ゲスト
(ka0000)
忍び寄る砂塵
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/06/23 12:00
- 完成日
- 2018/06/30 08:44
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
初夏から夏を迎えるこの頃から気温が一気に上がっていく。
昼は暑いが夜は寒いが、基本的に地下で生活をするドワーフ部族にはあんまり関係ない。
ある日、外から帰ってきたドワーフの青年が妙な顔をして洞穴へ戻ってきた。
「どうかしたのか?」
「客でも来たのか?」
質問したのに質問で返されたドワーフの壮年は顔を顰める。
「何か、消えかけの足跡があったから、誰か来たのかって」
「いいや? そんな予定聞いてねぇぞ」
首を横に振るドワーフの壮年は全く知らないと言った様子で、青年は困った顔をした。
「てっきり、ウチに来た奴が迷子になっているのかと思ったんだが……迷子か?」
「この辺りは岩場で、人が迷う所じゃねぇぞ」
バカ言えと、壮年が言えば、他のドワーフ達も話を聞きつける。
青年が話をすると、ドワーフ達は黙って聞いていた。
「それって、賊じゃねぇのか?」
話を聞いていたドワーフの一人が予想を立てる。
この辺りの地下は鉱物が採れることもあり、研磨して売ればそれなりの金儲けになる。
「じゃぁ、やっちまうか!」
血の気の多いのはドワーフの特性とも言えるが、年齢の高いドワーフが制止した。
「これからド・ウェルクに納品する分があるだろうよ。それを守らねぇとならん」
リーダー格だろうドワーフの言葉に他のドワーフ達は黙ってしまう。
このドワーフ部族は要塞都市ノアーラ・クンタウにあるドワーフ工房ド・ウェルクと提携している部族であり、ドワーフ工房で仕事が回りきらない時は提携先の部族や工房に仕事を頼むことがよくある。
現在も制作中であり、そろそろ出来上がるし、納期も近い。
賊だと仮定しても、納品物が奪われたり傷つけられることは避けないとならない。
「とりあえず、ドワーフ工房に話をしてみる」
リーダー格のドワーフはすぐにドワーフ工房へと向かった。
ドワーフ工房ド・ウェルクに赴いたリーダー格のドワーフは辺境ドワーフを束ねる通称ドワーフ王・ヨアキムの娘であるカペラに話をした。
「それは大変ね……」
眉を顰めるカペラのぼさぼさの前髪はポンパドールにされており、その辺にあった針金で留められている。
「ちょっと、管理官に話通してくる。それまでゆっくりして」
笑顔でカペラが休息を促すと、ドワーフは「そうする」と返した。
カペラはフォニケとシェダルを呼び出し、三人で工房管理官であるアルフェッカ・ユヴェーレンの執務室へ向かう。
更に話を聞いたカペラ以外の三人は顔を顰める。
「気味がいい話ではないな」
ため息をつくアルフェッカに他の二人も頷く。
当該のドワーフ部族に覚醒者はいない。いくら血の気が多いドワーフでも、賊に覚醒者がいればひとたまりもないだろう。
「それで、納品までの間、護衛が必要なのよ」
カペラの意見にアルフェッカが頷く。
「ハンターを呼べばいい。話にあった足跡の数を鑑みれば、四人くらいだろ。六人くらい来てもらえたら、問題ないだろう」
「案内役やりたい!」
「フォニケちゃんはハンターと遊びたいだけだろ」
挙手をしていきたいアピールをするフォニケにアルフェッカが却下する。
そもそも、ドワーフ部族の者が来ているので、複数の案内人は必要ない。
「納期も近いし、さっさと頼んでしまいましょ」
カペラはそう言ってハンターオフィスへと向かった。
昼は暑いが夜は寒いが、基本的に地下で生活をするドワーフ部族にはあんまり関係ない。
ある日、外から帰ってきたドワーフの青年が妙な顔をして洞穴へ戻ってきた。
「どうかしたのか?」
「客でも来たのか?」
質問したのに質問で返されたドワーフの壮年は顔を顰める。
「何か、消えかけの足跡があったから、誰か来たのかって」
「いいや? そんな予定聞いてねぇぞ」
首を横に振るドワーフの壮年は全く知らないと言った様子で、青年は困った顔をした。
「てっきり、ウチに来た奴が迷子になっているのかと思ったんだが……迷子か?」
「この辺りは岩場で、人が迷う所じゃねぇぞ」
バカ言えと、壮年が言えば、他のドワーフ達も話を聞きつける。
青年が話をすると、ドワーフ達は黙って聞いていた。
「それって、賊じゃねぇのか?」
話を聞いていたドワーフの一人が予想を立てる。
この辺りの地下は鉱物が採れることもあり、研磨して売ればそれなりの金儲けになる。
「じゃぁ、やっちまうか!」
血の気の多いのはドワーフの特性とも言えるが、年齢の高いドワーフが制止した。
「これからド・ウェルクに納品する分があるだろうよ。それを守らねぇとならん」
リーダー格だろうドワーフの言葉に他のドワーフ達は黙ってしまう。
このドワーフ部族は要塞都市ノアーラ・クンタウにあるドワーフ工房ド・ウェルクと提携している部族であり、ドワーフ工房で仕事が回りきらない時は提携先の部族や工房に仕事を頼むことがよくある。
現在も制作中であり、そろそろ出来上がるし、納期も近い。
賊だと仮定しても、納品物が奪われたり傷つけられることは避けないとならない。
「とりあえず、ドワーフ工房に話をしてみる」
リーダー格のドワーフはすぐにドワーフ工房へと向かった。
ドワーフ工房ド・ウェルクに赴いたリーダー格のドワーフは辺境ドワーフを束ねる通称ドワーフ王・ヨアキムの娘であるカペラに話をした。
「それは大変ね……」
眉を顰めるカペラのぼさぼさの前髪はポンパドールにされており、その辺にあった針金で留められている。
「ちょっと、管理官に話通してくる。それまでゆっくりして」
笑顔でカペラが休息を促すと、ドワーフは「そうする」と返した。
カペラはフォニケとシェダルを呼び出し、三人で工房管理官であるアルフェッカ・ユヴェーレンの執務室へ向かう。
更に話を聞いたカペラ以外の三人は顔を顰める。
「気味がいい話ではないな」
ため息をつくアルフェッカに他の二人も頷く。
当該のドワーフ部族に覚醒者はいない。いくら血の気が多いドワーフでも、賊に覚醒者がいればひとたまりもないだろう。
「それで、納品までの間、護衛が必要なのよ」
カペラの意見にアルフェッカが頷く。
「ハンターを呼べばいい。話にあった足跡の数を鑑みれば、四人くらいだろ。六人くらい来てもらえたら、問題ないだろう」
「案内役やりたい!」
「フォニケちゃんはハンターと遊びたいだけだろ」
挙手をしていきたいアピールをするフォニケにアルフェッカが却下する。
そもそも、ドワーフ部族の者が来ているので、複数の案内人は必要ない。
「納期も近いし、さっさと頼んでしまいましょ」
カペラはそう言ってハンターオフィスへと向かった。
リプレイ本文
依頼に応じたハンター達は要塞都市ノアーラ・クンタウに到着すると、ドワーフ工房へと向かう。
先を歩くハンターの後を歩く星空の幻(ka6980)は自分達がこれから向かう方角より長く高い煙突から上がる煙を見上げていた。
「グラム君?」
先を歩いていた鞍馬 真(ka5819)が振り向くと、星空の幻は少し歩く速度を早めて彼に追いつく。
工房に到着すると、カペラが出迎えてくれる。
「よぉ、カペラ。元気だったか?」
「ええ」
オウガ(ka2124)が声をかけると、カペラは笑顔で頷く。
「いやぁ、悪いな」
護衛対象のドワーフがハンターに声をかける。
「気にしないで」
儚げで物静かな印象を持たせるアリア・セリウス(ka6424)だが、その声は凛としていた。
「そいや、フォニケは?」
一度、要塞都市の防衛で会った事がある女性技師の名を口にするオウガにカペラが目を瞬く。
呼ばれたフォニケはガッツポーズを決めていた。
「フォニケの『お嬢ちゃん』案内役宜しくな」
囮の御者役を仰せつかり、はしゃぐフォニケの様子にジャンク(ka4072)が目を細めてくつくつと笑う。
「終えれば肉と酒で宴会としようてのう?」
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)の誘いにフォニケが「働けば三食お肉付き!?」と叫ぶ。
「お願いね」
「がんばるわ!」
言葉をかけるアリアにフォニケは上機嫌だ。
余談であるが、ハンター達が出発した後で、ハンター達からの差し入れなど、フォニケの様子をカペラから聞いたシェダルとアルフェッカは「また甘やかされて……」と他称保護者達は見事に片づけられたフォニケの仕事を見て頭を抱えたという。
要塞都市ノアーラ・クンタウを出ると、荒野と砂が舞う風がハンター達を迎える。
幌付きの馬車を借りれたのはありがたい。
「しっかし、なんでまた、地下にある鉱石を溜め込んでる情報を知ったんだか」
ドワーフ部族へと向かっている中、ジャンクが呟く。
「それよね……偶然にも引っかかりがあるのよね」
「足跡を消した痕跡……」
ため息混じりに返すフォニケの言葉に反応したのは真だ。
「正直、いちいちヨアキムさんとこのヴェドルから離れたところで鉱石を探し出すって結構な手間よね。時間もいるし、一回の掘り出しで利益が賄えるかどうかね」
「長期的利益がありえるのかのう……」
ふむと思案する蜜鈴の意見にアリアは柳眉を潜める。
「制圧し、搾取させる……可能性ということなの?」
アリアの言葉にフォニケは肩を竦めて頷いた。
「闇雲に掘ったところで出てくるものでなかった場合、脅迫させて掘らせたほうが効率がいいってことかな?」
横で聞いていた真が呟くと、オウガが「面倒だなぁ……」とぼやいた。ただでさえ、依頼人であるアルフェッカは賊の生け捕りを所望している。
「馬車に獲物を載せて囮にすれば引っかかるだろ。捕まえて吐かせりゃいいんだがな」
風下にいるジャンクが紙巻き煙草を燻らせており、口を窄めて吹く紫煙を風に乗せる。
「何も無ければいいけどねぇ……」
真の隣にいる星空の幻が空を見上げた。
「フラグにならないといいわね」
星空の幻の呟きを拾ったフォニケが彼女が立てたフラグを補強する。
「さぁ、そろそろ着くな」
フォニケの後ろにいるドワーフが呟いた。
護衛役として顔を出しているオウガが超聴覚で周囲を確認する。
「そっちは」
「ん……違和感は感じない」
星空の幻が直感視で確認しているが、見える範囲で何かいるようには見えない。
「部族の連中にさせてくる」
ドワーフの部族が短い脚で走って中に入っていった。
ゆっくりと馬車も地下道へ入っていくと、オウガと星空の幻は入り口近くで隠れて、偽物の鉱石を運び終えるまで様子を見張る。
ドワーフの部族達はハンターの姿に安心しつつも、自分達が力がないことをがっかりしていた。
「気持ちだけでは仕方ないこともあるから」
アリアが気遣うと、ドワーフ達は「任せたよ」とハンター達に託す。
「納期の方は大丈夫なのかな」
思い出しように真が尋ねると、賊さえ片付ければ納品に行けると返した。
「尚の事片付けに力が入るのう」
頷く蜜鈴の言葉に他のメンバーも頷く。アリアが視線を巡らすと、小さいドワーフの子供達が珍しそうにハンター達を遠巻きに見ていた。
微かにアリアが微笑むと、子供達は大人たちの後ろに隠れてしまう。こっそりと顔を出してはアリアにはにかんだ笑みを浮かべる。
荷の積み込みが終わりそうになった頃、オウガが異変に気付いた。
「近づいてきている。ざっと十人」
「もうちょっと近づいたら声かけて」
オウガのタイミングで直感視を発動して周囲を確認する星空の幻は違和感……敵が近い事を察する。
「知らせてくる」
踵を返したオウガが超聴覚で捕らえた音を仲間に伝えると、ハンター達は配置につく。
「じゃあ、宜しくな」
ジャンクが荷台よりフォニケへ声をかける。
「ええ」
囮役であるフォニケは別段リラックスした様子だ。
「緊張していなくてなにより……かな」
「フォニケちゃんは何かと荒事には慣れてるからなぁ」
観察している真の呟きにドワーフの部族はぽつりと呟いた。
「ほう?」
首を傾げる蜜鈴にフォニケは「よく巻き込まれてるわねー」と遠い目で呟く。
「心配しないで。きちんと守るわよ」
「それは嬉しいけど」
アリアが謳うように宣言すると、フォニケはうーんと、唸るように首を傾げているが、その様子は茶目っ気が入っている。
「二度とドワーフ工房の協力部族に手出しさせないようにさせてね」
とぼけたような様子から一転して好戦的な笑みを見せたフォニケはハンターにお願いをした。
「当然じゃ」
蜜鈴が即座に返すと、ジャンクは『お嬢ちゃん』のおねだりを叶えるべく「じゃあ、行きますか」と促した。
御者にフォニケ、その隣にアリア。
馬に乗っているのは蜜鈴だ。馬車の横にオウガが星空の幻と護衛役で付いている。
星空の幻が周囲を見やる。
直感視を発動していない状態では岩陰に隠れているだろう賊を視ることはできないが、動いていなければ別だ。
星空の幻が手にしているオートマチック「チェイサー」の大きさは約二十センチ。銃を持っていたとしても見た目が子供の為、向こうは警戒をしているか定かではない。
星空の幻は拳銃の点検をし始めているようだ。空を見上げるように息を吐く彼女は一言呟いた。
「ア、テガスベッター」
しかし、点検し終わった銃は問題なく弾丸が射出され、的確に岩の縁を削る。
「ひっ!」
どうやら、ギリギリのところで隠れていたようだ。
「ガキが!」
おびき出しに成功したのか、鉈を持った男達が現れた。
「煽り耐性が低いのう」
呆れたように呟く蜜鈴は蒼い瞳を細める。
「女と子供か」
ハンター達を馬鹿にしたように見下す賊達は簡単に制圧できると思っただろう。
幌馬車の奥から前へ飛び出してきたのはジャンクと真。
「何!」
男二人が出てきたことで形勢が変化に動揺する賊達は星空の幻が手にしているスマートフォンには気づいていなかった。
賊達の驚きを引き出せた事に成功したジャンクは口端を上げ、不敵な笑みを浮かべて隙をついて足元を狙って威嚇射撃を行う。
慌てふためく賊達は射撃より逃れる為、後ろへと下がった。
賊達がジャンクの歓待を受けている間に蜜鈴は馬より降りる。
彼女のつま先が地に降りる時、朱金に輝く魔法陣が展開し、炎の様なオーラを吹き上げる。オーラに溶け込む様に龍の姿をした契約精霊の幻影が周囲を渦巻く様に現れては消えた。
蜜鈴の呪歌に合わせ、朱金の蝶が彼女の繊手の周りで遊ぶように舞う。
前方の賊へと差し伸べた細い前腕に巻かれているのは表面に怪しげな呪文が書きつけられた古びた包帯。
呪歌を現すように青白さを差し込んだ真綿の様な華が周囲に一瞬広がる。その瞬きに抗い難い微睡みへと誘うものがあると誰が思うのか。
苦しみを理解せずに深い微睡へ堕ちるかは蜜鈴の預かりではない。
出てきた六人中、三人が蜜鈴の歌と華に抱かれて倒れこむ。
抵抗に成功した残りの三人は仲間の昏睡に驚いていたが、「女子供相手に怯むな!」と一人が仲間を鼓舞する。
そんな言葉を耳にしつつ星空の幻は馬車内のメンバーに連絡した後、ガトリングガンを構えた。
ガトリングガンより射出される弾丸は冷気を纏っていた。
星空の幻が狙ったのは賊の足元だ。
動けないように行動を阻害するのが目的だ。
「まだいる」
超聴覚を発動しているオウガの言葉を聞いたアリアが馬車より飛び降りた。
白雪のような淡く儚いマテリアルの光がアリアの周囲を漂う。蒼雪の瞳は龍を想わせる爬虫類のように虹彩が縦長に伸びる。
アリアの覚醒と共に更に賊が姿を現す。
「助けてくださいぃいいい!」
足元が凍り、動けなくなった賊が情けない様子で叫ぶ。
「狼狽えるんじゃねぇ!」
舌打ちと共に新たに出てきた賊が一喝した。
賊達の前に出てきたのはアリア。形のよい唇が開かれると、凛と鋭く、透き通る歌声が祈りのように伸びていく。
伴に奏でるのは極細のヒールが特徴的なハイヒール「アイレパテアル」のヒールが岩とタップする音。不安定な足場でも彼女は華麗に舞う。
氷刃の如く鋭い威圧感を賊達が察してアリアめがけて駆けていくと、再び制圧射撃で足元を狙われる。
「おっと、歌姫にゃお触り厳禁だぜ?」
軽口を叩くジャンクはとても楽しそうだ。
「次は当てる」
声のトーンを微かに下げたジャンクの瞳が細められる。
警告が聞こえなかった訳ではないが、格闘士だろう賊が前に出た。
無視して出てきた格闘士へジャンクは予告通りにターゲッティングを使い、狙いを澄ませる。
彼が狙うのは賊の足。
まるで的のように進む格闘士へ弾丸を撃ち込む。弾丸は格闘士の太腿を貫き、うめき声が上げた格闘士は身を屈む。
瞬間、その背よりもう一人の格闘士が飛び越え、アリア目がけてきた。
身を捩じり、中段蹴りをアリアへと叩きつけようとする。鋭く研ぎ澄まされた一撃は銀水晶の刀身で斬りつける。
更に落燕を防ぐため、アリアは深く踏み込んだ先でもう片方の剣で腹を斬ると、澄んだ風切りの音色が格闘士のすぐ近くで鳴った。
「ぐっ」
倒れこもうとした格闘士は飛び上がろうとしたが、それは叶わなず、姿勢が崩れることはなく、静止している。
アリアとの交戦で気づかなかったのだろうか、格闘士の身体中にしがみついているのはオウガがファントムハンドを発動させた無数の手だった。
凍れる月が如くの刀身を格闘士の喉元へと突きつける。
「お話はこれからよ」
賊とはいえ、生かしておくのが今回の依頼なのだ。
一方、霊闘士の相手をしているのは星空の幻。
彼女の身体は弾丸にマテリアルを込めている最中の為、冷気を纏っている。その中で彼女の瞳が紅く発光している。
相手の霊闘士は動きが速く、彼女の弾丸は掠る程度であったが、徐々にその威力が出てきている模様。
星空の幻にもスキルの残量が存在する。
「ア、ナクナッター」
ぱっと、ガトリングガンから手を離した星空の幻の言葉を信じた霊闘士は氷の荊棘に束縛されたような感覚になっていたが、気力を振り絞り間合いを詰め、斧にマテリアルを纏わせる。
思いっきり星空の幻へと斧が振り下ろされようとしたが、彼女は真っすぐ見上げた。
「これはある」
さっと取り出したのはマテリアル花火。
禁止事項の一つに人に向けてはいけないと約束があるアイテムだ。
情け容赦なく霊闘士へ近距離でぶっ放すと、思った以上に吹き飛び、虚空にもっちゃりかっぱの顔に似た花火が散った。
「おお……」
大好きなもっちゃりかっぱ型で星空の幻はちょっと嬉しかった模様。
そんな星空の幻の嬉しそうな顔を傍から見た真は複雑そうな顔をしていた。
いくら盗賊とはいえ、打ち上げ花火を向けるのは如何なものだろうかと思ったからだ。
「よそ見とは呑気なものだな!」
すぐさま賊の闘狩人が大剣を横に薙ぐと、真は掠りつつも横へ跳ぶ。
闘狩人がさらに間合いを詰め、武器を大きく振り上げて勢いと力任せで真へと振り下ろす。反射で刀を構えたが相手の武器の長さゆえ、真の肩が切られた。
「くっ!」
秀麗な顔を顰める真は即座にソードブレーカーを発動させる。
闘狩人はスキルの使用に気づいたのか、突きの姿勢に大剣を構えた。
真と闘狩人の視線が交わされる。
先に動いたのは真だ。強く踏み込んだ後、一撃目を闘狩人の肩に食い込ませると、相手から突きが真へと繰り出された。
二撃目で突きを交わしたが、闘狩人は無理に蹴りを入れようとした。
しかし、それは適わずに真が発動させていたアスラトゥーリの衝撃が真正面から入り、そのままダウンしてしまう。
アリアと交戦した格闘士をアシストした格闘士と対峙していたのはオウガだ。
「無用な戦いはやめろ」
そう告げたオウガの言葉は聞き入れられず、格闘士はオウガへ攻撃を繰り出す。
「お前達には聞きたいことがあるんだ。抵抗するな」
相手に声をかけるオウガは大斧で攻撃をいなしていたが、格闘士は素早くオウガの懐に入り、彼の腹へと膝を入れた。
「くそ」
顔を顰めるオウガは態勢を整えて斧を構えたが、彼はぴくりと何かに反応する。
「ジャンク、頼む!」
後方にいるジャンクに託したオウガの背に飛竜の翼の幻影が見えた。
「了解!」
ジャンクの返事が速いか、格闘士へ貫く弾丸が速かったかは、トリガーを引いた当人しか分からないだろう。
もう、格闘士は足を撃ち抜かれ、地に蹲っていた。
戦局を見守る蜜鈴はある方向に氷の如く冷たい視線を送る。蒼の瞳が捉えたのは、逃げようとする非覚醒者の賊が逃亡する現状。
「逃がすわけにはゆかぬ」
彼女の視線がそのまま詩になったかのような声音のあと、蜜鈴が紡ぐのは逃亡者を貫き穿つ花となる氷の種子。
一人が腰に氷の花で貫かれ倒れた。
「逃がさねぇよ」
天駆けるもので回り込んだオウガが斧を構える。
逃亡の術はないと思い知った賊達は投降した。
その後、賊は無事に引き渡され、尋問の運びとなる。
ハンターも同席し、内容は簡単に口にしてくれたが、そこからダンマリとなったが時間の問題らしい。
「ドワーフ部族を制圧して鉱物を掘らせるのも目的だったみたいだな」
真剣な眼差しで真が呟く。
「強欲だなぁ……」
ため息混じりにジャンクが酒を煽る。
「取引場所が分かればまた捕り物かしら」
小首を傾げるアリアに「そうだろうな」とオウガが返すと、バッファローの肉を頬張った。
「グラムちゃん、美味しい?」
フォニケが星空の幻に声をかけると、彼女はこくりと頷く。
「なんにせよ、やるべきことがあれば動けばいいのじゃ」
艶やかな笑みを浮かべる蜜鈴に全員が確かにと同意した。
先を歩くハンターの後を歩く星空の幻(ka6980)は自分達がこれから向かう方角より長く高い煙突から上がる煙を見上げていた。
「グラム君?」
先を歩いていた鞍馬 真(ka5819)が振り向くと、星空の幻は少し歩く速度を早めて彼に追いつく。
工房に到着すると、カペラが出迎えてくれる。
「よぉ、カペラ。元気だったか?」
「ええ」
オウガ(ka2124)が声をかけると、カペラは笑顔で頷く。
「いやぁ、悪いな」
護衛対象のドワーフがハンターに声をかける。
「気にしないで」
儚げで物静かな印象を持たせるアリア・セリウス(ka6424)だが、その声は凛としていた。
「そいや、フォニケは?」
一度、要塞都市の防衛で会った事がある女性技師の名を口にするオウガにカペラが目を瞬く。
呼ばれたフォニケはガッツポーズを決めていた。
「フォニケの『お嬢ちゃん』案内役宜しくな」
囮の御者役を仰せつかり、はしゃぐフォニケの様子にジャンク(ka4072)が目を細めてくつくつと笑う。
「終えれば肉と酒で宴会としようてのう?」
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)の誘いにフォニケが「働けば三食お肉付き!?」と叫ぶ。
「お願いね」
「がんばるわ!」
言葉をかけるアリアにフォニケは上機嫌だ。
余談であるが、ハンター達が出発した後で、ハンター達からの差し入れなど、フォニケの様子をカペラから聞いたシェダルとアルフェッカは「また甘やかされて……」と他称保護者達は見事に片づけられたフォニケの仕事を見て頭を抱えたという。
要塞都市ノアーラ・クンタウを出ると、荒野と砂が舞う風がハンター達を迎える。
幌付きの馬車を借りれたのはありがたい。
「しっかし、なんでまた、地下にある鉱石を溜め込んでる情報を知ったんだか」
ドワーフ部族へと向かっている中、ジャンクが呟く。
「それよね……偶然にも引っかかりがあるのよね」
「足跡を消した痕跡……」
ため息混じりに返すフォニケの言葉に反応したのは真だ。
「正直、いちいちヨアキムさんとこのヴェドルから離れたところで鉱石を探し出すって結構な手間よね。時間もいるし、一回の掘り出しで利益が賄えるかどうかね」
「長期的利益がありえるのかのう……」
ふむと思案する蜜鈴の意見にアリアは柳眉を潜める。
「制圧し、搾取させる……可能性ということなの?」
アリアの言葉にフォニケは肩を竦めて頷いた。
「闇雲に掘ったところで出てくるものでなかった場合、脅迫させて掘らせたほうが効率がいいってことかな?」
横で聞いていた真が呟くと、オウガが「面倒だなぁ……」とぼやいた。ただでさえ、依頼人であるアルフェッカは賊の生け捕りを所望している。
「馬車に獲物を載せて囮にすれば引っかかるだろ。捕まえて吐かせりゃいいんだがな」
風下にいるジャンクが紙巻き煙草を燻らせており、口を窄めて吹く紫煙を風に乗せる。
「何も無ければいいけどねぇ……」
真の隣にいる星空の幻が空を見上げた。
「フラグにならないといいわね」
星空の幻の呟きを拾ったフォニケが彼女が立てたフラグを補強する。
「さぁ、そろそろ着くな」
フォニケの後ろにいるドワーフが呟いた。
護衛役として顔を出しているオウガが超聴覚で周囲を確認する。
「そっちは」
「ん……違和感は感じない」
星空の幻が直感視で確認しているが、見える範囲で何かいるようには見えない。
「部族の連中にさせてくる」
ドワーフの部族が短い脚で走って中に入っていった。
ゆっくりと馬車も地下道へ入っていくと、オウガと星空の幻は入り口近くで隠れて、偽物の鉱石を運び終えるまで様子を見張る。
ドワーフの部族達はハンターの姿に安心しつつも、自分達が力がないことをがっかりしていた。
「気持ちだけでは仕方ないこともあるから」
アリアが気遣うと、ドワーフ達は「任せたよ」とハンター達に託す。
「納期の方は大丈夫なのかな」
思い出しように真が尋ねると、賊さえ片付ければ納品に行けると返した。
「尚の事片付けに力が入るのう」
頷く蜜鈴の言葉に他のメンバーも頷く。アリアが視線を巡らすと、小さいドワーフの子供達が珍しそうにハンター達を遠巻きに見ていた。
微かにアリアが微笑むと、子供達は大人たちの後ろに隠れてしまう。こっそりと顔を出してはアリアにはにかんだ笑みを浮かべる。
荷の積み込みが終わりそうになった頃、オウガが異変に気付いた。
「近づいてきている。ざっと十人」
「もうちょっと近づいたら声かけて」
オウガのタイミングで直感視を発動して周囲を確認する星空の幻は違和感……敵が近い事を察する。
「知らせてくる」
踵を返したオウガが超聴覚で捕らえた音を仲間に伝えると、ハンター達は配置につく。
「じゃあ、宜しくな」
ジャンクが荷台よりフォニケへ声をかける。
「ええ」
囮役であるフォニケは別段リラックスした様子だ。
「緊張していなくてなにより……かな」
「フォニケちゃんは何かと荒事には慣れてるからなぁ」
観察している真の呟きにドワーフの部族はぽつりと呟いた。
「ほう?」
首を傾げる蜜鈴にフォニケは「よく巻き込まれてるわねー」と遠い目で呟く。
「心配しないで。きちんと守るわよ」
「それは嬉しいけど」
アリアが謳うように宣言すると、フォニケはうーんと、唸るように首を傾げているが、その様子は茶目っ気が入っている。
「二度とドワーフ工房の協力部族に手出しさせないようにさせてね」
とぼけたような様子から一転して好戦的な笑みを見せたフォニケはハンターにお願いをした。
「当然じゃ」
蜜鈴が即座に返すと、ジャンクは『お嬢ちゃん』のおねだりを叶えるべく「じゃあ、行きますか」と促した。
御者にフォニケ、その隣にアリア。
馬に乗っているのは蜜鈴だ。馬車の横にオウガが星空の幻と護衛役で付いている。
星空の幻が周囲を見やる。
直感視を発動していない状態では岩陰に隠れているだろう賊を視ることはできないが、動いていなければ別だ。
星空の幻が手にしているオートマチック「チェイサー」の大きさは約二十センチ。銃を持っていたとしても見た目が子供の為、向こうは警戒をしているか定かではない。
星空の幻は拳銃の点検をし始めているようだ。空を見上げるように息を吐く彼女は一言呟いた。
「ア、テガスベッター」
しかし、点検し終わった銃は問題なく弾丸が射出され、的確に岩の縁を削る。
「ひっ!」
どうやら、ギリギリのところで隠れていたようだ。
「ガキが!」
おびき出しに成功したのか、鉈を持った男達が現れた。
「煽り耐性が低いのう」
呆れたように呟く蜜鈴は蒼い瞳を細める。
「女と子供か」
ハンター達を馬鹿にしたように見下す賊達は簡単に制圧できると思っただろう。
幌馬車の奥から前へ飛び出してきたのはジャンクと真。
「何!」
男二人が出てきたことで形勢が変化に動揺する賊達は星空の幻が手にしているスマートフォンには気づいていなかった。
賊達の驚きを引き出せた事に成功したジャンクは口端を上げ、不敵な笑みを浮かべて隙をついて足元を狙って威嚇射撃を行う。
慌てふためく賊達は射撃より逃れる為、後ろへと下がった。
賊達がジャンクの歓待を受けている間に蜜鈴は馬より降りる。
彼女のつま先が地に降りる時、朱金に輝く魔法陣が展開し、炎の様なオーラを吹き上げる。オーラに溶け込む様に龍の姿をした契約精霊の幻影が周囲を渦巻く様に現れては消えた。
蜜鈴の呪歌に合わせ、朱金の蝶が彼女の繊手の周りで遊ぶように舞う。
前方の賊へと差し伸べた細い前腕に巻かれているのは表面に怪しげな呪文が書きつけられた古びた包帯。
呪歌を現すように青白さを差し込んだ真綿の様な華が周囲に一瞬広がる。その瞬きに抗い難い微睡みへと誘うものがあると誰が思うのか。
苦しみを理解せずに深い微睡へ堕ちるかは蜜鈴の預かりではない。
出てきた六人中、三人が蜜鈴の歌と華に抱かれて倒れこむ。
抵抗に成功した残りの三人は仲間の昏睡に驚いていたが、「女子供相手に怯むな!」と一人が仲間を鼓舞する。
そんな言葉を耳にしつつ星空の幻は馬車内のメンバーに連絡した後、ガトリングガンを構えた。
ガトリングガンより射出される弾丸は冷気を纏っていた。
星空の幻が狙ったのは賊の足元だ。
動けないように行動を阻害するのが目的だ。
「まだいる」
超聴覚を発動しているオウガの言葉を聞いたアリアが馬車より飛び降りた。
白雪のような淡く儚いマテリアルの光がアリアの周囲を漂う。蒼雪の瞳は龍を想わせる爬虫類のように虹彩が縦長に伸びる。
アリアの覚醒と共に更に賊が姿を現す。
「助けてくださいぃいいい!」
足元が凍り、動けなくなった賊が情けない様子で叫ぶ。
「狼狽えるんじゃねぇ!」
舌打ちと共に新たに出てきた賊が一喝した。
賊達の前に出てきたのはアリア。形のよい唇が開かれると、凛と鋭く、透き通る歌声が祈りのように伸びていく。
伴に奏でるのは極細のヒールが特徴的なハイヒール「アイレパテアル」のヒールが岩とタップする音。不安定な足場でも彼女は華麗に舞う。
氷刃の如く鋭い威圧感を賊達が察してアリアめがけて駆けていくと、再び制圧射撃で足元を狙われる。
「おっと、歌姫にゃお触り厳禁だぜ?」
軽口を叩くジャンクはとても楽しそうだ。
「次は当てる」
声のトーンを微かに下げたジャンクの瞳が細められる。
警告が聞こえなかった訳ではないが、格闘士だろう賊が前に出た。
無視して出てきた格闘士へジャンクは予告通りにターゲッティングを使い、狙いを澄ませる。
彼が狙うのは賊の足。
まるで的のように進む格闘士へ弾丸を撃ち込む。弾丸は格闘士の太腿を貫き、うめき声が上げた格闘士は身を屈む。
瞬間、その背よりもう一人の格闘士が飛び越え、アリア目がけてきた。
身を捩じり、中段蹴りをアリアへと叩きつけようとする。鋭く研ぎ澄まされた一撃は銀水晶の刀身で斬りつける。
更に落燕を防ぐため、アリアは深く踏み込んだ先でもう片方の剣で腹を斬ると、澄んだ風切りの音色が格闘士のすぐ近くで鳴った。
「ぐっ」
倒れこもうとした格闘士は飛び上がろうとしたが、それは叶わなず、姿勢が崩れることはなく、静止している。
アリアとの交戦で気づかなかったのだろうか、格闘士の身体中にしがみついているのはオウガがファントムハンドを発動させた無数の手だった。
凍れる月が如くの刀身を格闘士の喉元へと突きつける。
「お話はこれからよ」
賊とはいえ、生かしておくのが今回の依頼なのだ。
一方、霊闘士の相手をしているのは星空の幻。
彼女の身体は弾丸にマテリアルを込めている最中の為、冷気を纏っている。その中で彼女の瞳が紅く発光している。
相手の霊闘士は動きが速く、彼女の弾丸は掠る程度であったが、徐々にその威力が出てきている模様。
星空の幻にもスキルの残量が存在する。
「ア、ナクナッター」
ぱっと、ガトリングガンから手を離した星空の幻の言葉を信じた霊闘士は氷の荊棘に束縛されたような感覚になっていたが、気力を振り絞り間合いを詰め、斧にマテリアルを纏わせる。
思いっきり星空の幻へと斧が振り下ろされようとしたが、彼女は真っすぐ見上げた。
「これはある」
さっと取り出したのはマテリアル花火。
禁止事項の一つに人に向けてはいけないと約束があるアイテムだ。
情け容赦なく霊闘士へ近距離でぶっ放すと、思った以上に吹き飛び、虚空にもっちゃりかっぱの顔に似た花火が散った。
「おお……」
大好きなもっちゃりかっぱ型で星空の幻はちょっと嬉しかった模様。
そんな星空の幻の嬉しそうな顔を傍から見た真は複雑そうな顔をしていた。
いくら盗賊とはいえ、打ち上げ花火を向けるのは如何なものだろうかと思ったからだ。
「よそ見とは呑気なものだな!」
すぐさま賊の闘狩人が大剣を横に薙ぐと、真は掠りつつも横へ跳ぶ。
闘狩人がさらに間合いを詰め、武器を大きく振り上げて勢いと力任せで真へと振り下ろす。反射で刀を構えたが相手の武器の長さゆえ、真の肩が切られた。
「くっ!」
秀麗な顔を顰める真は即座にソードブレーカーを発動させる。
闘狩人はスキルの使用に気づいたのか、突きの姿勢に大剣を構えた。
真と闘狩人の視線が交わされる。
先に動いたのは真だ。強く踏み込んだ後、一撃目を闘狩人の肩に食い込ませると、相手から突きが真へと繰り出された。
二撃目で突きを交わしたが、闘狩人は無理に蹴りを入れようとした。
しかし、それは適わずに真が発動させていたアスラトゥーリの衝撃が真正面から入り、そのままダウンしてしまう。
アリアと交戦した格闘士をアシストした格闘士と対峙していたのはオウガだ。
「無用な戦いはやめろ」
そう告げたオウガの言葉は聞き入れられず、格闘士はオウガへ攻撃を繰り出す。
「お前達には聞きたいことがあるんだ。抵抗するな」
相手に声をかけるオウガは大斧で攻撃をいなしていたが、格闘士は素早くオウガの懐に入り、彼の腹へと膝を入れた。
「くそ」
顔を顰めるオウガは態勢を整えて斧を構えたが、彼はぴくりと何かに反応する。
「ジャンク、頼む!」
後方にいるジャンクに託したオウガの背に飛竜の翼の幻影が見えた。
「了解!」
ジャンクの返事が速いか、格闘士へ貫く弾丸が速かったかは、トリガーを引いた当人しか分からないだろう。
もう、格闘士は足を撃ち抜かれ、地に蹲っていた。
戦局を見守る蜜鈴はある方向に氷の如く冷たい視線を送る。蒼の瞳が捉えたのは、逃げようとする非覚醒者の賊が逃亡する現状。
「逃がすわけにはゆかぬ」
彼女の視線がそのまま詩になったかのような声音のあと、蜜鈴が紡ぐのは逃亡者を貫き穿つ花となる氷の種子。
一人が腰に氷の花で貫かれ倒れた。
「逃がさねぇよ」
天駆けるもので回り込んだオウガが斧を構える。
逃亡の術はないと思い知った賊達は投降した。
その後、賊は無事に引き渡され、尋問の運びとなる。
ハンターも同席し、内容は簡単に口にしてくれたが、そこからダンマリとなったが時間の問題らしい。
「ドワーフ部族を制圧して鉱物を掘らせるのも目的だったみたいだな」
真剣な眼差しで真が呟く。
「強欲だなぁ……」
ため息混じりにジャンクが酒を煽る。
「取引場所が分かればまた捕り物かしら」
小首を傾げるアリアに「そうだろうな」とオウガが返すと、バッファローの肉を頬張った。
「グラムちゃん、美味しい?」
フォニケが星空の幻に声をかけると、彼女はこくりと頷く。
「なんにせよ、やるべきことがあれば動けばいいのじゃ」
艶やかな笑みを浮かべる蜜鈴に全員が確かにと同意した。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/06/23 07:42:26 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/19 00:24:42 |