ゲスト
(ka0000)
コボちゃんハウスを建て直そう
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2018/07/06 19:00
- 完成日
- 2018/07/12 00:08
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
歪虚によって壊滅していたハンターオフィス・ジェオルジ支局の建て直しが、この度ようやく終わった。
ここ数週間ほど仮支局で仕事を続けていた職員のマリーとジュアンは、早速完成したばかりの新支局に移った。
入って見れば真新しい無垢材の香り。中央で枝を広げる神霊樹。青い葉の合間を忙しげにちょこちょこ動くパルムたちの姿。
これでこそハンターオフィス。
「やっぱり新しい建物って気持ちがいいわねー」
「デスクも椅子も一新だね」
と言い合う2人の袖を、ジェオルジ支局のマスコットであるコボルドコボちゃんが、ぐいと引っ張る。
「何よ。エサならさっき食べたでしょう。まだおやつの時間じゃないわよ」
と口を尖らせるマリー。
コボちゃんもまた、小鼻にしわを寄せる。モコモコの手で窓の外に見える、四角いコボちゃんハウスを指さす。
「こぼのうち、どうした」
「え?」
「こぼのうち、も、なおせ」
「えっと……」
「こぼ、あたらしいうち、ほしい、まえ、みたいなの。こぼのうち、も、あたらしくしろ、しろ」
マリーとジュアンは顔を見合わせ、ひそひそ耳打ちしあった。
「え? コボちゃんあの家が気に入ってなかったの?」
「……正直あんまり馴染んではなかったみたいだったよ。穴ばっかり掘ってたし」
「そうなんだ……全然気づかなかったわ私。でも新しくするっていったって、ハンターオフィス本部から補助金が出るのって、支局の復旧費用だけでしょ?」
「うん、まあ、一応申請はしたんだけどさ。『その建造物はハンターオフィスが指示し建てさせたものではないので、補助することは認められない』って返されちゃったんだよね」
「……そういえばハンター有志で作ったんだったわね、あれ」
「うん」
「いや、でもね、あれはコボちゃんを支局に置いておくと支局が目茶苦茶にされるから仕方なくやったことじゃない? 大体コボちゃんの身柄を引き受けろって言ってきたの本部じゃない? それで補助が出ないっておかしくない?」
「まあ僕もちょっとそうは思ったけど……駄目だって言うから仕方がないよ」
「大人しく引き下がってどうすんのよジュアン。そこはもっと強く言ってきなさいよ。下手したら支局と一緒に吹き飛んで死んでたのよ私たち。そこを考えればちょっとくらい融通してくれたって罰は当たらないでしょうよ」
コボちゃんが焦れ、吠え始めた。
「う~、わし、わし! わしわしわし! わし! うわわわし!」
このまま新しい家を建てなかったらコボちゃんの不満はいよいよ募ることだろう。その結果せっかく新しくなった支局が引っ掻かれたり噛まれたりして、またもやボロボロになる危険性がある。
「……仕方がないわね。じゃあ今度も、前回と同じようにコボちゃんハウス建造の依頼を出す?」
「そうだね……それしかなさそうだ」
●
ジェオルジ支局にやってきたカチャたちは、丘の上に立つ新支局を見た。
「わー、きれいになりましたねー」
「丘も元の形になってますね」
「なんでも、土を盛ったらしいですよ」
ひとつ向こうの丘には砂色の正方形が2つ。一つはジェオルジ仮支局。もう一つは仮のコボちゃんハウス。
「こんにちはー、依頼を受けて来たのですがー」
新支局のベルを鳴らすと、コボちゃんが飛び出してきた。
彼は意気揚々ハンターたちの前に、一枚の画用紙を広げる。
画用紙には、「正面からは藁葺き屋根の切り株、上からは鍵穴といった形。藁葺きの屋根には煙突が突き出、丸い出入り口には戸と、毛皮の暖簾がついている」といった家が描かれていた。
「こういう、いえ、つくる! つくる!」
そのすぐ後ろからジュアンが出てきて、ハンターたちに挨拶。
「この度は来てくださってありがとうございます。家の建材はこちらで揃えてますから、それを利用してください」
「分かりました。で、どこに建てたらいいんです?」
「えーと、前と一緒の場所に作ってもらえると助かります。本人もそれが望みらしいですから」
そんなことを言っていると支局の中から、マリーの怒鳴り声が聞こえてきた。
「いきなりそういう所から出てくるなって、前も言ったじゃないの」
何事かと中に入ってみれば、椅子ごと倒れているマリー。
『……これは失礼……でも……何故だか繋がりやすいのよね……このポイント……』
デスクの引き出しからマゴイがもたもた出てくるところだった。
その後からコボルドたち多数が、わらわらくっついて出てきた。皆ヘルメットを被り、シャベルらしきものを持っている。
カチャは聞いた。
「マゴイさん、一体何をしに来たんですか?」
『……貸し出していた簡易住宅を……回収に来たのよ……新しい支局が出来……コボルド小屋も新築するという連絡があったから……それとワーカーたちが……仲間の家を作るのを手伝いたいと言うので……連れて来たの……』
と言って彼女は、支局の神霊樹を見上げた。
『……後は……この世界におけるオートマトンに関するデーターを……ちょっと確かめておきたいかと……ユニオン法にオートマトンに関する条項を……多々付け足す必要性が生じてきたので……』
ここ数週間ほど仮支局で仕事を続けていた職員のマリーとジュアンは、早速完成したばかりの新支局に移った。
入って見れば真新しい無垢材の香り。中央で枝を広げる神霊樹。青い葉の合間を忙しげにちょこちょこ動くパルムたちの姿。
これでこそハンターオフィス。
「やっぱり新しい建物って気持ちがいいわねー」
「デスクも椅子も一新だね」
と言い合う2人の袖を、ジェオルジ支局のマスコットであるコボルドコボちゃんが、ぐいと引っ張る。
「何よ。エサならさっき食べたでしょう。まだおやつの時間じゃないわよ」
と口を尖らせるマリー。
コボちゃんもまた、小鼻にしわを寄せる。モコモコの手で窓の外に見える、四角いコボちゃんハウスを指さす。
「こぼのうち、どうした」
「え?」
「こぼのうち、も、なおせ」
「えっと……」
「こぼ、あたらしいうち、ほしい、まえ、みたいなの。こぼのうち、も、あたらしくしろ、しろ」
マリーとジュアンは顔を見合わせ、ひそひそ耳打ちしあった。
「え? コボちゃんあの家が気に入ってなかったの?」
「……正直あんまり馴染んではなかったみたいだったよ。穴ばっかり掘ってたし」
「そうなんだ……全然気づかなかったわ私。でも新しくするっていったって、ハンターオフィス本部から補助金が出るのって、支局の復旧費用だけでしょ?」
「うん、まあ、一応申請はしたんだけどさ。『その建造物はハンターオフィスが指示し建てさせたものではないので、補助することは認められない』って返されちゃったんだよね」
「……そういえばハンター有志で作ったんだったわね、あれ」
「うん」
「いや、でもね、あれはコボちゃんを支局に置いておくと支局が目茶苦茶にされるから仕方なくやったことじゃない? 大体コボちゃんの身柄を引き受けろって言ってきたの本部じゃない? それで補助が出ないっておかしくない?」
「まあ僕もちょっとそうは思ったけど……駄目だって言うから仕方がないよ」
「大人しく引き下がってどうすんのよジュアン。そこはもっと強く言ってきなさいよ。下手したら支局と一緒に吹き飛んで死んでたのよ私たち。そこを考えればちょっとくらい融通してくれたって罰は当たらないでしょうよ」
コボちゃんが焦れ、吠え始めた。
「う~、わし、わし! わしわしわし! わし! うわわわし!」
このまま新しい家を建てなかったらコボちゃんの不満はいよいよ募ることだろう。その結果せっかく新しくなった支局が引っ掻かれたり噛まれたりして、またもやボロボロになる危険性がある。
「……仕方がないわね。じゃあ今度も、前回と同じようにコボちゃんハウス建造の依頼を出す?」
「そうだね……それしかなさそうだ」
●
ジェオルジ支局にやってきたカチャたちは、丘の上に立つ新支局を見た。
「わー、きれいになりましたねー」
「丘も元の形になってますね」
「なんでも、土を盛ったらしいですよ」
ひとつ向こうの丘には砂色の正方形が2つ。一つはジェオルジ仮支局。もう一つは仮のコボちゃんハウス。
「こんにちはー、依頼を受けて来たのですがー」
新支局のベルを鳴らすと、コボちゃんが飛び出してきた。
彼は意気揚々ハンターたちの前に、一枚の画用紙を広げる。
画用紙には、「正面からは藁葺き屋根の切り株、上からは鍵穴といった形。藁葺きの屋根には煙突が突き出、丸い出入り口には戸と、毛皮の暖簾がついている」といった家が描かれていた。
「こういう、いえ、つくる! つくる!」
そのすぐ後ろからジュアンが出てきて、ハンターたちに挨拶。
「この度は来てくださってありがとうございます。家の建材はこちらで揃えてますから、それを利用してください」
「分かりました。で、どこに建てたらいいんです?」
「えーと、前と一緒の場所に作ってもらえると助かります。本人もそれが望みらしいですから」
そんなことを言っていると支局の中から、マリーの怒鳴り声が聞こえてきた。
「いきなりそういう所から出てくるなって、前も言ったじゃないの」
何事かと中に入ってみれば、椅子ごと倒れているマリー。
『……これは失礼……でも……何故だか繋がりやすいのよね……このポイント……』
デスクの引き出しからマゴイがもたもた出てくるところだった。
その後からコボルドたち多数が、わらわらくっついて出てきた。皆ヘルメットを被り、シャベルらしきものを持っている。
カチャは聞いた。
「マゴイさん、一体何をしに来たんですか?」
『……貸し出していた簡易住宅を……回収に来たのよ……新しい支局が出来……コボルド小屋も新築するという連絡があったから……それとワーカーたちが……仲間の家を作るのを手伝いたいと言うので……連れて来たの……』
と言って彼女は、支局の神霊樹を見上げた。
『……後は……この世界におけるオートマトンに関するデーターを……ちょっと確かめておきたいかと……ユニオン法にオートマトンに関する条項を……多々付け足す必要性が生じてきたので……』
リプレイ本文
●コボちゃんハウスを作ろうよ
「本日はよろしくお願いしますね」
エルバッハ・リオン(ka2434)の挨拶にマゴイは、いつもながらのもたもたした口調で答える。
『……よろしく……私は建設に直接関わらないけど……』
マルカ・アニチキン(ka2542)はコボルドワーカーたちと円陣を組み、声をかけ合っている。
「今日の為に学んできたDIY……!」
「「わおーう!」」
「風光明媚、娯楽豊富、快適至極に至る建築術をニューコボちゃんハウスに注がせていただきますっ……!」
「「わおーうー!」」
カチャは露出過剰なドレス姿のリオンを見て、言った。
「エルさん、今日の作業にその服は勿体ないんじゃないですか? 下手したら汚れちゃいますよ」
「ああ、大丈夫です。着替の作業着は持って来ていますから」
「あ、そうなんですか」
「元々、故郷にいた時の訓練で、戦闘の邪魔になる羞恥心は無くしたはずですが、最近は徐々に抑えられなくなってきているようなので、再訓練も兼ねて着てきました」
「いやその、別に羞恥心はあってもいいんじゃ……」
天竜寺 舞(ka0377)は親愛の情を込め、コボちゃんの頭をくしゃくしゃ撫でる。
「よーす、コボ、約束通り家を造りに来てやったよ。ところでさ、前の家の設計図があるはずだって妹から聞いたんだけどさ、それ、残ってる?」
「こぼのもちもの、ぜんぶ、いえと、いっしょに、ふっとんだ」
「そうかー。じゃあインテリアも一から作り直しだなー」
レイア・アローネ(ka4082)の目は、ぴこぴこ尻尾を振るコボちゃんに釘付けだ。
(これがコ、コボちゃん……か……トイプードルではなく……)
正直すごくかわいい。
そんな思いを胸に秘め冷静を装い、モフ頭を撫でる。
「お初にお目にかかる……よろしく……」
モコモコの手触りを堪能しつつ、改めて画用紙の絵を確認。
「さて……彼の希望は……と」
一瞥した後額に小汗をかき、クオン・サガラ(ka0018)とソラス(ka6581)にひそひそ耳打ちする。
「……これ、割と厳しくないか? 何故煙突? 我々本職ではないのだが……こんな絵だけでは何をどうしたらいいのかわからんぞ……」
「一応図面は作れると思います。私の専門は工学で、建築も一応齧ってますから。まあ……正直、異種族向けの家ってある意味規格外ですからね……どこまで出来るかはわかりませんが……」
「私もお手伝いをしますよ。図面を書くのにちょうどいい方眼紙、持ってきていますから」
「そ、そうか。いやしかし……これはちょっと……」
言いかけてレイアは振り向いた。視線を感じたのだ。
……コボちゃんがキラキラした円らな目で見ている。
「いえ、つくる、コボのいえ!」
「……くっ、乗り掛かった舟だ! 満足いくまで付き合おうじゃないか! 安心していいぞ、コボちゃ……コボルト!」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)は、依頼者であるジュアンたちに、依頼内容に基づく働きは出来ないので、依頼料を辞退しする旨を伝え、神霊樹を見上げるマゴイに話しかける。
彼は神霊樹とマゴイがある意味同カテゴリーに属す存在なのではなかろうかと疑っていた。どちらも情報を集め、自分の中に取り込もうとする。前者は大精霊のため、後者はユニオンのため。
そのように親和性が高いものが交わった場合、小さい方が大きい方に取り込まれ戻れなくなってしまうのではないか――――という懸念が、どうしても脳裏から拭えない。
「今、お前はもっとオートマトンのことを調査したいと言ったが。ハンターとして活動を始めたオートマトンは今日現在で88名いる。登録者数だけならオフィスで調査できるが、それ以上はハンターでなければ公開されない」
『……オートマトンの性能情報は……一般公開の対象ではないの……?』
「ああ、そうだ」
『……それは問題……リコール対象になったことがある機種かどうかということを……起動させる前に調べられないなんて……』
「……オートマトンにリコール問題とかあったのか?」
『……そこそこあったと記憶しているわね……廉価機種は特に……』
「……ま、まあとにかくだな、起動時に起動前の記憶があやふやになった者も多いと聞く。それでも話を聞きたいなら、オフィスに依頼を出した方が良いのではないか」
『……そう……では日を改めて……依頼をしようかしら……』
アクセスを取りやめる気になったようだ。
内心ほっとしつつルベーノは、続けた。
「建設は手伝わないと聞いたが、片付けはするのだろう? 簡易住宅を異次元に回収するのではないか?」
『……ええ……もちろん……』
「回収に当たり中の物を出すなり、手伝えることがあれば手伝うぞ?」
『……いえ……それはしなくても大丈夫よ……中の物はオフィス職員により……もう全部運び出されているから……』
●DIY開始
「ペリヴァロンで調べましたが、建設予定地に汚染は感知されませんでした。予定通り進めて大丈夫そうです」
「そうですか。ではまず基礎的なことを決めましょうか。円筒形と六角錘の組み合わせが構造的にベストでしょう。防火対策を考えたら、屋根もスレートや瓦にした方がいいとは思うのですが……」
「こぼ、わらがいい」
「クオンさん、野地板に耐火建材を使ってはどうでしょう? それなら藁葺き屋根のデメリットを押さえられるかも」
「そうですね。それならなんとか……ところでコボちゃん、トイレはどうします?」
「いらない、そとに、じぶんで、あなほって、つくる」
「分かりました。カビやシロアリについては、専用塗料を施しましょうか」
クオンとソラスそしてコボちゃんによる侃々諤々な話し合いの結果、新コボちゃんハウスの設計図が完成した。
建設作業、始まりである。
マルカは土台作りの手順をイラスト化し、コボルドワーカーたちに見せた。
「それではワーカーの皆さん、こういう感じに土を掘って、排水の溝を作って、そこに小石を敷いてください」
うんうん頷くワーカーたち。
そこに舞が身振り手振りを交え、追加注文する。
「端々に支柱を立てる穴も頼むよ。床下収納庫も作りたいから、その穴もあけてくれる?」
コボルドたちはそれを了解した。
早速仕事に取り掛かった。
たちまちのうち土台の基礎整備と支柱穴の掘削を終わらせ、地下収納庫作りに取り掛かる。
その間にマルカはウォーピックで岩石を砕き、割り栗石を作って行く。
カチャとリオンがそれを運び、溝に並べていく。
クオンは黙々と木材の切り出しを進めていく。レイアは屋根に葺く藁を束ねる。
そこにコボちゃんがやってきた。
「こぼも、なんかする」
子供をあやすような気持ちでレイアは、彼にも出来そうなことを探した。資材の切れ端とヤスリを渡してやる。
「じゃあ、それで表札を作ってくれ。なんといってもコボルト、これはお前の家だからな」
コボちゃんはいそいそとヤスリがけを始めた。
どおん、どおんと鈍い音が響いてくる。
リオン、マルカ、ソラスが交互にグラビティフォールを使い、基礎の地盤固めを始めたのである。
●簡易住宅撤去
結界に包まれた二棟の簡易住宅が、端から細かな正方形に分割され消えて行く。
『……転移完了……』
作業を終えたマゴイは少々疲れたのかふう息をついた。
ウォッチャーを呼び出し、その上に腰掛ける。
『……ウォッチャー……ワーカーたちのところへ移動して……』
【了解しました、マゴイ】
地面から10センチほど宙に浮いたウォッチャーは彼女を乗せゆっくり、滑るように動いて行く。
(ウォッチャーにはああいう使い方もあるのか)
新たな発見をした気持ちで、その後をぶらぶらついていくルベーノ。そこにジュアンがやってきた。
「ルベーノさん、先程おっしゃった報酬辞退の話ですけど――マリーと話し合った結果、それは出来ないということになりました。規定どおり受け取ってください」
「何故だ? 最初に言ったとおり、俺は工事には関わっておらんぞ」
「あのですね、マゴイさんを大人しくさせ不測の事態を防ぐこと自体が、工事の推進に役立ってるんです」
●完成まで後少し
ハンターとコボルドたちの奮闘によって、コボちゃんハウスが順調に組み立てられて行く。
外見はキノコと切り株をミックスした感じだ。円筒形の外壁、六角錘のワラ屋根。通気を考え四方に窓があき、煙突には雨避けの傘がついている。
家の中にはコボちゃんの体格に合った小さなテーブル、小さな椅子、小さな衣装ダンス、箱にしか見えない寝床。キルト仕立ての茸型腰掛はお客さん用。
すべての家具の端には安全対策として、革で出来たコーナークッションがついている。
そして庭には骨1トンが楽に入りそうな、大型地下収納庫。いつでも掘り返して遊べる畑。
コボちゃんはソラスから箒に乗せてもらってワラ屋根に乗り、その仕上がりを確かめた。
「こぼのいえ、いえ! りっぱ!」
そこで舞が、地上から声をかけた。
「降りてこーい、コボ! まだやることがあるぞ!」
彼女の手にはペンキ壷とハケ。
そう、まだ最後の仕上げがある。コボちゃんハウスの周囲にめぐらされた塀に、絵を描くのだ。
●コボちゃんハウス、完成。
舞は塀の内側に、緑の木々を描く。そうすればコボちゃんが窓から見たとき、森の中にいる気分になれるだろうと。コボルドたちの姿も描く。先に撮っておいた、1匹1匹の肖像写真を参考にして。そうすれば仲間がいるようで、寂しくないだろうと。
コボルドとコボちゃんは、絵の具をつけた手のひらを塀の外側にぺたぺた張り付け、肉球のお花畑を描く。
コボルドワーカーたちを見守るマゴイは――歌っていた。
ゆにおんしみんのあいことば
きょうもなかよしごあいさつ
あさはおはようございます
おひるにあったらこんにちは
よるにあったらこんばんは
ねむるまえにはおやすみなさい
どうやら新曲が出来たらしい。
「ゆにおんのうた」同様稚拙な歌詞だが、メロディがとてもきれいなので、聞いていて不快ではない。
マルカは塀に蔦模様を描いていた手を止め、彼女に話しかけた。
「マゴイさんも何か描きませんか? マゴイさんが一緒にお絵かきしてくれたら、コボルドさんたち喜ぶと思いますよ」
マゴイは歌を止め、首を振る。
『……それはマゴイの仕事ではないから、しない……絵を描くのはワーカーの仕事……』
カチャ、リオンと一緒に大工道具の片づけをしていたクオンは、ふと疑問を覚え、尋ねる。
「歌うのは、マゴイの仕事と言うことでしょうか?」
マゴイは急に後ろめたげな表情になった。恥じらうように、言い訳するように言った。
『……いいえ……曲を作るのはマゴイの仕事だけど……歌うのは違う……シンガー・ワーカーの仕事……でも今いるワーカーたちの中には……それがいない……だから私が歌って彼らに歌を教えているの……シンガー・ワーカーが育つようになったら……やめないと……』
ルベーノが脇から口を挟む。
「別にやめずともいいだろう。歌いたければ歌えばいい。誰に害を及ぼすわけでもあるまい」
『……そういうわけにはいかない……シンガー・ワーカーがいるのに私が歌えば……シンガー・ワーカーの仕事を奪うことになる……』
マルカはマゴイにおける分業意識の強固さを思った。その考えをもう少し柔軟に出来れば、マゴイ本人にとってもいい結果を生むのではないだろうかとも。
「……ユニオンの今後を思いますと……もちろんいつもではないですけど……たまには階級にかかわらず市民みんなが、好きなことを好きなようにする機会があってもいいんじゃないでしょうか。このコボちゃんのハウスの製作みたいに。そのほうがマゴイさんも、もっと日々快適に人生を楽しめるようになるのではないでしょうか。例えば……」
マルカが適切な単語を探している間にソラスがそれを思いつき、口にする。
「無礼講的な祭日を作るとか」
そうこうしている間に塀の絵は書き終えられた。
最後の仕上げは表札だ。レイアに肩車してもらったコボちゃんは、自作のそれを入り口の上に打ち付ける。
「こぼの、いえ! いえ!」
遠吠え。仲間たちも合わせて遠吠え。
設計者であるクオンは図面どおりの出来栄えに、深い満足感を覚えた。
「木製のテント……と言う感じですね」
●〆はみんなで記念撮影
「お疲れー、さあ好きなだけ食いな!」
舞は屋外設置したテーブルに山菜おこわのおにぎり、並びにチーズナッツの皿を置いた。
ハンター、コボルドワーカー、コボちゃんたちはそれをおいしくいただく。
日はもう傾き、丘の向こうに落ちて行こうとしている。
リオンがカチャにそっと話しかけた。
「この後一緒に夕飯を食べに行きませんか?」
「あ、いいですよ」
そこでソラスが不意に「そうだ」と手を打ち席を立つ。皆に呼びかける。
「ついでですから、皆で記念撮影しませんか? マゴイさんたちも一緒に」
というわけで、急遽撮影会が行われることになった。
コボルドワーカーたちは数が多いので4列に分ける。前列はしゃがむ、2列目は中腰、3列目は立って、4列目はマゴイが作った物理結界のひな壇の上に乗って。その合間合間に、ハンター、コボちゃんとマリー、ジュアンとマゴイが入る。
全体的な出来栄えは――いみじくも舞が言った通りのものとなった。
「……なんかさー、クラス写真みたいになってない? これ」
●翌日の朝
カチャが起きてみれば、薄暗いどこかの店内であった……見た感じ飲み屋っぽい。
「……あれ、ここは……」
頭がこの上なくぐらぐらする。
「えーと……昨日エルさんと夕飯食べに行って……なんか実家から送られてきたっていうもの一緒に飲んで……それから……えーと、二次会……」
定まらない記憶を辿ろうと試みるところ、ガチャリとドアが開く音。
店の奥から頭一杯にカラーをつけた女が出てきた。
「あんたたち、やっと酔いが醒めたのかい。ならさっさと勘定払って出ていっとくれ」
……たち?
不審に思い傍らを見れば、そこには自分と大差ない状態のリオンが二日酔いに呻きつつ転がっている……諸肌脱ぎで。
「ち、ちょっと、どうしたんですその格――」
言いかけてカチャは、自分もジャージの前が全開状態であることに気づく。
「え?」
固まるところ、女が言った。
「どこでどんだけ飲んできたか知らないけど、うちに来たときにはどっちも大虎でさ、手がつけられないから閉店だけどほっといたんだよ」
そこでリオンがようやく頭を持ち上げてきた。腐った鰯のように潤んだ目で可憐に微笑する。
「同性だから、ちょっとした遊びですよね」
カチャは、こんな顔になった。
(°_°)
後で調べたところ、両者一線は越えていなかった。
悪酔いでグダグダになりグダグダなことをしていただけである。泥酔昏倒するまで。
しかしカチャは、婚約者にきっついお灸を据えられた。
「本日はよろしくお願いしますね」
エルバッハ・リオン(ka2434)の挨拶にマゴイは、いつもながらのもたもたした口調で答える。
『……よろしく……私は建設に直接関わらないけど……』
マルカ・アニチキン(ka2542)はコボルドワーカーたちと円陣を組み、声をかけ合っている。
「今日の為に学んできたDIY……!」
「「わおーう!」」
「風光明媚、娯楽豊富、快適至極に至る建築術をニューコボちゃんハウスに注がせていただきますっ……!」
「「わおーうー!」」
カチャは露出過剰なドレス姿のリオンを見て、言った。
「エルさん、今日の作業にその服は勿体ないんじゃないですか? 下手したら汚れちゃいますよ」
「ああ、大丈夫です。着替の作業着は持って来ていますから」
「あ、そうなんですか」
「元々、故郷にいた時の訓練で、戦闘の邪魔になる羞恥心は無くしたはずですが、最近は徐々に抑えられなくなってきているようなので、再訓練も兼ねて着てきました」
「いやその、別に羞恥心はあってもいいんじゃ……」
天竜寺 舞(ka0377)は親愛の情を込め、コボちゃんの頭をくしゃくしゃ撫でる。
「よーす、コボ、約束通り家を造りに来てやったよ。ところでさ、前の家の設計図があるはずだって妹から聞いたんだけどさ、それ、残ってる?」
「こぼのもちもの、ぜんぶ、いえと、いっしょに、ふっとんだ」
「そうかー。じゃあインテリアも一から作り直しだなー」
レイア・アローネ(ka4082)の目は、ぴこぴこ尻尾を振るコボちゃんに釘付けだ。
(これがコ、コボちゃん……か……トイプードルではなく……)
正直すごくかわいい。
そんな思いを胸に秘め冷静を装い、モフ頭を撫でる。
「お初にお目にかかる……よろしく……」
モコモコの手触りを堪能しつつ、改めて画用紙の絵を確認。
「さて……彼の希望は……と」
一瞥した後額に小汗をかき、クオン・サガラ(ka0018)とソラス(ka6581)にひそひそ耳打ちする。
「……これ、割と厳しくないか? 何故煙突? 我々本職ではないのだが……こんな絵だけでは何をどうしたらいいのかわからんぞ……」
「一応図面は作れると思います。私の専門は工学で、建築も一応齧ってますから。まあ……正直、異種族向けの家ってある意味規格外ですからね……どこまで出来るかはわかりませんが……」
「私もお手伝いをしますよ。図面を書くのにちょうどいい方眼紙、持ってきていますから」
「そ、そうか。いやしかし……これはちょっと……」
言いかけてレイアは振り向いた。視線を感じたのだ。
……コボちゃんがキラキラした円らな目で見ている。
「いえ、つくる、コボのいえ!」
「……くっ、乗り掛かった舟だ! 満足いくまで付き合おうじゃないか! 安心していいぞ、コボちゃ……コボルト!」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)は、依頼者であるジュアンたちに、依頼内容に基づく働きは出来ないので、依頼料を辞退しする旨を伝え、神霊樹を見上げるマゴイに話しかける。
彼は神霊樹とマゴイがある意味同カテゴリーに属す存在なのではなかろうかと疑っていた。どちらも情報を集め、自分の中に取り込もうとする。前者は大精霊のため、後者はユニオンのため。
そのように親和性が高いものが交わった場合、小さい方が大きい方に取り込まれ戻れなくなってしまうのではないか――――という懸念が、どうしても脳裏から拭えない。
「今、お前はもっとオートマトンのことを調査したいと言ったが。ハンターとして活動を始めたオートマトンは今日現在で88名いる。登録者数だけならオフィスで調査できるが、それ以上はハンターでなければ公開されない」
『……オートマトンの性能情報は……一般公開の対象ではないの……?』
「ああ、そうだ」
『……それは問題……リコール対象になったことがある機種かどうかということを……起動させる前に調べられないなんて……』
「……オートマトンにリコール問題とかあったのか?」
『……そこそこあったと記憶しているわね……廉価機種は特に……』
「……ま、まあとにかくだな、起動時に起動前の記憶があやふやになった者も多いと聞く。それでも話を聞きたいなら、オフィスに依頼を出した方が良いのではないか」
『……そう……では日を改めて……依頼をしようかしら……』
アクセスを取りやめる気になったようだ。
内心ほっとしつつルベーノは、続けた。
「建設は手伝わないと聞いたが、片付けはするのだろう? 簡易住宅を異次元に回収するのではないか?」
『……ええ……もちろん……』
「回収に当たり中の物を出すなり、手伝えることがあれば手伝うぞ?」
『……いえ……それはしなくても大丈夫よ……中の物はオフィス職員により……もう全部運び出されているから……』
●DIY開始
「ペリヴァロンで調べましたが、建設予定地に汚染は感知されませんでした。予定通り進めて大丈夫そうです」
「そうですか。ではまず基礎的なことを決めましょうか。円筒形と六角錘の組み合わせが構造的にベストでしょう。防火対策を考えたら、屋根もスレートや瓦にした方がいいとは思うのですが……」
「こぼ、わらがいい」
「クオンさん、野地板に耐火建材を使ってはどうでしょう? それなら藁葺き屋根のデメリットを押さえられるかも」
「そうですね。それならなんとか……ところでコボちゃん、トイレはどうします?」
「いらない、そとに、じぶんで、あなほって、つくる」
「分かりました。カビやシロアリについては、専用塗料を施しましょうか」
クオンとソラスそしてコボちゃんによる侃々諤々な話し合いの結果、新コボちゃんハウスの設計図が完成した。
建設作業、始まりである。
マルカは土台作りの手順をイラスト化し、コボルドワーカーたちに見せた。
「それではワーカーの皆さん、こういう感じに土を掘って、排水の溝を作って、そこに小石を敷いてください」
うんうん頷くワーカーたち。
そこに舞が身振り手振りを交え、追加注文する。
「端々に支柱を立てる穴も頼むよ。床下収納庫も作りたいから、その穴もあけてくれる?」
コボルドたちはそれを了解した。
早速仕事に取り掛かった。
たちまちのうち土台の基礎整備と支柱穴の掘削を終わらせ、地下収納庫作りに取り掛かる。
その間にマルカはウォーピックで岩石を砕き、割り栗石を作って行く。
カチャとリオンがそれを運び、溝に並べていく。
クオンは黙々と木材の切り出しを進めていく。レイアは屋根に葺く藁を束ねる。
そこにコボちゃんがやってきた。
「こぼも、なんかする」
子供をあやすような気持ちでレイアは、彼にも出来そうなことを探した。資材の切れ端とヤスリを渡してやる。
「じゃあ、それで表札を作ってくれ。なんといってもコボルト、これはお前の家だからな」
コボちゃんはいそいそとヤスリがけを始めた。
どおん、どおんと鈍い音が響いてくる。
リオン、マルカ、ソラスが交互にグラビティフォールを使い、基礎の地盤固めを始めたのである。
●簡易住宅撤去
結界に包まれた二棟の簡易住宅が、端から細かな正方形に分割され消えて行く。
『……転移完了……』
作業を終えたマゴイは少々疲れたのかふう息をついた。
ウォッチャーを呼び出し、その上に腰掛ける。
『……ウォッチャー……ワーカーたちのところへ移動して……』
【了解しました、マゴイ】
地面から10センチほど宙に浮いたウォッチャーは彼女を乗せゆっくり、滑るように動いて行く。
(ウォッチャーにはああいう使い方もあるのか)
新たな発見をした気持ちで、その後をぶらぶらついていくルベーノ。そこにジュアンがやってきた。
「ルベーノさん、先程おっしゃった報酬辞退の話ですけど――マリーと話し合った結果、それは出来ないということになりました。規定どおり受け取ってください」
「何故だ? 最初に言ったとおり、俺は工事には関わっておらんぞ」
「あのですね、マゴイさんを大人しくさせ不測の事態を防ぐこと自体が、工事の推進に役立ってるんです」
●完成まで後少し
ハンターとコボルドたちの奮闘によって、コボちゃんハウスが順調に組み立てられて行く。
外見はキノコと切り株をミックスした感じだ。円筒形の外壁、六角錘のワラ屋根。通気を考え四方に窓があき、煙突には雨避けの傘がついている。
家の中にはコボちゃんの体格に合った小さなテーブル、小さな椅子、小さな衣装ダンス、箱にしか見えない寝床。キルト仕立ての茸型腰掛はお客さん用。
すべての家具の端には安全対策として、革で出来たコーナークッションがついている。
そして庭には骨1トンが楽に入りそうな、大型地下収納庫。いつでも掘り返して遊べる畑。
コボちゃんはソラスから箒に乗せてもらってワラ屋根に乗り、その仕上がりを確かめた。
「こぼのいえ、いえ! りっぱ!」
そこで舞が、地上から声をかけた。
「降りてこーい、コボ! まだやることがあるぞ!」
彼女の手にはペンキ壷とハケ。
そう、まだ最後の仕上げがある。コボちゃんハウスの周囲にめぐらされた塀に、絵を描くのだ。
●コボちゃんハウス、完成。
舞は塀の内側に、緑の木々を描く。そうすればコボちゃんが窓から見たとき、森の中にいる気分になれるだろうと。コボルドたちの姿も描く。先に撮っておいた、1匹1匹の肖像写真を参考にして。そうすれば仲間がいるようで、寂しくないだろうと。
コボルドとコボちゃんは、絵の具をつけた手のひらを塀の外側にぺたぺた張り付け、肉球のお花畑を描く。
コボルドワーカーたちを見守るマゴイは――歌っていた。
ゆにおんしみんのあいことば
きょうもなかよしごあいさつ
あさはおはようございます
おひるにあったらこんにちは
よるにあったらこんばんは
ねむるまえにはおやすみなさい
どうやら新曲が出来たらしい。
「ゆにおんのうた」同様稚拙な歌詞だが、メロディがとてもきれいなので、聞いていて不快ではない。
マルカは塀に蔦模様を描いていた手を止め、彼女に話しかけた。
「マゴイさんも何か描きませんか? マゴイさんが一緒にお絵かきしてくれたら、コボルドさんたち喜ぶと思いますよ」
マゴイは歌を止め、首を振る。
『……それはマゴイの仕事ではないから、しない……絵を描くのはワーカーの仕事……』
カチャ、リオンと一緒に大工道具の片づけをしていたクオンは、ふと疑問を覚え、尋ねる。
「歌うのは、マゴイの仕事と言うことでしょうか?」
マゴイは急に後ろめたげな表情になった。恥じらうように、言い訳するように言った。
『……いいえ……曲を作るのはマゴイの仕事だけど……歌うのは違う……シンガー・ワーカーの仕事……でも今いるワーカーたちの中には……それがいない……だから私が歌って彼らに歌を教えているの……シンガー・ワーカーが育つようになったら……やめないと……』
ルベーノが脇から口を挟む。
「別にやめずともいいだろう。歌いたければ歌えばいい。誰に害を及ぼすわけでもあるまい」
『……そういうわけにはいかない……シンガー・ワーカーがいるのに私が歌えば……シンガー・ワーカーの仕事を奪うことになる……』
マルカはマゴイにおける分業意識の強固さを思った。その考えをもう少し柔軟に出来れば、マゴイ本人にとってもいい結果を生むのではないだろうかとも。
「……ユニオンの今後を思いますと……もちろんいつもではないですけど……たまには階級にかかわらず市民みんなが、好きなことを好きなようにする機会があってもいいんじゃないでしょうか。このコボちゃんのハウスの製作みたいに。そのほうがマゴイさんも、もっと日々快適に人生を楽しめるようになるのではないでしょうか。例えば……」
マルカが適切な単語を探している間にソラスがそれを思いつき、口にする。
「無礼講的な祭日を作るとか」
そうこうしている間に塀の絵は書き終えられた。
最後の仕上げは表札だ。レイアに肩車してもらったコボちゃんは、自作のそれを入り口の上に打ち付ける。
「こぼの、いえ! いえ!」
遠吠え。仲間たちも合わせて遠吠え。
設計者であるクオンは図面どおりの出来栄えに、深い満足感を覚えた。
「木製のテント……と言う感じですね」
●〆はみんなで記念撮影
「お疲れー、さあ好きなだけ食いな!」
舞は屋外設置したテーブルに山菜おこわのおにぎり、並びにチーズナッツの皿を置いた。
ハンター、コボルドワーカー、コボちゃんたちはそれをおいしくいただく。
日はもう傾き、丘の向こうに落ちて行こうとしている。
リオンがカチャにそっと話しかけた。
「この後一緒に夕飯を食べに行きませんか?」
「あ、いいですよ」
そこでソラスが不意に「そうだ」と手を打ち席を立つ。皆に呼びかける。
「ついでですから、皆で記念撮影しませんか? マゴイさんたちも一緒に」
というわけで、急遽撮影会が行われることになった。
コボルドワーカーたちは数が多いので4列に分ける。前列はしゃがむ、2列目は中腰、3列目は立って、4列目はマゴイが作った物理結界のひな壇の上に乗って。その合間合間に、ハンター、コボちゃんとマリー、ジュアンとマゴイが入る。
全体的な出来栄えは――いみじくも舞が言った通りのものとなった。
「……なんかさー、クラス写真みたいになってない? これ」
●翌日の朝
カチャが起きてみれば、薄暗いどこかの店内であった……見た感じ飲み屋っぽい。
「……あれ、ここは……」
頭がこの上なくぐらぐらする。
「えーと……昨日エルさんと夕飯食べに行って……なんか実家から送られてきたっていうもの一緒に飲んで……それから……えーと、二次会……」
定まらない記憶を辿ろうと試みるところ、ガチャリとドアが開く音。
店の奥から頭一杯にカラーをつけた女が出てきた。
「あんたたち、やっと酔いが醒めたのかい。ならさっさと勘定払って出ていっとくれ」
……たち?
不審に思い傍らを見れば、そこには自分と大差ない状態のリオンが二日酔いに呻きつつ転がっている……諸肌脱ぎで。
「ち、ちょっと、どうしたんですその格――」
言いかけてカチャは、自分もジャージの前が全開状態であることに気づく。
「え?」
固まるところ、女が言った。
「どこでどんだけ飲んできたか知らないけど、うちに来たときにはどっちも大虎でさ、手がつけられないから閉店だけどほっといたんだよ」
そこでリオンがようやく頭を持ち上げてきた。腐った鰯のように潤んだ目で可憐に微笑する。
「同性だから、ちょっとした遊びですよね」
カチャは、こんな顔になった。
(°_°)
後で調べたところ、両者一線は越えていなかった。
悪酔いでグダグダになりグダグダなことをしていただけである。泥酔昏倒するまで。
しかしカチャは、婚約者にきっついお灸を据えられた。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/06 15:15:57 |
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相談卓だよ 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/07/06 17:56:28 |