ゲスト
(ka0000)
フリーマーケットへいこう
マスター:秋月雅哉
オープニング
●真っ盛りの夏と、次に来る秋に備えて
夏はまだまだ続くけれどビーチ用品などはそろそろしまい時。クラゲが出てくるから海に行くことはできない。プールの類ではビーチパラソルなどは使わないだろう。来年までどこにしまっておこうか。
服屋ではもう夏ものより秋物が出回り始めていて夏物の服を買い足すことが難しい店が出てきた。服屋の商品はワンシーズン早く並び始めることも多いので仕方ないが夏物衣料に乏しい時は少し困るかもしれない。
成長のはやい赤ん坊の衣服は買っても買ってもすぐに小さくなってしまう。しまっておけるスペースがあればいいがそれなりにかさばるしまだ綺麗なら捨てるのはもったいない。
そんな日常のこまごました「ほしいけれど手に入りにくいもの」や「まだ使えるけれど自分では使わないもの」は住居にたくさんあるのではないだろうか。そんなときはフリーマーケットに出かけてみてはどうだろう。
そう提案したのはルカ・シュバルツエンド(kz0073)だ。相変わらず仕事の合間に催し物を探してくるのだけはうまいらしい。
「事前に申請すれば自分で店を出すこともできるよ。出品者が思ったより少ないみたいだから歓迎してもらえると思う。出品不可能なものは未成年にふさわしくないもの……いかがわしいものとかお酒とかたばこだね。あとは自分が持ち込める範囲で好きにしていいみたいだ。手作り雑貨が好きな人は作って並べてみればハンターが作った一点物ってことで注目されるかもしれない。他にもいろいろ、天気が崩れにくい今の季節のうちに整理したいものなんかがあればもっていってみればいい。値下げ交渉に応じるかどうかは君たち次第だしまとめ買いするから値引いてくれ、なんていうのもこういう市の定番だから買い物に行って取引してみてもいい。
食べ物とかは保存食以外は傷むからやめた方がいいんじゃないかな。骨董品とかも取り扱う店があるって聞いたから興味がある人は一緒に行ってみないかい?」
人と人との出会いは一期一会に例えられるが誰かのもとで物語を紡いできたものと新しい縁を求めに出かけてみてはどうだろうか。
まだまだ暑い日は続くので熱中症と日差しに気を付けて、フリーマーケットに出かけよう。
夏はまだまだ続くけれどビーチ用品などはそろそろしまい時。クラゲが出てくるから海に行くことはできない。プールの類ではビーチパラソルなどは使わないだろう。来年までどこにしまっておこうか。
服屋ではもう夏ものより秋物が出回り始めていて夏物の服を買い足すことが難しい店が出てきた。服屋の商品はワンシーズン早く並び始めることも多いので仕方ないが夏物衣料に乏しい時は少し困るかもしれない。
成長のはやい赤ん坊の衣服は買っても買ってもすぐに小さくなってしまう。しまっておけるスペースがあればいいがそれなりにかさばるしまだ綺麗なら捨てるのはもったいない。
そんな日常のこまごました「ほしいけれど手に入りにくいもの」や「まだ使えるけれど自分では使わないもの」は住居にたくさんあるのではないだろうか。そんなときはフリーマーケットに出かけてみてはどうだろう。
そう提案したのはルカ・シュバルツエンド(kz0073)だ。相変わらず仕事の合間に催し物を探してくるのだけはうまいらしい。
「事前に申請すれば自分で店を出すこともできるよ。出品者が思ったより少ないみたいだから歓迎してもらえると思う。出品不可能なものは未成年にふさわしくないもの……いかがわしいものとかお酒とかたばこだね。あとは自分が持ち込める範囲で好きにしていいみたいだ。手作り雑貨が好きな人は作って並べてみればハンターが作った一点物ってことで注目されるかもしれない。他にもいろいろ、天気が崩れにくい今の季節のうちに整理したいものなんかがあればもっていってみればいい。値下げ交渉に応じるかどうかは君たち次第だしまとめ買いするから値引いてくれ、なんていうのもこういう市の定番だから買い物に行って取引してみてもいい。
食べ物とかは保存食以外は傷むからやめた方がいいんじゃないかな。骨董品とかも取り扱う店があるって聞いたから興味がある人は一緒に行ってみないかい?」
人と人との出会いは一期一会に例えられるが誰かのもとで物語を紡いできたものと新しい縁を求めに出かけてみてはどうだろうか。
まだまだ暑い日は続くので熱中症と日差しに気を付けて、フリーマーケットに出かけよう。
リプレイ本文
●フリーマーケットを始めよう
夏にしては穏やかな日差しと心地よい風の中、有志によるフリーマーケットが開催される合図として花火があがる。出店スペースに品物を陳列していた出品者たちは買い手に掘り出し物があるよ、見ていって、安くするよ、と声をかけ買い物客はそれぞれ目当ての品を探して会場を歩き始める。
アルト・ハーニー (ka0113)が開いたのは埴輪グッズの店というなかなかマニアックな自作アイテムの店だった。販売スペースに所狭しと並ぶ自作の埴輪の置物たち。そして埴輪モチーフのアクセサリや自分で編集した埴輪の歴史本まで。
興味がありそうな客が寄ってきたなら埴輪について語りだすつもりだったがクリムゾンウェストには埴輪の文化が根付いていないので閑古鳥が鳴いていた。
「埴輪の魅力を多くに知らせるためにこういうチャンスは逃さないようにしないと思って、こんなこともあろうかとグッズを作ってきたが……商売とは難しいな。なかなか足を止めてくれないな、みんな。こんなに可愛いのになぜにみんな惹かれないのか……!」
いったい何の置物だろう、と足を止めた客に対してここぞとばかりに熱く魅力を語る。
「ほう、埴輪に興味があるとな。お目が高いな、お客さん。では埴輪の魅力をじっくりと聞かせてやろう」
熱弁を繰り広げられた客がそそくさと逃げて行ってしまって意気消沈しているとハンターのアシェ-ル (ka2983)が通りかかった。
「何か掘り出し物があるかもしれないし、引きこもってないでたまにはぶらぶらしてみようかとでてきたんだけど……ここ、何のお店?」
「埴輪に関するグッズやアクセサリー、歴史の本が置いてある。お客さんか?」
「わぁ! なにこれ! どうやって使うの? 置物かな……?」
「埴輪は副葬品だな。貴人が亡くなった時馬や兵士などの形の埴輪を作って一緒に埋葬したんだ。それまでは実際に人や動物を死後の国でも統治できるように一緒に埋葬したといわれている。由緒正しい品なんだ」
「へぇ……副葬品とフリーマーケットで会うなんて思わなかったな。出かけているのも悪くないかも。アクセサリーは亡くなった方が身に着けたとか逸話があるの?」
「いや、置物だと四六時中埴輪を愛でることができないからな、アクセサリーにすれば外出先でも埴輪と過ごすことができると考えて作った。置物のほうの埴輪も 歴史書も知識を総動員して手作りだ」
「頑張ったんだねぇ……それじゃあ私はそろそろ他のお店に行くよ。話、聞かせてくれてありがとう。私も今度はお店出してみようかな。倉庫があふれそうだし……」
アシェールは自身の好みである可愛い柄物や仮面の類を売っている店はないかとしばらく散策したのだった。
「買ってくれると思ったのに……。ま、まぁ布教はできたしな。お客さん、見ていかないか。これは埴輪といって……」
アルトはめげずに埴輪の魅力を広めるために買い物客に声をかけて回るのだった。
リューリ・ハルマ (ka0502) とアルト・ヴァレンティーニ (ka3109)はお互いを親友と呼ぶ仲のいい二人組。フリーマーケットが開かれると聞いて二人でやってきた。
「かわいいパーカーとかスカートがあったらいいな。試着ってできるのかな。試着室があるとは思えないんだけど……サイズが合わなかったらどうしたらいいんだろ。アルトちゃんはリアルブルーっぽい服探しかな?」
「うん、普段着も探したいけど民族衣装を集めるのが好きだからリアルブルーのものとか……お祭りとか新年にリアルブルー出身の人が着る浴衣とか着物とか、売ってたら買いたいなぁ」
二人の目当ては服飾関連の掘り出し物。最近は戦ってばかりで買い物は久しぶりだし親友との休日はどんな外出先でも楽しいものだ。
「アルトちゃん、普段着ならこのシャツとか似合うと思うけどどうかな」
そういってリューリがアルトに示したのは鈍い光沢のある灰色と銀の中間のような柔らかで上品な色の生地に極細の黒のストライプが入った襟のあるシャツだった。
「あ、派手過ぎなくていいかも。リューリちゃんにはフードか猫耳のとか持ってるみたいだし他の動物っぽいのも似合いそうな気がする……あ、タヌキ耳のパーカーがある。外出着じゃなく部屋着にするならこれとかいいかも」
「これとこれ買うからおまけとかしてくれないかな? 駄目? じゃあこれも買うから……ね?」
目利きを使用して縫製がしっかりしていることをアルトが確認してリューリが話術と交渉術を駆使して値切りにかかる。
お互いがお互いに見立てたシャツとパーカーのほかにアルトは手作りのニットドレスを秋に向けて、リューリはサマーセーターとチェックのスカートを追加で買って半額とまではいかないが相当安く買い物をすることに成功したのだった。
「手作りの服とかも意外な掘り出し物あって楽しいね、リューリちゃん」
「本当だね、アルトちゃん。今度この服着て遊びに行こうよ!」
「もちろん! 楽しみだな」
青峰 らずり(ka3616)が出店したのは魔法少女グッズの店。目的は世に魔法少女の良さを広めることだ。
自作した魔法少女物のファンブックや魔法少女変身グッズ、人はそれをコスプレ衣装というのかもしれないが変身グッズだと言い張るきらきらと効果音を付けて着替えるのが似合いそうな衣装たち、魔法少女が持っていそうなステッキやお供にしていることが多い小動物をイメージしたぬいぐるみなど。ちなみに隣のブースにはアルトが埴輪を出店していたためこの二区画はかなり独特な雰囲気を放っていた。
「未成年にお勧めできないようなものもないので、その点はご安心ください。魔法少女に憧れるのは小さい子供から大人の階段上った女性まで。中には男性も。小さいお子さん用にぬいぐるみや女児用衣装、大人の女性用に変身アイテムをモチーフにしたコスメなんかも置いてますよ!」
そもそもらずりが未成年なのだが、という突込みは本人の心の中でしかなされない。
「魔法少女はちょっとわからないけどこのコスメの入れ物は可愛いわね。おいくら?」
「いらっしゃいませ! 肌に優しい成分の化粧品を使って衣類から敏感肌でも安心ですよ。お値段ですが……」
一般人の女性が興味深げに寄ってきたのを見てらずりは熱心に商売を始める。
一通り売りさばいた後はらずりがまだ見ぬ魔法少女物を求めて買い物客になる予定だがそれはまだすこし先の楽しみになりそうだった。
鳳凰院ひりょ(ka3744)が店に置くのは依頼などでいろんな場所にいった経験と、そこで魔導カメラで撮影した景色の写真。それをもとにジグソーパズルを様々な難易度で作ったものだ。
完成見本には写真を使用してヒントとしてピースの形を薄く書き込んである。
「これなら大人から子供まで楽しむものができるものになるだろう」
子供向けには普段ともに戦ってくれている幻獣のパズルなども用意した。
ジグソーパズルに合わせる額縁はサービス品として購入者にプレゼントする。
「本当に額縁、もらっていいんですか?」
「材料があれば簡単に作れるからな。楽しんでもらえたら嬉しい」
「ママ、これかっこういい!」
「あら、本当。ハンターさんなの?」
「まぁ、一応。依頼でいった景色を収めたものです」
「どんな冒険してきたのー?」
女の子と男の子の子供連れの夫妻が興味深そうにパズルを選んでいる間、ひりょは子供たちに冒険譚を短めのものを選んで聞かせてやる。
子供たちはそれを目を輝かせて聞いていて、その冒険の舞台になった光景のパズルが追加でお買い上げされたのだった。
「これは面白い……。いくつか私も回らせてもらうか。普通の店では売っていないものもみられるのが魅力だな」
殺風景な部屋に飾りつけられるものでもあれば、と思って買い手として参加していたレイア・アローネ(ka4082)だったが骨董品の相場を知らないし目利きも得意とは言えないので質の悪い売り手、または自身も騙されていることを知らずに本物だと信じ込んでいる売り手から高額な偽物を売られたり吹っ掛けられたりと気づけばすさまじい出費、収穫物はよくみれば本物かどうか誰も保証してくれないものばかり。
テンションが知らないうちに上がっていて衝動買いをしてしまったのかもしれない。財布の中身を見て一気に現実に立ち返るレイア。
「……フリーマーケット……お、恐ろしい……」
その後彼女が骨董品をどうしたのかは誰も知らない。
北谷王子 朝騎(ka5818)は占い屋を営業。ある出来事からものすごく落ち込んでいて最初は座り込んでぼーっと当たりの光景を眺めていたが通りすがりの小さくかわいい女の子を見かけて、ラッキースケベ的にパンツをのぞき込んでからは元気とやる気が出たようだ。
「いつまでもくよくよせずハンターとして世のため、人のために役に立ってその見返りにちっちゃ可愛い女の子のパンツをまた見せてもらいたいでちゅ」
心機一転金運や健康運、恋愛運、ここまでは普通でパンツ運という何を占われるのかわからないものやそのほか客が占ってほしいことを占い始める。
「お代は結構でちゅよ。占い(売らない)屋だけに」
星野 ハナ(ka5852)は半運営側的な売り子として休憩スペースを提供。
「フリーマーケットだからこそ、買ってくださった皆さんが戦利品を整理したり見せあいっこしたりするスペースがあった方がいいと思うんですぅ。今日は少し涼しめですけど涼しくても熱中症にはなりますしぃ。足を運んでくださった皆さんが熱中症で倒れたりしたら嫌ですからねぇ。
たまにはこういうボランティアっぽい自主活動もいいかと思いましてぇ。これで興味を持った方がお祭りのときは覗いてくださるかもしれませんしぃ」
普段東方茶屋で使用している茶屋の長椅子を緋毛氈を敷かずに並べ休憩スペース提供し、小さい紙コップで麦茶を無償で提供。飲み終わったカップのポイ捨てを防ぐために回収用のごみ箱も設置してある。
日差しを遮るために大きな日傘を何本も差し掛けて長椅子の上に日陰を作って。
折り紙で吊るし雛のようなものを作ってインテリア代わりに傘の内側に垂らした休憩所はハナの狙い通りたくさんの人が戦利品の整理や見せあうために利用し、ここは何かの出張店か、と聞く人も多かった。
ハナはそんな利用客に愛想よく受け答えして一日を過ごすことになりそうだ。
静玖(ka5980)は古くなった着物をほどいて作った、着物地で作った丸紐や髪を束ねる紐、服紐として売り出していた。
そのほかにも同じく着物の生地で作ったツマミ細工のかわいい髪飾りなどの装飾や趣味で作っている組紐などを売っている店はなかなか繁盛している。
「いい加減たまってもてなぁ。……ごはん以外は上手なんやぇ?」
リアルブルーのものや着物に興味を持っていたアルトとリューリも先ほど立ち寄って興味深げに眺めた後気に入った柄のものを購入していった。
そのあとルカがふらりと立ち寄ってこの間はどうも、と静玖に挨拶すると寄っていかないか、と声がかかる。
「あ、ルカはん~せや、この間言っとりました料理やけど、よかったら後で食べてもらえまへんやろか? おかしなんだけどな?」
お店の片隅から取り出したのは小さな箱、材料はまっとうなパンケーキに使う材料だがふたを開けてみればなぜか怪しげな色味と香りがする。
「試食してもろたよって、多分大丈夫やおもいますんけど」
照れたように笑う静玖からルカは色味も匂いもこれがごく普通のパンケーキだというように笑顔で受け取る。
「さっき休憩所を見かけたからお茶と一緒にいただくよ。まだ店はやっているんだろう? 食べ終わったら感想を言いに戻ってくるよ。その時になにか買い物をしたいから男性が持っていてもおかしくないものでおすすめがあれば寄せておいてもらいたいな」
「おおきに。待ってますえ」
休憩所でルカが食べるダークマターに他の利用者や場所を提供してたハナはぎょっとしていたが本人はなかなか料理上手だね、あの子。と感心した様子だった。
その言葉を静玖に伝えると料理をほめられたことがなかったのかひどくうれしそうに笑い、いつもしっぽのように短めの後ろ髪を束ねているルカにたまにはこんなのはどうやろ? と髪を束ねるための紐をいくつか示して見せて。
美味しいものをいただいたから少しお代に色をつけるよ、というルカと食べてもらいたかっただけやし完食してくれたのルカはんが初めてだからおまけするわ、という静玖でちょっと珍しいお互いに得をさせようとするやり取りがあったりしながらフリーマーケットでの一日は過ぎていった。
夏にしては穏やかな日差しと心地よい風の中、有志によるフリーマーケットが開催される合図として花火があがる。出店スペースに品物を陳列していた出品者たちは買い手に掘り出し物があるよ、見ていって、安くするよ、と声をかけ買い物客はそれぞれ目当ての品を探して会場を歩き始める。
アルト・ハーニー (ka0113)が開いたのは埴輪グッズの店というなかなかマニアックな自作アイテムの店だった。販売スペースに所狭しと並ぶ自作の埴輪の置物たち。そして埴輪モチーフのアクセサリや自分で編集した埴輪の歴史本まで。
興味がありそうな客が寄ってきたなら埴輪について語りだすつもりだったがクリムゾンウェストには埴輪の文化が根付いていないので閑古鳥が鳴いていた。
「埴輪の魅力を多くに知らせるためにこういうチャンスは逃さないようにしないと思って、こんなこともあろうかとグッズを作ってきたが……商売とは難しいな。なかなか足を止めてくれないな、みんな。こんなに可愛いのになぜにみんな惹かれないのか……!」
いったい何の置物だろう、と足を止めた客に対してここぞとばかりに熱く魅力を語る。
「ほう、埴輪に興味があるとな。お目が高いな、お客さん。では埴輪の魅力をじっくりと聞かせてやろう」
熱弁を繰り広げられた客がそそくさと逃げて行ってしまって意気消沈しているとハンターのアシェ-ル (ka2983)が通りかかった。
「何か掘り出し物があるかもしれないし、引きこもってないでたまにはぶらぶらしてみようかとでてきたんだけど……ここ、何のお店?」
「埴輪に関するグッズやアクセサリー、歴史の本が置いてある。お客さんか?」
「わぁ! なにこれ! どうやって使うの? 置物かな……?」
「埴輪は副葬品だな。貴人が亡くなった時馬や兵士などの形の埴輪を作って一緒に埋葬したんだ。それまでは実際に人や動物を死後の国でも統治できるように一緒に埋葬したといわれている。由緒正しい品なんだ」
「へぇ……副葬品とフリーマーケットで会うなんて思わなかったな。出かけているのも悪くないかも。アクセサリーは亡くなった方が身に着けたとか逸話があるの?」
「いや、置物だと四六時中埴輪を愛でることができないからな、アクセサリーにすれば外出先でも埴輪と過ごすことができると考えて作った。置物のほうの埴輪も 歴史書も知識を総動員して手作りだ」
「頑張ったんだねぇ……それじゃあ私はそろそろ他のお店に行くよ。話、聞かせてくれてありがとう。私も今度はお店出してみようかな。倉庫があふれそうだし……」
アシェールは自身の好みである可愛い柄物や仮面の類を売っている店はないかとしばらく散策したのだった。
「買ってくれると思ったのに……。ま、まぁ布教はできたしな。お客さん、見ていかないか。これは埴輪といって……」
アルトはめげずに埴輪の魅力を広めるために買い物客に声をかけて回るのだった。
リューリ・ハルマ (ka0502) とアルト・ヴァレンティーニ (ka3109)はお互いを親友と呼ぶ仲のいい二人組。フリーマーケットが開かれると聞いて二人でやってきた。
「かわいいパーカーとかスカートがあったらいいな。試着ってできるのかな。試着室があるとは思えないんだけど……サイズが合わなかったらどうしたらいいんだろ。アルトちゃんはリアルブルーっぽい服探しかな?」
「うん、普段着も探したいけど民族衣装を集めるのが好きだからリアルブルーのものとか……お祭りとか新年にリアルブルー出身の人が着る浴衣とか着物とか、売ってたら買いたいなぁ」
二人の目当ては服飾関連の掘り出し物。最近は戦ってばかりで買い物は久しぶりだし親友との休日はどんな外出先でも楽しいものだ。
「アルトちゃん、普段着ならこのシャツとか似合うと思うけどどうかな」
そういってリューリがアルトに示したのは鈍い光沢のある灰色と銀の中間のような柔らかで上品な色の生地に極細の黒のストライプが入った襟のあるシャツだった。
「あ、派手過ぎなくていいかも。リューリちゃんにはフードか猫耳のとか持ってるみたいだし他の動物っぽいのも似合いそうな気がする……あ、タヌキ耳のパーカーがある。外出着じゃなく部屋着にするならこれとかいいかも」
「これとこれ買うからおまけとかしてくれないかな? 駄目? じゃあこれも買うから……ね?」
目利きを使用して縫製がしっかりしていることをアルトが確認してリューリが話術と交渉術を駆使して値切りにかかる。
お互いがお互いに見立てたシャツとパーカーのほかにアルトは手作りのニットドレスを秋に向けて、リューリはサマーセーターとチェックのスカートを追加で買って半額とまではいかないが相当安く買い物をすることに成功したのだった。
「手作りの服とかも意外な掘り出し物あって楽しいね、リューリちゃん」
「本当だね、アルトちゃん。今度この服着て遊びに行こうよ!」
「もちろん! 楽しみだな」
青峰 らずり(ka3616)が出店したのは魔法少女グッズの店。目的は世に魔法少女の良さを広めることだ。
自作した魔法少女物のファンブックや魔法少女変身グッズ、人はそれをコスプレ衣装というのかもしれないが変身グッズだと言い張るきらきらと効果音を付けて着替えるのが似合いそうな衣装たち、魔法少女が持っていそうなステッキやお供にしていることが多い小動物をイメージしたぬいぐるみなど。ちなみに隣のブースにはアルトが埴輪を出店していたためこの二区画はかなり独特な雰囲気を放っていた。
「未成年にお勧めできないようなものもないので、その点はご安心ください。魔法少女に憧れるのは小さい子供から大人の階段上った女性まで。中には男性も。小さいお子さん用にぬいぐるみや女児用衣装、大人の女性用に変身アイテムをモチーフにしたコスメなんかも置いてますよ!」
そもそもらずりが未成年なのだが、という突込みは本人の心の中でしかなされない。
「魔法少女はちょっとわからないけどこのコスメの入れ物は可愛いわね。おいくら?」
「いらっしゃいませ! 肌に優しい成分の化粧品を使って衣類から敏感肌でも安心ですよ。お値段ですが……」
一般人の女性が興味深げに寄ってきたのを見てらずりは熱心に商売を始める。
一通り売りさばいた後はらずりがまだ見ぬ魔法少女物を求めて買い物客になる予定だがそれはまだすこし先の楽しみになりそうだった。
鳳凰院ひりょ(ka3744)が店に置くのは依頼などでいろんな場所にいった経験と、そこで魔導カメラで撮影した景色の写真。それをもとにジグソーパズルを様々な難易度で作ったものだ。
完成見本には写真を使用してヒントとしてピースの形を薄く書き込んである。
「これなら大人から子供まで楽しむものができるものになるだろう」
子供向けには普段ともに戦ってくれている幻獣のパズルなども用意した。
ジグソーパズルに合わせる額縁はサービス品として購入者にプレゼントする。
「本当に額縁、もらっていいんですか?」
「材料があれば簡単に作れるからな。楽しんでもらえたら嬉しい」
「ママ、これかっこういい!」
「あら、本当。ハンターさんなの?」
「まぁ、一応。依頼でいった景色を収めたものです」
「どんな冒険してきたのー?」
女の子と男の子の子供連れの夫妻が興味深そうにパズルを選んでいる間、ひりょは子供たちに冒険譚を短めのものを選んで聞かせてやる。
子供たちはそれを目を輝かせて聞いていて、その冒険の舞台になった光景のパズルが追加でお買い上げされたのだった。
「これは面白い……。いくつか私も回らせてもらうか。普通の店では売っていないものもみられるのが魅力だな」
殺風景な部屋に飾りつけられるものでもあれば、と思って買い手として参加していたレイア・アローネ(ka4082)だったが骨董品の相場を知らないし目利きも得意とは言えないので質の悪い売り手、または自身も騙されていることを知らずに本物だと信じ込んでいる売り手から高額な偽物を売られたり吹っ掛けられたりと気づけばすさまじい出費、収穫物はよくみれば本物かどうか誰も保証してくれないものばかり。
テンションが知らないうちに上がっていて衝動買いをしてしまったのかもしれない。財布の中身を見て一気に現実に立ち返るレイア。
「……フリーマーケット……お、恐ろしい……」
その後彼女が骨董品をどうしたのかは誰も知らない。
北谷王子 朝騎(ka5818)は占い屋を営業。ある出来事からものすごく落ち込んでいて最初は座り込んでぼーっと当たりの光景を眺めていたが通りすがりの小さくかわいい女の子を見かけて、ラッキースケベ的にパンツをのぞき込んでからは元気とやる気が出たようだ。
「いつまでもくよくよせずハンターとして世のため、人のために役に立ってその見返りにちっちゃ可愛い女の子のパンツをまた見せてもらいたいでちゅ」
心機一転金運や健康運、恋愛運、ここまでは普通でパンツ運という何を占われるのかわからないものやそのほか客が占ってほしいことを占い始める。
「お代は結構でちゅよ。占い(売らない)屋だけに」
星野 ハナ(ka5852)は半運営側的な売り子として休憩スペースを提供。
「フリーマーケットだからこそ、買ってくださった皆さんが戦利品を整理したり見せあいっこしたりするスペースがあった方がいいと思うんですぅ。今日は少し涼しめですけど涼しくても熱中症にはなりますしぃ。足を運んでくださった皆さんが熱中症で倒れたりしたら嫌ですからねぇ。
たまにはこういうボランティアっぽい自主活動もいいかと思いましてぇ。これで興味を持った方がお祭りのときは覗いてくださるかもしれませんしぃ」
普段東方茶屋で使用している茶屋の長椅子を緋毛氈を敷かずに並べ休憩スペース提供し、小さい紙コップで麦茶を無償で提供。飲み終わったカップのポイ捨てを防ぐために回収用のごみ箱も設置してある。
日差しを遮るために大きな日傘を何本も差し掛けて長椅子の上に日陰を作って。
折り紙で吊るし雛のようなものを作ってインテリア代わりに傘の内側に垂らした休憩所はハナの狙い通りたくさんの人が戦利品の整理や見せあうために利用し、ここは何かの出張店か、と聞く人も多かった。
ハナはそんな利用客に愛想よく受け答えして一日を過ごすことになりそうだ。
静玖(ka5980)は古くなった着物をほどいて作った、着物地で作った丸紐や髪を束ねる紐、服紐として売り出していた。
そのほかにも同じく着物の生地で作ったツマミ細工のかわいい髪飾りなどの装飾や趣味で作っている組紐などを売っている店はなかなか繁盛している。
「いい加減たまってもてなぁ。……ごはん以外は上手なんやぇ?」
リアルブルーのものや着物に興味を持っていたアルトとリューリも先ほど立ち寄って興味深げに眺めた後気に入った柄のものを購入していった。
そのあとルカがふらりと立ち寄ってこの間はどうも、と静玖に挨拶すると寄っていかないか、と声がかかる。
「あ、ルカはん~せや、この間言っとりました料理やけど、よかったら後で食べてもらえまへんやろか? おかしなんだけどな?」
お店の片隅から取り出したのは小さな箱、材料はまっとうなパンケーキに使う材料だがふたを開けてみればなぜか怪しげな色味と香りがする。
「試食してもろたよって、多分大丈夫やおもいますんけど」
照れたように笑う静玖からルカは色味も匂いもこれがごく普通のパンケーキだというように笑顔で受け取る。
「さっき休憩所を見かけたからお茶と一緒にいただくよ。まだ店はやっているんだろう? 食べ終わったら感想を言いに戻ってくるよ。その時になにか買い物をしたいから男性が持っていてもおかしくないものでおすすめがあれば寄せておいてもらいたいな」
「おおきに。待ってますえ」
休憩所でルカが食べるダークマターに他の利用者や場所を提供してたハナはぎょっとしていたが本人はなかなか料理上手だね、あの子。と感心した様子だった。
その言葉を静玖に伝えると料理をほめられたことがなかったのかひどくうれしそうに笑い、いつもしっぽのように短めの後ろ髪を束ねているルカにたまにはこんなのはどうやろ? と髪を束ねるための紐をいくつか示して見せて。
美味しいものをいただいたから少しお代に色をつけるよ、というルカと食べてもらいたかっただけやし完食してくれたのルカはんが初めてだからおまけするわ、という静玖でちょっと珍しいお互いに得をさせようとするやり取りがあったりしながらフリーマーケットでの一日は過ぎていった。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/18 09:58:54 |
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![]() |
フリーマーケットを盛り上げろ 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/08/16 23:17:37 |