ゲスト
(ka0000)
【MN】黄昏城の罠
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/12 09:00
- 完成日
- 2018/08/18 21:27
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
夢の世界とか死後の世界と言われる「たそがれ城」。
そこに行けるのは偶然、必然? 縁があったり、なかったり。
そこには人間もいれば死者もいる、歪虚だったものやら出自は色々、今日も平和に過ごしている?
●つるされる男
たそがれ城の庭の中。
足を何かにとられひっくり返ってつるされている男が一人。
「さて……これは、ハンターがプエルに変な知識を与えた結果だろう」
プラーンとなりながらどうやってこの罠から抜けるか考える。
かつての災厄の十三魔レチタティーヴォ。そんなレチタティーヴォをはめたと思われるのがおもちゃであり、部下であるプエルなのだ。
たぶん。
「人形たちが真っ黒……アリ?」
三体のプエルの人形がおろおろと歩き回っている。高さは三十センチくらいで、布と綿などで作られている手作り人形だ。三頭身でプエルと判断するのは色合いと雰囲気としか言いようがない。
『お、おおおう、プエル人形たちどうしたんだ!』
棒に風呂敷を付けてどこか行ってきたらしい赤毛の人形が来た。一応、逆さでぶら下がっているレチタティーヴォを模している人形。性格は違う、気づいたら相当違った。
人形たちはレチタティーヴォ人形に引っ付いて窮状を訴える。
『なんでハチミツまみれなんだ! うおお、こっちにアリが来る! やめてくれ。ほら、風呂に入るぞ』
三体はレチタティーヴォ人形に連れられて立ち去った。徐々にアリは落ちていく。
「気づかれもしなかった……でもなぜ、プエル人形が蜂蜜とアリまみれ?」
プエル人形が来た方向を見ると、アリがいる。
しばらくする不安げな顔のプエルがやってきたが、レチタティーヴォを見つけ安堵したらしくクシュと顔をゆがめる。
「レ、レチタティーヴォ様ああああ」
「これをほどけ!」
レチタティーヴォは全身を使い大きく揺れ、プエルに訴える。帽子は外れることはない、絶対外れない。ブランコの方式でよく揺れた。
枝が折れた。
「うわあああ」
プエルはレチタティーヴォの下敷きになった。
「ひどい目に遭った」
「……レチタティーヴォ様ああああ」
ロープを脚から外すレチタティーヴォにしがみついてプエルが泣く。プエルがレチタティーヴォに抱き着くために、罠を作って動きを止めようとしていたと、レチタティーヴォは認識している。
「これで満足か!」
「はい」
「なら、城にあふれる罠をどうにかしろ」
「……ふえええええ、レチタティーヴォ様ああ」
泣きながら語るところによると、レチタティーヴォが引っかかった罠はプエル作ではない。
「ハニートラップを作った後、作っていません」
「え? まさか……いや、待て、作る?」
色仕掛けで機密情報を得ることがハニートラップだ、一般知識を念のため。
作る罠ではない。いや、状況を作ると考えると作るも通じる。
泣き顔で見上げるプエルは、可愛くもなくはないが、別にその気があるわけでなければ色仕掛けにならない。
「……ハニートラップ?」
「レチタティーヴォ様も知らなかったのですか」
ぱああと明るい顔でいう。
「僕はハニーのトラップというからに蜂蜜を使った罠だと思ったのです。蜂蜜を入れたところにはまると、べとべとになりますよね? そこにアリが来たら大変です」
「……いや、アリが来る前に逃げるよ。……プエル人形たちは引っかかっていた。さっきまで、そこでアリまみれでおろおろしていたから」
プエルはしょげる。
「まあいい……罠は片づけておくように」
「だから、僕じゃありません!」
レチタティーヴォがプエルから離れた瞬間、ばね仕掛けの何かがあったのか、空高く跳ね上がって、プエルの視界から消えた。
「ふええええ、レチタティーヴォ様あああ」
とりあえず、プエルはレチタティーヴォを探しに行った。
●基本
レチタティーヴォ人形はプエル人形をメードに預け風呂に入れてもらうことにした。
自分で入れると自分自身も同じ運命が待っている。
ずぶぬれになると重くなる。絞るのも難しいし、乾かすのが辛い。
『私がちょっと旅に出ている間に、ここで何があっ――!?』
レチタティーヴォ人形の目の前にキノコの着ぐるみの女の子がいる。
「みぎゃーーーーーーーーーーーーーーー、お人形さんが動いているのですううううううううううううう」
むんずとレチタティーヴォ人形を掴むと、ルゥルは表にしたり、ひっくり返したり、服や帽子を引っ張る。
『う、うわ、やめてくれええ。ああ、服はやめてええ。ちゃんと下着もあるからああ』
脱がされる前に、何を確認されるか理解して申告しておいた。
●勇者候補
プエルは自室まで罠にかからずやってきた。
「僕が頑張らないで誰がどうするんだ!」
「プエル様、頑張ってください」
「お前も来るんだ」
銀髪の青年エクエスに告げる。生前はプエルことニコラス・クリシスの護衛だった。歪虚に成ってからは部下とされてしまった。
「いえ、この部屋にいる限り罠にかからないので出たくないです」
「……僕はかからないんだけれど?」
「それがおかしいのです。あなた、何か変なことしました?」
「ひどい!」
「ぐはっ」
プエルが蹴ろうとしたためエクエスは避けた。避けたとき転んだ。蹴り上げたプエルの足の着地地点にエクエスが一番踏まれたくない部分があった。
のたうち回るエクエス。
プエルは何事もなかったかのように出かける準備をする。
「……仕方がない、僕がしないと……あれだ! 人間が……違う、えっと、リアルブルーのゲームというやつだ! 僕が勇者なんだ!」
楽しそうに武器をそろえる。
「城の中だから大きいのはやめよう」
腰に剣を下げ、短剣をブーツに隠す。
「よし! これでいいか……よくない! なにこれ、きぐるみしかないよ!」
プエルの防具がまるごとシリーズしかなかった。
「仕方がない……ゆぐでぃらにしよう……はああ」
「ぜんらにすれば……」
「お前が着ればいい!」
プエルはまるごとゆぐでぃらをまとって原因を探しに行くのだった。
そこに行けるのは偶然、必然? 縁があったり、なかったり。
そこには人間もいれば死者もいる、歪虚だったものやら出自は色々、今日も平和に過ごしている?
●つるされる男
たそがれ城の庭の中。
足を何かにとられひっくり返ってつるされている男が一人。
「さて……これは、ハンターがプエルに変な知識を与えた結果だろう」
プラーンとなりながらどうやってこの罠から抜けるか考える。
かつての災厄の十三魔レチタティーヴォ。そんなレチタティーヴォをはめたと思われるのがおもちゃであり、部下であるプエルなのだ。
たぶん。
「人形たちが真っ黒……アリ?」
三体のプエルの人形がおろおろと歩き回っている。高さは三十センチくらいで、布と綿などで作られている手作り人形だ。三頭身でプエルと判断するのは色合いと雰囲気としか言いようがない。
『お、おおおう、プエル人形たちどうしたんだ!』
棒に風呂敷を付けてどこか行ってきたらしい赤毛の人形が来た。一応、逆さでぶら下がっているレチタティーヴォを模している人形。性格は違う、気づいたら相当違った。
人形たちはレチタティーヴォ人形に引っ付いて窮状を訴える。
『なんでハチミツまみれなんだ! うおお、こっちにアリが来る! やめてくれ。ほら、風呂に入るぞ』
三体はレチタティーヴォ人形に連れられて立ち去った。徐々にアリは落ちていく。
「気づかれもしなかった……でもなぜ、プエル人形が蜂蜜とアリまみれ?」
プエル人形が来た方向を見ると、アリがいる。
しばらくする不安げな顔のプエルがやってきたが、レチタティーヴォを見つけ安堵したらしくクシュと顔をゆがめる。
「レ、レチタティーヴォ様ああああ」
「これをほどけ!」
レチタティーヴォは全身を使い大きく揺れ、プエルに訴える。帽子は外れることはない、絶対外れない。ブランコの方式でよく揺れた。
枝が折れた。
「うわあああ」
プエルはレチタティーヴォの下敷きになった。
「ひどい目に遭った」
「……レチタティーヴォ様ああああ」
ロープを脚から外すレチタティーヴォにしがみついてプエルが泣く。プエルがレチタティーヴォに抱き着くために、罠を作って動きを止めようとしていたと、レチタティーヴォは認識している。
「これで満足か!」
「はい」
「なら、城にあふれる罠をどうにかしろ」
「……ふえええええ、レチタティーヴォ様ああ」
泣きながら語るところによると、レチタティーヴォが引っかかった罠はプエル作ではない。
「ハニートラップを作った後、作っていません」
「え? まさか……いや、待て、作る?」
色仕掛けで機密情報を得ることがハニートラップだ、一般知識を念のため。
作る罠ではない。いや、状況を作ると考えると作るも通じる。
泣き顔で見上げるプエルは、可愛くもなくはないが、別にその気があるわけでなければ色仕掛けにならない。
「……ハニートラップ?」
「レチタティーヴォ様も知らなかったのですか」
ぱああと明るい顔でいう。
「僕はハニーのトラップというからに蜂蜜を使った罠だと思ったのです。蜂蜜を入れたところにはまると、べとべとになりますよね? そこにアリが来たら大変です」
「……いや、アリが来る前に逃げるよ。……プエル人形たちは引っかかっていた。さっきまで、そこでアリまみれでおろおろしていたから」
プエルはしょげる。
「まあいい……罠は片づけておくように」
「だから、僕じゃありません!」
レチタティーヴォがプエルから離れた瞬間、ばね仕掛けの何かがあったのか、空高く跳ね上がって、プエルの視界から消えた。
「ふええええ、レチタティーヴォ様あああ」
とりあえず、プエルはレチタティーヴォを探しに行った。
●基本
レチタティーヴォ人形はプエル人形をメードに預け風呂に入れてもらうことにした。
自分で入れると自分自身も同じ運命が待っている。
ずぶぬれになると重くなる。絞るのも難しいし、乾かすのが辛い。
『私がちょっと旅に出ている間に、ここで何があっ――!?』
レチタティーヴォ人形の目の前にキノコの着ぐるみの女の子がいる。
「みぎゃーーーーーーーーーーーーーーー、お人形さんが動いているのですううううううううううううう」
むんずとレチタティーヴォ人形を掴むと、ルゥルは表にしたり、ひっくり返したり、服や帽子を引っ張る。
『う、うわ、やめてくれええ。ああ、服はやめてええ。ちゃんと下着もあるからああ』
脱がされる前に、何を確認されるか理解して申告しておいた。
●勇者候補
プエルは自室まで罠にかからずやってきた。
「僕が頑張らないで誰がどうするんだ!」
「プエル様、頑張ってください」
「お前も来るんだ」
銀髪の青年エクエスに告げる。生前はプエルことニコラス・クリシスの護衛だった。歪虚に成ってからは部下とされてしまった。
「いえ、この部屋にいる限り罠にかからないので出たくないです」
「……僕はかからないんだけれど?」
「それがおかしいのです。あなた、何か変なことしました?」
「ひどい!」
「ぐはっ」
プエルが蹴ろうとしたためエクエスは避けた。避けたとき転んだ。蹴り上げたプエルの足の着地地点にエクエスが一番踏まれたくない部分があった。
のたうち回るエクエス。
プエルは何事もなかったかのように出かける準備をする。
「……仕方がない、僕がしないと……あれだ! 人間が……違う、えっと、リアルブルーのゲームというやつだ! 僕が勇者なんだ!」
楽しそうに武器をそろえる。
「城の中だから大きいのはやめよう」
腰に剣を下げ、短剣をブーツに隠す。
「よし! これでいいか……よくない! なにこれ、きぐるみしかないよ!」
プエルの防具がまるごとシリーズしかなかった。
「仕方がない……ゆぐでぃらにしよう……はああ」
「ぜんらにすれば……」
「お前が着ればいい!」
プエルはまるごとゆぐでぃらをまとって原因を探しに行くのだった。
リプレイ本文
●わなわな
ミオレスカ(ka3496)は林の中で、プエル人形が地面を見ているのに気づいた。
「何を見ているのですか?」
人形たちは顔を上げると、何か言った。ボタンの目は揺らがず、口も動かないから雰囲気。指さす方向には壺があり、黒い。蜂蜜の匂いがする気がする。
「蜂蜜が食べたいのですか?」
人形たちはばんざいと両手をあげた。
「で、これは何ですか? ハニートラップ?」
近くにある立て看板を人形たちは示すため、思わず読み上げた。
ミオレスカは何か言おうとして口を開こうとしたが、「ぎゃあああ」という自然体の悲鳴が届いた。
ミオレスカが悲鳴の方を見ると、星野 ハナ(ka5852)が蜂蜜まみれプラスアリ付きの二体のプエル人形に張り付かれていた。
「……何をしているのですぅ?」
ハナにつままれたプエル人形は小刻みに震え、首を横に振る。
「ハニートラップだそうです」
ミオレスカが助け舟を出してやる。
「ふ、ふーん? ハニートラップ?」
ハナにくっついたプエル人形たちは、急いでミオレスカの影に隠れた。
「アリによって黒くなっている蜂蜜ですぅ?」
ハナの声が重く低くなっていると、ミオレスカは気付く。
「……蜂蜜でハニートラップとか舐めてますぅ? 本気のハニトラを教えて差し上げますよぅ」
なまはげの形相でハナはどこかに向かった。
夢路 まよい(ka1328)はここが何でここで何をするか理解した。
「どうしようかなー、それらしい場所ってどこかなー。自称勇者プエル(kz0127)を迎えるには?」
城の地図を眺めそれらしい場所を探す。
「玉座を作るといいかなー、それとも、舞台のところでもそれらしくなるかな? あ、そうだ、占い所みたいなところでもいいのか」
狭いところだと戦闘がしにくいだろう。そうなると、玉座を作り上げるか、舞台が無難そうだ。
「よし、ここをこうして、通路で、階段で……」
それらしい玉座というか広間を作ることにした。
●出会い
ミオレスカが蜂蜜まみれのプエル人形を、すでに洗ってもらっているプエル人形がいる部屋に届ける。覗くとたらいの中にはお湯が張られ、服を脱いだ人形が入っている。アヒルのおもちゃが浮かんでいる。ほのぼのとした光景が広がる。
たらいから上がろうとするプエル人形はお湯で重い。それをメードが笑顔でつかむと問答無用でひねった。絞られた後、へろへろと歩くプエル人形はなぜかまたお湯に入っていった。
「え、っと……さて、私はどうしましょうか? 罠を仕掛けてみると引っかかる人が出るかもしれませんし、何かの謎が解けるかもしれませんね」
罠があるというが、ミオレスカは見ていない。
「ハニートラップとは、ハチミツふんだんの美味しいおやつにつられてやってきて、その甘くておいしいおやつでおなか一杯になって気持ちよくなった相手にから話を聞くものです」
ミオレスカはついてくるプエル人形たちに説明をすると、こくこくとうなずいていた。
『やーめーてー』
ミオレスカの前にレチタティーヴォ人形(以下レチ人形とする)と戯れているキノコのぬいぐるみ――ではなく、着ぐるみのルゥル(kz0210)を発見した。
「何をしているのですか?」
「お姉さん。お人形さんが動くのです! だから、服を脱がして、きちんとパンツをはいているのを確認するのです」
「そうですか。あとでおやつ作りますので是非来てくださいね」
「はいです!」
二人は笑顔で別れる。
『おおおお、助けてくれええええ』
レチ人形が助けを求めているが、プエル人形たちは考えた。ミオレスカとルゥルを見て、レチ人形を見た後、手をぶんぶん振ってミオレスカについて行った。
『確かに命に別状はないし、私は人形だから服を脱がされたところで大したことは! プエル人形たちー』
レチ人形の悲鳴が響き渡った。
まるごとゆぐでぃらプエルはまるごとうさぎエクエスと合流した。
「……でかいウサギ」
「うるさいですよ……ところで、あの子供は何をしているんでしょうかね」
ミオレスカが通り過ぎた後にやってきた二人。
「お前はここの罠を作ったのか」
「こんにちは」
「……こんにちは」
ルゥルにあいさつをされ、プエルが挨拶を返す。
「えと、罠など知らないですよ? それより、このお人形さんが抵抗するのです」
ルゥルはレチ人形について語った。
「貸してみて」
プエルはレチ人形を受け取ると、ぱぱっと服を脱がした。
『うわああああああああああああああ』
「お兄さん、ありがとうございます」
「うん。でも、可哀そうだから、服着せてやってよ」
「はいです……あれ? さっきのお洋服がないです、着ぐるみ?」
「……これ、まさか、イメージとしては『まるごとれちさま』」
プエルは人形用の服を持って顔を明るくした。
「え?」
「は?」
『ん?』
エクエスとルゥル、レチ人形が同時に声をあげる。
「プエル様。もともとこれ、あの男ですよね? それがそれ着て楽しいですか?」
「私はその人知りませんけれど、ポルムにパルムの着ぐるみを着せるようなものですよね」
エクエスはルゥルの解釈に「その通りです」と同意する。
もう一枚落ちていた着ぐるみパルムぽいのをレチ人形に着せるルゥル。
そして、落ち込むレチ人形を気にせず、罠について情報交換をしてルゥルたちは別れた。
まよいは準備中。
「えっと、テーブルとイス二脚。そして……この辺りに、こーんなオブジェがあって」
占いの館と玉座の有る広間を足して二で割った部屋になってきた。だんだんと楽しくなってきたまよいは、通りかかったプエル人形を招き入れる。人形たちは手伝うわけでもなく、材料を持って右に走り、左に走りと何かしていた。
「可愛いな……でも、プエル人形一択……」
別の人形も動けばいいのにと考えた。
ハナは記憶にある城であるため、蜂蜜で遊んだ犯人を捜す。
「こんなダメな罠を作ったのは誰ですぅう」
ふー、ふーと謎の呼吸音をさせながら歩き回る。途中で、空から降ってくる白い粉とか、足元に引いてあるワイヤーと飛んでくるナイフなど、シャレにならない罠にもかかっていた。
すでに外見上は、何かよくわからない状況になっている。
視界の片隅を動くものを見つけた。
「犯人はお前かああ」
角に逃げ込んだモノを見つめる。それはプエル人形で怯えた様子で首を横に振る。しかし、ボタンの目に口角の上がった口では怯えているかは見たモノの考えによる。
「こうしてやるうのですぅ」
白い粉を付けられた。
プエル人形はお風呂に入れてもらうために走り去った。
●対ボス
プエルは増築されたらしい部屋の前にいた。
「エクエス、ここ、知ってる?」
「いえいえ。きっとトラップマスターのいる場所でしょう」
「開けるぞ」
「トラップマスターが待っているのですね」
「行くぞ」
「え、突っ込みなしですか」
エクエスはプエルに突かれて扉を開けた。
ベルベッドのようなカーテンが揺れる薄暗い部屋だ。玉座に続く通路はろうそくの光が揺れている。
正面には女王然とした格好をしたまよいがいる。
「よくここまでたどり着いたわね」
「お前は誰だ! 僕のレチタティーヴォ様をどこにやった」
「さあ、フカフカの人形ではないし、まるごとシリーズでもないので飛んで行ってもらったわ、ということにしておくわ」
「確かに、レチタティーヴォ様はフカフカの人形でも、まるごとシリーズでもないっ!」
まじめな顔でまよいとプエルは会話しているのを見て、エクエスは部屋の隅に移動してから無言で大笑いをする。
「そうよ! すべては私が仕組んだこと……かもしれない! 世界のすべてをフカフカのお人形とまるごとシリーズで埋め尽くしてあげる!」
「僕の着るものが着ぐるみしかなかったのはお前のせい、かもしれないんだな! あ、僕人形がすでに寝返っている!?」
「そうよ、この人形たちは私のしもべよ」
プエル人形たちは脚光を浴びたのが楽しいのか、飛び跳ねている。
「ここまで来られたあなたに、特別に運命を占ってあげるわ」
ミスティック・タロットの大アルカナを取り出す。それをテーブルで切り、円を描き置いた。そこから、一枚ずつ取り出し裏のままに置いた。
「さあ、ここが過去を表すもの。【逆さつりの男】ね。もう、会ったのでしょう? 次に【愚者】……あなたは愚かね、この私に挑もうなんて、クスクス」
「お、お前は……」
「最後に未来、死神。あなたは死をまぬかれない、確定事項よ!」
【集中】を用いた上にアイテムのサポートを受けつつ、【アブソリュートゼロ】により【ライトニングボルト】が放たれる。
「う、うわあああ」
プエルがしびしびになる。
「あらあ、もう終わりかしら」
「こ、この程度で……って、おい、なんでお前がそこでぼんやり見ているんだ!」
プエルの指摘通り、エクエスは笑いをこらえるためぼんやり見ているだけだった。
しばらく、まよい対プエルの戦いは続く。魔法だと消されるため、プエルが物理攻撃に出るとはさすがのまよいは劣勢になる。
まよいに寝返ったプエル人形は役に立たなかった。
ミオレスカは罠の跡を見つけたので、そのわきに同じようなものを作ってみる。
そして、台所に向かおうとしたところ、後ろで罠が発動した音がした。
振り返るとプエル人形がまとまってひっかかったらしく、足にロープを絡めて一体感を持ってコロコロ転がっている。
「……え、ええと……あなた方の前で罠作りましたよね?」
プエル人形は頭を掻き、照れたようなしぐさでうなずく。
罠を作り直したり、増設すると、プエル人形が引っかかるだけで、真犯人が出てこないということをミオレスカは理解した。
「さて……ハニートラップを実践しましょう。では、台所に行きましょう」
人形たちは喜んでいた。
ハナは目の前に増築された扉を発見した。中から、バシバシとかキーンとか戦うような音がする。
「何をしているのかわからないのですがぁあ、ここに手がかりがあると見ました」
ハナはバーンと迷いなく扉を開いたのだった。
●ラスボス?
「蜂蜜を詰めた壺を埋めて、ハニトラ! など、愚かな罠を作ったのは、お前かぁああああ」
地の底から響くような声がした。
まよいとプエル、プエル人形たちは動きを止めた。
真っ白べたべたお化けが侵入してきたために、そちらが重要になってしまった。
「お嬢さん、どうかなさったのですか?」
エクエスがいい笑顔で対応をした。
「お前かあああ、蜂蜜で罠を作ったとかいうやつはあああ」
ずいっと迫られた瞬間エクエスは、一礼して後ろに下がる。
「ああ、それは、プエル様ですね」
ハナはグリンと首を向ける。長い髪が舞い、白い粉が飛び散る。なまはげの形相でプエルを見つめる。
プエルは首を横に激しく振る。心理的にこれは逆らってはいけない相手だけれど、怖いからとりあえず逃げたいと思っている様子だ。
「ほほーう、お前かあああ、食材無駄にするアホォは!」
プエルは激しく首を横に振り、すすすとまよいがプエルから離れる。
「本当に何も知らないのかあああですぅううう。方々に仕掛けた罠はひとまず保留とするのですがぁ、小麦粉を使った罠と蜂蜜に関して……特に蜂蜜に関しては色々言いたいことがありますよぉおおお」
プエルはキョトンとなり「小麦粉は違うよ?」と素直に言った後、口を手でふさぐ。
「ほおおおおお、素直に言いましたねぇええ」
ずずいとハナに迫られ、プエルは震える。
「ぼぼぼぼぼ僕は、アリに餌をあげただけだよ!」
ごまかした。
「壺一杯のハチミツをおおお?」
「そ、そうだよ」
「蜂蜜がスプーン一杯できるのに、どのくらいの蜂がどのくらい時間かけるか知っていますぅ?」
ハナの説教が始まった。説教と豆知識付き。それも、式神がわらわらと浮かび、プエルに圧力をかける。
「これは長いことかかりそうですねぇ」
「えっと? 私のことは放置かな?」
まよいは激しい説教の様子を見つめ、溜息をもらす。
「ところで、お嬢さん、この着ぐるみの犯人はあなたのですか?」
エクエスはかがむと視線を合わせ尋ねる。妙に笑顔だが、目は笑っていないし、手が剣にかかっている。
「そうよ、すべては私が仕組んだこと……ということよ?」
「……はああ、結局、犯人は誰なのでしょうかねぇ」
「さあ?」
「犯人なのですよね?」
「……かもしれない?」
「……自分の犯行に自信のない犯人ですね……まあ、いいですけれど……いや、良くないぞ!」
エクエスはいったん燃えたが、すぐに「面倒くさい」としゃがみ込んだ。
ミオレスカはホットケーキを作ると、バターと蜂蜜をたっぷり乗せる。
プエル人形が嬉しそうにびょこびょこ跳ねている。
「さて、食べていいですよ?」
人形たちは食べようとしたが、口が開かないため食べられなかった。そして、落ち込む。
「食べるという機能がないのに、なぜ、食べようとしたのかと伺いたいのですが……」
人形たちは溜息をついたようだった。
●もぐもぐ
匂いにつられてルゥルがやってきた。
「どうぞお食べ下さい」
「みぎゃ」
『ふむ、いただくとしよう』
キノコなルゥルとパルムなレチ人形はあるだけ食べる。こっちの人形は口は開かないのに飲食可能である。
「さあ、おなか一杯のところで……、罠を仕掛けたモノについて何かご存知ですか?」
ルゥルもレチ人形も「知らない」と答える。
「余はもう、フラフラだ……」
「説教というかおしくらまんじゅうだったよね」
プエルとまよいが入ってきた。
「応用編としては籠を落とします」
プエル人形はメモを取るふりをしてミオレスカの話を聞いている。入ってきた二人がすっぽり入る籠が降ってきた。
「うわああ」
「きゃあ」
悲鳴は上げるが、冷静に二人は籠を持ち上げ出てきた。
「これは失敗ですね……」
ミオレスカがつぶやくと、プエル人形が残念そうだという仕草をした。
「何かよくわからないけれど、ああ、おいしそう。食べてもいい?」
まよいが嬉しそうにテーブルに着く。すでにおなかいっぱいでぼんやりしているルゥルとレチ人形に「何枚食べたか」を問う。なんとなく気になる。
「ひどい目に遭いましたけれど、これでひとまず終わりなのですぅ」
ハナはシャワーを浴び汚れを落として新しい服でやってきた。
「おお、これはおいしそうですねぇ。私もお茶を入れますよぉ……それよりも、食べ物で遊ぶ悪い子は悪夢を見るくらいお仕置きしますからねぇ」
ハナはグリンと首だけ百八十度回わし、プエルを見た。たぶん、肩から回っているはずだが、プエルには首だけそうなっているように見えている。
「ぐぅふっ」
プエルは驚いてホットケーキをのどに詰まらせた。
「はい、プエル様、お水」
エクエスは水をカメごと渡したため、蜂蜜の香りが漂う夢に水がぶちまけられた。
ミオレスカ(ka3496)は林の中で、プエル人形が地面を見ているのに気づいた。
「何を見ているのですか?」
人形たちは顔を上げると、何か言った。ボタンの目は揺らがず、口も動かないから雰囲気。指さす方向には壺があり、黒い。蜂蜜の匂いがする気がする。
「蜂蜜が食べたいのですか?」
人形たちはばんざいと両手をあげた。
「で、これは何ですか? ハニートラップ?」
近くにある立て看板を人形たちは示すため、思わず読み上げた。
ミオレスカは何か言おうとして口を開こうとしたが、「ぎゃあああ」という自然体の悲鳴が届いた。
ミオレスカが悲鳴の方を見ると、星野 ハナ(ka5852)が蜂蜜まみれプラスアリ付きの二体のプエル人形に張り付かれていた。
「……何をしているのですぅ?」
ハナにつままれたプエル人形は小刻みに震え、首を横に振る。
「ハニートラップだそうです」
ミオレスカが助け舟を出してやる。
「ふ、ふーん? ハニートラップ?」
ハナにくっついたプエル人形たちは、急いでミオレスカの影に隠れた。
「アリによって黒くなっている蜂蜜ですぅ?」
ハナの声が重く低くなっていると、ミオレスカは気付く。
「……蜂蜜でハニートラップとか舐めてますぅ? 本気のハニトラを教えて差し上げますよぅ」
なまはげの形相でハナはどこかに向かった。
夢路 まよい(ka1328)はここが何でここで何をするか理解した。
「どうしようかなー、それらしい場所ってどこかなー。自称勇者プエル(kz0127)を迎えるには?」
城の地図を眺めそれらしい場所を探す。
「玉座を作るといいかなー、それとも、舞台のところでもそれらしくなるかな? あ、そうだ、占い所みたいなところでもいいのか」
狭いところだと戦闘がしにくいだろう。そうなると、玉座を作り上げるか、舞台が無難そうだ。
「よし、ここをこうして、通路で、階段で……」
それらしい玉座というか広間を作ることにした。
●出会い
ミオレスカが蜂蜜まみれのプエル人形を、すでに洗ってもらっているプエル人形がいる部屋に届ける。覗くとたらいの中にはお湯が張られ、服を脱いだ人形が入っている。アヒルのおもちゃが浮かんでいる。ほのぼのとした光景が広がる。
たらいから上がろうとするプエル人形はお湯で重い。それをメードが笑顔でつかむと問答無用でひねった。絞られた後、へろへろと歩くプエル人形はなぜかまたお湯に入っていった。
「え、っと……さて、私はどうしましょうか? 罠を仕掛けてみると引っかかる人が出るかもしれませんし、何かの謎が解けるかもしれませんね」
罠があるというが、ミオレスカは見ていない。
「ハニートラップとは、ハチミツふんだんの美味しいおやつにつられてやってきて、その甘くておいしいおやつでおなか一杯になって気持ちよくなった相手にから話を聞くものです」
ミオレスカはついてくるプエル人形たちに説明をすると、こくこくとうなずいていた。
『やーめーてー』
ミオレスカの前にレチタティーヴォ人形(以下レチ人形とする)と戯れているキノコのぬいぐるみ――ではなく、着ぐるみのルゥル(kz0210)を発見した。
「何をしているのですか?」
「お姉さん。お人形さんが動くのです! だから、服を脱がして、きちんとパンツをはいているのを確認するのです」
「そうですか。あとでおやつ作りますので是非来てくださいね」
「はいです!」
二人は笑顔で別れる。
『おおおお、助けてくれええええ』
レチ人形が助けを求めているが、プエル人形たちは考えた。ミオレスカとルゥルを見て、レチ人形を見た後、手をぶんぶん振ってミオレスカについて行った。
『確かに命に別状はないし、私は人形だから服を脱がされたところで大したことは! プエル人形たちー』
レチ人形の悲鳴が響き渡った。
まるごとゆぐでぃらプエルはまるごとうさぎエクエスと合流した。
「……でかいウサギ」
「うるさいですよ……ところで、あの子供は何をしているんでしょうかね」
ミオレスカが通り過ぎた後にやってきた二人。
「お前はここの罠を作ったのか」
「こんにちは」
「……こんにちは」
ルゥルにあいさつをされ、プエルが挨拶を返す。
「えと、罠など知らないですよ? それより、このお人形さんが抵抗するのです」
ルゥルはレチ人形について語った。
「貸してみて」
プエルはレチ人形を受け取ると、ぱぱっと服を脱がした。
『うわああああああああああああああ』
「お兄さん、ありがとうございます」
「うん。でも、可哀そうだから、服着せてやってよ」
「はいです……あれ? さっきのお洋服がないです、着ぐるみ?」
「……これ、まさか、イメージとしては『まるごとれちさま』」
プエルは人形用の服を持って顔を明るくした。
「え?」
「は?」
『ん?』
エクエスとルゥル、レチ人形が同時に声をあげる。
「プエル様。もともとこれ、あの男ですよね? それがそれ着て楽しいですか?」
「私はその人知りませんけれど、ポルムにパルムの着ぐるみを着せるようなものですよね」
エクエスはルゥルの解釈に「その通りです」と同意する。
もう一枚落ちていた着ぐるみパルムぽいのをレチ人形に着せるルゥル。
そして、落ち込むレチ人形を気にせず、罠について情報交換をしてルゥルたちは別れた。
まよいは準備中。
「えっと、テーブルとイス二脚。そして……この辺りに、こーんなオブジェがあって」
占いの館と玉座の有る広間を足して二で割った部屋になってきた。だんだんと楽しくなってきたまよいは、通りかかったプエル人形を招き入れる。人形たちは手伝うわけでもなく、材料を持って右に走り、左に走りと何かしていた。
「可愛いな……でも、プエル人形一択……」
別の人形も動けばいいのにと考えた。
ハナは記憶にある城であるため、蜂蜜で遊んだ犯人を捜す。
「こんなダメな罠を作ったのは誰ですぅう」
ふー、ふーと謎の呼吸音をさせながら歩き回る。途中で、空から降ってくる白い粉とか、足元に引いてあるワイヤーと飛んでくるナイフなど、シャレにならない罠にもかかっていた。
すでに外見上は、何かよくわからない状況になっている。
視界の片隅を動くものを見つけた。
「犯人はお前かああ」
角に逃げ込んだモノを見つめる。それはプエル人形で怯えた様子で首を横に振る。しかし、ボタンの目に口角の上がった口では怯えているかは見たモノの考えによる。
「こうしてやるうのですぅ」
白い粉を付けられた。
プエル人形はお風呂に入れてもらうために走り去った。
●対ボス
プエルは増築されたらしい部屋の前にいた。
「エクエス、ここ、知ってる?」
「いえいえ。きっとトラップマスターのいる場所でしょう」
「開けるぞ」
「トラップマスターが待っているのですね」
「行くぞ」
「え、突っ込みなしですか」
エクエスはプエルに突かれて扉を開けた。
ベルベッドのようなカーテンが揺れる薄暗い部屋だ。玉座に続く通路はろうそくの光が揺れている。
正面には女王然とした格好をしたまよいがいる。
「よくここまでたどり着いたわね」
「お前は誰だ! 僕のレチタティーヴォ様をどこにやった」
「さあ、フカフカの人形ではないし、まるごとシリーズでもないので飛んで行ってもらったわ、ということにしておくわ」
「確かに、レチタティーヴォ様はフカフカの人形でも、まるごとシリーズでもないっ!」
まじめな顔でまよいとプエルは会話しているのを見て、エクエスは部屋の隅に移動してから無言で大笑いをする。
「そうよ! すべては私が仕組んだこと……かもしれない! 世界のすべてをフカフカのお人形とまるごとシリーズで埋め尽くしてあげる!」
「僕の着るものが着ぐるみしかなかったのはお前のせい、かもしれないんだな! あ、僕人形がすでに寝返っている!?」
「そうよ、この人形たちは私のしもべよ」
プエル人形たちは脚光を浴びたのが楽しいのか、飛び跳ねている。
「ここまで来られたあなたに、特別に運命を占ってあげるわ」
ミスティック・タロットの大アルカナを取り出す。それをテーブルで切り、円を描き置いた。そこから、一枚ずつ取り出し裏のままに置いた。
「さあ、ここが過去を表すもの。【逆さつりの男】ね。もう、会ったのでしょう? 次に【愚者】……あなたは愚かね、この私に挑もうなんて、クスクス」
「お、お前は……」
「最後に未来、死神。あなたは死をまぬかれない、確定事項よ!」
【集中】を用いた上にアイテムのサポートを受けつつ、【アブソリュートゼロ】により【ライトニングボルト】が放たれる。
「う、うわあああ」
プエルがしびしびになる。
「あらあ、もう終わりかしら」
「こ、この程度で……って、おい、なんでお前がそこでぼんやり見ているんだ!」
プエルの指摘通り、エクエスは笑いをこらえるためぼんやり見ているだけだった。
しばらく、まよい対プエルの戦いは続く。魔法だと消されるため、プエルが物理攻撃に出るとはさすがのまよいは劣勢になる。
まよいに寝返ったプエル人形は役に立たなかった。
ミオレスカは罠の跡を見つけたので、そのわきに同じようなものを作ってみる。
そして、台所に向かおうとしたところ、後ろで罠が発動した音がした。
振り返るとプエル人形がまとまってひっかかったらしく、足にロープを絡めて一体感を持ってコロコロ転がっている。
「……え、ええと……あなた方の前で罠作りましたよね?」
プエル人形は頭を掻き、照れたようなしぐさでうなずく。
罠を作り直したり、増設すると、プエル人形が引っかかるだけで、真犯人が出てこないということをミオレスカは理解した。
「さて……ハニートラップを実践しましょう。では、台所に行きましょう」
人形たちは喜んでいた。
ハナは目の前に増築された扉を発見した。中から、バシバシとかキーンとか戦うような音がする。
「何をしているのかわからないのですがぁあ、ここに手がかりがあると見ました」
ハナはバーンと迷いなく扉を開いたのだった。
●ラスボス?
「蜂蜜を詰めた壺を埋めて、ハニトラ! など、愚かな罠を作ったのは、お前かぁああああ」
地の底から響くような声がした。
まよいとプエル、プエル人形たちは動きを止めた。
真っ白べたべたお化けが侵入してきたために、そちらが重要になってしまった。
「お嬢さん、どうかなさったのですか?」
エクエスがいい笑顔で対応をした。
「お前かあああ、蜂蜜で罠を作ったとかいうやつはあああ」
ずいっと迫られた瞬間エクエスは、一礼して後ろに下がる。
「ああ、それは、プエル様ですね」
ハナはグリンと首を向ける。長い髪が舞い、白い粉が飛び散る。なまはげの形相でプエルを見つめる。
プエルは首を横に激しく振る。心理的にこれは逆らってはいけない相手だけれど、怖いからとりあえず逃げたいと思っている様子だ。
「ほほーう、お前かあああ、食材無駄にするアホォは!」
プエルは激しく首を横に振り、すすすとまよいがプエルから離れる。
「本当に何も知らないのかあああですぅううう。方々に仕掛けた罠はひとまず保留とするのですがぁ、小麦粉を使った罠と蜂蜜に関して……特に蜂蜜に関しては色々言いたいことがありますよぉおおお」
プエルはキョトンとなり「小麦粉は違うよ?」と素直に言った後、口を手でふさぐ。
「ほおおおおお、素直に言いましたねぇええ」
ずずいとハナに迫られ、プエルは震える。
「ぼぼぼぼぼ僕は、アリに餌をあげただけだよ!」
ごまかした。
「壺一杯のハチミツをおおお?」
「そ、そうだよ」
「蜂蜜がスプーン一杯できるのに、どのくらいの蜂がどのくらい時間かけるか知っていますぅ?」
ハナの説教が始まった。説教と豆知識付き。それも、式神がわらわらと浮かび、プエルに圧力をかける。
「これは長いことかかりそうですねぇ」
「えっと? 私のことは放置かな?」
まよいは激しい説教の様子を見つめ、溜息をもらす。
「ところで、お嬢さん、この着ぐるみの犯人はあなたのですか?」
エクエスはかがむと視線を合わせ尋ねる。妙に笑顔だが、目は笑っていないし、手が剣にかかっている。
「そうよ、すべては私が仕組んだこと……ということよ?」
「……はああ、結局、犯人は誰なのでしょうかねぇ」
「さあ?」
「犯人なのですよね?」
「……かもしれない?」
「……自分の犯行に自信のない犯人ですね……まあ、いいですけれど……いや、良くないぞ!」
エクエスはいったん燃えたが、すぐに「面倒くさい」としゃがみ込んだ。
ミオレスカはホットケーキを作ると、バターと蜂蜜をたっぷり乗せる。
プエル人形が嬉しそうにびょこびょこ跳ねている。
「さて、食べていいですよ?」
人形たちは食べようとしたが、口が開かないため食べられなかった。そして、落ち込む。
「食べるという機能がないのに、なぜ、食べようとしたのかと伺いたいのですが……」
人形たちは溜息をついたようだった。
●もぐもぐ
匂いにつられてルゥルがやってきた。
「どうぞお食べ下さい」
「みぎゃ」
『ふむ、いただくとしよう』
キノコなルゥルとパルムなレチ人形はあるだけ食べる。こっちの人形は口は開かないのに飲食可能である。
「さあ、おなか一杯のところで……、罠を仕掛けたモノについて何かご存知ですか?」
ルゥルもレチ人形も「知らない」と答える。
「余はもう、フラフラだ……」
「説教というかおしくらまんじゅうだったよね」
プエルとまよいが入ってきた。
「応用編としては籠を落とします」
プエル人形はメモを取るふりをしてミオレスカの話を聞いている。入ってきた二人がすっぽり入る籠が降ってきた。
「うわああ」
「きゃあ」
悲鳴は上げるが、冷静に二人は籠を持ち上げ出てきた。
「これは失敗ですね……」
ミオレスカがつぶやくと、プエル人形が残念そうだという仕草をした。
「何かよくわからないけれど、ああ、おいしそう。食べてもいい?」
まよいが嬉しそうにテーブルに着く。すでにおなかいっぱいでぼんやりしているルゥルとレチ人形に「何枚食べたか」を問う。なんとなく気になる。
「ひどい目に遭いましたけれど、これでひとまず終わりなのですぅ」
ハナはシャワーを浴び汚れを落として新しい服でやってきた。
「おお、これはおいしそうですねぇ。私もお茶を入れますよぉ……それよりも、食べ物で遊ぶ悪い子は悪夢を見るくらいお仕置きしますからねぇ」
ハナはグリンと首だけ百八十度回わし、プエルを見た。たぶん、肩から回っているはずだが、プエルには首だけそうなっているように見えている。
「ぐぅふっ」
プエルは驚いてホットケーキをのどに詰まらせた。
「はい、プエル様、お水」
エクエスは水をカメごと渡したため、蜂蜜の香りが漂う夢に水がぶちまけられた。
依頼結果
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/08/11 17:04:32 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/11 17:03:23 |