう場所で迎撃という話になった。
「地形悪いし、俺はあんま打たれ強くねーし、近づかれるまでは距離置いて戦いたいなー」
素直な要望を出したのは皐月だ。
他のハンターやルックスも同意見であり、足場の悪い場所で戦ってドジを踏んだり、余計な泥に塗れたくない。
「とりあえず、射撃で迎撃しましょ。オーガは撃たれただけで死ぬかはわからないけど」
愛梨が纏めると、皆が了承してそれぞれの配置につく。
ハンター達は少し下り、歪虚の合流地点だろうと思われる場所へ向かう。
「緊張しているのか」
ルックスの様子を気にしていたルイトガルトが声をかける。
「実戦は初めてじゃないけど、緊張する」
腰に差した剣の柄を忙しなく握ったり離しているルックスは落ち着かない様子だ。
「例え、歪虚でも命を奪うってことは、自分の命も奪われるかもしれないってことだから……」
落ち着かない手は胸元で揺れる赤い羽根の飾りを握りしめる。
ルックスの近くにいたアークがそれを見つめた。
「それでも、歪虚を倒すよ」
真っすぐ見据えたルックスの言葉をルイトガルトは和やかに受け止めた。
「頑張ろうね」
「うん!」
愛梨が声をかけると、ルックスは頷く。
「ルックス。音は今どのあたりかわかるかい?」
会話の様子を聞いていたアークがルックスに問う。
「うん、とても近いよ。両方とも」
「りょーかい。援護よろしく」
軽い口調で頷く皐月が構えるのは、黒い大きな銃身と茶色の銃把を持つ魔導銃「狂乱せしアルコル」だ。
呼吸を整える皐月は息を吐くと同時に右肩より白い片翼の翼が幻影となった顕となる。
気だるげな様子を見せていた皐月だが、好戦的に笑み、緑がかった茶の瞳は鮮やかな緑へと変化していた。
「左側の方がより近い」
ルックスの助言通り、左側よりオーガと熊一体が視界で確認できる。
今、敵がいる場所は木や岩比較的ない場所だ。これ以上近寄られると、木や岩が遮蔽物となって弾丸が当たりにくい。場合によっては弾が岩に当たって跳ね返る可能性があると判断した皐月はトリガーを引いた。
牽制射撃で足元を打たれた歪虚は進む足を一度止め、熊型歪虚が吠える。
「仲間を呼んだかな」
アークが遮蔽物となる木の影で呟いた。
「気づいたようだよ。走る音がする」
ルックスの声は強張り、警戒を促す。
「熊の速度はバカに出来ないからな、すぐ来るぞ」
クローディアが言えば、木綿花が皐月に声をかける。
「こちらの方は私が。これから向かう歪虚に備えてください」
木綿花の言葉に皐月は「頼むで」と返して、これから向かってくるだろう歪虚の方角を狙っている。
先に現れた方の熊が走って向かってきた。
「愛梨様、宜しいですか」
「任せて」
近くにいる愛梨に声をかけた木綿花は熊の動向を見て、射程内に敵が入ろうとしていることを確信すると、岩の上に飛び乗った。
岩の上から敵の標準を定め、光の三角形を発現させた。熊型歪虚は三角形の頂点一つ一つから伸びる光に気づかない。
光が熊の身体を貫いたが、致命傷にはならなかったが、それを補うのは愛梨だ。
愛梨が発動した地縛符がハンター目がけて地を走る熊の足を泥で固めて行動を阻害する。
固まりゆく足元に熊は為す術もなく、その場で身悶えていた。
「処刑の時間だ」
厳かに宣言したルイトガルトの髪は金の髪から銀の髪へ変化し、白皙の肌に漆黒の化粧がのせられていた。
強く踏み込み、抜刀したルイトガルトの剣は黒い刀身のバスターソードであり、黒のオーラと雷が微かに刀身を包む。
彼女が狙うのは最早動くことが出来ない熊。
その空間に定めてルイトガルトは次元斬を繰り出した。斬撃は熊の身体を割り、重力に従ってそのまま崩れ落ちる。
二手に分かれていた方の歪虚が向かってきており、皐月の威嚇射撃に阻まれていた。
「さぁ、ここで変わり弾や」
口角を上げて笑む皐月は次に撃つ弾丸にマテリアルを込める。
トリガーを引くと、弾丸が放たれる銃口より冷気が漂う。弾丸が射出されて熊の足に着弾すると、冷気が熊を捉え、行動を阻害していった。
「ここからよ」
そう告げた愛梨が距離を取って放ったのは五色光符陣。結界の中であふれんばかりの光が歪虚を焼く。
巻き込まれた二体の熊は視界を奪われ、光でダメージを受けた腕を頼りなく振り回すばかり。
剣を下段に構えたクローディアが片方の熊を斬り倒し、ルックスが熊の視界が戻らないうちにワイルドラッシュで連撃をしていった。
アークは二人が戦っている隙を狙って熊型歪虚の向こうにいるオーガへと瞬脚で一気に距離を詰める。
熊より知能の高いオーガは武器を持つことが出来るため、先に倒してしまおうというのがアークの考えだ。
大きく息を吸い込み、マテリアルを丹田から全身に巡らせていく。
半身の姿勢をとったアークは黒い刀身の大太刀を一気に抜き、水平にオーガの腕を目がけて振り切った。
オーガの腕ごと斬り、握られたままの棍棒は回転しながら地へ落ちる。
片腕を斬り落とされたオーガは怒りを訴えるかのように吠えた。
「アーク様!」
後方からの木綿花の声にアークは一度間合いを取るように離れると、木綿花がジェットブーツでオーガへと跳躍し、エレクトリックショックを放つ。
雷撃を受けたオーガは麻痺の効力で動けなくなった。
木綿花が離れた瞬間、アークは瞬脚で距離を詰め、次元斬で両断する。
最後の一体となったオーガだが、棍棒を振り回してハンターの方へと向かう。
「往生際が悪いで!」
皐月がレイターコールドショットで狙ったのはオーガの腕だ。冷気で動けなくなったところで愛梨の五色光符陣に視界を奪われてしまう。
「終わりだ」
そう呟いたルイトガルトの一撃でオーガは倒れた。
討伐が完了すると、きちんと倒されているかの確認をする。
「火種はもってないようだな」
まだ覚醒状態のアークが立ち上がってオーガより離れた。
獣より知能あるオーガが火種を持っているかどうかを気にしていた。引火した場合、山火事の恐れがあるからだ。
実際は持っておらず、一安心する。
他に歪虚がいないかの確認をしていったが、こちらも依頼通りの歪虚だけだった。
無事に歪虚は倒したという報告をする為にアケル族へ報告しに行こうと、ハンター達が山を登ろうとした時だ。
「ルックス様」
そう呼び止めたのは木綿花。
「何?」
きょとんと、ルックスが木綿花へと振り向く。
「私は、昨年の秋頃、東方の依頼を受けておりました」
静かに呟く木綿花は言葉を続ける。
「とある集落に巣食う物盗りが、家族の形見となる簪を奪ったのです。その物盗りと結託した者の風貌は西方の衣類で、赤い羽根の首飾りをしていたそうです」
木綿花が一度言葉を切ると、二人に沈黙が落ちる代わりに甲高い風の音が周囲に響く。
告げられたルックスの表情がみるみると変わっていき、その表情は驚愕だった。
すぐに、木綿花の懸念は消えた。
ルックスは木綿花に掴みかかろうとするが、彼女を驚かせまいと両手をぎこちなくおしとどめた。
「僕は……辺境部族、エーノス族の出身だ……エーノス族は赤い鳥の祖霊を信仰していた。部族に赤ん坊が生まれると、必ず、赤い羽根の首飾りが贈られる」
震えるルックスは自分の胸元を揺らしている二枚の羽根を握りしめる。
「ある日、部族に賊が襲ってきて……若い女たちと、ストルを攫って、残った者を斬り殺していったんだ……賊の何人かは、戦利品だと首飾りを付けている奴がいるって……」
ハンターとの行動でそれを知ったと告げたルックスは俯く。
「そいつは、僕の仇だ……! そいつと、そいつの仲間も、ストルを殺した歪虚アクベンスを殺すために部族なき部族に入ったんだ……!」
血を吐くようなルックスの独白に木綿花は目を見張る。
「教えてくれないか! あいつらはどこにいるんだ……!」
落ち着けと、皐月がルックスの肩を掴む。
「私も……探しているのです」
素直に告げる木綿花にルックスはがっくりと肩を落とした。
「赤い羽根……この間捕まえた鬼哭組にも尋ねていたね」
当時、同じ依頼に参加していたアークが呟けば、木綿花は言葉なく頷く。
「なんだか、根が深そうね……」
様子を見守っていた愛梨がそう呟いた。
「私達に分かっているのは、アクベンスという歪虚は倒すべき相手であることだ」
静かに呟くルイトガルトの言葉にハンター達は沈黙を以て肯定するしかなかった。
依頼結果
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面白かった! | 6人 |
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/09 22:49:05 |
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相談卓 アーク・フォーサイス(ka6568) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2018/05/12 18:10:21 |