ゲスト
(ka0000)
女戦士アンジェリカの冒険
マスター:とりる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~10人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/16 07:30
- 完成日
- 2018/05/22 18:30
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――私の名はアンジェリカ・ベルナール。騎士の家系に生まれ、今は己を磨く為に修行中の身だ。
覚醒者ではあるがハンターではない。依頼を受けるのではなく自ら強敵の居る場所へ出向き、相対し、剣技の鍛錬を行っている。
ここ数年は辺境の地を主に放浪中。辺境は歪虚との最前線。敵に困る事は無かった。
辺境、数年前に歪虚の大規模な侵攻を許した際には甚大な被害を受け、今も尚その傷は残る……。
そんなある日の事だ。私は補給の為に辺境部族の村へ立ち寄った。
この村は女子供が多く、若い男が少ない。これもまた歪虚による侵攻の影響だろう。
私は旅をしている旨を村長に話すと快く一晩泊めて貰える事となった。ありがたい。
夕暮れも近づいた頃、私は老婆と言える高齢の村長と共に食卓につき、食事を摂りながら会話をする。
「常に歪虚の脅威に晒されている辺境で、ほぼ守りも無く、大丈夫なのですか?」
「それはねぇ、そうなんだけどね……。若い男衆は殆ど死んじまって。生き延びたのは女子供とジジババばかりさ」
老婆は最早諦めた口調で言う。それはそうだ。訊くまでもなかった。
話によれば近くに雑魔でも出現した際には専らハンターに頼んでいるのだという。
やはりハンター頼みか。しかし彼らは常駐している訳ではない。即座に対応すべき事態が発生したらどうするのか。
「ははは、そうだねぇ……その時は、黙って死ぬしか、ないかもねぇ……」
尋ねてみればまた諦めた様子で老婆は笑う。「もう老い先短いからね」とも。
「それでは、若い女性と子どもは……!」
「ジジババでも時間稼ぎくらいは出来るやもしれん。その間に出来る限り逃げて貰うさ」
……。思わず声を荒げてしまった。私もまだまだ未熟だ。
自警団すら組織できないこの有り様……。心配になった私はこの様に申し出た。
「不安にさせるような事ばかり言ってすみません。ですが戦士として、どうしても気になるのです。私はこの村に暫く滞在しようと思います。覚醒者ですし、剣の腕は多少立つつもりなので」
気休めでも……。いや、これは『自分がいる間、この村に不幸が起こって欲しくない』という我儘か……。
「おんやぁ、ハンターではないと言っていたけれど、やっぱりそうなのかい。心強いねぇ。若いのに凄いねぇ」
老婆はやっと『諦めたものではない』笑みを浮かべてくれた。
その夜。この村では夜間、数少ない若い男達が交代で見張りをしているらしかった。
旅の疲れもある、一先ずは、休んでも良いかもしれない。
私は村長が用意してくれた部屋のベッドで眠ることにした。装備は外すが、すぐに着け直せるよう準備をして……。
――だが、私の心配はすぐに的中してしまった。
「敵だー!!」
空が白み始める頃、私は男の大声で目を覚ました。続いて警鐘を打ち鳴らす音が響く。
窓から外を見れば……丸太の柵で囲まれた村……その入り口に接近してくる武骨な黒い影がある。歪な人型――
「あれは――オーク!?」
しかも多数。私はベッドから飛び起きるとすぐさま装備を整え、剣を腰に差し、村の入り口へ向かった。
オークとは歪虚の尖兵として知られる敵。雑魔とは異なり、絶対に侮ってはいけない敵だ。
(これまでは雑魔程度しか現れなかったらしいが……何故、今!)
私は――我が家系に伝わるという、出立の際に父から渡された家宝の長剣、その柄を強く握り締める。
(父上……兄上……どうか私に力を……!)
あれだけの数のオーク相手に――勝算は無に等しい。だが。
村の入り口付近に到着すると、既に村人達の避難が始まっていた。早朝の村は大騒ぎ。
「状況はどうなっている!?」
私は若い男に尋ねる。
「門を封鎖中です! 女子供を優先的に反対側の出口からあるだけの馬車で逃がしています! 爺さんや婆さんも続いて!」
入口の門は太い丸太で出来ている。少しは持ち応えられるだろうが……。
「馬を使える者は至急ハンターズソサエティに連絡を! 応援を呼んで来てくれ!」
「わかりました。でも貴女は?」
「ここに残って奴らを足止めする」
「しかし!」
「男衆には覚醒者、戦える者は居ないのだろう? ならば命を無駄にするな! 残りは避難誘導に当たった後に同じく逃げろ! あれはそこらの雑魔の様な生易しい敵ではないんだ!」
「力になれず申し訳ない……。おい! 早く避難を済ませるぞ! アンジェリカさんの足手纏いになるな!」
男達は全員直ぐに駆けて行った。
「……ふっ」
たった一日滞在しただけで名前を憶えて貰えるとは。ハンターではない旅の覚醒者が珍しかったと見える。
程無く、封鎖された村の門を力任せに殴り付ける音がし始めた。ベキ! バキ! と。
オークの馬鹿力の前には長く持たない。その時――ズバン! という大きな音と共に、鋼鉄製と思われる杭が門を突き破った。
「なっ――」
巨大な杭に何度も貫かれた門は脆くも崩れ去る。そして、オークの軍勢が姿を現した。
「来たな……オーク共、ここは通さん! 我が家名、ベルナールの誇りにかけて!!」
私は自分を鼓舞する様に叫んだ後、長剣を抜き放ち、先頭の巨大な杭打機を持ったオークへと斬り掛かる。
首筋を狙った鋭い斬撃は一体のオークへ致命傷を与えた。だが――
「なっ!?」
私は反射的にスキルを用いて避けた。
「銃撃だと!? 馬鹿な……オークにそんな知恵が……!?」
杭打機持ちの後方には銃器を持ったオークの姿が多数あった。
しかも身体や頭にはこの世界の物ではない、黒い鎧や兜で身を固めている。
私は混乱した。だが敵の銃撃は続く。スキルを用いて躱す躱す躱す。
しかし現実は無常だ。スキルを用いて躱しつつ隙を見て斬り掛かるが初撃の様に致命傷を与える事が出来ない。
――間もなくスキルの使用回数が切れた。銃撃は私の両腕と両脚を貫く。的確……過ぎる……。
「ぐあっ!!」
私は剣を取り落し、その場に倒れ伏した。その後に、一体のオークが動けない私の頭を掴み、持ち上げた。そして。
――腹へ、その怪力で、拳を叩き込んだ。
「かはぁっ!?」
そこからの記憶は無い。
***
……。…………。薄暗い洞窟らしき場所で、私は目を覚ました。意識の覚醒と同時に、銃で撃たれた傷に鋭い痛みが走る。
「――っ!! ……ここは」
身体を動かそうとすると、四肢が頑丈な拘束具で固定されている事に気付く。
そしてここがどこかも理解した。……牢屋の中だ。鉄格子がそれを物語っている。
鉄格子の外では数体のオークが下卑た笑みを浮かべて私の身体を注視していた――。
更に気付けば、私は装備を全て外され、布一枚という姿であった。
「なっ――! くぅ……」
私の顏は紅潮し、恥辱に満ちているだろう。こんな事ならば。辱めを受ける位ならば。騎士の家系に生まれた者として。
「……くっ、殺せ!!」
覚醒者ではあるがハンターではない。依頼を受けるのではなく自ら強敵の居る場所へ出向き、相対し、剣技の鍛錬を行っている。
ここ数年は辺境の地を主に放浪中。辺境は歪虚との最前線。敵に困る事は無かった。
辺境、数年前に歪虚の大規模な侵攻を許した際には甚大な被害を受け、今も尚その傷は残る……。
そんなある日の事だ。私は補給の為に辺境部族の村へ立ち寄った。
この村は女子供が多く、若い男が少ない。これもまた歪虚による侵攻の影響だろう。
私は旅をしている旨を村長に話すと快く一晩泊めて貰える事となった。ありがたい。
夕暮れも近づいた頃、私は老婆と言える高齢の村長と共に食卓につき、食事を摂りながら会話をする。
「常に歪虚の脅威に晒されている辺境で、ほぼ守りも無く、大丈夫なのですか?」
「それはねぇ、そうなんだけどね……。若い男衆は殆ど死んじまって。生き延びたのは女子供とジジババばかりさ」
老婆は最早諦めた口調で言う。それはそうだ。訊くまでもなかった。
話によれば近くに雑魔でも出現した際には専らハンターに頼んでいるのだという。
やはりハンター頼みか。しかし彼らは常駐している訳ではない。即座に対応すべき事態が発生したらどうするのか。
「ははは、そうだねぇ……その時は、黙って死ぬしか、ないかもねぇ……」
尋ねてみればまた諦めた様子で老婆は笑う。「もう老い先短いからね」とも。
「それでは、若い女性と子どもは……!」
「ジジババでも時間稼ぎくらいは出来るやもしれん。その間に出来る限り逃げて貰うさ」
……。思わず声を荒げてしまった。私もまだまだ未熟だ。
自警団すら組織できないこの有り様……。心配になった私はこの様に申し出た。
「不安にさせるような事ばかり言ってすみません。ですが戦士として、どうしても気になるのです。私はこの村に暫く滞在しようと思います。覚醒者ですし、剣の腕は多少立つつもりなので」
気休めでも……。いや、これは『自分がいる間、この村に不幸が起こって欲しくない』という我儘か……。
「おんやぁ、ハンターではないと言っていたけれど、やっぱりそうなのかい。心強いねぇ。若いのに凄いねぇ」
老婆はやっと『諦めたものではない』笑みを浮かべてくれた。
その夜。この村では夜間、数少ない若い男達が交代で見張りをしているらしかった。
旅の疲れもある、一先ずは、休んでも良いかもしれない。
私は村長が用意してくれた部屋のベッドで眠ることにした。装備は外すが、すぐに着け直せるよう準備をして……。
――だが、私の心配はすぐに的中してしまった。
「敵だー!!」
空が白み始める頃、私は男の大声で目を覚ました。続いて警鐘を打ち鳴らす音が響く。
窓から外を見れば……丸太の柵で囲まれた村……その入り口に接近してくる武骨な黒い影がある。歪な人型――
「あれは――オーク!?」
しかも多数。私はベッドから飛び起きるとすぐさま装備を整え、剣を腰に差し、村の入り口へ向かった。
オークとは歪虚の尖兵として知られる敵。雑魔とは異なり、絶対に侮ってはいけない敵だ。
(これまでは雑魔程度しか現れなかったらしいが……何故、今!)
私は――我が家系に伝わるという、出立の際に父から渡された家宝の長剣、その柄を強く握り締める。
(父上……兄上……どうか私に力を……!)
あれだけの数のオーク相手に――勝算は無に等しい。だが。
村の入り口付近に到着すると、既に村人達の避難が始まっていた。早朝の村は大騒ぎ。
「状況はどうなっている!?」
私は若い男に尋ねる。
「門を封鎖中です! 女子供を優先的に反対側の出口からあるだけの馬車で逃がしています! 爺さんや婆さんも続いて!」
入口の門は太い丸太で出来ている。少しは持ち応えられるだろうが……。
「馬を使える者は至急ハンターズソサエティに連絡を! 応援を呼んで来てくれ!」
「わかりました。でも貴女は?」
「ここに残って奴らを足止めする」
「しかし!」
「男衆には覚醒者、戦える者は居ないのだろう? ならば命を無駄にするな! 残りは避難誘導に当たった後に同じく逃げろ! あれはそこらの雑魔の様な生易しい敵ではないんだ!」
「力になれず申し訳ない……。おい! 早く避難を済ませるぞ! アンジェリカさんの足手纏いになるな!」
男達は全員直ぐに駆けて行った。
「……ふっ」
たった一日滞在しただけで名前を憶えて貰えるとは。ハンターではない旅の覚醒者が珍しかったと見える。
程無く、封鎖された村の門を力任せに殴り付ける音がし始めた。ベキ! バキ! と。
オークの馬鹿力の前には長く持たない。その時――ズバン! という大きな音と共に、鋼鉄製と思われる杭が門を突き破った。
「なっ――」
巨大な杭に何度も貫かれた門は脆くも崩れ去る。そして、オークの軍勢が姿を現した。
「来たな……オーク共、ここは通さん! 我が家名、ベルナールの誇りにかけて!!」
私は自分を鼓舞する様に叫んだ後、長剣を抜き放ち、先頭の巨大な杭打機を持ったオークへと斬り掛かる。
首筋を狙った鋭い斬撃は一体のオークへ致命傷を与えた。だが――
「なっ!?」
私は反射的にスキルを用いて避けた。
「銃撃だと!? 馬鹿な……オークにそんな知恵が……!?」
杭打機持ちの後方には銃器を持ったオークの姿が多数あった。
しかも身体や頭にはこの世界の物ではない、黒い鎧や兜で身を固めている。
私は混乱した。だが敵の銃撃は続く。スキルを用いて躱す躱す躱す。
しかし現実は無常だ。スキルを用いて躱しつつ隙を見て斬り掛かるが初撃の様に致命傷を与える事が出来ない。
――間もなくスキルの使用回数が切れた。銃撃は私の両腕と両脚を貫く。的確……過ぎる……。
「ぐあっ!!」
私は剣を取り落し、その場に倒れ伏した。その後に、一体のオークが動けない私の頭を掴み、持ち上げた。そして。
――腹へ、その怪力で、拳を叩き込んだ。
「かはぁっ!?」
そこからの記憶は無い。
***
……。…………。薄暗い洞窟らしき場所で、私は目を覚ました。意識の覚醒と同時に、銃で撃たれた傷に鋭い痛みが走る。
「――っ!! ……ここは」
身体を動かそうとすると、四肢が頑丈な拘束具で固定されている事に気付く。
そしてここがどこかも理解した。……牢屋の中だ。鉄格子がそれを物語っている。
鉄格子の外では数体のオークが下卑た笑みを浮かべて私の身体を注視していた――。
更に気付けば、私は装備を全て外され、布一枚という姿であった。
「なっ――! くぅ……」
私の顏は紅潮し、恥辱に満ちているだろう。こんな事ならば。辱めを受ける位ならば。騎士の家系に生まれた者として。
「……くっ、殺せ!!」
リプレイ本文
●
突如としてオークの軍勢による襲撃を受けた辺境部族の村――。
幸い村人達は全員隣の村に避難し、無事だったのだが……。
村人を守る為、一人で残りオークの足止めをした旅の女戦士が攫われたというのだ。
その女戦士を救出するべくやって来た十名のハンター達。
「武装したオークかぁ……。どんな武装してるのかは詳細は分からないけど、連中が武装してるって時点で少しばかり面倒ね」
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)はふむりと顎に手を当てる。
依頼主である村人の話を聞けば、オークの軍勢は見慣れぬ鎧と兜で身を固め、詳しくは分からない物の、銃器を装備していたらしい。
「まぁ、侮るつもりは無いけど、きっちり仕留めて件の女騎士を助けるとしましょうか」
(……ただ何だろう、捕まってる女騎士って聞くと変な違和感覚えるというかね。気の所為であってほしいけど)
ちなみに、救出対象のアンジェリカは女騎士ではなく、騎士になる為の修行中の『女戦士』である。
「銃器を持ったオークか、統率しているやつが居んのかね? さっさと洞窟制圧して、対象を救出しねえとな」
敵指揮官の存在を疑うリカルド=フェアバーン(ka0356)。
(ただこのメンツだとオークを襲う女戦士とその部下たちみたいだなあ……)
今回の依頼参加者は……うむ、凛々しくも麗しい美女・美少女揃いだ。
「村にあった戦闘痕を見る限りただのオークの集団って訳でもなさそうだ。村の人達が言っていたアンジェリカの姿も見当たらない」
村の地面を調べつつ、その様に言うのはヴァイス(ka0364)。
「奴らを追って先に向かったのか、連れ去られたかは判らないが、急いだ方がよさそうだな」
参考として依頼の経緯を説明すると、村の若者が辺境のHSへ応援を依頼。
しかしハンター達が村へ到着した時には既にオークの軍勢、及びアンジェリカの姿は無かった。
村中や近辺を捜索するもアンジェリカの遺体は発見出来ない……そして村からやや離れた洞窟にオークの影有りとの情報。
アンジェリカは生存している可能性が高い。故に、依頼内容はオークに攫われたらしきアンジェリカの救出、となったのだ。
一方で、一見すると能天気そうな様子の神楽(ka2032)。
「アンジェリカさんに幻影触手ぶちかまして最低の屑と罵って貰いたい所っすけど、お仕事だから我慢するっす~」
一応仕事はこなすつもりの様だ……。
「囚われの女性を助けに行くのに理由が必要とでも」
ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)はキリッとした表情でその様に言う。
「それにオーク如きが銃持ってイキってるとか猟撃士としてシメに行かんと」
オークの知能で銃を効果的に扱えるとは思えないが……裏に何かあるのかもしれない。
「村人を逃がす為に一人残った女性騎士、か……殺されずに連れ去られた、と言うのも少し気になる所ね」
フィルメリア・クリスティア(ka3380)も敵の行動に違和感を覚えていた。
(知恵が回るとしても人質を取る訳でもないでしょうし……気紛れ? 或いは後ろに入れ知恵をした歪虚が居るという事かしら)
やはり敵指揮官――オーク以上の知能を持つ存在が疑われる。
「ともあれ彼女の救出を最優先に、次いでオークの集団を可能な限り排除、理想は殲滅。可能なら統率者の討伐もだけれど……戦況と騎士さんの体力次第ね」
オークの軍勢は一度退いたといっても、いつまた襲って来るか判らない。村人の安全の為にも殲滅しておくべきである。
「女戦士……いや、女騎士がオークに攫われた……だと……!?」
何故かわなわなしているのはエメラルド・シルフィユ(ka4678)。
「い、いかん……助けに行かなくては……! か、神よ…どうか彼女の身を守り給え……!」
アンジェリカの無事(意味深)を願い、神に祈りを捧げるエメラルド。
「……実は私も実物のオークと出会った事はないのだが……オークは人間やエルフの女性を捕えては想像するのも悍ましい卑猥な事をすると聞く……」
それは一体どこから得た知識だろうか……。
オークとは人間、エルフ、ドワーフ等の人族が歪虚化した妖魔種族なので、そういった行為をする可能性は無くも無いが……。
「それだけは許してはならない……急がねば……彼女を救う事こそ今私が主に与えられた使命……!」
という訳で使命感に燃えるエメラルドであった。
黒髪ロングヘア・きめ細やかな色白肌系美少女の十色 乃梛(ka5902)。
「微妙に戦い難いわね」
……それはそうだろう。救出作戦とは須らく難しい物だ。
「殺すんじゃなく、攫うってのは不自然だねぇ」
セレス・フュラー(ka6276)もオークの行動を不自然に思っている様子。
「攫って身代金を要求するわけでもない。慰み者にするってんなら、どうせもうその場にオークを止められる人はいなかったんだからその場で手を出せばいい」
もしそうであったならば村へ応援に駆け付けたハンター達は凄惨な現場を目撃した事だろう(描写出来ません)。
「後はあたしの残念な頭で考えられる利用価値としては、他の人間を呼び込む為の餌……か」
その様に考えるのが妥当だと思われる。他の意図があるのかもしれないが。
「実際のとこどうなのかは置いといて、色々と気になる点が多い事で……」
緑の瞳に健康的な小麦色の肌をした巳蔓(ka7122)は――
「敵も銃で武装しているんですね。危険ですが……」
自分の愛銃、ショットガンを握り締める。
(とても楽しみです、までは言わない方が良さそうですね。救出を含めて命懸け、全力がどこまで通用するのか腕試しです)
女戦士の救出やオークの殲滅が依頼目標でありつつも、彼女の個人的な目的は武装オーク相手に腕試しの様だ。
アンジェリカの状態が不明の為、ハンター達は急いでオークが巣食う洞窟へと向かう――。
●
洞窟付近へ到着したハンター達。物陰から様子を窺ってみると……情報通り、銃器や防具を装備したオークの姿があった。
入口付近に四体。どうやら見張りの様だ……。まずはこれを――速やかに片付ける!
フィルメリアが魔導銃の、ロジャーが蒼機銃の銃口を物陰から出し。
巳蔓は伏せて草むらの中を進み、散弾銃の射程にオークを捉え――そして、三人はオーク一体へ同時に集中砲火。
間髪入れず乃梛が駆けて、【セイクリッドフラッシュ】の光の波動を放つ。……蜂の巣にされたオーク一体が沈む。
残る三体のオークから反撃の弾幕が飛ぶが、神楽が聖盾剣を構えて乃梛の前へ出、防御。
その隙に七支槍を構えたヴァイス、試作振動刀を構えたリカルドが左から一気に距離を詰め、突きと斬撃を繰り出す。
右からはエメラルドが星剣を、セレスが雷虹剣を握って接近し、二つの斬撃を喰らわす。
……これで合計三体のオークが倒れる。
そして最後の一体を蒼姫刀を抜いたユーリが一刀の元に斬り伏せた。その気高く凛々しく美しい姿、まさに姫騎士。
囚われの女戦士を救出するべく洞窟内部へいざ突入。
***
洞窟内を進むハンター達――。
リカルドは出来る限り中央を歩く様にし、跳弾に警戒しながら中腰の姿勢で周囲を警戒し、前進。
オークを発見すれば突撃銃により、すぐに腹から頭部へ連続して射撃を行う。
(狭い場所だから発砲音で耳がやられるのは好かんな……)
仲間も続き、集中的に攻撃を浴びせ、素早く排除する。……この様に、オーク二体ずつとの散発的な戦闘が続いていた。
フィルメリアは洞窟内の探索中、出来る限り気配を消しつつマッピングを行いながら進行。
「ふむ……ここまでは一本道ですね」
と言っていた傍で、通路が二又に分かれている場所へ当たる。
「発見が遅れるほど彼女の身が危険だ」
焦りを隠せないエメラルド。そんな訳で事前に決めていた通りにここから先はA班とB班に分かれて行動する。
「補助の灯り兼通信用のスマホがあるからそっちはいいとして……分岐地点には印を入れておきたいかな。後、足跡とかの痕跡があればそれを辿っていきたいわね」
その様に言う乃梛は早速印を付ける。
「特に深い意味はないけどあたしは左の道を選ぶよ!!」
セレスはA班である。
そうして通信手段、魔導スマホやトランシーバーを再確認したハンター達は二手に分かれて進む。
●
分岐を抜けてから武装オークとの遭遇率が上がった。
これまで二体だったのが四体や、前衛後衛に分かれた六体に増加。
A班――。
ロジャーは蒼機銃の引き金を引き、射撃し、敵の動きを妨害。味方の敵陣への突入を支援。その後もやや後方から援護射撃を続ける。
ヴァイスはオークと接敵後、敵の武装が銃である事を確認し、一気に接近し注意を自分に向ける。
敵が近距離から銃撃を行ってくると、七支槍による【理】で敵の攻撃を受け止めながら全力で反撃し、敵の防具を貫通。一撃で仕留める。
メイン盾の役割は神楽。盾を構えて前衛にて後衛を庇い、敵の軽機関銃による弾幕を一身に受ける。
【癒しの鎧】と【リジェネレーション】で回復しつつ、隙を見て錬金杖『ヴァイザースタッフ』による【射雷撃】を放ち、一直線に攻撃。
エメラルドは接敵後ロジャーの援護射撃を受けつつ、【セイクリッドフラッシュ】の衝撃によって敵前衛へダメージを与える。
(銃撃が有利という印象を与えない為……それでも銃は使うだろうが連携に乱れ位は生じさせられる筈だ)
その後もロジャーの後方支援を受けながら、神楽と共に前衛にて星剣を振るう。
仲間がダメージを負った際には【ヒーリングスフィア】を使用し、傷を癒す。
セレスもロジャーの援護を受け、銃の優位を崩す為にまずは接近。【マーキス・ソング】を舞って敵を弱らせる。
その後、雷虹剣の【アサルトディスタンス】によって敵前衛を斬り刻む。
敵の銃撃やナイフによる近接攻撃は【瞬影】を使用し、距離を取る。
***
B班――。
ユーリは道中で遭遇した場合、身を潜められそうな場所があるなら潜めて近づいて来た所を奇襲――
と、考えていたが無理だったので、オークを発見次第、危険を承知で斬り込み、蒼姫刀による【刺突一閃】! 一撃で息の根を止めた。
「遠距離なら剣よりも銃が強いけど、それで止められる程容易い相手ではないわよ……?」
リカルドは突撃銃の射撃で動きを止め、【踏込】からの接近。
銃口を逸らす事を狙いつつ、股間を思いきり蹴り上げてから、喉元を突き刺して仕留める――つもりだったが。
股間への蹴り上げはボディアーマーにより全く効果が無かった。反撃の軽機関銃による集中砲火がリカルドを襲う。
瞬く間に生命力を失うリカルド。しかし。
乃梛の【フルリカバリー】【ヒーリングスフィア】による回復が彼を助ける。
「大丈夫? 無茶しないでね」
「……すまん……」
ぶっきらぼうにリカルドは礼を言う。
その後、彼は敵の照準が定まらない様に頭部を防護しつつ常に動き続ける。
一旦下がり、リカルドは味方の援護へ。敵の頭部や腹部へ牽制射撃。敵の動きを阻害し、仲間が接近し易くなる様にする。
(いやあ、相変わらず射撃下手だな、俺はシラットばかりでサボったツケが今になって出て来るとはなあ。どっかで再訓練すっか)
今度はリカルドの援護射撃を受けながら乃梛が敵の懐に入り込み、【セイクリッドフラッシュ】を放ち、敵へダメージを与える。
その後にクロスウィップで打ち据えて銃を叩き落としを狙うも、敵は武装を強固に保持しており、それは出来なかった。普通に攻撃。
「射撃時って怯まずに突っ込んでくるの怖いと思うし? 道中で遭遇するようなら戦いやすい場所におびき寄せるのもアリね」
とは言え、分岐が一度あっただけで通路の広さは変わりなく、明確に『戦い易い』場所は無かった……。
(曲がり角な場所で見えない範囲で神楽鈴『朱金梅』を鳴らして、そのまま寄ってきてくれれば接近状態から戦闘を開始できるかも)
と、彼女は考えた物の、通路には直角的な曲がり角は無く、緩やかなカーブを描く道があるだけだった。残念。
フィルメリアは交戦時、魔導銃による中距離からの射撃を中心として行動する。
敵の装備を確認し――そこから行動をある程度推し量り、対応――。武装オークの殆どは軽機関銃装備だった。
敵の銃撃は銃口と視線の向き、手元の動きに注意を払い、弾道を予測し、回避行動を取る。
此方からの攻撃は武装の隙間や関節部等へ正確に照準して射撃。また、閉所である事を利用し、【跳弾】による敵の死角からの攻撃も行う。
それから【高加速射撃】により敵の防御を貫いての一点突破も狙っていく。
「随分と立派な装備だけど……オーク相手に銃の扱いで遅れを取るものですか」
巳蔓は手に愛用の散弾銃を持ち、味方前衛の支援として奮戦する。
曲がり角は(緩やかではあるが)壁に身を隠しつつ確認してから曲がり、ワイヤートラップの類も警戒。
交戦に際しては正確に的を絞り、散弾銃による射撃を加えていく。武装オーク数体を撃破。
「やりました。……でも、まだまだ」
散弾という特性から敵に近づく必要があったが、そこは仲間との連携でカバーした。
また、頻繁にリロードする必要もあり、隙が生まれがちだったがこれも前衛や仲間のリロードとタイミングをずらす事で対処。
●
A班は尚も奥へと突き進む――と、ついに最奥へ到達。
鉄格子の付いた牢屋、その中に囚われている女性(美人)を発見!
エメラルドは思わずダッシュで駆け寄る。
「アンジェリカか? 大丈夫か? 無事か!?」
「うぅ……あなた方は?」
エメラルドは「おまえを助けに来たハンターだ」と答える。
「……ああ、この様な姿にされて……一体どの様な辱めを……」
裸体に布一枚、傷だらけの上に四肢を拘束されている彼女の姿を見てエメラルドは悲痛な表情を浮かべる。
「今出してやるからな」と言おうとしたその時、「ダメだ……! 離れて……!」とアンジェリカは声を振り絞る、が。
牢屋の左右から多数のオークが出現。不意を突かれたエメラルドは捕まってしまう。
「くっ、離せ!」
「チッ、迂闊だったか」
ヴァイスは舌打ち。既にB班には連絡したが合流までどれ位掛かるか。
「はっ!? 俺は何を!? 囚われの女騎士を前に本能が抑えられなかったっす」
薄布一枚の女戦士を撮影しまくっていた神楽も我に返る。
「やはり来たか。ハンター共」
オーク達の後ろから指揮官らしきフードを被った人型歪虚が出現。
「お前達はここで死んで貰う。……その女は好きにしろ」
人型歪虚は銃を取り出しヴァイス達に向け連射。A班は時間稼ぎを余儀なくされる……。
***
程無くしてB班の面々が合流。
まずはユーリが一気に距離を詰めて接近し、エメラルドを捕えて連続腹パンを加えているオーク二体を斬り伏せ、解放。
それを援護するのはロジャー。只管に射撃。
セレスは【アサルトディスタンス】により周囲のオークを斬り刻む。
「あたしはリーダー格の歪虚との戦いは想定してないから」
フィルメリアは魔導銃使用の【機導砲】と『氷刃【Is Schwert】』を解禁。人型歪虚やオークに対し全力攻撃。
「先に言っておくわよ、止めたければ全力で止めなさい。だから……こっちは出し惜しみ無し、全力で首を獲りにいくから」
ユーリはその様に宣言した後に、人型歪虚へ接敵。【刺突一閃】! 取り巻きのオークを巻き込んで撃破。
「おのれぇ!」
大ダメージを受けた人型歪虚は声を上げる。
続いてリカルド。人型歪虚へ射撃で周りを回る様に牽制しながら近づき、横か後ろに回り込み。
【踏込】にて接近。膝裏や肘の関節を狙い、斬撃を繰り出す。しかし人型歪虚も刀剣を所持しており、それは弾かれた。
だが怯まずに【龍の形】により敵の頭部を狙う。斬撃と斬撃がぶつかり合った。
その間もオークの弾幕と他ハンター達の全力攻撃の応酬。……程無くして、オークは全滅。
――最後に、ユーリが【疾風打】から【比翼・千鳥】、【秘剣・霹靂】を叩き込み、撃破。人型歪虚は黒い霧となった……。
***
周囲の安全を確認すると、セレスが牢屋を開錠。
「罠があるかもな所に踏み込むのは危険っすからね~」
神楽が【幻影触手】を使って引き寄せ様とするが、その前に拘束を解かねばならない。
尚、彼は女性陣から冷たい視線を浴びた。ポーションだけ差し出しておく。
セレスがアンジェリカの拘束を解き、漸く彼女を救出。
ヴァイスが蹲る彼女へマントを羽織らせ、話しかけた。
「あんたのお陰で村人達は全員無事だ。後はここから脱出するだけだ、動けそうか?」
続き、ロジャーが彼女へポーションを数本ゆっくりと飲ませる。
「今度どっかに飲みに行かない?」
と、ついでにナンパして女性陣から冷たい視線を浴びる。
「『屈辱に塗れるなら潔い死を』……気持ちは分からないでも無いですが、汚名返上・名誉挽回くらいの方がと思いますよ」
フィルメリアが優しく彼女を諭す。
エメラルドと乃梛は手厚く看護。巳蔓も少しだけ口元に笑みを浮かべ、見守る。
***
「貴女の装備が見付かれば良いのですが」
帰り道でフィルメリアが言い、洞窟内を捜索。すると彼女の鎧や装備一式が発見された。
また、家宝の長剣は帰った先の村で見つかり、万事解決。
こうしてアンジェリカの救出は無事果たされたのだった。
突如としてオークの軍勢による襲撃を受けた辺境部族の村――。
幸い村人達は全員隣の村に避難し、無事だったのだが……。
村人を守る為、一人で残りオークの足止めをした旅の女戦士が攫われたというのだ。
その女戦士を救出するべくやって来た十名のハンター達。
「武装したオークかぁ……。どんな武装してるのかは詳細は分からないけど、連中が武装してるって時点で少しばかり面倒ね」
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)はふむりと顎に手を当てる。
依頼主である村人の話を聞けば、オークの軍勢は見慣れぬ鎧と兜で身を固め、詳しくは分からない物の、銃器を装備していたらしい。
「まぁ、侮るつもりは無いけど、きっちり仕留めて件の女騎士を助けるとしましょうか」
(……ただ何だろう、捕まってる女騎士って聞くと変な違和感覚えるというかね。気の所為であってほしいけど)
ちなみに、救出対象のアンジェリカは女騎士ではなく、騎士になる為の修行中の『女戦士』である。
「銃器を持ったオークか、統率しているやつが居んのかね? さっさと洞窟制圧して、対象を救出しねえとな」
敵指揮官の存在を疑うリカルド=フェアバーン(ka0356)。
(ただこのメンツだとオークを襲う女戦士とその部下たちみたいだなあ……)
今回の依頼参加者は……うむ、凛々しくも麗しい美女・美少女揃いだ。
「村にあった戦闘痕を見る限りただのオークの集団って訳でもなさそうだ。村の人達が言っていたアンジェリカの姿も見当たらない」
村の地面を調べつつ、その様に言うのはヴァイス(ka0364)。
「奴らを追って先に向かったのか、連れ去られたかは判らないが、急いだ方がよさそうだな」
参考として依頼の経緯を説明すると、村の若者が辺境のHSへ応援を依頼。
しかしハンター達が村へ到着した時には既にオークの軍勢、及びアンジェリカの姿は無かった。
村中や近辺を捜索するもアンジェリカの遺体は発見出来ない……そして村からやや離れた洞窟にオークの影有りとの情報。
アンジェリカは生存している可能性が高い。故に、依頼内容はオークに攫われたらしきアンジェリカの救出、となったのだ。
一方で、一見すると能天気そうな様子の神楽(ka2032)。
「アンジェリカさんに幻影触手ぶちかまして最低の屑と罵って貰いたい所っすけど、お仕事だから我慢するっす~」
一応仕事はこなすつもりの様だ……。
「囚われの女性を助けに行くのに理由が必要とでも」
ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)はキリッとした表情でその様に言う。
「それにオーク如きが銃持ってイキってるとか猟撃士としてシメに行かんと」
オークの知能で銃を効果的に扱えるとは思えないが……裏に何かあるのかもしれない。
「村人を逃がす為に一人残った女性騎士、か……殺されずに連れ去られた、と言うのも少し気になる所ね」
フィルメリア・クリスティア(ka3380)も敵の行動に違和感を覚えていた。
(知恵が回るとしても人質を取る訳でもないでしょうし……気紛れ? 或いは後ろに入れ知恵をした歪虚が居るという事かしら)
やはり敵指揮官――オーク以上の知能を持つ存在が疑われる。
「ともあれ彼女の救出を最優先に、次いでオークの集団を可能な限り排除、理想は殲滅。可能なら統率者の討伐もだけれど……戦況と騎士さんの体力次第ね」
オークの軍勢は一度退いたといっても、いつまた襲って来るか判らない。村人の安全の為にも殲滅しておくべきである。
「女戦士……いや、女騎士がオークに攫われた……だと……!?」
何故かわなわなしているのはエメラルド・シルフィユ(ka4678)。
「い、いかん……助けに行かなくては……! か、神よ…どうか彼女の身を守り給え……!」
アンジェリカの無事(意味深)を願い、神に祈りを捧げるエメラルド。
「……実は私も実物のオークと出会った事はないのだが……オークは人間やエルフの女性を捕えては想像するのも悍ましい卑猥な事をすると聞く……」
それは一体どこから得た知識だろうか……。
オークとは人間、エルフ、ドワーフ等の人族が歪虚化した妖魔種族なので、そういった行為をする可能性は無くも無いが……。
「それだけは許してはならない……急がねば……彼女を救う事こそ今私が主に与えられた使命……!」
という訳で使命感に燃えるエメラルドであった。
黒髪ロングヘア・きめ細やかな色白肌系美少女の十色 乃梛(ka5902)。
「微妙に戦い難いわね」
……それはそうだろう。救出作戦とは須らく難しい物だ。
「殺すんじゃなく、攫うってのは不自然だねぇ」
セレス・フュラー(ka6276)もオークの行動を不自然に思っている様子。
「攫って身代金を要求するわけでもない。慰み者にするってんなら、どうせもうその場にオークを止められる人はいなかったんだからその場で手を出せばいい」
もしそうであったならば村へ応援に駆け付けたハンター達は凄惨な現場を目撃した事だろう(描写出来ません)。
「後はあたしの残念な頭で考えられる利用価値としては、他の人間を呼び込む為の餌……か」
その様に考えるのが妥当だと思われる。他の意図があるのかもしれないが。
「実際のとこどうなのかは置いといて、色々と気になる点が多い事で……」
緑の瞳に健康的な小麦色の肌をした巳蔓(ka7122)は――
「敵も銃で武装しているんですね。危険ですが……」
自分の愛銃、ショットガンを握り締める。
(とても楽しみです、までは言わない方が良さそうですね。救出を含めて命懸け、全力がどこまで通用するのか腕試しです)
女戦士の救出やオークの殲滅が依頼目標でありつつも、彼女の個人的な目的は武装オーク相手に腕試しの様だ。
アンジェリカの状態が不明の為、ハンター達は急いでオークが巣食う洞窟へと向かう――。
●
洞窟付近へ到着したハンター達。物陰から様子を窺ってみると……情報通り、銃器や防具を装備したオークの姿があった。
入口付近に四体。どうやら見張りの様だ……。まずはこれを――速やかに片付ける!
フィルメリアが魔導銃の、ロジャーが蒼機銃の銃口を物陰から出し。
巳蔓は伏せて草むらの中を進み、散弾銃の射程にオークを捉え――そして、三人はオーク一体へ同時に集中砲火。
間髪入れず乃梛が駆けて、【セイクリッドフラッシュ】の光の波動を放つ。……蜂の巣にされたオーク一体が沈む。
残る三体のオークから反撃の弾幕が飛ぶが、神楽が聖盾剣を構えて乃梛の前へ出、防御。
その隙に七支槍を構えたヴァイス、試作振動刀を構えたリカルドが左から一気に距離を詰め、突きと斬撃を繰り出す。
右からはエメラルドが星剣を、セレスが雷虹剣を握って接近し、二つの斬撃を喰らわす。
……これで合計三体のオークが倒れる。
そして最後の一体を蒼姫刀を抜いたユーリが一刀の元に斬り伏せた。その気高く凛々しく美しい姿、まさに姫騎士。
囚われの女戦士を救出するべく洞窟内部へいざ突入。
***
洞窟内を進むハンター達――。
リカルドは出来る限り中央を歩く様にし、跳弾に警戒しながら中腰の姿勢で周囲を警戒し、前進。
オークを発見すれば突撃銃により、すぐに腹から頭部へ連続して射撃を行う。
(狭い場所だから発砲音で耳がやられるのは好かんな……)
仲間も続き、集中的に攻撃を浴びせ、素早く排除する。……この様に、オーク二体ずつとの散発的な戦闘が続いていた。
フィルメリアは洞窟内の探索中、出来る限り気配を消しつつマッピングを行いながら進行。
「ふむ……ここまでは一本道ですね」
と言っていた傍で、通路が二又に分かれている場所へ当たる。
「発見が遅れるほど彼女の身が危険だ」
焦りを隠せないエメラルド。そんな訳で事前に決めていた通りにここから先はA班とB班に分かれて行動する。
「補助の灯り兼通信用のスマホがあるからそっちはいいとして……分岐地点には印を入れておきたいかな。後、足跡とかの痕跡があればそれを辿っていきたいわね」
その様に言う乃梛は早速印を付ける。
「特に深い意味はないけどあたしは左の道を選ぶよ!!」
セレスはA班である。
そうして通信手段、魔導スマホやトランシーバーを再確認したハンター達は二手に分かれて進む。
●
分岐を抜けてから武装オークとの遭遇率が上がった。
これまで二体だったのが四体や、前衛後衛に分かれた六体に増加。
A班――。
ロジャーは蒼機銃の引き金を引き、射撃し、敵の動きを妨害。味方の敵陣への突入を支援。その後もやや後方から援護射撃を続ける。
ヴァイスはオークと接敵後、敵の武装が銃である事を確認し、一気に接近し注意を自分に向ける。
敵が近距離から銃撃を行ってくると、七支槍による【理】で敵の攻撃を受け止めながら全力で反撃し、敵の防具を貫通。一撃で仕留める。
メイン盾の役割は神楽。盾を構えて前衛にて後衛を庇い、敵の軽機関銃による弾幕を一身に受ける。
【癒しの鎧】と【リジェネレーション】で回復しつつ、隙を見て錬金杖『ヴァイザースタッフ』による【射雷撃】を放ち、一直線に攻撃。
エメラルドは接敵後ロジャーの援護射撃を受けつつ、【セイクリッドフラッシュ】の衝撃によって敵前衛へダメージを与える。
(銃撃が有利という印象を与えない為……それでも銃は使うだろうが連携に乱れ位は生じさせられる筈だ)
その後もロジャーの後方支援を受けながら、神楽と共に前衛にて星剣を振るう。
仲間がダメージを負った際には【ヒーリングスフィア】を使用し、傷を癒す。
セレスもロジャーの援護を受け、銃の優位を崩す為にまずは接近。【マーキス・ソング】を舞って敵を弱らせる。
その後、雷虹剣の【アサルトディスタンス】によって敵前衛を斬り刻む。
敵の銃撃やナイフによる近接攻撃は【瞬影】を使用し、距離を取る。
***
B班――。
ユーリは道中で遭遇した場合、身を潜められそうな場所があるなら潜めて近づいて来た所を奇襲――
と、考えていたが無理だったので、オークを発見次第、危険を承知で斬り込み、蒼姫刀による【刺突一閃】! 一撃で息の根を止めた。
「遠距離なら剣よりも銃が強いけど、それで止められる程容易い相手ではないわよ……?」
リカルドは突撃銃の射撃で動きを止め、【踏込】からの接近。
銃口を逸らす事を狙いつつ、股間を思いきり蹴り上げてから、喉元を突き刺して仕留める――つもりだったが。
股間への蹴り上げはボディアーマーにより全く効果が無かった。反撃の軽機関銃による集中砲火がリカルドを襲う。
瞬く間に生命力を失うリカルド。しかし。
乃梛の【フルリカバリー】【ヒーリングスフィア】による回復が彼を助ける。
「大丈夫? 無茶しないでね」
「……すまん……」
ぶっきらぼうにリカルドは礼を言う。
その後、彼は敵の照準が定まらない様に頭部を防護しつつ常に動き続ける。
一旦下がり、リカルドは味方の援護へ。敵の頭部や腹部へ牽制射撃。敵の動きを阻害し、仲間が接近し易くなる様にする。
(いやあ、相変わらず射撃下手だな、俺はシラットばかりでサボったツケが今になって出て来るとはなあ。どっかで再訓練すっか)
今度はリカルドの援護射撃を受けながら乃梛が敵の懐に入り込み、【セイクリッドフラッシュ】を放ち、敵へダメージを与える。
その後にクロスウィップで打ち据えて銃を叩き落としを狙うも、敵は武装を強固に保持しており、それは出来なかった。普通に攻撃。
「射撃時って怯まずに突っ込んでくるの怖いと思うし? 道中で遭遇するようなら戦いやすい場所におびき寄せるのもアリね」
とは言え、分岐が一度あっただけで通路の広さは変わりなく、明確に『戦い易い』場所は無かった……。
(曲がり角な場所で見えない範囲で神楽鈴『朱金梅』を鳴らして、そのまま寄ってきてくれれば接近状態から戦闘を開始できるかも)
と、彼女は考えた物の、通路には直角的な曲がり角は無く、緩やかなカーブを描く道があるだけだった。残念。
フィルメリアは交戦時、魔導銃による中距離からの射撃を中心として行動する。
敵の装備を確認し――そこから行動をある程度推し量り、対応――。武装オークの殆どは軽機関銃装備だった。
敵の銃撃は銃口と視線の向き、手元の動きに注意を払い、弾道を予測し、回避行動を取る。
此方からの攻撃は武装の隙間や関節部等へ正確に照準して射撃。また、閉所である事を利用し、【跳弾】による敵の死角からの攻撃も行う。
それから【高加速射撃】により敵の防御を貫いての一点突破も狙っていく。
「随分と立派な装備だけど……オーク相手に銃の扱いで遅れを取るものですか」
巳蔓は手に愛用の散弾銃を持ち、味方前衛の支援として奮戦する。
曲がり角は(緩やかではあるが)壁に身を隠しつつ確認してから曲がり、ワイヤートラップの類も警戒。
交戦に際しては正確に的を絞り、散弾銃による射撃を加えていく。武装オーク数体を撃破。
「やりました。……でも、まだまだ」
散弾という特性から敵に近づく必要があったが、そこは仲間との連携でカバーした。
また、頻繁にリロードする必要もあり、隙が生まれがちだったがこれも前衛や仲間のリロードとタイミングをずらす事で対処。
●
A班は尚も奥へと突き進む――と、ついに最奥へ到達。
鉄格子の付いた牢屋、その中に囚われている女性(美人)を発見!
エメラルドは思わずダッシュで駆け寄る。
「アンジェリカか? 大丈夫か? 無事か!?」
「うぅ……あなた方は?」
エメラルドは「おまえを助けに来たハンターだ」と答える。
「……ああ、この様な姿にされて……一体どの様な辱めを……」
裸体に布一枚、傷だらけの上に四肢を拘束されている彼女の姿を見てエメラルドは悲痛な表情を浮かべる。
「今出してやるからな」と言おうとしたその時、「ダメだ……! 離れて……!」とアンジェリカは声を振り絞る、が。
牢屋の左右から多数のオークが出現。不意を突かれたエメラルドは捕まってしまう。
「くっ、離せ!」
「チッ、迂闊だったか」
ヴァイスは舌打ち。既にB班には連絡したが合流までどれ位掛かるか。
「はっ!? 俺は何を!? 囚われの女騎士を前に本能が抑えられなかったっす」
薄布一枚の女戦士を撮影しまくっていた神楽も我に返る。
「やはり来たか。ハンター共」
オーク達の後ろから指揮官らしきフードを被った人型歪虚が出現。
「お前達はここで死んで貰う。……その女は好きにしろ」
人型歪虚は銃を取り出しヴァイス達に向け連射。A班は時間稼ぎを余儀なくされる……。
***
程無くしてB班の面々が合流。
まずはユーリが一気に距離を詰めて接近し、エメラルドを捕えて連続腹パンを加えているオーク二体を斬り伏せ、解放。
それを援護するのはロジャー。只管に射撃。
セレスは【アサルトディスタンス】により周囲のオークを斬り刻む。
「あたしはリーダー格の歪虚との戦いは想定してないから」
フィルメリアは魔導銃使用の【機導砲】と『氷刃【Is Schwert】』を解禁。人型歪虚やオークに対し全力攻撃。
「先に言っておくわよ、止めたければ全力で止めなさい。だから……こっちは出し惜しみ無し、全力で首を獲りにいくから」
ユーリはその様に宣言した後に、人型歪虚へ接敵。【刺突一閃】! 取り巻きのオークを巻き込んで撃破。
「おのれぇ!」
大ダメージを受けた人型歪虚は声を上げる。
続いてリカルド。人型歪虚へ射撃で周りを回る様に牽制しながら近づき、横か後ろに回り込み。
【踏込】にて接近。膝裏や肘の関節を狙い、斬撃を繰り出す。しかし人型歪虚も刀剣を所持しており、それは弾かれた。
だが怯まずに【龍の形】により敵の頭部を狙う。斬撃と斬撃がぶつかり合った。
その間もオークの弾幕と他ハンター達の全力攻撃の応酬。……程無くして、オークは全滅。
――最後に、ユーリが【疾風打】から【比翼・千鳥】、【秘剣・霹靂】を叩き込み、撃破。人型歪虚は黒い霧となった……。
***
周囲の安全を確認すると、セレスが牢屋を開錠。
「罠があるかもな所に踏み込むのは危険っすからね~」
神楽が【幻影触手】を使って引き寄せ様とするが、その前に拘束を解かねばならない。
尚、彼は女性陣から冷たい視線を浴びた。ポーションだけ差し出しておく。
セレスがアンジェリカの拘束を解き、漸く彼女を救出。
ヴァイスが蹲る彼女へマントを羽織らせ、話しかけた。
「あんたのお陰で村人達は全員無事だ。後はここから脱出するだけだ、動けそうか?」
続き、ロジャーが彼女へポーションを数本ゆっくりと飲ませる。
「今度どっかに飲みに行かない?」
と、ついでにナンパして女性陣から冷たい視線を浴びる。
「『屈辱に塗れるなら潔い死を』……気持ちは分からないでも無いですが、汚名返上・名誉挽回くらいの方がと思いますよ」
フィルメリアが優しく彼女を諭す。
エメラルドと乃梛は手厚く看護。巳蔓も少しだけ口元に笑みを浮かべ、見守る。
***
「貴女の装備が見付かれば良いのですが」
帰り道でフィルメリアが言い、洞窟内を捜索。すると彼女の鎧や装備一式が発見された。
また、家宝の長剣は帰った先の村で見つかり、万事解決。
こうしてアンジェリカの救出は無事果たされたのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 11人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
おしえておねえさん(質問卓) ロジャー=ウィステリアランド(ka2900) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/05/11 20:13:10 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/13 20:05:42 |
|
![]() |
相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/05/15 21:38:48 |