• 虚動

【虚動】漢と夢と血塗れ殺戮

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/12/27 12:00
完成日
2014/12/28 23:05

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ――辺境。CAM稼働実験場付近。
「ぶわっはっは! ようやく来たな! 『GAMマークII』よ!」
 今日の宿で一人高笑いをするご機嫌のヨアキム(kz0011)。
 先日の戦闘でGAMの難点が重量と通気性にあると察したヨアキムは、早々にドワーフの工房へ改修を発注。その完成品をキュジィが運搬してきたという訳だ。
「これで明日のヒーローはワシに決まりだな!」
「……え。本当にこれ着て実験場へ行くんですか?」
 絶句するキュジィ。
 なにせ、キュジィが運ばされた『GAMマークII』は、ショッキングピンクの甲冑だ。ヨアキムが戦闘装甲機『CAM』に負けない兵器を発注し、工房で忙しそうにしているドワーフが片手間に作った代物だ。馬鹿なヨアキムは本気でGAMがもの凄い兵器だと思い込んでいるようだが、CAMを目前にすればショックを受ける事は想像に難くない。
「当たり前じゃねぇか! 前回の失敗を学んで機動力も通気性もアップしたんだぞ。これでGAMに搭乗して走っても心配は一つもねぇ」
「でも、重量が減ったという事は防御力も低下してしまったのでは?」
「そりゃ、重量が減れば装甲も減っちまうわなぁ。
 ま、そんときゃ気合いで痛みを吹っ飛ばせばいいんじゃねぇか? ぶわっはっは」
 気合いで敵のダメージを軽減できるなら、GAMはそもそも不要なんじゃないか。
 その事に気付いたキュジィだが、ヨアキムが幸せならそれでも良いかと沈黙する事に決めた。
「あー、そうですねそうですね。装甲なんて飾りですよね。
 ところで、そのGAMの背中にある箱はなんですか? 運搬する時に気になってたんですが……」
 『GAMマークII』と名乗っているだけあって改修されたのは、重量や通気性だけではなかった。
 背中に怪しい箱が取り付けられているのだ。前回のGAMには存在しなかった代物だ。
「ふふ、気付いちまったか。
 こいつは新兵器だ。こいつがあれば明日の主人公はワシの物じゃ」
 賞賛される図を想像して幸せいっぱいのヨアキム。
 さっきはヒーローで、今度は主人公になっている。
 キュジィにとっては不安でいっぱいになるのだが、自分が失敗する訳ではない。
 敢えて放置したいが、弄らないのも可哀想なので少しだけ『GAMマークII』を弄ってみる事にする。
「ヨアキム様。その脚についている車輪はなんですか?」
「よくぞ気付いた。このローラーを使えば走るよりも速く移動できるってぇ優れものだ」
「あー、なるほど。でも、ヨアキム様ってそのローラーを使って走る練習はされたんですか? 結構バランス取るのが難しそうですが」
「……あっ」
 忘れてた! という顔をするヨアキム。
 思い切りため息をつきながら、キュジィはぽつりと呟いた。
「練習しましょう。明日の為に……」


「きーっ! あのばっちぃドワーフにあたしの大事な網タイツが!」
 一人悔しさに狂うのは、自称歪虚一の美しさを誇るMrs.ホージー。
 網タイツに女性用下着、ガーダーベルトを愛用するマッスルボディの変態さんである。
「誰が変態よっ! この美貌を持って、あの素敵兵器をゲットするのよ!」
 先日遭遇したヨアキムのGAMにご執心なホージー。
 GAMを手に入れようと何やら画策しているようだが――。
「あのドワーフに復讐するため、あたしの配下を召喚したの。
 出でよ、『ブラッディジェノサイド』!!」
 バーンっ! という効果音が似合う形でホージーにより紹介された三名の配下。
 水兵のセーラー服を着せられたアヒル。
 その辺で徘徊してた野良犬。
 黒く染められたネズミ。
 ……は?
「ご覧なさい。夢の国からの刺客『ブラッディジェノサイド』よ。
 彼らが活躍すれば、いろいろな大人が顔面蒼白よ」
 どうやらホージーはその辺の動物を捕まえて配下にしたつもりのようだ。
 でも、いろいろな大人が顔面蒼白になるのは当たってそうだから止めて下さい……。
「これであのGAMはあたしのものよ。待ってらっしゃい、不細工なドワーフっ!」

リプレイ本文

「ヨアキム様お久しぶりです。真田天斗です」
 真田 天斗(ka0014)は、深々と一礼した。
 目の前にいるのはショッキングピンクの甲冑に身を包んだヨアキム(kz0011)。
 GAMマークIIと名付けられた悪趣味な甲冑は、ヨアキムが決戦兵器という触れ込みでドワーフの工房に作られた物体だ。これでCAM稼働実験場へ殴り込みを掛けようというのだ。
「ご丁寧な挨拶をどうも」
「一度お会いしましたが、覚えていらっしゃいますか?」
「覚えているぞ。あいつだろ? 要塞の肉屋の次男坊」
「違います」
 真田はヨアキムが自分の事を忘れていると予期していた。
 それでも決して落胆を顔に出さないのが、一流の証だ。
「実験場までの道中、俺が護衛する……よろしく頼む」
 CAM稼働実験場へ向かいながら弥勒 明影(ka0189)は、挨拶を交わす。
 護衛に辺り、唯一の心配な事はGAMマークIIの脚部ローラーだ。
「どわっ!」
 弥勒が挨拶した側から、ヨアキムが無様に転がった。
 生まれたばかりの子鹿のように足を震わせながら、ゆっくりと立ち上がる。
「くっ、誰だ! GAMに車輪なんか付けた奴は!」
 お前だよ、お前! ……と、ハンター達が心の中でツッコミを入れる中、一人だけ賞賛しまくる者がいる。
「以前よりスタイリッシュになって。この角度から、見る姿がたまらんのう。我も欲しいのう」
 足下に座り込み、GAMマークIIを仰ぎ見るのはミルフルール・アタガルティス(ka3422)。
 ヨアキムを小父と呼んで慕う脳筋娘である。
「小父殿が歌って踊れるようになったり、四肢が飛ばせたり、東西南北全方位不敗となる機体なのであろう?」
「おうっ! こいつを乗りこなせるのはクリムゾンウェストの中でもワシ一人だろうな。GAMに秘められた力が覚醒すりゃ……もう凄いのなんの」
 明らかに何も考えてない事が言葉の節々から伝わってくる。
 しかし、ミルフルールにとっては凄さだけが伝われば良い。 
 だって、説明されてもさっぱり分からないのだから。
「とにかく、すごくなったのだな!」
「そうだぞ! ぶわっはっは!」
 ミルフルールが褒め称えるもんだから、ヨアキムが調子に乗り始める。
 馬鹿が調子に乗ったらロクな事が起こらないってぇのに……。
「あらあら、楽しそうねー」
 ノアール=プレアール(ka1623)は、微笑みを浮かべなる。
 探究心旺盛な機導師であるノアールにとって、GAMマークIIも興味を持っているが今回の護衛における最大の興味は別にある。
「ところでー、前回変わった歪虚が現れたって聞きましたー。物理攻撃を無効化するとかー」
 ノアールが興味を持った対象。
 それは前回GAMを奪わんと襲撃した歪虚の存在だ。報告書によれば、剣や銃器による攻撃は一切通じなかった。
「ああ、そういやそんな奴がいたな。なんてったっけなぁ」
「Mrs.ホージーと名乗っておったぞ、小父殿」
 ヨアキムの残念過ぎる記憶力をミルフルールが補足する。
 前回の護衛依頼でミルフルールはMrs.ホージーと遭遇していた。
「じゃあ物理攻撃の無効化はホーちゃんのオイルが原因なのかしらー?」
「うむ。奴自身、そう解説しておった。詳しい現象は分からん」
「噂に名高いドワーフ王とそれを付け狙うオイリーな歪虚。二つが衝突すればどんな化学反応が……楽しみだ」
 意味ありげな笑みを浮かべるヴィジェア=ダンディルディエン(ka3316)。
 奇物収集、人間観察、知識探求が趣味なヴィジェアにとって、ヨアキムは興味の対象だ。その上、今まで聞いた事がない歪虚の存在。何かが起こりそうな予感がヴィジェアの中で渦巻いていた。
「まだ歪虚が現れるって決まった訳じゃねぇ。ゆっくりのんびり行こうじゃねぇか」
「あら残念。のんびりできなくなっちゃったみたいよ」
 先頭を行くカミーユ・鏑木(ka2479)が、その歩みを止めた。
 一本道の行く手を阻む者が一人。
 女性用下着と網タイツ、ガーダーベルトに身を包んだ生粋の変態――Mrs.ホージーが姿を現したのだ。


「待ってたわよ。つーか、待ちくたびれたわよ!
 ……って、ちょっと! この間よりも甲冑がイカすデザインに変わっているじゃない!」
 オイル塗れの筋肉を誇示しながら、Mrs.ホージーは恫喝する。
 どうやらGAMマークIIを気に入ったホージーはGAMに固執。自分に渡せといって聞かないようだ。
「ホージーちゃん、貴女に一言物申すわ!」
 一歩前に出たカミーユ。
 人差し指でホージーを指差し、堂々とした態度。さすがは体は男、心は乙女のナイスゲイだ。
「あら。イケメンと女以外にも、分かっている奴がいるじゃない」
 カミーユの登場にホージーは、アドミナブル・アンド・サイで筋肉を誇示しながら腰をくねらせて臨戦態勢へ入る。
 カミーユに同系の香りを感じ取ったのかもしれない。
「貴女。その格好……セクシーさの欠片もないわ!」
「あら。言ってくれるじゃない? 理由を聞かせてもらおうかしら。
 歪虚一の美を兼ね備えたこの艶女を否定する理由を」
 挑発的な態度のホージーに対して、カミーユは大きく頭を振った。
「勝負下着を着飾りたいのも否定はしない……。だけど、それはチラリズムと意外性があってこそよ! 
 敢えて言うわ。貴女は単なる痴女であると!」
 いや、痴女じゃなくておっさんなんだけど。それ以前に歪虚で……。
 話の方向性が斜め上に行き始め、奇怪な会話が繰り返される。
 その為か、ヴィジェアの目は二人のやり取りに目を輝かせている。
「いいねぇ。実にいい。……で、ユーが思うセクシーってなに?」
 ヴィジェアの一言を待っていたかのように、ホージーは軽く笑みを浮かべる。
「いいこと? 真のセクシーというのは……」
 そう言いながら突然ライダースーツを脱ぎ捨てるカミーユ。
 白いブーメランパンツ型の水着一丁。柔道やレスリング、プロレスで鍛え上げた肉体が露わとなり、褐色の筋肉が空気に触れる。
「おおおおっ! 小父殿!
 あの筋肉っ! カミーユ殿は、かなりできるようだぞ!」
「すげぇな。リアルブルーのゲイって奴はぁ、漢の道を突き進む猛者と見た。あの拳で殴られたら……」
 カミーユに殴られる様子を妄想してヨダレを垂らすヨアキム。
 つーか、カミーユのおかげでヨアキムの中でゲイを勘違いさせてしまったようだ。
「ぬおおおっ!」
 ブーメランパンツ一丁で攻めの構えを発動するカミーユ。
 そこからホージーに向けてフロントのラットスプレッドで背中の広がりを強調。さらに、両腕を上げた後に力を込めダブルバイセップス。鍛え上げた上腕二頭筋のキレ具合を披露する。
「平素から一転してこれ! この脱いだ時の差が、セクシーにつながるのよ!!」
 サイドチェストで胸筋の厚みを見せ付けるカミーユ。
 ライダースーツで身を隠しておき、有事になればマッスルポーズで肉体美を見せ付ける。このギャップにセクシーさがあると主張したいようだ。
 だが、予期せぬボディビル大会を前にしてもホージーは戦く様子はない。
「ふふ」
「何がおかしいの?」
「チラリズム? ギャップ?
 それは美に自信がない者が駆使する小手先の技よ。本当のセクシーは何もしなくても、そこにいるだけでセクシー。哀れね、なかなかセンスある子なのに」
「……なら、あたし達は敵同士ね。
 貴女を放置してたら、あたし達乙女の評判の為に……貴女を討つわ!」
 解り合えぬ事を察した二人。
 張り詰めた空気が周囲を覆い尽くす。いや、ホージーは歪虚なんだから理解もへったくれもないんだけど。
「敵の大将を一気に叩きます」
 真田は一気に駆け出してホージーへ接近。
 スラッシュエッジを使って間合いを詰める。
「あら? イケメンからあたしに近づいてくるなんて。嬉しいじゃない」
「撃退させていただきます」
 真田は、右のジャブを数発繰り出した。
 しかし、ジャブはホージーの体に命中した瞬間、滑って外れてしまう。
「外見の美醜など些事に過ぎん。元より歪虚は眼中にない」
 真田の後方から弥勒がオートマチックピストルを放つ。
 放たれた弾丸はホージーの体へ突き刺さる――はずだったが、またしても弾丸は逸れてしまう。
「無駄よ。そういう攻撃はあたしの玉のような肌を傷つけられないの。
 観念してGAMを渡しなさい。ついでにイケメンはここに残ってもいいのよ?」
 余裕の笑みを浮かべるホージー。
 その様子を見ていたノアールは冷静に状況を分析する。
「あらあら。ホーちゃんには情報通り物理攻撃は通用しないみたいねー。
 あのオイルが物理攻撃を滑らせるのねぇ」
 ノアールはホージーの肌をコーティングするオイルが、物理攻撃無効化の原因だと確認した。そして、その事実が次なる実証実験へと興味を移行させる。
「じゃあ、あのオイルを採取して私達もオイルを被れば物理攻撃が無効になるのかしらー。是非、試してみないといけませんねー」
「うっ。なんか怖い奴がいるわね。部下を連れてきておいて良かったわ。
 さぁ、ブラッディジェノサイド! 出番よ、やってしまいなさい!」
 ホージーに促されるように繁みから飛び出す三つの影。
 セーラー服を着せられたアヒル。
 首輪を付けられた野良犬。
 黒い液体を塗られたネズミ。
 明らかにホージーの配下らしい胡散臭い連中である。
「ならば、かの敵はオレが相手をしよう」
 弥勒はタバコを咥えながら、ネズミに向かって走り出す。
 ビビるネズミ。弥勒はクールのまま、日本刀に手をかける。
「チュウっ!」
 弥勒の本気っぷりにビビったのか、ネズミはその場から退散。再び繁みの中へ飛び込んだ。
「派遣執事たるもの、この程度では根を上げません。
 部下の方はお任せください」
 そう言いながら、戯れ付いてくる野良犬の首を擦る真田。
 真田の右腕ではアヒルが派手に暴れている。
 どうやらホージーが用意した部下は何の変哲もない普通の動物達だったようだ。でもホージーにとってショックな光景だ。
「きゃーっ! あたしのブラッディジェノサイドがっ!」
「チャンスだ、ドワーフ王。一気に奴を仕留めるんだ。後方支援は任せてくれ」
 ヨアキムにファイアエンチャントとウィンドガストを施すヴィジェア。
 ヨアキムに戦闘を促したのもホージーとヨアキムの掛け合いを見たかっただけなのだが、馬鹿はそんな事も露知らず。大張り切りで前へ出る。
「うおおお! ワシに任せておけ! 行くぞGAMっ!」
 次の瞬間、GAMマークIIの背中から派手に白い煙が放たれる。
 あ、この煙は演出なので別に何もありません。馬鹿が早くなった気になるだけです。
「失せやがれっ!」
 練習してローラーの移動も慣れてきたヨアキムから放たれる拳の一撃。
 しかし、ホージーに触れた瞬間――拳は滑ってダメージを与えられない。
「ちっ、避けやがって! 卑怯者っ!」
「もう、諦めてさっさとその鎧を明け渡しなさいよ」
「小父殿、合体だ! 我等の絆、見せ付ける時ぞっ!」
 ヨアキムによじ登り、肩車状態になるミルフルール。
 そして、合体という言葉にヨアキムは浪漫を感じずにはいられない。
「行くぞっ! ワシらの力を見せてやるっ!」
「もう、何度来ても一緒なのに」
 ため息をつくホージー。
 案の定、ヨアキムの一撃はホージーの肌に触れた途端、滑ってダメージを与えられない。
「ほらね、だから無駄だって。お馬鹿さん」
「馬鹿はお前だ」
 ヨアキムが接近したという事は、ミルフルールも同時に接近している事を意味している。
 ミルフルールは至近距離からシャドウブリットを発動。黒い塊がホージーの顔面に炸裂し、ホージーの体は派手に吹き飛ばされる。
「見たか、我等の絆!」
「おおっ! すげぇぞ、合体!
 やれる! これならワシらは誰にも負けねぇぞ!」
 プロテクションでヨアキムの体を包むミルフルール。
 まるで後光が差すかのような姿でホージーを威圧する。恐るべし、合体。
「そぉーれ!」
 吹き飛んで地面に転がるホージーへノアールがエレクトリックショックを浴びせかける。
「きゃー! やだ、体が痺れて動かない!」
「痺れて動けなくなっちゃったでしょー。ささ、そのオイルをちょっといただくわねー」
 ノアールはブランデーの瓶を開けると中身をホージーの頭から掛ける。そして空になった瓶にオイルを集め始める。
「酷い……。痺れさせた後に、あたしの美しいオイルが……」
「あらあら、掬っても掬ってもオイルが溢れてくるのねー」
 楽しそうにノアールがオイルを採取し終わる頃には、ブラッディジェノサイドの面々も真田と弥勒に追い払われていた。ハンター達は馬鹿の撃退に成功したようである。


「美を見誤った歪虚。解り合えないのは残念ね」
 ホージーを撃退したカミーユ。
 この奇妙な関係はいずれ決着を付けねばならないだろう。
「……了解。なるほどね」
「どうした?」
 ヨアキムはヴィジェアが魔導短伝話で何処かへ話している事に気付いた。
「いやね。さっきの戦闘を隠し撮りしてたんだ。
 それを実験場の関係者が見て『見事な戦いだった』って言っているんだよね」
「なに!? ワシらのかっこええ戦いを見ていたのか!」
 ヴィジェアはそう言っているが、実は隠し撮りなどしていない。単なるでっち上げだ。
 しかし、疑うことを知らないヨアキムはヴィジェアの言葉を鵜呑みにする。
「だから、今から実験場へ行っても驚き半減。今日は出直したらいいんじゃないか?
 向こうも忙しいみたいだし」
「そうか、忙しいのか。戦闘シーンも見て貰えたなら今日のところは引き下がるとしよう」
 実験場に乱入しようとしていたくせに、相手が忙しい事を理由に引き下がる。
 この辺りはヨアキムの残念ぶりを知るには良いエピソードだ。
 その様子を傍目から見ていた弥勒は、思わず呟いた。
「仕える者としては心労あっても楽しそうな事だ。
 もっとも、仕える者でないから発する事のできる言葉ではあるが」


 ――後日。
「あらあら、これは困りましたねー」
 ノアールは、驚いていた。
 集めたはずのオイルから生ゴミが腐ったような臭いが発せられているのだ。しかも粘性は大きく落ちている。
「おそらく、長時間空気に触れる事でオイルの性質が変容したと見るべきかしらー。あの物理攻撃無効はオイルが生成され続ける事で効果を発揮する代物ねー」
「あまり根を詰めてはいけません。お茶を用意しましょう」
 ノアールの為にお茶の準備を始める真田。
 リラックス効果を狙ってお茶を薦めたつもりだが、当のノアールはホージーという新しい研究対象に興味津々であった。

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MVP一覧

  • 黒豹の漢女
    カミーユ・鏑木ka2479
  • アネゴ!
    ヴィジェア=ダンディルディエンka3316

重体一覧

参加者一覧

  • Pクレープ店員
    真田 天斗(ka0014
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 輝きを求める者
    弥勒 明影(ka0189
    人間(蒼)|17才|男性|霊闘士
  • マテリアル調査員
    ノアール=プレアール(ka1623
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • 黒豹の漢女
    カミーユ・鏑木(ka2479
    人間(蒼)|28才|男性|闘狩人
  • アネゴ!
    ヴィジェア=ダンディルディエン(ka3316
    エルフ|28才|女性|魔術師
  • 麗しき脳筋
    ミルフルール・アタガルティス(ka3422
    エルフ|13才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/12/23 17:13:53
アイコン GAMマークII立つ
ミルフルール・アタガルティス(ka3422
エルフ|13才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/12/26 14:34:29