ゲスト
(ka0000)
ジェーンの引っ越し
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/13 15:00
- 完成日
- 2018/08/14 14:33
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●異動命令
その日、ジェーンは上司に呼ばれて辞令を受け取った。
今までのハンターズソサエティ本部での勤務から、ゾンネンシュトラール帝国のハンターズソサエティ支部へ転勤が決まったのだ。
正確には、異動する上司のエルス・モウザルに引き抜かれる形での異動になる。
独身で物を無駄に溜め込んでいるわけでもないので、転勤自体は問題ないが、移動が少々面倒くさい。
ジェーンはハンターたちのように転移門を使用するのではなく、旅での移動を計画しているからだ。
なお、エルス・モウザルはさっさと家族を連れて別口で護衛を雇って一足先に向かってしまった。引き抜いた部下を置いて行くとは薄情な上司である。
「……念のため、ハンターの方々に護衛を依頼しておきましょうか。道中何に襲われるか分かりませんし」
動物や盗賊、雑魔。ハンターならばいざ知らず、受付嬢にはどれも相手にするには少々荷が重いだろう。
受付嬢という括りにジェーンが大人しく収まるような性格かどうかは別として。
本当に裏があるかどうかはともかく、ジェーン・ドゥという露骨な偽名といい、うさんくさい態度といい、彼女は癖のある女性なのである。
愉快犯的側面もあり、これだけ思わせ振りな一面ばかりの癖して、蓋を開けてみたら何も出てこない可能性すらある。
というかそっちの可能性の方が高いが、もしかしたらと思わせるうさんくささが、彼女が彼女たる所以だ。
「……うふふ。どんなハンターが受けてくださるでしょうか」
いつも通り、ジェーンはうさんくさい満面の笑みを浮かべて依頼の手続きを始めた。
●護衛依頼
以下、ジェーンが出した依頼の全文である。
『自由都市同盟の冒険都市リゼリオからゾンネンシュトラール帝国の帝都バルトアンデルスまでの旅の道中、護衛を引き受けてくださるハンターの方々を募集いたします。
期間は一週間、報酬は普通、道中の食費等雑費についてはこちらで負担いたします。
長期間の旅になることが予想されますので、道中全てではなく、目的地までの一定区間を護衛していただく形になります。
ハンターズソサエティ所有の馬車を帯同させますが、荷物が軽いためそこそこの速度が出ると思われます。
大型の馬車ですので、ハンターの皆様も宿泊場所としてご利用いただけます。
皆様の参加をお待ちしております』
手早く依頼作成手続きを終え、自ら受理まで手続きを進めたジェーンは、上司の下へ依頼を持っていくために席を外した。
その途中、ふと心配が頭を過ぎる。
(誰も参加者がいなかったらどうしましょう……)
何しろ、普段行っている所業について自覚があるジェーンである。
割に合わなさ、面倒くささ故に流れそうな依頼を斡旋したのは一度や二度ではない。
うさんくさい笑顔のまま、少し心配になるジェーンであった。
その日、ジェーンは上司に呼ばれて辞令を受け取った。
今までのハンターズソサエティ本部での勤務から、ゾンネンシュトラール帝国のハンターズソサエティ支部へ転勤が決まったのだ。
正確には、異動する上司のエルス・モウザルに引き抜かれる形での異動になる。
独身で物を無駄に溜め込んでいるわけでもないので、転勤自体は問題ないが、移動が少々面倒くさい。
ジェーンはハンターたちのように転移門を使用するのではなく、旅での移動を計画しているからだ。
なお、エルス・モウザルはさっさと家族を連れて別口で護衛を雇って一足先に向かってしまった。引き抜いた部下を置いて行くとは薄情な上司である。
「……念のため、ハンターの方々に護衛を依頼しておきましょうか。道中何に襲われるか分かりませんし」
動物や盗賊、雑魔。ハンターならばいざ知らず、受付嬢にはどれも相手にするには少々荷が重いだろう。
受付嬢という括りにジェーンが大人しく収まるような性格かどうかは別として。
本当に裏があるかどうかはともかく、ジェーン・ドゥという露骨な偽名といい、うさんくさい態度といい、彼女は癖のある女性なのである。
愉快犯的側面もあり、これだけ思わせ振りな一面ばかりの癖して、蓋を開けてみたら何も出てこない可能性すらある。
というかそっちの可能性の方が高いが、もしかしたらと思わせるうさんくささが、彼女が彼女たる所以だ。
「……うふふ。どんなハンターが受けてくださるでしょうか」
いつも通り、ジェーンはうさんくさい満面の笑みを浮かべて依頼の手続きを始めた。
●護衛依頼
以下、ジェーンが出した依頼の全文である。
『自由都市同盟の冒険都市リゼリオからゾンネンシュトラール帝国の帝都バルトアンデルスまでの旅の道中、護衛を引き受けてくださるハンターの方々を募集いたします。
期間は一週間、報酬は普通、道中の食費等雑費についてはこちらで負担いたします。
長期間の旅になることが予想されますので、道中全てではなく、目的地までの一定区間を護衛していただく形になります。
ハンターズソサエティ所有の馬車を帯同させますが、荷物が軽いためそこそこの速度が出ると思われます。
大型の馬車ですので、ハンターの皆様も宿泊場所としてご利用いただけます。
皆様の参加をお待ちしております』
手早く依頼作成手続きを終え、自ら受理まで手続きを進めたジェーンは、上司の下へ依頼を持っていくために席を外した。
その途中、ふと心配が頭を過ぎる。
(誰も参加者がいなかったらどうしましょう……)
何しろ、普段行っている所業について自覚があるジェーンである。
割に合わなさ、面倒くささ故に流れそうな依頼を斡旋したのは一度や二度ではない。
うさんくさい笑顔のまま、少し心配になるジェーンであった。
リプレイ本文
●出発準備
準備を整えたハンターたちに、前の区間を担当していた別の班から到着の連絡が入った。
事前に決められていた待ち合わせ場所で待っていると、旅装姿の受付嬢ジェーン・ドゥがやってくる。
挨拶のあと、護衛をするに当たっての諸注意がジェーンから伝えられる。
「担当区間を過ぎると、別のハンターの方々の班と交代していただくことになります。それでも一週間という長い期間ですので、ご不便をおかけしてしまうかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。まだ少し時間がございますので、皆さま準備を続けてくださいませ」
それらを聞いたハンターたちは思い思いに出立の準備を始めた。
(ジェーンの頼みとあらば、引き受けないとね~。得意なのは戦闘だけど、身の回りの細々としたことも、お手伝いを頼まれたら、やらないことはないよ。うまくできるとは限らないけど、一生懸命やるからね)
既に彼女が斡旋した依頼を何度もこなしたことのある夢路 まよい(ka1328)は付き合いも慣れたもので、本来の護衛任務以外にもできることがあればやってもいいと思っているようだ。
(雨具、水着、必要分の着替え……。一週間も経つと臭いそうですし、色々準備しなければなりませんねぇ。それでは、買い揃えに行きますか。掘り出し物はありますかねぇ?)
Gacrux(ka2726)が準備をするために腰を上げようとすると、ジェーンが動き出したGacruxに気付いてやってきた。
彼女がいうには、今回の護衛中に準備したものの代金は全て雑費として建て替えることが可能らしい。依頼料金から差し引かれることもないようだ。
(転勤おめでとう。向こうでも依頼を受けに行くからよろしくな。さて、友人の引越しを手伝って食事だけでなく報酬も出る割のいいアルバイトはここでいいのか? 全く、普通に声をかけてくれてもよかったものを……まあ、今度何か奢ってチャラにしてやろう)
依頼を斡旋する受付嬢と依頼を受けるハンターという関係なれど、レイア・アローネ(ka4082)はジェーンの事を同時に憎めない友人と認識しているようだ。
思えば最初の斡旋からひどい依頼を押し付けられたような気がしないでもないが。
(馬車での移動中の護衛を引きうけちゃったけど、あたし、よくよく考えたら、身の回りのお世話とか家事的なものは苦手だったの。敵が襲ってきた時の備えに集中しようかな)
四人の中で唯一ジェーンと初見なのが札抜 シロ(ka6328)だ。
彼女は手品師で、移動中にジェーンが退屈するようなら、退屈しのぎに手品を披露してもいいかもと思っていた。
そういう時のために、必要になった時すぐにでも取り出せるように、トランプを身体のあちこちに仕込んであるのだ。
こうして準備を済ませた一行は、一週間の旅に出た。
さあ、依頼の始まりだ!
●道中あれこれ
旅はのどかなものだった。
空は快晴で、御者をするジェーンと馬車を護衛しながら、ゆっくりと行う旅は、目まぐるしく流れる都会の空気とは違う穏やかな時間が流れている。
まよいは時折杖に乗って空を飛び、上空から周囲を警戒することで、敵の早期発見に努めようとしている。
いつも飛んでいるわけにはいかないので、その間は彼女以外が警戒する番だ。
馬で馬車と並走して周辺を警戒しながら、Gacruxが地面など異常が無いか確認している。
敵の気配にも気を払いつつ、ギアモノクルの望遠機能を使い遠くを見張る姿は、さすがハンターといったところだ。
二人の努力の甲斐あって、最初の異変を無事に察知することができた。
ハンターたちの背後から忍び寄ってくるのは、肉食獣の群れだ。
早期発見に成功したことで、余裕がある。
シロはこの時間を使って、占いで吉方と凶方を感知してみることにした。
先手を取る確率を、より確実にしようというのである。
来ることが分かっているなら、肉食動物など脅威にもならない。
実際肉食動物が現れると、現場は抽選会さながらのようだった。
まよいの魔法の矢とシロの稲妻を発生させる符で大半が討たれ、幸運にもこれらの攻撃を掻い潜った個体も、馬車とジェーンを守るレイアによって阻まれ、魔導剣によって討ち取られた。
Gacruxも機械槍を携え護衛についていたので文字通り盤石である。
一応、盗賊についても触れておこう。
彼らは最初に弓の斉射を行い剣に持ち替えて襲い掛かってきたが、まあハンターに勝てるわけもなく。
まよいの眠りの魔法やシロの捕縛効果がある符術で無力化され、運よく範囲から逃れたとしても、馬車とジェーンを護衛するGacruxとレイアの双璧を抜くことなど、盗賊風情には荷が重過ぎた。
「去りなさい。此処が命を棄てる処ですか」
「逃げなければ木にでも縛り付けておくことになる。獣に襲われて死ぬかもしれんぞ」
Gacruxとレイアの脅しで、盗賊たちの何人かが逃げ出した。
それでも向かってくる者もいて、そういう者は捕まえるしかない。
となれば、次に問題となるのは、この無力化して捕まえた盗賊たちをどうするかだ。
これが護衛依頼である以上、連れて歩くのは論外である。
かといって、依頼人であるジェーンの目の前で殺すのも少し気が引ける。殺してしまったら殲滅を避けた意味がない。
「うーん、どうしようか?」
「ジェーンさんに聞いてみるといいかも」
まよいとシロが連れ立ってジェーンに盗賊たちの処遇を尋ねに行く。
話を聞いたジェーンはうさんくさい微笑みを浮かべて答えた。
「そうですね。連れては行けないですし、武装解除を兼ねて身ぐるみはいで放置しておきましょう」
ある意味では、ただ殺すよりも惨い処置だった。
のどかだった旅もずっと続けていると色々と変化が生じてくる。
一つは天気の乱れだ。
全く変わらないというのはほとんどないし、まだ夏とはいえちょうど崩れやすい季節の変わり目が近付いていることもあり、度々急変して大雨が降った。
馬車がぬかるみにはまって動けなくなることもあったが、まよい、Gacrux、レイア、シロの四人がいれば割とどうにでもなった。
中にはこれ幸いとばかりに雨をシャワー代わりにしている者もいたりもして、さらに運よく水場も発見することができた。
しっかりと安全確認を行ってから、これ幸いと皆で水浴びを行うことにする。
着替えはディビーという名の辺境式野営テントを組み立ててその中で行った。
当然、全員が丸腰になるようなことはなく、武器を携えたまま各自順番に水浴びをする。
その間、他の人員は荷物や周りを見張る。
全員がつかの間のひと時を楽しんだ。
食事は全てジェーンが提供した。
最初の一日は美味しいと評判な店の弁当で、二日目からは保存食が中心になる。
保存食と侮るなかれ、肉だけでもオーソドックスな食肉である牛豚鳥の干し肉や瓶詰の他にも野菜の漬物やドライフルーツ、木の実など、多種多様に及ぶ。
まあ、主食だけは日持ちするように固く焼かれた、旅人御用達の代わり映えしないパンが続いたが。
夜営の際は、まよい、Gacrux、レイア、シロ、ジェーンの五人で一つの焚火を囲み、歓談を行い友好を深めた。
焚火の揺らめく火に照らされながら、詩集を読書している者もいる。
周りでは虫の音が聞こえる。
その中には気が早く秋に鳴く虫も混じっていた。
●到着と引継ぎ
結論からいうと、今回の護衛依頼期間中には動物に襲われたのが三回、盗賊に襲われたのが二回あった。
雑魔は現れなかった。出会わなかっただけか、それとも元から存在しなかったのかは分からない。
動物は問題なく始末、あるいは追い払い、盗賊は適当に撃退して武装解除して身ぐるみはいで放置した。
中継点であり、今回の護衛依頼の目的地である街につき、ジェーンがハンターたちを労う。
「皆さま長旅お疲れ様でした。こちらが今回の報酬になります」
一人一人に、ぎっしりと中身が詰まった袋が手渡される。
「アフターサービスとして今晩の宿も取らせていただいておりますので、よろしければ一泊して旅の疲れを癒してからお帰りください。もちろんこのままご帰宅されても構いません。希望する方々は、転移門までお見送りさせていただきます」
すらすらとジェーンが受付嬢らしく案内を述べていく。
ジェーンと最後の挨拶をかわし、まよい、Gacrux、レイア、シロの四人はやってきた次のハンターたちに引継ぎを済ませると、各々の目的地へ向かうのだった。
準備を整えたハンターたちに、前の区間を担当していた別の班から到着の連絡が入った。
事前に決められていた待ち合わせ場所で待っていると、旅装姿の受付嬢ジェーン・ドゥがやってくる。
挨拶のあと、護衛をするに当たっての諸注意がジェーンから伝えられる。
「担当区間を過ぎると、別のハンターの方々の班と交代していただくことになります。それでも一週間という長い期間ですので、ご不便をおかけしてしまうかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。まだ少し時間がございますので、皆さま準備を続けてくださいませ」
それらを聞いたハンターたちは思い思いに出立の準備を始めた。
(ジェーンの頼みとあらば、引き受けないとね~。得意なのは戦闘だけど、身の回りの細々としたことも、お手伝いを頼まれたら、やらないことはないよ。うまくできるとは限らないけど、一生懸命やるからね)
既に彼女が斡旋した依頼を何度もこなしたことのある夢路 まよい(ka1328)は付き合いも慣れたもので、本来の護衛任務以外にもできることがあればやってもいいと思っているようだ。
(雨具、水着、必要分の着替え……。一週間も経つと臭いそうですし、色々準備しなければなりませんねぇ。それでは、買い揃えに行きますか。掘り出し物はありますかねぇ?)
Gacrux(ka2726)が準備をするために腰を上げようとすると、ジェーンが動き出したGacruxに気付いてやってきた。
彼女がいうには、今回の護衛中に準備したものの代金は全て雑費として建て替えることが可能らしい。依頼料金から差し引かれることもないようだ。
(転勤おめでとう。向こうでも依頼を受けに行くからよろしくな。さて、友人の引越しを手伝って食事だけでなく報酬も出る割のいいアルバイトはここでいいのか? 全く、普通に声をかけてくれてもよかったものを……まあ、今度何か奢ってチャラにしてやろう)
依頼を斡旋する受付嬢と依頼を受けるハンターという関係なれど、レイア・アローネ(ka4082)はジェーンの事を同時に憎めない友人と認識しているようだ。
思えば最初の斡旋からひどい依頼を押し付けられたような気がしないでもないが。
(馬車での移動中の護衛を引きうけちゃったけど、あたし、よくよく考えたら、身の回りのお世話とか家事的なものは苦手だったの。敵が襲ってきた時の備えに集中しようかな)
四人の中で唯一ジェーンと初見なのが札抜 シロ(ka6328)だ。
彼女は手品師で、移動中にジェーンが退屈するようなら、退屈しのぎに手品を披露してもいいかもと思っていた。
そういう時のために、必要になった時すぐにでも取り出せるように、トランプを身体のあちこちに仕込んであるのだ。
こうして準備を済ませた一行は、一週間の旅に出た。
さあ、依頼の始まりだ!
●道中あれこれ
旅はのどかなものだった。
空は快晴で、御者をするジェーンと馬車を護衛しながら、ゆっくりと行う旅は、目まぐるしく流れる都会の空気とは違う穏やかな時間が流れている。
まよいは時折杖に乗って空を飛び、上空から周囲を警戒することで、敵の早期発見に努めようとしている。
いつも飛んでいるわけにはいかないので、その間は彼女以外が警戒する番だ。
馬で馬車と並走して周辺を警戒しながら、Gacruxが地面など異常が無いか確認している。
敵の気配にも気を払いつつ、ギアモノクルの望遠機能を使い遠くを見張る姿は、さすがハンターといったところだ。
二人の努力の甲斐あって、最初の異変を無事に察知することができた。
ハンターたちの背後から忍び寄ってくるのは、肉食獣の群れだ。
早期発見に成功したことで、余裕がある。
シロはこの時間を使って、占いで吉方と凶方を感知してみることにした。
先手を取る確率を、より確実にしようというのである。
来ることが分かっているなら、肉食動物など脅威にもならない。
実際肉食動物が現れると、現場は抽選会さながらのようだった。
まよいの魔法の矢とシロの稲妻を発生させる符で大半が討たれ、幸運にもこれらの攻撃を掻い潜った個体も、馬車とジェーンを守るレイアによって阻まれ、魔導剣によって討ち取られた。
Gacruxも機械槍を携え護衛についていたので文字通り盤石である。
一応、盗賊についても触れておこう。
彼らは最初に弓の斉射を行い剣に持ち替えて襲い掛かってきたが、まあハンターに勝てるわけもなく。
まよいの眠りの魔法やシロの捕縛効果がある符術で無力化され、運よく範囲から逃れたとしても、馬車とジェーンを護衛するGacruxとレイアの双璧を抜くことなど、盗賊風情には荷が重過ぎた。
「去りなさい。此処が命を棄てる処ですか」
「逃げなければ木にでも縛り付けておくことになる。獣に襲われて死ぬかもしれんぞ」
Gacruxとレイアの脅しで、盗賊たちの何人かが逃げ出した。
それでも向かってくる者もいて、そういう者は捕まえるしかない。
となれば、次に問題となるのは、この無力化して捕まえた盗賊たちをどうするかだ。
これが護衛依頼である以上、連れて歩くのは論外である。
かといって、依頼人であるジェーンの目の前で殺すのも少し気が引ける。殺してしまったら殲滅を避けた意味がない。
「うーん、どうしようか?」
「ジェーンさんに聞いてみるといいかも」
まよいとシロが連れ立ってジェーンに盗賊たちの処遇を尋ねに行く。
話を聞いたジェーンはうさんくさい微笑みを浮かべて答えた。
「そうですね。連れては行けないですし、武装解除を兼ねて身ぐるみはいで放置しておきましょう」
ある意味では、ただ殺すよりも惨い処置だった。
のどかだった旅もずっと続けていると色々と変化が生じてくる。
一つは天気の乱れだ。
全く変わらないというのはほとんどないし、まだ夏とはいえちょうど崩れやすい季節の変わり目が近付いていることもあり、度々急変して大雨が降った。
馬車がぬかるみにはまって動けなくなることもあったが、まよい、Gacrux、レイア、シロの四人がいれば割とどうにでもなった。
中にはこれ幸いとばかりに雨をシャワー代わりにしている者もいたりもして、さらに運よく水場も発見することができた。
しっかりと安全確認を行ってから、これ幸いと皆で水浴びを行うことにする。
着替えはディビーという名の辺境式野営テントを組み立ててその中で行った。
当然、全員が丸腰になるようなことはなく、武器を携えたまま各自順番に水浴びをする。
その間、他の人員は荷物や周りを見張る。
全員がつかの間のひと時を楽しんだ。
食事は全てジェーンが提供した。
最初の一日は美味しいと評判な店の弁当で、二日目からは保存食が中心になる。
保存食と侮るなかれ、肉だけでもオーソドックスな食肉である牛豚鳥の干し肉や瓶詰の他にも野菜の漬物やドライフルーツ、木の実など、多種多様に及ぶ。
まあ、主食だけは日持ちするように固く焼かれた、旅人御用達の代わり映えしないパンが続いたが。
夜営の際は、まよい、Gacrux、レイア、シロ、ジェーンの五人で一つの焚火を囲み、歓談を行い友好を深めた。
焚火の揺らめく火に照らされながら、詩集を読書している者もいる。
周りでは虫の音が聞こえる。
その中には気が早く秋に鳴く虫も混じっていた。
●到着と引継ぎ
結論からいうと、今回の護衛依頼期間中には動物に襲われたのが三回、盗賊に襲われたのが二回あった。
雑魔は現れなかった。出会わなかっただけか、それとも元から存在しなかったのかは分からない。
動物は問題なく始末、あるいは追い払い、盗賊は適当に撃退して武装解除して身ぐるみはいで放置した。
中継点であり、今回の護衛依頼の目的地である街につき、ジェーンがハンターたちを労う。
「皆さま長旅お疲れ様でした。こちらが今回の報酬になります」
一人一人に、ぎっしりと中身が詰まった袋が手渡される。
「アフターサービスとして今晩の宿も取らせていただいておりますので、よろしければ一泊して旅の疲れを癒してからお帰りください。もちろんこのままご帰宅されても構いません。希望する方々は、転移門までお見送りさせていただきます」
すらすらとジェーンが受付嬢らしく案内を述べていく。
ジェーンと最後の挨拶をかわし、まよい、Gacrux、レイア、シロの四人はやってきた次のハンターたちに引継ぎを済ませると、各々の目的地へ向かうのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 4人 |
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MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/08/13 09:28:41 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/13 09:22:57 |