• 東幕

【東幕】泰山鳴動

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/07/05 12:00
完成日
2018/07/06 18:37

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 泰山龍鳴寺。
 詩天よりも更に西にあるエトファリカ連邦の加盟国である。
 国、と言っても実態は寺院に過ぎない。
 リアルブルーでいえば古い中国の風景がそこに残っている。
 
 外敵に襲われない限り、龍鳴寺は沈黙を守る。
 その代わり幕府は龍鳴寺を加盟国として保護する。

 古来よりの同盟関係により、双方は良好な関係を保ってきた。
 そんな龍鳴寺が幕府へ救援要請を出した事は、つい最近の事だ。

「僧正様。幕府の方をお連れしました」
「そうか」
 龍鳴寺に到着した一行を出迎えたのは、袈裟を着た一人の老人であった。
 白い髭に白い眉。
 頭頂部からは髪は失せていたが、外見から長命である事が窺える。
 僧正はゆっくりとした動きで一行の前へ歩み出た。
「お初にお目にかかる。武家四十八家門二十位、楠木家の家長である楠木香と申す」
 案内役の許文冠より一歩前へ歩み出たのは楠木香(kz0140)。
 文冠の依頼を受け、香は遙々龍鳴寺へとやってきた。
 苦しむ民を守るのも幕府の務め。
 香は文冠の願いを聞き入れてここまで来たのだ。
 そして、もう一人――。
「まだ生きておったか。頑固爺」
 水野 武徳(kz0196)は僧正から顔を背けた。
 不機嫌そうな武徳がここを訪れたのは、龍鳴寺が必要以上に幕府と仲良くされては詩天の立場が危ういと考えたからである。
 その様子を見ていた僧正は、予想外の言葉を口にした。
「頭はキレても相変わらずよのう、小僧」
「!?」
 まさかの言葉に香は驚いた。
 武徳の年齢は既に初老を迎えている。その武徳を前に小僧呼ばわり。
 どんな関係なのか。そして、僧正は一体――何歳なのか。
「まだそのような呼び名を……いつまで子供扱いなのだ」
「ふぉふぉふぉ。儂にとってはいつでも小僧よ。
 それより、楠木殿。よう来なすった」
「い、いえ。それより歪虚が現れたとか」
 香は早々に本題へ切り出した。
 文冠が幕府に救援を求めた理由。それは泰山龍鳴寺に歪虚が現れた為だ。
「左様。我が龍鳴寺自慢の武僧でも、捉えぬ事のできぬ相手でな。
 ……文冠」
「はい」
 僧正に名を呼ばれ、香の前へと歩み出た。
「敵は鉄の塊に乗り、異音を放ちながら逃走します。知らせを受けて現場へ急ぐも、敵は既に逃げた後なのです。巡回を行っているものの、巡回の隙をついて作物を荒らしたり、女子供を傷つけたり。時には火を噴くという情報もあるのですが……」
 文冠の報告。
 実は、それが龍鳴寺が把握している内容すべてなのだ。
 現場へ急行しても敵に逃げられた後なのだ。逃げ足が早いようなのだが、格闘士として優秀とされる武僧でも捉えられぬ相手とは――。
「そうか。これではどう対策を打てば良いか……」
 思案する香。
 情報の少なさに思い悩んでいる。
 僧正はその様子からそっと香に話し掛ける。
「楠木殿。ここは焦っても仕方ない。この山を見て回っては如何かな?」
「泰山を?」
「ここに来たばかりであれば、街の事も知らぬであろう。是非、見て回るがいい。……文冠」
「承知しました。楠木殿、参りましょう」
 文冠は香を先導する形で案内を申し出る。
 訳が分からない様子の香。
「ま、待て。許殿、今は観光をしている場合では……」
「僧正様の命です。まずは食事に参りましょう」
 半ば強引に香を連れていこうとする文冠。
 その様子を武徳は見守っている。
「小僧、お前は行かぬのか?」
「ふん、この街の事は忘れておらぬ。それより寺の行く末をもう少し真面目に考えたらどうだ?」
 語気を強める武徳。
 しかし、僧正は武徳の言葉を簡単に受け流した。
「時は流れても、御仏に仕えるの者は御仏の導きに従うだけよ」

リプレイ本文

「何故私達が食堂にて飯を食べている」
 楠木 香(kz0140)は、ハンターと共に囲んだ丸テーブルで呟く。
 龍鳴寺の武僧である許文冠に連れられた香は、街の視察を理由に連れ出されていた。
 本来であれば泰山で蠢く歪虚を倒すべく調査をしなければならないのだが、僧正に指示された文冠は実直に香を観光へと連れ出していたのだ。
「美味い酒に美味い肴。まずはこれが大事じゃろうて」
 蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)は、テーブルに並べられた前菜に箸の伸ばす。
 クリムゾンウェストでも独特な文化である箸は、東西交流祭を通して西側諸国にも知られ始めていた。ハンター内にもリアルブルーのアジア出身者を中心に箸の存在は広まっている。
 蜜鈴も事前に情報は聞いていたのだろう。器用に箸でクラゲの冷菜をつまみ上げる。
「暢気な事を申している場合か。泰山は歪虚に……」
「分かっておる。だからこうして食堂に赴いたであろう? 人が集まる所に情報ありじゃ」
「だったら、飯を食べずに聞き込みをすべきだろう」
「相変わらずじゃのう。まずは泰山の食文化を通してこの国の人々を知るべきじゃ。人を知らずに聞き込みをする訳にもいかぬじゃろう」
 蜜鈴は泰山で生産された蒸留酒に口を付ける。
 てっきり紹興酒が出るかと思われたが、アルコール度数の高い白酒の一種を嗜む者達が多いようだ。
「激辛と思っておったが、意外と辛くはないのう」
 その横ではミグ・ロマイヤー(ka0665)が挽肉と豆腐の炒め物に舌鼓を打っていた。
 リアルブルーで言えば四川系の流れを組んでいるかと思われたが、どうやら辛さだけではないようだ。
「泰山では辛い食事もありますが、どちらかと言えば辛さよりも食材と調理法を重要視しています。『泰山の民は何でも食す』、と言われるぐらいです」
 テーブルに並べられた食事を前に、文冠が簡単に泰山の食事を説明する。
 豆腐とピータンの前菜や子豚の丸焼き、五目焼きそばと多彩なのが特徴的だ。リアルブルーで言えば広州で見かけられる系統だろうか。
「話は分かったが、文冠は食わぬのか?」
 既に白酒に手を染める蜜鈴。
 実は文冠では酒はおろか、食事に一切手を付けていない。
 文冠は蜜鈴の言葉を右手で制した。
「私は御仏に仕える身。ここでの食事は取れません」
「いや、それよりもだ。食事よりも歪虚のついて調査すべきだ。食べている間に泰山は……」
「そう言い出すと思っての。既に聞き込みをしておいたのじゃ」
 熱り立つ香の横で、ミグはそっとメモを取り出した。
 詩天にも大分前に訪れただけのミグ。
 今回はゆっくり観光をするつもりだったのだが、香が横で喚くのだから致し方ない。
 その考えに従って、簡単にミグは食堂で聞き込みをしていたのだ。
 ――しかし。
「調べてはみたのじゃが、なんかおかしいのじゃ」
 ミグは首を傾げる。
 事前情報から歪虚はバイクを保持していると考えた。泰山の民はバイクを知らない為に明確な回答を得る事はできなかった。だが、ミグが引っかかったのはバイクとは別の事柄だ。
「おかしい? それは一体……」
「はっ?」
 香の言葉を遮るように密鈴の言葉が響く。
 焼きそばを一口食べた密鈴も早速、隣の席に座っている男へ話し掛けた。
 最近、不穏な事は身近にないか?
 その問いに対する答え――それは、密鈴が呆気に取られてしまうものであった。


「なんだって?」
 同時刻、鞍馬 真(ka5819)は広場にいた。
 ワーカーホリックと自他共に認める鞍馬は、香達と離れて街の地図を借り受けていた。
 その地図を元に広場で歪虚の目撃情報を集めようというのだ。
 今まで現れた場所や時間帯を調べ上げ、歪虚の情報を可能な限りかき集める。
 泰山の外部からきた存在だと服装から判断されたのだろう。最初は声をかけても避けられているばかりであったが、興味を持った子供達が鞍馬へ話し掛けてきた。
 それを切っ掛けに大人達も鞍馬へ情報をくれたのだが――。

「あいつら、オラの小麦畑を荒らすんだ」
「壁に落書きしくさって! 今度あったらただじゃおかねぇ!」
「この間、子供を連れ去ったと思ったら、翌日には帰ってきたんだ。子供に聞いたら『あっち向いてホイで勝ったら返して貰えるという遊戯で勝ったから解放された』っていうんだよ」

 鞍馬の元に集められた情報。
 それは今まで鞍馬が相手にしていた歪虚とは少々異なっていた。
 事件は確かに多い。一日で何件も事件を引き起こしている。しかし、その事件の内容は西方の依頼と比較しても軽犯罪ばかり。嫌がらせと言っても差し支えない部分だ。
「だが、これだけを一日で起こすのなら敵は一体じゃないな」
 鞍馬は事件が発生したという場所を地図上で印を付けながら呟いた。
 普通なら呆れる所だが、ワーカーホリックの鞍馬だ。
 下らない事件でも困っている人がいるならば解決しなければならない。事件に対して正面から挑み、事件の発生頻度が多い場所と時間帯を割り出そうとしている。
「事件は街の郊外が多いか。龍鳴寺から武僧が駆けつけても間に合わないなら、それも当然だろう。問題は、逃げようとする敵をどう捕縛するか、か」
 武僧達の情報では、敵が現れたとの一報を聞いて現地へ向かっても既に敵は立ち去った後だという。文冠が敵を見た事がないのは、これが理由だ。
 ならば、鞍馬が取るべき方策は――。
「賭けになるが、やるしかないか」


 観光する香達や事件を調査する鞍馬。
 彼らとはまた違った動きを見せるハンターもいた。

「なんじゃ、おぬしはここに残ったのか」
 座り込んでいた三条家軍師の水野 武徳(kz0196)は、穂積 智里(ka6819)を見上げた。
 観光にはいかず、一人龍鳴寺へ残った武徳。
 智里は武徳の護衛を申し出て、敢えて龍鳴寺に足を留めていた。
「食事も桃園もとても興味がありますけれど、こちらに誰も残らないのは拙いと思いました。依頼者の楠木さんいは密鈴さんが護衛に付いています。敵が神出鬼没なら、こちらにも誰かが残るべきだと思いました」
 残った理由を述べる智里。
 しかし、理由はそれだけではない。泰山の安定を守る為に訪れた楠木であるが、その裏で武徳が歪虚によって傷つけられたとあれば幕府と詩天の間も悪化すると考えたのだ。
 ただでさえ、武徳は幕府を信用していない。
 そこへ来て香と共に訪れた泰山で負傷したとなれば、武徳自身が騒ぎを大きくするのは明らかだ。
「神出鬼没ねぇ。皆、ここの坊主に良いように使われておるだけじゃ」
「使われている?」
「神出鬼没というなら、何故敵を誘き出さん? その方が簡単じゃ。だが、ここの堅物坊主はそれをしようとはせん」
 武徳は龍鳴寺へ入ってから終始不機嫌そうだ。
 それは香が傍らにいた時とは明らかに態度が異なる。
 いつも余裕がある武徳とは思えないが――。
「ふふ、小僧は人を陥れるのが得意だからのう。我らは御仏に仕える身。泰山に仇為す者であっても、正面から正々堂々と向き合うべきじゃ」
 武徳の横にいた僧正が余裕の態度を見せる。
 どうやら敵を策で翻弄する武徳に対して、泰山の武僧はあくまでも堂々と正面から戦う事を是としているようだ。
「通っただけですけれど、龍鳴寺の城下町は活気があって悪く無さそうに思えました。衣食住足りてまだ反目が残るなら、それに足るだけの何かが過去にあったか、領主や精神的な支柱の思惑でそういう施策がなされているかということになります。
 ところで、何故龍鳴寺は幕府と同じ盟約を詩天と結べないのでしょうか」
 街の印象を述べながら、智里は抱いた疑問を口にした。
 幕府と泰山が庇護の関係にあるなら、詩天とも結べないのか。幕府よりも詩天の方が距離的にも近い。それなら詩天とも結べば万全だ。
 智里の疑問を聞いた僧正は思わず話題出した。
「ほっほっほ。面白い事を考える娘さんだ。
 じゃが、それはこの龍鳴寺には不要じゃ。贅沢が過ぎる」
「贅沢?」
「龍鳴寺は外部との干渉を断ってきた。外的には毅然と立ち向かうが、それ以上の関与は好まぬのよ。幕府に守ってもらっているのも過去の契約を盲目的に引き摺っているに過ぎん」
 武徳は相変わらず棘のある言い方をしている。
 泰山は確かに幕府との盟約を持っている。しかし、それは泰山自身では手に負えない場合であり、極力泰山が自己解決する事が基本なのだ。
 必要以上は臨まない。御仏に仕えるという言い分はその考え方にも表れているようだ。
 そこへ付け加えるように武徳が言葉を付け足した。
「じゃが、そうも言っておれぬがな」
「どういう意味じゃ?」
「幕府が帝の妃に詩天様を担ぎ出そうとしおった。今は保留になっておるがな」
「……! そうか。それでおぬしはこの寺の様子を窺いに来たか」
 眉で隠れた僧正の目が一瞬だけ大きく見開いた。
 その言葉で僧正は武徳が訪れた真意を察したようだ。
「時代は流れる。この龍鳴寺も、その流れには抗えぬであろうな」
 僧正はぽつりと呟く。
 智里は、僧正がどこか寂しげに感じられた。


「何、妾と勝負できぬと申すか!」
 目下観光に精を出す香一行は、桃園を経て修行場へ訪れていた。
 桃園では桃の食べ比べに興じ、広場で子供達と玩具で遊び倒したミグ。十分過ぎる程、泰山の街を満喫していた。
 同時に密鈴も手合わせを楽しみにしていたのだが、武僧達は何故か密鈴と目を合わせようとしない。
「密鈴殿、気分を害されたら申し訳ない。その……着物の間から見える足が、我らには刺激が強すぎるのです」
 文冠も顔を背けながら呟いた。
 そういえば、文冠も女性に慣れていない為、女性と少し距離を置いていた事を思い出した。どうやら龍鳴寺の武僧は寺の方針もあって女性との接し方に慣れていないようだ。
「ふむ、どうから御仏に仕えるが故の文化じゃのう」
 桃園から持ち込んだ桃に舌鼓を打つミグ。
 ちょうど桃の時期らしく、ミグは調子に乗って何個もの桃を食していた。密がたっぷりの甘い桃は、冷やして食べると最高に美味そうだ。
「困ったのう。香も武僧の実力は気になっておるじゃろうし」
「いや、私は早く歪虚の捜索を……」
 困った素振りを見せるは、煙管を加えて紫煙を吐いた。
 後ろで香が歪虚の捜索を行うよう言い続けているが、未だ観光する気分にはなれないようだ。
「では、密鈴殿。私がお相手するのはどうでしょう?」
「構わぬが、女性と侮れば痛い目を見るのは文冠ぞ」
 敢えて鼻で笑う密鈴。
 日々鍛錬を積み技を研鑽する武僧達。
 一方、密鈴も度重なる歪虚との戦いで腕を磨いてきた。
 拳を握り構える文冠。
 密鈴もウインドガストを発動。その身に風を宿した。
「おお、始まるか。楽しみじゃ」
 桃を食べ終わったミグも二人の戦いをワクワクした表情で見守る。
 先に動いたのは――文冠だった。
「はっ!」
 踏み込みと同時に右の拳撃。
 密鈴は体を捻ってその攻撃を回避する。
「妾は術士じゃが、その程度なら躱す事は容易じゃ。この程度では無かろう?」
「……はいっ!」
 文冠は体を回転させて左肘を振り抜いた。
 予想よりも遙かに早い回転で生み出された一撃。
 密鈴は鉄扇「北斗」で受け止める。
 文冠が放った一撃が北斗を通して密鈴の手に伝わってくる。
「良き一撃じゃ。だが、当たらねばどうという事は無い」
「なら……!」
 そう言い掛けた文冠であったが、外から走り込んできた武僧の言葉で掻き消されてしまった。
「歪虚だっ! 歪虚が出たぞ!」


 鞍馬の予想は的中していた。
 街の郊外で目撃が多い場所を選んで身を潜めていたのだ。
 その甲斐もあり、逃走していた歪虚を追い詰める事ができた。
「くそったれ! 待ち伏せかよ。ここじゃ待ち伏せはねぇってアニキが言ってたのに」
 鞍馬の前にいるのは泰山では奇妙過ぎる出で立ちだ。
 負のマテリアルを放つ漆黒の歪虚バイクも異様だが、それに跨がる歪虚もおかしい。
 モヒカンに肩パッド。袖のない黒革のジャケットを素肌の上から着用している。
 だが、ワーカーホリックの鞍馬には別の観点が気になっているようだ。
「鍛えられた筋肉だ。侮れぬ相手か?」
 敵の外見よりも冷静に敵の戦力を分析している。
 まるで何処かの世紀末な漫画から抜け出したような敵だが、鞍馬は容赦する気配はなかった。
「うるせぇ! これでも喰らえ!」
 歪虚は歪虚バイクを反転させると同時に、マフラから大きな火柱を放った。
 熱せられた空気が鞍馬へと向けられる。
 しかし、鞍馬は落ち着いた様子で横へ回避。
 フォトンカード「セロ」にコンボカードを使い、蝶に似た光弾をモヒカンに向けて飛ばした。
「……がっ!?」
 蝶が顔面にヒットしたモヒカンは無様に地面へと倒れ込んだ。
 どうやら歪虚バイクの機動力はそこそこあるようだが、単体ではそれ程強い相手ではないようだ。
 モヒカンは鼻を押さえながら、ゆっくりと立ち上がる。
「てめぇ。俺が『嵐愚』と知ってて手を出したのか?」
「なんだそれは?」
「嵐愚を知らねぇのか!? この界隈を牛耳っている俺達嵐愚をよぉ」
 嵐愚。
 モヒカン達が集団で行動しているのは明らかだ。周囲に迷惑をかけては歪虚バイクで逃げていたのだろう。やっている事はショボいが歪虚である以上、見逃す訳にはいかない。
「なるほど。その嵐愚にいるアニキとやらが首領か?」
「な!? てめぇ、どうしてアニキを知っている?」
「……さっき、自分でアニキと言っていただろう」
「あっ」
 どうやらモヒカンは頭の方も残念なようだ。
 モヒカンは腰に付けていた釘付の棍棒を取り出した。
「知られたからには生かしてはおけねぇ……死ねぇ!」
 走り寄ってくるモヒカン。
 胡蝶符の一撃で鞍馬の強さを理解できていなかったのだろう。
 鞍馬はため息をついた後、モヒカンとすれ違う一瞬に魔導剣「カオスウィース」を叩き込んだ。
 刃はモヒカンの体を一撃で捉えた。
「……あ、あべちっ!」
 謎の一言を残して地面へ倒れ込むモヒカン。
 そこへ歪虚の情報を聞きつけた香達が現れる。
「敵はどこだ!」
「終わった。そこで倒れている」
 カオスウィースを鞘へ収める鞍馬。
 倒れ込むモヒカンと歪虚バイクを何度も見るミグ。
 その口から、敵の姿を端的に表現した言葉が告げられる。
「やっぱり話を聞いた通り、暴走族ではないか」


 ハンター達は一度龍鳴寺へ戻り、歪虚を倒した旨を報告した。
「嵐愚か。また面倒な奴らじゃのう」
「じゃが、連れ去られた者もおる。早急に調べて敵の根城を掴まねばならぬ」
 ため息をつく武徳の横で僧正は武僧へ調査を命じている。
 敵は一人ではなく、複数で活動している時点でも厄介だ。
 できるなら、根城で一網打尽にしたい所だ。

 ハンターのおかげで、泰山に救う歪虚の姿が明確になった。
 あとは――嵐愚と対峙するだけだ。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 8
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】異文化交流
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
エルフ|22才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/07/02 06:52:55
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/07/02 06:52:27