イルムさん、誕生日プレゼントに悩むの巻

マスター:えーてる

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2014/12/26 07:30
完成日
2015/01/05 04:22

みんなの思い出

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オープニング



「モアさんの好きなものってなんですか?」
 イルムトラウト・イトゥリツァガ(kz0067)の問いかけに、モア・プリマクラッセ(kz0066)は答えた。
「おにぎりですね。食べやすいですし、冷めても美味しいですし」
「なるほど……」
 そうじゃないんだけれど、とイルムは思ったが、努めて顔に出さないようにした。元から出ないが。
 イルムは、モアの勤めるバロテッリ商会で買い物中だった。モアの言い分通り大体なんでも揃うので、イルムは多用している。
「作ってあげれれば良かったんですが、私は料理苦手ですからね……いえ、流石に握るくらいなら……でも作ったことも……」
「いえ、あまり無理をなさらず」
 言外に無理だと言われた気がしたが、事実無理なのでイルムはすっぱり諦めた。
 ――何をしているのかと言われれば。
 来る12月18日が、何を隠そうこのモア・プリマクラッセ女史の誕生日なのだ。
 日頃から世話になっている彼女にプレゼントを渡そうと、ルミ・ヘヴンズドア(kz0060)とイルムが共謀して誕生日パーティを企てた。これはその事前調査なのである。
 であるが、進捗は芳しくなかった。
(そもそもモアさん、あまり自分の事話しませんし。表情が読めませんしね……)
 自分の表情の事は棚に上げていた。ちなみに、私事を話したがらないのはルミもである。受付嬢三人娘の関係はわりと秘密が多いのだ。ルミ曰く「秘密は女を美しくする」らしいが……。
(ともかく、今は調査を隠密に。バレると面白く無いですからね)
 イルムは見た目ほどお堅い性格ではない。茶目っ気と言い張れる年ではないが、少なくとも自分が子供っぽい部分があるという自覚はあった。一回り年の離れたルミとこんなことを企めるくらいには。
「おにぎりはリアルブルーの文化だそうですが」
「日本文化ですね。私は出身国が違うのでなんとも……」
「ちなみに、そちらにはああいった手頃な食事は?」
「作業中でも食べやすいという意味では、あまり。サンドイッチに似たものはありますが……。味の濃い物が多いですね。外国からは酒の国みたいなイメージを持たれることが多いので」
 ドイツと言えばソーセージとビールだったし、イルムも実際ビール好きであるし、黒ビールは大の好みであるし、ソーセージも好物だ。プレッツェルが一番なのだが。
 思い出しているうちに故郷のシュニッツェルの味を思い出して舌が物悲しくなってきたイルムであった。しかし料理は出来ないので、手を伸ばしかけた牛ヒレからは潔く手を引いた。
「あぁ、ハンバーグもうちの発祥ですね」
 こっちにもあって驚いた、とイルムが言うと、モアは一つ頷いた。
 続く何気ない言葉に、イルムははっとした。
「なるほど。リアルブルーの文化は興味深いですね……」
 ――それだ!
 イルムは危うく出かけた母国語をぐっと飲み込んだ。


「というわけで、皆さんに声をかけた次第です」
 イルムはそう締めくくった。
「単なる雑談の種かもしれませんが、ルミさんも私も向こうの住人ですし。贈るならば、これ以上の着想はないと思いまして」
 あまりに自然に馴染んでいて、気付くのが遅れたらしい。仲睦まじいことだ。
「お恥ずかしながら、実はプレゼントを選ぶのは苦手で……皆さんにご協力いただければと思うのですが」
 ルミ曰く「イルムさん感性ズレてますし。『忙しいと落ち着く』とか人間は言わない」。イルムも学生時代から今に至るまで、心当りが山ほどあった。
 じゃあクリムゾンウェストの人がいる必要はないんじゃないの? という疑問に、イルムは首を横に振った。
「クリムゾンウェストの皆さんが驚いたり喜ぶような品物であれば、多分モアさんも喜ぶんじゃないかと」
 少なくとも物珍しく機能的であれば飯の種になるはずだ。根っからの商人であるモアには嬉しい話、のはずだ。
「それと……ルミさんがパーティの設定はしてくださるそうなので、私個人のプレゼントとは別に、モアさんへ物を渡すことも出来そうです」
 当日参加出来るか分からない人もいるだろうし、イルムに預ければ代理で渡すことは出来る。
「以上です。……皆さんの力を貸してください。お願いします」
 イルムは深々と頭を下げた。

リプレイ本文


「み、御崎・汀です。よろしくお願いしますっ」
「はい、今日はよろしくお願いします」
 テンパってお辞儀する御崎・汀(ka2918)に、イルムは小さく頭を下げた。
「皆さんも、今日はありがとうございます」
 公民館の部屋を一つ借りて、皆腰を下ろしていた。
「普段お世話になっているイルムさんのお手伝いを、と思いましたが。エルフなのでお力になれるかどうか……」
 セレス・カルム・プルウィア(ka3145)は頬に手を当ててそう言った。
「ですが、考えましょう。書狂の名が泣きます」
「セレスさんの知見、是非アテにさせてください」
 勿論ですと頷くセレスの隣で、岩波レイナ(ka3178)が両手を顎の下で組んでいた。
「心がこもっていれば、やっぱり何でも良い気がするのよね」
「でもやっぱり、贈るなら喜んでもらえる物がいいなと思いませんか?」
「そこが問題、か」
 こちらとあちらで贈るものなんて変わらないだろう、とレイナは思うけれど。
「モア君か……」
 エリオット・ウェスト(ka3219)は遠い目をしてぼやいた。
「モアさんと面識が?」
「うん、まぁ……あの人、僕が襲われてるのに、部屋を出ていっちゃったんだよね」
 イルムは微妙な声で曖昧に相槌を打った。そういえば一月ちょっと前、モアがギークな日本の文化について聞いてきたことを思い出した。多分それ絡みだろう。
 どう受けても拗れそうな話題だ。逃げるように視線を逸らした先で、アレス=マキナ(ka3724)が頷く。
「話しているばかりではなんですし、ひとまず順番に意見を聞いてはどうでしょう?」
 彼女の伝わりづらい困惑を上手く拾って対処する辺りは「女性の幸福を願うもの」と宣うだけはあるのだろう。
「そうですね、そうしましょう」
 イルムは内心で感謝しながら、皆の顔を見回した。


 真っ先に名乗り出たのは、三河 ことり(ka2821)だ。真白・祐(ka2803)と汀と彼女で仲良し三人組らしい。
「まず初めに、心を込めれば大丈夫なの。その上で、別に物でなくてもいいの。例えば……音楽とか」
「ことりちゃん?」
 不穏なものを感じた汀の問いにも答えず、ことりは徐ろにバイオリンを取り出した。
「見本見せるの、ことりはバイオリンが得意なの」
「……え? 見本? って……まてええ!」
 慌ててバイオリンを引ったくる祐の顔を見て、火の着いた爆弾を見た兵士のそれだなとイルムは思った。
 何か言おうか思案するイルムの前で、しょげることりがふと顔を上げて祐を見る。
「……ところで、祐君は汀ちゃんの誕生日に何をあげたの?」
「うげ」
「え、私のお誕生日、ですか?」 
「参考までに聞きたいの。あと、ことりの時は何かくれるのかな?」
 首を傾げることりに祐は冷や汗をかく。
「あの時は……偶然見つけていいなーって思った……」
「ま、まあ待て。今はイルムさんの相談に乗る方が先だ。な?」
 照れながら詳細を語ろうとする汀を押しとどめ、祐は強引に話を戻して当座の安寧を得る。ちなみに見栄を張って服を買った。
 ことりは咳払いをして、本題を進める。
「出来る限りニーズに答えようと思うの。とりあえず思いついたのは……化粧品なの。無表情が売りなのか分からないけど……きっと喜んでくれると思うの」
「なるほどー」
 汀が小さく感嘆の声を上げる中、ことりは更に首をひねった。
「使ったこと無い……香水とか家にあったかもなの、あげるの」
「いえ、そこまでしてもらうわけには」
 イルムは両手を振ってその申し出を断った。イルムも向こうの化粧品なら予備が少しある。
「使いやすい物なら喜びそうな気がします」
 一考の余地有り。イルムは黒板に『化粧品』とメモを書いた。
 次は、祐の番だ。
「こういうのはどうかな?」
 祐が手に取った色紙が丁寧に折りたたまれ、すぐに小さな折り鶴となった。
「折り紙、自分でもどうかと思ったんだけど、実はこれ日本より外国の方で人気って聞……」
 イルムはじーっとそれを見つめていた。外国の方でというなら、彼女もれっきとした外人である。
「……いる?」
「いいんですか?」
 目が心なしか輝いている気がする。祐は折り鶴を一羽手渡した。
「海外だとインテリアで使うって聞いたし、珍しいし。何より送り手の手がかかってる事が大きいしさ。プレゼントに添えるのはどうかな?」
「私もいいと思います。折り紙でつくった花束とか……」
 祐と汀の言葉に頷きながら折り鶴を一頻り眺めたあと、彼女は『折り紙』とメモを取った。


 次はセレスだ。
「モアさんのお好きなものがおにぎりだとお聞きしました」
「結構、身も蓋もない理由なんですよね」
 食べやすくて冷めても美味しい、と言い放った時のモアの顔(平時と全く変わらない)を思い出してイルムは辟易した顔をした(平時と全く変わらない)。
「そこから派生させ、思いついたものを幾つか……」
 まずは日本の緑茶だ。
「商人としてお忙しい方ですが、食事は必須。お茶は、おにぎりにも良く合います」
 支給品にもありますし、とセレスは言った。勿論紅茶はこちらにもあるし、探せば日本茶向きのものもあるだろう。質の良い物を探す手段もある。
「西欧だと砂糖を入れたものが一般的ですが、日本だと違うんですよね?」
「うえ、砂糖か……」
 レイナが苦い顔をした。まぁ日本人だとそうなるだろう。
「あとは陶物ですね」
 おにぎりを載せる器と湯飲みのセットはどうだろうとセレスは言うが、イルムは首を捻った。
「物によっては美術品としての価値を持つものがあるそうです。そういった品物はモアさんの見識にも通じるのではないかと」
 耳聡いモアのことだから聞き入れているかもしれないとは、イルムとセレスの共通見解であったが。加えて言えば、わりと効率主義のモアが手間のかかるお茶を淹れるかどうか不安な所もあった。
 ……あ、でも冷めても美味しいし、先に淹れて持ち歩く形ならいけるのでは?
 イルムは悩んだ。
「『ワビ・サビ』という静穏で、情緒の深い心の文化を表すものでもあったようです」
「ワビ・サビですか」
「ワビ・サビです」
 居合わせた四名の日本人からすると奇妙なやりとりではあったが、その言葉にはイルム的にも思う所があるらしく、黒板に『緑茶と陶器』と書いて、『希少』と付け足した。
「日本文化をこちらで生産しているかどうかにかかっていますね」
「……やはり難しいでしょうか?」
 伝統工芸を安々と真似できるかという点もある。少々調達の可能性に不安を抱えているのは否めない。珍しい物を贈りたいという要望故に当然なのだが。
「和風というのはいいですね」
 イルムはそこで暫く口元に手を当てて考え込んだ。
「そういえば、物珍しさで和紙を買ったりしましたね……それで包装を編んだり出来ませんか?」
 尋ねられた祐はしばし斜め上を見上げて、それから答えた。
「出来ると思う。和紙なら頑丈だし。でもあんまり大きいのは難しいかな……」
 イルムは黒板に『包装:和紙を折る』と付け足した。


「普通に言えば、アクセサリーよね。ロケットペンダントとか?」
 レイナはそう切り出した。
「……捻りが無いとか、言わないでよねっ!」
 イルムは開いた口を閉じた。
「珍しくって、驚いて貰えそうな物なのよね……私だったら、大好きな歌姫の歌を貰えれば、この上ない幸せだけれども」
「そういうのは特に聞きませんね……」
 ハンターの活躍を聞くのが静かな趣味であることは知っているが、それをプレゼントというのも難しい。
 歌という言葉にことりが反応した。
「音楽……私じゃなくてもいいから演奏してみたりとか」
 それを聞いてレイナが顔を上げた。
「まさか、自作の曲のプレゼントとか」
「ポエムとか」
「失笑もの……よね」
「面白そうなの」
「え?」
「え?」
「その手の創作は苦手なのでなしの方向でお願いします」
 顔を見合わせる二人にイルムは割って入る。
 それから暫くレイナは頭を悩ませるが、ついに吼えた。
「あー難しい! もう直接聞いちゃえば?」
「それとなく聞いた結果が……」
「おにぎりだったか……」
 彼女は肩を落とした。イルムとしては、少なくとも好物が判明しただけマシだと思っていた。
「サプライズで、あたし達……ハンターも参加する、とか? クラッカーでも鳴らして、おめでとう!ってやって……」
 イルムは首を傾げた。
「そういえば、ルミさんがパーティの方を担当しているはずですが、今どうなってるんでしょうか」
「そうなの?」
 イルムは首肯した。
 彼女の名誉の為に黙っておくが、イルムはルミがこっそり悲鳴をあげていたのを知っているし、それくらい真剣に取り組んでいたことも知っている。恐らくその後彼女が取る手段も想像がつくし、その結果、レイナの言うようにハンターたちを呼ぶことになるかもしれないとは思う。
 ただまぁ憶測であるし、パーティについてこちらから口を出すのはルミのプライドに恐らく反する。
 と、イルムが黙っている隣で、レイナは一つ閃いて顔を上げた。
「……そうだ! 服とかどうかしら! ありきたりだけれど、着物とかってあんまりないんじゃない?」
「着物……」
 着物自体は知っている。地球出身のハンターがよく着ているし、そうでなくても着物に似た衣装はこちらにもある。イルムはぼんやりと着物を着たモアを思い浮かべた。
「あ、似合いますね」
「でしょ? もう直ぐお正月だし、一寸高価すぎる気もするけど、珍しくはあるんじゃないかしら」
 物も、知り合いの日本人に頼めば融通は効きそうだ。そこまで考えて、ふと重要な点に思い至った。
「……あ。私、モアさんのスリーサイズ知りませんね」
「あー、サプライズには使えないか……」
 こんなことなら寸法くらい取っておくべきだった。どうやってかは兎も角。
「無理なら、かんざしとか。和風の物ってあんまり流通してない気がするのよね」
 イルムは黒板に『簪』と書き足した。


「さて、イルムトラウト君」
「略称で構いませんよ?」
「名前? 別に呼んでほしい言い方があるなら、そう呼ぶよ」
 いきなり略称だなんて失礼だしね、と言う彼に、イルムは特段気にせず「では、イルムと」と答えた。
「じゃあ、イルム君。はい、これ」
 エリオットはメモ紙を手渡した。
『水500mlに対して重曹5g、クエン酸5g(しぼり汁だとレモン一個分くらいかな)、砂糖50gを用意。水を250mlのニつに分け、片方に重曹、もう一方にクエン酸を溶かす。どっちかに砂糖を溶かす。最後に両方をゆっくり混ぜる』
「500mlもあれば、三人でコップ一杯づつでちょうどいいかな?」
「……」
「甘さが足りないと、ちょっとしょっぱさを感じるかもね」
「……」
「余裕があれば何度か作ってみて調整してみてよ」
 エリオットは何故か鼻高々にそう言った。
 イルムは暫くメモを眺めた後、顔を上げた。
「エリオットさん、もしかしてモアさん恨んでます?」
 黒板には当然のように未記載であった。


「あまり特殊なものや高価なものでは、気が引けるのではないかと思うのですよ」
 アレスはそう前置きした。
「そうですね。僕としては商会の方ですから日用品の類がよいのではないかと思うのです」
「まぁ……実用性重視の人ではありますね」
 イルムは頷いた。
「高価に見えるものも、商人と言う立場を考えておくと避けたほうがいいのかもしれません」
 やっかみを買いかねない部分もありますし、と彼は言った。
「リアルブルーではさして珍しいものでも高価なものでも無いけれど、こちらでは未だにないもの……」
「勿体ぶってないで早く教えなさいよ」
 急かすレイナに、アレスは微笑んだ。
「――筆記用具、と言うのはどうでしょうか?」
 少なくともイルムとしては、それは盲点であった。
「商人の方でも日常的に使うものだと思います。確かリアルブルーでは『万年筆』と言うものがありましたよね」
 万年筆。確かに目新しさはない。イルムは日記を書くときに常用している。だが西方では羽ペンが普通だ。ほんの少数存在しているようだが、性能は雲泥の差である。仕事に使えて高性能な物ならモアが喜びそうだとイルムは思った。
「贈り物などでも戴く事もある、と以前リアルブルーの方に伺ったことがありますし、見せていただいた事もあります」
 言われてみればその通りだった。イルムは久しぶりに感服していた。
「サイズを考えればラッピングも手間が掛からないでしょうし……折り紙でも包装出来るんじゃないでしょうか?」
「――それにしましょう。皆さんには申し訳ないですが」
 即決であった。この辺りイルムも大概だ。
「でも現物はどうやって手に入れるんだい?」
「サルヴァトーレ・ロッソの倉庫等に未使用品があるのではないでしょうか?」
「いえ、物は既にあります」
 エリオットの問いにアレスが答え、イルムが首を振った。
「お気に入りのメーカーのものがありまして。書きやすくインクが滲まずキレもいい、デザインも悪くない……予備を買い込むくらいの良品なんです」
 イルムは一人で頷いて、黒板に筆記用具とメモって丸く囲んだ。
「替えのインクをロッソから頂いて、ついでに他の筆記用具も付けましょうか」
 それらを箱に入れて収めて、箱を折り紙で包装だ。デザインが木目調なので和装にも合うはずだ。
 これで決定である。


「皆さん、今日はありがとうございました」
 出た案はまた別の機会に使うかもしれないので、大事にとっておくことにした。
「誕生日、喜んでもらえると良いわね」
 退出間際、レイナがぽつりと呟いた。
「べ、別にあたしが喜ばせたいとか、お祝いしたいとか、思ってないんだからね! 勘違いしないでよねっ!!」
「……そうですね。喜ばせたいですし、祝ってあげたいですね」
 その場をぱっと離れたレイナは、やや遠くから大声を出した。
「でも、当日上手く行く事は祈っててあげるわ!」
 それだけ言って照れたように駆け出す彼女をイルムは見送った。
「イルムさん」
 と、その背中にセレスが声をかけた。
「これは、私からイルムさんへ」
 手渡されたのは、ホップを模ったアクセサリだった。
 驚いたのだろう、ほんの少し目を見開いたイルムに、セレスは続けた。
「ビールに添えて味わいを深める、ビールには無くてはならぬものとか。私達ハンターがビールなら、イルムさんの存在はまさにそれかと」
「そんなに大層なものではありませんよ」
 酒に喩えられる辺りは、日頃の行いである。
「ホップを最初に使ったのは聖女ヒルデガルト、彼女もまた勤勉な方だったようです」
 イルムさんのような方だったのでしょうか、という彼女の言葉に、イルムは苦笑に似た声を漏らした。
「いつも本当に、ありがとうございます」
 ――さて。今のこの喜びを、今度は私がモアさんへ伝える番ですね。
 イルムは手元のアクセサリと折り鶴を見て、口元を緩めた。

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  • 真白・祐ka2803
  • 麗しきストーリーテラー
    セレス・カルム・プルウィアka3145
  • 冒険者
    アレス=マキナka3724

重体一覧

参加者一覧

  • ブラッド・ロック・ブルー
    ヤナギ・エリューナク(ka0265
    人間(蒼)|24才|男性|疾影士

  • 真白・祐(ka2803
    人間(蒼)|18才|男性|機導師

  • 三河 ことり(ka2821
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士

  • 御崎・汀(ka2918
    人間(蒼)|18才|女性|魔術師
  • 麗しきストーリーテラー
    セレス・カルム・プルウィア(ka3145
    エルフ|26才|女性|魔術師
  • 歌姫の大ファン
    岩波レイナ(ka3178
    人間(蒼)|16才|女性|機導師
  • 可愛い坊や♪
    エリオット・ウェスト(ka3219
    人間(蒼)|13才|男性|機導師
  • 冒険者
    アレス=マキナ(ka3724
    エルフ|15才|男性|霊闘士

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依頼相談掲示板
アイコン プレゼントの選定を(相談
アレス=マキナ(ka3724
エルフ|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/12/24 21:18:50
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/12/24 21:14:06