ゲスト
(ka0000)
キャンプを楽しもう!
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/06/29 12:00
- 完成日
- 2018/07/02 11:04
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●ハンターだって、たまには休みたい
超人的な能力を持つハンターたちにも、疲れというものは蓄積する。
無論、一般的な人々に比べればはるかに許容値は大きいのであるが、ずっと解消しなければいつか不満が爆発するかもしれない。
そうではないにしても、疲れが残った身体で依頼に赴かれるのは、ハンターズソサエティとしてもあまり奨励できることではない。
ハンターズソサエティにやってきたハンターたちは、依頼を探す前に顔なじみのハンターたちと雑談をする。
世界中を飛び回って移動することの多いハンターたちが、確実に相手と出会えるコミュケーション場として、ハンターズソサエティは優れた場所だった。
「お前今日随分疲れてそうだな……」
「ああ、いや、実は無理して過密日程で依頼をこなしたばかりでさ。さすがにしんどかった」
同じくらい青い顔色のハンター同士が、お互いを慰め合って肩を叩く。
「そういや、いつもの顔もちらほら見ないな」
「あいつらなら、依頼でヘマして家で寝てるよ。休みだー! って泣いて喜んでた」
ブラックな環境で働かされているように聞こえるが、労働時間はハンター側や依頼人が決めるのであって、ハンターズソサエティ側は一切関与していない。完全にハンターたちの自業自得である。
「依頼をこなす裁量は俺たちの方にあるのに、何いってるんだあいつら」
「まあ、依頼人の状況によっては、こっちの都合なんていってられない場合もあるからな」
「そうだなぁ。運が悪いと依頼をこなしてハンターズソサエティに帰るまでの間に飛び込みで頼まれたりするし」
依頼を受ける前のちょっとしたやり取りは、次の一言でおかしな方向へ進んでいく。
「そういえば、同期のハンターの奴らが依頼で海に行ってエビとかタコとかたらふく食ったって自慢してたぞ」
「……自慢かよ」
そこへ、受付嬢ジェーン・ドゥがやってきた。
「休みたいですか?」
いつもの営業スマイルで、何も変わらないはずなのに、セリフの意味が「永遠に眠らせてやろうか?」的な意味に聞こえるのは何故だろうか。
「い、いや、大丈夫だ」
「そうですか……」
残念そうな声音と表情で去っていくジェーンを、ハンターたちは冷や汗をかきながら見送った。何だか無駄に緊張してしまった。
●山だ! キャンプだ! バーベキューだ!
本日も、いつも通り依頼を携え受付嬢ジェーン・ドゥがやってきた。
「事件ではありません」
え、と誰かが呆けた声を上げた。
事件でないなら一体なんだというのだと、ハンターたちは疑問を抱く。
「最近の皆さんの頑張りを評価し、今までの依頼人の皆様と我らがハンターズソサエティが合同で資金を供出して、キャンプ道具とバーベキューの材料を提供してくださることになりました。キャンプに行きましょう!」
珍しく声を高らかに叫ぶジェーンを見て、ハンターたちは悟った。
もしかして、受付嬢自身が行きたいのかと。
はしゃいでしまったことが恥ずかしかったのか、コホンと小さく咳をして誤魔化したジェーンは、改めて依頼? 慰安? の説明をする。
「今回の依頼は、キャンプ場に赴き一泊二日のキャンプ生活を楽しんで欲しいというものです」
説明をするジェーンの瞳はクールな彼女にしては珍しく、キラキラと輝いていた。
「キャンプ場は敷地が縦四十メートル、横八十メートルの長方形となっていて、敷地内は草原と、山菜や茸などが豊富な林にフェンスで隔てられて別れています。全て貸し切りになっていますので、思い切り羽を伸ばしてください。トイレも敷地内にありますのでご安心を」
ニコリと微笑むジェーンは、説明を続けていく。
「また、有志の方々にご協力いただいて、テント五つと寝袋を九つ期間中のみという条件つきですが提供していただきました。既にキャンプ場に設置してありますので、ぜひご活用ください」
ハンターたちの間から、食事はどうするのか、という質問が飛んだ。
「それについてはハンターズソサエティの方から、バーベキューセットを貸し出すことになっています。肉と野菜についても提供いたしますので、羽を伸ばしてください」
微笑を絶やさないジェーンは、いつもより笑顔が五割増しくらい多い。
「山菜取りの許可も取ってあります。そちらもぜひお楽しみください。道具類については貸し出しを行います」
次のセリフだけを、何故かジェーンは早口でいった。
「ちなみに、私も有給休暇がたまたま、本当にたまたま取れましたので、ご一緒させていただきますが、お気になさらず」
絶対自分が行きたかったんだこの人と、ハンターたちは微笑んだまま目を逸らすジェーンに胡乱な目を向けたのだった。
●行ってみれば……
いざハンターたちを伴ってキャンプ場についた受付嬢ジェーン・ドゥは、入り口に侵入を拒むかのように設置されていた看板を見て固まっていた。
『クマ、シカ、イノシシ大量発生中につき、立ち入り禁止』
何度もジェーンは立て看板を読み返すが、書いてある内容が変わったりはしない。
長袖長ズボンに大型リュック、帽子に軍手と気合が入りまくった服装のジェーンは、誰がどう見ても物凄くキャンプを楽しみにしていたことが丸分かりだった。
「しばしお待ちを。わたくし、ハンターズソサエティの職員として、事態解決に皆様を売り込んで参ります」
ウフフフフと営業スマイルを浮かべながらごく自然にジェーンは敷地内に無断侵入し、しばらくして戻ってきた。
「依頼です」
依頼です、じゃない。
そう思ったハンターが、もしかしたらいたかもしれない。
「キャンプ場に出没した害獣たちを駆除するだけの簡単なお仕事です。帰るまでに済ませれば構わないらしいので、問題ありませんね?」
ジェーンはキリッとした表情でハンターたちに同意を求める。
当然ハンターであるので問題などないのだが、ジェーンの背後からはまるで書き割りのように「キャンプするぞキャンプするぞキャンプするぞ」とやる気が漲っていたので、全く様になっていない。
さらにいえば、用意されていたはずの肉と野菜は全てその害獣たちに食われていた。
超人的な能力を持つハンターたちにも、疲れというものは蓄積する。
無論、一般的な人々に比べればはるかに許容値は大きいのであるが、ずっと解消しなければいつか不満が爆発するかもしれない。
そうではないにしても、疲れが残った身体で依頼に赴かれるのは、ハンターズソサエティとしてもあまり奨励できることではない。
ハンターズソサエティにやってきたハンターたちは、依頼を探す前に顔なじみのハンターたちと雑談をする。
世界中を飛び回って移動することの多いハンターたちが、確実に相手と出会えるコミュケーション場として、ハンターズソサエティは優れた場所だった。
「お前今日随分疲れてそうだな……」
「ああ、いや、実は無理して過密日程で依頼をこなしたばかりでさ。さすがにしんどかった」
同じくらい青い顔色のハンター同士が、お互いを慰め合って肩を叩く。
「そういや、いつもの顔もちらほら見ないな」
「あいつらなら、依頼でヘマして家で寝てるよ。休みだー! って泣いて喜んでた」
ブラックな環境で働かされているように聞こえるが、労働時間はハンター側や依頼人が決めるのであって、ハンターズソサエティ側は一切関与していない。完全にハンターたちの自業自得である。
「依頼をこなす裁量は俺たちの方にあるのに、何いってるんだあいつら」
「まあ、依頼人の状況によっては、こっちの都合なんていってられない場合もあるからな」
「そうだなぁ。運が悪いと依頼をこなしてハンターズソサエティに帰るまでの間に飛び込みで頼まれたりするし」
依頼を受ける前のちょっとしたやり取りは、次の一言でおかしな方向へ進んでいく。
「そういえば、同期のハンターの奴らが依頼で海に行ってエビとかタコとかたらふく食ったって自慢してたぞ」
「……自慢かよ」
そこへ、受付嬢ジェーン・ドゥがやってきた。
「休みたいですか?」
いつもの営業スマイルで、何も変わらないはずなのに、セリフの意味が「永遠に眠らせてやろうか?」的な意味に聞こえるのは何故だろうか。
「い、いや、大丈夫だ」
「そうですか……」
残念そうな声音と表情で去っていくジェーンを、ハンターたちは冷や汗をかきながら見送った。何だか無駄に緊張してしまった。
●山だ! キャンプだ! バーベキューだ!
本日も、いつも通り依頼を携え受付嬢ジェーン・ドゥがやってきた。
「事件ではありません」
え、と誰かが呆けた声を上げた。
事件でないなら一体なんだというのだと、ハンターたちは疑問を抱く。
「最近の皆さんの頑張りを評価し、今までの依頼人の皆様と我らがハンターズソサエティが合同で資金を供出して、キャンプ道具とバーベキューの材料を提供してくださることになりました。キャンプに行きましょう!」
珍しく声を高らかに叫ぶジェーンを見て、ハンターたちは悟った。
もしかして、受付嬢自身が行きたいのかと。
はしゃいでしまったことが恥ずかしかったのか、コホンと小さく咳をして誤魔化したジェーンは、改めて依頼? 慰安? の説明をする。
「今回の依頼は、キャンプ場に赴き一泊二日のキャンプ生活を楽しんで欲しいというものです」
説明をするジェーンの瞳はクールな彼女にしては珍しく、キラキラと輝いていた。
「キャンプ場は敷地が縦四十メートル、横八十メートルの長方形となっていて、敷地内は草原と、山菜や茸などが豊富な林にフェンスで隔てられて別れています。全て貸し切りになっていますので、思い切り羽を伸ばしてください。トイレも敷地内にありますのでご安心を」
ニコリと微笑むジェーンは、説明を続けていく。
「また、有志の方々にご協力いただいて、テント五つと寝袋を九つ期間中のみという条件つきですが提供していただきました。既にキャンプ場に設置してありますので、ぜひご活用ください」
ハンターたちの間から、食事はどうするのか、という質問が飛んだ。
「それについてはハンターズソサエティの方から、バーベキューセットを貸し出すことになっています。肉と野菜についても提供いたしますので、羽を伸ばしてください」
微笑を絶やさないジェーンは、いつもより笑顔が五割増しくらい多い。
「山菜取りの許可も取ってあります。そちらもぜひお楽しみください。道具類については貸し出しを行います」
次のセリフだけを、何故かジェーンは早口でいった。
「ちなみに、私も有給休暇がたまたま、本当にたまたま取れましたので、ご一緒させていただきますが、お気になさらず」
絶対自分が行きたかったんだこの人と、ハンターたちは微笑んだまま目を逸らすジェーンに胡乱な目を向けたのだった。
●行ってみれば……
いざハンターたちを伴ってキャンプ場についた受付嬢ジェーン・ドゥは、入り口に侵入を拒むかのように設置されていた看板を見て固まっていた。
『クマ、シカ、イノシシ大量発生中につき、立ち入り禁止』
何度もジェーンは立て看板を読み返すが、書いてある内容が変わったりはしない。
長袖長ズボンに大型リュック、帽子に軍手と気合が入りまくった服装のジェーンは、誰がどう見ても物凄くキャンプを楽しみにしていたことが丸分かりだった。
「しばしお待ちを。わたくし、ハンターズソサエティの職員として、事態解決に皆様を売り込んで参ります」
ウフフフフと営業スマイルを浮かべながらごく自然にジェーンは敷地内に無断侵入し、しばらくして戻ってきた。
「依頼です」
依頼です、じゃない。
そう思ったハンターが、もしかしたらいたかもしれない。
「キャンプ場に出没した害獣たちを駆除するだけの簡単なお仕事です。帰るまでに済ませれば構わないらしいので、問題ありませんね?」
ジェーンはキリッとした表情でハンターたちに同意を求める。
当然ハンターであるので問題などないのだが、ジェーンの背後からはまるで書き割りのように「キャンプするぞキャンプするぞキャンプするぞ」とやる気が漲っていたので、全く様になっていない。
さらにいえば、用意されていたはずの肉と野菜は全てその害獣たちに食われていた。
リプレイ本文
●依頼開始
ハンターたちが見たのは、自分たちのために用意されていたバーベキュー食材を食い荒らし、なおバーベキュセット回りにたむろする動物たちだった。
安全にキャンプを楽しむためには、まず動物たちの隔離無力化、あるいは殲滅を行う必要があるだろう。
(山だ! 川だ! キャンプだ! 山菜が、キノコが、魚が俺を待ってるぜ! ……えっ、荒らされてる? 依頼? 戦闘? なるほどー、なるほどなー。よっしゃ、かかってこい!!)
降って沸いた依頼だが、岩井崎 旭(ka0234)はすぐに順応してやる気になっていた。
(キャンプ先で依頼とか、ジェーンは唐突だな~。あ、いつものことだったね! ま、ちゃちゃっと済ませればキャンプできるんでしょ? 害獣なんて私達にかかればちょちょいのちょい、で食材だよ!)
夢路 まよい(ka1328)は予想外の展開にも動じず、むしろこの状況を面白がっている節がある。
「聞いていた話と違うじゃないですか」
(こっちは単純にキャンプを楽しむつもりで来たんですけどねぇ……。まあ、仕方ない。やりますか)
唖然としたGacrux(ka2726)が思わずといった様子で呟いて嘆息し、戦闘態勢を取る。
(……どうしてこうなった。食料が食べられてしまっているじゃないか……。まずはあのバーベキューセットに群がっている害獣をなんとかしないとな)
鳳凰院ひりょ(ka3744)は目の前の光景にしばらく絶句した後、気を取り直して一歩踏み出した。
(いきなり依頼に切り替わったのには仕方ないなあとは思うけど、それで困ってる人もいるんだし仕方ないわね。退治して後は供養にちゃんと食べてあげましょう)
予定通りにいかないことを残念がりつつも、七夜・真夕(ka3977)は手に持つ杖の感触を確かめた。
(……やはりこうなったか。……なんとなくなる気がしてたんだ……仕方ない、やるぞ。聞けばこの間貝やエビを狩る戦いがあったそうじゃないか。それが熊や猪に変わっただけの事だ……)
嫌な予感がしていたレイア・アローネ(ka4082)は、気持ちを切り替えて戦いに望む。
「私の食欲が火を噴くのー。下手に逃がして遊びに来た子供達が襲われたら目も当てられないの。ゆえに逃がすなんて論外なの食らい尽くすの!」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は何か勘違いしているようで、やる気を漲らせている。
事情を知っているはずの職員であるジェーンは、うさんくさい笑顔のまま何も言わない。
七人のハンターたちは害獣たちに襲い掛かった。
戦いの始まりだ!
●動物たちへの対応
ハンターたちに気付いた害獣三匹は、気付いたとたんに逃げ出した。
旭、Gacrux、まよいが走って害獣たちを追いかけるのを、ひりょ、レイア、ディーナが追い越す。そして最後尾を真夕が続いた。
走り回る動物たちにテントを壊されるのも業腹で、移動速度の関係により自然とひりょ、レイア、ディーナの三人が動物たちを追い、旭、Gacrux、まよい、真夕の四人がテントを守りつつ、隣の林に誘導あるいは退治する形に陣形が変わっていく。
退治しても燻製にでも加工してしまえば一日くらいは余裕で持つ。というか、燻製にするのに一日かかるので問題ない。
できるだけ殺さず追い立てるが、無理そう、あるいは生かして問題が出そうならさっくり仕留めてしまう方がいいだろう。
そして熊はいうまでもなく、猪もその習性的に生かしておくのは不安が残る。
「効いてるんだか効いてないんだか分からないな、これは」
思わずといった様子でひりょが言葉を漏らす。
マテルアルに反応しないであろうことは予想しつつも、炎のように燃え上がるオーラを見せて怯えさせられないかと画策したひりょだったが、人の姿を見た驚きで逃げただけなのか判別がつかない。
「警戒心が強いのは野生動物だから仕方ないが、こうも逃げられると面倒だ」
レイアは攻撃重視の構えを取り、さっさと始末してしまうことにしたようで、自身の生体マテリアルを魔導剣に伝達し、大きく踏み込みながら武器を突き出し、熊の胴を刺し貫く。
「熊猪を逃がすのは論外なの! 真っ向勝負なの!」
同じ考えで逃げる猪に追いついたディーナがホーリーメイスに魔力を集中させ、強力な一撃を放つ。
脳天に直撃した猪はそのまま慣性で走った後足を縺れさせて転び、動かなくなった。
残る鹿はテントにぶつかりそうになったところを旭が大声を上げて驚かせ、予め開けておいた林に続く扉を抜けていったところをまよいと真夕が追いかけ、魔法で眠らせて放置した。
他の面々も攻撃する準備はできていたが、所詮野生動物に梃子摺るほどでもなく、速やかに肉の処理に移行する。
「保冷庫代わりにならないかと持ってきましたが、ちょっとこれは駄目ですねぇ」
ひんやりはするが冷気のようなオーラを纏っているだけで肉の保冷としては使えないと判断し、盾を手にしたGacruxは潔く計画を変更した。
「……あー。とりあえず、細い枝束ねて箒作っとくぜ。陽のあるうちに寝床は確保しとかないとな」
それが終わったら山菜でも取ろうと思いつつ、旭は枝を集めに林に向かう。
「真夕と交代で定期的に様子見ながら魔法はかけ直すようにするね。……あ、茸とかないかな?」
まよいも林に来たついでに、木の回りに注目して茸を探す。
毒茸があったらとちょっと不安だったが、きちんと管理されているキャンプ場なので問題ないようだ。
「とりあえず先にバーベキューと飯盒炊爨の準備をしておくわ」
真夕は自分の馬に積んでおいた荷物を下ろし、バーベキューセットが壊れていないか確認しておく。
これでひとまず害獣にキャンプを滅茶苦茶にされる可能性は無くなったといえるだろう。
●食材探しと薪集め
それから皆で薪集めと食材探しを行うことになった。
並行して仕留めた獲物を解体し肉の確保もする。
そのままだと痛む可能性も考え、今日食べる分を除いて全て燻製にしてしまうことにした。
「夏だって山菜は沢山あるぜ! ふへへへ、ここら辺には何があるかな」
旭は山菜を探しながら、ついでに薪となる枯れ枝や燻製材になりそうな枝を見繕う。
「これ、食べられる茸かなぁ? 何かまっ黄色だけど」
「それは可食ですよ」
不思議そうな表情で茸を見るまよいに、ジェーンが教えてくれた。
「俺は川で獲物の解体しときますねぇ。血抜きの時間も確保したいですし」
「私も解体手伝うの! 任せてなの! 全部ブロック肉に変えてやるの!」
Gacruxと、ディーナが清酒を持って熊、猪を担いで川に向かう。
ハンターだから当然とはいえ、大きな獲物を軽々と担ぐ二人の姿は、不思議なインパクトがあった。
「肉だけでなくて、山菜も色々あった方がいいな。分かる種類しか採取できんが」
働かざるもの食うべからずとばかりに、ひりょは積極的に探している。
真夕とレイアは二人で山菜を探している。
「そこにクレソンが群生していますよ。ちょっと旬を外していますので硬くなってるのが多いですけど、探せば柔らかいのもまだあります」
その二人に近付いたジェーンが川べりを手で指し示す。彼女の手には既に何本か同じクレソンが握られている。
「本当だ! あっちにも、こっちにもあるじゃない!」
「ステーキの添え物によく使われているな、そういえば」
二人はわいわい楽しんでクレソンを採集する。
しばらくして肉の解体も終わり、余った内臓や皮などは纏めて地面に埋められた。
●バーベキューと飯盒炊爨、あと燻製
まずは焚き火熾しだ。
下が草原なので直火で焚き火してしまうと火事になる可能性があるため、焚き火台で行う。
この焚き火台はジェーンの私物だ。用意がいい女である。
「よっしゃああ燻製だあああああ!」
持参した簡易竈で燻製器を作り始める旭については、バーベキューが始まるまで作業に集中させることで皆の意見が一致した。
焚き火台に組んだ薪にまよいが魔法で火をつけ、焚き火にする。
火の熱さで喉の乾きを覚えたまよいは、川の水を汲んで魔法で飲料水に変え、潤す。
「お水、美味しい!」
「奮発して卸しましたが、どんな味でしょう。楽しみですねえ」
川の中に入れて冷やしている吟醸酒「武烈」のことを考えたGacruxは、機嫌よく笑った。
他にも酒が飲めない人用に、ノンアルコールのシャンパンも同じく川で冷やして用意している。
「ん~、こうしてみると魔術師はサバイバルに向いたスキルが結構あるんだな」
まよいや真夕の魔法の便利さに、ひりょは感心して自分も機会があれば使ってみようと思い立つ。
即座にそんな機会にはあまり遭遇したくないと思い直した。賢明である。
「そうねぇ。ご飯炊くのも、魔術師なら簡単よ」
真夕は焚き火の上に木の枝で台を作り、そこに米と魔法で綺麗にした川の水を仕込んだ飯盒を吊るす。
後はしばらく待てば美味しいご飯が炊き上がる寸法だ。
バーベキューセットを熱している間に、Gacruxとレイアが手際よく肉を切り分けていく。
味付けはGacruxに任せるつもりだが、獲物を捌いたり肉を切ったり程度の作業ならレイアも問題なくできる。
まだ痛むには早いと思うが、一応肉の色と匂いは各自で確認しておく。
こっそり真夕は自分用に唐辛子を仕込んだ辛い味付けの肉も用意している。
「テントの掃除もバッチリだし、後は食べて寝るだけなの!」
ディーナはバーベキューを楽しみにしながら、各自のテントの点検や掃除、林の邪魔な枝の打ち払いなど、細々とした作業を並行して終わらせていた。
そして主にGacruxが奉行となって、バーベキューが始まる。
山菜、茸、熊肉、猪肉が並べられ、いい音を立てて焼かれる。
特に熊肉と猪肉は香辛料でしっかりと臭みが取られているのが、見た目からでも分かった。
燻製作りが軌道に乗ると、旭が湯を沸かして紅茶を入れ始め、真っ先に女性陣が群がり、それに釣られて男性陣も続き、結局全員で紅茶を堪能する。
ある程度食材が皆の胃の中に納まったのを確認すると、今度はGacruxがマシュマロを取り出して焼き、やはり女性陣が先に群がった。
一般的には、甘いものが特別好きな女性は多いようだ。
もっとも今は雰囲気で流されているだけの人物もいるかもしれない。
Gacruxによって酒とシャンパンが振る舞われ、バーベキューの熱気は最高潮に達した。
●テント泊
バーベキューが終わり、誰がどのテントで寝るのか決める段階になった。
「余った肉は油紙に包んで保管しておくの!」
ディーナはあくせくと後始末をしつつ参加だ。
話し合いの結果、真夕とレイア、まよいとディーナがそれぞれ一つずつテントを使うことに決まった。
真夕とレイアは仲のいい親友同士だし、まよいとディーナは女同士だから一つのテントを使うのは異性と組むよりかは遥かに自然だ。
問題は、残る三つのテントである。
男が三人に、女が一人。
旭、Gacrux、ひりょが男で、ジェーンが女だ。
「まあ、普通にジェーンがテントを一つ使うべきよ」
「そうだな。別に女と男に分けることに固執するつもりはないが、それで面倒事がなくなるならそうするべきだろう」
真夕とレイアは両者ともジェーンがテントを一つ占有することで意見が一致する。
「俺は一晩中燻製の方見てるから、どっちでもいいぞ。燻製作りのついでに見張りもしよう」
旭はテントの割り振りよりも燻製の出来の方が楽しみなようだ。
「私は真夕と交代で、鹿が目覚めてたら眠りの魔法をかけておくよ」
とりあえず二人で交代時間だけ決めておいて、まよいが先に起きるらしい。魔法を撃てる回数の問題で、真夕の方が担当する時間は長くなるだろうが。
動かそうとすれば起きてしまうので、鹿はずっとあのまま放置である。
逆をいうなら動かさなければそう簡単に目覚めることはないと思われるので、ある意味気が楽ではある。
「俺は誰かと一緒でも構いませんよぉ。寝袋もありますしねぇ」
深夜のテンションで若干ハイになりつつ、Gacruxがテントにランプを吊るし、寝袋に入って転がった。
「俺もどちらでも構わない。寝袋があるなら外でもいいくらいだ」
ひりょも遠慮したため、男三人がテント一つを占有する権利を譲り合う状況になってしまった。
「……もう、じゃんけんでもして決めたらいかがでしょうか」
ジェーンの申し出に旭、Gacrux、ひりょは顔を見合わせる。
そういうことになった。
なお、ジェーンが泊まるテントに女性が数人出入りし、趣味の話や恋話などで盛り上がる姿が燻製を作っている旭や暇になって外に出たGacruxに目撃されていたのだが、余談である。
●次の日と依頼終了
朝になると、さすがハンターというべきか、皆まだ早いうちから次々と起き出して思い思いに動き始める。
「お、おは……ふああぁ。おはいさき。ダメだ。わりぃ、ちょっと寝るわ」
交代するように寝落ちした旭の一晩かけた努力で、残っていた熊肉と猪肉は無事燻製となった。
唯一生き残っていた鹿も、解体されて皆の朝ご飯となる。
朝から肉と重いが、身体資本のハンターたちはペロリと平らげてしまう。
ジェーンも普通に食べていた。
仮眠を取った旭も遅れて起きてきて、鹿肉と残っていた山菜や茸で朝食を済ませる。
旭が余った時間で魚釣りも試していたものの、残念ながら釣り果はなかった。まあ、そんな日もある。
そしてあっというまに時間は過ぎて、キャンプ場を去る時間になった。
皆で掃除と片付けを済ませ昨日来た時より綺麗になったキャンプ場は、もう害獣がいたようには見えない。
「んー、楽しかった! ジェーンともお話できたし」
いいリフレッシュ期間になったようで、まよいは満足そうだ。
「燻製と残った鹿肉は分けて持ち帰りですよ。量が多いので、遠慮せず持って帰ってください」
Gacruxが燻製肉とよく焼いた鹿肉を小分けにして配っている。
かなり量があったように見えたが、八人で割ると案外一人分はそうでもなかった。
ちなみに何故八人なのかというと、さりげなくジェーンが自分を頭数に入れたからである。
「最初はどうなることかと思ったが、結構楽しいキャンプだったよ」
害獣たちがよほど印象に残っていたのか、ひりょにとってはかなり印象深いキャンプになったようだ。
「ねね、また今度お話しましょ? あなたの話、もっと聞きたいわ」
「ジェーンよ、お前行く先々でトラブル引き起こすとか言われた事はないか?」
まだ話し足りないようで、真夕とレイアがジェーンに話しかけている。
「これで後続の人たちもバッチリキャンプできるの!」
真夕とレイアに受け答えしていたジェーンは、ディーナをがっかりさせたくないと思ったのかは分からないが、勘違いを訂正しない。
こうして楽しいキャンプは終わった。
ハンターたちが見たのは、自分たちのために用意されていたバーベキュー食材を食い荒らし、なおバーベキュセット回りにたむろする動物たちだった。
安全にキャンプを楽しむためには、まず動物たちの隔離無力化、あるいは殲滅を行う必要があるだろう。
(山だ! 川だ! キャンプだ! 山菜が、キノコが、魚が俺を待ってるぜ! ……えっ、荒らされてる? 依頼? 戦闘? なるほどー、なるほどなー。よっしゃ、かかってこい!!)
降って沸いた依頼だが、岩井崎 旭(ka0234)はすぐに順応してやる気になっていた。
(キャンプ先で依頼とか、ジェーンは唐突だな~。あ、いつものことだったね! ま、ちゃちゃっと済ませればキャンプできるんでしょ? 害獣なんて私達にかかればちょちょいのちょい、で食材だよ!)
夢路 まよい(ka1328)は予想外の展開にも動じず、むしろこの状況を面白がっている節がある。
「聞いていた話と違うじゃないですか」
(こっちは単純にキャンプを楽しむつもりで来たんですけどねぇ……。まあ、仕方ない。やりますか)
唖然としたGacrux(ka2726)が思わずといった様子で呟いて嘆息し、戦闘態勢を取る。
(……どうしてこうなった。食料が食べられてしまっているじゃないか……。まずはあのバーベキューセットに群がっている害獣をなんとかしないとな)
鳳凰院ひりょ(ka3744)は目の前の光景にしばらく絶句した後、気を取り直して一歩踏み出した。
(いきなり依頼に切り替わったのには仕方ないなあとは思うけど、それで困ってる人もいるんだし仕方ないわね。退治して後は供養にちゃんと食べてあげましょう)
予定通りにいかないことを残念がりつつも、七夜・真夕(ka3977)は手に持つ杖の感触を確かめた。
(……やはりこうなったか。……なんとなくなる気がしてたんだ……仕方ない、やるぞ。聞けばこの間貝やエビを狩る戦いがあったそうじゃないか。それが熊や猪に変わっただけの事だ……)
嫌な予感がしていたレイア・アローネ(ka4082)は、気持ちを切り替えて戦いに望む。
「私の食欲が火を噴くのー。下手に逃がして遊びに来た子供達が襲われたら目も当てられないの。ゆえに逃がすなんて論外なの食らい尽くすの!」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は何か勘違いしているようで、やる気を漲らせている。
事情を知っているはずの職員であるジェーンは、うさんくさい笑顔のまま何も言わない。
七人のハンターたちは害獣たちに襲い掛かった。
戦いの始まりだ!
●動物たちへの対応
ハンターたちに気付いた害獣三匹は、気付いたとたんに逃げ出した。
旭、Gacrux、まよいが走って害獣たちを追いかけるのを、ひりょ、レイア、ディーナが追い越す。そして最後尾を真夕が続いた。
走り回る動物たちにテントを壊されるのも業腹で、移動速度の関係により自然とひりょ、レイア、ディーナの三人が動物たちを追い、旭、Gacrux、まよい、真夕の四人がテントを守りつつ、隣の林に誘導あるいは退治する形に陣形が変わっていく。
退治しても燻製にでも加工してしまえば一日くらいは余裕で持つ。というか、燻製にするのに一日かかるので問題ない。
できるだけ殺さず追い立てるが、無理そう、あるいは生かして問題が出そうならさっくり仕留めてしまう方がいいだろう。
そして熊はいうまでもなく、猪もその習性的に生かしておくのは不安が残る。
「効いてるんだか効いてないんだか分からないな、これは」
思わずといった様子でひりょが言葉を漏らす。
マテルアルに反応しないであろうことは予想しつつも、炎のように燃え上がるオーラを見せて怯えさせられないかと画策したひりょだったが、人の姿を見た驚きで逃げただけなのか判別がつかない。
「警戒心が強いのは野生動物だから仕方ないが、こうも逃げられると面倒だ」
レイアは攻撃重視の構えを取り、さっさと始末してしまうことにしたようで、自身の生体マテリアルを魔導剣に伝達し、大きく踏み込みながら武器を突き出し、熊の胴を刺し貫く。
「熊猪を逃がすのは論外なの! 真っ向勝負なの!」
同じ考えで逃げる猪に追いついたディーナがホーリーメイスに魔力を集中させ、強力な一撃を放つ。
脳天に直撃した猪はそのまま慣性で走った後足を縺れさせて転び、動かなくなった。
残る鹿はテントにぶつかりそうになったところを旭が大声を上げて驚かせ、予め開けておいた林に続く扉を抜けていったところをまよいと真夕が追いかけ、魔法で眠らせて放置した。
他の面々も攻撃する準備はできていたが、所詮野生動物に梃子摺るほどでもなく、速やかに肉の処理に移行する。
「保冷庫代わりにならないかと持ってきましたが、ちょっとこれは駄目ですねぇ」
ひんやりはするが冷気のようなオーラを纏っているだけで肉の保冷としては使えないと判断し、盾を手にしたGacruxは潔く計画を変更した。
「……あー。とりあえず、細い枝束ねて箒作っとくぜ。陽のあるうちに寝床は確保しとかないとな」
それが終わったら山菜でも取ろうと思いつつ、旭は枝を集めに林に向かう。
「真夕と交代で定期的に様子見ながら魔法はかけ直すようにするね。……あ、茸とかないかな?」
まよいも林に来たついでに、木の回りに注目して茸を探す。
毒茸があったらとちょっと不安だったが、きちんと管理されているキャンプ場なので問題ないようだ。
「とりあえず先にバーベキューと飯盒炊爨の準備をしておくわ」
真夕は自分の馬に積んでおいた荷物を下ろし、バーベキューセットが壊れていないか確認しておく。
これでひとまず害獣にキャンプを滅茶苦茶にされる可能性は無くなったといえるだろう。
●食材探しと薪集め
それから皆で薪集めと食材探しを行うことになった。
並行して仕留めた獲物を解体し肉の確保もする。
そのままだと痛む可能性も考え、今日食べる分を除いて全て燻製にしてしまうことにした。
「夏だって山菜は沢山あるぜ! ふへへへ、ここら辺には何があるかな」
旭は山菜を探しながら、ついでに薪となる枯れ枝や燻製材になりそうな枝を見繕う。
「これ、食べられる茸かなぁ? 何かまっ黄色だけど」
「それは可食ですよ」
不思議そうな表情で茸を見るまよいに、ジェーンが教えてくれた。
「俺は川で獲物の解体しときますねぇ。血抜きの時間も確保したいですし」
「私も解体手伝うの! 任せてなの! 全部ブロック肉に変えてやるの!」
Gacruxと、ディーナが清酒を持って熊、猪を担いで川に向かう。
ハンターだから当然とはいえ、大きな獲物を軽々と担ぐ二人の姿は、不思議なインパクトがあった。
「肉だけでなくて、山菜も色々あった方がいいな。分かる種類しか採取できんが」
働かざるもの食うべからずとばかりに、ひりょは積極的に探している。
真夕とレイアは二人で山菜を探している。
「そこにクレソンが群生していますよ。ちょっと旬を外していますので硬くなってるのが多いですけど、探せば柔らかいのもまだあります」
その二人に近付いたジェーンが川べりを手で指し示す。彼女の手には既に何本か同じクレソンが握られている。
「本当だ! あっちにも、こっちにもあるじゃない!」
「ステーキの添え物によく使われているな、そういえば」
二人はわいわい楽しんでクレソンを採集する。
しばらくして肉の解体も終わり、余った内臓や皮などは纏めて地面に埋められた。
●バーベキューと飯盒炊爨、あと燻製
まずは焚き火熾しだ。
下が草原なので直火で焚き火してしまうと火事になる可能性があるため、焚き火台で行う。
この焚き火台はジェーンの私物だ。用意がいい女である。
「よっしゃああ燻製だあああああ!」
持参した簡易竈で燻製器を作り始める旭については、バーベキューが始まるまで作業に集中させることで皆の意見が一致した。
焚き火台に組んだ薪にまよいが魔法で火をつけ、焚き火にする。
火の熱さで喉の乾きを覚えたまよいは、川の水を汲んで魔法で飲料水に変え、潤す。
「お水、美味しい!」
「奮発して卸しましたが、どんな味でしょう。楽しみですねえ」
川の中に入れて冷やしている吟醸酒「武烈」のことを考えたGacruxは、機嫌よく笑った。
他にも酒が飲めない人用に、ノンアルコールのシャンパンも同じく川で冷やして用意している。
「ん~、こうしてみると魔術師はサバイバルに向いたスキルが結構あるんだな」
まよいや真夕の魔法の便利さに、ひりょは感心して自分も機会があれば使ってみようと思い立つ。
即座にそんな機会にはあまり遭遇したくないと思い直した。賢明である。
「そうねぇ。ご飯炊くのも、魔術師なら簡単よ」
真夕は焚き火の上に木の枝で台を作り、そこに米と魔法で綺麗にした川の水を仕込んだ飯盒を吊るす。
後はしばらく待てば美味しいご飯が炊き上がる寸法だ。
バーベキューセットを熱している間に、Gacruxとレイアが手際よく肉を切り分けていく。
味付けはGacruxに任せるつもりだが、獲物を捌いたり肉を切ったり程度の作業ならレイアも問題なくできる。
まだ痛むには早いと思うが、一応肉の色と匂いは各自で確認しておく。
こっそり真夕は自分用に唐辛子を仕込んだ辛い味付けの肉も用意している。
「テントの掃除もバッチリだし、後は食べて寝るだけなの!」
ディーナはバーベキューを楽しみにしながら、各自のテントの点検や掃除、林の邪魔な枝の打ち払いなど、細々とした作業を並行して終わらせていた。
そして主にGacruxが奉行となって、バーベキューが始まる。
山菜、茸、熊肉、猪肉が並べられ、いい音を立てて焼かれる。
特に熊肉と猪肉は香辛料でしっかりと臭みが取られているのが、見た目からでも分かった。
燻製作りが軌道に乗ると、旭が湯を沸かして紅茶を入れ始め、真っ先に女性陣が群がり、それに釣られて男性陣も続き、結局全員で紅茶を堪能する。
ある程度食材が皆の胃の中に納まったのを確認すると、今度はGacruxがマシュマロを取り出して焼き、やはり女性陣が先に群がった。
一般的には、甘いものが特別好きな女性は多いようだ。
もっとも今は雰囲気で流されているだけの人物もいるかもしれない。
Gacruxによって酒とシャンパンが振る舞われ、バーベキューの熱気は最高潮に達した。
●テント泊
バーベキューが終わり、誰がどのテントで寝るのか決める段階になった。
「余った肉は油紙に包んで保管しておくの!」
ディーナはあくせくと後始末をしつつ参加だ。
話し合いの結果、真夕とレイア、まよいとディーナがそれぞれ一つずつテントを使うことに決まった。
真夕とレイアは仲のいい親友同士だし、まよいとディーナは女同士だから一つのテントを使うのは異性と組むよりかは遥かに自然だ。
問題は、残る三つのテントである。
男が三人に、女が一人。
旭、Gacrux、ひりょが男で、ジェーンが女だ。
「まあ、普通にジェーンがテントを一つ使うべきよ」
「そうだな。別に女と男に分けることに固執するつもりはないが、それで面倒事がなくなるならそうするべきだろう」
真夕とレイアは両者ともジェーンがテントを一つ占有することで意見が一致する。
「俺は一晩中燻製の方見てるから、どっちでもいいぞ。燻製作りのついでに見張りもしよう」
旭はテントの割り振りよりも燻製の出来の方が楽しみなようだ。
「私は真夕と交代で、鹿が目覚めてたら眠りの魔法をかけておくよ」
とりあえず二人で交代時間だけ決めておいて、まよいが先に起きるらしい。魔法を撃てる回数の問題で、真夕の方が担当する時間は長くなるだろうが。
動かそうとすれば起きてしまうので、鹿はずっとあのまま放置である。
逆をいうなら動かさなければそう簡単に目覚めることはないと思われるので、ある意味気が楽ではある。
「俺は誰かと一緒でも構いませんよぉ。寝袋もありますしねぇ」
深夜のテンションで若干ハイになりつつ、Gacruxがテントにランプを吊るし、寝袋に入って転がった。
「俺もどちらでも構わない。寝袋があるなら外でもいいくらいだ」
ひりょも遠慮したため、男三人がテント一つを占有する権利を譲り合う状況になってしまった。
「……もう、じゃんけんでもして決めたらいかがでしょうか」
ジェーンの申し出に旭、Gacrux、ひりょは顔を見合わせる。
そういうことになった。
なお、ジェーンが泊まるテントに女性が数人出入りし、趣味の話や恋話などで盛り上がる姿が燻製を作っている旭や暇になって外に出たGacruxに目撃されていたのだが、余談である。
●次の日と依頼終了
朝になると、さすがハンターというべきか、皆まだ早いうちから次々と起き出して思い思いに動き始める。
「お、おは……ふああぁ。おはいさき。ダメだ。わりぃ、ちょっと寝るわ」
交代するように寝落ちした旭の一晩かけた努力で、残っていた熊肉と猪肉は無事燻製となった。
唯一生き残っていた鹿も、解体されて皆の朝ご飯となる。
朝から肉と重いが、身体資本のハンターたちはペロリと平らげてしまう。
ジェーンも普通に食べていた。
仮眠を取った旭も遅れて起きてきて、鹿肉と残っていた山菜や茸で朝食を済ませる。
旭が余った時間で魚釣りも試していたものの、残念ながら釣り果はなかった。まあ、そんな日もある。
そしてあっというまに時間は過ぎて、キャンプ場を去る時間になった。
皆で掃除と片付けを済ませ昨日来た時より綺麗になったキャンプ場は、もう害獣がいたようには見えない。
「んー、楽しかった! ジェーンともお話できたし」
いいリフレッシュ期間になったようで、まよいは満足そうだ。
「燻製と残った鹿肉は分けて持ち帰りですよ。量が多いので、遠慮せず持って帰ってください」
Gacruxが燻製肉とよく焼いた鹿肉を小分けにして配っている。
かなり量があったように見えたが、八人で割ると案外一人分はそうでもなかった。
ちなみに何故八人なのかというと、さりげなくジェーンが自分を頭数に入れたからである。
「最初はどうなることかと思ったが、結構楽しいキャンプだったよ」
害獣たちがよほど印象に残っていたのか、ひりょにとってはかなり印象深いキャンプになったようだ。
「ねね、また今度お話しましょ? あなたの話、もっと聞きたいわ」
「ジェーンよ、お前行く先々でトラブル引き起こすとか言われた事はないか?」
まだ話し足りないようで、真夕とレイアがジェーンに話しかけている。
「これで後続の人たちもバッチリキャンプできるの!」
真夕とレイアに受け答えしていたジェーンは、ディーナをがっかりさせたくないと思ったのかは分からないが、勘違いを訂正しない。
こうして楽しいキャンプは終わった。
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キャンプ日和…?【相談卓】 Gacrux(ka2726) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/06/29 02:28:22 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/28 07:49:40 |