ゲスト
(ka0000)
祭りの夜の夢
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 8~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2018/07/22 07:30
- 完成日
- 2018/07/24 21:09
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
目に映るのは、ガラスのように澄んだ青空、キラキラと輝く赤い太陽。そして瑞々しい植物の緑。
グランツ領にある村では、夏野菜の収穫の真っ最中だ。
この領地の若き領主、レイナ・エルト・グランツ(kz0253)は収穫する人々の様子を眺めていた。
人々は額に浮かんだ汗を拭い、収穫の喜びを噛みしめる。
しかし、レイナにはその喜ぶ顔に僅かな影が滲んでいるように思えた。
先日、この村の畑に、雑魔があらわれ畑の一部が壊滅した。
まだ熟れる前の若い実は地面に転がり、踏みつぶされ、見るも無残な状態となってしまったのだった。
村人たちは残った畑を懸命に守り、育て、そして収穫に至った。
減ってしまう収入を不安に思っている者も少なくはないだろう。
再び現れる雑魔に怯える者もいるだろう。
レイナはそんな村人たちの憂いを何とかしたいと思いながら、視察を終え屋敷へと戻った。
「今夏の作物の出来はいいようでしたが、収穫した野菜に偏りがありますね。市場に出したとしても、いい収入は見込めないでしょうね」
報告書を手にした執事のジルは、眉を寄せて呟いた。
「ええ。畑の一部が壊滅してしまって、主な収穫はトウモロコシになってしまいました。市場の方も供給は多いですから大したお金にはなりません」
レイナはため息を漏らし、受け取った報告書に視線を落とす。
「村人たちも何処となく沈んでいるように見受けられました。活気付けてあげられたらいいのですが……」
レイナは自分の至らなさに肩を落とし、唇を噛み締める。
そんなレイナの様子に、ジルと私兵のサイファーは顔を見合わせ眉を下げた。
「……お祭り、みたいなのは出来ないかしら」
レイナの口から漠然とした案が零れた。
「お祭りですか?」
ジルが首を傾げると、
「ええ。村人たちの沈んだ気持ちを明るく出来きて、村に来る他の人達も楽しめてお金を使ってくれる、バザーみたいなのが出来たらと思って」
レイナの言葉を静かに聞いていたサイファーが、思い出したように口を開いた。
「そう言えば随分前に、リアルブルーのハンターに聞いたことがあるのですが。――リアルブルーには縁日というお祭りがあるそうです。その縁日では、屋外で料理を作って販売し、それらを買った客たちは食べ歩きを楽しむんだそうです」
「縁日……?」
レイナは目を瞬いた。
「はい。その料理のひとつに焼きトウモロコシと言うものがあると聞きました」
「まぁ! それはうってつけね! 詳しく聞きに行きましょう」
レイナは書類仕事もそこそこに部屋を後にした。
●ハンターオフィス
「縁日ですか? 私知ってますよ」
ハンターオフィスの受付に立つのはリアルブルー出身の女性。レイナが縁日について知っている人は居ないかと尋ねると、女性は自身を指差し応えた。
「では、縁日とはどんなものですか? どんなお店があるのですか? 私でもお祭りを開くことは可能でしょうか?」
矢継ぎ早に尋ねると、女性は目を丸くして引きつった笑みを浮かべる。
「まあまあ、落ち着いて……。本来縁日は神様の降誕や示現……つまり、神様と縁のある日ということなんですが、リアルブルーではその意味は薄くなりつつあります。たくさんのお店が並んで楽しく騒げる日……という風に思ってる人もいますね。お店は何でもいいんですよ。お客さんが喜びそうなものなら。的当てゲームだったり、くじ引きだったり。クレープとか、フライドポテトとか、色々あります。レイナさん1人でやるのは難しいと思いますが、手伝いを募って皆でやれば、出来ると思いますよ」
受付の女性はにっこりとほほ笑んだ。
「本当ですか! なら、村の人達にも手伝ってもらって……縁日に詳しいハンターさんにも協力を仰ぎたいです」
「でしたら、オフィスにポスターを張っておきますよ。私もお祭り楽しみにしてますね」
女性は楽そうに肩を揺らした。
グランツ領にある村では、夏野菜の収穫の真っ最中だ。
この領地の若き領主、レイナ・エルト・グランツ(kz0253)は収穫する人々の様子を眺めていた。
人々は額に浮かんだ汗を拭い、収穫の喜びを噛みしめる。
しかし、レイナにはその喜ぶ顔に僅かな影が滲んでいるように思えた。
先日、この村の畑に、雑魔があらわれ畑の一部が壊滅した。
まだ熟れる前の若い実は地面に転がり、踏みつぶされ、見るも無残な状態となってしまったのだった。
村人たちは残った畑を懸命に守り、育て、そして収穫に至った。
減ってしまう収入を不安に思っている者も少なくはないだろう。
再び現れる雑魔に怯える者もいるだろう。
レイナはそんな村人たちの憂いを何とかしたいと思いながら、視察を終え屋敷へと戻った。
「今夏の作物の出来はいいようでしたが、収穫した野菜に偏りがありますね。市場に出したとしても、いい収入は見込めないでしょうね」
報告書を手にした執事のジルは、眉を寄せて呟いた。
「ええ。畑の一部が壊滅してしまって、主な収穫はトウモロコシになってしまいました。市場の方も供給は多いですから大したお金にはなりません」
レイナはため息を漏らし、受け取った報告書に視線を落とす。
「村人たちも何処となく沈んでいるように見受けられました。活気付けてあげられたらいいのですが……」
レイナは自分の至らなさに肩を落とし、唇を噛み締める。
そんなレイナの様子に、ジルと私兵のサイファーは顔を見合わせ眉を下げた。
「……お祭り、みたいなのは出来ないかしら」
レイナの口から漠然とした案が零れた。
「お祭りですか?」
ジルが首を傾げると、
「ええ。村人たちの沈んだ気持ちを明るく出来きて、村に来る他の人達も楽しめてお金を使ってくれる、バザーみたいなのが出来たらと思って」
レイナの言葉を静かに聞いていたサイファーが、思い出したように口を開いた。
「そう言えば随分前に、リアルブルーのハンターに聞いたことがあるのですが。――リアルブルーには縁日というお祭りがあるそうです。その縁日では、屋外で料理を作って販売し、それらを買った客たちは食べ歩きを楽しむんだそうです」
「縁日……?」
レイナは目を瞬いた。
「はい。その料理のひとつに焼きトウモロコシと言うものがあると聞きました」
「まぁ! それはうってつけね! 詳しく聞きに行きましょう」
レイナは書類仕事もそこそこに部屋を後にした。
●ハンターオフィス
「縁日ですか? 私知ってますよ」
ハンターオフィスの受付に立つのはリアルブルー出身の女性。レイナが縁日について知っている人は居ないかと尋ねると、女性は自身を指差し応えた。
「では、縁日とはどんなものですか? どんなお店があるのですか? 私でもお祭りを開くことは可能でしょうか?」
矢継ぎ早に尋ねると、女性は目を丸くして引きつった笑みを浮かべる。
「まあまあ、落ち着いて……。本来縁日は神様の降誕や示現……つまり、神様と縁のある日ということなんですが、リアルブルーではその意味は薄くなりつつあります。たくさんのお店が並んで楽しく騒げる日……という風に思ってる人もいますね。お店は何でもいいんですよ。お客さんが喜びそうなものなら。的当てゲームだったり、くじ引きだったり。クレープとか、フライドポテトとか、色々あります。レイナさん1人でやるのは難しいと思いますが、手伝いを募って皆でやれば、出来ると思いますよ」
受付の女性はにっこりとほほ笑んだ。
「本当ですか! なら、村の人達にも手伝ってもらって……縁日に詳しいハンターさんにも協力を仰ぎたいです」
「でしたら、オフィスにポスターを張っておきますよ。私もお祭り楽しみにしてますね」
女性は楽そうに肩を揺らした。
リプレイ本文
祭りを行う村では、屋台の設営にみな忙しそうに動き回っている。
「よう、レイナ。手伝いに来たぜ」
夏の太陽によく映える小麦色の肌をしたトリプルJ(ka6653)が、村人に交って作業をするレイナ・エルト・グランツ(kz0253)に声を掛けた。
「っ! トリプルJさん! カティスさん、真さん!」
顔見知りの面々にレイナの顔に笑みが浮かぶ。
「こんにちは、なのですよ」
「レイナさんも設営をやってるの?」
笑みを返すカティス・フィルム(ka2486)と、苦笑する鞍馬 真(ka5819)。その後ろから、
「久しぶりだな。レイナ」
「領主どの、ご無沙汰、だ。今回もよろしく頼む。出来る事を精一杯やらせてもらうつもりだ」
レイア・アローネ(ka4082)と鳳凰院ひりょ(ka3744)が顔を覗かせた。
「レイアさん、ひりょさん、来て下さったのですね、ありがとうございます」
レイナは深く頭を下げた。
「私の友人だ」
レイアはそう言って、隣に立つ伊勢・明日奈(ka4060)の背中を押した。
「伊勢・明日奈と言います。宜しくお願いしますね」
優しい笑みを浮かべた明日奈に、レイナは頭を下げた。
「面白そうだから、私も来たよ! 私は星野 ハナ、よろしくね」
挨拶する星野 ハナ(ka5852)のフワリと咲く花のような笑みに、レイナは頬をほのかに色付かせ挨拶を返す。
「この子は私の妹分の鈴君だよ」
そう言って真が紹介したのは大伴 鈴太郎(ka6016)。
「鈴だ! 夏つったら祭りだよな! オレ、一度テキ屋やってみたかったンだ!」
「あ……あの、……えっと……」
容姿と口調のギャップにレイナは目を瞬いた。
「そのお召し物、何と言いましたっけ? とても素敵です」
「ありがとな。これは浴衣って言うんだ」
「そうそう、浴衣でしたね。リアルブルーのお祭りでは浴衣を着るそうですね。真さんと御揃いで、凄く似合っていらっしゃいますわ」
そう言ってレイナはその横に静かに佇む女性に視線を向けた。
パチリと視線が合うと、女性は膝を降りしとやかに礼をする。
「フィロと申します、ご主人様。」
フィロ(ka6966)の言葉に呆気にとられたレイナは、暫らくフィロを見つめた。
「フィロさん、どうぞよろしくお願いします」
そう言ってレイナも深く頭を下げ、屋台の場所へと案内を始める。
レイナの後ろを歩くサイファーの袖を引いたフィロは尋ねた。
「サイファー様は執事兼務でいらっしゃいますか? グランツ領の執事様、もしくは領主代行様はどなたでしょうか?」
「執事のジル様は屋敷で留守を預かっていますので、この度のレイナ様の補佐は私が務めています」
サイファーは胸に手を当て小さく頭を下げた。
「会場の救護所兼案内所の設置について、相談がございます。こういう相談は実務担当者様にする方が良いと考えました」
フィロの言葉に、サイファーは深く頷く。
「そうですね。では、私が窺います」
「主要な街道から会場へ向かう入り口に、救護所兼案内所を設けさせていただきたいのです。すぐにパッチできる余剰があるからこそ緊急時にも平時と同じく行動できると考えます。普段なら起こり得ないことも起こります。それでも『来て良かった』と思っていただくためには、見えない場所にも相応の力を入れるべきと考えます」
フィロの説得力ある言葉に圧倒され、サイファーは只々頷く。
「それほど大きい会場ではないので、入り口に警護迷子案内の全てを集約し、いざという時のために屋台の後ろに消火用の水甕を設置、各店主にもその旨通達するのが良いのではないかと考えます」
「ええ、それは良い考えだと思います。すぐに伝えておきましょう」
フィロは唇の端を少し持ち上げ小さな笑みを浮かべる。
「入口には店案内の看板を大きく1つ。そしてその横に案内所兼救護所のテントを。後は巡回して迷子を見つけたら案内所まで連れて行って呼び出し、体調不良者はテントで治療するのがよろしいかと」
「わかりました。では入り口にテントを設置しますね。看板はどうしますか?」
サイファーが問うと、私が作ります、とフィロが答えた。
ハンター達はそれぞれ屋台の準備を始めた。
「真、大きめの景品は奥だ」
真が持ち込んだぬいぐるみやプラモデルを棚の上に並べていると、それを見ていた鈴から指摘が飛んだ。
「ぬいぐるみは真ん中がいいんじゃないかな?」
子狐の可愛いぬいぐるみを左右に揺らし、真が問う。
「いや、そのぬいぐるみとプラモは特賞だろ!」
「アハハ、そういうなら奥に置いておくよ」
棚の上にポンッと並べると、残念賞用のキャンディを籠に移した。
カティスとひりょは資材の搬入や、下ごしらえの手伝いに大忙し。
「茎の部分は残しておくのですよね」
焼きトウモロコシの屋台をやる明日奈とレイアの指示により、朝採れのトウモロコシの皮を剥いていく。
「こんなに大量にあるとはな……」
山積みにされたトウモロコシを見やり、ひりょは苦笑を漏らす。
少し広いスペースを借りたハナは持ち込んだ什器を並べ始めた。大傘で雰囲気を出し緋毛氈を敷いた長椅子にお盆やメニューなどを飾る。
レイナが様子を見に来ると、
「ねえねえ、レイナさん。暑すぎる時には生クリームや餡子の使用が躊躇われましてぇ、そうすると出せる料理が限られちゃうんですぅ。私の他にも改造トラック所持してお祭り屋台出す人って居たりするのでぇ、次は機材持ち込みをもっと大々的にOKにしませんかぁ?」
と、直談判。
「っ! そうなのですね。そのようなトラックをお持ちの方が……。ハンターの皆さんの負担にならないようにと考えていたのですが……無用な心配だったようですね。すみません、次は皆さんと相談して決めたいと思います」
もっと頼ってくれていいのに……というハンターの思いに、レイナは大きな笑みを浮かべた。
借りてきた鉄板をコンロの上に設置し終えたトリプルJは、持ち込んだジンジャーエールと、エールビールをテーブルの上に乗せた。通りかかったレイナを見つけると、
「おーい、レイナ! 暑い時に辛い物食うと酒が旨いんだ……エールも売っていいか?」
窺うようなわざとらしい上目遣いで見つめれば、
「もちろん、かまいませんよ。辛い物によく合うのですね。美味しそうです」
レイナが快く許可する。
「後でレイナも食べに来いよ」
トリプルJは嬉しそうに唇に弧を描いた。
炭火の上に網を乗せ、皮を剥いて蒸したトウモロコシを並べると、香ばしい匂いが漂い始めた。
「こんな感じでいいだろうか?」
焦げないようにトウモロコシを転がしながら、レイアは明日奈に問う。
「うん、いい感じだね。次に、溶かしバターを刷毛で全体に塗って更に焼くよ」
「ふむ……こう、か」
言われた通りバターを塗り炭火の上に戻すと、今度はバターの良い匂いが広がる。
「わあ、美味しそうな匂いがするのです」
蒸し終わったトウモロコシを運んできたカティスが、目を細め深く息を吸った。
「カティス、味見をしてくれないか?」
レイアが差し出した焼きたてのトウモロコシを受け取り、カティスは一口頬張る。
「んーー、美味しいです! 香ばしくて、甘いのです」
ホッとしたように息を吐いたレイアは、明日奈と目配せして微笑んだ。
そして夕日が地平線に沈み始めた頃―――
来場した人々の楽しげな声に囃し立てられ、少し早く屋台が店を開けた。
「いらっしゃいませーー! とっても美味しいクレープなのですよー」
恥ずかしそうに、でも大きな声で呼び込みをするカティスのお陰か、クレープ屋の前には長い列ができ始めた。
「肉巻クレープ下さーい」
客の注文を受け、トリプルJは手際よくクレープを作り始める。茹でて漬け込んだお肉を野菜と一緒に生地に置き、特製の 辛味ダレを掛けクルクル丸め紙で包む。
「ほらよ、待たせたな!」
クレープを受け取った客は嬉しそうな笑顔を浮かべて一口齧り付き、美味しいーと歓声を上げている。その様子を横目で見ながらトリプルJは満足そうに笑みを浮かべた。
「ご注文をお伺いしまーす」
茶屋にやって来た客に大きな笑みを向けながら、ハナは元気に声を掛けた。
「おすすめは、抹茶あられ! あられは冬の飲み物ですけどぉ、ガリガリ感が好きで私はうっかり夏も飲んじゃうんですよねぇ。あ、これは冷たい飲み物ですよ。それから3色団子もおすすめです」
「じゃあ、それで」
客が頷くのを見ると、
「ありがとうございまーす。ひりょさーん、抹茶あられとお団子お願いしまーす」
助っ人に入ったひりょに注文を伝える。
「了解だ! しかし……なかなかに忙しいな」
ひりょは慣れた手付きで冷やし抹茶にあられを浮かべ、用意されていたお団子にみたらし、黄粉、餡子を付けお皿に乗せる。
「ハナ、出来たぞ! 持って行ってくれ」
その声にハナが応える。
「はーい。あ、いらっしゃいませー。東西交流を銘打ってますのでぇ、うちのブースは持込み可ですぅ。でもぉ、できれば何か一品買って下さいねぇ、えへ」
小悪魔のような可愛い笑みを浮かべ、ハナは肩を揺らした。
一方こちらでは白熱した歓声が響いている。
「残念だな坊主、ほら、飴玉だ」
惜しくも景品が取れなかった少年の頭をガシガシ撫で、鈴は飴玉を掌に載せた。
「おめでとう。はい賞品だよ」
隣りで真は見事輪の中に入った景品を、別の客に渡している。
「ほら、その狙いやすいのは小っちゃい子に譲ってやれって。男なら大物狙わねーとよ! あ、コラ! くまごろーは景品じゃねぇよ! 今のはノーカン!」
輪っかの回収を手伝っていたくまごろーの頭に輪っかが乗ったのを見て鈴が慌てた声を上げると、ドッと笑いが起こった。
漂う美味しそうな匂いに釣られて、焼きトウモロコシの屋台の前にも長い列ができている。
「美味しい焼きトウモロコシですよー。どうぞいらっしゃいませー」
にこやかに呼びかける明日奈は、一度やってみたかったんだよね、こういうの! とレイアに振り向きはにかんだ。
「任せてすまない。私に客引きが出来るはずないからな……」
そう言うレイアは美味しそうにトウモロコシを焼いていく。
カティスが作った差し入れの水出しの白茶を飲みながら炭火の前に立つレイアの肌を、真珠のような汗が転がる……。並んでいた男性客たちが色っぽいその姿を見て唾を飲んだのは、言うまでもない。
それぞれの店に村人が助っ人に入った。ハンター達は休憩時間を貰い、思い思いに祭りを楽しむ。
「ハナさん、あのお店見てみませんか?」
一緒に休憩を取ったカティスとハナは、髪飾りのお店を覗く。
「わぁ、かわいい」
ハナが歓喜の声を上げ小さく飛び跳ねると、
「はい、可愛いのです」
カティスもコクコクと頷く。
(……恋人さんに髪飾り、お土産にしてみようかな。……喜ぶでしょうか)
綺麗な細工の髪飾りを手にして、カティスは大切な人の顔を思い浮かべた。
「レイアは何食べたい?」
明日奈は少し疲労の色を滲ませたレイアに尋ねた。
「ずっと火の側に居て暑いからな……、冷たい物が飲みたい」
「じゃあ、ハナさんがやってる茶屋に行こうか? ゆっくり出来そうだし」
「ああ」
そう言って茶屋に向かった2人は抹茶あられや冷やし飴を頼み、人々の楽しそうな顔を見ながら祭りの雰囲気を味わった。
村の中を巡回していたフィロは、祭りの賑わいに不似合いな泣き声を聞きつけた。
「どうしたの? 迷子?」
頬をビショビショに濡らした少年と目線を合わせるようにしゃがみ込み、優しく尋ねる。
「……………」
唇を噛み締める少年の頭を優しく撫でてあげると、小さな手を取り歩き始めた。案内所に到着すると、すでに母親が来ていて案内係に子供の事を説明している。
「ママーーーー!」
母親に駆け寄る少年をホッと胸を撫で下ろしながら見つめ、
「今度は迷子にならないように気を付けてね」
そう言葉を掛け、祭りに戻っていく姿を見送った。
クレープを作り続けたトリプルJは、屋台の裏で休憩を取っていた。
お腹が空いたので肉巻のクレープを急いで作って齧り付き、辛さが口の中に広がると、一気にエールを呷る。
「くぅーーー! うめぇーー」
労働の後の酒は最高! と言わんばかりに唸った。
丁度そこに追加の食材を運んできたレイナがやってくる。
「お疲れ様です、トリプルJさん」
「レイナか、お疲れさん。そうだ……これがリアルブルー関西人の一家に一枚秘伝の鉄板って奴だ。次はこれ大々的に借りてコーン焼きってどうだ? 使う鉄板は大判焼きでもいいが、どうせなら街の名物作ろうぜ?」
タコ焼き用の鉄板を見せニヤリと笑った。
「真! 射的があるぞ!」
そう言って真と2人射的を始める鈴。不器用な癖に意地になりすぎ、財布はみるみる軽くなっていく……。その横で真は難なく景品を獲得していく。
「……鈴君の分も取ろうか?」
「こういうのは、自分で取ンなきゃ意味ねぇ。いいからもっかい分!」
そう言って真からお金をせびる。
熱くなった分お腹も減り、今度は屋台の良い匂いに釣られフラフラと歩く。涎を垂らしそうな勢いで屋台の料理を見ている鈴を目にして、真は苦笑を漏らした。
(……全く、もう少し遠慮なく甘えればいいのになぁ)
気になった屋台で2人分買うと、
「私も食べたかったし遠慮はいらないよ」
そう言って料理を差しだした。
「……でも、……えっと、……あ、ありがと」
先程の射的でお金をせびったから流石にバツが悪いようで、鈴は素直に礼を言った。
休憩中だと言うのに、ひりょは案内を手伝っていた。
『静かなところが良い』
「それなら東西交流東方茶屋が良いだろう」
『行列が出来ていないお店は』
「今は比較的焼きトウモロコシが空いている」
『賑わっている所に行きたい』
「それなら豪華景品の輪投げだな」
などの要望に応え案内してく。
案内がてら祭り会場を見て回り、自身も輪投げなどに興じ祭りを楽しんだ。
祭りの盛り上がりも最高潮。
鈴のリクエストで真がお囃子を演奏すると、それに合わせてくまごろーが太鼓を叩く。リズムに合わせ誰かが躍りだせば、見ていた誰かも踊り出す。
屋台では売り切れが続出し、そろそろ祭りはお開きの時間となる。やりきった清々しい気持ちのハンター達はお互いに労いの言葉を掛けあった。
「激動の日々だが、こうして皆と仲良く過ごせる時間も大切にしたいものだな」
そう言ってひりょはマテリアル花火を取り出した。鈴も用意していた花火を1本ずつ配り、村の外れでハンター達はそれを空へと向けた。
平和への願い……、人々の幸せ、仲間との絆……。
数ある思いを乗せ、夜空へと打ち上げる。
ハンター達のマテリアルに反応し、花火は色とりどりの大輪を咲かせたのだった―――。
「よう、レイナ。手伝いに来たぜ」
夏の太陽によく映える小麦色の肌をしたトリプルJ(ka6653)が、村人に交って作業をするレイナ・エルト・グランツ(kz0253)に声を掛けた。
「っ! トリプルJさん! カティスさん、真さん!」
顔見知りの面々にレイナの顔に笑みが浮かぶ。
「こんにちは、なのですよ」
「レイナさんも設営をやってるの?」
笑みを返すカティス・フィルム(ka2486)と、苦笑する鞍馬 真(ka5819)。その後ろから、
「久しぶりだな。レイナ」
「領主どの、ご無沙汰、だ。今回もよろしく頼む。出来る事を精一杯やらせてもらうつもりだ」
レイア・アローネ(ka4082)と鳳凰院ひりょ(ka3744)が顔を覗かせた。
「レイアさん、ひりょさん、来て下さったのですね、ありがとうございます」
レイナは深く頭を下げた。
「私の友人だ」
レイアはそう言って、隣に立つ伊勢・明日奈(ka4060)の背中を押した。
「伊勢・明日奈と言います。宜しくお願いしますね」
優しい笑みを浮かべた明日奈に、レイナは頭を下げた。
「面白そうだから、私も来たよ! 私は星野 ハナ、よろしくね」
挨拶する星野 ハナ(ka5852)のフワリと咲く花のような笑みに、レイナは頬をほのかに色付かせ挨拶を返す。
「この子は私の妹分の鈴君だよ」
そう言って真が紹介したのは大伴 鈴太郎(ka6016)。
「鈴だ! 夏つったら祭りだよな! オレ、一度テキ屋やってみたかったンだ!」
「あ……あの、……えっと……」
容姿と口調のギャップにレイナは目を瞬いた。
「そのお召し物、何と言いましたっけ? とても素敵です」
「ありがとな。これは浴衣って言うんだ」
「そうそう、浴衣でしたね。リアルブルーのお祭りでは浴衣を着るそうですね。真さんと御揃いで、凄く似合っていらっしゃいますわ」
そう言ってレイナはその横に静かに佇む女性に視線を向けた。
パチリと視線が合うと、女性は膝を降りしとやかに礼をする。
「フィロと申します、ご主人様。」
フィロ(ka6966)の言葉に呆気にとられたレイナは、暫らくフィロを見つめた。
「フィロさん、どうぞよろしくお願いします」
そう言ってレイナも深く頭を下げ、屋台の場所へと案内を始める。
レイナの後ろを歩くサイファーの袖を引いたフィロは尋ねた。
「サイファー様は執事兼務でいらっしゃいますか? グランツ領の執事様、もしくは領主代行様はどなたでしょうか?」
「執事のジル様は屋敷で留守を預かっていますので、この度のレイナ様の補佐は私が務めています」
サイファーは胸に手を当て小さく頭を下げた。
「会場の救護所兼案内所の設置について、相談がございます。こういう相談は実務担当者様にする方が良いと考えました」
フィロの言葉に、サイファーは深く頷く。
「そうですね。では、私が窺います」
「主要な街道から会場へ向かう入り口に、救護所兼案内所を設けさせていただきたいのです。すぐにパッチできる余剰があるからこそ緊急時にも平時と同じく行動できると考えます。普段なら起こり得ないことも起こります。それでも『来て良かった』と思っていただくためには、見えない場所にも相応の力を入れるべきと考えます」
フィロの説得力ある言葉に圧倒され、サイファーは只々頷く。
「それほど大きい会場ではないので、入り口に警護迷子案内の全てを集約し、いざという時のために屋台の後ろに消火用の水甕を設置、各店主にもその旨通達するのが良いのではないかと考えます」
「ええ、それは良い考えだと思います。すぐに伝えておきましょう」
フィロは唇の端を少し持ち上げ小さな笑みを浮かべる。
「入口には店案内の看板を大きく1つ。そしてその横に案内所兼救護所のテントを。後は巡回して迷子を見つけたら案内所まで連れて行って呼び出し、体調不良者はテントで治療するのがよろしいかと」
「わかりました。では入り口にテントを設置しますね。看板はどうしますか?」
サイファーが問うと、私が作ります、とフィロが答えた。
ハンター達はそれぞれ屋台の準備を始めた。
「真、大きめの景品は奥だ」
真が持ち込んだぬいぐるみやプラモデルを棚の上に並べていると、それを見ていた鈴から指摘が飛んだ。
「ぬいぐるみは真ん中がいいんじゃないかな?」
子狐の可愛いぬいぐるみを左右に揺らし、真が問う。
「いや、そのぬいぐるみとプラモは特賞だろ!」
「アハハ、そういうなら奥に置いておくよ」
棚の上にポンッと並べると、残念賞用のキャンディを籠に移した。
カティスとひりょは資材の搬入や、下ごしらえの手伝いに大忙し。
「茎の部分は残しておくのですよね」
焼きトウモロコシの屋台をやる明日奈とレイアの指示により、朝採れのトウモロコシの皮を剥いていく。
「こんなに大量にあるとはな……」
山積みにされたトウモロコシを見やり、ひりょは苦笑を漏らす。
少し広いスペースを借りたハナは持ち込んだ什器を並べ始めた。大傘で雰囲気を出し緋毛氈を敷いた長椅子にお盆やメニューなどを飾る。
レイナが様子を見に来ると、
「ねえねえ、レイナさん。暑すぎる時には生クリームや餡子の使用が躊躇われましてぇ、そうすると出せる料理が限られちゃうんですぅ。私の他にも改造トラック所持してお祭り屋台出す人って居たりするのでぇ、次は機材持ち込みをもっと大々的にOKにしませんかぁ?」
と、直談判。
「っ! そうなのですね。そのようなトラックをお持ちの方が……。ハンターの皆さんの負担にならないようにと考えていたのですが……無用な心配だったようですね。すみません、次は皆さんと相談して決めたいと思います」
もっと頼ってくれていいのに……というハンターの思いに、レイナは大きな笑みを浮かべた。
借りてきた鉄板をコンロの上に設置し終えたトリプルJは、持ち込んだジンジャーエールと、エールビールをテーブルの上に乗せた。通りかかったレイナを見つけると、
「おーい、レイナ! 暑い時に辛い物食うと酒が旨いんだ……エールも売っていいか?」
窺うようなわざとらしい上目遣いで見つめれば、
「もちろん、かまいませんよ。辛い物によく合うのですね。美味しそうです」
レイナが快く許可する。
「後でレイナも食べに来いよ」
トリプルJは嬉しそうに唇に弧を描いた。
炭火の上に網を乗せ、皮を剥いて蒸したトウモロコシを並べると、香ばしい匂いが漂い始めた。
「こんな感じでいいだろうか?」
焦げないようにトウモロコシを転がしながら、レイアは明日奈に問う。
「うん、いい感じだね。次に、溶かしバターを刷毛で全体に塗って更に焼くよ」
「ふむ……こう、か」
言われた通りバターを塗り炭火の上に戻すと、今度はバターの良い匂いが広がる。
「わあ、美味しそうな匂いがするのです」
蒸し終わったトウモロコシを運んできたカティスが、目を細め深く息を吸った。
「カティス、味見をしてくれないか?」
レイアが差し出した焼きたてのトウモロコシを受け取り、カティスは一口頬張る。
「んーー、美味しいです! 香ばしくて、甘いのです」
ホッとしたように息を吐いたレイアは、明日奈と目配せして微笑んだ。
そして夕日が地平線に沈み始めた頃―――
来場した人々の楽しげな声に囃し立てられ、少し早く屋台が店を開けた。
「いらっしゃいませーー! とっても美味しいクレープなのですよー」
恥ずかしそうに、でも大きな声で呼び込みをするカティスのお陰か、クレープ屋の前には長い列ができ始めた。
「肉巻クレープ下さーい」
客の注文を受け、トリプルJは手際よくクレープを作り始める。茹でて漬け込んだお肉を野菜と一緒に生地に置き、特製の 辛味ダレを掛けクルクル丸め紙で包む。
「ほらよ、待たせたな!」
クレープを受け取った客は嬉しそうな笑顔を浮かべて一口齧り付き、美味しいーと歓声を上げている。その様子を横目で見ながらトリプルJは満足そうに笑みを浮かべた。
「ご注文をお伺いしまーす」
茶屋にやって来た客に大きな笑みを向けながら、ハナは元気に声を掛けた。
「おすすめは、抹茶あられ! あられは冬の飲み物ですけどぉ、ガリガリ感が好きで私はうっかり夏も飲んじゃうんですよねぇ。あ、これは冷たい飲み物ですよ。それから3色団子もおすすめです」
「じゃあ、それで」
客が頷くのを見ると、
「ありがとうございまーす。ひりょさーん、抹茶あられとお団子お願いしまーす」
助っ人に入ったひりょに注文を伝える。
「了解だ! しかし……なかなかに忙しいな」
ひりょは慣れた手付きで冷やし抹茶にあられを浮かべ、用意されていたお団子にみたらし、黄粉、餡子を付けお皿に乗せる。
「ハナ、出来たぞ! 持って行ってくれ」
その声にハナが応える。
「はーい。あ、いらっしゃいませー。東西交流を銘打ってますのでぇ、うちのブースは持込み可ですぅ。でもぉ、できれば何か一品買って下さいねぇ、えへ」
小悪魔のような可愛い笑みを浮かべ、ハナは肩を揺らした。
一方こちらでは白熱した歓声が響いている。
「残念だな坊主、ほら、飴玉だ」
惜しくも景品が取れなかった少年の頭をガシガシ撫で、鈴は飴玉を掌に載せた。
「おめでとう。はい賞品だよ」
隣りで真は見事輪の中に入った景品を、別の客に渡している。
「ほら、その狙いやすいのは小っちゃい子に譲ってやれって。男なら大物狙わねーとよ! あ、コラ! くまごろーは景品じゃねぇよ! 今のはノーカン!」
輪っかの回収を手伝っていたくまごろーの頭に輪っかが乗ったのを見て鈴が慌てた声を上げると、ドッと笑いが起こった。
漂う美味しそうな匂いに釣られて、焼きトウモロコシの屋台の前にも長い列ができている。
「美味しい焼きトウモロコシですよー。どうぞいらっしゃいませー」
にこやかに呼びかける明日奈は、一度やってみたかったんだよね、こういうの! とレイアに振り向きはにかんだ。
「任せてすまない。私に客引きが出来るはずないからな……」
そう言うレイアは美味しそうにトウモロコシを焼いていく。
カティスが作った差し入れの水出しの白茶を飲みながら炭火の前に立つレイアの肌を、真珠のような汗が転がる……。並んでいた男性客たちが色っぽいその姿を見て唾を飲んだのは、言うまでもない。
それぞれの店に村人が助っ人に入った。ハンター達は休憩時間を貰い、思い思いに祭りを楽しむ。
「ハナさん、あのお店見てみませんか?」
一緒に休憩を取ったカティスとハナは、髪飾りのお店を覗く。
「わぁ、かわいい」
ハナが歓喜の声を上げ小さく飛び跳ねると、
「はい、可愛いのです」
カティスもコクコクと頷く。
(……恋人さんに髪飾り、お土産にしてみようかな。……喜ぶでしょうか)
綺麗な細工の髪飾りを手にして、カティスは大切な人の顔を思い浮かべた。
「レイアは何食べたい?」
明日奈は少し疲労の色を滲ませたレイアに尋ねた。
「ずっと火の側に居て暑いからな……、冷たい物が飲みたい」
「じゃあ、ハナさんがやってる茶屋に行こうか? ゆっくり出来そうだし」
「ああ」
そう言って茶屋に向かった2人は抹茶あられや冷やし飴を頼み、人々の楽しそうな顔を見ながら祭りの雰囲気を味わった。
村の中を巡回していたフィロは、祭りの賑わいに不似合いな泣き声を聞きつけた。
「どうしたの? 迷子?」
頬をビショビショに濡らした少年と目線を合わせるようにしゃがみ込み、優しく尋ねる。
「……………」
唇を噛み締める少年の頭を優しく撫でてあげると、小さな手を取り歩き始めた。案内所に到着すると、すでに母親が来ていて案内係に子供の事を説明している。
「ママーーーー!」
母親に駆け寄る少年をホッと胸を撫で下ろしながら見つめ、
「今度は迷子にならないように気を付けてね」
そう言葉を掛け、祭りに戻っていく姿を見送った。
クレープを作り続けたトリプルJは、屋台の裏で休憩を取っていた。
お腹が空いたので肉巻のクレープを急いで作って齧り付き、辛さが口の中に広がると、一気にエールを呷る。
「くぅーーー! うめぇーー」
労働の後の酒は最高! と言わんばかりに唸った。
丁度そこに追加の食材を運んできたレイナがやってくる。
「お疲れ様です、トリプルJさん」
「レイナか、お疲れさん。そうだ……これがリアルブルー関西人の一家に一枚秘伝の鉄板って奴だ。次はこれ大々的に借りてコーン焼きってどうだ? 使う鉄板は大判焼きでもいいが、どうせなら街の名物作ろうぜ?」
タコ焼き用の鉄板を見せニヤリと笑った。
「真! 射的があるぞ!」
そう言って真と2人射的を始める鈴。不器用な癖に意地になりすぎ、財布はみるみる軽くなっていく……。その横で真は難なく景品を獲得していく。
「……鈴君の分も取ろうか?」
「こういうのは、自分で取ンなきゃ意味ねぇ。いいからもっかい分!」
そう言って真からお金をせびる。
熱くなった分お腹も減り、今度は屋台の良い匂いに釣られフラフラと歩く。涎を垂らしそうな勢いで屋台の料理を見ている鈴を目にして、真は苦笑を漏らした。
(……全く、もう少し遠慮なく甘えればいいのになぁ)
気になった屋台で2人分買うと、
「私も食べたかったし遠慮はいらないよ」
そう言って料理を差しだした。
「……でも、……えっと、……あ、ありがと」
先程の射的でお金をせびったから流石にバツが悪いようで、鈴は素直に礼を言った。
休憩中だと言うのに、ひりょは案内を手伝っていた。
『静かなところが良い』
「それなら東西交流東方茶屋が良いだろう」
『行列が出来ていないお店は』
「今は比較的焼きトウモロコシが空いている」
『賑わっている所に行きたい』
「それなら豪華景品の輪投げだな」
などの要望に応え案内してく。
案内がてら祭り会場を見て回り、自身も輪投げなどに興じ祭りを楽しんだ。
祭りの盛り上がりも最高潮。
鈴のリクエストで真がお囃子を演奏すると、それに合わせてくまごろーが太鼓を叩く。リズムに合わせ誰かが躍りだせば、見ていた誰かも踊り出す。
屋台では売り切れが続出し、そろそろ祭りはお開きの時間となる。やりきった清々しい気持ちのハンター達はお互いに労いの言葉を掛けあった。
「激動の日々だが、こうして皆と仲良く過ごせる時間も大切にしたいものだな」
そう言ってひりょはマテリアル花火を取り出した。鈴も用意していた花火を1本ずつ配り、村の外れでハンター達はそれを空へと向けた。
平和への願い……、人々の幸せ、仲間との絆……。
数ある思いを乗せ、夜空へと打ち上げる。
ハンター達のマテリアルに反応し、花火は色とりどりの大輪を咲かせたのだった―――。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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祭の準備(相談卓) 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/07/21 22:49:18 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/21 20:25:27 |