ゲスト
(ka0000)
暑い砂浜の紅サソリ
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2018/07/19 09:00
- 完成日
- 2018/07/26 22:25
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
夏の到来。
クリムゾンウェストにも暑い夏が訪れ、人々は汗を流しながらも日々の生活を送っている。
ここ、『港町』ガンナ・エントラータにも夏が到来している。
他の地域と比べれば、海に面したこの地は幾分か過ごしやすくはあるかもしれない。
何せ、仕事が終われば、一っ走り海へと飛び込む事のできる環境があるのだから。
人によっては、服のまま海へと飛び込む者だっている。
とはいえ、実際に服のまま飛び込むと、水を吸った服は異常なまでに重く感じるので、基本は水着を着用の上での水泳を推奨したいところだ。
――それはさておき。
さて、海岸には多数の人々が涼を求めて、あるいはちょっとした息抜きにと地元民が遊びに来ている。
人によっては、王都などからちょっとした旅ついでにと訪れる者もいたようだ。
砂浜の管理人も人々が訪れれば、海の家が繁盛して大いに儲かるわけなのだが……。
そうは問屋が卸さないと砂の中から現れる、紅い影。
砂の中にいつの間にか住み着いていた、サソリの群れだった。
「サソリだ!」
人々から上がる叫び声。
どうやら、雑魔となってはいない様子だが、サソリは元々尻尾で相手を素早く突き、体内に毒を流し込んでくる危険な生物だ。
しかも、その直後、大きな個体が2体現われる。
人間よりも少し大きな体長を持つサソリは素早く尻尾を振るい、周囲の人々へと叩きつけてきた。
「早く、避難を!」
監視員として控えていたハンターがその相手をしつつ、浜辺を訪れていた人々を退避させていく。
ハンターも1人だった為、小型サイズを数体切り伏せるだけで精一杯。
人々が全員避難した後にハンター自身も浜辺から出て、援軍を求めに港町へと向かっていくのだった。
『王都』イルダーナのハンターズソサエティ。
「皆さんー、海で泳ぎたくはありませんかー?」
そこではカウンターの中から、糸目のシェリーが間延びした口調でハンター達へと依頼を斡旋していた。
うだるような暑さの中であれば、爽快感を求めて海に行きたくなるのも無理はない。
ただ、そこは依頼である為、海で遊ぶ前にしなければならないことがある。
「砂の中に住み着いていたサソリがー、砂浜へと遊びに来た客へと襲い掛かってくるようですー」
現状は、聖堂戦士団の小隊長と副隊長の2人が監視を行い、人払いとサソリが砂浜から出ないようにと監視してくれている状況だ。
確認されているサソリは、全長2mある敵が2体と、通常サイズのサソリが10体ほど。
そいつらは敵の接近を察知すると砂の中から現われ、いずれも長い尾を使って相手を狙い、相手に毒を注入して弱らせようとしてくる。
通常サイズは、ハンターなら丁寧に対処すれば何とかなる相手だが、2mある個体は別。
そいつらの尾は的確に相手の胸を狙い、一突きで相手の命を奪いかねない威力を持つという。
「ハンターとはいえー、まともに食らうのは非常に危険ですからーご注意くださいねー」
また、砂浜は足場が安定しない。直接砂浜を走っての移動は足が取られることもあるので注意したい。
「以上ですねー、ご注意くださいねー」
もちろん、依頼後は存分に海で遊ぶことができると、シェリーはにこやかに告げる。
海で泳ぐのもよし、砂浜で砂遊びしても、スイカ割りをしてもいい。海の家で何か食べて腹ごしらえするのもいいだろう。
「それではー、皆さんにご武運をー」
シェリーは小さく手を振り、依頼へと向かうハンター達を送り出すのだった。
夏の到来。
クリムゾンウェストにも暑い夏が訪れ、人々は汗を流しながらも日々の生活を送っている。
ここ、『港町』ガンナ・エントラータにも夏が到来している。
他の地域と比べれば、海に面したこの地は幾分か過ごしやすくはあるかもしれない。
何せ、仕事が終われば、一っ走り海へと飛び込む事のできる環境があるのだから。
人によっては、服のまま海へと飛び込む者だっている。
とはいえ、実際に服のまま飛び込むと、水を吸った服は異常なまでに重く感じるので、基本は水着を着用の上での水泳を推奨したいところだ。
――それはさておき。
さて、海岸には多数の人々が涼を求めて、あるいはちょっとした息抜きにと地元民が遊びに来ている。
人によっては、王都などからちょっとした旅ついでにと訪れる者もいたようだ。
砂浜の管理人も人々が訪れれば、海の家が繁盛して大いに儲かるわけなのだが……。
そうは問屋が卸さないと砂の中から現れる、紅い影。
砂の中にいつの間にか住み着いていた、サソリの群れだった。
「サソリだ!」
人々から上がる叫び声。
どうやら、雑魔となってはいない様子だが、サソリは元々尻尾で相手を素早く突き、体内に毒を流し込んでくる危険な生物だ。
しかも、その直後、大きな個体が2体現われる。
人間よりも少し大きな体長を持つサソリは素早く尻尾を振るい、周囲の人々へと叩きつけてきた。
「早く、避難を!」
監視員として控えていたハンターがその相手をしつつ、浜辺を訪れていた人々を退避させていく。
ハンターも1人だった為、小型サイズを数体切り伏せるだけで精一杯。
人々が全員避難した後にハンター自身も浜辺から出て、援軍を求めに港町へと向かっていくのだった。
『王都』イルダーナのハンターズソサエティ。
「皆さんー、海で泳ぎたくはありませんかー?」
そこではカウンターの中から、糸目のシェリーが間延びした口調でハンター達へと依頼を斡旋していた。
うだるような暑さの中であれば、爽快感を求めて海に行きたくなるのも無理はない。
ただ、そこは依頼である為、海で遊ぶ前にしなければならないことがある。
「砂の中に住み着いていたサソリがー、砂浜へと遊びに来た客へと襲い掛かってくるようですー」
現状は、聖堂戦士団の小隊長と副隊長の2人が監視を行い、人払いとサソリが砂浜から出ないようにと監視してくれている状況だ。
確認されているサソリは、全長2mある敵が2体と、通常サイズのサソリが10体ほど。
そいつらは敵の接近を察知すると砂の中から現われ、いずれも長い尾を使って相手を狙い、相手に毒を注入して弱らせようとしてくる。
通常サイズは、ハンターなら丁寧に対処すれば何とかなる相手だが、2mある個体は別。
そいつらの尾は的確に相手の胸を狙い、一突きで相手の命を奪いかねない威力を持つという。
「ハンターとはいえー、まともに食らうのは非常に危険ですからーご注意くださいねー」
また、砂浜は足場が安定しない。直接砂浜を走っての移動は足が取られることもあるので注意したい。
「以上ですねー、ご注意くださいねー」
もちろん、依頼後は存分に海で遊ぶことができると、シェリーはにこやかに告げる。
海で泳ぐのもよし、砂浜で砂遊びしても、スイカ割りをしてもいい。海の家で何か食べて腹ごしらえするのもいいだろう。
「それではー、皆さんにご武運をー」
シェリーは小さく手を振り、依頼へと向かうハンター達を送り出すのだった。
リプレイ本文
●
グラズヘイム王国南部、港町「ガンナ・エントラータ」周辺の海岸。
メンバー達は依頼を受け、色々と準備をしてから問題の砂浜へと足を運ぶ。
「夏だ! 海だ! 可愛い女の子の水着だー!」
かく言うアメリア・フォーサイス(ka4111)も金髪で美人な女性のはずなのだが、それはそれとして。
「水辺で寛ぐハリウッド女優ばりに、かっこいいお姉さんを目指して!」
ドレス「イルマタル」を着用し、海仕様装備としていたアメリアに死角は無い。
久しぶりの海を、アメリアは満喫する気満々である。
当然、依頼であるからには、障害が立ち塞がっているわけだが……。
「お久しぶりです」
「はい、ごぶさたしております」
南護 炎(ka6651)は、すでに砂浜を見張っていた聖堂戦士団のファリーナ・リッジウェイ (kz0182)と、セリアに挨拶を交わす。
彼はそのまま仲間達を含め、作戦の打ち合わせを始めていた。
「砂浜の平和を守る為、紅サソリ軍団をやっつける冒険だ!」
意気揚々と叫ぶ、女性のような外見の時音 ざくろ(ka1250) 。
「砂地とはいえ、砂浜にサソリが出るとは……」
信心深いドワーフの聖導士、ロニ・カルディス(ka0551) は高台から砂浜を見下ろす。
見た目には何もないように見える砂浜だが、何かが砂の中を動いているのが小さく分かる。
「夏の砂浜といえば人々の憩いの場、サソリに居座られるわけにはいかないもん……」
海水浴の為にと、ざくろも意気込んでいる様子だ。
「雑魔でないサソリということは、食べれる感じでしょうか」
倒した残骸が残ることを指摘するエルフの符術師、夜桜 奏音(ka5754)は、本気で後で食べるつもりらしい。
「サソリがいるという事は、捕食する側もいる筈なのだ」
わくわくとしているサレン・R・シキモリ(ka0850)はサソリを狙う動物がいないかと興味津々。
暑くとも黒服で頑張ろうと、サレンは依頼に臨んでいた。
その間に、アメリアが砂浜に入らないぎりぎりの場所にビーチパラソルを設置する。
パラソルの下にビーチチェアと簡易机を借り、セッティング。
そして、ブルーハワイのカクテルを用意し、ライフルを机に立てかけたままビーチチェアに寝そべったアメリアは、キリッとポーズ!!
「日焼け止めは、事前に塗るのを忘れずに!!」
「……まぁ、原因はともかく、退治せねばなるまいな」
それぞれ、やりたいことがありそうなメンバー達だが、ともあれ目的を果たそうと、ロニは仲間と共に作戦を開始するのである。
●
さて、ハンター達は砂浜に踏み出すわけだが……。
「まずは、砂中からサソリをおびき出したいな」
ロニの言葉に仲間内から異論は出ない。
それもあって、彼は早速砂に動きがある場所へと石を投げつけ、サソリが地上に出てくるよう誘導する。
「ダメ元なのだが、やってみる価値はある」
同時に、サレンは缶ビールを投げ飛ばす。
杭のような足場代わりと考えて彼は4本ほど砂の上に投げていたようだが、暑さの影響もあって破裂してしまう缶も……。
それもあって、サレンは缶ビールを杭として使うことを諦め、柴犬ナツに吼えてもらってサソリの誘い出しにトライしてみる。
「着装マテリアルアーマー、魔力フル収束! 行くよっ」
マテリアルアーマーを発動させたざくろは、ジェットブーツでホバリングしながら砂浜へと踏み出す。
ざくろのブーツはマテリアル噴射を起こし、たくさんの砂を巻き上げた。
それによって、砂から1体、また1体と現れる真っ赤な体躯のサソリ達。
さすがに、砂の中でじっとしていられなくなったのだろう。
そして、砂埃を上げて現れる人間より大きな体躯をした大サソリ達が長い尾をもたげるようにして外敵を駆除しようとする。
特に小さなサソリがあちらこちらへと散開してしまうと、倒すのが厄介だ。
「後は散らばる前に、一網打尽にしよう」
ロニは仲間達へと範囲攻撃を交えた討伐をと呼びかけ、砂浜へと駆け出す。
「観光客や海の家の皆さんに迷惑をかけるサソリは、速やかに駆除する」
すると、炎も声を荒げ、聖罰刃「ターミナー・レイ」の刃を抜いてサソリの駆除へと砂浜へと飛び出していったのだった。
●
現われた紅サソリは、通常サイズが10体、人間大ほどに巨大化したサイズが2体で計12体。
そんな敵を前に、砂浜をジェットブーツで疾走するざくろは一直線に大サソリ目掛けて突撃していく。
敵の大きなはさみをうまく避けつつ、彼はマテリアルを集中させて手前へと扇状に発した炎の破壊エネルギーを敵陣に浴びせかけていた。
もう1体には、サレンが敵のはさみと尻尾を切り落とすべく迫る。それらの部位は、危険な攻撃を仕掛ける場所なのだ。
「この大きさは……(餌にはならない。すなわち)邪魔なだけ。恨みはないが、さっさと消えて貰うのだ」
あくまで、サソリを捕食する小動物にしか興味がないサレンは、ノーモーションでナイフを操る。
斬りかかる対象は、近い位置にあるはさみ。
ただ、相手もうまく2本のはさみを使って、彼のナイフを防いでいた。
奏音は先ほどのロニの言葉もあり、小サソリを巻き込むようにして大サソリ目掛けて魔法で狙う。
詠唱の後に放った一撃は、白竜のドラゴンブレスを再現したもの。
背中に虹色の翼を広げた奏音は光を放射し、サソリどもを灼き払おうとする。
「数が多い小サソリをさくっと倒しましょう」
応じたアメリアはできるだけ砂浜に入らないようにし、足場において不利な仲間の援護をすべく、新式魔導銃「応報せよアルコル」での狙撃でサソリ複数体を狙って制圧射撃を浴びせかける。
「観光客や海の家の皆さんに迷惑をかけるサソリめ、速やかに駆除する」
炎は率先して前に飛び出し、サソリの数を減らしにかかっていく。
「新しいスキルを手に入れたからな、早速試してみようか」
大上段に構えた刃を炎は大きく振るい、桜吹雪の幻影を起こす。
それに耐えたサソリが振るってくる尾を、炎はしっかりとパリィグローブ「ディスターブ」で受け止めようとしていた。
仲間に纏めてサソリの撃破を呼びかけていたロニも、可能な限り周辺設備に悪影響が及ばぬよう気遣う。
その上で、サソリが纏まる部分目掛け、一度の集中の後に魔法で闇の刃を無数構成し、サソリどもを串刺しにした。
それもあってサソリ2体が完全に動きを止め、尾をへたらせるようにして砂の上に倒れていく。
小サソリには、ファリーナ、セリアの聖堂戦士団コンビも仕掛け、前に出るファリーナは刀で斬りかかり、セリアが後から弓で友人を援護していたようだ。
ロニはさらにフリーとなっているサソリがいないか戦場を見定め、時に光の防御壁を展開するなどして仲間の支援にも当たっていくのである。
サソリといえば尻尾の毒がかなり怖いイメージが強いものの、ハンターとしてみれば一般的な個体の枠を出ない相手。
冷静に立ち回れば、さほど大きな被害なく撃退はできそうだとハンター達も判断していた。
ただ、大型化したサソリはそういうわけにも行かない。
サレンは身体にマテリアルを潤滑させ、素早い動きで相手を攻め立てる。
大サソリも見た目に似合わぬ素早い動きで尻尾を薙ぎ払い、サレンだけでなく近場で小サソリを攻めるメンバーまでも攻撃してくる。
尻尾の威力はそれなりといったところ。
ただ、その尖端の毒の尾をまともに喰らえば、ただではすまないだろう。
「毒のシャワーなんてシャレにならない。気を付けねばッ」
サレンは思ったより硬いはさみから相手の尻尾へと狙いを変え、その切り落としを目指していく。
ざくろは手にする魔導符剣「インストーラー」とは別に、携帯していた禍炎剣とルーンソードにマテリアルを纏わせ、魔導符剣での攻撃に合わせて浮遊、射出して攻撃支援する。
「必殺機導式3刀流!」
3つの刃に大サソリも翻弄されてはいたが、はさみで砂浜をホバリングして動くざくろを捕らえようと躍起になっていたようだ。
その間に、小サソリの討伐も進んで。
炎の刃が2体の体を寸断し、アメリアの銃弾が1体を射抜く。
さらに、ファリーナが刃を煌かせてサソリを切り伏せようとした直後、フォトンバインダー「フロックス」を操る奏音が5体のサソリを狙って符を宙へと投げ飛ばし、稲妻と化して敵目掛けてそれぞれ落としていく。
奏音の稲妻によって3体が射抜かれ、沈黙していた。
再度、ロニは作り出した闇の刃で残りのサソリを狙い、2体を串刺しにしてその動きを止める。
小サソリの全滅を確認したメンバー達が次に攻め立てるは、ざくろが相手にしていた大サソリだ。
奏恩が白龍のブレスを浴びせかけて相手の混乱を誘えば、滅茶苦茶に振るうそいつの尻尾をざくろは宙に浮かす刃で防ぐ。
その一瞬の隙をざくろは見逃さず、魔導符剣「インストーラー」にマテリアルを注ぎ込む。
その刃を盾に振り下ろしつつ、宙を飛ぶ禍炎剣を横薙ぎに飛ばして。
「超重操牙クロスクラッシュ!!」
十字の斬撃を浴びた大サソリは頭を砕かれ、砂浜へと崩れ落ちていった。
別の大サソリも、しぶとく砂浜を暴れ続けている。
倒すべき敵がそいつだけとなったことで、抑えに当たり続けていたサレンもロニのフルリカバリーや、セリアのヒーリングスフィアによる支援を受け、かなり楽になった様子。
敵との距離を取り続けるアメリアが大サソリに満足な動きをさせぬようにと、威嚇射撃を続けていた。
相手が尻尾を振り上げたタイミング。
アメリアはその尻尾を狙い、妨害の為にと弾丸でその尾を撃ち抜く。
そこを目掛け、サレンは素早くナイフの刃を振り払い、敵の尾を切り落としてしまう。
痛みに悶える大サソリは2つのはさみを激しく操り、鋭い刃と刃が擦れる音を立てて正面の炎へと襲い掛かった。
「俺の制御不能な覚悟を見せてやる!!」
相手へと猛然と攻め行く炎はそのはさみの斬撃で血を飛ばしながら、精神を研ぎ澄ます。
その上で肉体を加速させた炎は相手の懐から、聖罰刃「ターミナー・レイ」の刃でその胴体を切り裂いていく。
一閃の元に絶命した大サソリはなすすべなく、砂浜の上に落ちていったのだった。
●
サソリを退治し、程なくして砂浜の管理人が人を連れてやってきて、手早く浜の掃除を始める。
泳ぎたいと考えていた人々もすでにいたらしく、砂浜は徐々に人が増えていく。
海の家も営業を開始し、炎がそこでかき氷の販売を手伝いしていた。
「さぁ、かき氷はいかがですか!」
生真面目な彼は大声で、呼び込みを始める。
それを受けて集まる人垣の中で、注文していたざくろも早速かき氷を口にしていく。
彼はその後、事前に言っていたとおりに海で楽しく泳ぎ始めていたようだ。
その海や砂浜の監視として、聖堂戦士団のファリーナとセリアが当たる。
アメリアは再び会うかもしれないからと、更なる事件が起こるのを未然に防ごうと活動するその2人と挨拶を交わす。
その後、彼女は1人、ゆっくりと海面に浮かべた浮き輪に乗ってぷかぷかと波に揺られていた。
再度砂浜へと目を向ければ、ロニは海の家でパラソルやビーチチェアを借り、ゆっくりとそのビーチチェアに寝そべって寛ぐ。
「……偶には、昼間から酒を飲んでもバチは当たるまい」
ロニは心行くまで、骨休めするつもりのようだ。
思い思いに行動するメンバー達だが、奏音は倒したサソリを焼いていた。
「とりあえず、食べれるようにはしましたが……」
そこで、彼女は監視に当たるファリーナ、セリアの2人へと毒見……もとい、試食をしてもらう。
「正直、微妙な感がありますね……」
よい感想は得られなかったものの、食べる分には問題ないと判断した奏音はそれを口にする。
部位によっては香ばしく食べられはしたものの、正直、彼女もまた満足言えぬ味ではあったらしい。
サレンはというと、サソリを捕食する生物がいないかと、小サソリの死骸を集め餌にしつつ周囲を真剣に探す。
炎天下ではあったが、暑さ対策にとサレンは帽子に氷らしきものを隠していたのか、さほど暑さを気にしていた様子はなかったようだ。
「フェネック、オオトカゲ、ミーアキャット……」
その姿があまりに滑稽に見えてしまい、遊びに来ていた客の視線を集めていたが、本人は全く気にすることなく。
「むぅ……」
なかなか見つけられずにしょんぼりしていたサレンだったが、パラソルで体育座りしていたところで、ぴょこっと物陰から顔を出したイタチの姿が。
「ふおぉぉ、いたのだ! 凄くかわいいのだっ!」
それを発見したサレンは目を輝かせ、砂浜へと飛び出してうずくまり、そのイタチをじっくりと観察する。
またも、その光景に人々の注目を浴びる中、砂浜へと上がってきたアメリアがそれに気付く。
アメリアはカメラを用意し、イタチと戯れるサレンの姿を撮影していたのだった。
グラズヘイム王国南部、港町「ガンナ・エントラータ」周辺の海岸。
メンバー達は依頼を受け、色々と準備をしてから問題の砂浜へと足を運ぶ。
「夏だ! 海だ! 可愛い女の子の水着だー!」
かく言うアメリア・フォーサイス(ka4111)も金髪で美人な女性のはずなのだが、それはそれとして。
「水辺で寛ぐハリウッド女優ばりに、かっこいいお姉さんを目指して!」
ドレス「イルマタル」を着用し、海仕様装備としていたアメリアに死角は無い。
久しぶりの海を、アメリアは満喫する気満々である。
当然、依頼であるからには、障害が立ち塞がっているわけだが……。
「お久しぶりです」
「はい、ごぶさたしております」
南護 炎(ka6651)は、すでに砂浜を見張っていた聖堂戦士団のファリーナ・リッジウェイ (kz0182)と、セリアに挨拶を交わす。
彼はそのまま仲間達を含め、作戦の打ち合わせを始めていた。
「砂浜の平和を守る為、紅サソリ軍団をやっつける冒険だ!」
意気揚々と叫ぶ、女性のような外見の時音 ざくろ(ka1250) 。
「砂地とはいえ、砂浜にサソリが出るとは……」
信心深いドワーフの聖導士、ロニ・カルディス(ka0551) は高台から砂浜を見下ろす。
見た目には何もないように見える砂浜だが、何かが砂の中を動いているのが小さく分かる。
「夏の砂浜といえば人々の憩いの場、サソリに居座られるわけにはいかないもん……」
海水浴の為にと、ざくろも意気込んでいる様子だ。
「雑魔でないサソリということは、食べれる感じでしょうか」
倒した残骸が残ることを指摘するエルフの符術師、夜桜 奏音(ka5754)は、本気で後で食べるつもりらしい。
「サソリがいるという事は、捕食する側もいる筈なのだ」
わくわくとしているサレン・R・シキモリ(ka0850)はサソリを狙う動物がいないかと興味津々。
暑くとも黒服で頑張ろうと、サレンは依頼に臨んでいた。
その間に、アメリアが砂浜に入らないぎりぎりの場所にビーチパラソルを設置する。
パラソルの下にビーチチェアと簡易机を借り、セッティング。
そして、ブルーハワイのカクテルを用意し、ライフルを机に立てかけたままビーチチェアに寝そべったアメリアは、キリッとポーズ!!
「日焼け止めは、事前に塗るのを忘れずに!!」
「……まぁ、原因はともかく、退治せねばなるまいな」
それぞれ、やりたいことがありそうなメンバー達だが、ともあれ目的を果たそうと、ロニは仲間と共に作戦を開始するのである。
●
さて、ハンター達は砂浜に踏み出すわけだが……。
「まずは、砂中からサソリをおびき出したいな」
ロニの言葉に仲間内から異論は出ない。
それもあって、彼は早速砂に動きがある場所へと石を投げつけ、サソリが地上に出てくるよう誘導する。
「ダメ元なのだが、やってみる価値はある」
同時に、サレンは缶ビールを投げ飛ばす。
杭のような足場代わりと考えて彼は4本ほど砂の上に投げていたようだが、暑さの影響もあって破裂してしまう缶も……。
それもあって、サレンは缶ビールを杭として使うことを諦め、柴犬ナツに吼えてもらってサソリの誘い出しにトライしてみる。
「着装マテリアルアーマー、魔力フル収束! 行くよっ」
マテリアルアーマーを発動させたざくろは、ジェットブーツでホバリングしながら砂浜へと踏み出す。
ざくろのブーツはマテリアル噴射を起こし、たくさんの砂を巻き上げた。
それによって、砂から1体、また1体と現れる真っ赤な体躯のサソリ達。
さすがに、砂の中でじっとしていられなくなったのだろう。
そして、砂埃を上げて現れる人間より大きな体躯をした大サソリ達が長い尾をもたげるようにして外敵を駆除しようとする。
特に小さなサソリがあちらこちらへと散開してしまうと、倒すのが厄介だ。
「後は散らばる前に、一網打尽にしよう」
ロニは仲間達へと範囲攻撃を交えた討伐をと呼びかけ、砂浜へと駆け出す。
「観光客や海の家の皆さんに迷惑をかけるサソリは、速やかに駆除する」
すると、炎も声を荒げ、聖罰刃「ターミナー・レイ」の刃を抜いてサソリの駆除へと砂浜へと飛び出していったのだった。
●
現われた紅サソリは、通常サイズが10体、人間大ほどに巨大化したサイズが2体で計12体。
そんな敵を前に、砂浜をジェットブーツで疾走するざくろは一直線に大サソリ目掛けて突撃していく。
敵の大きなはさみをうまく避けつつ、彼はマテリアルを集中させて手前へと扇状に発した炎の破壊エネルギーを敵陣に浴びせかけていた。
もう1体には、サレンが敵のはさみと尻尾を切り落とすべく迫る。それらの部位は、危険な攻撃を仕掛ける場所なのだ。
「この大きさは……(餌にはならない。すなわち)邪魔なだけ。恨みはないが、さっさと消えて貰うのだ」
あくまで、サソリを捕食する小動物にしか興味がないサレンは、ノーモーションでナイフを操る。
斬りかかる対象は、近い位置にあるはさみ。
ただ、相手もうまく2本のはさみを使って、彼のナイフを防いでいた。
奏音は先ほどのロニの言葉もあり、小サソリを巻き込むようにして大サソリ目掛けて魔法で狙う。
詠唱の後に放った一撃は、白竜のドラゴンブレスを再現したもの。
背中に虹色の翼を広げた奏音は光を放射し、サソリどもを灼き払おうとする。
「数が多い小サソリをさくっと倒しましょう」
応じたアメリアはできるだけ砂浜に入らないようにし、足場において不利な仲間の援護をすべく、新式魔導銃「応報せよアルコル」での狙撃でサソリ複数体を狙って制圧射撃を浴びせかける。
「観光客や海の家の皆さんに迷惑をかけるサソリめ、速やかに駆除する」
炎は率先して前に飛び出し、サソリの数を減らしにかかっていく。
「新しいスキルを手に入れたからな、早速試してみようか」
大上段に構えた刃を炎は大きく振るい、桜吹雪の幻影を起こす。
それに耐えたサソリが振るってくる尾を、炎はしっかりとパリィグローブ「ディスターブ」で受け止めようとしていた。
仲間に纏めてサソリの撃破を呼びかけていたロニも、可能な限り周辺設備に悪影響が及ばぬよう気遣う。
その上で、サソリが纏まる部分目掛け、一度の集中の後に魔法で闇の刃を無数構成し、サソリどもを串刺しにした。
それもあってサソリ2体が完全に動きを止め、尾をへたらせるようにして砂の上に倒れていく。
小サソリには、ファリーナ、セリアの聖堂戦士団コンビも仕掛け、前に出るファリーナは刀で斬りかかり、セリアが後から弓で友人を援護していたようだ。
ロニはさらにフリーとなっているサソリがいないか戦場を見定め、時に光の防御壁を展開するなどして仲間の支援にも当たっていくのである。
サソリといえば尻尾の毒がかなり怖いイメージが強いものの、ハンターとしてみれば一般的な個体の枠を出ない相手。
冷静に立ち回れば、さほど大きな被害なく撃退はできそうだとハンター達も判断していた。
ただ、大型化したサソリはそういうわけにも行かない。
サレンは身体にマテリアルを潤滑させ、素早い動きで相手を攻め立てる。
大サソリも見た目に似合わぬ素早い動きで尻尾を薙ぎ払い、サレンだけでなく近場で小サソリを攻めるメンバーまでも攻撃してくる。
尻尾の威力はそれなりといったところ。
ただ、その尖端の毒の尾をまともに喰らえば、ただではすまないだろう。
「毒のシャワーなんてシャレにならない。気を付けねばッ」
サレンは思ったより硬いはさみから相手の尻尾へと狙いを変え、その切り落としを目指していく。
ざくろは手にする魔導符剣「インストーラー」とは別に、携帯していた禍炎剣とルーンソードにマテリアルを纏わせ、魔導符剣での攻撃に合わせて浮遊、射出して攻撃支援する。
「必殺機導式3刀流!」
3つの刃に大サソリも翻弄されてはいたが、はさみで砂浜をホバリングして動くざくろを捕らえようと躍起になっていたようだ。
その間に、小サソリの討伐も進んで。
炎の刃が2体の体を寸断し、アメリアの銃弾が1体を射抜く。
さらに、ファリーナが刃を煌かせてサソリを切り伏せようとした直後、フォトンバインダー「フロックス」を操る奏音が5体のサソリを狙って符を宙へと投げ飛ばし、稲妻と化して敵目掛けてそれぞれ落としていく。
奏音の稲妻によって3体が射抜かれ、沈黙していた。
再度、ロニは作り出した闇の刃で残りのサソリを狙い、2体を串刺しにしてその動きを止める。
小サソリの全滅を確認したメンバー達が次に攻め立てるは、ざくろが相手にしていた大サソリだ。
奏恩が白龍のブレスを浴びせかけて相手の混乱を誘えば、滅茶苦茶に振るうそいつの尻尾をざくろは宙に浮かす刃で防ぐ。
その一瞬の隙をざくろは見逃さず、魔導符剣「インストーラー」にマテリアルを注ぎ込む。
その刃を盾に振り下ろしつつ、宙を飛ぶ禍炎剣を横薙ぎに飛ばして。
「超重操牙クロスクラッシュ!!」
十字の斬撃を浴びた大サソリは頭を砕かれ、砂浜へと崩れ落ちていった。
別の大サソリも、しぶとく砂浜を暴れ続けている。
倒すべき敵がそいつだけとなったことで、抑えに当たり続けていたサレンもロニのフルリカバリーや、セリアのヒーリングスフィアによる支援を受け、かなり楽になった様子。
敵との距離を取り続けるアメリアが大サソリに満足な動きをさせぬようにと、威嚇射撃を続けていた。
相手が尻尾を振り上げたタイミング。
アメリアはその尻尾を狙い、妨害の為にと弾丸でその尾を撃ち抜く。
そこを目掛け、サレンは素早くナイフの刃を振り払い、敵の尾を切り落としてしまう。
痛みに悶える大サソリは2つのはさみを激しく操り、鋭い刃と刃が擦れる音を立てて正面の炎へと襲い掛かった。
「俺の制御不能な覚悟を見せてやる!!」
相手へと猛然と攻め行く炎はそのはさみの斬撃で血を飛ばしながら、精神を研ぎ澄ます。
その上で肉体を加速させた炎は相手の懐から、聖罰刃「ターミナー・レイ」の刃でその胴体を切り裂いていく。
一閃の元に絶命した大サソリはなすすべなく、砂浜の上に落ちていったのだった。
●
サソリを退治し、程なくして砂浜の管理人が人を連れてやってきて、手早く浜の掃除を始める。
泳ぎたいと考えていた人々もすでにいたらしく、砂浜は徐々に人が増えていく。
海の家も営業を開始し、炎がそこでかき氷の販売を手伝いしていた。
「さぁ、かき氷はいかがですか!」
生真面目な彼は大声で、呼び込みを始める。
それを受けて集まる人垣の中で、注文していたざくろも早速かき氷を口にしていく。
彼はその後、事前に言っていたとおりに海で楽しく泳ぎ始めていたようだ。
その海や砂浜の監視として、聖堂戦士団のファリーナとセリアが当たる。
アメリアは再び会うかもしれないからと、更なる事件が起こるのを未然に防ごうと活動するその2人と挨拶を交わす。
その後、彼女は1人、ゆっくりと海面に浮かべた浮き輪に乗ってぷかぷかと波に揺られていた。
再度砂浜へと目を向ければ、ロニは海の家でパラソルやビーチチェアを借り、ゆっくりとそのビーチチェアに寝そべって寛ぐ。
「……偶には、昼間から酒を飲んでもバチは当たるまい」
ロニは心行くまで、骨休めするつもりのようだ。
思い思いに行動するメンバー達だが、奏音は倒したサソリを焼いていた。
「とりあえず、食べれるようにはしましたが……」
そこで、彼女は監視に当たるファリーナ、セリアの2人へと毒見……もとい、試食をしてもらう。
「正直、微妙な感がありますね……」
よい感想は得られなかったものの、食べる分には問題ないと判断した奏音はそれを口にする。
部位によっては香ばしく食べられはしたものの、正直、彼女もまた満足言えぬ味ではあったらしい。
サレンはというと、サソリを捕食する生物がいないかと、小サソリの死骸を集め餌にしつつ周囲を真剣に探す。
炎天下ではあったが、暑さ対策にとサレンは帽子に氷らしきものを隠していたのか、さほど暑さを気にしていた様子はなかったようだ。
「フェネック、オオトカゲ、ミーアキャット……」
その姿があまりに滑稽に見えてしまい、遊びに来ていた客の視線を集めていたが、本人は全く気にすることなく。
「むぅ……」
なかなか見つけられずにしょんぼりしていたサレンだったが、パラソルで体育座りしていたところで、ぴょこっと物陰から顔を出したイタチの姿が。
「ふおぉぉ、いたのだ! 凄くかわいいのだっ!」
それを発見したサレンは目を輝かせ、砂浜へと飛び出してうずくまり、そのイタチをじっくりと観察する。
またも、その光景に人々の注目を浴びる中、砂浜へと上がってきたアメリアがそれに気付く。
アメリアはカメラを用意し、イタチと戯れるサレンの姿を撮影していたのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/18 20:54:47 |
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作戦会議室 南護 炎(ka6651) 人間(リアルブルー)|18才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2018/07/18 22:15:07 |