• 虚動

【虚動】海賊を撃退しよう

マスター:笹村工事

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2014/12/20 07:30
完成日
2014/12/24 06:51

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●客寄せ襲撃
「あれを襲えば良いんで?」
 目で確認できるギリギリの距離に浮かぶ3艘の輸送船を言葉で示し、海賊の頭目は依頼人に確認する。
 その声には窺うような響きが強い。
 何しろ目の前の男は、突然たった一人で現れると、左右の腰に差した幅の広く奇妙な刃形の双刀を抜く事も無く自分達を叩きのめしたのだから。
 そして圧倒的な力の差を見せつけた男は、左手に持っていた袋の中身、無数の貴金属を見せつけこう言った。
「仕事を頼む。巧くやれば、これは全部くれてやる」
 それに海賊達は乗り、いま仕事の確認をしているという訳である。
「適当に暴れて襲えば良いんですな。
 その上で、死人が出るも何を奪うもこっちの自由、ってことで」
「好きにしろ、その辺は。不満があんのか?」
 野良犬を追い払うように、ぞんざいに手を振りながら男は問い返す。
 それに慌てて頭目は応えた。
「まさか。金だけじゃなく、こんな物まで用意して貰ってるんだ。文句なんてねぇですよ」
 視線の先に一艘の船を見詰めながら頭目は返す。
 十人以上がその上で立ち回れるほど大きな船である。甲板部分には何もなく、平坦な床張りになっていた。
 一見すると飾り気のない船に見えたが、その性能はこれまで頭目が見たどの船よりも速く小回りが利く。
 おまけに『生きている』かのように乗り手の言葉に従い動くのだ。
「魔術師が作った船なんですってね。こんな物まで用意するんだから色々とあるんでしょうねぇ、アンタも」
「厄介になってる所の姫さんに借りを返さないといけないんでな」
「へへ、女絡みですか」
「なに想像してんだか知らねぇが、昔負った傷を癒すのに厄介になってたんだよ」
「傷、ですかい。見た所アンタ、ハンターか何かみたいだが、歪虚にでも襲われたんで」
「仲間だ」
 淡々と告げる男の言葉に頭目は思わず黙ってしまう。それをつまらなそうに見つめながら男は続ける。
「根本的に俺が悪いんだがな。
 とはいえ、肩撃ち抜かれた挙句に腹ぶった切られてな、そのままじゃヤバいんで崖から落ちて何とか逃げた所で、姫さんの所に厄介になったんだよ」
「そ、それは、ずいぶんとまぁ、大変な事で。その割には元気そうですな、アンタ」
 目の前の男を見詰めながら頭目は言う。
 年の頃は二十代後半、波打つような髪を背中まで伸びし、やや背が高くがっしりとした体格のその男は、爬虫類の鱗を思わせる外観をした鎧を身に着けている。全身から、正規兵ではなく傭兵のような泥臭さを感じさせる気配を漂わせるが、先ほど自身が口にしたような目に遭ったとはとても思えない精強さを感じさせていた。
「今は元気だけどな、当時は滅びかけたんだよ、これでも。
 これ以上聞きたいってんなら、それなりにこちら側に踏み込んで貰うが、それで良いんだな?」
 言葉が終わるよりも早く、男の瞳孔が蛇の目のように鋭く変化する。それと共に濃厚な気配が溢れた。
「とんでもねぇ。そこまで深入りする気はねぇよ。安心してくれ」
 下卑た笑みを浮かべながら頭目は返す。
 海賊と一口に言っても色々居るが、今この場に居る海賊はただのごろつきである。
 巡りの悪さから海賊にならざるを得なかった者達ではなく、海賊になる事で自分達の利益を得たい、そんな理由で海賊に落ちた者達でしかない。
 当然思慮も浅く、相手によっては簡単に利用される。
 今のように。
「じゃ、頼むぜ。
 それと、こいつらも渡しとく。お前らの言うことを聞くようにしてある。巧く使え」
 男の言葉と共に、彼の背後に伏せていた6体の異形の獣が前に出た。
 陶製の犬人形、言葉にすればそんな代物である。それらは静かに船に乗ると、伏せをする。
「こいつらも貸してくれんのか、ありがてぇ。
 とはいえ、危なくなったらこいつらを捨て駒にして逃げるが、それでも良いよな」
「好きにしろ。お前らには、巧く今回の仕事をこなせば次からも頼むつもりだからな」
「任せてくれ。だから後払いの金、キッチリ頼むぜ」
 そう告げると、頭目に従い海賊たちは船に乗り込む。
 目指す先は3艘の輸送船。
 海賊達は高を括っていた。獲物は小規模の輸送船団、大した護衛も連れていないと。
 だがすぐにその考えが甘い事を彼らは身をもって知る事になる。
 なぜなら、ハンターであるアナタ達が、その船には乗り込んでいたのだから――

リプレイ本文

●対応協議
 威嚇の銅鑼声が響く。海賊達は輸送船へと近付きながら止まるように叫んでいた。
 それを輸送船団の最後尾に乗っていたハンター達は見つめ、手早く話し合う。
「頭の悪い海賊ね」
 セリス・アルマーズ(ka1079)は近付いてくる海賊達に呆れたような声を上げた。
 それに賛同するように超級まりお(ka0824)は続ける。
「だね。静かに気付かれないように近付けば良いのに」
「ですが、そのお蔭で先頭の2艘は逃がす事が出来ました。後は我々が退治するだけです」
 雪ノ下正太郎(ka0539)がまりおの言葉を引き継ぐように言えば、フラン・レンナルツ(ka0170)は海賊達ではなく海賊船を訝しむ。
「あの船、性能良過ぎないかな? 頭悪そうな海賊が乗ってるのは、おかしな気がする」
「だね。ワザワザ護衛付きの食材輸送船を襲ってくるのも変だし」
 まりおの言葉に正太郎は続ける。
「とはいえ兵站は大事です、海賊は倒さねば。
 気を付けるとしたら伏兵ですね。警戒はしておきましょう」
 これにセリスは続ける。
「背後関係が気になる所だね。命知らずなのか、脅迫されて渋々なのか。
 どちらかは分からないが、何人か尋問用に確保しておこう。
 となれば後はどうやって退治するかだけど」
 これには、ルリ・エンフィールド(ka1680)が応えた。
「降伏する演技をして油断させてから奇襲ってのは、どうかな?
 この距離で撃ってこねえって事は、相手はこの船の積み荷が目的くせえし。
 ってことは沈めるような真似はしてこねえから、おとなしくして油断した隙を狙おうぜ!」
「……演技、良いと思う」
 姫凪 紫苑(ka0797)は賛同し、そして自分の意見も続ける。
「……船上……戦うにはやり難いけど……仕方ない。でも、出来るだけ戦い易くする工夫は必要。だから、演技して奇襲は良いと思う。
 ……後は、戦う場所だけど……私は向こうの船に乗り込んで戦おうと思う」
 これにハンター達は希望する配置を口にし準備は整う。
 そして海賊達はやって来た。

●頭の悪い海賊
「か、海賊にはぁ~、好き勝手させないぞぉ~」
 まりおは杖を支えになんとか立っているかの如く、足をプルプルさせて海賊達に相対する。
 もちろん演技だ。だが少女の見た目と、今回持って来ていた武器が仕込み杖だった事もあり、海賊は騙された。
 同様に他のハンター達も演技をする。
「ボクは降参するよ。そっちの船の速さだと、もう逃げられないだろうし」
 ルリが海賊達の死角からすぐに武器を取り出せるように隠しながら言えば、セリスも可憐に演技した。
「私も降参します。荷物は差し上げますから、惨たらしい事はしないで下さい」
 これに頭の悪い海賊達は騙された。
「物分り良いな。まぁ、女どもばかりじゃしょうがねぇか。おい、そっちのニィちゃんは勝手に動くなよ。女どもがどうなってもいいなら知らねぇが」
 正太郎は海賊の言葉を受け、船の端に寄る。それは戦闘になった際に他のハンター達の動きの邪魔にならない為でもあったが、海賊達はただ侮るばかり。
 その間にフランは怯えたような振りをしながら海賊の頭目に見当を付け、姫凪はいつでも海賊船に乗り移れる準備をする。
 状況はハンター達に有利に進む。全ては海賊達の油断を誘う演技の賜物である。
 この時、もしハンター達が自分達の手強さを前面に出していたのなら、海賊達は最初に雑魔を一斉に輸送船へ送り込み、ハンター達がそれに対処している間に銃で撃っただろう。最悪、手強いと見て逃げ出された可能性すらあった。
 だが、ハンター達の機転と海賊達の頭の悪さが合わさり、状況はハンター達に圧倒的有利で進む。
「おい、そっちの女どもはこっちに来いや。ただし武器は置いてな」
 好色めいた声で海賊は命令する。それを利用し、まりおや姫凪、そしてルリは乗り込む準備をする。
 それに海賊の頭目は気付かず、今度は仲間に命令した。
「お前らは船に乗り込んで金目のもん盗って来い。それとお前らは、2匹向こうに行け。あのニィちゃん見張っとけよ」
 頭目の命令に海賊が2名と雑魔2体が輸送船に乗り込む。
 雑魔は素早く正太郎の前につき、海賊達はその後ろにつくようにして輸送船へと降り立つ。

 その瞬間、ハンター達は一斉に動いた。
 まりおや姫凪、そしてルリが海賊船に乗り込む。
 そして正太郎は目の前の雑魔に、セリスは仲間への援護に、そしてフランは海賊船の雑魔に狙いを付ける。
 この奇襲に海賊達は咄嗟には動けずにいた。それに比べ、ハンター達の動きは圧倒的に速い。
 最初に動いたのはセリス。彼女は船に乗り込む仲間にプロテクションをかける。
「そちらは任せた!」
 時間が勝負である奇襲であった為、スキルをかけられたのはルリのみであったが、それは彼女の守りとなる。
 次に動いたのは、フラン。
「素早そうな相手から潰す」
 彼女は海賊船にいる雑魔の1体に狙いを付け、強弾のスキルと共に撃つ。
 奇襲を受け命令できない海賊のせいで棒立ちの雑魔は、攻撃をまともに食らって頭部を吹っ飛ばされた。

 残りは、雑魔5体と海賊6人。それも次々に倒されていく。
 覚醒と共に獅子獣人の如き姿になった正太郎は闘心昂揚を使い、更にクラッシュブロウを込めメテオブレイカーによる一撃を放つ。
「一撃で仕留める!」
 祖父直伝の古流柔術の動きも合わさったそれは、動きの美しさと共に雑魔にとって必殺の一撃となった。
 海賊から受けた命令で「見張る」以外の行動がとれない雑魔は、まともに攻撃を食らい胴体部分を粉砕される。
 ここに到ってようやく、輸送船に乗り込んで来た海賊達はハンター達に動きを見せ始めたが、その時にはすでに海賊船での戦いは進んでいた。
 奇襲でまともに動けない海賊と雑魔に、海賊船に乗り込んだ3人はそれぞれ先制の攻撃を放つ。
「ダッシュからの、飛燕!」
 スルリと海賊船に乗り移ったまりおは仕込杖を抜刀。奇襲に対応できない海賊の一人を素早く斬り付け無力化する。
 だが、まりおは海賊の一人に銃を向けられた。しかし引き鉄が引かれるより早く、姫凪がその海賊を倒す。
「……油断大敵」
 振るわれたデスサイズの一撃を覚醒者でもない海賊に避ける事は出来ず、あっさりと無力化される。
 その一方、雑魔に向かって行ったルリは踏込と強打のスキルを使い最も近い1体に攻撃を放った。
「こちとら、航海で美味しいもんをたらふく食えなくてイライラしてんだ! さっさと終わらせてもらうぜ!」
 勢い良く放たれた一撃は、海賊の命令を受けられず動けない雑魔の頭部に会心の一撃を与え、あっさりと殲滅した。

 残る敵は、雑魔3体と海賊が4人。ここに来て、海賊は明確に動き出す。
「こいつらぶっ殺せ!」
 頭目の命令に雑魔と海賊は動き出す。
 まず輸送船の雑魔が正太郎の足元を目掛け襲い掛かる。それと同時に引き鉄を引く海賊の一人。
 同時に放たれた2つの攻撃。正太郎は銃撃をバックラーで防御し、避けきれない雑魔の攻撃を足首に受ける。
 直後、海賊にバックラーを叩き付け無力化。足元に噛みついたままの雑魔に闘心昂揚とクラッシュブロウによる一撃を叩き込んだ。
「肉を切らせて骨を断つ!」
 気合と共に放たれた一撃は雑魔の胴体を粉砕。それでも辛うじて動き、再度攻撃して来ようとしたそれに止めを刺した。
 これで輸送船に乗り込み残った相手は海賊が一人。しかしそれもセリスにより無力化されつつある。
「ここからは逃がさない」
 ハンター達にはかなわないと見て、他の乗組員の元へ行こうとした海賊の前にセリスが立ちはだかる。
 防御体勢を取る重武装な彼女に海賊は動きを防がれ、銃による攻撃も盾で防がれる。
 そして後の尋問の為に注意を払い放たれるセリスのサーベルにより、意識のあるまま無力化された。
 残るは海賊船の敵のみ。それも制圧されつつあった。
「あなたが頭目? 気になる事もあるし後で話を聞かせて貰うよ」
 残った海賊二人をまりおは一人で引き受ける。それは雑魔2体の方が手強いと判断し、ルリの援護に向かった姫凪との連携を取る動きであった。
 それに馬鹿にされたと思った海賊達は怒りのままに銃を撃つ。
 だが、それは当たらない。ただでさえ揺れる船の上で命中率が下がっている中、頭に血が上った状況では当たりようもない。
 更にまりおはダメ押しをするようにランアウトも使い一瞬で間合いを詰めると、後で尋問が出来る程度に海賊2人を無力化した。
 時を同じくして、残った雑魔も殲滅されつつあった。
「……鬼さんこちら?」
 瞬脚を使い一気に間合いを詰めた姫凪は、2体の雑魔の内1体の注意を引くようにして牽制。
 襲い掛かって来る雑魔にマルチステップを使い、危なげも無く避ける。
 そして常人よりも周囲の立体感覚に優れていた彼女は、雑魔をある1点に誘導するように動く。
 それに食いついた雑魔は、そこへと辿り着き銃撃を受けた。
 フランによる強弾込みの一撃である。姫凪により絶好の狙撃場所に移動した雑魔は良い的だった。
 銃撃により大ダメージを受けるも動こうとする雑魔を姫凪の一撃が止めを刺す。
「誘導ありがとう!」
「ん……どういたしまして」
 そして残り1体の雑魔もルリにより倒されつつあった。
 雑魔の体当たりをルリは盾で防御する。セリスのプロテクションを受けていた事もあり、盾越しの衝撃すら全くと言って良いほど受けない。
 それに攻めあぐね迷うように動きを止めた雑魔に、ルリは踏込と強打を使った渾身の一撃を放つ。
「これで終わりだ!」
 それは会心の一撃となり、雑魔は深々とレイピアを脳天に受け塵と化した。
 こうして海賊達は完全に無力化され、傷付いたハンターはスキルにより傷を癒してから、海賊達への尋問が行われた。

●???
 輸送船の通路に2人、海賊船の端に4人。
 それぞれをハンター達が見張る中、一度に全ての海賊を輸送船に移す危険を避け、まずは輸送船の2人に尋問。海賊達は口を割った。
 これは、フランとセリスによる所が大きい。
 最初は抵抗した海賊達だったが、フランの静かな脅しとセリスのにこやかな脅しにあっさりと屈した。
「此方は被害を殆ど出さずに済んだんだ。君等を衛兵に引き渡さずに魚の餌にすれば、そもそも襲撃がなかったと言えるぐらいにね」
「6人も要らないし、2人ぐらい残れば良いだろう。喋る気が無いのなら拷問でもしよう」
 すると、海賊達は喋り出す。自分達は脅されて仕方なく襲ったという事。その男は姫とかいう相手に借りを返すために動いているという事。
「それで依頼してきた相手の名前は?」
 正太郎の問い掛けに、海賊が「ドラクマ」と答えたその時だ。
「気を付けて何か来る!」
 今回の襲撃にきな臭さを感じ周囲を警戒していた姫凪が、海面の動きに気付き声を上げるのとほぼ同時。
 海面に勢い良く水柱が上がる。
 水柱を上げ水中から飛び出してきたモノは輸送船の縁に降り立つと、そこを伝い一瞬で捕えられた海賊達の元に走り寄る。
 それを防ぐようにフランは盾を持ち壁になるが、その頭上を跳び超え海賊達の元に降り立つと首を鷲掴みにし海賊船に放り投げる。
 それを迎撃するように、セリスと正太郎は攻撃を放った。
 だが海中から現れた二十代後半の男に見える何かは、腰に差した双刀を抜き刀の腹で攻撃を受け止めると海賊船に跳び移る。
 その瞬間、フランによる銃撃が行われるも刀の腹で受け止められた。
「かーっ、響くね。まともに食らいたくねぇな、こりゃ」
 自分を攻撃してきたハンター達を楽しげに見詰めた後、海賊船に降り立ったそれは、海賊船の上で相対するハンター達に体を向け、名乗りを上げる。
「ドラクマ。強欲の歪虚だ、よろしくな。家名は歪虚になった時に捨てたんで勘弁してくれ。ま、貰ったもんを返しただけだがな」
 自身を歪虚だと告げたドラクマ。ハンター達に緊張が走る。
 そんな中、ドラクマは海賊船のハンター達へ一気に間合いを詰めた。
 恐ろしく速い。一瞬で間合いを詰めるとハンター達の間をすり抜け海賊達の前に立つ。
「ひっ! あ、あんた歪虚だったのか。こ、殺さな」
「殺さねぇよ。勘違いすんな、馬鹿」
 呆れたようにドラクマは続ける。
「余計な事喋らなきゃ助けてやろうかと思ったのにベラベラ喋りやがって。
 てめぇらなんぞ知らねぇから見捨てるって言いたかっただけだ。
 ま、ここで俺に殺されるよか、捕まって自分達がしでかした事の始末付けさせられる方が面白そうだしな」
 そこまで言うと、今度はハンター達へ体を向け告げる。
「こいつら後で締め上げると良いぜ。隠れ家に商人殺して奪ったお宝があるからよ。後始末は任せるぜ。
 ま、良いヤツは俺が頂いちまったがな」
 一方的に告げるドラクマに、間を詰めていたまりおは飛燕を使った一撃を放つ。
 だがそれを事前に察知していたドラクマは避けるのではなくあえて踏み込み攻撃の間合いを殺すと、ダメージを最小限に止め海賊船の舳先へと跳んだ。
「嬢ちゃん疾影士か。好いねぇ、俺も人間だった頃は疾影士だったんだ。久しぶりに同輩と遊べるなんざ、姫さんの頼みを聞いた甲斐があったってなもんだ」
「この船を襲わせた、お前の目的は何なのさ?」
 油断なく気を張りながら訪ねるまりおに、ドラクマは応えた。
「俺の目的は借りを返すこった。色々と義理があってな。
 船を襲わせたのは、ま、客寄せみたいなもんだ。
 姫さんは乗り気じゃないみたいだが、あっちはあっちで色々とあるみたいなんでな」
 断片的な情報をドラクマは口にする。それが具体的に何を意味するのか分からない中、ドラクマは更に続けた。
「とにかくよ、色々と都合があってな。だからここでお前さんらを殺すのは止めときたいんだが。それでも殺し合うかい?」
 これにルリと姫凪が返した。
「強い相手とは戦ってみたいけど」
「……深追いは禁物」
 これにドラクマは笑みを浮かべ返した。
「どの道、近い内に俺も直接動く事になるんでな、その時に縁があったらやり合おうぜ。
 それと言い忘れたが、この船も歪虚だ。じゃな、縁があったらまた会おうぜ」
 そう言って海中へとドラクマが跳び込むと同時、海賊船は一気に沈む。
 それにより海賊船に居たハンター達と海賊達は海に投げ出された。
 ハンター達は身体能力の高さから装備品を失う事も無く輸送船に戻る事が出来たが海賊達はそうもいかず、溺れかけの所を引き上げられた時には装備品の大半を失っていた。
 それでも僅かに残った銃器は海賊行為の証拠品として持って行かれた為、それらを売ってハンター達の元にお金が入るといった事は無かった。
 ただ海賊から守ってくれたという事で、依頼主から高めの食事をハンター達は奢られたという。

 こうして敵の黒幕と背景の全容までは知ることは出来なかったが、輸送船の護衛を確実にこなし依頼人に感謝され、依頼は終わった。

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧


  • フラン・レンナルツ(ka0170
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 人と鬼の共存を見る者
    雪ノ下正太郎(ka0539
    人間(蒼)|16才|男性|霊闘士
  • 黒き殲滅者
    姫凪 紫苑(ka0797
    人間(蒼)|13才|女性|疾影士

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 歪虚滅ぶべし
    セリス・アルマーズ(ka1079
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 大食らいの巨剣
    ルリ・エンフィールド(ka1680
    ドワーフ|14才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/12/16 05:19:50
アイコン 相談用~♪
セリス・アルマーズ(ka1079
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/12/19 05:36:04