• 春郷祭1018

【春郷祭】山神…では断じてない

マスター:奈華里

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/06/09 15:00
完成日
2018/06/22 03:48

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●温泉地
『こんにちは~、この度はよろしく…ってあれぇ?』
 村娘達が顔を見合わせる。
 ここは三人娘の住むとある村に近い温泉街。
 その中の一つの旅館の協力を経て、彼女達の春郷祭が始まる筈だったのであるが、着いてみれば問題の旅館は戸を閉じていて、人の気配がまるでない。
「まさかと思うけど、お店借り受けの時みたいに私達騙されたりしてないよね…?」
 荷車を引きやってきたツインテールが苦笑交じりに言う。
「だ、大丈夫よ。だってほらここって割と有名な旅館だったし、交渉した時も悪い雰囲気はなかったし」
 リーダーちゃんはそう言うも内心心はざわついている。
「あのあの~、さっきから思ってたんだけどここに来るまでの温泉宿も閉まってた気がするんだけど」
 すると最後の一人がずっと気にかかっていた事を皆に打ち明ける。
「あー…そう言えばそうだったような」
「どうなってるの、この温泉街は」
 そこでようやっと事態の異常さに気付いて、三人は荷車を置き辺りを観察。
 温泉街と言えば客で賑わっていていい筈であるが、それもない。
 売店と思しき店も散らほら見受けられるが、空いている店はとても少なく見える。
「ちょっと事情を聞いてくるわ。荷物見ててね」
 リーダーちゃんがそう言い、駆け出す。
 そうして知ったのは何とも残念な事実である。
「おやおや、それは困った事だねぇ。しかし、今は駄目じゃて…何でも源泉が塞がれちまって」
「塞がれたっ! どういうことなのですか?」
 少し食い気味になりながら彼女が問う。
「さてねぇ…噂じゃあ、でっかい巨人が源泉を塞いじまったとか。だからここらの旅館に湯が来んようになって」
「巨人! それでハンターオフィスには依頼を出しているんですか?」
 敵ならば依頼を出すのが順当なのことだ。だが、それがそうでもないらしい。
「いんやぁ、見に行った者の話によると源泉に浸かっても平気な顔してたらしくてのぅ。山神様かもしれんとして様子を…」
「はぁ? そんな訳ないでしょうよぉ。山神様が温泉独占するなんて聞いた事もないわっ…じゃなくて、聞いた事もないですよ」
 思わず素が出てしまって、言い直す彼女。
「けど、歪虚が温泉に浸かる方が聞いた事ないがのう」
 売店の主が緩やかに首を傾げる。
「だけど…このままじゃ私達の足湯計画が」
「足湯?」
「そうです。今年の春郷祭では私達の作ったドライミントで住民の皆さんやハンターの皆さんを労おうって、そう思ってわざわざ運んできたのに…」
 いつもなら食べ物で勝負する彼女等であるが、畑に大量発生したペパーミントを活用してこういう結論に至ったようだ。
「あの、おばあさん。この街の温泉組合みたいなものは何処にありますか?」
 このままではおれないとリーダーちゃんが尋ねる。
「ああ、それなら…」
 それに応えて売店の夫人は快くその場所を教えてくれるのだった。

●源泉
 そうして、組合に掛け合った彼女達は早速源泉を視察に向かう。
 もちろん危険のないようにいざという時は逃げられるように地理に詳しい者の同行をお願いしてだ。
(山の神? 絶対違うと思うわ)
 向かう道すがらリーダーちゃんが根拠のない確信でずんずん進む。
 暫くしてその問題の源泉に近付いて、彼女達は唖然とした。
 確かに、山神と間違えても仕方がない、のかもしれない。
 何を思ったのか二体の巨人が源泉に浸かり寛いでいるではないか。
『コノ、熱サ…タマラン、ナ』
 一体が片言で言葉する。
『ウム、チョウドイイ』
 もう一体も機嫌は良いようだ。
 だが、湯を集める為に温泉街に続く水路を岩で塞いでしまっているからこちらとしては迷惑極まりない。
「ねえ、あれってまさか…」
「昔見た事があるよ。たしか、トロル…だよね?」
 茂みに隠れながら一行が会話する。
「う、うん。多分」
 トロルとはいうものの温泉の影響か、髪はサラサラで岩のような肌が俄かに輝き神々しささえ纏っている。
 だが、顔はいつもの通りでぎょろりとした目と大きな口がそれがトロルである事を証明している。
「ま、間違いないわ。悪そうには見えないけど、敵は敵よねっ…ってことで依頼発行お願い」
 同行した道案内人がオフィスの者であるから、これはハンター案件である事は明確だと主張する。
「あ、はい…わかりました」
 そこでがさりと音がして、見上げればいつの間にかトロルが皆に接近している。
『ナンダァ、オ前ラ? ココハ俺ラノモンダ』
『邪魔スンナー』
 二体のトロルが源泉を一行にぶちまける。
『ひぃえええーーーー! お助けぇ~~』
 源泉の温度、約八十度――それを食らってはまずいと慌てて一行は逃げ帰るのだった。

リプレイ本文

●美女
 温泉という響きはやはり女性の方が好きなのだろうか。
 トロルの肌をもピチピチにすると聞いては聞き流せない。そう言う訳でトロル退治に集まったのは女性ばかりだった。唯一の男子は何か用事が出来たようでここには不在。従って、女子五名の討伐隊となる。
「気を付けて行って来て下さいね」
 村娘達に見送られ彼女達は問題の原泉へと出発する。
「なあ、ちょっと気が早過ぎやしないか?」
 その中で超が付く程の軽装備をした者がいて、レイア・アローネ(ka4082)がその軽装の主であるサクラ・エルフリード(ka2598)に声をかける。敵がいくら二体だとて油断は禁物だ。その言葉に少し戸惑うサクラさん。彼女が着用しているのはビキニアーマー。一応鎧ではあるのだが、やはり気が早かったか。
「あっと…すみません。でも、これは決して温泉を楽しみにしてきたからでは」
「ない事はないと思うのです。だって、わたくしは楽しみにしてきましたから」
 隠そうとするサクラを余所に、彼女とコンビを組んでいるのか自称・凸凹聖職者二人組の片割れであるシレークス(ka0752)はあっさりとそれを認める。
「ですよねぇ。麗美も純粋に楽しみにして来ましたぁ」
 とその発言に乗っかるのは依頼書を読んだ時からトロル達を羨ましいと思った天川 麗美(ka1355)だ。
 が中には別の考えの者もいるようで…。
「皆さんは温泉が目当てなんですぅ? 私的にはトロル退治も楽しみですよぉ?」
 実に爽やかな笑顔で星野 ハナ(ka5852)が発言する。
 彼女は修羅の国出身であるからか戦い事にも魅力を感じるらしい。
「楽しいかどうかはさておいて、トロル共は百害あって一利なしの歪虚でやがるですからね。さっさと駆逐して温泉を取り戻すのです!」
 その為に人一倍用意してきたシレ―クス。
 一人だけトロル討伐の為と神聖な筈の修道服もお構いなしに泥や葉を塗りたくって迷彩仕様に改造し、現地へと向かう。彼女達…というか、彼女の作戦は至ってシンプルだった。友のサクラに正面を任せて、彼女は裏に回り強襲を考えているのだ。道中はそんな感じで、女子会の様な雰囲気を出しつつ、滞りなく問題の源泉へと辿り着く。
「なるほど、あれが例の山神ですかぁ」
 もくもくと湯気が立ちのぼる先にがっしりとした体躯のシルエットが見えてハナが言う。
 遠目ではあるが、トロル二体はこの源泉の湯を楽しんでいるように見える。
「んー、あのトロルを見ると源泉の効果だけは実感できますね。…肌のいいトロルとか見たいものではないですけど…」
 サクラが率直な意見を述べる。
「まあな。これで迷惑さえかけていなければ同じ温泉仲間として話し合えたかもしれんが」
 とこれはレイアだ。多少同情と憐れみをのせて、そんな事を口にする。
「ま、とりあえずは確認してみましょう」
 そこでハナはすくりと立ち上がって、早速二体に声をかけた。
「あのぉ、どうみてもトロルな方々に質問しますぅ。あなた方は精霊じゃない、で良いんですよねぇ?」
 少しおまぬけな質問だったが、もしも万が一精霊であったなら討伐は罰当たり…と言うか、どんなしっぺ返しが来るか判らない。なんとなく負のマテリアルを感じているから間違いないと思うが、彼女が念には念を押し尋ねる。
「ンアァ? マタ来ヤガッタノカ?」
 それに気付いて一匹のトロルが彼女に応対。
「何度来モテ、ココハ渡サンゾ」
 もう一匹もそれに続いて、源泉に浸かったまま立ち上がる。
『アッ、ちょっ!!』
 そう言い目を覆いそうになった一同だったが、幸いトロル達は服を着たまま入浴していたらしい。
 これには正直ホッとする。そして、こちらにくるその姿が紛れもなくトロルそのものだったから、これで心置きなく退治できるというものだ。
「と、とりあえず服着用有難う御座います」
 嫌なものを見ずに済んだとサクラが言う。
「あぁ~なるほどなるほど。という訳でトロル確定。盛大にブッコ」
「ちょっと待った――!」
 さていよいよ先制攻撃と意気込んだハナだが、そこに何故か麗美が割って入って拍子抜け。
「あぁ、何てことなの…こんなことしていいと思ってるの? 故郷のお母さんが泣いてるわよ」
 ううっとハンカチ片手に麗美劇場が開演する。
「コキョウ、ナンダソレ?」
「泣クノハ、オ前ラダ」
 がトロルはその意味はよく理解していないようだ。言語を喋ると言っても知能はとても低いらしい。
「あら、故郷が判らないの? あなたを産んだマミィの事よ。きっと絶対必ず、泣いている筈よ」
 それでも麗美はめげない。どうにかできないかと説得を続ける。
「まさか、それ程までにトロルに慈悲をかけるとは…さすがシスターだな」
 傍観していたレイアは感心した。だが実際は彼女にも裏があるようだ。
(フッフッフッ、うまく丸め込めればこいつら子分にできるかもってカンジぃ? もし、うまく行ったら麗美の事を『アネサン』と呼ばせちゃる)
 彼女は子分が欲しいらしかった。トロルの様なデカブツを舎弟にしてもメリットはないように思えるが、そこは個人の好みもある。口出しは控えておく事にする。
「何カヨク判ラナイガ、面白イ奴ダナ」
 一匹のトロルがガハハと笑う。
「オ前、今ダケ許可スル…ココヘ来イ」
 するともう一匹もどういう訳が彼女を気に入り、温泉の方へと促してくるではないか。
「本当ですか! じゃあ早速…」
 ニコニコ顔で麗美がトロル達の方へ近付く。
「お、おいそっちは」
「って入れるか―――いっ!!」
 そう言い止めようとしたレイアだったが、それは無用の長物。
 パリィグローブを装着した手で麗美の鋭いツッコミ。
「あっ、つい…麗美は回復後衛なのにぃ~…って事で後よろしくですよぉ」
 見事なツッコミを入れた彼女だったが、自分より倍以上ある相手をするのは御免だと慌てて後ろに下がる。
「ま、説得は無駄だと思ってはいたが、こうなれば後は引き受けよう」
 そんな彼女を庇う様にレイアが前に出る。
「私もトロルと温泉を楽しむのはノーサンキューなので、加勢しますよ」
 その隣りには剣と盾という実にオーソドックスな聖導士スタイルでサクラが立ちはだかる。
(えー…と、私完全に出遅れましたかねぇ?)
 そんな中、符を手にしたまま攻撃のタイミングを逃したハナは心中で虚しくそう嘆いた。

●野獣
 一方その頃、裏でこそこそ動いているシレークス。
 サクラ達が気を引いている間に予定通り大岩の方へと移動中。
 カモフラージュのみならず、擬態マントや隠密の技術を駆使して今もまだトロル達には気付かれていない。
(馬鹿な奴らですよ。全くもってこっちに気が付いていないとは)
 作戦の成功に自然と笑みが零れる。そして、少し戦況を見ていると相方のサクラが奮闘中だ。
「くっ、やりますね。しかし、まだまだですよ」
 サクラがルーンソードを振り被る。トロルは体が大きいから動きが鈍い。
 温泉から離れ、彼女と対峙しているトロルもそれにもれず、彼女の剣を避けきれない。

 ガッ

 トロルの岩の様な皮膚を彼女の剣が薙ぐ。
 が、多少の傷ならみるみる回復するトロルの肌に軟な攻撃は通用しない。
 気のせいだろうが、温泉の影響で滑りやすくもなっているように思える。
「ふむ、侮りがたし温泉パワーでやがるです」
 が逆に考えれば、この温泉の効果は絶大という事…討伐した後の事を考えるとやはりにやけずにはいられない。
 がその間にもトロル達は近くに生えていた木を引き抜いてその場でブンブン振り回すなどやりたい放題。思わぬ苦戦を強いられている。
「わっとと、危ないですねぇ~。当たったらどうするんですかぁ」
 そこでハナが味方を守るように五色光符陣で敵の行動阻害を試みる。この術は敵のみに効果が発揮されるから乱発しても問題はない筈だ。だがしかし、この場においてはそうでもなくて…。光がトロル達の皮膚を焼き、視界をも奪い去る。だが、光が強過ぎてつるつるピカピカのトロルの肌にも反射し、こちらもかなり眩しくなる。
 それに加えてもう一つ。視界を失われたトロル達の闇雲な行動も逆に面倒となって、
「くっ、予測できん!」
 意志ある行動ならある程度のハンターなら予測ができるだろうが、我武者羅に手にした木を振り回す相手は、予想以上に手が付けられない。
「思ったよりも強敵ですね」
 サクラが言う。
 足元に飛び散った源泉の湯にも気を付けなければならなくて、そちらからの熱も厄介極まりない。
 盾で巧みに防御するも、それにばかり集中していては攻撃に回れなくなる。
「おっと、見ている場合ではなかったのです」
 そこでようやく我に返ってシレークスは本来のお仕事へ。
 温泉街へ続く水路を塞ぐ大きな岩、それを前にして彼女はすぅーーと静かに息を吸い込む。
 そうして一呼吸、精神を統一させた後狙うのはこの大岩の粉砕に他ならない。
「あぁ、エラク教の神よ。わたくしに光を…そして怠惰な巨人共に鉄槌をあたえやがれです」
 己の信じる神への祈りを済ませて、まずは自分の拳にマテリアルを集中させる。すると、装備した機甲拳鎚がそれに反応して、徐々に武器の方へとマテリアルが集束していくのがわかる。そこで彼女は目をカッと見開き、腕を振り被ると渾身の一撃を振り下ろす。
「こんな物で大事な場所、塞いでんじゃねぇっ!!」

 ゴツッ

 ドリルのような尖りがあればそれは容易に砕けていたかもしれない。だがしかし、それは拳だ。
 筋力をアップさせて臨んだとて、一発で仕留める事は叶わない。大岩に接触すると共に、素手で鉄を殴った時の様な痛みが腕を伝い彼女の方へ響いてくる。しかし、彼女はそこでめげなかった。
「思わぬ伏兵……けどやってやるですよ―っ! うらうらうらぁぁぁぁ!?」
 聖職者らしからぬ豪快で乱暴な行動。痛みも何もかもひっくるめて、彼女は一心不乱に大岩を粉砕にかかる。
「こっちも負けてられません」
 それを見てサクラが再び奮起した。盾を前に構えて、眼前の一体に体当たりすれば流石のトロルも転倒する。勢いが良かった事もあり、源泉の方へと吹っ飛ぶも、跳ねたお湯は盾があるから問題ない。それに倣って、レイアももう一体を源泉の方へと追いやっていく。
「ッりゃあ、これで終わりじゃあぁぁァァァ!」
 とそこでついにシレークスの会心の一撃が炸裂して、一点に集中して行われていた連撃に大岩が悲鳴を上げる。最後の一発を貰うや否や、大岩全体に亀裂が走り、次の瞬間一気に弾け飛ぶ。それと同時に堰き止めていた湯を浴びないようその場で跳躍し、巻き込まれるのを回避する。
 が、源泉に落とされた二体のトロル達は巻き込まれて、後は想像して欲しい。
 風呂の栓を抜いた時のように。あるいはダムの表現の方が判りやすいだろうか。
 どちらにしても物凄い水流に呑み込まれて、立ち上がる事ままならずトロル二体は流されるままにあわあわするばかり。そして暫くすると、二匹は水路にすっぽり綺麗に収まっていて、
「フッフッフッ、なかなかいい眺めですねぇ~」
 悪い顔を隠しもせず、ハナがにやにやその姿を見つめる。
「散々暴れてくれやがりましたからねぇ…慈悲はないものと思って欲しいです」
 とこれはシレークスだ。汗だくになり、カモフラージュした服は更にドロドロ、美人が台無し。
 パッと見で彼女を聖職者だと思うものはいないだろう。
「すまんが、これも運命。恨みはないが諦めてくれ」
 レイアも言う。そうして、身動き取れなくなったトロル二体は五人の美女達によって天へ召されるのであった。

●楽しみ方
 して無事解決したその後は、各温泉にもお湯が戻り客が落ち着き始めた頃に三人娘の足湯提供も始まる。
「さぁ、ゆっくり浸かって行って下さいね~」
「ミントには疲労回復の他血行も良くするので、年配の方にもおすすめですよー」
 持病により少し注意は必要であるが、湯船にドライミントの入った袋を浮かべて、そのブース付近には爽やかな香りが流れ、少し暑くなり出した気温を気分的に涼しくさせている。更にハンター達が討伐に出ている間に三人は一旦村に戻り、新たなフレッシュミントと栽培している果実を少し収穫してきたらしかった。そして、宿の調理場を借り加工して、足湯を楽しむ人々にジェラートまで提供している。
「いやー、しっかし山神様はどうして譲ってくれたんじゃろうのう」
 あれだけ動かなかったのにと噂を聞いていた老人が不思議そうに首を傾げる。
「あぁ、それなら聞いているぞ。確かもう充分湯を楽しまれたとか。だから、後はこちらの民に託したと聞いているな」
 そこで傍にいたレイアが機転を利かせてそう答える。
「ほう、そうかそうか。ならよかったわい」
 山神と信じていた人にトロルだったから倒したというのは簡単だ。
 しかし、折角ならばこの間違いを利用して更なる発展があればいいと彼女は思う。
「うひょー、ピチピチの美女がいるってのは本当だったんだな」
 すると他ではそんな噂を聞きつけてきた観光客もいて…ピチピチの美女というのは勿論今回のハンター達だ。
「はぁ~、この香り。心が洗われるようです」
 サクラが本音を素直に言葉する。
 足湯だから本来水着に着替える必要はないのだが、シレークスは毛皮ビキニを、サクラは水着を借り着替えて足湯を楽しみつつの客寄せを担当。シレークスは口を開かなければ清楚に見えるという事をよく心得ていて、無言の仕草で道行く人を魅了する。ハナに至っては始めからそのつもりだったらしく、湯の浄化を行ったその後は白ビキニを身に纏い、村娘達を手伝ってくれていたりする。
(フフフッ、もしかするといい人が見つかるかもしれませんからねぇ。頑張っちゃいますよぉ)
 愛想のいい笑顔を振りまきながら年中愛の狩人として活動しているハナが密かに画策する。
 一方麗美はといえば、足湯に浸かるおじ様たちと大盛り上がり。
「爽やかな香りに包まれながらの一杯、至福の時ですねー」
 この付近の銘酒を片手に、既に出来上がってしまっているが今日位は良いだろう。
「ふふ、皆さん。気持ちよさそうですねー」
 村娘の一人が満足げに言う。
「余ってしまったミントだったけど、最後まで使い切れてよかったよね」
 そう言うのはもう一人だ。
「まだ終わってないでしょ。あ、はい。ジェラートですねっ、少々お待ちを~」
 そんな二人にリーダーちゃんが注意するも、お声がかかって慌ててそちらへ。
 かくて美人の湯は『山神公認の秘湯美人湯』に名称を変えると徐々に温泉街には人が戻り、三人娘の春郷祭も好評の下、成功に終わるのであった。

依頼結果

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MVP一覧

  • 心の友(山猫団認定)
    天川 麗美ka1355

重体一覧

参加者一覧

  • 流浪の剛力修道女
    シレークス(ka0752
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • 心の友(山猫団認定)
    天川 麗美(ka1355
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 優しき孤高の騎士
    無道(ka7139
    鬼|23才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
天川 麗美(ka1355
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/06/09 14:32:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/06/09 07:44:22